JP3940291B2 - 多孔性ビトリファイド砥石の製造方法及び気孔形成剤のリサイクル方法 - Google Patents

多孔性ビトリファイド砥石の製造方法及び気孔形成剤のリサイクル方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、気孔を多数有する粗組織の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法及び気孔形成剤のリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被削材(例えば、種々の金属製の部品等)の加工において幅広く使用されている砥石は、加工される部品の形状、材質等に応じて、様々な種類の砥石が使用されている。ここで、砥石の特性の一つに砥石の嵩密度、いわゆる組織の粗密の程度が挙げられる。嵩密度の低い、つまり粗組織である多孔性砥石は、研削によって生じる熱を気孔によって放出させる作用があることから、被削材の焼けを生じやすい研削、或いは、砥粒間の距離が広くなることから砥粒突き出しが大きくなり、高能率な加工をするような場合に用いられる。
【0003】
このような気孔を有するビトリファイド砥石は、砥粒、粉末状のビトリファイド結合剤、気孔形成剤、成形助剤(成形用のバインダー)を原料として製造することができる。一般的には、前記原料を混合し成形して得られる成形体を加熱乾燥し(一般的にはおよそ1〜3重量%の水分を除去して乾燥し)焼成してビトリファイド砥石を製造する。気孔形成剤は、前記成形体の焼成が終了するまでに消失させるので、得られるビトリファイド砥石には気孔が形成される。
【0004】
気孔形成剤としては、例えば、ナフタリン、クルミ粉、木粉、エポキシやポリスチレン(特公昭39−020487号公報)などの有機物質或いはアルミナ中空バルーンなどが使用されている。
【0005】
図1に、多孔性ビトリファイド砥石の製造方法の概略を示す。まず、砥石の構成要素となる砥粒とビトリファイド結合剤、1種類以上の成形助剤(例えば、デキストリン、水で薄めた重油)、粒子状の気孔形成剤を混合し撹拌して、これらの原料を含有する撹拌ミックスを調製する。前記撹拌ミックスを所定の形状、密度にプレス成形した後、乾燥により水分等を除去し、砥粒とビトリファイド結合剤を結合させるために所定の温度で焼成する。その後、所定の寸法に加工して仕上げ、検査を行い最終製品となる。
【0006】
ビトリファイド砥石の場合、非常に高温で焼成されるために、従来の非セラミック製の気孔形成剤の多くは乾燥或いは焼成工程で分解、燃焼或いは酸化し大気中に放出される。一方、アルミナバルーンの様なセラミック製の気孔形成剤の場合は、そのまま最終製品であるビトリファイド砥石の中に残る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
有機質の気孔形成剤は、砥石の構成要素である砥粒やビトリファイド結合剤と比較して高価であり多孔性ビトリファイド砥石の製造コストを高くしてしまう要因となっている。また、大気中にCO或いは有機物質を放出するので、近年関心の高まっている環境問題を考慮すると環境に悪影響をもたらすことも明らかである。なお、無機質の気孔形成剤であるアルミナバブルは、撹拌、成形の際に砥粒との分離を生じやすいので、砥粒と無機質の気孔形成剤が均一に分散した成形体を製造することは困難である。
【0008】
本発明は、多孔性ビトリファイド砥石の製造コストを低減すると共に環境への悪影響を抑制する多孔性ビトリファイド砥石の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、多孔性ビトリファイド砥石の製造コストを低減すると共に環境への悪影響を抑制する気孔形成剤のリサイクル方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第1の視点において、気孔形成剤の一部ないし全部として、状態変化可能な気孔形成剤を使用する多孔性ビトリファイド砥石の製造方法であって、前記状態変化可能な気孔形成剤を含有する成形体の加熱により、状態変化して前記成形体から除去された気孔形成剤を回収する回収工程を有し、前記状態変化可能な気孔形成剤として、昇華開始温度が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用する多孔性ビトリファイド砥石の製造方法により上記目的を達成することができる。本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法は、次のようにすることができる。
【0010】
前記回収工程で回収した状態変化可能な気孔形成剤を含む回収物を、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生する再生工程を有することができる。前記再生工程で再生させた状態変化可能な気孔形成剤を使用する工程を有することができる。前記状態変化可能な気孔形成剤として、昇華開始温度が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用する。
【0011】
また、本発明によれば、第2の視点において、多孔性ビトリファイド砥石の製造方法において気孔を形成するために状態変化して使用された状態変化可能な気孔形成剤の回収物を、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生する再生工程を有し、前記状態変化可能な気孔形成剤として、昇華開始温度が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用する気孔形成剤のリサイクル方法により上記目的を達成することができる。本発明の気孔形成剤のリサイクル方法は、次のようにすることができる。
【0012】
前記再生工程において、前記回収物を溶融して不純物を除去し、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生することができる。状態変化して使用された状態変化可能な気孔形成剤を回収する回収工程を、前記再生工程よりも前に有することができる。なお、本発明の気孔形成剤のリサイクル方法によれば、本発明の気孔形成剤のリサイクル方法により再生された状態変化可能な気孔形成剤を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[多孔性ビトリファイド砥石の製造方法]
〈気孔形成剤〉
本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法では、気孔形成剤の一部ないし全部として、状態変化可能な気孔形成剤を使用する。ここで、本発明における「状態変化」とは、気体、液体及び固体のいずれか一の第1の状態と、気体、液体及び固体のいずれか一の状態であって前記第1の状態とは異なる第2の状態との間の温度変化による可逆的な変化である。例えば、固体と気体との間の温度変化による可逆的な変化であり、一般的には、加熱による固体から気体への変化と、冷却による気体から固体への変化である。また、例えば、固体と液体との間の温度変化による可逆的な変化であり、一般的には、加熱による固体から液体への変化と、冷却による液体から固体への変化である。
【0014】
状態変化可能な気孔形成剤としては、例えば、温度変化により固体と気体との間を可逆的に変化する気孔形成剤があり、より詳細には、加熱により燃焼ないし酸化せずに固体から気体に昇華し、冷却により気体から固体に凝固(固化)する気孔形成剤がある。また、例えば、温度変化により固体と液体との間を可逆的に変化する気孔形成剤があり、より詳細には、加熱により燃焼ないし酸化せずに固体から液体に液化し、冷却により液体から固体に凝固(固化)する気孔形成剤がある。
【0015】
本発明における状態変化可能な気孔形成剤としては、昇華開始温度(常圧における物質の減量開始温度)が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用し、好ましくは、昇華開始温度が120〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用する。
【0016】
昇華開始温度が100℃以下の場合は、回収時に常温よりも低い温度にしなければ回収率が悪くなる傾向があるためコストが高くなる傾向がある。また、昇華開始温度が200℃以上になると、昇華させるための温度が必要以上に高くなり、コストが高くなる傾向があるばかりでなく、成形助剤として生砥石(後述の成形工程で成形された成形体)中に混在させている有機物質まで燃焼或いは分解してしまうので、生砥石の強度が低下したり、回収物質中において気孔形成剤以外の不純物の割合が多くなり、リサイクル品(再生品)の品質を劣化させてしまう傾向がある。
【0017】
昇華開始温度が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤としては、例えば、テレフタル酸ジメチルがある。なお、テレフタル酸ジメチルは、下記の化学式で示され、ジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)と同じものであり、「DMT」と省略する場合もある。
【0018】
【化1】
Figure 0003940291
【0019】
昇華開始温度(常圧における物質の減量開始温度)は、TG(熱重量測定)等の測定で知ることができる。例えば、本発明に好適に用いることができるジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)(DMT)のTG曲線(常圧中で測定)を図2に示す。この曲線によれば、ジメチルテレフタレートの減量開始温度は約135〜140℃であることがわかる。なお、図2には、ナフタリンのTG曲線も併せて示されており、ナフタリンの減量開始温度は約70℃であることがわかる。
【0020】
本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法では、気孔形成剤の一部として、室温程度から500℃未満(好ましくは400℃以下、より好ましくは320℃以下、さらに好ましくは300℃以下)では状態変化せずに500〜900℃で燃焼する気孔形成剤、あるいは、多孔性ビトリファイド砥石を製造する際の成形体の焼成温度程度から室温程度までの温度範囲では状態変化しないセラミック等を材料とする中空体の気孔形成剤を併用することができる。これらの気孔形成剤としては、例えば、スチロール樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の合成樹脂粒子、クルミ粉、木粉等の有機物、あるいはアルミナ製の中空球状体等がある。
【0021】
〈回収工程〉
本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法における回収工程は、状態変化可能な気孔形成剤を含有する成形体を加熱することにより、状態変化して前記成形体から除去された気孔形成剤の一部ないし全部を回収する工程にすることができる。回収工程では、例えば、昇華して使用された気体状の気孔形成剤を冷却し個体化して回収することができる。
【0022】
〈再生工程〉
本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法における再生工程は、前記回収工程で回収した状態変化可能な気孔形成剤を含む回収物を、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生する工程にすることができる。
【0023】
〈他の工程〉
本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法は、砥粒と、ビトリファイド結合剤と、状態変化可能な気孔形成剤を一部ないし全部として含む気孔形成剤と、成形用バインダーから、これらを含む成形体を成形する成形工程と、前記成形工程で得られた成形体を前記成形体の焼成温度未満(好ましくは100℃以上、より好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは100〜200℃)かつ常圧で加熱して前記状態変化可能な気孔形成剤を前記成形体から除去する気孔形成剤除去工程と、前記気孔形成剤除去工程で前記状態変化可能な気孔形成剤を除去した(焼成工程において問題点が生じない程度以上に除去した)成形体を前記ビトリファイド結合剤が砥粒の結合材として作用する作用温度(一般的には、900〜1300℃)で所定時間(一般的には、2〜5時間)焼成する焼成工程を有することができる。なお、常温から前記作用温度に昇温させるまでの昇温時間と、前記作用温度範囲内で保持する保持時間と、前記作用温度から常温まで放熱させる降温時間を含めた焼成工程の全ての時間は、24〜180時間(およそ1〜7日程度)にすることができる。
【0024】
なお、前記成形体が水分を含有する場合、前記気孔形成剤除去工程に便乗して前記成形体が含有する水分を蒸発させることができるが、前記気孔形成剤除去工程よりも前に、前記成形体の水分を蒸発させる乾燥工程を設けることができる。前記乾燥工程における前記成形体の加熱温度は、前記気孔形成剤除去工程における前記成形体の加熱温度よりも低温(例えば、60〜100℃)にすることができる。
【0025】
前記再生工程で再生させた状態変化可能な気孔形成剤は、前記成形工程で再使用することができる。即ち、前記成形工程で使用する気孔形成剤の一部ないし全部として、前記再生工程で再生した状態変化可能な気孔形成剤を用いることができる。再生した状態変化可能な気孔形成剤を含有する、前記成形工程で得られた成形体は、前記気孔形成剤除去工程で加熱され前記成形体から除去されるが、前記回収工程で回収し、前記再生工程で所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生することができる。前記再生工程で再生させた状態変化可能なリサイクル気孔形成剤は、新品の気孔形成剤と同様に砥石原料として利用することができる。
【0026】
前記成形工程で使用する砥粒、状態変化可能な気孔形成剤、これ以外の気孔形成剤の粒径及び配合比は、製造しようとする多孔性ビトリファイド砥石の構造や用途等に応じて適宜設定する。砥粒としては、例えば、ダイヤモンド砥粒、立方晶窒化ホウ素砥粒、溶融アルミナ砥粒、ゾルゲル法により得られる微結晶質アルミナ砥粒等の各種砥粒を用いることができる。砥粒の粒径は、例えば15〜1000μm(JIS R6001に基づく粒度で#16〜#800)、好ましくは40〜500μmにすることができる。
【0027】
前記成形工程で使用するビトリファイド結合剤の粉末の平均粒径は、好ましくは2〜40μm(より好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは4〜20μm、特に好ましくは5〜6μm)にする。ビトリファイド結合剤粉末は、軟化点500℃〜1100℃のものがあり、焼成温度や砥材の種類に応じて適当なものを用いる。
【0028】
前記成形工程で使用する成形用バインダーとしては、従来から一般的に成形用のバインダーとして用いられるものでよく、例えば、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等を用いることができる。
【0029】
[気孔形成剤のリサイクル方法]
本発明の気孔形成剤のリサイクル方法における再生工程では、多孔性ビトリファイド砥石の製造方法において使用された状態変化可能な気孔形成剤の回収物を、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生することができる。
【0030】
再生工程では、前記回収物を溶融して不純物を除去し、所望形状の固体状の昇華性を有する気孔形成剤に再生することができる。また、昇華して使用された昇華性を有する気孔形成剤を回収する回収工程を、前記再生工程よりも前に有することができる。本発明の気孔形成剤のリサイクル方法としては、例えば、次のようなものがある。
【0031】
100〜200℃にて生砥石中の昇華性を有する気孔形成剤(例えば、DMT)を昇華させ常温まで冷却させて、一旦気体となった気孔形成剤を固体化し、フィルター等を有する集塵機にて回収する。回収物を加熱し溶融させて一緒に取り込まれた不純物を沈殿させ、市販されている新品のDMTと同様の形状(例えば、縦10mm、横10mm、厚み0.5〜1mmのフレーク状)になるように固体化させる。その後、新品の気孔形成剤を使用する場合と同様に粉砕、整粒して所定の粒度に篩い分け再利用する。
【0032】
前記回収物が昇華性を有する昇華性固体(例えば、固体状のDMT)である場合にこれを溶融させる手段としては、例えば、密閉されたタンク等の密閉系において前記昇華性固体を加熱することにより、密閉系内の前記昇華性固体の蒸気圧を飽和させ前記昇華性固体を溶融させる手段がある。
【0033】
【実施例】
砥材にはアルミナ砥粒或いはシリコンカーバイド砥粒、ビトリファイド結合剤にフリット又は天然鉱物、成形助剤としてデキストリンと水分で薄めた重油、さらには気孔形成剤として粒子状のDMT(dimethyl terephthalate)を使用し、これらの原料を、図1に示すような方法で撹拌、プレス成形し生砥石(前記原料の成形体)を作製した。得られた生砥石を60℃で一日乾燥させ水分を除去した後、集塵機を有する乾燥機の乾燥室内にて170℃で15時間加熱し、気孔形成剤を昇華させた。昇華させた気孔形成剤の回収について詳細に説明すると、次のとおりである。
【0034】
乾燥機の乾燥室は、第1の配管を介して冷却箱に連通する。冷却箱は、冷却箱の外側に連通する外気取入口を有すると共に、第2の配管を介して集塵機に連通する。集塵機は、第2の配管の内部の気体を吸引するので、乾燥室内で昇華した気体状の気孔形成剤を含む乾燥室内の気体は、前記第1の配管を通り冷却箱の内部空間へ流入する。冷却箱の内部は、前記外気取入口から流入する常温の外気(空気)により100℃以下に冷却しているので、冷却箱の内部空間に流入した気体状の気孔形成剤の大部分は、冷却固化して捕獲される。冷却箱の内部空間の気体は、前記第2の配管を通って集塵機の内部へ流入する。冷却箱で捕獲できなかった微細な固体状の気孔形成剤は、集塵機の内部の集塵部(フィルター)で微細な塵と共に捕獲される。微細な固体状の気孔形成剤と塵が捕獲された気体は、集塵機の気体排出口から排出される。気孔形成剤の回収率は、気孔形成剤の使用量に対して約80重量%であった。
【0035】
なお、図1には示していないが、乾燥工程と焼成工程の間に、上記のように前記生砥石から前記気孔形成剤を昇華させて除去する気孔形成剤の除去工程(昇華工程)を設け、前記生砥石に空間部を形成した。
【0036】
得られた回収物を150℃にて溶融し、フレーカーにてフレーク状に固体化させた。フレーカーは、溶融した気孔形成剤を冷却ドラムに落下させて冷却しフレーク状に固体化する装置である。溶融した前記回収物において沈殿した不純物の割合は、約0.015重量%であった。フレーク状回収物をスピードミル機にて粉砕後、篩い分けしてリサイクル気孔形成剤とした。
【0037】
また、市販されている新品のDMTの気孔形成剤と回収して再生したリサイクル品のDMTの気孔形成剤を篩い分けした結果、目的とする粒度に対して粗すぎる或いは細かすぎるため、使用が不適当な気孔形成剤が生じる場合がある。これらの使用不適当な気孔形成剤は、上記の様に150℃で再度溶融し固体化し粉砕し粒度を変更してリサイクルすることも出来るし、その際に新品とリサイクル品を混合して溶融しても差し支えない。
【0038】
新品のDMT100重量%、リサイクル品のDMT100重量%の気孔形成剤を使用して、多孔性ビトリファイド砥石を製造した。砥粒は粒度#54のWA(酸化アルミニウム系砥粒)であり、ビトリファイド結合剤に関してはその化学組成を表1に示す。なお、本実施例における粒度は、JIS R6001に基づく粒度である。
【0039】
【表1】
Figure 0003940291
【0040】
また、使用した気孔形成剤の粒度は#36相当である。製造した砥石番号と撹拌の際に用いた各原料の混合比率を重量%で表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0003940291
【0042】
撹拌した撹拌ミックス(前記各原料の混合物)を所定の密度になるようにプレス成形して、中央部に穴を有するリング状の生砥石を得た。成形された生砥石の寸法は、外径184mm、厚み16mm、中央部の穴径72mmである。この生砥石は、60℃で一日、170℃で15時間加熱した後、900℃で2時間焼成した。焼成して得られた砥石は、外径178mm、厚み13mm、中央部の穴径76.2mmの寸法になるように仕上げ加工を行い、大越式硬度測定、バランス、打音といった砥石検査においてごく一般的に行われている検査を行った。このようにして得られた多孔性ビトリファイド砥石の構造と密度を表3に示す。
【0043】
【表3】
Figure 0003940291
【0044】
製造した各種砥石からテストピースを切り出し、曲げ強度を測定した。曲げ強度試験の測定条件を表4に、曲げ強度を表5に示す。
【0045】
【表4】
Figure 0003940291
【0046】
【表5】
Figure 0003940291
【0047】
リサイクル品の気孔形成剤を使用して製造された砥石は、新品の気孔形成剤を使用して製造された砥石と比較して同等の曲げ強度が得られた。さらに、砥石番号1,2,5,6の各砥石について、多孔性砥石がよく用いられているクリープフィード研削を想定した研削性能試験を実施した。研削条件を表6に、研削結果を表7に示す。
【0048】
【表6】
Figure 0003940291
【0049】
【表7】
Figure 0003940291
【0050】
【発明の効果】
本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法は、気孔形成剤の一部ないし全部として、状態変化可能な気孔形成剤を使用する多孔性ビトリファイド砥石の製造方法であって、前記状態変化可能な気孔形成剤を含有する成形体の加熱により、状態変化して前記成形体から除去された気孔形成剤を回収する回収工程を有し、前記状態変化可能な気孔形成剤として、昇華開始温度が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用するので、使用された状態変化可能な気孔形成剤を回収することができる。回収した気孔形成剤は、簡単に再生して再使用することができるから、気孔形成剤の消耗量(自然界への拡散量)を低減することができる。従って、本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法によれば、多孔性ビトリファイド砥石の製造コストを著しく低減することができる。使用された状態変化可能な気孔形成剤が高価である場合は、このような製造コストの低減効果はより一層著しい。
【0051】
また、本発明の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法によれば、状態変化可能な気孔形成剤の消耗量を低減することができるので、前記気孔形成剤の自然界への拡散量を抑制することができるから、環境への悪影響を抑制することができる。
【0052】
本発明の気孔形成剤のリサイクル方法は、多孔性ビトリファイド砥石の製造方法において気孔を形成するために状態変化して使用された状態変化可能な気孔形成剤の回収物を、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生する再生工程を有し、前記状態変化可能な気孔形成剤として、昇華開始温度が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用するので、状態変化可能な気孔形成剤の消耗量(自然界への拡散量)を低減することができる。従って、本発明の気孔形成剤のリサイクル方法によれば、多孔性ビトリファイド砥石の製造コストを著しく低減することができる。使用された状態変化可能な気孔形成剤が高価である場合は、このような製造コストの低減効果はより一層著しい。
【0053】
また、本発明の気孔形成剤のリサイクル方法によれば、状態変化可能な気孔形成剤の消耗量を低減することができるので、前記気孔形成剤の自然界への拡散量を抑制することができるから、環境への悪影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、多孔性ビトリファイド砥石の製造方法の概略を説明するための図である。
【図2】図2は、DMTとナフタリンのTG曲線を示す図である。

Claims (7)

  1. 気孔形成剤の一部ないし全部として、状態変化可能な気孔形成剤を使用する多孔性ビトリファイド砥石の製造方法であって、
    前記状態変化可能な気孔形成剤を含有する成形体の加熱により、状態変化して前記成形体から除去された気孔形成剤を回収する回収工程を有し、
    前記状態変化可能な気孔形成剤として、昇華開始温度が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用することを特徴とする多孔性ビトリファイド砥石の製造方法。
  2. 前記回収工程で回収した状態変化可能な気孔形成剤を含む回収物を、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生する再生工程を有することを特徴とする請求項1に記載の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法。
  3. 前記再生工程で再生させた状態変化可能な気孔形成剤を使用する工程を有することを特徴とする請求項2に記載の多孔性ビトリファイド砥石の製造方法。
  4. 多孔性ビトリファイド砥石の製造方法において気孔を形成するために状態変化して使用された状態変化可能な気孔形成剤の回収物を、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生する再生工程を有し、
    前記状態変化可能な気孔形成剤として、昇華開始温度が100〜200℃の温度範囲にある昇華性を有する気孔形成剤を使用することを特徴とする気孔形成剤のリサイクル方法。
  5. 前記再生工程において、前記回収物を溶融して不純物を除去し、所望形状の固体状の状態変化可能な気孔形成剤に再生することを特徴とする請求項に記載の気孔形成剤のリサイクル方法。
  6. 状態変化して使用された状態変化可能な気孔形成剤を回収する回収工程を、前記再生工程よりも前に有することを特徴とする請求項のいずれか一に記載の気孔形成剤のリサイクル方法。
  7. 請求項のいずれか一に記載の気孔形成剤のリサイクル方法により再生されたことを特徴とする状態変化可能な気孔形成剤。
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