JP3941344B2 - クラッチ機構およびそれを用いた車載用av装置 - Google Patents
クラッチ機構およびそれを用いた車載用av装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ギヤで構成された駆動機構等におけるトルクリミッターを構成するクラッチ機構、および自動車等の車両のダッシュボードに組み込まれる液晶テレビ、カーナビゲーション装置等の車載用AV装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両に搭載される液晶テレビやカーナビゲーション装置を、運転席あるいは助手席前面のダッシュボードに配置する場合、スペースの関係上、それらのテレビやモニターを、通常はダッシュボードの中に入れておき、使用時にのみダッシュボードの内部から引き出して見れるようにした構造が多く採用されている。
【0003】
図9は、特開平5ー170031号に示されたそのような装置の概念図で、通常は自動車のダッシュボード3内にケーシング2とともに収められている液晶テレビ1が、使用時にケーシング2に備えた駆動機構を利用して、ダッシュボード3の外側に引き出され、さらに所定の角度に回転されて、使用に供される状態を示したものである。
【0004】
ここで、ダッシュボード内から排出したモニター装置のモニター部を所定の角度に回転するための従来の駆動機構の一例を、図10の車載用液晶モニター装置の主要部を示す斜視図を基に説明する。
【0005】
モニター部100の回転に供される回転(チルト)駆動部70は、チルトモーター71を駆動源とし、チルトモーター71の軸にウォームギヤ72aが圧入設置され、ウォームギヤ72aから伝達ギヤ72g迄伝達する伝達ギヤ72b〜72fが設置される。また、モニター部100には伝達ギヤ72gと噛み合う扇形状ギヤ101が固定されている。
伝達ギヤ72bの歯形部はウォームギヤ72aと噛み合うハス歯と伝達ギヤ72cと噛み合う平歯とから構成され、伝達ギヤ72cの歯形部は伝達ギヤ72bと噛み合う平歯と伝達ギヤ72dと噛み合う平歯とから構成されている。また、伝達ギヤ72dの歯形部は伝達ギヤ72cと噛み合う平歯と伝達ギヤ72eと噛み合うかさ歯とから構成され、伝達ギヤ72eの歯形部は伝達ギヤ72dと噛み合うかさ歯と伝達ギヤ72fと噛み合う平歯とから構成され、伝達ギヤ72fの歯形部は伝達ギヤ72eと噛み合う平歯と伝達ギヤ72gと噛み合う平歯とから構成されている。
チルトモーター71はチルトモーター固定用フレーム73でネジ固定され、チルトモーター固定用フレーム73は駆動フレーム80にネジ固定される。
伝達ギヤ72b〜72gはチルトモーター固定用フレーム73および駆動フレーム80にカシメ固定される金属ピン(記号説明省略)に案内され回転自由に設置される。
【0006】
(i)モニター部の立上げ
挿排駆動部60の動作に基づいてモニター部100のダッシュボードからの排出が完了し、チルト動作開始の信号が入ると、チルトモーター71が回転を開始し、それによりウォームギヤ72aが回転する。その回転力はウォームギヤ72aから伝達ギヤ72bに伝達され(ウォーム−ハス歯の伝達)、伝達ギヤ72bからクラッチ機構(外力等により、モニター部100等に設定値以上の力が加わるとその回転を遮断する働きをするもので、連結あるいは遮断される2つのギヤを備えて成る)を構成する伝達ギヤ72cに伝達され(平歯−平歯の伝達)、伝達ギヤ72cから伝達ギヤ72dに伝達され(平歯−平歯の伝達)、伝達ギヤ72dから伝達ギヤ72eに伝達され(かさ歯−かさ歯の伝達)、伝達ギヤ72eから伝達ギヤ72f伝達され(平歯−平歯の伝達)、伝達ギヤ72fから駆動側最終の伝達ギヤ72g(平歯)に伝達される(平歯−平歯の伝達)。さらに、伝達ギヤ72gと噛み合う扇形状ギヤ101(平歯)に回転が伝達されることで、扇形状ギヤ101と固定されたモニター部100が設定される角度まで回転する。
【0007】
なお、モニター部100は、駆動フレーム80と駆動フレームの側面先端部に設けられるアーム部82a,82bにおいて、アーム部82bは扇形状ギヤ101の中心部を通る軸と、またアーム部82aは扇形状ギヤ101と対向側に設置される軸により、これらの軸を中心に回転(立上げ)する。
【0008】
(ii)モニター部の立下げ
モニター部100等に設置したクローズスイッチ(図示省略)が入ると、チルトモーター71が立上げとは逆の回転を始め、その回転がそれ以降の伝達ギヤに伝えられて、モニター部100を起立状態から水平状態になるまで立下げる。
なお、その後、モニター部100は挿排駆動部60の動作に基づいてダッシュボード内に戻される(挿入される)。
【0009】
このような構成において、上記クラッチ機構は、外力等により、モニター部等に設定値以上の力が加わると歯車列の回転を遮断して、噛み合い連結する歯車等が破損しないように作用するものである。
この種のクラッチ機構の従来の構成は、例えば、特開平10−148220号に開示されたクラッチ機構のように、同一直線上に回転中心を持つ第1ギヤと第2ギヤの間に、圧縮力を付与したコイルばねおよび摩擦係数の高いスリップ部材等を介在させて、伝達トルクがそれらの摩擦抵抗による第1ギヤと第2ギヤの一体保持力以下の場合には第1ギヤと第2ギヤが一体に回転して歯車列の回転を伝達し、そうでない場合には、第1ギヤと第2ギヤとの間にスリップが生じてこれらの歯車連動を遮断するようにしたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成の従来のクラッチ機構にあっては、下記のような問題が存在する。
▲1▼クラッチを構成するギヤ部分のトルクが高い場合は、コイルバネのバネ圧力を高くしなければならず、コイル線形・コイル径・コイル全長等考慮すると、クラッチ機構が全体に大きくなり、それを限られたスペースの中に設置するのが困難になる。
▲2▼バネ圧力を高くすると、バネを圧縮固定するギヤが傾いて固定され易くなり、もしギヤが傾いて固定された場合には、回転が不均一になり、伝達効率が悪くなったり回転音が発生したりする。
▲3▼潤滑油を歯車に付着させた場合、回転や使用温度環境により潤滑油がスリップ部材(例えばフェルト等)に入り込む場合があり、その場合には第1ギヤと第2ギヤを一体に保持するための摩擦抵抗が下がり正規の動作が行えなくなる。
▲4▼クラッチ機構を構成する部品点数が多く、それがコストアップにつながっている。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、下記のような構成を採用する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のクラッチ機構は、ギヤが形成されたギヤ部および該ギヤ部と一体に並設されたホルダー部を有し、軸心部に軸受孔が貫通されてなる第1ギヤ部材と、前記第1ギヤ部材の軸受孔に挿入されるシャフトと、前記シャフトに設けられ該シャフトと一体に回転するギヤが形成された第2ギヤ部材と、前記第1ギヤ部材に固定され前記シャフトに圧接してなる板バネとを備え、
前記第1ギヤ部材のホルダー部はその軸受孔に対してほぼ直角方向に開口する開口部を有し、前記板バネはその断面が略U字形に屈曲しており、該略U字形板ばねが前記第1ギヤ部材の開口部に圧入され、該略U字形板ばねのU溝部に前記シャフトが配置されてなるものである。
また、前記シャフトはその両端部近傍をフレームで支持することにより回転自由に保持されるようにしたものである。
【0012】
このように、本発明のクラッチ機構ではギヤの連結遮断を、コイルばね等を使用すること無しに、シャフトと板バネの圧接により行うようにしたので、先述したコイルばねにともなう機構の大型化やギヤの傾き等の問題がなくなり、小型でしかも信頼性の高いクラッチ機構が得られることなる。
また、スリップ部材も介在させていないので、従来のようなスリップ部材の摩擦係数低下に起因する保持力低下の問題も回避できる。
【0013】
さらに、本発明の車載用AV装置は、前記各請求項のいずれかのクラッチ機構を、車両のダッシュボード部に配置したAV装置の位置を移動させるための駆動機構の歯車列中に配置したものである。この場合、第1ギヤ部材のギヤが駆動源側ギヤと噛み合い、第2ギヤ部材のギヤが被駆動物体側ギヤと噛み合うようにしても、あるいは、第1ギヤ部材のギヤが被駆動物体側ギヤと噛み合い、第2ギヤ部材のギヤが駆動源側ギヤと噛み合うようにしても、いずれでもかまわない。
【0014】
このように、本発明のクラッチ機構を車載用AV装置の駆動機構に用いることで、駆動機構の伝達トルクが高い場合でも、従来のようにコイルばねの形状等にあわせてクラッチ機構を大きくすることが抑制され、ダッシュボード部に組み込み易い、より小型のAV装置の製造が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に、本発明のクラッチ機構の上記実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係るクラッチ機構の外観斜視図、、図2は図1のクラッチ機構の分解斜視図である。
【0016】
クラッチ機構200は、ギヤが形成されたギヤ部130および該ギヤ部と一体に並設されたホルダー部120を有し軸心部にシャフト140を回転自在に支持する軸受孔(又は軸受部)121が貫通されてなる第1ギヤ部材110と、第1ギヤ部材110の軸心部に挿入されたシャフト140と、第1ギヤ部材110に挿入されたシャフト140の先端に固定された第2ギヤ部材150と、第1ギヤ部材110のホルダー部120にその軸受孔121に対してほぼ直角方向に貫通して開口された開口部122に挿入固定されてシャフト140をそのバネ圧で保持する略U字形板ばね160とを備えて成る。
【0017】
第1ギヤ部材110のホルダー部120とギヤ部130とは、プラスチック材等で一体成形されたものである。ホルダー部120の一方の開口部122から略U字形板ばね160の両自由端部161を挿入すると、その両自由端部161がホルダー部120の相対向する面に少したわんだ形ではまり込むと共に、両自由端部161の先端がもう一方の開口部122の端部123と噛み合うことで、略U字形板ばね160が第1ギヤ部材110に固定される。この略U字形板ばね160が組み込まれた第1ギヤ部材110に、シャフト140をギヤ部130側の軸受孔121から差込み、第1ギヤ部材110のギヤ部130がシャフト140のストッパー部142に当たるまで挿入する。なお、シャフト140の円断面形状部141が第1ギヤ部材110の幅に対応している。これによって、略U字形板ばね160は円断面形状部141を両側から挟持する形で摩擦抵抗による保持力によりシャフト140を保持する。さらに、シャフト140のトラック断面形状部143を、プラスチック材等で成形した第2ギヤ部材150のトラック断面穴部151に圧入することでシャフト140と第2ギヤ部材150が固定されて、クラッチ機構200が構成される。
【0018】
このクラッチ機構200は、次のように作用する。
まず、第2ギヤ部材150に作用する回転負荷(又は回転トルク)が所定値以内(略U字形板ばね160とシャフト140の円断面形状部141の摩擦抵抗による保持力以内)のときは、略U字形板ばね160でシャフト140を挟み持つ第1ギヤ部材110が、第2ギヤ部材150およびシャフト140と一体に回転する。
一方、第2ギヤ部材150に作用する回転負荷が所定値以上(略U字形板ばね160とシャフト140の円断面形状部141の摩擦抵抗による保持力を越える値)のときは、第2ギヤ部材150およびシャフト140のみが回転し、第1ギヤ部材110にはその回転が伝達されない。従って、第2ギヤ部材150が被駆動側に配置され、その駆動時に例えば第2ギヤ部材150側が外力により止められた場合は、第1ギヤ部材110側のみが回転する状態となる。
このクラッチ機構200は、以上のように、略U字形板ばね160とシャフト140間の摩擦抵抗による保持力と、被駆動側に用いた第2ギヤ部材150(第1ギヤ部材110を被駆動側に用いた場合には第1ギヤ部材110)に加わるトルクの大小によって、第1または第2いずれかのギヤ部材がスリップし、回転が伝わったり、伝わらなかったりする機能を有する。
【0019】
次に、このクラッチ機構の設置例を説明する。本実施の形態のクラッチ機構200は、上記のように作用するため、これを装置内に設置する場合は、そのシャフト140が回転自由になるように保持しなければならない。図3はそのような構造にするためのクラッチ機構200の設置例を示す斜視図、図4は図3の設置例の分解斜視図である。
【0020】
ここでは、クラッチ機構200を構成するシャフト140の両端にフレーム挿入部144,145が形成され、そのフレーム挿入部144,145が、クラッチ機構を設置しようとするベースプレート(図示省略)に固定されたフレーム170,171の穴部に挿入される。さらに、フレーム挿入部144,145の外側に形成したシャフト140の溝部146,147にフレーム170,171の外側から止め輪180,181を固定することにより、クラッチ機構200がその軸心方向に位置決めされ、フレーム170,171によって回転自由に保持される。
なお、シャフト140のフレーム170,171内側に位置する部分のシャフト径を、それらのフレームの穴径よりも大きくしたり、あるいは第1ギヤ部材及び第2ギヤ部材の幅とフレーム170,171の内側との幅とをほぼ等しくすることによって、上記溝部や止め輪を用いずに、クラッチ機構200をその軸心方向に位置決めすることもできる。
【0021】
次に、上記クラッチ機構200を利用した駆動機構の一例を図5に示す。なお、これは、駆動源として遊星ギヤが内蔵された遊星ギヤ部301を有した減速機付きモーターユニット300を用いた場合のギヤ輪列の例であり、モーターユニット300の出力軸にはギヤ310が固定されている。
この駆動機構は、モーターユニット300により回転駆動されるギヤ310の回転力が、クラッチ機構200の第1ギヤ部材110のギヤ部130に伝達され、その回転力が第2ギヤ部材150を介して、伝達ギヤ部材320の大径ギヤ321に伝達される。そして、大径ギヤ321と一体の小径ギヤ322から、所定の減速比になるように設置されたそれ以降のギヤ(図示省略)に回転力が伝達され、最終的に被駆動物体を駆動するものである。
【0022】
しかしながら、被駆動物体が人の力等によって強引に動かされた場合、その力が略U字形板ばね160とシャフト140との摩擦抵抗による保持力を越えると、その力はクラッチ機構200の第1ギヤ部材110と第2ギヤ部材150との間で遮断され、駆動機構を構成する歯車の損傷を防止する。
【0023】
なお、限られたスペースの中で所定の減速比を実現するためには、上記のような減速機付きモーターユニットを用いると、全体のギヤ数を少なくでき、また平歯の輪列で駆動機構を構成できる利点がある。なぜなら、通常のモーターを使用して配置すると、スペースの関係上平歯のみでは配列できず、ウォーム歯車、ハス歯歯車、かさ歯車等を用いる事になり、ギヤの種類・数量が多くなって、コストアップや組立性・信頼性が落ちる事になるからである。そして、減速機付きモーターユニットを使用した場合は、そのモーターユニットから出力されるトルクが通常のモーターからのトルクに比べ高いため、このクラッチ機構が特に有効となる。
【0024】
本実施の形態のクラッチ機構は、シャフトと略U字形板ばねの摩擦抵抗による保持力を利用しているので、従来のコイルばねを用いたものに比べて、小型化および信頼性向上が図れ、回転音も抑制できる。従って、このクラッチ機構と上記減速機付きモーターユニットとを組み合わせた装置は、従来の装置に比べ、装置の小型化、信頼性向上、騒音減少等の達成に有効な手段となる。そこで、以下の実施の形態2では、これらのクラッチ機構と減速機付きモーターユニットとを車載用液晶モニター装置に組み込んだ例を取り上げて説明する。
【0025】
実施の形態2.
図6はモニターの排出/挿入および回転のための駆動機構を説明する車載用液晶モニター装置の主要部を示す斜視図、図7は図6の装置をその外装ケースに組み込んだ時の斜視図、図8は図7の装置のモニター回転時の斜視図(ここでは、駆動機構をわかり易くするため通常の設置状態とは上下を逆にして表示している)である。
【0026】
モニター部の排出/挿入および回転駆動源である減速機付きモーターユニットは、その内部にモータと減速機とを組み込んだもので、例えば、特開平2−212645号や特開平4−366046号に開示されている小型減速機や、特開平6−18969号に開示されているフィルム巻上げ機構が利用できる。これらの減速機付きモーターユニットにおいて、減速機を含めたモーターユニットを所定の回転数やトルク等が確保できるように設定しておくことで、その駆動力を伝達する歯車輪列を平歯車のみで、しかも歯車の数を従来より少なく構成して、必要な減速比を確保することが可能となる。
【0027】
(1)全体構成
液晶モニター装置は、モニター部50と、モニター部50を挿入/排出、回転等させるための駆動源およびこの駆動源で発生した駆動力を伝達する歯車輪列等から成る駆動機構が配置されてモニター部50を支持する駆動フレーム30と、駆動フレーム30を前後進させる機構を備えた外装ケース40とを備える。
【0028】
(2)挿排駆動部
モニター部50の挿入/排出に供される挿排駆動部10は、駆動源として所定の減速比(回転数やトルク等)に合わせ込んだ挿排用減速機付きモーターユニット11を備える。挿排用減速機付きモーターユニット11は駆動フレーム30上に配置され、挿排用減速機付きモーターユニット11の出力軸に伝達ギヤ12aを圧入設置している。伝達ギヤ12aは駆動フレーム30に回転自在に支持されたシャフト13に圧入設置された伝達ギヤ12bと噛み合っており、シャフト13の両端にはピニオンギヤ14a,14bが圧入設置されている。
挿排用減速機付きモーターユニット11は挿排モーター固定用フレーム15でネジ固定され、その挿排モーター固定用フレーム15は駆動フレーム30にネジ固定される。伝達ギヤ12aは駆動フレーム30の側面側にカシメ固定された固定用ピンで案内されている。
【0029】
(3)挿排動作
(i)排出動作
モニター部50等に設置したオープンスイッチ(図示省略)が入ると、挿排用減速機付きモーターユニット11が回転し、その回転が出力軸を介して伝達ギヤ12a(平歯)に伝達され、伝達ギヤ12aからシャフト13上の伝達ギヤ12b(平歯)に伝達されることで、シャフト13を介してピニオンギヤ14a,14bに回転が伝達される。
【0030】
ピニオンギヤ14aは外装ケース40の天面内側に差込固定されたラックギヤ41aと噛み合う位置関係になり、ピニオンギヤ14bも同様に外装ケース40の天面内側に差込固定されたラックギヤ41b(図示されず)と噛み合う位置関係になり、その噛み合い力で駆動フレーム30が排出側に進む。この時、駆動フレーム30の側面部に水平方向に設置されるガイド部材31a,31bが、外装ケース40の内面側に水平方向にカシメ設置される略コ字型支持部材42a,42bの内面を案内され、これによって、駆動フレーム30の両端で支持されるモニター部50が水平を保持しながら排出側に進んで、ダッシュボードの外側へ排出される。
【0031】
(ii)挿入動作
モニター部50の使用が終了し、モニター部50が回転して起立した状態から再び水平状態に到ると、挿入動作開始の信号が入り、挿排用減速機付きモーターユニット11が排出時とは逆に回転して、その回転がそれ以降の伝達ギヤに回転が伝達され、モニター部50が駆動フレーム30とともに挿入側(ダッシュボードの内側)に進む。
【0032】
(iii)挿排制御
排出および挿入時の各最大位置付近でセンサースイッチを作用させ、それらの最大位置で、モニター部50の排出動作および挿入動作が停止されるように制御している。
【0033】
この構成によれば、挿排用減速機付きモーターユニット11からピニオンギヤ14a,14bまで駆動機構の輪列構成が、従来に比して格段に少なくなるので駆動機構のためのスペースが小さくなり、またその輪列をすべて平歯で構成しているため、伝達効率が向上し、かつ歯車の噛み合い音の発生も抑制できる。
【0034】
(4)回転(チルト)駆動部
モニター部50の回転(チルト)に供される回転駆動部20は、駆動源として、所定の減速比(回転数やトルク等)に合わせ込んだチルト用減速機付きモーターユニット21が駆動フレーム30上に配置され、チルト用減速機付きモーターユニット21のチルト出力軸に伝達ギヤ22aが圧入設置される。チルト用減速機付きモーターユニット21はチルトモーター固定用フレーム23でネジ固定され、そのチルトモーター固定用フレーム23は駆動フレーム30にネジ固定される。伝達ギヤ22aは駆動フレーム30の側面側にカシメ固定された固定用ピン24aで回転自由に案内されている。そして、チルト用減速機付きモーターユニット21の回転力を伝達ギヤ22e迄伝達する伝達ギヤ22b〜22dが設置される(ここで、伝達ギヤ22dは前後のギヤ22cと22eの両方に係合する2段ギアとする)。さらに、モニター部50には、伝達ギヤ22eと噛み合う扇形状ギヤ51が固定されている。
【0035】
なお、上記の伝達ギヤ22b,22cの軸心には、チルトモーター固定用フレーム23および駆動フレーム30に回転自由に設置される金属ピン24bが挿入され、これらの伝達ギヤ22b,22cおよび金属ピン24bが、実施の形態1で説明したクラッチ機構を構成している。即ち、伝達ギヤ22bが第1ギヤ部材のギヤ部130に、伝達ギヤ22cが第2ギヤ部材150に、金属ピン24bがシャフト140にそれぞれ対応する。
【0036】
また、伝達ギヤ22d、22eはチルトモーター固定用フレーム23にカシメ固定される固定ピン24c,24dに案内され回転自由に設置される。固定ピン24c,24dは相対向する駆動フレーム30の案内穴で受けている。
また、図示していない駆動フレームふたが駆動フレーム30を覆う構造となっている。
【0037】
(5)回転(チルト)動作
(i)立上げ動作
挿排駆動部10によるモニター部50の排出が完了し、回転動作開始の信号が入ると、チルト用減速機付きモーターユニット21が回転を開始し、それにより伝達ギヤ22a(平歯)が回転する。この回転力が伝達ギヤ22aからクラッチ機構を構成する伝達ギヤ22b(平歯)に伝達され、さらにクラッチ機構を構成するもう一つの伝達ギヤ22c(平歯)から伝達ギヤ22d(平歯+平歯)に伝達され、この伝達ギヤ22dから駆動側最終の伝達ギヤ22e(平歯)に伝達される。そして、伝達ギヤ22eの回転力が扇形状ギヤ51に伝達されることで、扇形状ギヤ51と固定されたモニター部50が設定される角度まで回転する。
【0038】
なお、モニター部50は、駆動フレーム30とは駆動フレーム側面先端部に設けられるアーム部32a,32bにおいて接続されており、アーム部32bは扇形状ギヤ51の中心部を通る軸により、また、アーム部32aは扇形状ギヤ51と対向側に設置される軸により、これらの両軸を中心に回転(立上げ)する。
【0039】
(ii)立下げ動作
モニター部50等に設置したクローズスイッチ(図示省略)が入ると、チルト用減速機付きモーターユニット21が立上げとは逆の回転を開始し、その回転がそれ以降の伝達ギヤに伝えられて、モニター部50を起立状態から水平状態へ回転(立下げ)させる。
【0040】
(iii)回転制御
モニター部50の回転制御は、通常チルト側のクラッチ機構を構成する伝達ギヤ22c以降のギヤ等を用い、光センサーでギヤ側面等に取り付けた反射板から反射を利用する方法、伝達ギヤから可変抵抗器を回転させる別のギヤを構成して抵抗値を取り出す方法等で、モニター部50の回転角度を制御することにより行っている。
【0041】
この構成によれば、通常の状態では、クラッチ機構を構成する伝達ギヤ22b,22cが一体に回転して、チルト用減速機付きモーターユニット21の駆動力がモニター部50の扇形状ギヤ51まで伝達されるのに対し、モニター部50が伝達ギヤ22b,22cの一体保持力を越える力を受けた場合等には、クラッチ機構を構成する伝達ギヤ22b,22cの連動が遮断して、その駆動機構の歯車輪列に過度の力が作用するのを防止している。
また、クラッチ機構自体を小型に構成できることに加え、チルト用減速機付きモーターユニット21から扇形状ギヤ51に到る駆動機構の歯車数が、従来に比して少なくなるので駆動機構のためのスペースも小さくでき、車載用AV装置をより小型化できる。
さらに、クラッチ機構自体の信頼性向上に加えて、駆動機構を構成する歯車輪列をすべて平歯で構成しているためその伝達効率も上がり、車載用AV装置の性能が向上する。
【0042】
なお、上記実施の形態において、挿入/排出あるいは回転用駆動力伝達のための歯車列のギヤの個数や形状等は、それらの動作に要する時間、減速機付きモーターユニットの出力トルク、最終的に必要なトルク等により設定される減速比等で決められる。
また、上記実施の形態においては、クラッチ機構をモニター部の回転用駆動機構中にだけ用いたが、必要に応じて、これを挿入/排出用駆動機構中にも用いると、駆動機構の保護がより強化される。
さらに、本発明のクラッチ機構は、上記実施の形態の車載用液晶モニター装置に限らず、ギヤ輪列で構成される駆動機構を有する装置であればどのような装置にも適用可能であって、例えば、ビデオ装置やオーディオ装置のテープ挿入口の回転駆動機構、自動車の電動ミラー駆動機構等にも適用することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明のクラッチ機構は、以上のように構成されているので、クラッチ機構およびそれを備えた車載用AV装置の小型化および高信頼性化が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るクラッチ機構の外観を示す斜視図。
【図2】図1のクラッチ機構の分解斜視図。
【図3】図1のクラッチ機構の設置例を示す斜視図。
【図4】図3のクラッチ機構の設置例の分解斜視図。
【図5】図1のクラッチ機構を利用した駆動機構の一例を示す歯車配列図。
【図6】モニターの排出/挿入および回転のための駆動機構を説明する車載用液晶モニター装置の主要部を示す斜視図。
【図7】図6の装置をその外装ケースに組み込んだ時の斜視図。
【図8】図7の装置のモニター回転時の斜視図(駆動機構をわかり易くするため通常の設置状態とは上下を逆にして表示)。
【図9】自動車のダッシュボード内に収められていた液晶テレビが、ダッシュボードの外側に引き出され、所定の角度に回転されて使用に供される状態を示す図。
【図10】モニターの回転のための従来の駆動機構を説明する車載用液晶モニター装置の主要部を示す斜視図。
【符号の説明】
110 第1ギヤ部材
120 ホルダー部
121 ホルダー部の軸受孔(軸受部)
122 ホルダー部の開口部
130 第1ギヤ部材のギヤ部
140 シャフト
141 シャフトの円断面形状部
150 第2ギヤ部材
160 略U字形板ばね
170 フレーム
171 フレーム
180 止め輪
181 止め輪
200 クラッチ機構
Claims (5)
- ギヤが形成されたギヤ部および該ギヤ部と一体に並設されたホルダー部を有し、軸心部に軸受孔が貫通されてなる第1ギヤ部材と、
前記第1ギヤ部材の軸受孔に挿入されるシャフトと、
前記シャフトに設けられ該シャフトと一体に回転するギヤが形成された第2ギヤ部材と、
前記第1ギヤ部材に固定され前記シャフトに圧接してなる板バネとを、備え、
前記第1ギヤ部材のホルダー部はその軸受孔に対してほぼ直角方向に開口する開口部を有し、前記板バネはその断面が略U字形に屈曲しており、該略U字形板ばねが前記第1ギヤ部材の開口部に圧入され、該略U字形板ばねのU溝部に前記シャフトが配置されてなることを特徴とするクラッチ機構。 - 前記シャフトはその両端部近傍をフレームで支持することにより回転自由に保持されることを特徴とする請求項1記載のクラッチ機構。
- 請求項1または2のいずれかのクラッチ機構を、車両のダッシュボード部に配置した車載用AV装置の位置を移動させるための駆動機構の歯車列中に配置したことを特徴とする車載用AV装置。
- 第1ギヤ部材のギヤが駆動源側ギヤと噛み合い、第2ギヤ部材のギヤが被駆動物体側ギヤと噛み合うことを特徴とする請求項3記載の車載用AV装置。
- 第1ギヤ部材のギヤが被駆動物体側ギヤと噛み合い、第2ギヤ部材のギヤが駆動源側ギヤと噛み合うことを特徴とする請求項3記載の車載用AV装置。
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