JP3687221B2 - 4輪駆動車の動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体に横置き状態で搭載されたエンジンの駆動力を前輪および後輪にそれぞれ伝達する4輪駆動車の動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開昭61−60329号公報に示されるように、第1車軸と第2車軸とを有する自動車の変速機に差動装置または動力分配装置が設けられて、その出力部材に上記両車軸が接続され、これらの第1,第2車軸の間に液体摩擦クラッチ等からなる差動制限装置が設けられてなる自動車用駆動装置において、上記差動制限装置が独立の構造単位として構成され、その連結すべき両部分(連結部材)が、差動装置の両出力部材(中空歯車およびサンギア)のそれぞれ一つにより、増速平歯車伝動機を介して駆動されるように構成したものが知られている。
【0003】
上記構成によれば、液体摩擦クラッチが差動装置から離れた位置において、第1車軸と平行に設置された副軸上に設置されているので、必要に応じて上記液体摩擦クラッチを容易に交換することができるとともに、上記第1車軸から液体摩擦クラッチに入力される駆動力を小さくすることにより、この液体摩擦クラッチを小型化することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載された自動車用駆動装置では、差動装置のサンギア(太陽歯車)に入力された駆動力を、平歯車からなる一対の動力伝達機構によって上記副軸に伝達した後、傘歯車等からなる角伝動機構によってプロペラシャフト(カルダン軸)に入力するように構成されている。上記角伝動機構を車両用として使用する場合には、その静粛性の面からハイポイドギアが一般的に用いられるが、このハイポイドギアは歯面の滑りが大きいために効率がやや劣り、焼き付きを生じ易い傾向があるので、これを防止するようにハイポイドギア機構を構成するハイポイドリングギアと、ハイポイドピニオンとの間に、適当なオフセットおよび捩じり等を与える必要がある。
【0005】
このため、上記ハイポイドギア機構のギア比が略一定値に設定され、前輪と後輪との回転速度を一致させるために、上記一対の平歯車のギア比が上記差動装置の減速比に応じて一義的に決定されることになるので、上記液体摩擦クラッチ等からなる差動制限装置を差動装置から独立させて設置したにも拘らず、そのレイアウトの自由度が制限されて差動制限装置のユニット等、自動車用駆動装置を構成する各構成要素を選択する余地が狭いという問題がある。
【0006】
また、上記公報に記載された自動車用駆動装置では、角伝動機構を構成する上記ハイポイドリングギアが設置された軸上に、上記動力伝達機構を構成する平歯車と、上記液体摩擦クラッチからなる差動制限装置に駆動力を入力するピニオンが設置されているために上記軸の全長が長くなることが避けられず、上記ハイポイドリングギアからプロペラシャフトに駆動力を伝達する際の反力によって上記軸が撓み易く、上記ハイポイドリングギアの歯当りが変化し易いという問題がある。
【0007】
上記の問題点を直接的に解決するものではないが、特開昭58−12830号公報に示されるように、上記第1車軸と平行に一対の副軸をレイアウトしたものが知られている。この構成によれば、上記各構成要素のレイアウトの自由度を、ある程度増大させることが可能であるが、副軸上におけるハイポイドリングギアの設置位置を適切に考えないと、このハイポイドリングギアの歯当りについて対策を効果的に行うことはできない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、簡単な構成で動力伝達装置の各要素構成をレイアウトする際の自由度を増大させることができ、またプロペラシャフトに駆動力を伝達するハイポイドリングギアの歯当りについて対策を適切に行うことができる4輪駆動車の動力伝達装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、車体に横置き状態で搭載されたエンジンの出力軸に連結されたトランスミッションと、前輪または後輪のうちエンジンに近い位置に配設された第1車輪を駆動する第1車軸と、前輪または後輪のうちエンジンから離れた位置に配設された第2車輪を駆動する第2車軸と、上記第1車軸と平行に配置された第1,第2副軸と、上記トランスミッションから出力された駆動力の一部を第1副軸に伝達する一対の平歯車からなる第1の動力伝達機構と、上記第1副軸に入力された駆動力を第2副軸に伝達する一対の平歯車からなる第2の動力伝達機構とを備え、上記第2副軸に入力された駆動力を、車体の前後方向に伸びるプロペラシャフトを介して第2車輪側に伝達するハイポイドリングギアを第2副軸に設けるとともに、車幅方向において上記第1の動力伝達機構と第2の動力伝達機構との間に上記ハイポイドリングギアを配設したものである。
【0010】
上記構成によれば、エンジンからトランスミッションから出力された駆動力の一部が第1の動力伝達機構を介して第1副軸に入力された後、この第1副軸から第2の動力伝達機構を介して第2副軸に入力されるとともに、上記第1の動力伝達機構と第2の動力伝達機構との間に配設されたハイポイドリングギアを介して第2車軸側に上記駆動力が伝達されることになる。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の4輪駆動車の動力伝達装置において、第2副軸のハイポイドリングギアの設置部側を支持する軸受部材を、第1の動力伝達機構と、第2の動力伝達機構との間に配設したものである。
【0012】
上記構成によれば、ハイポイドリングギアが設置された上記第2副軸の全長が短くなり、上記ハイポイドリングギアの設置部の近傍において上記第2副軸が軸受部材によって支持されるため、上記ハイポイドリングギアからプロペラシャフトに駆動力を伝達する際の反力によって上記第2副軸が撓むことが効果的に抑制されることになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明に係る4輪駆動車の動力伝達装置の実施形態を示している。この4輪駆動車の車体前部には、エンジン1と、その一側端部に連結されたトランスミッションケース2a内に設けられたトランスミッション2と、トランスファ装置3とが搭載されている。
【0014】
上記エンジン1は、車体に横置き状態で搭載されてその出力軸4が車幅方向に伸びるように設置されている。また、トランスミッション2は、クラッチ5からなる駆動力伝達手段を介して上記エンジン1の出力軸4に連結される入力軸6と、これに平行な出力軸7とが車幅方向に伸びるように配設されている。そして、上記トランスミッション2の入力軸6と出力軸7との間には、選択的に動力伝達状態となる1〜5速用および後退速用の変速ギア列8が設けられ、かつ上記出力軸7の上記クラッチ5側の端部には、このトランスミッション2からトランスファ装置3側に駆動力を伝達する出力ギア9が設けられている。
【0015】
上記トランスファ装置3は、トランスミッション2から入力される駆動力を分割し、左右の第1車軸10,11を介してエンジン1に近接した位置に配設された左前輪12および右前輪13からなる第1車輪を駆動するとともに、車体前後方向に伸びるプロペラシャフト14、リヤデフ(第2車輪間差動装置)15から左右の第2車軸16,17を介してエンジン1から離れた位置に配設された左後輪18および右後輪19からなる第2車輪を駆動するように構成されている。
【0016】
すなわち、上記トランスファ装置3は、図2および図3に示すように、上記第1車軸10,11の軸線上に配設された遊星歯車機構からなるセンタデフ(車軸間差動装置)20と、傘歯車機構からなるフロントデフ(第1車輪間差動装置)30と、上記第1車軸10,11と平行に設置された第1,第2副軸51,52とを有し、この第1副軸51上にビスカスカップリング40からなる差動制限装置が配設されている。
【0017】
上記ビスカスカップリング40は、シリコンオイル等からなる粘性流体の剪断抵抗を利用して駆動力を伝達する一種の粘性クラッチであり、上記第1副軸51のエンジン1側の端部にスプライン結合等の手段で固定されたインナケース41と、上記第1副軸51に回転自在に支持されるとともに、上記第1車軸11に連結されたアウタケース42とが一体になって回転しつつ、その間に生じた回転差に応じて粘性流体が掻き回されて剪断力が発生するように構成されている。これにより、前輪12,13のスリップ等に応じて上記アウタケース42が速く回転した場合に、前輪12,13と後輪18,19との回転差に応じた駆動力を後輪18,19側に自動的に分配し、コーナリング時等に前輪12,13と、後輪18,19との回転差(差動)を、ある程度許容してブレーキング現象の発生を抑制しつつ、過大な差動動作を抑制して走行安定性を確保するようになっている。
【0018】
なお、上記粘性流体の剪断抵抗を利用したビスカスカップリング40に代え、流体を圧縮する際に発生する静圧を利用して後輪18,19側に駆動力を伝達するロータリブレードカップリング等によって上記差動制限装置を構成してもよい。このロータリブレードカップリングは、圧力発生部と、トルク伝達部とで構成され、上記圧力発生部では、前後輪に回転差が生じるとシャフトに結合されたトリブレードがハウジングに対して相対回転し、高粘度のシリコンオイルを流動させるようになっている。
【0019】
上記センタデフ20は、センタデフケース29からなるデファレンシャルケースと、その内周部に一体に形成されたリングギア21と、このリングギア21の内側に配設されて、これに噛み合う複数の第1ピニオン22と、この第1ピニオン22にそれぞれ噛み合う複数の第2ピニオン23と、ピニオンシャフト24,25を介して上記第1,第2ピニオン22,23をそれぞれ支持するピニオンキャリア26と、上記第2ピニオン23に噛み合うサンギア27とによって構成されたダブルピニオン型遊星歯車機構からなっている。
【0020】
また、上記センタデフ20のセンタデフケース29は、エンジン1とトランスミッション2と間に配設されたクラッチ5を収容するクラッチハウジング5aのトランスミッション2側に生じる空間部に沿って設置されている(図1参照)。そして、上記センタデフケース29の外周部にボルト止め等により一体に取り付けられた入力ギア28が、上記トランスミッション2に設けられた出力軸7のクラッチ5側の端部に設けられた上記出力ギア9に噛合され、トランスミッション2からの駆動力が出力ギア9および入力ギア28を介してセンタデフ20のリングギア21に入力されるようになっている。
【0021】
上記フロントデフ30は、センタデフ20の一方の出力要素であるピニオンキャリア26と一体に形成されたフロントデフケース31と、このフロントデフケース31内において上記第1車軸10,11の軸線に直交する方向に設置されたピニオンシャフト32と、このピニオンシャフト32に回転自在に支持された傘歯車からなる一対のピニオン33,34と、両ピニオン33,34に噛み合う傘歯車からなる左右一対のサイドギア35,36とによって構成され、この両サイドギア35,36に左右の第1車軸10,11の端部がそれぞれ一体に結合されている。
【0022】
そして、上記フロントデフ30は、上記センタデフ20と同一軸線上、つまり上記第1車軸10,11上において上記センタデフケース29内に設置されるとともに、上記センタデフ20のトランスミッション2側に配設されている。また、上記センタデフ20の一方の出力要素であるサンギア27には、エンジン1の設置部側に伸びる筒軸53が一体に形成されるとともに、この筒軸53の延長端には、第1の動力伝達機構54を構成する平歯車54aが一体に形成されている。
【0023】
上記第1副軸51の中間部には、上記平歯車54aに噛合する平歯車54bが一体に形成され、あるいはスプライン結合等の手段で一体に結合されている。また、上記第1副軸51のトランスミッション2側部には、第2の動力伝達機構55を構成する平歯車55aが一体に設けられ、この平歯車55aが上記第2副軸52のトランスミッション2側部に一体に設けられた平歯車55bに噛合されている。
【0024】
また、上記第2副軸52のエンジン1側部には、スプライン結合等の手段でハイポイドリングギア56aが一体に取り付けられ、このハイポイドリングギア56aが、車体の前後方向に設置された出力軸58の一端に固着されたハイポイドピニオン56bに噛合され、上記ハイポイドリングギア56aおよびハイポイドピニオン56bによって第3の動力伝達機構56が形成されている。そして、上記出力軸58が、図1に示すように、プロペラシャフト14に連結されることにより、上記出力軸58に入力された駆動力が後輪18,19側に出力されるようになっている。
【0025】
上記第2副軸52の左右両端部は、軸受部材57a,57bによって支持されている。そして、上記ハイポイドリングギア56aの設置部側において第2副軸52を支持する軸受部材、つまり第2副軸52のエンジン1側の端部に位置する軸受部材57bは、上記第1の動力伝達機構54を構成する平歯車54bと、第2の動力伝達機構55を構成する平歯車55aとの間に配設されることにより、上記軸受部材57bは、車幅方向において上記平歯車54bのトランスミッション2側に配設されている。
【0026】
また、右前輪13用の第1車軸11には、上記ビスカスカップリング40のアウタケース42に駆動力を出力する出力ギア61が固着され、この出力ギア61が上記アウタケース42と一体に設けられた入力ギア62に噛合されることにより、上記第1車軸11の駆動力に応じてビスカスカップリング40のアウタケース42が回転駆動されるようになっている。
【0027】
上記第1副軸51の軸心は、図4に示すように、上記第1車軸51の軸心よりも車体の上方側に配設されている。また、上記第2副軸52の軸心は、第1車軸51の軸心よりも下方側に配設されている。
【0028】
上記構成において、エンジン1からクラッチ5およびトランスミッション2を介して出力される駆動力は、このトランスミッション2の出力ギア9から上記入力ギア28を介してトランスファ装置3におけるセンタデフ20のリングギア21に入力され、このセンタデフ20においてサンギア27およびピニオンギア26からなる各出力要素に分割されて伝達される。
【0029】
そして、上記サンギア27側に伝達された駆動力は、上記筒軸53を介して第1の動力伝達機構54、第2の動力伝達機構55、第3の動力伝達機構56、出力軸58およびプロペラシャフト14を介してリヤデフ15に入力され、このリヤデフ15においてさらに左右に分割された後、左右の第2車軸16,17を介して左右の後輪18,19を駆動することになる。なお、上記第1の動力伝達機構54の平歯車54aに入力された駆動力は、上記第1副軸51を介してビスカスカップリング40のインナケース41に伝達される。
【0030】
また、上記ピニオンキャリア26側に伝達された駆動力は、フロントデフ30のフロントデフケース31に入力されるとともに、このフロントデフ30において、さらに左右に分割されされた後、左右の第1車軸10,11を介して左右の前輪12,13を駆動する。このようにして左右の前輪12,13および左右の後輪18,19が駆動されることにより、上記車両が4輪駆動状態となる。なお、上記第1車軸11に入力された駆動力は、上記出力ギア61および入力ギア62を介してビスカスカップリング40のアウタケース42に伝達される。
【0031】
そして、コーナリング時等には、上記第1車軸11および第1副軸51の間に介設された上記ビスカスカップリング40の差動動作により、ブレーキング現象の発生が抑制され、かつ、上記ビスカスカップリング40の動力伝達作用により、センタデフ20の差動動作が制限され、コーナリング時等における走行安定性が確保されることになる。
【0032】
上記のように前輪12,13用の第1車軸11と平行に第1,第2副軸51,52を設置するとともに、後輪18,19への出力要素であるセンタデフ20のサンギア27に連結された筒軸53と、第1副軸51とを第1の動力伝達機構54によって互いに連動させるとともに、上記第1副軸51と、上記第2副軸52とを第2の動力伝達機構55によって互いに連動させ、かつ上記プロペラシャフト14に駆動力を伝達する第3の動力伝達機構56を構成するハイポイドリングギア56aを第2副軸52に設け、このハイポイドリングギア56aから上記プロペラシャフト14等を介して後輪18,19側に駆動力を伝達するように構成したため、上記第1,第2の動力伝達機構54,55のギア比を適宜選択することにより、下記のようにレイアウトの自由度を増大させることができる。
【0033】
すなわち、上記センタデフ20からなる車軸間差動装置の減速度に対応させて、上記平歯車54a,54bからなる第1の動力伝達機構54のギア比と、上記平歯車55a,55bからなる第2の動力伝達機構55のギア比とを、それぞれ適宜の値に変化させることにより、前輪12,13と後輪18,19との回転速度を同一に設定しつつ、上記第1車軸11と第1副軸51との間の間隔およびこの第1副軸51と第2副軸52との間隔を任意に設定することができるとともに、上記ビスカスカップリング40に入力される駆動力を任意に変化させることができる。したがって、例えば上記第1車軸11と第1副軸51との間に配設される上記ビスカスカップリング40として種々の外形および容量を有するユニットを使用することができ、上記ビスカスカップリング40等からなる動力伝達装置の各構成要素を選択する際の自由度を増大させることができる。
【0034】
また、図4に示すように、上記第1副軸51を第1車軸11の上方に配設するとともに、第2副軸52の第1車軸11の下方に配設することにより、熱による悪影響を受け易い上記ビスカスカップリング40を、車体の床部下方に配設された排気管63および排気浄化装置64から離してこの排気浄化装置64等の熱害から上記ビスカスカップリング40を保護することができる。また、上記第2副軸52に設けらたれハイポイドリングギア56aに、上記ハイポイドピニオン56bおよび出力軸58を介して連結されるプロペラシャフト14を、車体の下方側に配設して車体重量を下方に位置させることができるとともに、上記プロペラシャフト14を収容するトンネル部が車室内に大きく突出するのを防止することができる。
【0035】
そして、上記のように車幅方向において、上記第1の動力伝達機構54を構成する平歯車54bと、第2の動力伝達機構55を構成する平歯車55aとの間に、上記第3の動力伝達要素56を構成するハイポイドリングギア56aを配設したため、上記両平歯車54b,55aの間に形成されたスペースを利用してハイポイドリングギア56aを設置することができるとともに、上記第2副軸52の全長を短くすることができる。したがって、上記第2副軸52の撓み変形を抑制してプロペラシャフト14に駆動力を伝達するハイポイドリングギア56aの歯当りが変化するのを効果的に防止することができる。
【0036】
しかも、車体の前後方向に伸びる中心線に沿って設置される上記出力軸58上のハイポイドピニオン56bに噛合する上記ハイポイドリングギア56aの車幅方向の両側方に上記平歯車54b,55aが配設されているため、この平歯車54b,55aに入力される駆動力が車種に応じて変化する場合等に、これらの歯車が配設されるトランスファケースの形状を変化させることなく、上記駆動力に対応させて平歯車54b,55aの歯厚を容易に変化させることができる。
【0037】
また、上記実施形態では、第2副軸52のハイポイドリングギア56aの設置部側を支持する軸受部材57bを、上記第1の動力伝達機構54と、第2の動力伝達機構55との間に配設して上記平歯車54bのトランスミッション2側に位置させたため、上記第2副軸52の全長を極力小さくして、その撓み変形をさらに効果的に抑制することができる。
【0038】
すなわち、図5に示すように、第2副軸52のエンジン1側に位置する軸受部材57bを、上記第1の動力伝達機構54を構成する平歯車54bのエンジン1側に配設することもできるが、このように構成した場合には、上記平歯車54bの歯厚に相当する分だけ上記第2副軸52の全長が大きくなるため、上記ハイポイドリングギア56aからプロペラシャフト14に駆動力を伝達する際の反力によって上記第2副軸52が撓み易く、上記ハイポイドリングギア56aの歯当りが変化し易い傾向がある。したがって、上記のように第2副軸52のハイポイドリングギア56aの設置部側を支持する軸受部材57bを、上記第1の動力伝達機構54と、第2の動力伝達機構55との間に配設した構成を採用することが望ましい。
【0039】
さらに、上記実施形態に示すように、クラッチ5からなる駆動力伝達手段を収容するクラッチハウジング5aのトランスミッション2側に、センタデフ20およびフロントデフ30が配設されたセンタデフケース29からなるデファレンシャルケースを配設するとともに、上記クラッチハウジング5aのエンジン1側に、上記第1の動力伝達機構54の平歯車54aおよびビスカスカップリング40の入力ギア61を配設した場合には、上記クラッチハウジング5aのトランスミッション2側に形成される空間部に上記センタデフケース29を配設することができるとともに、大きな外形を有する上記クラッチハウジング5aを避けて上記第1の動力伝達機構54を構成する平歯車54aおよび入力ギア61を設置することができる。したがって、比較的大きな外形を有する上記遊星歯車機構によってセンタデフ20を構成したにも拘らず、このセンタデフ20をエンジン1の設置部側に近付けることより、車体の前後方向に対する装置の全体寸法をコンパクト化することができる。
【0040】
また、上記第1車軸11と第1副軸51との差動を制限するビスカスカップリング40からなる差動制限装置を、上記第1副軸51上に設けたため、ビスカスカップリング40を第1車軸11上に配設した場合のように、ビスカスカップリング40がエンジン1に干渉する虞はなく、この点においてもレイアウトの自由度を増大させることができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、上記センタデフケース29内に収容されたセンタデフ20と、上記ビスカスカップリング40からなる差動制限装置とを第1車軸11上に配設した例について説明したが、この差動制限装置をプロペラシャフト14上に設置し、かつ上記センタデフを省略した構造としてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、エンジン1の一側端部にクラッチ5からなる駆動力伝達手段が配設されてなる手動変速タイプのトランスミッション2を備えた4輪駆動車に本発明を適用した例について説明したが、上記クラッチ5に変えてトルクコンバータが配設されてなる自動変速タイプのトランスミッションを備えた4輪駆動車についても本発明を適用可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、第1車軸と平行な第1,第2副軸を設けるとともに、トランスミッションから出力された駆動力の一部を第1副軸に伝達する一対の平歯車からなる第1の動力伝達機構と、上記第1副軸に入力された駆動力を上記第2副軸に伝達する一対の平歯車からなる第2の動力伝達機構を設け、かつ上記第2副軸に入力された駆動力を上記第2車輪側に伝達するハイポイドリングギアを、車幅方向において上記第1の動力伝達機構と第2の動力伝達機構との間に配設したため、上記一対の平歯車からなる第1、第2の動力伝達機構のギア比を、それぞれ適宜の値に変化させることにより、前輪と後輪との回転速度を同一に設定しつつ、上記第1車軸、第1副軸および第2副軸の間隔をそれぞれ任意に設定することができるとともに、これらの歯車が配設されるトランスファケースの形状を変化させることなく、上記駆動力に対応させて平歯車の歯厚を変化させることができ、かつ上記第2車軸の撓み変形を抑制できる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る4輪駆動車の動力伝達装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】上記動力伝達装置の要部の構成を示す説明図である。
【図3】上記動力伝達装置の要部の構成を示す平面断面図である。
【図4】上記動力伝達装置の要部の構成を示す側面断面図である。
【図5】本発明に係る4輪駆動車の動力伝達装置の別の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 トランスミッション
10,11 第1車軸
12,13 前輪(第1車輪)
14 プロペラシャフト
16,17 第2車軸
18,19 後輪(第2車輪)
51 第1副軸
52 第2副軸
54 第1の動力伝達機構
54a,54a,55a,55b 平歯車
55 第2の動力伝達機構
56a ハイポイドリングギア
57a 軸受部材
Claims (2)
- 車体に横置き状態で搭載されたエンジンの出力軸に連結されたトランスミッションと、前輪または後輪のうちエンジンに近い位置に配設された第1車輪を駆動する第1車軸と、前輪または後輪のうちエンジンから離れた位置に配設された第2車輪を駆動する第2車軸と、上記第1車軸と平行に配置された第1,第2副軸と、上記トランスミッションから出力された駆動力の一部を第1副軸に伝達する一対の平歯車からなる第1の動力伝達機構と、上記第1副軸に入力された駆動力を第2副軸に伝達する一対の平歯車からなる第2の動力伝達機構とを備え、上記第2副軸に入力された駆動力を、車体の前後方向に伸びるプロペラシャフトを介して第2車輪側に伝達するハイポイドリングギアを第2副軸に設けるとともに、車幅方向において上記第1の動力伝達機構と第2の動力伝達機構との間に上記ハイポイドリングギアを配設したことを特徴とする4輪駆動車の動力伝達装置。
- 第2副軸のハイポイドリングギアの設置部側を支持する軸受部材を、第1の動力伝達機構と、第2の動力伝達機構との間に配設したことを特徴とする請求項1記載の4輪駆動車の動力伝達装置。
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JP25976296A Expired - Fee Related JP3687221B2 (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 4輪駆動車の動力伝達装置 |
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1996
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Publication number | Publication date |
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JPH10100706A (ja) | 1998-04-21 |
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