JP3940921B2 - 予備緊張装置を持つ安全ベルト巻取り器 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、特に自動車において使用するための安全ベルト巻取り器であって、車両及び/又はベルトに感応して制御される拘束装置、及びベルト軸へ作用する緊張装置を有し、ベルト軸が、緊張装置用駆動装置としての電動機により中間接続される伝動装置を介して駆動される従動歯車に連結可能であり、伝動装置が、巻取り方向へのベルト軸の逆回転により乗客の予備緊張を行うための少なくとも1つの切換え位置を持っているものに関する。
【0002】
前記の特徴を持つ安全ベルト巻取り器は、欧州特許出願公開第0893313号明細書から公知である。ベルト巻取り器のベルト軸には、ベルト巻戻し方向及びベルト巻取り方向に回転可能な電動機が連結可能であり、電動機により、中間接続される伝動装置を介して、特定の走行状態に関係して調整可能なトルクが、ベルト軸へ作用可能である。伝動装置の所定の切換え位置で、ベルトを緊張させるため電動機により供給されるトルクが、ベルト軸へ伝達される。このような緊張に関して、公知の安全ベルト巻取り器では、いわゆる予備緊張と動力緊張とに区別される。いわゆる予備緊張の範囲内では、速度変化の生じる際、又は事故の場合動力緊張の開始にとって決定的な開始閾値より下の減速度値の発生の際、ベルトを着用している乗客は、電動機の減少したトルクで、その正常のすわり位置へ引張られ、ベルト弛みが安全ベルトから取られる。速度変化がなくなると、予備緊張が終了され、引続く適当な走行状態が生じると、可逆過程として、予備緊張が開始されるので、ベルトを着用している乗客に、確実に安全であるとの感じが与えられる。事故の際動力緊張のための開始閾値を上回ると、電動機が適当に大きいトルクで動作する。
【0003】
安全ベルトの予備緊張に関連して、予備緊張を介してすべての弛みが安全ベルト装置から取られ、安全ベルトが着用している人間の体にきつく接することによって、安全ベルトの自動拘束の不利な状態が生じることがあり、走行状態に応じて、予備緊張過程の終わりに、ベルトを着用している乗客の体の僅かな前方移動を介してベルト巻取り器側の拘束装置のラチエット円板がハウジング部分と動力を伝達するように係合するのを防止できた。ラチエット円板のこの阻止位置で、ラチエット円板をその動力伝達位置から外すため、ベルト引込み方向へのベルト軸の逆回転が必要な場合、可逆予備緊張の終了後にも、予備緊張の際より少し大きい力で付加的な再緊張を不利に行わねばならず、それにより装置の望ましくない荷重又は乗客の支持の快適さの減少が生じる。
【0004】
従って本発明の基礎になっている課題は、最初にあげた特徴を持つ安全ベルト巻取り器において、拘束装置の早期の反応を回避し、それにより自動拘束をなくすことである。
【0005】
この課題の解決策は、発明の有利な構成及び展開を含めてこの発明の詳細な説明の前に置かれている特許請求の範囲の内容から明らかになる。
【0006】
本発明は、その基本思想において、電動機とベルトとの間の力伝達経路に、ベルト引込み方向及びベルト引出し方向への従動歯車の回転中に制御されかつ緊張過程中にのみ作用するベルト軸用予備鎖錠装置が挿入され、ベルト引出し方向にベルト軸へ作用する所定の荷重を上回る際、ベルト軸に対する予備鎖錠装置の鎖錠が解除されることを意図する。従って本発明は、予備緊張過程中に予備鎖錠装置が永続的に接続されているという原理に基いているので、予備緊張過程中又はそれにすぐ続いて、ベルト軸が予備鎖錠装置を介してベルト引出し方向に阻止されているので、ベルトに引張りが加わる際、さし当たって拘束装置のラチエット円板が反応することはない。それから予備緊張過程の終わりに、ベルト引出し方向にベルトの荷重が生じないと、予備鎖錠装置が動作停止せしめられ、予備緊張されたベルト装置が、電動機を介して従動歯車の僅かな回転により、ベルト引出し方向に荷重を除かれるので、正常の巻取り動作が再び行われ、特に車両及び/又はベルトに感応して制御される拘束機構が動作準備状態にされる。
【0007】
予備鎖錠装置の作用中に重大な事故が生じ、ベルト引出し方向への引続く回転に抗してベルト軸の拘束によりベルト巻取り器側拘束装置の始動が必要になる場合、従動歯車とベルト軸との間の継手の適当な構成により、予備鎖錠装置の作用が解除されるので、ベルト引出し方向へのベルト軸の回転により、ベルト巻取り器のハウジングに荷重を伝達するようにラチエット円板を制御することができる。
【0008】
本発明の実施例によれば、予備鎖錠装置が、外歯従動歯車と常にかみ合って駆動装置により駆動される伝動装置部分を持ちかつ非可逆的に構成される伝動装置によって形成されており、非可逆伝動装置用の駆動装置が、従動歯車にかみ合う伝動装置部分を、従動歯車の回転に同期して運動させる。従動歯車に作用する伝動装置を非可逆伝動装置として構成することは、伝動装置部分に付属する駆動装置によるこの伝動装置部分の能動的な回転運動の場合にのみ、従動歯車の回転が可能であり、従って伝動装置部分の停止の際従動歯車がその回転運動を阻止されることを意味する。こうして緊張過程中及び特にその終了の際に、伝動装置部分が能動的になり、従動歯車の回転方向に同期して緊張方向に回転せしめられるか、又は非可逆伝動装置用駆動装置が予備緊張の終わりに動作停止される場合、緊張装置用伝動装置従ってこれに連結されるベルト軸がが、ベルト引出し方向に回転しないように拘束されるので、電動機とベルト軸との間に設けられる伝動装置におけるいかなる運動遊びもなしに、予備鎖錠が有効になる。予備緊張の終了後、従動歯車及び伝動装置部分は、ベルト引出し方向に僅かな回転角だけ逆回転するので、予備緊張により予荷重をかけられるベルト装置は穏やかに荷重を除かれ、ベルト軸と従動歯車との間に挿入される継手が再び外される。その点で本発明の実施例によれば、駆動装置が、従動歯車の両方の回転方向における伝動装置部分の回転のために設けられている。
【0009】
予備鎖錠装置のこれに関する構成に伴う利点は、いわゆる動力緊張を行うため電動機とベルト軸との間に非可逆伝動装置を設けるにもかかわらず、駆動の場合にのみ駆動される伝動装置部分を介して本発明による非可逆動作を行うため、非可逆伝動装置の効率は50%以上に改善される。従動歯車の回転と同じ向きをとる伝動装置部分の回転方向のため、伝動装置全体に、摩擦による付加的な損失は生じない。緊張装置用駆動装置として作用する電動機と従動歯車との間に、更に増速伝動装置が設けられている場合、非可逆伝動装置の伝動装置部分が本発明により従動歯車に作用する際、ベルト引出し方向にベルト軸へ荷重がかかる場合に、保持力は従動歯車まで受け止められさえすればよいので、従動歯車と電動機との間にある伝動装置段の頑丈な構成は必要でない。
【0010】
本発明の実施例によれば、伝動装置部分を駆動するために、別個の電動機が設けられている。これに伴う利点は、それぞれの回転方向における伝動装置部分の回転運動用駆動装置が、従動歯車の回転のための緊張装置用駆動装置としての電動機を援助するように作用するので、電動機を適当に小さい出力で設計できることである。
【0011】
その代わりに、伝動装置部分が、緊張装置用駆動装置を形成する電動機に連結されているようにすることができ、この場合非可逆伝動装置の高い効率が積極的に得られる。
【0012】
本発明の好ましい実施例によれば、駆動される伝動装置部分が、非可逆的に構成されて従動歯車のウオーム歯とかみ合うウオームから成っている。
【0013】
その代わりに、駆動される伝動装置部分が、従動歯車のウオーム歯とかみ合いかつ相手歯を設けることにより非可逆的に構成される平歯車から成っているようにすることができる。
【0014】
緊張過程中にベルト引出し方向にベルト軸へ荷重をかける事故が生じると、本発明の実施例によれば、従動歯車とベルト軸との間の継手が、ベルト引出し方向に作用する所定の荷重の発生の際、従動歯車を介してベルト軸へ作用する予備鎖錠を解除するために設けられている。従って継手の切離し後、生じる力をベルト巻取り器のハウジングへ導入するためのベルト巻取り器側拘束装置が作用する。本発明の別の実施例では、継手が摩擦継手として構成されるか、又は剥離継手として構成されているようにすることができる。
【0015】
別の実施例では、従動歯車とベルト軸との間の継手が、外部信号による制御の際、従動歯車を介してベルト軸へ作用する予備鎖錠を解除するために設けられているようにすることができ、その点でエアバッグ電子装置から与えられる信号に基く連結作用の解除も考えられる。なぜならば、エアバック電子装置の範囲内で、事故の際生じる条件が確認され、その点で事故の発生の際作用する自動車の安全装置が始動されるからである。それからこの信号は、場合によってはベルト軸に適当な荷重が生じる前に、緊張装置又は従動歯車とベルト軸との間の連結作用の解除のために利用されることができる。
【0016】
図面には本発明の実施例が示されており、以下に説明される。
【0017】
図1からわかる安全ベルト巻取り器10は、U字状ハウジング11を持ち、このハウジングのU脚辺内にベルト軸12が公知のように支持されている。ベルト軸12は、ばね箱13内に設けられた巻取りばねの作用を受けており、安全ベルトの取外しの際ベルト軸12からの図示しないベルトの戻し後、巻取りばねがベルト軸12上へのベルトの再巻取りを行う。図1には図示してないが、ばね箱13の取付け部とは反対側のハウジング11にある装置側に、詳細には示してないが、公知のベルト巻取り器の拘束装置が設けられて、ベルト又は車両に感応して作用する制御装置によりその動作を制御されることができる。
【0018】
ハウジング11の図1において見える側に、ばね箱13に加えて、符号14により力制限装置が示され、巻取り器側拘束装置及びそれにより拘束されるベルト軸12の反応後、ベルトを着用した乗客の体に作用する荷重の制限を行う。このような力制限装置は従来技術において公知であり、本発明の対象ではない。
【0019】
更にベルト巻取り器ハウジング11の前述した側に、緊張装置用駆動装置としての電動機16が付属する予備緊張装置ハウジング15が示されている。
【0020】
これに加えて図2からわかるように、電動機16の出力軸は、伝動装置17を介して、詳細には図示してない外歯、この場合ウオーム歯を備えている従動歯車18に作用する。従動歯車18は、継手を介してベルト軸12に連結可能であり、この継手のうち、摩擦継手として構成される継手の構成部分としての歯付き掛け金19が示されている。
【0021】
予備緊張装置の作動中に作用する予備拘束装置は、従動歯車18のウオーム歯に常にかみ合う非可逆ウオーム20により形成され、図示した実施例では、ウオーム20は別個の駆動電動機21により、従動歯車18の両方の回転方向に回転可能である。図示してないが、付加的な伝動装置を介してウオーム20を電動機16に連結することも考えられるので、この場合もウオーム20は従動歯車18のそれぞれの回転方向に回転する。
【0022】
適当な走行状態においてベルト巻取り器10の予備緊張が起こると、緊張装置用駆動装置としての電動機16が動作し、中間接続される伝動装置17を介して、従動歯車18を矢印22で示すベルト引込み方向(反時計方向)へ回転させる。同時に電動機21が、ウオーム20を従動歯車18の回転と同じ向きの回転方向へ回転させるので、電動機16の駆動出力の援助が行われる。動力緊張が起こらないか、又は事故の場合従動歯車18とベルト軸12との間の継手結合の解除が行われることなく、予備緊張が終了すると、緊張装置用駆動装置(電動機16)及びウオーム駆動装置(電動機21)が動作停止せしめられる。この状態で、ベルト引出し方向へのベルト引張り力が、ベルト軸12を回転させることはない。なぜならば、従動歯車18従ってこの従歯車18に連結されるベルト軸12が、非可逆ウオーム伝動装置20,21を介して拘束されているからである。ベルトを着用している乗客は、この段階で伝動装置20,21の非可逆性により保持され、ベルト軸12の逆回転に伴う拘束装置の反応によるベルト巻取り器10の自動拘束が回避される。
【0023】
予備緊張の終了後、電動機16を介して、ベルト引出し方向(矢印22とは逆の時計方向)への従動歯車18の逆回転が行われ、その際電動機21は、ウオーム20用の駆動電動機として、このウオームを従動歯車18と同じ回転方向へ同じ回転角で回転させる。予備緊張により予荷重をかけられたベルト装置は、駆動装置の逆回転により穏やかに荷重を除かれ、それにより従動歯車18とベルト軸12との間に設けられた継手が制御される。即ち非可逆ベルト巻取り器の機能が保証される。
【0024】
緊張過程中に事故が起こり、従って車両又はベルトに感応する制御装置を介して、適当に設けられるラチエット部材の制御によりベルト軸12の拘束が開始されると、ベルト軸12と従動歯車18との間の連結が解除される。継手が摩擦継手として構成されていると、生じる力の状態を介して分離が行われる。その代わりにいわゆる剥離継手を設けることができる。
【0025】
外部信号に基いて継手の能動的な分離を行い、このため継手を適当に設けることも可能であり、この外部信号をいわゆるエアバッグ電子装置から得ることもでき、このエアバッグ電子装置は、ベルト軸12に作用する荷重の生じる前に事故を検出し、安全装置の始動を行い、従ってその信号は、緊張装置用駆動装置からのベルト軸12の前もっての分離のためにも利用可能である。
【0026】
発明の詳細な説明、特許請求の範囲、要約及び図面に開示されたこの種類の対象の特徴は、個々でもその任意の組合わせでも、種々の実施形態で発明を実現するために重要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 予備緊張装置を持つ安全ベルト巻取り器を全体図で示す。
【図2】 図1による安全ベルト巻取り器を、予備緊張装置及び予備鎖錠装置を持つ緊張装置側の側面図で示す。

Claims (11)

  1. 動車において使用するための安全ベルト巻取り器(10)であって、車両又はベルトに感応して制御される拘束装置、及びベルト軸(12)へ作用する緊張装置を有し、ベルト軸(12)が、緊張装置用駆動装置としての電動機(16)により中間接続される伝動装置(17)を介して駆動される従動歯車(18)に連結可能であり、伝動装置(17)が、巻取り方向へのベルト軸(12)の逆回転により乗客の予備緊張を行うための少なくとも1つの切換え位置を持っているものにおいて、電動機(16)とベルト軸(12)との間の力伝達経路に、ベルト引込み方向及びベルト引出し方向への従動歯車(18)の回転中に制御されかつベルト引込みを行う緊張過程中にのみ作用するベルト軸(2)用予備鎖錠装置(20,21)が挿入され、ベルト引出し方向にベルト軸(12)へ作用する所定の荷重を上回る際、ベルト軸(12)に対する予備鎖錠装置(20,21)の鎖錠が解除されることを特徴とする、安全ベルト巻取り器。
  2. 予備鎖錠装置が、外歯従動歯車(18)と常にかみ合って駆動装置(16,21)により駆動される伝動装置部分(20)を持ちかつ非可逆的に構成される伝動装置によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の安全ベルト巻取り器。
  3. 駆動装置(16,21)が、従動歯車(18)の両方の回転方向における伝動装置部分(20)の回転のために設けられていること特徴とする、請求項2に記載の安全ベルト巻取り器。
  4. 伝動装置部分(20)を駆動するために、別個の電動機(21)が設けられていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の安全ベルト。
  5. 伝動装置部分(20)が、緊張装置用駆動装置を形成する電動機(16)に連結されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の安全ベルト巻取り器。
  6. 駆動される伝動装置部分が、非可逆的に構成されて従動歯車(18)のウオーム歯とかみ合うウオーム(20)から成っていることを特徴とする、請求項2〜5の1つの記載の安全ベルト巻取り器。
  7. 駆動される伝動装置部分が、従動歯車(18)のウオーム歯とかみ合いかつ相手歯を設けることにより非可逆的に構成される平歯車から成っていることを特徴とする、請求項2〜5の1つに記載の安全ベルト巻取り器。
  8. 従動歯車(18)とベルト軸(12)との間の継手が、ベルト引出し方向に作用する所定の荷重の発生の際、従動歯車(18)を介してベルト軸(12)へ作用する予備鎖錠を解除するために設けられていることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の安全ベルト巻取り器。
  9. 継手が摩擦継手として構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の安全ベルト巻取り器。
  10. 継手が剥離継手として構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の安全ベルト巻取り器。
  11. 従動歯車(18)とベルト軸(12)との間の継手が、外部信号による制御の際、従動歯車(18)を介してベルト軸(12)へ作用する予備鎖錠を解除するために設けられていることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の安全ベルト巻取り器。
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