JP3939807B2 - ガス併用射出成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形方法に関するもので、更に詳しくは、キャビティ内に射出した樹脂とキャビティ面との間への加圧ガスの圧入を伴うガス併用射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、射出成形において、比較的厚肉の成形品や部分的な厚肉部を有する成形品を成形する場合、冷却に伴う樹脂の収縮によって、成形品の表面にひけと呼ばれる窪みを生じることが広く知られている。
【0003】
従来、最も一般的な上記ひけ防止策としては、射出圧力を高めると共に射出時間を延長し、溶融樹脂の供給圧を加えながらキャビティ内の樹脂をある程度冷却する方法(樹脂加圧法)が知られている。
【0004】
しかしながら、上記の樹脂加圧法によるひけ防止は、特開昭50−75247号公報に示されるように、成形品の肉厚等によって成形条件が異なるので、成形作業が煩雑になると共に、高い樹脂圧を加えなければ十分なひけ防止を図れないので、パーティング面にバリを発生させる原因となり、このバリ除去の作業負担が増大する問題がある。また、過度の樹脂圧を加えると、成形品にソリが発生するといった寸法精度上の問題もでてくる。更に、樹脂加圧法では、ゲート付近の厚肉部には圧力伝達が容易であるが、ゲート部から離れた厚肉部には十分に圧力がかからず、厚肉部の位置によっては完全にひけを解消することができないといったことが起こる。
【0005】
そこで、上記特開昭50−75247号公報では、キャビティ内に溶融樹脂を射出した後、成形品の片面側を弁体で突き上げて、成形品の片面側と、この片面側を成形するコアとの間に空所を形成し、この空所に加圧ガスを圧入して、成形品の他面をこれに対応するキャビティ面に圧接させるガス併用射出成形方法を提案している。
【0006】
このガス併用射出成形方法は、樹脂加圧法における樹脂圧を加えない代わりに加圧ガスの圧入を行い、加圧ガスの圧入によってひけの発生防止を図っているものである。このガス併用射出成形方法は、加圧ガスを成形品の所定の片面側に空所を形成して加圧ガスを圧入し、この成形品の片面側に圧入した加圧ガスの圧力によって、成形品の他面を対応するキャビティ面に押し付けることでひけを防止しようとするものである。しかし、この方法では、比較的高圧のガスを注入する必要があり、また加圧ガスが容易に溶融樹脂と金型キャビティの間に注入できないといった問題がある。
【0007】
また、偏肉部を有する成形品におけるひけの防止方法としては、偏肉部を構成する溶融樹脂の内部に加圧ガスを導入して中空部を形成する、一般にガスアシスト成形と呼ばれる方法が知られている。この方法によると、偏肉部のひけは防止できるが、偏肉部と薄肉部のキャビティ面への押し付け力の差や、樹脂内に加圧ガスが導入された後の二次転写等によって、偏肉部が突出した部分に対応する反対側の平坦面側に光沢や艶のむらをしばしば生じる。また溶融樹脂内に加圧ガスを十分に注入するには比較的高圧のガスを用いる必要がある。
【0008】
更に、特開平7−314484号公報には、金型を完全に閉鎖しない状態で溶融樹脂の充填を開始した後で、金型の型締めで溶融樹脂を隅々まで展延する射出成形において、加圧ガスを溶融樹脂の表面と所定部分のキャビティ面との間に注入する方法が開示されている。しかし、この方法では、特定厚肉部の金型キャビティのみにしか加圧ガスを注入できず、また比較的高圧ガスの使用が必要となる。更に金型を二段型締めする複雑な機構が必要であったり、金型合わせ面に関しても特殊な加工が必要などの制約を受ける。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、OA機器や家庭電気器具の筐体、更には自動車部品等の大型の成形品の需要が高まると共に、製品のコストダウンのための成形品の薄肉化の要望も高まっている。薄肉で大型の成形品の場合、強度維持のために、一般にリブやボスと称する補強部を設けるのが普通である。リブやボスは、肉厚であるほど補強効果が高く、更には樹脂を金型内に容易に充填できるようにする流動支援効果も得られる。
【0010】
しかしながら、厚肉のリブやボスを設けると、リブやボスに対応する成形品の表面(意匠面)のひけ、光沢や艶むら等の外観上の問題が発生しやすい。即ち、近年需要が高まっている薄肉で大型の成形品は、必要な強度維持のため厚肉のリブやボスを備えたものとなるが、このような厚肉のリブやボスを設けた場合の外観不良発生防止技術がいずれも不十分で、満足できる成形品が得にくいのが現状である。
【0011】
また、厚肉部と同時に薄肉部を同時に成形できることが射出成形の本来の長所であり、この長所を生かすために溶融樹脂内に加圧ガスを注入するガスインジェクションが考案され、実用化されているが、加圧ガスを導入するガスチャンネル部の外観不良発生防止技術は不十分である。更には、射出成形の量産性と圧縮成形の低歪み性を組み合わせたインジェクションコンプレッション法があるが、この方法では、金型合わせ面が金型の移動方向に対して平行な面で合わせる必要があり、このような金型構造上極めて制約を受ける問題に関して何ら解決策が得られていない。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ガス併用射出成形方法による外観不良発生防止を完全なものとすること、並びに、従来の射出成形用の金型構造を大きく変更せずに成形できること、更にはガスインジェクションやインジェクションコンプレッションを行う場合に必要な大がかりでコストのかかる装置や成形機の改造を必要としない比較的安価な技術を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、第一の型締め力で金型を閉じた状態で金型内に射出充填された溶融樹脂を、金型の成形品の片面に対応するキャビティ面側から加圧ガスを注入して、成形品の他面に対応するキャビティ面に押し付けて、押圧成形するガス併用射出成形方法において、溶融樹脂の射出充填後、型締め力を、溶融樹脂の射出充填時の第一の型締め力よりも小さく、加圧ガスの圧力より大きい第二の型締め力に設定し、しかもパーティング面を移動させて金型を開放させることなく、加圧ガスを注入する本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
即ち、本発明は、射出成形において、本来の射出成形機の能力を最大限に生かせるよう、金型を完全に閉鎖した状態で溶融樹脂をキャビティ内に射出し、更に厚肉部のヒケを防止するために射出完了時を含むその前後のいずれかにおいて、成形品の片面に対応する所望の部分の隅々までキャビティ面側から加圧ガスを注入できるようにするために、型締め力を少なくとも一旦下げ、金型内に注入されたガス圧によって成形品の他面をそれに対応するキャビティ面に押し付けるガス併用射出成形方法を提供するものである。
【0015】
上記本発明によれば、最初の射出段階において樹脂を所望の薄肉部にまで十分に充填することができ、更に、型締め力低下後に加圧ガスを注入することにより、厚肉部による意匠面側のヒケ、色ムラ、艶ムラ等による外観不良の発生防止を完全なものとすることができる。また、本発明によれば、厚肉部のヒケ防止のために樹脂による加圧、即ち一般に保圧と称する金型に対して大きな力がかかる過程を省くことができる。この樹脂保圧が省かれる結果として、低圧成形を達することが可能となり、ヒケ防止と共にソリ等の寸法精度に関する問題まで解決することができるものである。
【0016】
更に本発明によれば、樹脂内部に高圧ガスを注入する従来のガスインジェクションや、溶融樹脂と金型キャビティとの間に加圧ガスを単に注入して、溶融樹脂を金型キャビティ片面に押し付ける成形方法に比べて、驚く程の低圧ガスによっても充分な意匠面のヒケ防止効果が得られる。加えて、本発明は、インジェクションコンプレッション成形機を用いて溶融樹脂と金型キャビティとの間に加圧ガスを単に注入し、溶融樹脂を金型キャビティ片面に押し付ける成形のための金型のように、構造上制約の多い金型を用いる必要がなく、安価で自由度の高い設備で実施できるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明における溶融樹脂の射出は、ショートショットでもフルショットでもよいが、金型を完全に閉鎖した状態で樹脂を完全に射出できるので、特にジャストショット、フルショット及びオーバーショットであっても何ら問題を生じることがない。
【0018】
本発明では、型締め力を下げた状態で加圧ガスを注入するために、極めて小さい圧力のガスの使用が可能である。金型内に注入されたガスは、金型型締め力の低下による金型キャビティ容積の増加により、所望の部分の隅々まで低圧で注入できる。この加圧ガスの圧入は、低圧で可能であることから、適切なガス抜きを設ければ射出完了時を含むその前後のいずれの時点で開始してもよい。即ち、このような低圧のガスの使用と、適切なガス抜きの設置によれば、上記いずれの時点で加圧ガス導入を開始しても、金型キャビチィに充填される溶融樹脂の流動性を何ら阻害することがないと同時に、加圧ガスが意匠面に回り込んで外観不良の原因となることも防止できる。金型キャビティと樹脂の間に広がった比較的低圧である加圧ガスは、厚肉部を直接押圧し、それに対する意匠面のヒケを充分に防止できるとともに、比較的低圧であるために、金型内に充填された樹脂とガスシールを施した金型キャビティとで形成される閉区間から漏れだそうとする力も小さく、有効に加圧ガスが閉区間内に密封される。
【0019】
ここでの低圧とは、概ね50kgf/cm2 以下であり、好ましくは30kgf/cm2 以下、更に好ましくは10kgf/cm2 以下である。例えば5kgf/cm2 程度の加圧ガスを用いて本発明を行う場合、金型に常に該加圧ガスを流動させても、何ら金型に強度上の負荷を及ぼすことがないと同時に、溶融樹脂充填までのガス抜きも極めて容易に行える。また、このような比較的低圧の加圧ガスを常に金型に流動できることは、それだけ加圧流体導入装置が簡略化され、実用的かつ低コストの技術が提供できるものである。
【0020】
本発明で用いるガスとしては、例えば窒素ガス等の不活性ガス、炭酸ガス、空気等を用いることができるが、窒素等の不活性ガスが好ましい。
【0021】
本発明での第一の型締め力としては、成形機能力の最大の圧力を用いることができるが、樹脂保圧をかける必要がないことより、金型の所望の位置まで充分に樹脂を充填する際に、金型が開いでバリ等が発生しない圧力であれば、特に成形機能力最大の型締め力をかける必要はない。別の言い方をすれば、ある型締め力の成形機において、該成形機に対して一般に使用される金型より一ランク大きな投影面積を有する金型を使用することができる。また、本発明では、樹脂を充填する時の第一の型締め力より低い第二の型締め力下において加圧ガスを注入するが、加圧ガスが注入された後に、バリ発生防止等のために金型の型締め力を再び第二の型締め力以上、例えば第一の型締め力まで上げてもよい。
【0022】
第二の型締め力は、金型内に注入される流体圧力よりも大きく設定することが好ましい。これにより、加圧流体圧入時の金型の開放を防止できる。即ち、本発明は、金型合わせ面であるパーティング面は実質的に移動することがなく、金型キャビティの容積のみを僅かに増減させることによって加圧流体の注入を促そうとするもので、これまで全く考案されなかった方法である。これと同時に、インジェクションコンプレッションで見られるような金型構造上の制約が極めて少ないものでもある。
【0023】
本発明においては、成形品の片面に対応するキャビティ面が、その一部に大気開放経路が開口して大気に連通された開放領域面、成形品の他面に対応するキャビティ面が、大気との連通が遮断された閉鎖領域面となった金型を用い、閉鎖領域面となった成形品の他面に対応するキャビティ面側より加圧ガスを圧入することが溶融樹脂の充填を容易にする点から好ましい。ここでの成形品の片面に対応するキャビティ面における大気開放経路口は、溶融樹脂が金型に充填された時に成形品の他面に対応するキャビティ面と実質的に加圧ガスが通過できないよう、樹脂によって遮断されるような位置に設けることが望ましい。大気開放経路は、金型のパーティング面に残される隙間をそのまま用いたものであってもよいが、キャビティ内空気の押し出し及び/又はガスの放出を円滑に行うことができるよう、金型のパーティング面に形成した溝として設けてもよい。
【0024】
また、成形品の他面に対応するキャビティ面にも大気開放経路を開口させ、当該キャビティ面も開放領域面としておき、上記空気及び/又はガスの放出をより確実に行うことができるようにしてもよい。但し、この場合には、少なくとも成形品の他面に対応するキャビティ面側に開口する大気開放経路は、当該キャビティ面側から行われる加圧ガスの圧入時に閉鎖できるよう、例えば開閉バルブを大気開放経路に設置し、樹脂充填時には開放し、加圧ガス注入時には閉鎖できるようにしておくことが好ましい。
【0025】
ガス抜き部は、樹脂が入り込まず、加圧ガスや空気がスムーズに排出されるクリアランスを有する隙間として所望の位置に設置してもよいし、やはり樹脂が入り込まず、加圧ガスや空気がスムーズに排出される多孔質部材を介在させたものとして設置してもよい。
【0026】
加圧ガスの圧入は、所定のキャビティ面側から行うことができれば特に圧入形態に制限はなく、専用通路を設けて行っても、エジェクタピン回りを利用して行ってもよいし、上記のような多孔質部材を介して行ってもよい。
【0027】
本発明による成形品形状に特に制限はないが、偏肉部を有する成形品であって、通常の射出成形では、ヒケ、色ムラ、光沢ムラ等の外観不良が発生するような形状の成形品に対して特に有効である。ここでの偏肉部とは、リブ、ボスのように突出した厚肉部分や、肉厚が一定部分広い範囲で変化したものも含む。
【0028】
本発明に用いることができる樹脂は、一般に熱可塑性樹脂と称されるものであれば特に制限はない。例えば、ポリスチレンや、ハイインパクトポリスチレン、ミディアムインパクトポリスチレンのようなゴム補強スチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)、アクリロニトリル−ブチルアクリレートラバー−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピルラバー−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS)、ABS樹脂(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−アルファメチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、エチレン塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチレン塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PETP、PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBTP、PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール(POM)樹脂、その他のエンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリング樹脂、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PSU)等の他、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、エチルセルロース(EC)等のセルロース誘導体、液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の液晶系ポリマーが挙げられる。また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー(TSBC)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、熱可塑性塩化ビニルエラストマー(TPVC)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPAE)等の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。本発明においては、本発明の成形過程において上述のような熱可塑性樹脂を合成してもよいし、一種もしくはそれ以上の上記熱可塑性樹脂のブレンド体を用いたり、充填材及び/又は添加材等を含有させて用いてもよい。
【0029】
【実施例】
実施例1
底面がA4版の投影面積を有する底面肉厚2mmで側壁高さ2cmの箱形成形品を作成した。加圧ガスを注入する金型キャビティ面には、適切なガスシール構造を施した。成形品意匠面と反対側には厚肉リブが配置され、該リブの厚みは3mm、高さ10mmであった。成形機は最大型締め力220トンのものを使用した。
【0030】
まず金型を第一の型締め力220トンで完全に閉鎖し、次いで溶融樹脂を金型内キャビティ内を充分に満たすように射出充填した。溶融樹脂の射出充填後直ちに金型を第二の型締め力5トンに設定した。ここで5kgf/cm2 の加圧ガスは、常に金型キャビティ内に厚肉リブを形成する側のキャビティ面より、注入し続けていた。更に、成形品を加圧ガスを注入し続けた状態で冷却・固化し、次いで金型を開放し、所望の成形品を得た。
【0031】
成形材料は、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂、変性PPE樹脂(m−PPE)を用い、金型キャビティに成形材料を充分射出した後、直ちに加圧ガスを圧入することで成形品を成形した。それぞれの成形条件を下記に示す。
【0032】
(A)使用材料がHIPSの場合
シリンダー温度:200℃
射出圧力:100kg/cm2 (ゲージ圧力)
樹脂保圧:0kg/cm2 (ゲージ圧力)
第一の型締め力:220トン
第二の型締め力:5トン
加圧ガスの圧力:5kg/cm2
加圧ガスは金型キャビティより常に注入し続けた。
【0033】
(B)使用材料がABSの場合
シリンダー温度:230℃
射出圧力:100kg/cm2 (ゲージ圧力)
樹脂保圧:0kg/cm2 (ゲージ圧力)
加圧ガスの圧力:4kg/cm2
第一の型締め力:220トン
第二の型締め力:10トン
加圧ガスは金型コア面より常に注入し続けた。
【0034】
(C)使用材料がm−PPEの場合
シリンダー温度:260℃
射出圧力:100kg/cm2 (ゲージ圧力)
樹脂保圧:0kg/cm2 (ゲージ圧力)
加圧ガスの圧力:30kg/cm2
第一の型締め力:220トン
第二の型締め力:100トン
加圧ガスは金型コア面よりに樹脂射出充填後直ちに注入した。
【0035】
得られた成形品の外観は、肉眼にて判定し、更にリブと反対側の意匠面のひけを測定した。本発明による成形品は、外観が良好で、ひけ量は全て3μm以下であり、従来はひけの問題によって厚肉のリブを設けることができなかったが、本発明によってそれが可能であることが確認された。また、加圧ガスを成形品内部に導入するガスアシスト成形品にみられるような、厚肉リブの裏に位置する意匠面の光沢むら、艶むらも肉眼ではほとんど認められず、しかも大きなソリのない、寸法精度上も極め優れた成形品であった。更に、本発明では、パーティングラインの合わせ面が金型移動方向に対して垂直である通常射出成形用の金型構造のものを用い、圧縮空気製造用の簡易なコンプレッサーを用いても十分な効果が得られ、極めて実用的な方法であることが実証された。
【0036】
比較例1
実施例1と同じ金型、同じ樹脂をそれぞれ用いて通常の射出成形を行った。それぞれの成形条件を下記に示す。
【0037】
(A’)使用材料がHIPSの場合
シリンダー温度:200℃
射出圧力:100kg/cm2 (ゲージ圧力)
樹脂保圧:40kg/cm2 (ゲージ圧力)
型締め力:220トン
(B’)使用材料がABSの場合
シリンダー温度:230℃
射出圧力:100kg/cm2 (ゲージ圧力)
樹脂保圧:40kg/cm2 (ゲージ圧力)
型締め力:220トン
(C’)使用材料がm−PPEの場合
シリンダー温度:260℃
射出圧力:100kg/cm2 (ゲージ圧力)
樹脂保圧:40kg/cm2 (ゲージ圧力)
型締め力:220トン
得られた成形品の外観は、肉眼にて判定し、更にリブと反対側の意匠面のひけを測定した。ヒケ量はいずれも10μm以上で、外観上問題となる成形品しか得られなかった。また、成形品側面には大きなソリが発生していた。
【0038】
実施例2
底面が28cm×21cmの大きさで肉厚1.8mmのパソコンの蓋形状成形品を作成した。該成形品の反意匠面側には、肉厚3.0mmの格子状リブを形成した。また、加圧ガスを注入する成形品反意匠面を形成する金型キャビティ面には、適切なガスシールを施した。成形機は最大型締め150トンのものを使用した。
【0039】
成形材料は、ABS樹脂を用い、キャビティ成形材料を充分射出した後、直ちに加圧ガスを圧入することで成形品を成形した。
【0040】
まず金型を第一の型締め力150トンで完全に閉鎖し、次いで溶融樹脂を金型内キャビティ内を充分に満たすように充填した。溶融樹脂の射出充填後直ちに金型を第二の型締め力50トンに設定し、20kgf/cm2 の加圧ガスを金型キャビティと溶融樹脂との間に4秒間注入した。しかる後、金型を第三の型締め力150トンに設定し、冷却・固化後に金型を開放し、所望の成形品を得た。成形条件の詳細を下記に示す。
【0041】
シリンダー温度:230℃
射出圧力:100kg/cm2 (ゲージ圧力)
樹脂保圧:0kg/cm2 (ゲージ圧力)
加圧ガスの圧力:20kg/cm2
第一の型締め力:150トン
第二の型締め力:50トン
第三の型締め力:150トン
得られた成形品の外観は、肉眼にて判定し、更にリブと反対側の意匠面のひけを測定した。本発明による成形品は、外観が良好で、ひけ量は全て2μm以下であり、従来の既存の技術ではひけや光沢ムラの問題によって厚肉のリブを設けることができなかったが、本発明によればそれが可能であることが確認された。また、加圧ガスを成形品内部に導入するガスアシスト成形品にみられるような、厚肉リブの裏に位置する意匠面の光沢むら、艶むらも肉眼ではほとんど認められず、しかも成形品は大きなソリのない寸法精度上も極めて優れたものであった。
【0042】
比較例2
実施例2と同じ金型、同じ樹脂をそれぞれ用いて通常の射出成形を行った。それぞれの成形条件を下記に示す。
【0043】
シリンダー温度:230℃
射出圧力:100kg/cm2 (ゲージ圧力)
樹脂保圧:40kg/cm2 (ゲージ圧力)
型締め力:220トン
得られた成形品の外観は、肉眼にて判定し、更にリブと反対側の意匠面のひけを測定した。ヒケ量は、殆どの厚肉リブに対する意匠面において20μm以上で、外観上問題となる成形品しか得られなかった。また、成形品側面には大きなソリが発生していた。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した通りのものであり、次の効果を奏するものである。
【0045】
(1)厚肉部に対応する反対面側に生じるヒケを肉眼では認識できない程に防止することができる。また、加圧ガスを成形品内部に導入するガスアシスト成形品にみられるような、厚肉部の裏に位置する意匠面の光沢むら、艶むらも防止できるので、極めて外観に優れた成形品を得ることができる。
【0046】
(2)樹脂保圧を行う必要がなくなるので、低圧成形が可能であり、大きな反りを発生させる心配がなく、寸法制度に優れた成形品が得られる。
【0047】
(3)パーティングラインの合わせ面が金型移動方向に対して垂直である通常射出成形用の金型構造のものを用いることができると共に、圧入するガスが従来に比して極めて低圧のもので済むので、圧縮空気製造用の簡易なコンプレッサーを用いても十分な効果が得られ、設備的負担を大幅に軽減できる。
Claims (1)
- 第一の型締め力で金型を閉じた状態で金型内に射出充填された溶融樹脂を、金型の成形品の片面に対応するキャビティ面側から加圧ガスを注入して、成形品の他面に対応するキャビティ面に押し付けて、押圧成形するガス併用射出成形方法において、溶融樹脂の射出充填後、型締め力を、溶融樹脂の射出充填時の第一の型締め力よりも小さく、加圧ガスの圧力より大きい第二の型締め力に設定し、しかもパーティング面を移動させて金型を開放させることなく、加圧ガスを注入することを特徴とするガス併用射出成形方法。
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