JP3940237B2 - 燃料噴射装置の燃料供給ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料タンクと内燃機関の燃料噴射装置とに接続される燃料流路途上に設けられ、特にベーパを容易に分離除去できるコンパクトな燃料供給ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動二輪車等において、組付け性向上、コスト低減のため、燃料供給装置のモジュール化が進んでいる。この燃料供給装置に安価で低脈動、低振動、低騒音のタービン式ポンプを使用する場合、ポンプの吸込み圧力が低いためポンプの吸込み口を燃料中に浸漬させる必要がある。また、燃料ポンプが空気やベーパを吸込むと必要な燃料が噴射されず、機関の運転が不安定となり、機関が停止するおそれもあるため、燃料中の空気や燃料ポンプまたはエンジンからの熱あるいは機関の振動で発生するベーパを燃料チャンバーから除去する必要がある。
【0003】
米国特許5,647,331号に提案されているように、ベーパや燃料中の空気を燃料チャンバーから排出するように構成された燃料供給ユニットの例を図2により説明する。図に示す上下のケーシング17、17が合わされて燃料チャンバー4が形成されている。
【0004】
燃料チャンバー4には燃料タンク18から液面制御弁16を介して燃料が供給される。燃料タンク18から重力により燃料が燃料チャンバー4に流れ込むが、その流量は液面制御弁16により制御されて燃料チャンバー4の液面は一定に制御される。
【0005】
燃料チャンバー4内に配置された燃料ポンプ5の吸込口5aは燃料中に浸漬された状態となる。燃料ポンプ5から吐出された燃料は燃料流路17aに送り込まれ、燃料流路17aに設けられたニップル13から燃料分配管に送られる。
【0006】
燃料流路17aに入り口が開口する燃圧レギュレータ9は燃料流路17a内の圧力が一定となるように余分の燃料を燃料チャンバー4に戻す。このようにして燃料分配管に送られる燃料の圧力は一定に保たれ、燃料分配管から燃料噴射装置に分配された燃料がエンジンに流量制御されて供給される。
【0007】
燃料チャンバー4内の燃料から発生したベーパや空気は燃料チャンバー内の燃料の上に溜まり、一定圧力以上となると背圧弁15を通してエンジンのインテークマニホールドに送られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の燃料供給ユニットでは、燃料チャンバーの液面を一定に制御するための液面制御弁や燃料チャンバー内の燃料の上に溜まったベーパや空気を排出するための背圧弁が必要であり、構造が複雑となる。また、燃料溜まりの上にベーパや空気を溜めるための相当のスペースが必要であるためにユニットが大型となるという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、構造が簡単でコンパクトに構成でき、燃料中のベーパを積極的に分離除去できる燃料噴射装置の燃料供給ユニットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料噴射装置の燃料供給ユニットは、燃料タンクの下側に配置され、前記燃料タンクから燃料が流れ込む燃料チャンバー内の燃料ポンプが吐出する燃料を燃圧レギュレータにより圧力制御して燃料噴射装置に供給する燃料供給ユニットにおいて、前記燃圧レギュレータから燃料タンクに燃料を戻す燃料戻り流路にジェットポンプを設け、前記チャンバー内の上部と前記ジェットポンプの負圧室とを連通する連通路を設けたものである。
【0011】
さらに、前記燃料噴射装置の燃料供給ユニットにおいて、燃料ポンプから吐出する燃料を濾過する高圧燃料フイルタを前記燃料チャンバーに設けたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例である燃料噴射装置の燃料供給ユニットを図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例である燃料噴射装置の燃料供給ユニットを示す断面図である。図に示す右ハウジング1、中央ハウジング2および左ハウジング3はOリングを介して合わせられ燃料の満たされる空間を形成している。
【0013】
中央ハウジング2および右ハウジング1は燃料チャンバー4を囲んでおり、この燃料チャンバー4内にタービン式の燃料ポンプ5が配置されている。なお、燃料ポンプ5の吸込口5aは燃料チャンバー4内の低い場所に位置している。
【0014】
右ハウジング1に取付けられたニップル6には低圧燃料フイルタ7が取付けられており、ニップル6は図示していない燃料タンクに接続されており、燃料タンクから燃料が重力により低圧燃料フイルタ7およびニップル6を通して燃料チャンバー4に流れ込む。
【0015】
コネクタ14を介して燃料ポンプ5に給電されると、燃料ポンプ5は燃料を左ハウジング3に囲まれた空間に送り込む。この高圧の燃料はリング状の高圧燃料フイルタ8を通過してゴミが除去されてから中央ハウジング2に囲まれた高圧チャンバー2bに流れ込む。
【0016】
高圧チャンバー2bに連通して取付けられた燃圧レギュレータ9は絞り管10、負圧室11、ニップル13を通して燃料タンクに戻す燃料の流量を調整して高圧チャンバー2b内の燃料の圧力を一定に制御する。このようにして圧力を一定に保たれた燃料は高圧チャンバー2bに開口する吐出孔2aから燃料分配管に送られ、さらに燃料噴射装置に流量制御されてエンジンに供給される。
【0017】
次に、絞り管10と負圧室11で構成されるジェットポンプ12について説明する。燃料チャンバー4の上部には絞り管10の周囲の空間を介して連通孔1a、1bによりジェットポンプ12の負圧室11と燃料チャンバー内の上部を連通させる連通路が形成される。ジェットポンプ12はノズルで絞られた高速流により絞り管10の周囲の燃料を吸引し、高速流とともに燃料タンクに戻す。このため連通孔1a、1bを上向きに燃料が流れるが、この流れにより燃料チャンバー4内に発生したベーパや空気が積極的に燃料タンクに戻される。
【0018】
本実施例においては連通孔を2か所に設けたが、ベーパがジェットポンプに吸引されるように燃料チャンバー内の上方に設ければその数はいくつでもよい。
【0019】
このように燃料チャンバー4内に燃料タンクに戻る上向きの流れが発生するので空気やベーパが確実に排出され燃料ポンプ5が空気やベーパを吸込むことがない。また、燃料チャンバー4内の燃料の流れにより燃料ポンプ5を効果的に冷却することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃料噴射装置の燃料供給ユニットによると、燃料チャンバー4内のベーパや空気が燃料タンクに戻る流れにより強制的に排出されるので安定した燃料の供給が可能となる。
【0021】
また、燃料チャンバー内への燃料の供給において、燃料の自重による流れが燃料タンクに戻る流れにより増加し、燃料チャンバー内の燃料循環が促進されるため、燃料ポンプが効果的に冷却され熱によるベーパの発生が抑制される。
【0022】
また、図2で説明した従来例のように液面制御弁や背圧弁が不要となり、構造が簡単となると共にベーパを分離するための空間が必要でなくなり装置を小型とすることができる。
【0023】
また、ジェットポンプは燃圧レギュレータからの余剰燃料の圧力を利用するため、新たなエネルギ源を必要としないことで装置をよりコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である燃料噴射装置の燃料供給ユニットを示す断面図である。
【図2】従来の燃料噴射装置の燃料供給ユニットの例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 右ハウジング、1a、1b 連通孔
2 中央ハウジング、2a 吐出孔、2b 高圧チャンバー
3 左ハウジング
4 燃料チャンバー
5 燃料ポンプ、5a 吸込口
6 ニップル
7 低圧燃料フイルタ
8 高圧燃料フイルタ
9 燃圧レギュレータ
10 絞り管
11 負圧室
12 ジエットポンプ
13 ニップル
14 コネクタ
15 背圧弁
16 液面制御弁
17 ケーシング、17a 燃料流路
18 燃料タンク

Claims (2)

  1. 燃料タンクの下側に配置され、前記燃料タンクから燃料が流れ込む燃料チャンバー内の燃料ポンプが吐出する燃料を燃圧レギュレータにより圧力制御して燃料噴射装置に供給する燃料供給ユニットにおいて、前記燃圧レギュレータから燃料タンクに燃料を戻す燃料戻り流路にジェットポンプを設け、前記チャンバー内の上部と前記ジェットポンプの負圧室とを連通する連通路を設けたことを特徴とする燃料噴射装置の燃料供給ユニット。
  2. 燃料ポンプから吐出する燃料を濾過する高圧燃料フイルタを前記燃料チャンバーに設けた請求項1の燃料噴射装置の燃料供給ユニット。
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