JP3939487B2 - 熱物性値測定システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度、放射率、熱浸透率などの熱物性値の測定に関し、より正確に熱物性値の測定を行うことに関する。
【0002】
【技術的背景】
物体の温度を測定する手段には様々なものがある。古くから存在し最も普及しているものとしては、水銀温度計や熱電対などのように物体からの熱伝導を利用したものが挙げられる。これに対し近年では、赤外線放射温度計やサーモグラフィのように、被計測物体の表面温度をそこから放射される赤外線量から逆算して求めるという計測機器も使われるようになった。後者は非接触・無侵襲で物体の表面温度を測定できるという点で特に優れており、工学や医学をはじめ様々な分野で使用されている。特にサーモグラフィは、被験者に全く苦痛や悪影響を与えることなく、人体の体表温という生理学上重要な情報を得ることが可能であるため、医学分野での幅広い利用が確認されている。
ところで、一般に赤外放射を利用した温度測定において、測定対象が黒体とみなせる場合、Stefan-Boltzmannの法則により放射エネルギから温度を算出できる。対象が黒体でない場合には、放射率と外界の放射温度による補正を行わなければならない。
【0003】
しかし、従来の赤外線サーモグラフィ法を用いた測定装置には、測定対象に応じて、能動的に放射率による温度補正を行う機能が付加されていなかった。対象の放射エネルギのみを測定しているものがほとんどであり、放射率についてはあらかじめ既知のものとして、測定前に設定しておくようになっていた。特別の精度を要求しない限り対象を黒体とみなせる、あるいは、局所的な温度の値よりむしろ温度分布の時間的・空間的な変化のみを必要とする、などの理由から、事実上放射率による温度補正を行う必要がないとする応用例は多い。従来の放射率測定は非常に大がかりで実験室的な傾向が強いため、高精度な温度測定を要求されない分野においては、それらを無くし簡便な測定方法を採用する方が都合の良い場合が多かった。
【0004】
医用分野におけるサーモグラフィの応用もまた、放射率による温度補正を行わなくてもよいとされてきた例の一つである。医用分野における測定対象である人の皮膚の放射率は、皮膚表面から放射される赤外線の多くが含まれる3〜14[μm]の波長域では、黒体とほぼ同様、すなわちε=1とみなせるとされてきた。そのため医用サーモグラフィでは、ほとんどの場合、放射率による温度補正が行われていない。しかし、その根拠として今日でもしばしば引用されるHardyらの実験の記述を調べると、皮膚温を測定するのに、外気温による誤差を除くため、外気温と皮膚とをほぼ等温に保ったと記されている。仮にこの条件で放射エネルギを測ったとすれば、放射率に関係なく黒体と同じ放射エネルギが観測されることになるため、誤って放射率がほぼ1であるとみなしてしまう。
【0005】
またHardyら以外にも、皮膚放射率に関する多くの報告がなされているが、同種の物体であっても個体間、部位間で放射率が異なる、あるいは赤外線の波長によっても放射率が変化する(波長依存性)などの問題もあって、0.9以上であること以外は必ずしも一致していない。そのため、文献から正確な皮膚放射率を決定することは困難である。
以上のような放射率に関する種々の問題を考慮せず、人の皮膚を黒体とみなして、放射率による温度補正を行わなかった場合、測定された温度には、通常の室温の範囲内で1.0[℃]程度の測定誤差が生じることになる。一般の臨床用水銀体温計が、20[℃]〜45[℃]程度の比較的狭い温度範囲で、0.1[℃]程度の測定精度を持つことを考えると、この誤差は決して小さいものではない。
【0006】
このような測定精度の問題のために、現在の臨床応用例の多くは左右差や異常パターンの発見などのいわゆるパターン認識に頼った診断となっている。このような診断では、生体の皮膚表面の温度情報を十分に活用しているとは言い難い。
もし、サーモグラフィ等による測定の精度を向上させることができれば、現在のパターン認識に頼ったサーモグラフィによる診断を、より多くの生理量を定量化する方向へ転換させていくことができると考えられる。体表温とそれに関連した種々の生理量の秤量が可能になれば、より広い臨床の場でのサーモグラフィ利用が期待できる。
【0007】
さて、補正を行うための熱物性値を計測するための方法としては、環境放射温度切り換え法がある。この環境放射温度切り換え法の利点は以下の通りである。
まず、他の測定法と比較した場合、非常に簡便な測定が可能であることが挙げられる。放射測定法では参照黒体を必要としたが、本測定法において参照黒体は不要で、測定対象に対する温度制御の必要もないため、測定開始までの準備が少なくて済む。また、画像として表すことを考えた場合、反射測定法では反射鏡の焦点位置近傍の放射率しか測定できないといった問題があり、不適である。それに対して本測定法を用いれば、測定範囲全域の環境放射温度を切り換えることで必要な範囲の放射率測定が可能になる。さらに、本測定法では放射率の他に熱浸透率を測定することも可能で、2つの異なる熱物性値を1つの手法で同時に測定できるという利点もある。
以下にその測定原理について詳しく説明する。
【0008】
理想的な物体である黒体に対して、現実の物体は灰色体であって、その表面では物体からの熱放射が反射される。したがって、灰色体の表面からの熱放射には、その物体自体からの放射だけでなく、反射成分も含まれている。環境放射温度切り換え法では、この環境からの反射成分を利用して、対象表面の放射率を算出する。ここで、ある物体(灰色体)の表面温度を、サーモグラフィ(あるいは赤外放射計)を用いて測定する場合を図1に示す。図1において、物体表面からカメラに入射する放射エネルギは、物体自体からの放射エネルギεW(Ts)と、環境からの放射エネルギW(Ta)のうち、物体表面で反射された成分(1−ε)W(Ta)の2種類である。このことから、実際にサーモグラフィで測定される放射エネルギは、その見かけ上の温度をTr[K]とすれば、式(1)のように表されることがわかる。
【数1】
W(T):温度T[K]の黒体が放射するエネルギ [W/m2]
Ta :環境放射温度 [K]
Ts :対象物体の温度 [K]
ε :放射率
ここで、環境放射温度をTaLからTaHへステップ状に変化させた場合を考える。このとき、温度切り換えが十分に高速であれば、対象表面の温度Ts[K]は変化しないと考えられる。すると、式(1)より、式(2),(3)の二式が得られる。
【数2】
【0009】
この2式において、対象表面の見かけ上の温度はサーモグラフィによって測定されるので、環境放射温度の変化が既知であれば未知数はεとTsの2つだけとなるため、これを解くことで対象表面の放射率を算出することが出来る(式(4))。
【数3】
また、式(4)からεが得られれば、式(2)(あるいは式(3))に代入することで、対象表面の真の温度を求めることができる(式(5))。
【数4】
なお、式(5)から得られるのは実際には対象表面からの放射エネルギであるが、Stefan-Boltzmannの法則を用いることで、最終的には温度を得ることが出来る。
【0010】
環境放射温度切り換え法では、放射率の算出および放射率による温度補正のほかに、熱浸透率の算出も可能である。熱浸透率は熱伝導率κ[W/mK],密度ρ[kg/m3],比熱c[J/kgK]の積の平方根(単位[Ws0.5/m2K])で表される熱物性値であり、その測定原理を以下に述べる。
いま、環境放射温度TaL[K]の下で表面温度Ts0[K]の物体が熱的に平衡状態にあるとすると、この物体表面における放射熱交換は見かけ上存在しない。ここで、環境放射温度をTaL[K]からTaH[K]にステップ状に変化させると、熱流密度の変化Q[W/m3]が物体表面に加えられる。これにより、物体の表面温度は変化するが、Buettnerによると、その表面温度Ts(t)[K]の変化は、変化を受けた時点をt=0として、
【数5】
と表される。ここで、熱流密度の変化QはStefan-Boltzmannの法則から、式(7)のように表される。
【数6】
なお、式(6)の関係は、物体をサーモカメラで測定したとすれば、変化を受けた直後および時刻tにおけるサーモグラフィ温度出力をそれぞれTrH,Tr(t)として、
【数7】
と表すことができる。
放射率εが既知であれば、式(6)と式(7)もしくは(9)を用いることで、対象の熱浸透率を算出することが出来る。
【数8】
【0011】
この測定法を実施するには、できるだけ応答速度の速いサーモカメラと、環境放射温度をステップ状に変化させることが必要である。環境放射温度を設定するには、対象物体表面の周囲全域に対し、温度を一定に保持した黒体の壁で囲めばよい。さらに、環境放射温度のステップ状変化にはこの黒体の壁の温度をステップ状に切り換えればよい。これを実現するための測定系の概要を図2に示す。
【0012】
図2に示されている熱物性値測定装置100において、測定対象を覆うようなフード20を用意し、フード温度制御装置40を用いて、この内部の温度をステップ状に切り換えることで環境放射温度切り換えを実現している。フード20の内面にはフレキシブル基板で製作した黒色艶消し塗料を塗布したヒータが貼り付けられており、これに対する通電量をフード温度制御装置40で制御することで、ステップ状温度変化が得られる。サーモカメラ10はサンプリング周期1/30[sec](最速時)での連続取り込みが可能で、環境放射温度を切り換える前、切り換えた後の測定対象の温度変化を逐次取り込み、パーソナル・コンピュータ(PC)30に転送できる。測定の開始・終了および画像データの収集等、測定の一連の制御は全てPC30で行っている。得られた画像データはPC30上で処理され、最終的な熱物性値画像を得ている。
フード20の形状は、▲1▼測定対象を覆えるような形であること,▲2▼測定対象側からサーモカメラ側開口部を臨む立体角が可能な限り小さくあること,▲3▼サーモカメラの撮影範囲と合っていること,の3つの条件が必要である。
フード20の内面にはヒータを配置し、実質的にこの温度を切り換えることによって環境放射温度切り換えを実現している。既に述べたように、環境放射温度は瞬時に切り換わらなければならない。そのため、ヒータの設計に関して注意すべきことは、ヒータ自身の温度が短い時間で変化できるよう、比熱の小さな材質を用いるとともに全体の質量をできるだけ小さくし、熱容量の可能な限り抑えなければならない。
理想的な環境放射温度切り換えには、▲1▼きわめて短時間で切り換えが完了すること,▲2▼その後の温度が一定であること,の2つを満たすことが必要である。それぞれの要求を満たすようにするために、フード温度制御装置40には、異なる温度制御方法を持つ2種類のユニットを用意し、それらを組み合わせることで理想的な変化を実現した。具体的には、大容量コンデンサからの放電によって環境放射温度を急速に切り換える放電制御部と、その後の温度を一定に保つ温度維持部である。
2つのユニットはどちらも同じフード(ヒータ)の温度を制御するためのものである。そのため、それぞれのユニットで別々に温度検出部を持つのでは効率が悪いし、なによりそれぞれのセンサ間のばらつきが問題となると考えられる。そこで、温度の検出部についてはユニット間で共有している。
【0013】
(熱物性値の求め方)
環境放射温度切り換え法によって熱物性値を算出する場合、環境放射温度の変化を正しく把握することが重要である。誤った値を用いれば当然正しい熱物性値は得られない。これまではフード20下面の1点を測って環境放射温度の変化と見なしてきた。実際の測定前には、それがステップ状に切り換わるようフード温度制御装置の調整を行って、その後の計算はその変化をもとに行っていた。しかし、フード20の内は一様でなく、これまでの方法は妥当であるとは言えない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、環境放射温度切り換え法によって、温度、放射率、熱浸透率等の正確な熱物性値を求めることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ステップ状に環境放射温度を切り替えることができる放射源と、前記放射源に接続され、温度を制御する温度制御部、温度を測定できる温度計測部、前記温度制御部の制御、前記温度計測部の制御および測定計算処理を行う処理部とを有する熱物性値測定装置と、前記放射源の放射中に置かれ、複数の放射率を有する試験片とを備える熱物性値測定システムであって、前記熱物性値測定装置により、一定温度の前記試験片の温度を測定して、前記放射源による実効環境放射温度を求め、その後に、前記実効環境放射温度を用いて、測定対象の熱物性値を算出することを特徴とする。
上述の構成により、環境温度の把握を、実効環境放射温度を求めることで行い、この実効環境放射温度を用いることにより、温度、放射率、熱浸透率等の熱物性値を正確に求めることができる。
前記試験片は乱反射する面に塗料を塗布することで、異なる複数の放射率を有するようにすることができる。
前記温度計測部は、2点以上を同時に測定可能な放射温度計とすることができる。
前記温度計測部は、サーモカメラであることも可能で、その場合、前記処理部は、サーモグラフィ画像処理を行うことができる必要がある。このとき、前記試験片は、同一の試験片に異なる複数の放射率を有するものとし、前記試験片と前記測定対象のサーモグラフィ画像は、同一撮影画像中にあるようにすることができる。
また、前記試験片は、少なくとも2つあり、それぞれ異なる温度に設定されていて、前記複数の試験片のサーモグラフィ画像から、実効環境放射温度を算出することもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
さて、仮に表面で乱反射する物体に対して測定を行うと、図2の熱物性値測定装置100において、たとえフード20の内部に温度のばらつきがあったとしても、おそらくこれらを均等に反射すると考えられる。そして、その測定対象の放射率が一様であれば、その対象における環境放射温度の反射成分はその対象内のどの部分でも同じ値として、サーモカメラ10で認識されると考えられる。つまり、表面で乱反射する物体では周囲から受ける様々な温度放射を平均化したものを反射していると考えられる。このとき平均化したものを、測定対象にとって意味のある環境放射温度ということで「実効環境放射温度」と定義する。
ここで述べるように、このような仮定に基づいて測定を行えば、従来より信頼度の高い熱物性値を求めることが可能である。以下にその実効環境放射温度を求める方法を説明する。
【0017】
(実効環境放射温度算出法の原理)
(方式1)
環境放射温度をTaLからTaHへ瞬時に切り換えると、測定対象のサーモグラフィ温度出力値もTrLからTrHに変化する。これらの関係は、対象の真の表面温度をTs,放射率をεとしたとき、次式で表される。
【数9】
測定対象の表面の一部にその表面とは異なる放射率を持つ塗料を塗るなどして、温度が等しく、放射率が異なる領域を作る。すると、複数の放射率εに対して、それぞれ上式が成立する。
例えば、2つの放射率ε1,ε2について、上式が成立するとすると、
【数10】
この連立方程式では、TaL,TaH,ε1,ε2を求めることはできないが、W(Ts)だけは、次式のように求めることができる。
【数11】
この式を用いることにより、例えば、2つ以上の点を同時に測定可能な赤外放射温度計もしくはサーモグラフィと、熱赤外線源の前にシャッタを付けるなどした、簡易な環境放射温度切り替え装置とを組み合わせれば、測定対象の正確な温度を測定することができる。例えば、赤外放射温度計を2連式にして、簡易な環境放射温度切り替え装置を加えるだけで、放射率が不明な対象物の温度を測定することができる。
【0018】
(方式2)
上述の連立方程式(12)〜(16)で、5つの未知数TaL,TaH,Ts,ε1,ε2の内、Ts以外の1つが分かれば、残りの4つの未知数を求めることができる。例えば、TaLが既知である場合、TaHは次式(17)のように表すことができる。
【数12】
ただし、TrL1≠TrL2,すなわちTs1=Ts2≠TaL
これで、Ts,ε1,ε2を求めることができる。
銅板等を放射率の異なる塗料で塗り分けて、等しいTsと異なるεをもつ対象物のセットをサーモグラフィの画面の一部に置くと、TaL,TaHが共に確定できるため、測定画面全体にTaL,TaHを既知として環境放射切り替え法を適用でき、画面全体にわたって真の温度と放射率を求めることができる。例えば、TaLは測定対象を室温に保ったフードで覆うことで容易に求めることができる。上記のフードで高温側のTaHを確定して、測定画面全体にTaL,TaHを既知として、環境放射切り替え法を適用することができるようになった。
【0019】
(方式3)
異なるTsを持つ対象をもう一組加えて、以下のように、8元連立方程式を作る。上述の放射率の異なる塗料で塗り分けた物体を2つ、各々を異なる温度に保って配置することで配置して、この連立方程式を得ることが可能になる。
【数13】
この連立方程式は解くことができ、
【数14】
上述の方式2でも放射率ε1,ε2のいずれかが既知であれば、TaL,TaHを確定できるが、放射率は表面形状などによって変化するので、フード等を用いて環境放射温度のいずれかを既知のものとするのが現実的である。しかし、この方式3によって、フードなどを用いて環境放射温度のいずれかを既知のものとする必要が無くなった。したがって、サーモグラフィに簡便な環境放射温度切り替え装置を組み合わせ、その画面に放射率の異なる塗料で塗り分けた物体を2つ、各々を異なる温度に保って配置することで、画面全体で環境放射温度切り替え法を用いた熱物性計測が可能になる。
簡便な環境放射切り替え装置であっても、同じ場所での短時間内の繰り返しでは、TaL,TaHに高い再現性があると期待できるので、一度この方法でTaL,TaHを確定すれば、その後はそのTaL,TaHを用いて測定することが可能となる。
【0020】
【実施例】
前に述べたように方式2により、実効環境放射温度を求めるためには、真の表面温度が等しくかつ放射率の異なる物体を少なくとも2つ用意する必要がある(ただし、真の表面温度は切り換え前の環境放射温度と同じであってはならない)。そこで、1枚のアルミ板を4つの領域に分け、それぞれに別の表面加工を施すことで異なる放射率が得られるようにした。さらにその裏側に熱源を当てて同じ温度に温めることにした。
実際には、図3のように、4つの領域に分けられ、別の表面加工を施したアルミ板72をプラスチック・ケース70に張って、これを図2に示す熱物性値測定装置100を用いて計測した。プラスチック・ケース70は、1辺が25[cm]の立方体型のものであり、一面にアルミ板72をはり、ケースの残った5面は断熱材73で覆った。プラスチック・ケース70の中には、アルミ板72の温度を決めるための温水74を入れている。水温は、水晶温度計60により計測されている。測定の手順について以下に説明する。場合により変わることはあるが、基本的な手順は変わらない。
まず、アルミ板72の温度が安定するまで30分から1時間待った後、あらかじめフード温度制御装置の設定を済ませ、理想的な環境放射温度切り換えができるようにしておく。
測定はカメラ10の前方にフード20を設置し、その前方の視野内にアルミ板72を置いて行う。測定前にPC30上で撮影条件を設定する。設定項目は環境放射温度切り換え前、切り換え後のそれぞれの撮影枚数および撮影間隔である。全撮影枚数と測定間隔をかけたものが全測定時間となる。少なくとも15秒以上長くても40秒くらいがよい。PC30上で測定開始の信号を送ると、その後は測定終了まで、画像の取り込みや環境放射温度の切り換えなど測定の一連の動作が自動的に行われる。測定終了後は、熱物性値算出アルゴリズムに従い計算し、熱物性値分布画像を表示させる。
測定に用いたアルミ板は、15[cm]四方のもので、表面で乱反射するよう全体を満遍なくやすりがけをしてある。このアルミ板を4つの領域に分け、そのうち1面は何も施さず、残りの3面はそれぞれ白,緑,黒のペイント(全て艶消し)を施した。
測定は水晶温度計の表示値が32.000[℃]および32.500[℃]を示したときに行った。測定の際はこまめに攪拌するなどしてケース内で温度差が生じないよう心がけた。
【0021】
<実効環境放射温度の決定>
切り換え前の実効環境放射温度は室温とすればいいのだが、これを別の温度計で測定するのではなく、サーモグラフィ画像から求めることにした。具体的には、図4に示すサーモグラフィ画像において、サーモグラフィ画像に映る背景部分(この場合、網目部分)から任意に抽出した1800点の温度平均値をとった。
切り換え後の実効環境放射温度の求め方を、図5を用いて説明する。
【0022】
図5のグラフにおいて、温度が等しくかつ放射率の互いに異なる4点、すなわちアルミ板の各領域から1点、計4点の測定データに対し、先に求めた切り換え前の実効環境放射温度をもとに、式(5)において切り換え後の環境放射温度の値を変えたとき、計算して求まる真の表面温度がどのようになるかを表したものである。なお、この4点は4つの領域が互いに接するアルミ板中心付近からそれぞれ選択した。アルミ板は熱の良導体であり内部でそれほど温度差があるとは考えられないが、少しでもその温度差が生じないよう、互いの位置が近い4点となるようにした。
図5のグラフに示した、これらの曲線は理論上全て1点で交わるはずであり、この図を見ると実際にほぼ1点で交わっていることが分かる。そこでこの交点を求めればよい。4本の曲線があり、各々の2本の曲線から1つの交点が求まるから、合計で6つの交点が得られる。理想ではこれらが1点で交わるのだが、実際は様々な誤差の要因があり、きれいに1点では交わらない。そこで、これらの平均をとることにした。平均の仕方であるが、6つの値のうち最大値と最小値の除いた4点を平均することにした。なお、これらは実際のところ、図からでなく、式(16)の計算をもとに求めている。
【0023】
以上より求まった実効環境放射温度を表1にまとめる。
【表1】
表1 実効環境放射温度算出値
この結果をもとに、サーモカメラによる画像の各画素ごとの熱物性値計算を行った。基準温度すなわち水晶温度計の指示値が32.000[℃]であったときの結果を表2にまとめる。また、これが32.500[℃]であったときの結果を表3にまとめる。なお、画素数は各領域1000点とした。
【表2】
表2 様々な表面加工を施したアルミ板の熱物性値(32.000[℃])
※ 値は全て平均値±標準偏差
【表3】
表3 様々な表面加工を施したアルミ板の熱物性値(32.500[℃])
※ 値は全て平均値±標準偏差
上記の結果において、水晶温度計が示した温度がアルミ板の真の表面温度であったとすれば、サーモグラフィの見かけ上の温度は真値と比べてやすりがけ部分で7[℃]以上も低く、最も真値に近い黒色塗料部分でさえ約1[℃]低かった。これに対し、環境放射温度切り換え法によって求めた補正温度は、やすりがけ部分で約1[℃]のずれしか生じず、黒色塗料部分に至っては約0.1[℃]、全体でも約0.4[℃]のずれが生じるにとどまった。以上のことから、我々の測定系において非常に精度の高い放射熱測定が行えることが明らかになった。
なお、誤差は例えば、アルミ板で乱反射面ができていない等によるものと考えられる。このため、乱反射面を得るための加工に、やすりがけでは無く、サンドブラスト加工など、より理想的な乱反射面を得られる加工方法を採用するなどすれば、より精度が上がると思われる。
【0024】
[生体計測への応用]
サーモグラフィは医療現場で頻繁に使用されるので、生体計測の際にもこの方法が適用できることが望ましい。実効環境放射温度を求めるには、同じ温度で異なる放射率を持つ試験片があればよいから、他の対象においてこの方法を適用するには、対象とこの試験片を同時に測定すればよい。ここでは、生体計測における応用について説明する。
試験片としては、前に説明したアルミ板を使用するのも1つの手である。しかし、フードの測定対象側開口部は235[mm]四方で、一方アルミ板の大きさは150[mm]四方であるから、フードの前にアルミ板を置いてしまうと、それだけでもう他のものを測れなくなってしまう。そこで、図6に示すように、小さなチップ型の試験片(チップ)80を製作した。図6(c)に示すように、試験片80は、大きさ12×14[mm]の小さな銅板にまず全面やすりがけをし、異なる放射率が得られるようアルミ板試験片のときと同じく4つの領域に分け、そのうち3つの面にはそれぞれ白,緑,黒のペイント(全て艶消し)を施した。
また、試験片80は切り換え前の環境放射温度とは異なる温度で全面等しく保たなければならないが、その手段として生体そのものの熱を利用することにした。図6(b)に示すように、試験片80を測定対象90の近傍に粘着テープ82で貼り付け、この温度が安定するまでそのまま10分以上時間をおくようにした。前に説明した実効環境放射温度の決定に準じて、図6(a)に示すように、切り換え前および切り換え後の実効環境放射温度を求めた。表4にその結果を示す。
【表4】
表4 実効環境放射温度算出値
【0025】
また、この実効環境放射温度を用いて、図7に示すように、測定対象90の網目部分(20×20ピクセル)92における、それぞれの熱物性値の平均および標準偏差を表5に示す。
【表5】
表5 前腕部熱物性値
さて、実効環境放射温度を求めるには、異なる放射率の領域が複数存在する試験片を同じ温度に保たなければならないのだが、それだけでなく、その温度が切り換え前の環境放射温度と同じであってはならない。そのため、何らかの方法で試験片を加熱もしくは冷却することが必要となる。その方法として、ここでは生体そのものの熱を利用した。この方法であれば、用意するのは試験片1枚のみであり、簡便さという点で、優れた方法である。
このように、小さな銅板の試験片を生体に貼り付け、これらを同時に測定することで、実効環境放射温度を求めてより信頼度の高い熱物性値を算出する方法が、生体計測においても適用可能であると分かった。非常に簡便な測定が可能であるため、臨床での幅広い応用が期待できる。
【0026】
<他の実効環境放射温度の測定>
上述で説明した方式2では、切り換え後の実効環境放射温度を計算により算出している。以下では、方式3により、切り換え前の実効環境放射温度も計算により求めることで、さらに正確に熱物性値を測定することを説明する。
さて、前述の測定装置で大きなフードが必要となっていたのは、環境放射温度切り換え法を適用するにあたって、切り換え前後の環境放射温度が既知でなければならなかったためである。つまり、一様な温度を持つフードで測定対象を覆ったならば、その限定された空間の中ではフードの温度を環境放射温度とみなしてよいため、これを定めることができると考えられたからである。
もっとも、実際はフード内を一様な温度分布にすることは難しい。しかし、前に説明した理論によれば、測定時に同じ表面温度で複数の異なる放射率の領域を持つ試験片が2枚以上あり、さらにこれらが別々の温度に保たれていたとすれば、これらを測定対象と同時に映し込むことによって、環境放射温度を切り換えたときにその前後の温度が分かっていなくても、計算で求められる。そのため、これによってフード内のばらつきに関わらず測定できるようになる。
そして、実はそれだけでなく、フードなしで測定を行える可能性が出てきた。それを、測定を行うための測定系を示した図8を用いて、以下に説明する。
【0027】
繰り返しになるが、前に説明したような試験片を2枚使用する方式3を用いると、切り換え前後の実効環境放射温度を求められるようになる。そのため、何かしらの手段で測定時の環境状態を変化させたとしても、その変化は計算で求まってしまう。その何かしらの手段とは必ずしもフードでなければいけないとは限らない。離れたところにある電気ストーブのスイッチが入った、白熱電球が点灯した、などどんな変化でも構わないと考えられる。ただ、本当に何でも構わないかというとそうではなく、実際はサーモカメラ10の測定感度波長帯域が3〜5[μm]であるので、できればここにピークを持った変化であることが望ましい。そこで、図8においては、ハロゲンヒータ25を用いている。現在、市販されているハロゲンヒータの中に上記の条件を満たすものがあることが確認されている。
ハロゲンヒータ25には反射鏡27が取り付けられ、その向きは例えば、ステッピング・モータ29(図示せず)で変えられるようになっている。測定前は反射鏡の向きを測定対象の反対側に向けておき、この向きを測定対象側に切り換えることで環境放射温度の切り換えが実現できる。なお、図8では、ヒータは1本しか用意されていないが、複数本用意して多方面から照らすようにしてもよい。これは、測定対象や試験片の表面がいつでも完全な乱反射面であるとは限らないため、その場合に少しでも空間の温度分布の偏りを小さくした方がよいからである。
【0028】
測定はサーモカメラの視野の一部に異なる放射率を持つ試験片85の2枚が入り込むようにして行う。試験片85は、例えばサーモスタット87で加温するようにしてある。なお、それぞれの試験片には別々のサーモスタット87が貼り付けられており、サーモスタット温度設定装置89で互いの温度が異なるようにしてある。こうすることで切り換え前および切り換え後の実効環境放射温度を求めることが可能となる。
以上のようにして環境放射温度切り換えが実現でき、さらにその値が分かったとすれば、あとの熱物性値計算は非常に容易である。
上記の計測は一定の熱放射を行っている熱源を測定対象に向けたり背けたりするだけであり、基本的に機械式装置と同じ発想である。しかし、それと比べてフードがなくなるだけでも次のような利点が考えられる。まず、装置全体を大幅に小型化できることである。そもそもこれまで装置を小型化できなかったのはフードの形状が大きかったためだと言える。次に、フードの大きさにとらわれない測定が可能になることも挙げられる。さらに、フードをなくすことで測定の安全性が増すことも見逃せない。ハロゲン・ヒータも非常に高い熱を出すのでその取り扱いには注意を要するが、少なくとも被験者から距離をおくことができるので被験者にとっては安全な測定が行えるようになると考えられる。
【0029】
【発明の効果】
上述のように、実効環境放射温度を求めることで、環境放射切り換え法による熱物性値の測定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】サーモグラフィによる温度測定と放射率および環境温度との関係を説明する図である。
【図2】環境放射温度をステップ状に変化させることができる、サーモグラフィを用いた熱物性値測定装置の構成を示す図である。
【図3】複数の放射率を有する測定対象を用いて、実効環境放射温度を測定することを説明する図である。
【図4】サーモグラフィによる測定対象の画像を示す図である。
【図5】高い環境放射温度を求めるためのグラフを示す図である。
【図6】医療への応用を示す図である。
【図7】サーモグラフィによる画像を示す図である。
【図8】他の実効環境放射温度の測定のための構成を示す図である。
【符号の説明】
10 サーモカメラ
20 フード
40 フード温度制御装置
60 水晶温度計
70 プラスチック・ケース
72 アルミ板
73 断熱材
74 温水
80 試験片
82 粘着テープ
90 測定対象
100 熱物性値測定装置
Claims (7)
- ステップ状に環境放射温度を切り替えることができる放射源と、
前記放射源に接続され、温度を制御する温度制御部、温度を測定できる温度計測部、
前記温度制御部の制御、前記温度計測部の制御および測定計算処理を行う処理部を有する熱物性値測定装置と、
前記放射源の放射中に置かれ、複数の放射率を有する試験片と
を備える熱物性値測定システムであって、
前記熱物性値測定装置により、一定温度の前記試験片の温度を測定して、前記放射源による実効環境放射温度を求め、その後に、前記実効環境放射温度を用いて、測定対象の熱物性値を算出することを特徴とする熱物性値測定システム。 - 請求項1記載の熱物性値測定システムにおいて、
前記試験片は、乱反射する面に塗料を塗布することで、異なる複数の放射率を有するようにしたことを特徴とする熱物性値測定システム。 - 請求項1又2に記載の熱物性値測定システムにおいて、
前記温度計測部は、2点以上を同時に測定可能な放射温度計であることを特徴とする熱物性値測定システム。 - 請求項1又2に記載の熱物性値測定システムにおいて、
前記温度計測部はサーモカメラであり、前記処理部はサーモグラフィ画像処理を行うことを特徴とする熱物性値測定システム。 - 請求項4記載の熱物性値測定システムにおいて、
前記試験片は、同一の試験片に異なる複数の放射率を有するものであることを特徴とする熱物性値測定システム。 - 請求項5記載の熱物性値測定システムにおいて、
前記試験片と前記測定対象のサーモグラフィ画像は、同一撮影画像中にあることを特徴とする熱物性値測定システム。 - 請求項4又は5に記載の熱物性値測定システムにおいて、
前記試験片は、少なくとも2つあり、それぞれ異なる温度に設定されていて、前記複数の試験片のサーモグラフィ画像から、実効環境放射温度を算出することを特徴とする熱物性値測定システム。
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