JP3940023B2 - すくい縫いミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、布送り歯の前後方向の送り量を上下方向の運動量とは独立に調整可能としたすくい縫いミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のすくい縫いミシンにおける布送り歯駆動機構としては、1つのカムを回転駆動することにより布送り歯を上下方向及び前後方向に駆動させてループ状運動をさせるものがある(実公昭55−46136号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来のすくい縫いミシンにおける布送り歯駆動機構では、上下方向の運動量と前後方向の運動量とが一つのカムの形状に対応して連関させられており、それぞれの運動量の比率を独立して変更することができない。したがって、前後方向の運動量を小さくするとそれに伴って上下方向の運動量も小さくなってしまい、下記のような問題が生ずる場合がある。
【0004】
すなわち、通常の縫製作業では前後方向の運動量は大きいので上下方向の運動量は大きく布送りや縫製に支障が生じないが、前後方向の運動量を小さくしたいと望むとき、例えばすくい縫いの最終部分に止め縫いを施すような場合には、前後方向の運動量の減少に連関して上下方向の運動量も小さくなってしまい、布送りなどに支障が生ずる場合がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、前後方向の運動量を小さくしても上下方向の運動量が連関して小さくなることがないすくい縫いミシンを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のすくい縫いミシンは、布送り歯を上下方向及び前後方向に同期して駆動し、布送り歯をループ状の軌跡をもって運動させる布送り機構を備え前記布送り歯を上下方向に運動させる上下方向駆動機構と、当該上下方向駆動機構とは別に駆動され前記布送り歯を前後方向に運動させる前後方向駆動機構とを備えたすくい縫いミシンにおいて、先端に前記布送り歯が取り付けられたアーム部材を本体に前後方向に運動できるように取り付け、前記本体に軸支された駆動軸に固定されたカムの回転に応じて当該カムに係合した揺動ロッドを揺動させ、揺動調整クランクを前記本体に揺動自在に取り付け、当該揺動調整クランクの揺動量を調整することにより前記アーム部材の前後方向の運動量を前進側から後退側の間で調整し、前記揺動調整クランクの揺動端部と前記揺動ロッドの揺動端とを揺動量調整レバーを介して連結して前記揺動ロッドの揺動端を前記揺動調整クランクの揺動端部を中心として揺動させ、前記揺動ロッドの揺動端に揺動伝達レバーの一端を連結し、当該揺動伝達レバーの他端に形成された連結部を前記揺動ロッドの揺動に応じて揺動させることにより前記アーム部材を前後方向に運動させ、前記アーム部材の前後方向の運動量を調整するために前記揺動調整クランクを揺動させると当該揺動調整クランクの揺動端部が前記揺動伝達レバーの連結部と同軸状となり、同軸状態にある場合において前記揺動ロッドが揺動しても前記揺動伝達レバーの連結部には揺動が生ぜず前記アーム部材に前後方向の運動が生じないことを特徴とする。
【0007】
これにより、上下方向の運動量とは独立に前後方向の運動量を調整でき、前後方向の運動量を小さくしても上下方向の運動量が小さくなることがなく、布送りや縫製を安定して行うことができ、前後方向運動量を、縫製の目的などに応じて、前進側から後退側の間で独立に調整することができ、前後方向の運動が生じない状態(運動量が0)とすることができ、安定して止め縫いを施すことができる。
【0008】
本発明の請求項2記載のすくい縫いミシンは、前記揺動調整クランクを他の機構とは独立に瞬時に揺動させることができるようになし、前記揺動調整クランクを独立して揺動させて、前記揺動調整クランクの揺動端部を、瞬時に前記揺動伝達レバーの連結部と同軸又は前後方向の運動量が若干後退側になる位置にすることにより前記アーム部材の前後方向の運動量を瞬時に0又は後退側に設定することを特徴とする。
【0009】
これにより、止め縫い時などに前後方向の運動量だけを瞬時に0又は後退側に近いものとすることができ、安定した止め縫いなどを施すことができ、前後方向の運動量を0としていた場合には、機構上の特性から布送り歯布が鉛直方向に上下せず布が前進方向に若干量送られる場合もあったが、このように送り量を後退側に設定することによりミシン針が布に対してほぼ直角に刺さるように補正することができる。
【0010】
本発明の請求項3記載のすくい縫いミシンは、前後方向に運動させられる前記アーム部材には、先端に副送り歯が取り付けられた副送りアーム部材が前記アーム部材と一体的になって前後方向に運動できるように取り付けられ、前記アーム部材に設けた布送り歯と副 送りアーム部材に設けた副送り歯とを協同して駆動することにより布を円弧状に搬送させて曲線縫いを施すことを特徴とする。
【0011】
これにより、アーム部材の前後方向の運動量を調整するだけで布送り歯と副送り歯との前後方向の運動量を前進側から後退側に調整でき、特に布送り歯と副送り歯の前後方向の運動量を0に調整することができる
【0012】
本発明の請求項4記載のすくい縫いミシンは、前記上下方向駆動機構による上下方向運動量をほぼ一定とし、前記前後方向駆動機構による前後方向運動量を可変としたことを特徴とする。
【0013】
これにより、前後方向の運動量を小さくしても上下方向の運動量をほぼ一定にしておくことができ、布送りや縫製を安定して行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンについて説明する。
【0015】
本すくい縫いミシンは、布送り歯を上下方向及び前後方向に同期して駆動し、前記布送り歯をループ状の軌跡をもって運動させる布送り機構を備える。図1及び図3に示すように、先端に布送り歯が取り付けられたアーム部材3と、当該アーム部材3を上下方向に運動させる前記上下方向駆動機構1と、アーム部材3を前後方向に運動させる前記前後方向駆動機構2とを備える。
【0016】
本すくい縫いミシンの第1の特徴は、アーム部材3の上下方向の運動量とは独立に前後方向の運動量を調整できるようになっている点にある。第2の特徴は、アーム部材3の前後方向の運動量を小さくしても上下方向の運動量をほぼ一定にしておくことができるようになっている点にある。第3の特徴は、アーム部材3の前後方向運動量を、縫製の目的などに応じて、前進側から後退側の間で独立に調整することができ、アーム部材3の前後方向の運動量を0としていた場合においてミシン針を布に対してほぼ直角に刺さるように補正することができる点にある。第4の特徴は、止め縫い時などにアーム部材3の前後方向の運動量だけを瞬時に0に近いものとすることができる点にある。
【0017】
前後方向駆動機構2は、図1に示すように、回転駆動される駆動軸4に取り付けられたカム5と、カム5の偏心運動を前記アーム部材3の前後方向の運動に変換する前後方向運動量変換機構6と、当該前後方向運動量変換機構6による前後方向の運動量を前後方向の運動が0となる点を挟んで前進側及び若干後退側に調整可能とする前後方向運動量調整機構7と、当該前後方向運動量調整機構7により前後方向の運動が前進側に設定された状態から瞬時にほぼ0又は後退側の状態にする前後方向運動量ゼロ設定機構8とを備える。
【0018】
図1及び図8に示すように、前記カム5は駆動軸4に挿通され止めネジ5aにより固定されている。カム5は揺動ロッド9の基端側に形成された円形貫通孔9a内に挿入され、カム5の端面には円板部材10が止めネジ10aにより取り付けられている。揺動ロッド9には基端側から外方に延びるアーム部9bが形成され、アーム部9bの先端側には貫通孔9cが形成されている。貫通孔9c内にはピン13が挿通され、止めネジ9dにより固定されている。
【0019】
前記ピン13は、揺動伝達レバー11の端部近傍に形成された貫通孔11a内に挿入され、揺動量調整レバー12の端部近傍に形成された貫通孔12a内に挿入されている。これにより、揺動量調整レバー12と揺動伝達レバー11とがピン13により揺動ロッド9に一体に連結されている。
【0020】
揺動伝達レバー11の他端には貫通孔11bが形成され、この貫通孔11b内にはピン15が挿入されている。このピン15の先端部は連結部材16に形成された貫通孔16aに挿入されて止めネジ16cにより連結部材16と一体化されている。連結部材16の他端にスリット付き貫通孔16bが形成され、この貫通孔16b内にシャフト18が挿入されており、スリット部に止めボルト16dをねじ込んでシャフト18と連結部材16とを一体化している。
【0021】
図9に示すように、シャフト支持部材19は固定ボルト19aをネジ孔19cにねじ込み、スプリングピン19bを貫通孔19dを挿入することにより装置本体に固定されている。シャフト18は、シャフト支持部材19の上端に2個形成された軸受部19eに回転自在に挿通されている。
【0022】
シャフト18の連結部材16側とは反対側の端部は、揺動テコ20に形成されたスリット付き貫通孔20aに挿入されて、スリット部に止めボルト20dをねじ込んで、シャフト18と揺動テコ20とを一体化している。揺動テコ20にはスリット付き貫通孔20a側から外方に延びるアーム部20eが形成され、アーム部20eの先端部には貫通孔20bが形成されている。貫通孔20bにはピン22が挿通され止めネジ20cにより固定されている。ピン22は水平ロッド21の先端に形成された貫通孔21a内に挿通され水平ロッド21を揺動テコ20との間に挟むようになっている。
【0023】
水平ロッド21の他端には貫通孔21bが形成され、この貫通孔21b内にはピン23が挿通されている。ピン23は副送りアーム部材25の先端に形成された貫通孔とアーム部材3の先端に形成された貫通孔とに挿入され、止めネジ23aにより固定されている。
【0024】
図3に示すように、アーム部材3にはほぼ矩形状の貫通孔3aが形成され、貫通孔3a内には駆動軸4の先端近傍に固定された上下駆動用のカム26が挿入されている。装置本体にはガイド部材28がそれに形成されたスリット付き貫通孔28a内にピン27を挿入して固定ボルト27aにより固定され揺動自在に固定されている。ガイド部材28の先端部に形成された貫通孔28b内にピン29を挿入し、ピン29の先端部をアーム部材3に形成された貫通孔内に挿入することによりアーム部材3は揺動自在となっている。アーム部材3の先端部には溝部3bが形成され、この溝部3bには端部に布送り歯29aが形成された送り歯部材29が挿入されて固定ボルト29bにより固定されている。
【0025】
図1及び図3に示すように、副送りアーム部材25は、前述したようにピン23によりアーム部材3に連結されるとともに、副送りアーム部材25の先端に取り付けられたピン35を二股シャフト36の間に挿入し角玉部材を挿入することにより支持されている。アーム部材3にはそれに形成された貫通孔にピン31を挿入することにより支点部材32が揺動自在に支持されている。この支点部材32の先端に形成されたスリット付き貫通孔内にピン33が挿入され固定ボルト32aにより固定してある。このピン33は副送り伝達ロッド39の先端に形成された貫通孔に挿入され、副送り伝達ロッド39はピンによりガイド部材28に連結されている。また、ピン33は副送り支持部材40に形成された貫通孔に挿入され、副送り支持部材40にはそれに形成された溝部に副送り角玉部材42が挿入され、先端に副送り歯41が取り付けられている。
【0026】
図8に示すように、揺動量調整レバー12の端部に形成された貫通孔12bには、揺動調整クランク46の張出部46bの端部に形成されたピン部46cが挿入され、反対側からワッシャー46eを介して止めネジ46dがピン部46cにねじ込まれ揺動量調整レバー12と揺動量調整クランク46とが一体化されている。揺動調整クランク46の張出部46bの基端部にはシャフト部46aが一体に形成されている。
【0027】
シャフト部46aは、図2及び図10に示すように、クランク支持部材47の図中下部に形成された張出部47aを貫通する貫通孔47b内に挿入されている。シャフト部46aの先端部は連結部材48に形成されたスリット付き貫通孔48a内にその先端が突出する状態で挿入され、スリット部に固定ボルト48bをねじ込んで、シャフト部46aと連結部材48とが一体化されている。連結部材48には貫通孔48dが形成され、この貫通孔48d内にピン50が挿入され止めネジ48cにより一体化されている。前記シャフト部46aの先端部にはカラー49が挿入されて止めネジ49aにより一体化されている。カラー49には外方に突出するバネ掛け部49bが形成されている。
【0028】
クランク支持部材47は、スプリングピン47e及び固定ボルト47fにより装置本体に固定されている。このクランク支持部材47の図中上部には張出部47cが形成され、張出部47cには貫通孔47dが形成されている。この貫通孔47dにはシャフト52が挿入され、シャフト52の図中右端にはウォームホイール53が挿入されて止めネジ53aにより固定されている。シャフト52の図中左端には円板部材54が挿入されて止めネジ54aにより固定されている。円板部材54には貫通孔54bが形成され、貫通孔54b内にはピン55が挿入されて止めネジ54cにより一体化されている。
【0029】
図7又は図10に示すように、クランク支持部材47の図中上面には、取付板58が固定ボルト58aにより固定されている。取付板58の図中上面にはカバー板59が止めネジ59aにより固定されている。カバー板59には切欠部59bが形成され、取付板58には切欠部59bに対応して貫通孔58bが形成されている。この貫通孔58bには、スリーブ62が圧入されており、スリーブ62の貫通孔内にはシャフト60が挿入され、シャフト60の図中上端部付近には調整つまみ61が挿入され、止めネジ61aにより一体化されている。スリーブ62には調整つまみ61にクリック感を与えるためのバネ62aとボール62bとが装着されている。調整つまみ61の上面には調整つまみ61による調整量を示すための目盛板63が固定されている。シャフト60の図中下部側にはスラストベアリング66とウォーム65とが挿入され止めネジ65aによりシャフト60と一体化されている。
【0030】
図2及び図6に示すように、装置本体にはブラケット70が固定ボルト70aにより固定され、ブラケット70にはエアーシリンダー69が固定されている。このエアーシリンダー69のピストンロッドの先端には連結部材71が固定され、連結部材71にはスリットが形成され、このスリット部にはリンク板73の先端が挿入され、連結部材71のスリット部を貫通する貫通孔からピン72をリンク板73の先端に形成された貫通孔に挿通し、ピン72の先端の溝部に止め輪72aを圧入してピン72の抜け止めを図っている。
【0031】
リンク板73には長孔73aが貫通して形成され、長孔73aには前記ピン50がスペーサー74を通して挿入され、リンク板76に形成された貫通孔に挿通され、ピン50は前述したように前記連結部材48の貫通孔48dに挿入されて止めネジ48cにより固定されている。リンク板76には長孔76aが貫通して形成され、長孔76aには前記ピン55が挿通され、前記円板部材54に形成された貫通孔54b内に挿入されて止めネジ54cにより固定されている。
【0032】
装置本体に形成されたバネ掛け部79とカラー49から突出したバネ掛け部49bとの間にはコイルスプリング78が掛け渡されて取り付けられている。このコイルスプリング78は、シャフト部46aを常時一定の方向に復帰付勢する張力が付与される状態で取り付けられている。
【0033】
次に、本実施の形態にかかるすくい縫いミシンの動作について説明する。
【0034】
駆動軸4を回転させるとカム5及びカム26が回転する。カム26が貫通孔3a内で回転することによりアーム部材3は上下方向に運動させられる。一方、カム5が回転すると揺動ロッド9が揺動し、ピン13で連結された揺動伝達レバー11と揺動量調整レバー12とが揺動させられ、アーム部材3は前後方向に運動させられる。
【0035】
揺動伝達レバー11はピン15を介して連結部材16に一体に連結されているので、揺動伝達レバー11の揺動は連結部材16の揺動に変換される。連結部材16にはシャフト18が一体化され、シャフト18はシャフト支持部材19により回動自在に支持されているので、連結部材16の揺動はシャフト18の回動に変換される。シャフト18には揺動テコ20が一体化されているので、シャフト18の回動は揺動テコ20の揺動に変換される。揺動テコ20には水平ロッド21がピン22により連結されているので、揺動テコ20の揺動は水平ロッド21の前後運動に変換される。
【0036】
水平ロッド21の先端にはピン23を介してアーム部材3及び副送りアーム部材25が連結されているので、アーム部材3は前後方向に運動させられアーム部材3の先端に取り付けられた布送り歯29a及び副送り支持部材40の先端に取り付けられた副送り歯41は前後方向に運動させられる。カム26による上下方向の運動と同期して布送り歯29a及び副送り歯41はほぼループ状の軌跡を描いて運動し、布を前方に移動させ、ミシン針などの縫製機構を駆動することにより布に対してすくい縫いが施される。なお、副送り歯41は布送り歯29aと協同して布を円弧状に搬送させて、曲線縫いをするためのものである。
【0037】
ここで、アーム部材3の上下方向の運動量はカム26の形状により一定であるが、前後方向に運動量は以下の操作により後退側から0を通って前進側に調整可能となっている。この調整を行うには以下のようにする。
【0038】
すなわち、調整つまみ61を回転させると、シャフト60が回転しシャフト60に一体化されたウォーム65が回転する。ウォーム65にはウォームホイール53が噛み合っているので、調整つまみ61の回転に連動してウォームホイール53が回転させられる。ウォームホイール53にはシャフト52が一体化されシャフト52には円板部材54が一体化されているので、ウォームホイール53の回転に連動して円板部材54が回動させられる。
【0039】
円板部材54に形成された貫通孔54bにはピン55が挿入されて一体化され、連結部材48の貫通孔48dにはピン50が挿入されて一体化され、ピン55とピン50とはリンク板76により連結されているので、円板部材54の回動に連動して連結部材48が揺動させられる。連結部材48には揺動調整クランク46のシャフト部46aが一体化されているので、連結部材48の揺動はシャフト部46aの回動に変換させられる。シャフト部46aの先端部に張出部46bを介して一体に形成されたピン部46cが揺動量調整レバー12の貫通孔12b内に挿入されているので、シャフト部46aの回動は揺動量調整レバー12の揺動に変換される。
【0040】
図11を参照してアーム部材3の前後方向の移動量が調整される原理について説明する。図11(a)に示すように、揺動量調整レバー12に挿通されたピン部46cと揺動伝達レバー11に挿通されたピン15とが同軸軸線上にある場合には、駆動軸4の回転により揺動ロッド9が揺動駆動された場合、ピン13は図中の13の位置から13'の位置間を移動するが、ピン15とピン部46cと同軸軸線上にあるので、連結部材16には揺動が生じず、シャフト18の回転も生じない。したがって、シャフト18に連結された揺動テコ20や水平ロッド21には揺動や回動は生じなく、結局アーム部材3は前後方向に運動させられることはない。
【0041】
図11(b)に示すように、調整つまみ61の回転により揺動調整クランク46のシャフト部46aが回動させられた場合には、揺動調整クランク46のピン部46cは図示した位置に移動する。なお、移動量は調整つまみ61の回転量により変化するもので、本図の位置は一例を示すものである。この状態で駆動軸4が回転すると揺動ロッド9は図中9の位置から9'の位置間を移動する。この移動に伴ってピン13はピン部46cを中心とした円弧上を図中13の位置から13'の位置間を移動する。この移動に伴って揺動伝達レバー11は図示のように図中11の位置から11'の位置間に移動し、ピン15は図中15の位置から15'の位置間を移動する。連結部材16は図中16の位置から16'の位置間を移動し、シャフト18に回動が生ずる。この結果、揺動テコ20は揺動して水平ロッド21を前後方向に運動させアーム部材3が前後方向に運動させられる。
【0042】
図11(c)に示す状態は、水平方向の運動量を図11(b)の状態から逆方向すなわち後退側に調整した場合の動作を示すものである。図11(a)の状態では水平方向の運動は0になっているが、アーム部材2に設けられたピン29から布送り歯29aまでの距離に起因して布は前後方向に僅かに移動する状態となり、ミシン針は布に対して斜めに刺さる状態となる。この斜めに刺さる状態をほぼ垂直に刺さるようにするためには、布送りを僅かに水平方向に逆方向(後退方向)に運動させることにより補正することが有効である。
【0043】
すなわち、図11(c)に示すように、調整つまみ61を図11(b)とは反対方向に回転させて揺動調整クランク46のシャフト部46aを反対方向に回動させた場合には、揺動調整クランク46のピン部46cは図示した位置に移動させられる。なお、移動量は調整つまみ61の回転量により変化するもので、本図の位置は一例を示すものである。この状態で駆動軸4が回転すると揺動ロッド9は図中9の位置から9'の位置間を逆方向に移動する。この移動に伴ってピン13はピン部46cを中心とした円弧上を図中13の位置から13'の位置間を逆方向に移動する。この移動に伴って揺動伝達レバー11は図示のように図中11の位置から11'の位置間に逆方向に移動し、ピン15は図中15の位置から15'の位置間を逆方向に移動する。連結部材16は図中16の位置から16'の位置間を逆方向に移動し、シャフト18に逆方向への回動が生ずる。この結果、揺動テコ20は逆方向に揺動して水平ロッド21を前後方向に運動させアーム部材3が前後方向の逆方向に運動させられる。
【0044】
縫製作業を行う場合には、上述したように調整つまみ61を回してその縫製作業に必要とされる布送り量を設定する。布送り量は調整つまみ61に取り付けられた目盛板63の目盛により設定することができる。次いで、駆動軸4を回転駆動してアーム部材3を上下方向及び前後方向に運動させてアーム部材3の先端に取り付けられた布送り歯29aをループ状に運動させて布を搬送するとともに、駆動軸4の回転に連動させてミシン針などを往復運動させて縫製(すくい縫いなど)を行う。所望の長さだけ縫製し終えたら、終端部に止め縫い処理を施す。
【0045】
止め縫い処理を円滑かつ確実に施すためには布送り量を0近くにする必要があるが、従来のミシンでは布送り量を0近くにすると上下方向の運動量も小さくなってしまう。布押さえ機構による布の拘束を解除して布送り量を0にすると、布が容易に動いてしまう。したがって、従来のミシンではベテランの縫製作業者でないと上手に止め縫いができなかった。
【0046】
しかしながら、本すくい縫いミシンでは、上述したようにアーム部材3の上下方向の運動量は一定にしたまま前後方向の運動量を0近くにすることができる。止め縫いを施そうと意図した場合には、例えばフットスイッチを踏み込むなどによりエアーシリンダー69を作動させ、エアーシリンダー69のピストンロッドを突出させ、リンク板73を押し上げる。リンク板73の長孔73a内にはピン50が挿通されているので、長孔73aの終端部にピン50が当接するまではリンク板73だけが押し上げられて移動し、ピン50が長孔73aの終端部に当接した以降はピン50はリンク板73により押し上げられ連結部材48が揺動させられる。
【0047】
連結部材48と一体化された揺動量調整クランク46のシャフト部46aが回動させられ、揺動量調整レバー12が前後方向の運動量が0になる方向に揺動させられる。この結果、ピン部46cとピン15とがほぼ同軸線状に並び、アーム部材3の前後方向の運動量は0又は若干前進方向(後退方向に設定されている場合には若干後退方向)となる。上下方向の運動量は以前と同じであるので布の保持はそのままであり、この状態で縫製作業を行えば止め縫い処理を確実にかつ安定して施すことができる。
【0048】
リンク板73にはリンク板76がピン50を介して連結され、リンク板76の長孔76aにピン55が挿入されているが、ピン50の押し上げ動作時においては、ピン55は長孔76a内でそのままの位置に留まりリンク板76のみが押し上げられるので、調整つまみ61による調整量が狂うことはない。再びフットスイッチを踏み込む等によりエアーシリンダー69の作動を解除すると、リンク板73やリンク板76は逆の段階を経て元の状態に復帰する。
【0049】
ここで、揺動量調整クランク46のシャフト部46aの先端にはカラー49が一体化されており、カラー49から突出するバネ掛け部49bと装置本体側のバネ掛け部79との間にコイルスプリング78がシャフト部46aを引き戻す方向に付勢された状態で介装されているので、エアーシリンダー69の作動の解除に伴って揺動量調整クランク46は元の状態に復帰させられる。これにより、揺動量調整レバー12は調整つまみ61により設定させられた位置に戻り、布を前進方向に搬送して縫製する通常の縫製作業を行えるようになる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のすくい縫いミシンによれば、以下の効果を奏する。
【0051】
(1)上下方向の運動量とは独立に前後方向の運動量を調整でき、前後方向の運動量を小さくしても上下方向の運動量が小さくなることがなく、布送りや縫製を安定して行うことができる。
【0052】
(2)前後方向の運動量を小さくしても上下方向の運動量をほぼ一定にしておくことができ、布送りや縫製を安定して行うことができる。
【0053】
(3)前後方向運動量を、縫製の目的などに応じて、前進側から後退側の間で独立に調整することができ、前後方向の運動が生じない状態(運動量が0)とすることができ、安定して止め縫いを施すことができる。
【0054】
(4)止め縫い時などに前後方向の運動量だけを0に近いものとすることができ、安定した止め縫いを施すことができる。
【0055】
(5)前後方向の運動量を0としていた場合には、機構上の特性から布送り歯布が鉛直方向に上下せず布が前進方向に若干量送られる場合もあったが、このように送り量を後退側に設定することにより、ミシン針布に対してほぼ直角に刺さるように補正することができる。
【0056】
(6)前後方向の変位を瞬時にほぼ0にすることができ、例えば通常の縫製における最終段階での止め縫いなどを安定して施すことができる。
【0057】
(7)アーム部材の前後方向の運動量を調整するだけで布送り歯と副送り歯との前後方向の運動量を前進側から後退側に調整でき、特に布送り歯と副送り歯の前後方向の運動量を0に調整することができる
【0058】
(8)前後方向駆動機構や前後方向運動量調整機構などが簡単な構造であり、前後方向の送り量の調整に手間がかからず調整作業に熟練が要することもなく、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンを示す図である。
【図2】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンを示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンを示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンを示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンを示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンを示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンを示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンの一部を示す分解斜視図である。
【図9】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンの一部を示す分解斜視図である。
【図10】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンの一部を示す分解斜視図である。
【図11】 本発明の実施の形態にかかるすくい縫いミシンの動作を示す概略図である。
【符号の説明】
1 上下方向駆動機構
2 前後方向駆動機構
3 アーム部材
4 駆動軸
5 カム
6 前後方向運動量変換機構
7 前後方向運動量調整機構
8 前後方向運動量ゼロ設定機構
9 揺動ロッド
9c 貫通孔(揺動端)
12 揺動量調整レバー
15 ピン(連結部)
25 副送りアーム部材
29a 布送り歯
41 副送り歯
46 揺動調整クランク
46c ピン部(揺動端部)
48 連結部材
48a スリット付き貫通孔
50 ピン
69 エアーシリンダー
73 リンク板
76 リンク板
76a 長穴

Claims (4)

  1. 布送り歯を上下方向及び前後方向に同期して駆動し、布送り歯をループ状の軌跡をもって運動させる布送り機構を備え前記布送り歯を上下方向に運動させる上下方向駆動機構と、当該上下方向駆動機構とは別に駆動され前記布送り歯を前後方向に運動させる前後方向駆動機構とを備えたすくい縫いミシンにおいて、先端に前記布送り歯が取り付けられたアーム部材を本体に前後方向に運動できるように取り付け、前記本体に軸支された駆動軸に固定されたカムの回転に応じて当該カムに係合した揺動ロッドを揺動させ、揺動調整クランクを前記本体に揺動自在に取り付け、当該揺動調整クランクの揺動量を調整することにより前記アーム部材の前後方向の運動量を前進側から後退側の間で調整し、前記揺動調整クランクの揺動端部と前記揺動ロッドの揺動端とを揺動量調整レバーを介して連結して前記揺動ロッドの揺動端を前記揺動調整クランクの揺動端部を中心として揺動させ、前記揺動ロッドの揺動端に揺動伝達レバーの一端を連結し、当該揺動伝達レバーの他端に形成された連結部を前記揺動ロッドの揺動に応じて揺動させることにより前記アーム部材を前後方向に運動させ、前記アーム部材の前後方向の運動量を調整するために前記揺動調整クランクを揺動させると当該揺動調整クランクの揺動端部が前記揺動伝達レバーの連結部と同軸状となり、同軸状態にある場合において前記揺動ロッドが揺動しても前記揺動伝達レバーの連結部には揺動が生ぜず前記アーム部材に前後方向の運動が生じないことを特徴とするすくい縫いミシン。
  2. 前記揺動調整クランクを他の機構とは独立に瞬時に揺動させることができるようになし、前記揺動調整クランクを独立して揺動させて、前記揺動調整クランクの揺動端部を、瞬時に前記揺動伝達レバーの連結部と同軸又は前後方向の運動量が若干後退側になる位置にすることにより前記アーム部材の前後方向の運動量を瞬時に0又は後退側に設定することを特徴とする請求項1記載のすくい縫いミシン。
  3. 前後方向に運動させられる前記アーム部材には、先端に副送り歯が取り付けられた副送りアーム部材が前記アーム部材と一体的になって前後方向に運動できるように取り付けられ、前記アーム部材に設けた布送り歯と副送りアーム部材に設けた副送り歯とを協同して駆動することにより布を円弧状に搬送させて曲線縫いを施すことを特徴とする請求項1記載のすくい縫いミシン。
  4. 前記上下方向駆動機構による上下方向運動量をほぼ一定とし、前記前後方向駆動機構による前後方向運動量を可変としたことを特徴とする請求項1記載のすくい縫いミシン。
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