JP3940511B2 - 建物ユニットの床構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は建物ユニットの床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配管等の設備用部材の設置スペースを確保可能とする建物ユニットの床構造として、特開平5-295798号公報に記載の如く、凸字形状の根太を用い、根太の両端部を両側の床大梁に掛け渡し、根太の中高状中間部の上に床面材を載置したものがある。これにより、床大梁と床面材との間に、設備用スペースとなる隙間を形成し、この設備用スペースを通じて相隣る他の建物ユニットとの間で配管部位を接続可能とするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、従来技術では、床面材を床大梁より上方に設置するために、根太を凸字形状とする必要があり、構成複雑である。
【0004】
また、根太の中高状中間部に対し両端部を段差状に切欠いて凸字形状を得るものであり、その段差部が切欠効果により脆弱となり、根太の断面強度を損なう。
【0005】
本発明の課題は、床構成材の構成を簡素にするとともに、その断面強度を損なうことなく、床面材の下方に簡易に設備用スペースを形成することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、床大梁に床小梁を架設し、床小梁の上に床面材を載置してなる建物ユニットの床構造において、床小梁を、上面が床大梁の上面よりも高位になるように上方にずらして設置し、床大梁の上部に設備用スペースを形成してなるようにしたものである。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、床大梁に床小梁を架設し、床小梁の上に床面材を載置してなる建物ユニットの床構造において、
【0008】
床小梁の上面に断続的に複数の床受部品をかしめ接合し、この床受部品の床大梁上面よりも高位に設けられた上面板に床面材を載置し、床大梁の上部に設備用スペースを形成してなるようにしたものである。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の本発明において更に、前記床小梁に設備用孔を貫通形成してなるようにしたものである。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項2又は3に記載の本発明において更に、前記床小梁の上に厚肉床面材と薄肉床面材を並置するに際し、厚肉床面材は床小梁の上に直接もしくは背の低い床受部品を介して支持されるとともに、薄肉床面材は床小梁の上に背の高い床受部品を介して支持されて、厚肉床面材と薄肉床面材の表面の仕上面高さを揃えてなるようにしたものである。
【0011】
【作用】
請求項1の本発明によれば下記▲1▼〜▲3▼の作用がある。
▲1▼床大梁に床小梁を支持し、床小梁に床面材を支持するに際し、単に、床小梁の上面を床大梁の上面よりも高位に設置することにより、床小梁を凸字形状にすることなく、床大梁の上部、床面材の下方に設備用スペースを形成できる。
【0012】
▲2▼上記▲1▼において、床小梁は上面に凹凸のない、製造容易な簡易な構成となり、また切欠効果による断面強度の低下を伴うこともない。
【0013】
▲3▼上記▲1▼において、床小梁は通常、床大梁より低剛性で足りるから、その梁背は床大梁より高くならず、結果として、床小梁の下面は床大梁の下面より高位となり、床小梁の下側に一定の隙間を形成するものとなり、この隙間を設備用スペースとして利用することもできる。これにより、床下における配管類の設置ルートの自由度が高くなる。
【0014】
請求項2の本発明によれば下記(4)〜(6)の作用がある。
(4)床大梁に床小梁を支持し、床小梁に床面材を支持するに際し、床小梁と床面材との
間に床受部品を介装するものであり、床小梁を凸字形状にすることなく、床大梁の上部、床面材の下方に設備用スペースを形成できる。
【0015】
▲5▼上記▲4▼において、床小梁は上面に凹凸のない、製造容易な簡易な構成となり、また切欠効果による断面強度の低下を伴うこともない。
【0016】
▲6▼上記▲4▼において、床小梁の床受部品が設けられない部分と床面材との間に、床受部品の背の高さに応ずる一定の隙間を形成するものとなり、この隙間を設備用スペースとして利用することもできる。従って、床下における配管類の設置ルートの自由度が高くなり、かつ配管類を床小梁の上に単に乗せるだけで簡易に設備できるものともなる。
【0017】
請求項3の本発明によれば下記▲7▼の作用がある。
▲7▼床小梁に設備用孔を貫通形成したことにより、床下における配管類の設置ルートを多様に設定できる。
【0018】
請求項4の本発明によれば下記▲8▼の作用がある。
▲8▼床小梁の上における床受部品の有無、或いは床受部品の背の高さの大小の選定により、同一床小梁の上で厚肉床面材と薄肉床面材とを並置し、かつそれらの表面の仕上面高さを揃えることができる。従って、同一建物ユニット内で、畳を床面材とする和室と、床板を床面材とする洋室とを、床面の段差なく並置できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は第1実施形態を一部破断して示す斜視図、図2は床小梁を示し、(A)は正面図、(B)は端面図、図3は接続具を示し、(A)は側面図、(B)は正面図、図4は床大梁への床小梁の取付構造を示す斜視図、図5は床小梁の接続仕口を示す斜視図、図6は第2実施形態を示す断面図、図7は第3実施形態を示す断面図、図8は第4実施形態を示す断面図、図9は第5実施形態を一部破断して示す斜視図、図10は第6実施形態を一部破断して示す斜視図、図11は床受部品を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【0020】
(第1実施形態)(図1〜図5)
建物ユニット10は、例えば、4本の角鋼管等からなる柱11と、4本の形鋼等からなる床大梁12と、4本の形鋼等からなる天井大梁(不図示)を箱型に接合した骨組構造体である。このとき、床大梁12は、リップ付C形鋼からなり、ウエブ12A、上下のフランジ12B、12C、上下のリップ12D、12Eを有する。
【0021】
建物ユニット10の床構造は、図1に示す如く、相対する床大梁12に床小梁13を掛け渡し支持し、床小梁13の上に床板等の床面材14を支持して構成される。このとき、床小梁13は、図2に示す如く、リップ付C形鋼からなり、ウエブ13A、上下のフランジ13B、13C、上下のリップ13D、13Eを有し、ウエブ13Aの長手方向に一定の間隔を置いて複数の設備用孔13Fを貫通形成している。
【0022】
そして、本実施形態にあっては、床大梁12に床小梁13を支持するに際し、床小梁13の上面(上フランジ13B)を床大梁12の上面(上フランジ12B)よりも高位に設置し、結果として、床大梁12の上部、床面材14の下方に設備用スペース15を形成することとしている。具体的には、図3に示す如くのコの字断面状接続具16を用い、接続具16の両側立上り板16A、16Bの間に床小梁13の端部を挟み、床小梁13のウエブ13Aを立上り板16Aに、床小梁13のリップ13Dを立上り板16Bにリベット等により取着し、接続具16の正面板16Cを床大梁12のウエブ12Aにリベット等により取着するに際し、床小梁13の上フランジ13Bが床大梁12の上フランジ12Bよりも高位になるように設置したものである。本実施形態では、床大梁12のウエブ12Aに床小梁13の接続具16を上述の如くに簡易に取付け可能とするため、床大梁12のウエブ12Aの側を建物ユニット10の内側に向けて配置してある。
【0023】
本実施形態において、床小梁13は接続具16を用いることなく、図5に示す如く、床小梁13のウエブ13Aを両端部で曲げ成形することにより該ウエブ13Aに接続部17を形成し、この接続部17を床大梁12のウエブ12Aにリベット等により直接的に取着するものとしても良い。
【0024】
尚、本実施形態では、床大梁12に対し床小梁13を約300mm 間隔で設置し、床小梁13のウエブ13Aに設ける設備用孔13Fも約300mm 間隔とし、また床大梁12のウエブ12Aにも約300mm 間隔で設備用孔12Fを設けるものとし、配管、配線等の配管類1の設置ルートを一定のルールで設定可能としている。
【0025】
従って、本実施形態によれば以下の作用がある。
▲1▼床大梁12に床小梁13を支持し、床小梁13に床面材14を支持するに際し、単に、床小梁13の上面を床大梁12の上面よりも高位に設置することにより、床小梁13を凸字形状にすることなく、床大梁12の上部、床面材14の下方に設備用スペース15を形成できる。
【0026】
▲2▼上記▲1▼において、床小梁13は上面に凹凸のない、製造容易な簡易な構成となり、また切欠効果による断面強度の低下を伴うこともない。
【0027】
▲3▼上記▲1▼において、床小梁13は通常、床大梁12より低剛性で足りるから、その梁背は床大梁12より高くならず、結果として、床小梁13の下面は床大梁12の下面より高位となり、床小梁13の下側に一定の隙間を形成するものとなり、この隙間を設備用スペース15として利用することもできる。これにより、床下における配管類の設置ルートの自由度が高くなる。
【0028】
▲4▼床小梁13に設備用孔13Fを貫通形成したことにより、床下における配管類の設置ルートを多様に設定できる。
【0029】
(第2実施形態)(図6)
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、建物ユニット10の床大梁12がリップ無しのC形鋼からなるものであること、床大梁12のウエブ12Aの側を建物ユニット10の外側に向けて配置したこと、床小梁13の両端部にリップ無しのC形鋼からなる接続具21を溶接等により取着し、この接続具21の上下のフランジを床大梁12の上下のフランジに抱き合わせるように重ねて取着し、結果として、床小梁13の上面を床大梁12の上面よりも高位に設置したことにある。
【0030】
(第3実施形態)(図7)
第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、床小梁13の両端部を床大梁12のウエブ12Aに溶接等により直接的に取着し、結果として、床小梁13の上面を床大梁12の上面よりも高位に設置したことにある。
【0031】
(第4実施形態)(図8)
第4実施形態が第1実施形態と異なる点は、床小梁13を上下の長尺板31、32と、それら長尺板31、32の間にジグザグ状をなすように接合される平板33とからなる制振加締め接合によるラチス梁とし、長尺梁31と長尺梁32と平板33に囲まれる空間を設備用孔34として用いるようにしたこと、この床小梁13の両端部を床大梁12のウエブ12Aに溶接等により直接的に取着し、結果として、床小梁13の上面を床大梁12の上面よりも高位に設置したことにある。
【0032】
(第5実施形態)(図9)
第5実施形態は、建物ユニット10の床構造において、相対する床大梁12に床小梁13を掛け渡し支持し、床小梁13の上に畳14A、床板14B等の床面材14を支持せしめるに際し、床受部品40を用いたものである。即ち、床大梁12に床小梁13を支持するに際し、床大梁12の上面と床小梁13の上面とを略同一面とする状態下で、床小梁13の上面に床受部品40をかしめ接合等により取着し、この床受部品40に床面材14を支持し、結果として、床大梁12の上部、床面材12の下方に設備用スペース41を形成したものである。
【0033】
床受部品40は、板金加工により形成され、上面板40Aの両側に両側板40B、40Bを立下げ、両側板40B、40Bの下端部から外方に両脚板40C、40Cを広げて構成され、両脚板40C、40Cを床小梁13の上面にかしめ接合可能とされるものである。
【0034】
床大梁12、床小梁13には、第1実施形態と同様に、設備用孔12F、13Fが設けられる。
【0035】
このとき、第5実施形態では、床小梁13の上に厚肉床面材としての畳14Aと薄肉床面材としての床板14Bを並置できる。畳14Aは床小梁13の上に床下地板42を介して支持され、床板14Bは床小梁13の上に床受部品40を介して支持され、畳14Aと床板14Bの正面の地上げ面高さを揃えるように設定される。尚、畳14Aと床板14Bの境界部で、床板14Bは床小梁13の上に床下地板42、スペーサ43を介して支持されるようになっている。
【0036】
従って、本実施形態によれば以下の作用がある。
▲1▼床大梁12に床小梁13を支持し、床小梁13に床面材14を支持するに際し、床小梁13と床大梁12との間に床受部品40を介装するものであり、床小梁13を凸字形状にすることなく、床大梁12の上部、床面材14の下方に設備用スペース41を形成できる。
【0037】
▲2▼上記▲1▼において、床小梁13は上面に凹凸のない、正常容易な簡易な構成となり、また切欠効果による断面強度の低下を伴うこともない。
【0038】
▲3▼上記▲1▼において、床小梁13の床受部品40が設けられない部分と床面材14との間に、床受部品40の背の高さに応ずる一定の隙間を形成するものとなり、この隙間を設備用スペース41として利用することもできる。従って、床下における配管類の設置ルートの自由度が高くなり、かつ配管類を床小梁13の上に単に乗せるだけで簡易に設備できるものともなる。
【0039】
▲4▼床小梁13に設備用孔13Fを貫通形成したことにより、床下における配管類の設置ルートを多様に設定できる。
【0040】
▲5▼床小梁13の上における床受部品40の有無、或いは床受部品40の背の高さの大小の選定により、同一床小梁13の上で畳14Aと床板14Bとを並置し、かつそれらの表面の仕上面高さを揃えることができる。従って、同一建物ユニット10内で畳14Aを床面材14とする和室と、床板14Bを床面材14とする洋室とを、床面の段差なく並置できる。
【0041】
(第6実施形態)(図10)
第6実施形態が第5実施形態と異なる点は、床小梁13を上下の長尺板51、52と、それら長尺板51、52の間にジグザグ状をなすように接合される平板53とからなる制振加締め接合によるラチス梁とし、長尺板51と長尺板52と平板53に囲まれる空間を設備用孔54として用いるようにしたことにある。
【0042】
図11は、床受部品40の変形例に係る床受部品60である。床受部品60は、板金加工により形成され、上面板60Aの両側に両側板60B、60Bを立下げ、両側板60B、60Bの下端部から水平板60C、鉛直板60Dを延在して構成されたものである。床受部品60は、水平板60Cを床小梁13の上面に載せ、鉛直板60Dを床小梁13の側面に沿わせてかしめ接合することにて、床小梁13に取着される。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の実施において、床小梁は角鋼管、I形鋼、H形鋼等いかなる断面からなるものであっても良い。また、床小梁は鋼製に限らず、木製ランバー材であっても良い。また、床受部品も鋼製に限らず、木製、もしくは鋼製と木製の組合せからなる複合材等であっても良い。また、床受部品の例えば床小梁取着面に、制振ゴム等の振動吸収材を貼り合わせてなるものとし、床振動や床衝撃音を軽減させるものであっても良い。
【0044】
また、かしめ接合の採用により、下孔が不用となり、床受部品取付けの機械化、自動組立が容易になる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、床構成材の構成を簡素にするとともに、その断面強度を損なうことなく、床面材の下方に簡易に設備用スペースを形成することができる。
【0046】
尚、本発明において、設備用スペースに設置される配管類は、給水管、給湯管、ガス管、排水管、電気配線等多様であり、配管類の設置ルートの自由度の向上により、例えば、排水管の勾配も取り易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1実施形態を一部破断して示す斜視図である。
【図2】図2は床小梁を示し、(A)は正面図、(B)は端面図である。
【図3】図3は接続具を示し、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【図4】図4は床大梁への床小梁の取付構造を示す斜視図である。
【図5】図5は床小梁の接続仕口を示す斜視図である。
【図6】図6は第2実施形態を示す断面図である。
【図7】図7は第3実施形態を示す断面図である。
【図8】図8は第4実施形態を示す断面図である。
【図9】図9は第5実施形態を一部破断して示す斜視図である。
【図10】図10は第6実施形態を一部破断して示す斜視図である。
【図11】図11は床受部品を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【符号の説明】
10 建物ユニット
12 床大梁
13 床小梁
13F、34、54 設備用孔
14 床面材
14A 畳(厚肉床面材)
14B 床板(薄肉床面材)
15、41 設備用スペース
40、60 床受部品
Claims (4)
- 床大梁に床小梁を架設し、床小梁の上に床面材を載置してなる建物ユニットの床構造において、
床小梁を、上面が床大梁の上面よりも高位になるように上方にずらして設置し、床大梁の上部に設備用スペースを形成してなることを特徴とする建物ユニットの床構造。 - 床大梁に床小梁を架設し、床小梁の上に床面材を載置してなる建物ユニットの床構造において、
床小梁の上面に断続的に複数の床受部品をかしめ接合し、この床受部品の床大梁上面よりも高位に設けられた上面板に床面材を載置し、床大梁の上部に設備用スペースを形成してなることを特徴とする建物ユニットの床構造。 - 前記床小梁に設備用孔を貫通形成してなる請求項1又は2記載の建物ユニットの床構造。
- 前記床小梁の上に厚肉床面材と薄肉床面材を並置するに際し、
厚肉床面材は床小梁の上に直接もしくは背の低い床受部品を介して支持されるとともに、薄肉床面材は床小梁の上に背の高い床受部品を介して支持されて、
厚肉床面材と薄肉床面材の表面の仕上面高さを揃えてなる請求項2に記載の建物ユニットの床構造。
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