JP3939176B2 - 積層型誘電体フィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、数百MHz〜数GHzのマイクロ波帯において共振回路を構成する積層型誘電体フィルタに関し、特に、製造ばらつきを抑制することができ、積層型誘電体フィルタ等の小型化並びに高歩留まり化を実現させることができる積層型誘電体フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、携帯電話等の無線通信システムの多様化に伴い、積層型誘電体フィルタに対して、小型化、低損失化の要請が強くなってきている。
【0003】
積層型誘電体フィルタの小型化を実現させるためには、共振器(共振電極)を小さくしなければならない。
【0004】
そこで、従来では、共振電極の開放端に容量を付加する手法が一般的に行われており、特に、積層型誘電体フィルタ100では、例えば図12に示すように、誘電体基板102内の同一面上にそれぞれ同一幅を有する例えば3枚の共振電極104A、104B及び104Cを形成すると共に、各共振電極104A、104B及び104Cに対してそれぞれ上下2枚の内層アース電極(106A、108A)、(106B、108B)及び(106C、108C)を形成し、これら上下2枚の内層アース電極(106A、108A)、(106B、108B)及び(106C、108C)でそれぞれ対応する共振電極104A、104B及び104Cの開放端を挟み込む方法が採用されている。
【0005】
ところで、このような積層型誘電体フィルタ100においては、減衰極とバンド幅(通過帯域)を決定するために、共振電極の開放端容量(開放端部分と内層アース電極間の容量)を調整したり、共振電極間に結合電極を形成するようにしている。
【0006】
通常、両側の共振電極の共振周波数をほぼ同一(例えばf1)にし、中央の共振電極の共振周波数を前記共振周波数f1とは異なる共振周波数f2に設定するようにしている。減衰極は、共振電極間の結合度に依存するが、共振電極間の結合度は、共振電極間のインダクタンス並びに共振電極間の容量(共振電極と結合電極間の容量)とするようにしている。
【0007】
このような設定では、バンド幅を広げることについて限界が生じるおそれがある。そこで、3本の共振電極についてそれぞれ異なる共振周波数に設定することでバンド幅を広げる手法が提案されている。これを実現するには、各共振電極の開放端容量をそれぞれ異ならせることで達成される。
【0008】
しかし、バンド幅が広がることに関連して、減衰極も変更させる必要があることから、各共振電極と結合電極間の容量を変更したり、各共振電極間の距離をそれぞれ変更させることが考えられている。なお、各共振電極間の距離をそれぞれ変更することについては、例えば特開平5−251905号公報に記載がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した積層型誘電体フィルタ100において、小型化と高性能化を同時に実現させる場合、例えば図13に示す提案例に係る積層型誘電体フィルタ300のように、誘電体基板302内に、例えば3つの共振電極304A、304B及び304Cを形成し、隣接する共振電極304Aと304B間並びに304Bと304C間にそれぞれ結合電極306及び308を配置する。
【0010】
通常、コムライン共振器の場合、共振器間は必ず誘導結合となる。従って、図13の例で、共振器間の結合を容量性にするには、結合電極の面積等を調整することにより行う。例えば中央の共振電極304Bと結合電極306間の結合容量を大きくすると、誘導性が弱まり、更に大きくすると、容量性結合に変化する。即ち、誘導性、容量性への変更は、中央の共振電極304Bと結合電極306及び308間の結合容量で調整することができる。
【0011】
なお、入力側共振電極304Aと中央の共振電極304B間の間隔d1を出力側共振電極304Cと中央の共振電極304B間の間隔d2よりも大きくしたのは、減衰特性の調整のためである。
【0012】
このような積層型誘電体フィルタ300において、図13に示すように、共振器としてλ/4共振器を使用した場合、共振器を構成する共振電極304A、304B及び304Cの各一端(短絡端)を、誘電体基板302の側面に形成されたアース電極310に接続するようにしているため、共振器長は個片分割(チップ分割)時の切断により決定される。
【0013】
この切断工程において、内層アース電極312の端部から誘電体基板302の短絡端側の面までの長さLc(以下、切断長さと記す)が規定の長さからずれると、そのずれ量に応じて周波数が変動する。
【0014】
特に、図13に示す例では、確かに小型化と高性能化を両立させる優れた構造ではあるが、図12の従来例に係る積層型誘電体フィルタ100と異なり、入力側共振電極304Aと出力側共振電極304Cが中央の共振電極304Bに対して、容量的並びに位置的に対称に形成されていないため、前記誘電体基板302の切断による周波数変動量が共振器ごとに異なるおそれがある。
【0015】
その場合、歩留まりの低下を引き起こすことから、許容範囲としてある程度のマージンを確保せざるを得なくなり、容量性結合と誘導性結合を共に有する積層型誘電体フィルタとしての優位性を発揮できないおそれがある。
【0016】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、製造ばらつきを低減することができる積層型誘電体フィルタを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る積層型誘電体フィルタは、複数の誘電体層が積層されて構成された誘電体基板内に、3つ以上の共振電極と、前記3つ以上の共振電極の開放端側と対向する内層アース電極とが形成された積層型誘電体フィルタにおいて、前記3つ以上の共振電極のすべてあるいは一部の共振電極は、それぞれ開放端部分に、電極の幅により共振周波数を調整する第1の電極部分と、前記第1の電極部分に隣接し、かつ、電極の幅により周波数変動量を調整する第2の電極部分とを有することを特徴とする。
【0022】
これにより、まず、この積層型誘電体フィルタの製造段階において、フィルタとして使用されるべき周波数となるように、3つ以上の共振電極のすべてあるいは一部の共振電極について、それぞれ開放端部分における第1の電極部分の幅を拡張する場合が考えられる。その場合、共振電極の形成において積層ずれが生じると、各共振電極における開放端容量の変動量が異なり、その結果、各共振電極の周波数変動量がまちまちとなる。これは、リターンロスの波形変化が大きくなり、特性の劣化につながるおそれがある。
【0023】
しかし、本発明では、前記3つ以上の共振電極のすべてあるいは一部の共振電極におけるそれぞれ開放端部分に周波数変動量を調整するための第2の電極部分を有することから、この第2の電極部分の幅を調整することで、共振電極の積層ずれによる各共振電極の周波数変動量はほとんど同じになり、特性劣化を抑制することができる。
【0024】
そして、前記構成において、前記開放端部分は、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分のみで構成され、前記第1の電極部分は、前記開放端部分のうち、前記内層アース電極にて完全に含まれる部分に位置され、前記第2の電極部分は、前記開放端部分のうち、前記第1の電極部分とは異なり、かつ、前記内層アース電極の縁部に対向する部分に位置されていることが好ましい。
【0025】
なお、各共振電極の開放端と対向する位置に前記内層アース電極が形成されている場合においては、積層ずれによる通過帯域の変動は生じるものの、リターンロスの波形変化は小さくなり、特性劣化を抑制することができる。
【0028】
また、前記構成において、前記3つ以上の共振電極は、各短絡端がアース電極に接続され、各電極面の少なくとも一主面における短絡端近傍が接続部材を介してアース電極に接続されていてもよい。
これにより、まず、この積層型誘電体フィルタの製造段階において、個片分割(チップ分割)によって誘電体基板を切断した場合に、切断長さが規定の長さからずれても、各共振電極の少なくとも一主面における短絡端近傍が接続部材を介してアース電極に接続されることから、アース電極からみた各共振電極の共振器長は、切断長さに拘わらずほとんど変わらないことになる。従って、切断長さのばらつきによる周波数変動は小さいものとなる。
前記構成において、前記各電極面の両主面におけるそれぞれの短絡端近傍が接続部材を介してアース電極に接続されていてもよい。この場合、切断長さのばらつきによる周波数変動を更に抑制することができる。
前記接続部材は、前記誘電体基板内に形成されたビアホールであってもよい。この場合、誘電体基板内に形成された共振電極の短絡端近傍と誘電体基板表面のアース電極とを容易に接続させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層型誘電体フィルタの実施の形態例を図1〜図11を参照しながら説明する。
【0032】
まず、第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aは、図1に示すように、複数の誘電体層(S1〜S7:図2参照)が積層、焼成一体化され、かつ、表面にアース電極12が形成された誘電体基板14を有し、誘電体基板14内には、3つの共振電極16A、16B及び16Cが形成されている。
【0033】
また、誘電体基板14の表面には、一方の側面に入力端子18が形成され、他方の側面に出力端子20が形成されている。なお、入力端子18とアース電極12間、並びに出力端子20とアース電極12間にはそれぞれ絶縁のための領域(誘電体基板14が露出した部分)22及び24が設けられている。
【0034】
3つの共振電極16A、16B及び16Cをそれぞれ1/4波長の共振電極とした場合は、例えば図3及び図5に示すように、誘電体基板14の側面のうち、共振電極16A、16B及び16Cが露出する面にアース電極12を形成して各共振電極16A、16B及び16Cの各一端(短絡端)をアース電極12と短絡させた構造が採用される。
【0035】
また、この第1の実施の形態では、図2及び図3に示すように、3つの共振電極16A、16B及び16Cの開放端に対して上下で対向する2つの内層アース電極30及び32を形成するようにしている。この場合、各共振電極16A、16B及び16Cの開放端がそれぞれ内層アース電極30及び32を介してアース電極12と容量結合されることで、各共振電極16A、16B及び16Cの電気長を短くすることができる。
【0036】
各内層アース電極30及び32は、それぞれ3つの共振電極16A、16B及び16Cの開放端を共通に含むように板状に形成され、誘電体基板14の側面、特に3つの共振電極16A、16B及び16Cの開放端と対向する側面に形成されたアース電極12に接続された形態となっている。
【0037】
具体的に、第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aの構成を図2に基づいて説明すると、まず、前記誘電体基板14は、第1〜第7の誘電体層S1〜S7が順次積層されて構成されている。これら第1〜第7の誘電体層S1〜S7はそれぞれ1枚あるいは複数枚の層にて構成される。
【0038】
そして、第4の誘電体層S4の一主面に3つの共振電極16A、16B及び16Cが形成され、そのうち、誘電体基板14の一方の側面に近接する共振電極16A(入力側共振電極)並びに誘電体基板14の他方の側面に近接する共振電極16C(出力側共振電極)は、それぞれ入力端子18及び出力端子20(図1参照)と直接接続するためのリード電極33及び34が形成されている。
【0039】
第3の誘電体層S3の一主面には、平面的に、共振電極16A、16B及び16Cの各開放端を含む位置に内層アース電極30が形成され、更に、出力側共振電極16Cと中央の共振電極16B間に容量を形成するための第1の結合電極36が形成されている。
【0040】
第5の誘電体層S5の一主面には、平面的に、共振電極16A、16B及び16Cの各開放端を含む位置に内層アース電極32が形成され、更に、入力側共振電極16Aと中央の共振電極16B間に容量を形成するための第2の結合電極38が形成されている。
【0041】
前記第1の結合電極36は、平面的にL字状とされた平面電極部36Aと、該平面電極部36Aと出力側共振電極16Cとを電気的に接続するビアホール36Bとから構成され、平面電極部36Aは、出力側共振電極16Cの上方から中央の共振電極16Bの上方にかけて延びる第1の電極部36Aaと、中央の共振電極16Bと重なり、かつ、中央の共振電極16Bに沿って延在する第2の電極部36Abとが一体に形成されて構成されている。
【0042】
第2の結合電極38も前記第1の結合電極36と同様に、平面的にL字状とされた平面電極部38Aと、該平面電極部38Aと入力側共振電極16Aとを電気的に接続するビアホール38Bとから構成され、平面電極部38Aは、入力側共振電極16Aの上方から中央の共振電極16Bの上方にかけて延びる第1の電極部38Aaと、中央の共振電極16Bと重なり、かつ、中央の共振電極16Bに沿って延在する第2の電極部38Abとが一体に形成されて構成されている。
【0043】
そして、この第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aは、バンド幅を広くとるために、3つの共振電極16A、16B及び16Cについての各共振周波数をそれぞれ異なるようにしている。そのため、3つの共振電極16A、16B及び16Cのすべてあるいは一部の共振電極の開放端部分のうち、内層アース電極30及び32にて完全に含まれる部分(第1の電極部分)の幅を拡張するようにしている。
【0044】
この例では、図5に示すように、中央の共振電極16Bと出力側共振電極16Cの各開放端部分16Ba及び16Caにおける第1の電極部分16Ba1及び16Ca1の幅HB1及びHC1を拡張するようにしている。特に、中央の共振電極16Bは、前記開放端部分16Baにおける第1の電極部分16Ba1の幅HB1を入力側共振電極16Aに向けて拡張し、出力側共振電極16Cは、前記開放端部分16Caにおける第1の電極部分16Ca1の幅を中央の出力端子20側に向けて拡張するようにしている。
【0045】
更に、この第1の実施の形態では、使用されるフィルタの特性に合わせて、周波数特性上の減衰極の位置も調整するようにしている。例えば誘導結合による減衰極と容量結合による減衰極を出現させるようにしている。
【0046】
通常、本実施の形態のようなコムライン共振器の場合、共振器間は必ず誘導結合となる。従って、共振器間の結合を容量性にするには、共振器間の間隔を大きくするか、共振器間の容量を大きくするなどの手法が好ましく採用される。
【0047】
図2の例では、隣接する共振電極16A及び16B間並びに16B及び16C間の各間隔d1とd2が均等でなく、入力側共振電極16Aと中央の共振電極16B間の間隔d1を中央の共振電極16Bと出力側共振電極16C間の間隔d2よりも大きく設定している。これにより、入力側共振電極16Aと中央の共振電極16B間の誘導性結合が弱まることになり、入力側共振電極16Aと中央の共振電極16B間の結合度に応じた減衰極は通過帯域よりも低い周波数において出現することとなる。
【0048】
この減衰極の位置を微調整するには、第2の結合電極38の面積等を調整することにより行う。例えば中央の共振電極16Bと第2の結合電極38間の結合容量を大きくしていくと、前記減衰極がより低い周波数に位置し、中央の共振電極16Bと第2の結合電極38間の結合容量を小さくしていくと、前記減衰極がより通過帯域に近い周波数に位置することになる。
【0049】
一方、中央の共振電極16Bと出力側共振電極16C間の間隔を小さくすることで、中央の共振電極16Bと出力側共振電極16C間の誘導性結合が強まり、中央の共振電極16Bと出力側共振電極16C間の結合度に応じた減衰極は通過帯域よりも高い周波数において出現することとなる。
【0050】
この減衰極の位置を微調整するには、第1の結合電極36の面積等を調整することにより行う。例えば中央の共振電極16Bと第2の結合電極38間の結合容量を大きくしていくと、前記減衰極がより低い周波数に位置し、中央の共振電極16Bと第2の結合電極38間の結合容量を小さくしていくと、前記減衰極がより通過帯域に近い周波数に位置することになる。
【0051】
そして、この第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aにおいては、図2に示すように、各共振電極16A、16B及び16Cの両主面における短絡端の近傍と上下のアース電極12とがそれぞれビアホールを介して電気的に接続されている。具体的には、入力側共振電極16Aの両主面における短絡端の近傍と上下のアース電極12とがそれぞれビアホール40Aa及び40Abを介して接続され、中央の共振電極16Bの両主面における短絡端の近傍と上下のアース電極12とがそれぞれビアホール40Ba及び40Bbを介して接続され、出力側共振電極16Cの両主面における短絡端の近傍と上下のアース電極12とがそれぞれビアホール40Ca及び40Cbを介して接続されている。
【0052】
従って、この第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aは、以下のような作用効果を奏することになる。
【0053】
まず、一般的な積層型誘電体フィルタの製造段階においては、通常、誘電体基板14を切断して個片分割(チップ分割)して製造するが、このとき、切断長さLc(図5及び図13参照)が規定の長さからずれると、そのずれ量に応じて共振器長が変化し、各共振電極での共振周波数が変動することになる。
【0054】
一方、この第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aにおいては、各共振電極16A、16B及び16Cの両主面における短絡端の近傍と上下のアース電極12とがそれぞれビアホール(40Aa,40Ab)、(40Ba,40Bb)及び(40Ca,40Cb)を介して電気的に接続されているため、アース電極12からみた各共振電極16A、16B及び16Cの共振器長は、切断長さLcに拘わらずほとんど変わらないことになる。従って、切断長さLcのばらつきによる周波数変動は小さいものとなる。
【0055】
ここで、1つの実験例を示す。この実験例は、比較例と実施例について、切断長さLcを規定の長さに対して0、−30μm、+30μmとした場合の周波数特性をみたものである。
【0056】
比較例は、第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aにおいて、各共振電極16A、16B及び16Cの両主面における短絡端の近傍と上下のアース電極12とを接続しない構成を有し、実施例は、第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aと同様の構成を有する。比較例の結果を図6に示し、実施例の結果を図7に示す。
【0057】
図6から、比較例においては、切断長さLcが+方向にずれる(長くなる)と、通過帯域が規定の帯域よりも低周波側にずれ(一点鎖線参照)、切断長さLcが−方向にずれる(短くなる)と、通過帯域が規定の帯域よりも高周波側にずれていることがわかる(破線参照)。
【0058】
一方、実施例においては、図7に示すように、切断長さLcが+方向にずれても−方向にずれても、通過帯域の変動はなく、ほぼ一定であることがわかる。
【0059】
上述の例では、3つの共振電極16A、16B及び16Cを有する積層型誘電体フィルタに適用した場合を示したが、その他、2つの共振電極を有する積層型誘電体フィルタや4つ以上の共振電極を有する積層型誘電体フィルタについても適用できる。
【0060】
次に、第2の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Bについて図8を参照しながら説明する。
【0061】
この第2の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Bは、図8に示すように、上述した第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0062】
即ち、3つの共振電極16A、16B及び16Cのすべてあるいは一部の共振電極の各開放端部分は、上述した第1の電極部分のほかに、第2の電極部分を有する。
【0063】
具体的には、共振電極16Bについてみると、その開放端部分16Baは、内層アース電極30及び32に完全に含まれる第1の電極部分16Ba1と、内層アース電極30及び32の縁部に対向する第2の電極部分16Ba2(斜線で示す部分)とを一体に有する。
【0064】
また、共振電極16Cについてみると、その開放端部分16Caは、内層アース電極30及び32に完全に含まれる第1の電極部分16Ca1と、内層アース電極30及び32の縁部に対向する第2の電極部分16Ca2(斜線で示す部分)とを一体に有する。
【0065】
そして、前記第2の電極部分16Ba2及び16Ca2の幅HB2及びHC2が3つの共振電極16A、16B及び16Cの積層ずれに伴う各共振電極16A、16B及び16Cの周波数変動量がほぼ同じになるように設定されている。
【0066】
具体的には、まず前提として、バンド幅を広くとるために、3つの共振電極16A、16B及び16Cについての各共振周波数をそれぞれ異なるようにしている。そのために、3つの共振電極16A、16B及び16Cのすべてあるいは一部の共振電極の開放端部分における第1の電極部分の幅を拡張するようにしている。図8では、中央の共振電極16B及び出力側共振電極16Cにおける各開放端部分16Ba及び16Caの第1の電極部分16Ba1及び16Ca1の幅HB1及びHC1を拡張するようにしている。そのため、各共振電極16A、16B及び16Cの開放端容量(開放端とアース電極12間の容量)は、それぞれ異なることになる。
【0067】
そして、各共振電極16A、16B及び16Cの形成の際に、積層ずれが生じた場合、各共振電極16A、16B及び16Cにおける開放端容量が変化することとなるが、その変化率は共振電極ごとに異なり、その結果、前記積層ずれによる周波数変動量が共振電極ごとにそれぞれ異なることとなる。
【0068】
一例を挙げると、今、2つの共振器(例えば入力側共振電極16Aと中央の共振電極16Bによる2つの共振器)に注目したとき、一方の共振器のインピーダンスを16Ωとし、他方の共振器のインピーダンスを12Ωとする。その場合の積層ずれ(積層ずらし量)による共振周波数変動量は例えば図9に示すように共振器ごとに異なる。一方の共振器は積層ずれに対して共振周波数変動量が急峻に変化し(直線A参照)、その変動は他方の共振器の場合(直線B参照)の2.5倍となっている。
【0069】
そこで、入力側共振電極16Aと中央の共振電極16Bのみを考えた場合、中央の共振電極16B(特性インピーダンス12Ω)における開放端部分16Baの第2の電極部分16Ba2の幅HB2をより大きくすると、図10の直線Cに示すように、該中央の共振電極16Bの周波数変動量が大きくなり、入力側共振電極16A(特性インピーダンス16Ω)の周波数変動量に近づく。これにより、フィルタ波形は通過帯域がシフトするもののリターンロスの波形変化を小さくすることができる。
【0070】
これは、出力側共振電極16Cについても同様であり、開放端部分16Caにおける第2の電極部分16Ca2の幅HC2をより大きくすることで、入力側共振電極16Aの周波数変動量に近づけることができ、リターンロスの波形変化を小さくすることができる。
【0071】
図8の例では、中央の共振電極16Bの開放端部分16Baにおける第1及び第2の電極部分16Ba1及び16Ba2を入力側共振電極16Aに向けて張り出させ、出力側共振電極16Cの開放端部分16Caにおける第1及び第2の電極部分16Ca1及び16Ca2を出力端子20に向けて張り出させるようにしている。
【0072】
このように、第2の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Bにおいては、3つの共振電極16A、16B及び16Cのすべてあるいは一部の共振電極におけるそれぞれ開放端部分に周波数変動量を調整するための第2の電極部分を有することから、この第2の電極部分の幅を調整することで、共振電極の積層ずれによる各共振電極の周波数変動量をほとんど同じにすることが可能となり、特性劣化を抑制することができる。
【0073】
次に、第3の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Cについて図11を参照しながら説明する。
【0074】
この第3の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Cは、図11に示すように、上述した第2の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Bとほぼ同様の構成を有するが、内層アース電極30及び32が帯状に形成されている点と、中央の共振電極16B及び出力側共振電極16Cが、それぞれ開放端部分16Ba及び16Caに、横方向に張り出して形成された張り出し電極部16Ba3及び16Ca3(斜線で示す)を有し、前記張り出し電極部16Ba3及び16Ca3の両端が前記内層アース電極30及び32の両縁部からそれぞれはみ出た部分に位置している点で異なる。なお、入力側共振電極16Aの開放端部分16Aaも内層アース電極30及び32の端部からはみ出た部分に位置している。
【0075】
中央の共振電極16Bの開放端部分16Baにおける張り出し電極部16Ba3を含む幅HB1並びに出力側共振電極16Cの開放端部分16Caにおける張り出し電極部16Ca3を含む幅HC1が拡張され、更に、張り出し電極部16Ba3及び16Ca3の長さLB及びLCが内層アース電極30及び32の幅Wより大きく設定されている。
【0076】
従って、この第3の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタ10Cにおいては、共振電極16A、16B及び16Cの内層アース電極30及び32に対する積層ずれがあっても、各共振電極16A、16B及び16Cにおいて、開放端容量が変化しないため、リターンロスの波形変化を小さくできると共に、通過帯域の変動も抑えることができる。
【0077】
上述の第2及び第3の実施の形態では、3つの共振電極16A、16B及び16Cを有する積層型誘電体フィルタに適用した場合を示したが、その他、4つ以上の共振電極を有する積層型誘電体フィルタにも適用することができる。
【0078】
上述の各実施の形態では、入力側共振電極16Aと中央の共振電極16B間の間隔d1を出力側共振電極16Cと中央の共振電極16B間の間隔d2よりも大きくしたが、間隔d1とd2をほぼ同じにしてもよい。
【0079】
なお、この発明に係る積層型誘電体フィルタは、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る積層型誘電体フィルタによれば、積層型誘電体フィルタの製造ばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタを示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタを示す分解斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタについて、中央の共振電極の中心線に沿って切断した場合の縦断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタについて、入力端子から出力端子に向けた線上に沿って切断した場合の縦断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタを平面から見て示す説明図である。
【図6】比較例について、切断長さを規定の長さに対して0、−30μm、+30μmとした場合の周波数特性を示す図である。
【図7】実施例について、切断長さを規定の長さに対して0、−30μm、+30μmとした場合の周波数特性を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタを平面から見て示す説明図である。
【図9】特性インピーダンス16Ωの共振器と特性インピーダンス12Ωの共振器の積層ずれに対する共振周波数変動量の変化を示す図である。
【図10】特性インピーダンス12Ωの共振器の積層ずれに対する共振周波数変動量の変化を改善させた例を示す図である。
【図11】第3の実施の形態に係る積層型誘電体フィルタを平面から見て示す説明図である。
【図12】従来例に係る積層型誘電体フィルタを示す分解斜視図である。
【図13】提案例に係る積層型誘電体フィルタを平面から見て示す説明図である。
【符号の説明】
10A、10B、10C…積層型誘電体フィルタ
12…アース電極 14…誘電体基板
16A…入力側共振電極 16B…中央の共振電極
16C…出力側共振電極 30、32…内層アース電極
36…第1の結合電極 38…第2の結合電極
40Aa、40Ab、40Ba、40Bb、40Ca、40Cb…ビアホール
Claims (4)
- 複数の誘電体層が積層されて構成された誘電体基板内に、3つ以上の共振電極と、前記3つ以上の共振電極の開放端側と対向する内層アース電極とが形成された積層型誘電体フィルタにおいて、
前記3つ以上の共振電極のすべてあるいは一部の共振電極は、それぞれ開放端部分に、電極の幅により共振周波数を調整する第1の電極部分と、前記第1の電極部分に隣接し、かつ、電極の幅により周波数変動量を調整する第2の電極部分とを有し、
前記開放端部分は、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分のみで構成され、
前記第1の電極部分は、前記開放端部分のうち、前記内層アース電極にて完全に含まれる部分に位置され、
前記第2の電極部分は、前記開放端部分のうち、前記第1の電極部分とは異なり、かつ、前記内層アース電極の縁部に対向する部分に位置されていることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。 - 請求項1記載の積層型誘電体フィルタにおいて、
前記3つ以上の共振電極は、各短絡端がアース電極に接続され、各電極面の少なくとも一主面における短絡端近傍が接続部材を介してアース電極に接続されていることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。 - 請求項2記載の積層型誘電体フィルタにおいて、
前記各電極面の両主面におけるそれぞれの短絡端近傍が接続部材を介してアース電極に接続されていることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。 - 請求項2又は3記載の積層型誘電体フィルタにおいて、
前記接続部材は、前記誘電体基板内に形成されたビアホールであることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
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