JP3939816B2 - レーザ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ光を出力するレーザ装置に関し、特に光ファイバでレーザを励起するレーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信またはレーザ加工分野では、より高出力でより安価なレーザ装置の開発が望まれている。この要請を満たせる可能性の高いものとして、光ファイバレーザ装置が知られている。
【0003】
光ファイバレーザ装置は、コア径並びに、コアとクラッドの屈折率差などを適切に選定することで比較的簡単にレーザ発振の横モードを単一にすることができる。また、光を高密度に閉じ込めることで、レーザ活性物質と光との相互作用を高められる。さらに、光ファイバの長さを長くすることで相互作用を大きく取れるので、高い効率で高品質のレーザ光を発生させることができる。このような優れた性質を有するため、光ファイバレーザ装置を用いれば、レーザ出力の強弱や熱や振動などに影響されない横モードをもった質の良いレーザ光を比較的安価に得ることができる。
【0004】
ここで、光ファイバレーザ装置のさらなる高出力化または高効率化を実現するには、光ファイバのレーザ活性イオンまたは色素、その他の発光中心(以下、「レーザ活性物質」という)の添加領域(通常はコア部)に効率よく励起光を導入する必要がある。ところが、通常、単一モードの導波条件を満たすようにコア径を設定すると、そのコア径は十数μm以下に限定される。そのため、コア径内に効率よく励起光を導入するのは一般的に困難である。これを克服する手段として、いわゆる2重クラッド型ファイバレーザが提案されている(例えば、「H.Zellmer,U.Willamowski,A.Tunnermann,and H.Welling,Optics Letters. Vol.20,No.6,pp.578-580,March,1995. 」に記載されている)。
【0005】
2重クラッド型ファイバレーザは、コア部の周りに、コアより屈折率の低い第1クラッドを設け、その外側にさらに屈折率の低い第2クラッドを設けたものである。これにより、第1クラッドに導入された励起光は、第1クラッドと第2クラッドとの屈折率の差による全反射により、第1クラッドに閉じ込められた状態を保ちながら伝搬する。この伝搬の際に、励起光はコアを繰り返し通過し、コアに含まれるレーザ活性物質を励起することになる。この2重クラッド型ファイバレーザであれば、励起光は、第1のクラッド部に導入すればよい。しかも、第1クラッドは、コアよりも数百から千倍程度の断面積を有する。そのため、より多くの励起光を導入することが可能となり、高出力化が図れる。
【0006】
このように、2重クラッド型ファイバレーザは、発振効率が高く、また発振横モードが単一でしかも安定であるという利点を持つため、微細な切断や微細な溶接等の加工用レーザとしての高い能力を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、2重クラッド型ファイバレーザは、コア部でのブリリュアン散乱やラマン散乱といった非線型効果による損失の増大やコア部の強力な光による損傷によって、そのレーザ出力が制限されるという欠点がある。現在入手可能なコア材料では、2重クラッド型ファイバレーザの出力は数十Wから百数十Wに制限されている。
【0008】
この欠点を克服するために直感的に発想される手段として、「コア径の拡大」が挙げられるが、ファイバレーザのコア径を拡大すると、レーザ発振の横モードが多モード化するという問題が生じる。多モード化すると、ファイバレーザの利点の1つである横モードの安定性が失われることになる。すると、出力の強弱やファイバのわずかな振動や形状の変化によって、そのレーザ出力の横モードが変化してしまう。その結果、例えばレーザ加工では、集光点での光の強度分布が不安定になるという問題が生じる。
【0009】
そこで、2重クラッド型ファイバレーザの欠点を補う別の方法として、ファイババンドル(ファイバの束)を用いることが考えられる。単一横モードのファイバレーザを複数本束ねれば、束ねた本数分だけ出力を増やすことができるからである。
【0010】
しかし、単一横モードのファイバレーザを単純に複数本束ねた場合、コアに比べて遥かに大きいクラッド部(直径で約100倍)がそれぞれのコア部に付いているため、このファイババンドルをレーザ装置に用いたとしても、発光点であるコアが広い空間内に点在する形となって、輝度は低下してしまうという問題点がある。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、安定した単一横モードを維持したまま、高い輝度で高出力のレーザ光を出力できるレーザ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、第1の波長の励起光を入射することでレーザ活性物質を励起し第2の波長のレーザ光を出力するレーザ装置において、レーザ光の伝搬経路であるとともにレーザ活性物質を含み、端部からの距離が、前記レーザ活性物質により励起されるレーザ光の波長の10000倍以内の領域において、前記レーザ光のエバネッセント波が、漏れ出したエネルギーの0.9倍の強度に減衰する距離よりも短い間隔で配置された複数の導波領域と、前記複数の導波領域の周囲に設けられ、前記複数の導波領域よりも低い屈折率のクラッド領域と、前記導波領域の入射端へ、前記レーザ活性物質を励起するための励起光を入射する励起手段と、を有することを特徴とするレーザ装置が提供される。
【0016】
このレーザ装置によれば、励起手段により導波領域内のレーザ活性物質が励起されると、単一横モードのレーザ光が発生する。発生したレーザ光は導波領域とクラッド領域との間で全反射され、複数の導波領域の出射端から高密度のレーザ光の束となって出力される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明のレーザ装置の概略構成を示す図である。このレーザ装置は、レーザ光を励起する媒体として2重クラッド型ファイバレーザ用の16本のファイバを束ねたファイババンドル100を用いている。束ねられた各ファイバは、導波領域であるコアと、コアの周囲に設けられ、コアよりも屈折率の低い第1クラッド、第1クラッドの周りに設けられ、第1クラッドよりも屈折率の低い第2クラッドとで構成されている。
【0018】
ファイババンドル100のファイバが分離されている分離部101側の入射端に励起光10が入射され、ファイバが束ねられているバンドル部102側の出射端からレーザ光10aが出力される。バンドル部102は、横モードの影響を互いに及ぼし合わない範囲で、出射端におけるコアの間隔が微少となるように束ねられている。なお、ファイバから出射される光線の方向を揃える必要があるため、出射端から1cm以内の範囲においては、各コアは平行である。
【0019】
また、ファイババンドル100の励起光の入射端に、16個のレーザダイオード(以下「LD」という)21が設けられている。LD21は、電源装置20によって駆動され、波長が0.8μmの励起光10を出力する。LD21から出力された励起光10は、ファイババンドル100内の第1クラッドと第2クラッドの境界部分で全反射を繰り返しながら、ファイバ内を伝搬する。そして、励起光が伝搬の途中でコアを通過すると、レーザ活性物質が励起され、レーザ光が発生する。励起光のエネルギーは、出射端に達する前に全てレーザ光に変換され、出射端からはレーザ光10aのみが出力される。
【0020】
この装置から出力される16本のレーザ光10aは、レーザ出力の強弱や熱や振動あるいはファイバのわずかな変位などによってレーザ出力の横モードが変化しない。つまり、極めて安定した横モードを有する。しかも、高密度に配置された複数のコアから出力されているため、光ファイバレーザの上限と同程度の輝度を有する。さらに、複数のレーザ光が束ねられて出射されるため、1本の光ファイバレーザよりも格段に大きなレーザ出力が可能である。
【0021】
図2は、ファイババンドルの励起光の入射端の拡大図である。16本のファイバ110a〜110pの中心には、導波領域であるコア111a〜111pがある。コア111a〜111pには、レーザ活性物質がドープされている。コア111a〜111pの周囲には第1クラッド112a〜112pが設けられている。第1クラッド112a〜112pは、コア111a〜111pよりも屈折率が低い。第1クラッド112a〜112pの周囲には、第2クラッド113a〜113pが設けられている。第2クラッド113a〜113pは、第1クラッド112a〜112pよりも屈折率が低い。
【0022】
そして、ファイバ110aに含まれるレーザ活性物質を励起するための励起光11は第1クラッド112aに対して入射される。同様に、他のファイバの第1クラッドにも励起光が入射される。
【0023】
図3は、ファイババンドルのレーザ光の出射端の拡大図である。ファイババンドル100の出射端では、16個のコア111a〜111pが、微少な間隔で中央部に集中して配置されている。各コア111a〜111pは、隣り合うコア同士のレーザ発振の横モードが互いに影響しないような十分な間隔を確保し、かつ、出来るだけ高密度に配置されている。
【0024】
ここで、横モードが影響し合わない距離は、レーザ発振波長のエバネッセント波によって定められる。
エバネッセント波とは、コアを伝播するレーザ光が、コアと第1クラッドの間で全反射する際に、第1クラッド側へ漏れ出す光のことである。エバネッセント波の強度は、コアと第1クラッドとの境界から離れるに従い減少する。高いエネルギーのエバネッセント波が、隣り合った別のコアに進入すると、レーザ光が互いに影響を及ぼし合い、単一横モードの状態が崩れてしまう。
【0025】
そこで、単一横モードの状態を崩さないためには、コアと第1クラッドとの境界におけるエバネッセント波の強度を基準値とし、原則として、エバネッセント波の強度が基準値の0.9倍に減衰する距離よりも長い間隔でコア同士を隣接させる必要がある。ただし、コアが隣接している領域(バンドル部102)の長さがレーザ波長の10000倍以内であれば、エバネッセント波が基準値の0.9倍に減衰する距離よりも短い間隔でコア同士が隣接していても、横モードが影響し合うことはない。したがって、バンドル部102の長さをレーザ波長の10000倍以内にすれば、コアをより接近させることができる。この場合には、コア同士が密着していてもよい。
【0026】
また、コアの間隔が離れすぎていると、単にファイバを束ねた場合と同様に、出射光が広い範囲に点在してしまい、出射光の単位面積当たりの強度を上げることができなくなってしまう。したがって、エバネッセント波の強度が基準値の0.01倍となる距離よりも短い間隔でコア同士が隣接していることが望ましい。
【0027】
図4は、コア間隔とモードの変化率との関係を示す図である。この図では、横軸にコア間隔(μm)を取り、縦軸にモードの変化率を取っている。ここで、モードの変化率は、コアが密着した状態を1とした場合の発振横モードの強度変化率を示している。この図から分かるように、モードの変化率は、コア間隔が1μm以内の範囲ではコア間隔が広がるに従い急激に減少し、コア間隔が2μmになると発振横モードの強度変化は微少なものとなる。そして、コア間隔が12μm以上離れれば、発振横モードの強度はほとんど変化しなくなる。
【0028】
次に、本発明のレーザ装置に用いるファイババンドルの製造方法について説明する。
図5は、ファイババンドルの製造工程の前半を示す図である。なお、この図では第1クラッドと第2クラッドとの境界部分は図示していない。また、以下の説明では、第1クラッドと第2クラッドとを合わせて、単に「クラッド」と呼ぶこととする。
〔S1〕ファイバ110aを図示していないガラス製V溝に接着剤を用いて固定し、ファイバのクラッド研削装置であるダイシングソーに取り付ける。
〔S2〕ダイシングソーを用いて、コア111aから5μmの距離を残してクラッドを削り取る。
〔S3〕工程S1,S2と同様の手順でクラッドを研削したファイバ110bを、接着剤によってファイバ110aと接着する。
〔S4〕コア111bから5μmを残して、クラッドを削り取る。
〔S5〕工程S1,S2と同様の手順でクラッドを研削したファイバ110cを、接着剤によってファイバ110bと接着する。
〔S6〕コア111cから5μmを残して、クラッドを削り取る。
〔S7〕工程S1,S2と同様の手順でクラッドを研削したファイバ110dを、接着剤によってファイバ110cと接着する。
【0029】
これにより、1次元のファイバアレイを作ることができる。そして、同様の1次元ファイバアレイを全部で4個作る。このように、クラッドの研削とファイバの接着とを交互に行うのは、クラッドを少しずつ研削することにより、ファイバの機械的な強度を保ちながら加工を進めるためである。
【0030】
図6は、ファイババンドルの製造工程の後半を示す図である。この工程では、1次元ファイバアレイを基本として2次元ファイバアレイを作成する。
〔S11〕ファイバアレイ100aを図示していないガラス製V溝に接着剤を用いて固定し、ダイシングソーに取り付ける。
〔S12〕ダイシングソーを用いて、コア111a〜111dから5μmの距離を残してクラッドを削り取る。
〔S13〕工程S11,S12と同様の手順でクラッドを研削したファイバアレイ100bを、接着剤によってファイバアレイ100aと接着する。
〔S14〕コア111e〜111hから5μmを残して、クラッドを削り取る。
〔S15〕工程S11,S12と同様の手順でクラッドを研削したファイバアレイ100cを、接着剤によってファイバアレイ100bと接着する。
〔S16〕コア111i〜111lから5μmを残して、クラッドを削り取る。
〔S17〕工程S11,S12と同様の手順でクラッドを研削したファイバアレイ100dを、接着剤によってファイバアレイ100cと接着する。
【0031】
これにより、2重クラッド型のファイバの出力側が2次元のファイバアレイとして束ねられる。このようにして作成されたファイババンドルをファイバレーザ装置に利用することにより、高出力のレーザ装置が得られる。
【0032】
なお、上記の説明では、ファイバを束ねる際に、接着剤で接着するものとしているが、ファイバ同士を融着して束ねることもできる。
また、上記の説明では、ファイバを1本ずつ束ねることで1次元ファイバアレイを作成し、その1次元ファイバアレイを束ねて本発明のファイババンドルを作成しているが、加工時の機械的強度が問題とならない場合には、全てのファイバを細く切削した後、それらを一度に束ねても良い。
【0033】
ところで、上記のファイババンドルは、コアが縦と横に一直線に並んでいるが、配列を変えることにより、さらに高密度に束ねることができる。そのようなファイババンドルの例を以下に説明する。
【0034】
図7は、より高密度に配列したファイババンドルの例を示す図である。この図は、レーザ光の出射端を示している。このファイババンドル30は、図中の左から1列目に、3つのコア31a〜31cが縦に並んでいる。その右側の2列目に、4つのコア31d〜31gが縦に並んでいる。2列目のコア31d〜31gの間隔は、1列目のコア31a〜31cの間隔と同じであり、2列目の最上部のコア31dと最下部のコア31gの中点が、1列目の中央のコア31bと同じ高さになる。
【0035】
同様に、3列目には5つのコア31h〜31lが配置され、4列目には4つのコア31m〜31pが配置され、5列目には3つのコア31q〜31sが配置されている。
【0036】
このようなファイババンドル30の製造方法を以下に説明する。なお、1次元のファイバアレイを作成するまでの工程(図5に示す)は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0037】
図8は、より高密度に配列したファイババンドルの製造工程を示す図である。
〔S21〕3つのファイバが束ねられた1次元のファイバアレイ30aを図示していないガラス製V溝に接着剤を用いて固定し、ダイシングソーに取り付ける。
〔S22〕ダイシングソーを用いて、所定の位置を頂点とし、頂角120度でクラッドを削り取る。
〔S23〕工程S22と同様の手順で、クラッドの所定の位置を削り取る。
〔S24〕4本のファイバを束ね、工程S22,S23と同様の方法でクラッドを削り取った1次元のファイバアレイ30bを、ファイバアレイ30aに接着する。
〔S25〕工程S22,S23と同様の手順で、クラッドの所定の位置を削り取る。
〔S26〕5本のファイバを束ね、工程S22,S23と同様の方法でクラッドを削り取った1次元のファイバアレイ30cを、ファイバアレイ30bに接着する。
〔S27〕以後同様に、4本のファイバを束ねたファイバアレイ30dと、3本のファイバを束ねたファイバアレイ30eを順次接着する。
【0038】
これにより、出射端のコアがより高密度に配置されたファイババンドルを作成することができる。
なお、以上の説明では、ファイバレーザに用いるための2重クラッド型ファイバを直接束ねる場合について説明したが、コアを近接させる部分とレーザ光を励起する部分とを個別に作成してもよい。この場合、線引きによって、出射端のコアを高密度に配列させることができる。そのようなファイババンドルの例を以下に説明する。
【0039】
図9は、線引きによるファイババンドルの製造工程の前半を示す図である。
〔S31〕まず、複数のプリフォーム(線引きする前のガラス母材)を接着剤で接着(若しくは融着)することにより単純に束ね、ファイババンドル40を作る。なお、このプリフォームは、2重クラッド型ではなく、レーザ光を伝搬するコアとその周囲に設けられたクラッドとからなる。また、コアには、レーザ励起用の材料はドープされていない。このファイババンドル40の両側の端面41,42は、同じ大きさである。
〔S32〕ファイババンドル40の一端を線引きする。これにより、ファイババンドル40が、端面41から端面42にかけて徐々に細くなり、端面42は縮小される。
【0040】
図10は、線引きによるファイババンドルの製造工程の後半を示す図である。
〔S33〕コアにレーザ活性物質がドープされた2重クラッド型のファイバを束ねたファイババンドル50を用意する。このファイババンドル50の端面51に、ファイババンドル40の端面41を合致させ、2つのファイババンドルを接続する。接続は、接着、融着、突き合わせなど、既存の光ファイバ接続技術で行う。
【0041】
これにより、本発明のレーザ装置に用いるファイババンドルを、線引きによって作成できる。このように、線引きによってコア同士を近接させることにより、高出力で輝度の高い単一横モードのレーザ光を発生させるためのファイババンドルを容易に作成することができる。
【0042】
なお、上記の各ファイババンドルの製造方法の説明では、ファイバの端部から一定の領域に対して切削若しくは線引きを行うことで本発明に係るファイババンドルを製造したが、これらの加工処理をファイバの中間部分に対して行ってもよい。すなわち、ファイバの中間部分を研削若しくは引き伸ばしにより束ねてバンドル化する。そして、束ねた部分の中央付近で切断すれば、本発明のファイババンドルを2本同時に作成できる。
【0043】
次に、単にファイバを束ねたファイババンドルをレーザ装置に用いた場合と、上記のようなコアが近接して配置されたファイババンドルをレーザ装置に用いた場合との輝度の違いについて考察する。
【0044】
いま、コア径10μm(単一横モード)、第1クラッド径900μm、第2クラッド径1000μmのレーザ媒体を用いた2重クラッド型ファイバレーザ装置を考える。このファイバレーザ装置では、LDで励起したレーザ光を、励起光として2重クラッド型ファイバに入射する。LDで励起して、非線形効果により損失が顕著にならない上限の出力として150Wが得られている場合、その輝度P1は、
【0045】
【数1】
Figure 0003939816
となる。
【0046】
このような単一横モードのファイバレーザを単純に複数本束ねたレーザ装置の輝度P2は、以下のようになる。
図11は、複数のファイバを単純に束ねたレーザ装置のレーザ光の出射端を示す図である。この図に示すファイババンドル60は、19本のファイバ61が束ねられている。各ファイバ61は、中心にコアが設けられている。コアの直径は10μmほどである。コアの周りには、直径は900μmの第1クラッドが設けられている。第1クラッドの周りには、直径1mm(1000μm)の第2クラッドが設けられている。
【0047】
図のように19本のファイバ61を配置すれば、レーザ出力はファイバ一本の場合の19倍の2.85kW得られるが、発光領域62の直径は約4mmとなる。したがって、その輝度P2は、
【0048】
【数2】
Figure 0003939816
である。
【0049】
この結果を、式(1)の結果と比べれば分かるように、ファイバ一本の場合に比べて、輝度は著しく低下してしまう。つまり、レーザ加工に重要な集光性が大幅に低下したことを意味する。この理由は、単一横モードのファイバレーザを単純に束ねた場合、平均出力は束ねた本数分だけ増やすことができるが、コアに比べて遥かに大きいクラッド(直径で100倍)がそれぞれのコアに付いているため、発光点であるコアが広い空間に点在する形となるからである。
【0050】
そこで、本願発明のファイババンドルにより出力150Wのファイバを束ねた場合を考える。
図12は、本発明のレーザ装置のレーザ光の出射端におけるコアの配置を示す図である。この図に示すファイババンドル70は、コア径10μmの19本のコア71が、10μm間隔で配置されている。すると、19本のレーザ光の発光領域72の直径は、90μmとなる。
【0051】
すると、レーザ出力はファイバ一本の場合の19倍の2.85kW得られ、平均の輝度P3は、
【0052】
【数3】
Figure 0003939816
である。したがって、単純にファイバを束ねた場合に比べ、平均の輝度が非常に高くなっている。
【0053】
このようなレーザ装置を、レーザ加工装置に用いることにより、高精度の加工を高速に行うことが可能となる。
本発明のファイババンドルによる光ファイバレーザ装置をレーザ加工装置に用いる場合、ファイババンドルのレーザ光の出力側には、加工ヘッドが設けられる。加工ヘッド内には集光レンズが設けられ、レーザ光をワーク上で集光させることができる。また、加工ヘッドには補助ガスが導入されており、加工ヘッドの先端から補助ガスが噴出するように構成されている。補助ガスには、酸化を防止するシールドガスや、発生するプラズマを除去するプラズマ処理ガスなどが用いられる。また、レーザ加工装置には、ワークを載せる台とその台を移動させるサーボモータが設けられている。そして、レーザ出力やワークの位置などを数値制御装置などで制御することにより、精密な加工を行うことができる。
【0054】
【実施例】
以下に、図1に示した第1の実施の形態を具体化したレーザ装置の実施例について説明する。
【0055】
ここでは、コア径10μm、第1クラッド径900μm、第2クラッド径1000μm、長さ50mの2重クラッド型ファイバを16本用いて、ファイババンドルを作成した。ファイバのコアには、0.5at%の濃度でNd3+イオンをドープした。ファイバの母材には、石英系ガラスを用いた。
【0056】
励起光の入射端は、励起光が効率よく入力されるように平面研磨され、励起光0.8μmにおいて透過率95%以上、レーザ発振波長1.06μmにおいて反射率98%以上の多層膜コートが施されている。レーザ光の出射端ではファイバが束ねられ、コアが10μmの間隔で配置されている。
【0057】
なお、図1においては、便宜上ファイバの全長を短く描いているが、実際には1本50mの長さがある。そして、光ファイバは周知のように柔軟性に優れているため、図示していない直径約20cmのボビンに巻き付ける構造とした。
【0058】
このレーザバンドルを用いた装置に、発振波長0.8μm、出力20WのLDを16個用いて励起させたところ、波長1.06μmで出力120Wというレーザ光が得られた。
【0059】
このレーザ装置の出力を焦点距離50mmのレンズ系で集光したところ、直径50μm以内に出力の90%以上のエネルギーが集光できた。一般的な大出力YAG(Yttrium Alminium Garnet) レーザの集光径が、同様の条件で500μm以上であるから、集光径は1/10以下である。集光点でのエネルギー密度は、集光点の面積に反比例するので、一般的な大出力YAGレーザに比べて100倍以上のエネルギー密度を発生させることが出来る。しかも、このレーザ装置の集光径は、レーザ出力や熱の状態によらず常に一定であるため、安定したレーザ加工が可能である。
【0060】
なお、この例では、励起用に用意したLDが少なかったために120Wの出力しか得られなかったが、この出力値はこのレーザ装置の限界ではない。励起光の出力を上げればレーザ装置の出力をさらに挙げることができ、その上限は2kW以上であると考えられる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のレーザ装置では、レーザ光の出射端のコアを、レーザ発振の横モードが互いに影響しない間隔をおいて近接して配置したため、安定した横モードを有し、かつ高輝度で大出力のレーザ光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ装置の概略構成を示す図である。
【図2】ファイババンドルの励起光の入射端の拡大図である。
【図3】ファイババンドルのレーザ光の出射端の拡大図である。
【図4】コア間隔とモードの変化率との関係を示す図である。
【図5】ファイババンドルの製造工程の前半を示す図である。
【図6】ファイババンドルの製造工程の後半を示す図である。
【図7】より高密度に配列したファイババンドルの例を示す図である。
【図8】より高密度に配列したファイババンドルの製造工程を示す図である。
【図9】線引きによるファイババンドルの製造工程の前半を示す図である。
【図10】線引きによるファイババンドルの製造工程の後半を示す図である。
【図11】複数のファイバを単純に束ねたレーザ装置のレーザ光の出射端を示す図である。
【図12】本発明のレーザ装置のレーザ光の出射端におけるコアの配置を示す図である。
【符号の説明】
10 励起光
10a レーザ光
20 電源装置
21 レーザダイオード(LD)
100 ファイババンドル
101 分離部
102 バンドル部

Claims (6)

  1. 第1の波長の励起光を入射することでレーザ活性物質を励起し第2の波長のレーザ光を出力するレーザ装置において、
    レーザ光の伝搬経路であるとともにレーザ活性物質を含み、端部からの距離が、前記レーザ活性物質により励起されるレーザ光の波長の10000倍以内の領域において、前記レーザ光のエバネッセント波が、漏れ出したエネルギーの0.9倍の強度に減衰する距離よりも短い間隔で配置された複数の導波領域と、
    前記複数の導波領域の周囲に設けられ、前記複数の導波領域よりも低い屈折率のクラッド領域と、
    前記導波領域の入射端へ、前記レーザ活性物質を励起するための励起光を入射する励起手段と、
    を有することを特徴とするレーザ装置。
  2. 前記クラッド領域は、前記導波領域の入射端から一定の範囲では、前記複数の導波領域の周囲に設けられ、前記複数の導波領域よりも低い屈折率の第1クラッド領域と、前記第1クラッド領域の周囲に設けられ、前記第1クラッド領域よりも低い屈折率の第2クラッド領域とで構成されており、
    前記励起手段は、入射端の前記第1クラッド領域に対して励起光を入射することにより、前記レーザ活性物質を励起することを特徴とする請求項1記載のレーザ装置。
  3. 前記導波領域の入射端には、第1の波長の励起光を透過し、第2の波長のレーザ光を反射する多層膜コートが施されていることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ装置。
  4. 第1の波長の励起光を入射することでレーザ活性物質を励起し第2の波長のレーザ光を出力するレーザ装置において、
    少なくとも一端が束ねられた複数の光ファイバからなり、レーザ光の伝搬経路を構成するとともにレーザ活性物質を含み、レーザ光の出射端では、端部からの距離が、前記レーザ活性物質により励起されるレーザ光の波長の10000倍以内の領域において、前記レーザ光のエバネッセント波が、漏れ出したエネルギーの0.9倍の強度に減衰する距離よりも短い間隔で配置された複数のコアと、前記複数のコアの周囲に設けられ、前記複数のコアよりも低い屈折率のクラッドとからなるファイババンドルと、
    前記ファイババンドルの入射端へ、前記レーザ活性物質を励起するための励起光を入射する励起手段と、
    を有することを特徴とするレーザ装置。
  5. 前記ファイババンドルは、前記入射端から一定の範囲内におけるクラッドが、前記複数のコアの周囲に設けられ、前記複数のコアよりも低い屈折率の第1クラッドと、前記第1クラッドの周囲に設けられ、前記第1クラッドよりも低い屈折率の第2クラッドとで構成されており、
    前記励起手段は、入射端における前記第1クラッドに対して励起光を入射することにより、前記レーザ活性物質を励起することを特徴とする請求項4記載のレーザ装置。
  6. 前記ファイババンドルの入射端には、第1の波長の励起光を透過し、第2の波長のレーザ光を反射する多層膜コートが施されていることを特徴とする請求項4または5記載のレーザ装置。
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