JP3940100B2 - 金属材補強を施した建築用合成板材 - Google Patents

金属材補強を施した建築用合成板材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胴縁や瓦桟等に利用する発泡合成樹脂からなる建築用の合成板材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、合成樹脂に発泡剤を添加して発泡させ、あるいは合成樹脂に多量の木粉などを混入してそれを押出成形することにより形成された、胴縁や瓦桟等に利用する建築用合成板材は広く知られている。このような発泡合成樹脂製の合成板材においては、内部に補強のための金属板を埋入させた上で押出成形を行う場合、図2に示すように、両側端側をそれぞれ直角に折り曲げて全体を断面略コ字形に形成した補強用の金属板11を合成樹脂12内に埋入させることが多く、これにより金属板11自体の曲げ応力に対する強度が向上するため、合成板材の剛性が、合成樹脂に単なる平板状の金属板を埋入させた場合に比べて飛躍的に向上する。
しかしながら、一般に板材はその板面に対して直交する方向の外力により曲げ応力が作用することが多く、上述のような略コ字形に成形した金属板11を用いた場合、合成板材12の板面側に予想外の大きな外力が加わると、金属板11の折り曲げた部分の先端が比較的尖鋭であるため、その先端部分付近の合成樹脂に応力が集中し易い。また、金属板11と合成樹脂12との接触部分には接着剤を塗布していても、金属板の折り曲げた両側端部11a,11aは合成樹脂との接触面積が小さく、しかも折り曲げにより強度を高めた金属板11と比較的強度が劣る合成樹脂12との境界になるために大きな剪断力が作用し、相互に剥離しやすい傾向にある。その結果、場合によっては合成板材が破損してしまう場合も考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の技術的課題は、補強用の板状の金属材が埋入された発泡合成樹脂製の建築用の合成板材において、該合成板材に予期しない大きな外力が作用しても、金属材の端部等の比較的鋭利な部分によって合成樹脂に生じる剪断応力を可及的に小さくして破損を防止することができる、高剛性の合成板材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の金属材補強を施した建築用合成板材は、 押出成形された発泡合成樹脂内に、該発泡合成樹脂の押出方向に延びる板状の補強用金属材を埋入した建築用合成板材において、
上記補強用金属材は、その金属材の幅方向中間位置に、該金属材の長手方向に延びる金属材補強用の凹部または凸部が設けられ、該金属材の幅方向両側端には板面と同一又は平行平面上に位置する平坦部が形成されていて、上記凹部又は凸部が該金属材に尖鋭な部分が生じないように形成され、上記金属材と発泡合成樹脂とが、相互の当接部分において接着されていることを特徴とするものである。
【0005】
上記構成を有する建築用合成板材は、上記金属材の板面と直交する向きに尖鋭な部分がないため、該合成板材にその金属材の板面側から外力が作用しても、発泡合成樹脂に該金属材による応力集中がなく、該発泡合成樹脂に金属材が原因で生じる剪断応力の発生が防止される。さらに、仮に合成板材に上記金属材の板面と平行な方向から外力が作用したとしても、金属材と発泡合成樹脂との接触面積が広く、接着面積が大きくて相互の接合が強力であるため、これら金属材と合成樹脂との間で接着の剥離が抑えられ、比較的尖鋭な金属材の端部によって発泡合成樹脂に応力が集中することが抑えられる。したがって、合成板材全体として高い剛性を維持しながらも、金属材が原因で生じるおそれがある合成板材の破損を防止することができる。
【0006】
本発明の建築用合成板材によれば、上記補強用金属材が、複数の凹部又は凸部を有しているものとすることができ、これにより金属材自体の補強をより強く行うことが可能であるため、結果として合成板材全体の剛性を向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の建築用合成板材の一実施例を示すもので、この実施例の合成板材は、押出成形された発泡合成樹脂1と、該発泡合成樹脂1に埋入された、該発泡合成樹脂1を補強するための板状の補強用金属材2とで構成され、全体として断面略矩形状に形成されている。
この合成板材は、胴縁や瓦桟等に使用されるもので、合成樹脂をほぼ一定の倍率で発泡させながら押出成形して上記発泡合成樹脂1を形成する際に、上記補強用金属材2を同時押出成形しながら両者を接着することにより得られるものである。
【0008】
上記補強用金属材2は、上記発泡合成樹脂1の押出方向(長さ方向)に延びる全体として平板状のもので、補強用金属材2は、幅方向中間位置に設けられた該金属材2の長手方向に延びる2本の金属材補強用の溝状の凹部3,3と、幅方向両側端及び凹部3,3の間に設けられた該金属材2の板面と同一平面上に位置する平坦部4とで形成されている。
【0009】
上記凹部3は、上記平坦部4と一体成形された溝状のもので、全体として尖鋭な部分が生じないように形成されている。即ち、この凹部3は、図1に示すように、その断面形状が緩やかな湾曲状となるように形成されていて、これにより凹部3によって発泡合成樹脂1に剪断応力、及び応力集中が生じることを可及的に防止するようにしている。
一方、上記平坦部4は、屈曲や凹凸のない平板状で、建築用合成板材の板面とほぼ平行となるように発泡合成樹脂1内に埋設されている。
【0010】
上記合成発泡樹脂1と補強用金属材2とは、それらの相互の当接部分、特に金属材2の表裏両面側において互いに接着されている。これにより、発泡合成樹脂1と金属材2とが接合一体化し、特に発泡合成樹脂1と接触面積の広い金属材2の板面とは接着面積が大きく、相互の結合が非常に強固である。したがって、仮に合成板材に対して、金属材2の板面と平行な方向の外力が作用しても、発泡合成樹脂1と金属材2とが相互に剥離する可能性が低く、相対的な位置ずれが抑えられ、また、発泡合成樹脂1の温度変化による伸縮も効果的に抑制される。
【0011】
上記構成を有する建築用合成板材は、上記金属材2の板面と直交する向きに尖鋭な部分がないため、該合成板材にその金属材2の板面側から外力が作用しても、発泡合成樹脂1に該金属材2による応力集中がなく、該発泡合成樹脂1に金属材2が原因で生じる剪断応力の発生が防止される。また、仮に合成板材に上記金属材2の板面と平行な方向から外力が作用したとしても、金属材2の板面と発泡合成樹脂1との相互の接着力が大きくて剥離が生じにくく、金属板2と発泡合成樹脂1との間で相対的な位置がずれることがないため、比較的尖鋭な金属材の端部よって発泡合成樹脂に大きな剪断応力が集中することが防止される。
したがって、合成板材全体として高い剛性を維持しながらも、金属材2が原因で生じるおそれがある合成板材の破損を防止することができる。
【0012】
上記実施例では、金属材2に金属材補強用の凹部3を2つ設けているが、この凹部3は1つでも、あるいは3つ以上でもよく、合成板材や発泡合成樹脂1、金属材2の大きさや強度を勘案して適宜設定することができる。この場合、凹部は金属材2に尖鋭な部分が生じないように形成する必要がある。
さらに、上記実施例では、金属材2の補強として溝状の凹部3を設けていたが、この凹部は3、金属材2の表裏どちらの方向に突出するものであってよい。また。金属材2の補強としては、該凹部3以外であっても、金属材2の板面表面に尖鋭な部分が生じないように該金属材2の一部の板厚を厚くして、金属材2の長さ方向に延びる凸部としてもよい。
【0013】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明の金属材補強を施した建築用合成板材によれば、金属材の板面と直交する向きに尖鋭な部分がないため、該合成板材にその金属材の板面側から外力が作用しても、発泡合成樹脂に該金属材による応力集中がなく、また、合成板材に上記金属材の板面と平行な方向から外力が作用したとしても、金属材の板面と発泡合成樹脂との接着面積が大きくて接合力が強いため剥離が抑えられ、相互の位置ずれが抑えられる。したがって、発泡合成樹脂に金属材が原因で生じる剪断応力の発生が抑制され、合成板材全体として高い剛性を維持しながらも、金属材が原因で生じるおそれがある合成板材の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す側断面図である。
【図2】従来例を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 発泡合成樹脂
2 金属材
3 凹部
4 平坦部

Claims (2)

  1. 押出成形された発泡合成樹脂内に、該発泡合成樹脂の押出方向に延びる板状の補強用金属材を埋入した建築用合成板材において、
    上記補強用金属材は、その金属材の幅方向中間位置に、該金属材の長手方向に延びる金属材補強用の凹部または凸部が設けられ、該金属材の幅方向両側端には板面と同一又は平行平面上に位置する平坦部が形成されていて、
    上記凹部又は凸部が該金属材に尖鋭な部分が生じないように形成され、
    上記金属材と発泡合成樹脂とが、相互の当接部分において接着されている、
    ことを特徴とする金属材補強を施した建築用合成板材。
  2. 請求項1に記載の建築用合成板材において、上記補強用金属材が、複数の凹部又は凸部を有しているもの。
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