JP3941144B2 - 4輪駆動車の動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、4輪駆動車の動力伝達装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、横置き式エンジンに変速装置を直列配置したタイプの4輪駆動車としては、変速装置の出力軸に対して並列配置されて駆動力を受ける第1車軸(例えば、所謂FFタイプの自動車の場合には前輪車軸)から直接的に駆動力を取り出すようにした、所謂、1軸タイプのものが知られている。ところが、上記第1車軸は、そのレイアウトが基本的にエンジン及び変速装置の搭載位置や車輪タイヤ径などで定まるので、上下方向について一般にかなり高い位置に配置されることになる。このため、上記1軸タイプの場合には、第1車軸側と第2車軸(FFタイプの自動車の場合には後輪車軸)側とを連結するプロペラ軸の上下方向位置が不可避的に高くなり、その上方を覆うフロアトンネルも車室側に高く張り出すこととなるので、車室内の居住性に悪影響を及ぼすなどのレイアウト上の問題が生じる。
【0003】
そこで、動力伝達用の一種の中間軸としてのトランスファ軸を上記第1の車軸に対して並列に配置し、このトランスファ軸を介してプロペラ軸に動力伝達を行うようにした、いわゆる2軸タイプの動力伝達装置が提案されている。
この2軸タイプの場合には、トランスファ軸の上下方向位置を上記第1の車軸よりも一定以上低く設定して、プロペラ軸の位置を好適に下げることができ、上述のフロアトンネルの高さの問題を解消することができる。
【0004】
かかる2軸タイプの4輪駆動車の動力伝達装置として、本願出願人は、特開平5−305834号公報において、第1の車軸とトランスファ軸との間の動力伝達を、従来の歯車機構による伝達に代えて、チェーン或いはベルト等の巻掛け式の動力伝達手段で行うようにした構造を開示した。
このような巻掛け式の動力伝達手段を用いることにより、従来の歯車機構による場合に比べて、トランスファ軸の減速比の設定の自由度を高めることができ、また、クラッチを小型化して最低地上高をより高く確保するとともに、差動装置やトルク伝達機構などについてもよりコンパクトなレイアウトが可能になる。
【0005】
更に、トランスファ軸とプロペラ軸との間および該プロペラ軸と後輪車軸との間で90度方向変換して動力伝達を行う歯車としては、通常、ねじりかさ歯車の一種であるハイポイドギヤが用いられているが、上記巻掛け式の動力伝達手段の採用に伴いトランスファ軸が第1車軸と同方向に回転するようになることにより、前後両方のハイポイドギヤについて、圧倒的に頻度の高い車両前進時にその正転歯面を使用できるようになり、騒音問題および歯車寿命などについてより有利となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一端(内端)が車軸に連結され他端(外端)側で車輪を回転自在に支持する車輪駆動軸は、その内端側の高さが基本的にはエンジン及び変速装置の搭載位置等によって定まり、一方、外端側の高さは基本的にはタイヤ径によって定まる。
そして、車輪駆動軸は、通常、車軸を基準にして外斜め下方に一定の折れ角をもって傾斜するように、車幅方向へ延設されている。
【0007】
図4は車輪駆動軸の折れ角を模式的に示す説明図であるが、この図からよく分かるように、車軸Sdに対する車輪駆動軸Swの折れ角はエンジンEn及び変速装置Tmの搭載位置が高いほど大きくなる(θ2>θ1)。そして、この折れ角が大きくなるほど、車両発進時等におけるトルク変動が大きくなり、所謂トルクステアーが生じ易くなることが知られている。
従って、発進時の走行性能を良好に確保するためには、上記車輪駆動軸Swの折れ角をできるだけ小さく抑えることが求められる。特に、例えばオフロード・タイプの車両などの場合には、図において破線で示されるように、最低地上高Hを一定以上に大きく確保することが要求されるので、上記車輪駆動軸Swの折れ角を如何に小さく抑えるかは重要である。
【0008】
また、周知のように、上記変速装置内では、その最もエンジンに近い側(つまり、エンジンと変速機構との間)に、エンジンの動力を変速機構に伝達する伝達装置としてのクラッチ装置若しくはトルクコンバータが配置されており、この部分のケース体(一般に、クラッチハウジング若しくはトルクコンバータ・ハウジングと呼ばれる)は、これに後続する他の部分(変速機構を収納したミッション・ハウジングなど)に比べてかなり大径となる。
そして、横置き式エンジンに変速装置を直列配置した場合には、通常、上記伝達装置(クラッチ装置若しくはトルクコンバータ)のケーシング部のエンジン側の端部(つまりエンジンに隣接した部分)は、平面視においてエンジン外形よりもある程度以上後方に(つまり第1車軸側に)張り出すこととなる。
【0009】
従って、第1車軸とトランスファ軸との間の動力伝達をチェーン或いはベルト等の巻掛け式の動力伝達手段で行うようにした場合において、上記従来公報におけるもののように、巻掛け式動力伝達手段を、変速装置の最終減速部を構成するファイナル・リングギヤ(換言すれば、第1軸の駆動機構にとっての入力リングギヤ)と共に変速装置ケース体のエンジン側の端部よりも(つまり、上記伝達装置のケーシング部のエンジンに隣接した第1車軸側への張り出し部分よりも)変速装置側に配置すると、チェーン・スプロケット或いはベルト・プーリの位置および径方向サイズなどがそれだけ制約を受けることになる。
【0010】
ところで、トランスファ軸とプロペラ軸との間で動力伝達を行うハイポイドギヤ及びその噛み合い部分を含むトランスファ・ユニットと、上記変速装置とでは、用いられるオイルが異なる。つまり、変速装置に用いられるミッション・オイルの場合は、内部機構の摺動部分等に対する潤滑油としての機能以外に、例えばバルブスプール等の作動部品を駆動する油圧を生じさせる作動油としての機能が求められるので、粘度が比較的低いものが選ばれるが、これに対して、上記トランスファ・ユニットの場合には、主として高い耐荷重性が求められる上記ハイポイドギヤの潤滑のために高粘度のオイルが使用される。尚、巻掛け式動力伝達手段の一種であるチェーンの場合、一般に、その潤滑油としては高低いずれの粘度のものでも対応することができる。
しかしながら、このチェーンの場合、通常、作動時の騒音が歯車の場合に比して大きくなるという難点があった。
【0011】
この発明は、上記諸問題に鑑みてなされたもので、4輪駆動車におけるいわゆる2軸式の動力伝達装置について、車輪駆動軸の折れ角をできるだけ小さくするとともに、巻掛け式動力伝達手段の設定自由度を確保でき、また、巻掛け式動力伝達手段の作動時の騒音を効果的に対策することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このため、本願の請求項1に係る発明(以下、第1の発明という)は、出力軸を車幅方向に向けて配置される横置き式エンジンと、該エンジンの出力軸に対して直列配置された変速装置と、該変速装置の変速機構と上記エンジンとの間に配置され、該エンジンの動力を上記変速機構に伝達する伝達装置と、上記変速装置の出力軸に対して並列配置され、該出力軸から入力リングギヤを介して駆動力を受け、該駆動力を車輪駆動軸に伝達する第1車軸と、該第1車軸に対して並列配置され、上記変速装置の出力軸の動力を第2車軸側に伝達するためのトランスファ軸とを備え、該トランスファ軸と上記第1車軸とをチェーン式の巻掛け式の動力伝達手段を介して連結するようにした4輪駆動車の動力伝達装置において、上記第1車軸上において、上記伝達装置のケーシング部のエンジンに隣接した第1車軸側への張り出し部分を挟んで、変速装置側に上記入力リングギヤを配置する一方、エンジン側に上記巻掛け式動力伝達手段を配置し、かつ、上記入力リングギヤを変速装置のケース内に配置する一方、上記巻掛け式動力伝達手段を、上記トランスファ軸に取り付けられた歯車およびその噛み合い部分が収納されるトランスファケース内に配置し、上記変速装置のケース内と上記トランスファケース内とを液密にシールし、上記トランスファケース内に充填するオイルを、上記変速装置のケース内に充填するオイルに比して高粘度のものとした、ことを特徴としたものである。
【0013】
また、本願の請求項2に係る発明(以下、第2の発明という)は、上記第1の発明において、上記第1車軸上で上記入力リングギヤの内周側に、左右の車輪間の差動装置が配設されていることを特徴としたものである。
【0015】
【発明の作用および効果】
本願の第1の発明によれば、上記第1車軸上において、上記伝達装置のケーシング部のエンジンに隣接した第1車軸側への張り出し部分を挟んで、変速装置側に上記入力リングギヤを配置する一方、エンジン側にチェーン式の巻掛け式動力伝達手段を配置したので、従来、両者が共に変速装置側に配置されていた場合に比べて、第1車軸と車輪駆動軸との連結部の位置を車幅内方に設定することが可能になる。この結果、車輪駆動軸の折れ角を小さくすることができ、これにより、車両発進時におけるトルク変動を抑制し、トルクステアーが生じにくくなるようにできるなど、車両発進時における走行性能を向上させることができる。
しかも、この場合において、巻掛け式動力伝達手段はエンジン側に配置されているので、上記伝達装置のケーシング部のエンジンに隣接した第1車軸側への張り出し部分を回避して配設することができ、チェーン・スプロケットの位置および径方向サイズについての設定自由度を高めることができる。
更に、その上、上記巻掛け式動力伝達手段(チェーン)は、変速装置に用いられるオイルに比して粘度の高いオイルが充填される上記トランスファケース内に配置されているので、チェーンの作動音をこの高粘度のオイルによって有効に減衰させてチェーンの駆動に伴う騒音レベルを低減させることができ、チェーン式の動力伝達手段を採用したことによる騒音問題の解消を図ることができる。
【0016】
また、本願の第2の発明によれば、基本的には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができる。しかも、その上、上記第1車軸上で上記入力リングギヤの内周側に左右の車輪間の差動装置が配設されているので、変速装置の最終減速部を構成し、もともと比較的大径となる上記入力リングギヤの内側スペースを有効に利用して、比較的容積が大きくなる上記差動装置をレイアウトすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る4輪駆動車の動力伝達装置の構成を概略的に表すスケルトン図である。この図に示すように、上記4輪駆動車は、例えば、車両前部に配置したエンジンEnで前輪(不図示)を常時駆動できるようにした所謂FFタイプのもので、横置き式とされた上記エンジンEnは、エンジンルーム内においてその出力軸1を車幅方向に向けて配置されている。このエンジンEnの出力側には、例えば手動変速式の変速機Tmがエンジン出力軸1に対して直列配置されており、このエンジン出力軸1は、変速機Tmのケース2内に収納されたクラッチ装置3に連結されている。
【0019】
この変速機ケース2は、クラッチ装置3を収納したクラッチハウジング2Aと、これに後続して変速機構を収納したミッション・ハウジング2Bとを備えている。上記クラッチハウジング2Aは、エンジンEnに隣接するとともに、容積の大きいクラッチ装置3を収納する関係上、変速機ケース2の他の部分(ミッション・ハウジング2Bなど)と比べて大径に形成されている。そして、変速機TmがエンジンEnに直列配置された状態では、平面視においてエンジンEnの外形よりも所定量だけ車体後方側へ張り出しており、そのエンジンEn側の端部(つまりエンジンEnに隣接した端部)は張り出し部2Aeを形成している。
【0020】
上記変速機Tmの出力軸4には出力ギヤ5が一体的に固定され、この出力ギヤ5に対して、変速装置Tmの最終減速部を構成する(換言すれば、前輪駆動機構に対する入力ギヤとなる)比較的大径のリングギヤ6が歯合している。このリングギヤ6(入力リングギヤ)は、前輪車軸8上において、変速機ケース2のエンジンEn側の端部(つまり、クラッチハウジング2AのエンジンEnに隣接した車体後方側への張り出し部2Ae)よりも変速機Tm側に配置されている。
本実施の形態では、このリングギヤ6(入力リングギヤ)は、フロント側の差動装置7の外周部分に固定されている。すなわち、この大径の入力リングギヤ6の内周側に、その内側スペースを有効に利用して、左右の前輪間の差動装置7が配設されており、比較的容積が大きくなる上記差動装置7の配置について、効率的なレイアウトが実現されている。
【0021】
そして、上記フロント側差動装置7を介して、前輪を駆動する左右一対の第1車軸8(前輪車軸)がそれぞれ車幅方向に(つまり、変速機出力軸4に対して並列に)延設されている。なお、各前輪車軸8は、図中において符号△,▽で示した軸受により回転自在に支持されている。
また、これら各前輪車軸8の軸端には、前輪を駆動するための前輪駆動軸9がそれぞれ自在継手11を介して接続されている。
以上により、前輪を常時駆動し得る所謂FF駆動系が構成されている。
【0022】
次に、後輪の駆動トルク配分を可変的に制御する動力伝達系について説明する。上記前輪車軸8の所定距離後方には、回転自在に支持されたトランスファ軸12が前輪車軸8に対して並列配置されている。
このトランスファ軸12は、図2から良く分かるように、その上下方向位置が前輪車軸8よりも所定量低くなるように設定されており、これに伴って、前輪車軸から直接的に駆動力を取り出す1軸タイプのものに比べて、プロペラ軸21(中心軸Lp)の上下方向位置を低くすことができるようになっている。
そして、上記前輪車軸8とトランスファ軸12とは、巻掛け式の動力伝達手段によって連結されている。すなわち、前輪車軸8の途中部の所定部位には第1スプロケット13が固定される一方、上記トランスファ軸12の中央よりも図1における右側部位には上記第1スプロケット13に対応する第2スプロケット14が固定されており、両スプロケット13,14間ににチェーン15が巻掛けて張設されている。
【0023】
上記トランスファ軸12の第2スプロケット14よりも中央側には、ハイポイド型の前側リングギヤ16(前側ハイポイド・リングギヤ)が、その歯面が図1における例えば左側に向けられるようにして固定されている。尚、この前側ハイポイド・リングギヤ16は、より好ましくは、その歯面の向きが、後述する後側ハイポイド・リングギヤの歯面と対向する方向となるように配設されている。
この前側ハイポイド・リングギヤ16には前側ハイポイド・ピニオンギヤ17が歯合しており、トランスファ軸12からの駆動力を90度変換した上でクラッチ31を介してプロペラ軸21に伝達するようになっている。
【0024】
周知のように、ハイポイド型のギヤセット(ハイポイド・リングギヤ16とハイポイド・ピニオンギヤ17の組み合わせ)では、リングギヤ16とピニオンギヤ17の各回転中心軸をオフセットさせて使用される。したがって、このオフセット量だけ、ハイポイド・ピニオンギヤ17の中心軸の上下位置を下げることができる。
すなわち、図2から良く分かるように、プロペラ軸21の中心軸Lpの上下位置は、上記オフセット量に対応した所定寸法Fだけトランスファ軸12の中心軸よりも低く設定されている。これにより、エンジンルームREの後壁Ds(ダッシュパネル)に連設されて上記プロペラ軸21の上方を覆うフロアトンネルTnの車室RC側への張り出し高さが低く抑えられ、車室RC内の居住性が良好に確保されている。
【0025】
上記ハイポイド・ピニオンギヤ17のギヤシャフト17sは、例えば油圧や電磁吸引作用で作動させられる上記クラッチ31に接続されてその一方の作用部材に連結され、このクラッチ31の他方の作用部材には上記プロペラ軸21の前端側が連結されている。なお、本実施の形態では、上記クラッチ31を、例えば、車速,4駆選択,アクセル開度などに応じて作動制御することにより、前輪に加えて後輪もアクティブに制御できるようになっている。
上記ハイポイド・リングギヤ16,ハイポイド・ピニオンギヤ17及びトランスファ軸12等を含むトランスファ・ユニットTfのケース体19(トランスファケース)の後端部には、上記クラッチ31を収納したクラッチケース32が一体的に連結されている。また、トランスファケース19の前部左側は、変速機ケース2の一部に連結されている。なお、このトランスファケース19の構造およびレイアウト等については後述する。
【0026】
そして、上記プロペラ軸21から後側差動装置22を介して左右一対の第2車軸23(後輪車軸)に駆動力が伝えられ、この駆動力により、各自在継手24を介してそれぞれ後輪車軸23に連結された左右の後輪駆動軸25が回転駆動されるようになっている。
すなわち、上記プロペラ軸21の後端側には、後側ハイポイド・ピニオンギヤ27のギヤシャフト27sが連結され、この後側ハイポイド・ピニオンギヤ27は、上記後側差動装置22の外周部に固定された後側ハイポイド・リングギヤ26に対し直交して歯合している。これにより、プロペラ軸21からの駆動力が90度変換されて左右の後輪車軸23に伝達されるのである。
【0027】
上記後側ハイポイド・リングギヤ26は、より好ましくは、前側ハイポイド・リングギヤ16の歯部と同一方向(例えば右ねじれ方向)にねじれた歯部を有しており、その歯面の向きが前側ハイポイド・リングギヤ16の歯面と対向する方向(図1における右向き方向)となるように配置されている。また、より好ましくは、前後のハイポイド・ピニオンギヤ17,27についても、各歯部は同一方向(例えば左ねじれ方向)にねじれるように形成されている。
そして、前後いずれのハイポイド・リングギヤ16,26及びハイポイド・ピニオンギヤ17,27についても、圧倒的に頻度の高い車両前進時にその正転歯面が使用されるようになっている。
更に、前輪車軸8とトランスファ軸12とは、巻掛け式動力伝達手段としてのチェーン15で連結されて同方向に回転するので、ギヤ比を適宜選択して前後のハイポイド・リングギヤ16,26及びハイポイド・ピニオンギヤ17,27を共通に使用できるようにすることも可能である。
【0028】
本実施の形態では、上述のように、上記トランスファケース19の後端部にクラッチケース32が一体的に連結される一方、トランスファケース19の前部左側は、変速機ケース2の一部に連結されている。以下、上記トランスファケース19の構造およびレイアウト等について説明する。
図3に詳しく示すように、上記トランスファケース19内には、上記ハイポイド・リングギヤ16,ハイポイド・ピニオンギヤ17及びトランスファ軸12の他、前輪車軸8の一部および上記巻掛け式動力伝達手段(チェーン15及び両スプロケット13,14)が収納されており、上記クラッチケース32は、複数のネジ部材33によりトランスファケース19の後端部に締結固定されている。
一方、該トランスファケース19の前左側端部では、その外周部が、変速機ケース2の一部(クラッチケース2Aの一部)を構成する前側差動装置7のケース体10(デフケース)の右側開口部の内周部に嵌合している。そして、該デフケース10とトランスファケース19との間は、シール部材20によって液密にシールされている。
【0029】
上記変速機ケース2内とトランスファケース19内とでは、異なる種類のオイルが用いられている。すなわち、変速機Tmに用いられるミッション・オイルの場合は、内部機構の摺動部分等に対する潤滑油としての機能以外に、例えばバルブスプール等の作動部品を駆動する油圧を生じさせる作動油としての機能が求められる関係上、粘度が比較的低いものが選ばれる。本実施の形態では、例えば、温度100℃での動粘度[mm2/s(cSt:センチストークス)]が6.0以上あるいは7.0以上程度で比較的粘度が低いものを用いた。
これに対して、上記トランスファケース19内では、高い耐荷重性が求められるハイポイドギヤ(ハイポイド・リングギヤ16とハイポイド・ピニオンギヤ17)の潤滑のために高粘度のオイルを使用する必要がある。本実施の形態では、例えば、温度100℃での動粘度[mm2/s(cSt)]が24.0以上のものを用いた。尚、トランスファケース19内には、専用の給油孔19a及び排油孔19bが設けられている。
【0030】
本実施の形態では、入力リングギヤ6が変速機ケース2内に配置される一方、上記巻掛け式動力伝達手段(チェーン15及び両スプロケット13,14)はトランスファケース19内に配置されており、該巻掛け式動力伝達手段には上記高粘度のオイルが潤滑油として適用されることになる。これにより、チェーン15の作動音がこの高粘度のオイルによって有効に減衰され、チェーン15の駆動に伴う騒音レベルは大幅に低減される。
【0031】
ところで、本実施の形態では、このチェーン15及び両スプロケット13,14は、前輪車軸8上において、変速機ケース2のエンジンEn側の端部(つまり、クラッチハウジング2AのエンジンEnに隣接した前輪車軸8側への張り出し部2Ae)よりもエンジンEn側に配置されている。
すなわち、上述のように、変速機2のクラッチハウジング2Aは、変速機TmがエンジンEnに直列配置された状態では、平面視においてエンジンEnの外形よりも所定量だけ車体後方側へ(前輪車軸8側へ)張り出しているが、入力リングギヤ6が、前輪車軸8上において、変速機ケース2のエンジンEn側の端部である、クラッチハウジング2AのエンジンEnに隣接した車体後方への(前輪車軸8側への)張り出し部2Aeよりも変速機Tm側に配置されており、一方、巻掛け式動力伝達手段(チェーン15及び両スプロケット13,14)は上記のようにエンジンEn側に配置されている。
【0032】
かかるレイアウトを採用したことにより、従来、入力リングギヤ及び巻掛け式動力伝達手段の両方が共に変速機側に配置されていた場合に比べて、前輪車軸8の全体としての長さを短くでき、該前輪車軸8と前輪駆動軸9との連結部(つまり自在継手11)の位置を車幅内方に設定することが可能になる。この結果、前輪駆動軸9の折れ角を小さくすることができる。
すなわち、図4を参照して説明すれば、図4において破線直線で示された状態(車輪駆動軸Swの折れ角がθ2の状態)から車軸Sdの長さを短くすると、図において2点鎖線直線で示されるように、車軸Sdと車輪駆動軸Swとの連結部は車幅内方へ(連結部J2から連結部J3へ)移動し、車輪駆動軸Swの車軸Sdに対する折れ角は小さくなる(θ3<θ2)。
【0033】
この結果、車両発進時等におけるトルク変動を極力小さくして所謂トルクステアーの発生を抑制し、発進時の走行性能を向上させることができる。
しかも、この場合において、巻掛け式動力伝達手段(チェーン15及び両スプロケット13,14)を、クラッチハウジング2Aのエンジン側の端部よりもエンジンEn側に配置したことにより、クラッチケース2AのエンジンEnに隣接した車体後方への(前輪車軸8側への)張り出し部2Aeを回避して配設することができ、スプロケット13,14の位置および径方向サイズについて高い設定自由度を得ることができるのである。
【0034】
尚、上記実施の形態は、手動変速式の変速機を備えた車両に適用した場合についてのものであったが、本発明は、かかる場合に限定されるものではなく、変速機が自動変速式の場合にでも、有効に適用することができる。
また、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良・変形あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る4輪駆動車の動力伝達装置の構成を概略的に表すスケルトン図である。
【図2】 上記4輪駆動車の動力伝達装置の側面説明図である。
【図3】 上記動力伝達装置のトランスファケースの内部構造を示す横断面説明図である。
【図4】 車輪駆動軸の折れ角を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…エンジン出力軸
2…変速機ケース
2A…クラッチハウジング
2Ae…クラッチハウジングの張り出し部
3…クラッチ装置(伝達装置)
4…変速機出力軸
6…入力リングギヤ
7…フロント側差動装置
8…前輪車軸(第1車軸)
9…前輪駆動軸
12…トランスファ軸
13…第1スプロケット
14…第2スプロケット
15…チェーン
16…前側ハイポイド・リングギヤ
17…前側ハイポイド・ピニオンギヤ
19…トランスファケース
23…後輪車軸(第2車軸)
En…エンジン
Tm…変速機
Claims (2)
- 出力軸を車幅方向に向けて配置される横置き式エンジンと、
該エンジンの出力軸に対して直列配置された変速装置と、
該変速装置の変速機構と上記エンジンとの間に配置され、該エンジンの動力を上記変速機構に伝達する伝達装置と、
上記変速装置の出力軸に対して並列配置され、該出力軸から入力リングギヤを介して駆動力を受け、該駆動力を車輪駆動軸に伝達する第1車軸と、
該第1車軸に対して並列配置され、上記変速装置の出力軸の動力を第2車軸側に伝達するためのトランスファ軸とを備え、
該トランスファ軸と上記第1車軸とをチェーン式の巻掛け式の動力伝達手段を介して連結するようにした4輪駆動車の動力伝達装置において、
上記第1車軸上において、上記伝達装置のケーシング部のエンジンに隣接した第1車軸側への張り出し部分を挟んで、変速装置側に上記入力リングギヤを配置する一方、エンジン側に上記巻掛け式動力伝達手段を配置し、
上記入力リングギヤを変速装置のケース内に配置する一方、上記巻掛け式動力伝達手段を、上記トランスファ軸に取り付けられた歯車およびその噛み合い部分が収納されるトランスファケース内に配置し、
上記変速装置のケース内と上記トランスファケース内とを液密にシールし、上記トランスファケース内に充填するオイルを、上記変速装置のケース内に充填するオイルに比して高粘度のものとした、
ことを特徴とする4輪駆動車の動力伝達装置。 - 上記第1車軸上で上記入力リングギヤの内周側に、左右の車輪間の差動装置が配設されていることを特徴とする請求項1記載の4輪駆動車の動力伝達装置。
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