JP3938660B2 - 積層ガラスの予備接着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の窓ガラスとして用いられる合わせガラスの製造工程において、ガラス板間に中間膜を挿入した複数枚のガラス板同士を加熱および加圧によって、ガラス板同士を接着させるとともに、ガラス板間の気泡を排出させる予備接着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のガラス板を重ね合わせた合わせガラスのうち、最も良く知られ、広く使用されているものとして、ガラス板間に中間膜としてPVB(ポリ・ビニル・ブチラール)製の樹脂シートを挿入して重ね合わせ、加熱、および加圧して該中間膜によってガラス板同士を接着させたものがあげられる。
【0003】
この合わせガラスを接着させる工程において、ガラス板間に気泡等が残ると、その気泡が微小であっても透視性能が損なわれるばかりでなく、接着力の低下に繋がり剥がれといった不具合も発生するので、接着前にガラス板間の脱気を十分に行うことが重要である。
【0004】
特に自動車等の窓ガラスは二方向に湾曲した三次元形状であり、重ね合わせた2枚のガラス板間より気泡を脱気させるために両面から均一に押圧させる為の工夫が必要となった。
【0005】
例えば、特公昭47−2265号公報には、特に中間挿入の合成樹脂フォイルを有する球状に湾曲したガラス板を1前複合体に圧延する目的で、全体的に圧延方向に直角に経過する軸の周りを旋回可能な旋回フレームを有し、旋回フレームの中には上方と下方のガラス板に作用しばねによって圧着される多数の圧力ロールが配置されている圧延装置において、各圧力ロールは圧力ロールを保持しかつ旋回フレームに固定された構造部分および共属のばねと共に他の圧力ロールとは無関係に旋回フレームに固定可能でありかつ旋回フレームから個々に取外し可能である圧力ロール単位に併合されていること、および圧力ロール単位は前複合体の相違する湾曲に対し圧延方向に横に調整可能に旋回フレームに固定されている圧延装置が開示されている。
【0006】
これについては、図8に示すように、湾曲ガラス面の両面よりコイルバネ23’、24’の弾性力によって上部押圧ロール11’、および下部押圧ロール12’をガラス面に押圧させるものであった。
【0007】
また、特開昭60−16839号公報には、接着膜を挟んだ積層ガラスが挿通されるプレスロールと、このプレスロールを回転軸支すると共にプレス作用線が上記積層ガラスの湾曲面に倣って略法線方向を向くように角度変位し得るロール架枠と、このロール架枠を回動軸支すると共にプレス作用点が上記積層ガラスの面の高さに倣うように上記ロール架橋をガラスの主面方向に高さ変位させ得る支持枠と、上記プレスロールの回転及び上記ロール架枠の角度変位並びに高さ変位の夫々の駆動源を予め定められたデータに従って制御する制御装置とを具備する積層ガラスのプレスロール装置が開示されている。
【0008】
さらに、特開昭61−169248号公報には、カレンダーによって、少なくとも1つのガラスシートと少なくとも1つのプラスチック材料のフイルムとを組み合わせる為の装置であって、相互に隣接して屈撓自在に取り付けられている一連の押圧ローラと、屈撓自在に取り付けられかつ前記押圧ローラと協同する一連の対向押圧ローラとを具備し、前記押圧ローラと対向押圧ローラとが共に1つのピストンロッドの一端に取り付けられ、このピストンロッドの他端が、空気圧力により駆動されかつ空気シリンダの中で移動される1つの押圧ピストンを担持している装置が開示されている。
【0009】
さらにまた、特開平2−279544号公報には、合せガラス用の積層体を上下に配置された複数の加圧ロールの間を通過させ、予備圧着する予備圧着装置において、該加圧ロールの全てが合せガラス用の積層体の通過方向と略垂直な面内で回転しうる機構を備えた予備圧着装置が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記特公昭47−2265号公報に記載された発明においては、各種の曲率形状の湾曲ガラス板に対応させるために、上下に設けた圧力ロールのストロークを広げようとすると、図8にも示したように、該圧力ロールをばねの弾性力だけで押圧しているため、強いばねを用いらざるを得ず、ガラス曲げ形状の変化に伴うスプリングの伸縮具合によって押圧力がばらつき、このため上下の圧力ロールがスムーズでなく、湾曲ガラスの曲げ形状への追従性が悪くなり、ガラス板に無理な力が加わり過ぎるので割れやすいという問題点があった。
【0011】
また、特開昭60−16839号公報に記載された発明においては、接着膜を挟んだ積層ガラスの湾曲面を上下から押圧させるロール群が搬送方向の湾曲面に対してはロール架枠の傾斜角度を少しづつ変化させて、プレスロールの押圧湾曲面の法線方向となるように傾きながら搬送されるが、搬送方向とは直角方向である上部、又は下部の押圧ロールはそれらの両端側で、上部側のロールと下部側のロールとの押圧軸が一致しておらず、エッジ部近傍上で大きくずれた状態となっているため、両端エッジ側が深曲げの曲率の小さな湾曲ガラス等については、該エッジ近傍を押圧するプレスロールが上下でチドリ状となり、エッジ部近傍の曲面に対し均等な押圧が得られず、脱気が不十分となって気泡が残りやすく、接着部が剥がれ易くなることがあった。
【0012】
さらに、特開昭61−169248号公報には、一連の押圧ローラと、一連の対向押圧ローラとがそれぞれ湾曲ガラス面の法線方向を軸として加圧するようになっているものの、上部側の押圧ローラと下部側の対向押圧ローラとの押圧軸が一致しておらず、エッジ部近傍上で大きくずれた状態となっているため、特開昭60−16839号公報に記載された発明と同様に、両端エッジ側が深曲げの曲率の小さな湾曲ガラス等については、該エッジ近傍を押圧する押圧ローラと対向押圧ローラが上下でチドリ状となり、エッジ部近傍の曲面に対し均等な押圧が得られず、脱気が不十分となって気泡が残りやすく、接着部が剥がれ易くなることがあった。
【0013】
さらにまた、特開平2−279544号公報には、湾曲ガラスの曲率の大きな曲面部の法線方向を押圧軸として加圧ロールを押圧し、上部側の加圧ロールと下部側の加圧ロールを揺動フレームと回転フレームによって首振り自在にして、上部側の加圧ロールと下部側の加圧ロールとの押圧軸を一致させるために、上部側の加圧ロールと下部側の加圧ロールとをそれぞれ首振り自在にしたものの、上部側の加圧ロールと下部側の加圧ロールとの押圧軸が一致することなく、曲率の大きい端部側近傍上で大きくずれた状態となる。
【0014】
つまり、前記特開昭60−16839号公報、特開昭61−169248号公報、特開平2−279544号公報に記載された発明は、いずれも図7に示すように上下の押圧シリンダー21、21、・・、22、22、・・の位置は垂直方向に向いており上部の横フレーム31、下部の横フレーム32に固定されているが、上部押圧ロール11、11、・・と下部押圧ロール12、12、・・を傾動自在として、湾曲積層ガラスGの湾曲面に押圧して、湾曲面形状に倣わせるとともに、湾曲面の法線方向に押圧ロール11、12の押圧軸が来るようにしただけのものであり、両端部側が特に深い曲げのガラスについては、該端部近傍を押圧する押圧ロール11、1111,・・、12、12、・・が上下でチドリ状となり、ガラス板Gの端部近傍の曲面に対し均等な押圧力が得られず、2枚のガラス板G間の脱気が不十分となって気泡が残りやすく、接着部が剥がれ易くなるという問題点があった。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような問題点に鑑みて、複数枚の積層した湾曲ガラス板間に挿入したPVB等の中間膜によって、ガラス板同士をプレス接着させるに当たり、ガラス板間に気泡を残さないようにすると共に、ガラス板の両面から均等に押圧でき、押圧した時にガラス板の破損等も発生させないことを目的とする。
【0016】
すなわち、本発明は、搬送される中間膜を挟んだ湾曲積層ガラスをその湾曲面の両面より縦断面形状に沿って角度調整自在な複数のロール群によって加圧する予備接着装置において、
前記湾曲ガラスを傾斜角度自在に搬出入させる搬出入手段と、
上部側ロール群と下部側のロール群からなる押圧ロール群の上下各押圧ロールは、それぞれ湾曲ガラス面の法線方向で対となるように配置され、
各押圧ロール毎にガラス面を押圧させる押圧シリンダを設け、該シリンダの内部にバランス用スプリングを設けて、隣接する押圧ロールとの段差を吸収させ、該押圧シリンダ内の圧力を湾曲ガラス板の通過によって該シリンダ内の圧力の変動時に一定にさせる圧力調整弁とからなるロール押圧手段と、
前記上下の各押圧シリンダの支持点を水平方向に設けた上下の横フレームに設けた各長孔内で位置移動可能に支持して、湾曲ガラスへの押圧角度を調整自在とした角度調整手段と、
前記上下の横フレームの両端を縦フレームと連結して方形の本体支持枠とし、その縦フレームの略中心部に設けた支持軸で前記本体支持枠を回動自在とする回動手段と、
前記湾曲ガラスを押圧ロール群間で移動させ、その移動速度を調整自在な駆動手段とからなり、
湾曲ガラスの搬送速度に合わせて上下のロール群をガラス曲面の法線方向とするものであり、
湾曲ガラスの通過によって該シリンダ内の圧力が急激に変動する場合であっても、前記圧力調整弁によって該シリンダ内の圧力を安定した一定圧力となるようにして、上下の押圧ロールの移動後の位置を新たな安定した押圧位置とし、均一な押圧力で湾曲ガラスの両面から均等に押圧できるようにしたことを特徴とする積層ガラスの予備接着装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明の予備接着装置1は、図2に示すように、2枚のガラス板間に中間膜を挿入した湾曲積層ガラスGの両面に上下一対設けた複数の押圧ロール群10と、該押圧ロール群10間を通過する湾曲ガラス板Gの両面より前記積層ガラス板を押圧するロール押圧手段20と、ロール押圧手段20の各押圧ロールそれぞれのガラス面への押圧方向がガラス板の湾曲面の法線方向となるようにし、上下の対向する押圧ロールの押圧軸が略同一となるように配列させる角度調整手段30と、前記ロール押圧手段20と角度調整手段30を支持固定する本体フレーム31、32の角度を湾曲積層ガラスGの搬送位置に合わせて、回動自在とさせる回動手段40と、湾曲積層ガラスGを上面側を凹状姿勢で搬送させる駆動手段50と、前記湾曲ガラスGを傾斜角度自在に搬出入させる搬出入手段70とからなる。
【0021】
以下に、前記各手段についてさらに詳述する。
【0022】
前記押圧ロール群10は、複数の押圧ロールをそれぞれ独立して支持された自由回転する上部押圧ロール11、11、・・と、また、複数の押圧ロールをそれぞれ独立して支持される下部押圧ロール12、12、・・から構成されている。
【0023】
各押圧ロールは左右に二分割され外周部をゴム層で被覆した一対のロール部と、その中間部分に軸受け部を有したサンドイッチ状となっており、ゴム層で被覆したロール部分はフリー回転自在、または駆動源によって駆動されるかのいずれかである。
【0024】
また、前記ロール押圧手段20は、図4に示すように、前記上部押圧ロール11、11、・・および下部押圧ロール12、12、・・のそれぞれについて独立して昇降可能な上部シリンダ21、21、・・、および下部シリンダ22、22、・・が設けられている。 該上部シリンダ21、21、・・および下部シリンダ22、22、・・のロッドの先端部は、前記上部押圧ロール11、11、・・、下部押圧ロール12、12、・・のそれぞれの軸受部に取り付けられている。
【0025】
図5に示すように、該上部シリンダ21、21、・・、および下部シリンダ22、22、・・内には、それぞれバランス用のバネ23、23・・、24、24、・・が設けられており、上部シリンダ21、21、・・、又は下部シリンダ22、22、・・の各ロッドの先端部に取り付けた押圧ロール11、12が湾曲ガラス板面を押圧するときに、押圧ロール群10の先端が形成する湾曲カーブに僅かな凹凸や隣接するロールとの段差があっても、押圧ロール群10は湾曲ガラス板Gの湾曲面に倣うように追従し、バランス用の弾性係数の低いバネ23、24によって凹凸や隣接するロールとの段差によるシリンダ内の微小なエア圧力の変動を瞬時に吸収し、各押圧ロール群10のガラス面への押圧力を均一とすることができる。
【0026】
前記上部シリンダ21、および下部シリンダ22は、それぞれベロフラムシリンダ(商標名)等の動作の滑らかな低摩擦式のエアシリンダを用いて、シリンダ内のピストンの摺動が滑らかに行われるようにし、該低摩擦式のエアシリンダ21、22の給排気口には前記シリンダ21、22内のエアを高速排気可能な圧力調整弁25、26を接続し、該エアシリンダ21、22内の圧力が湾曲ガラス板Gの通過によって押し上げられたり、あるいは押し下げられたりすることによって、シリンダー21、22内の圧力が急激に変動する場合であっても、圧力調整弁25、26によってエアを高速に排出して該シリンダ21、22内の圧力を瞬時に逃がし、一定圧力とすることができる。
【0027】
前記上部シリンダ21や下部シリンダ22としては、シリンダの筒部内のピストンの両側よりロッドを突き出して、ロッドが筒部内で貫通するようにしたタイプ、あるいは、シリンダ21、22の筒部内のピストンの片側よりロッドを突き出したタイプのいずれであっても良い。
【0028】
次に、前記角度調整手段30は、図1、図4に示すように、ロール押圧手段20の各押圧ロールそれぞれのガラス面への押圧方向がガラス板の湾曲面の法線方向となるようにし、かつ上下の対向する押圧ロールの押圧軸が略同一となるように配列させるために、上部シリンダ21、21、・・を支持固定する上部の横フレーム31に設けた取付孔を長孔33、33、・・とし、下部シリンダ22、22、・・を支持固定する下部の横フレーム32に設けた取付孔を長孔34、34、・・として、それぞれ長孔33・・、34・・・の範囲内で上部シリンダ21、21・・、下部シリンダー22、22・・の取付固定位置を調整可能とすることができる。
【0029】
前記回動手段40は、図1、図6(b)に示すように、上部シリンダ21、21、・・、および下部シリンダ22、22、・・を固定している上部の横フレーム31、31、および下部の横フレーム32、32の各両端を縦フレーム41、41に固定して枠組みし、該縦フレーム41、41の中間部より枠の外方水平方向側に延ばしたロッドを回動軸とした。 該ロッドは、底部を枠組した架台2の両端より立設した支柱3、3の頂部に設けた回動軸受44、44によって回動自在に支持されるが、該ロッドは変速機43を介して回動モータ42で駆動される。
【0030】
縦フレーム41は、図6(a)の湾曲ガラス板の平面図に示したように、湾曲ガラス板Gの先端部位をポジション1、中間部位をポジション3、後端部位をポジション5とし、概略図示した部分をポジション2、ポジション4とすれば、図6(b)の回動範囲で示されるように、湾曲ガラス板がポジション1の先端部位からポジション5の後端部位迄移動するにつれて、縦フレーム41はポジションaからポジションe迄の角度θ間を回動することになる。
【0031】
前記駆動手段50は、図3に示したように、駆動モータ51によって下部押圧ロール12、12、・・の一部である駆動ロール60、60を駆動させる手段である。駆動モータ51の駆動によってプーリー53が回転するが、ベルト57によってプーリー54に駆動力が伝達される。プーリー54の回転によって、プーリー54の軸に直結した駆動シャフト59の所望の位置にプーリー55、55が連結固着されており、プーリー55、55の回転によって、ベルト58、58を介してプーリー56、56が回転し、プーリー56、56を挟むように両側に直結した駆動ロール60、60を駆動回転させる。
【0032】
前記駆動手段50は、図3に示すように下部押圧ロール12、12、・・の一部を駆動ロール60として駆動手段によって駆動させ、他の下部押圧ロールをフリー回転する押圧ロール12、12、・・としたが、全ての押圧ロール12、12、・・を駆動ロール60としても良い。
【0033】
また、前記ベルト57、58に代えてチェーンとし、プーリー55、56に代えてスプロケットとしても良い。
【0034】
また、駆動ロール60を、上部押圧ロール11、11、・・の一部またはすべてとしても良い。
【0035】
搬出入手段70は、図6(b)に示したように、前記押圧ロール群10、ロール押圧手段20、角度調整手段30等を支持する回動可能な縦フレーム41の前後位置には、水平方向から下方に傾斜させた傾斜角度αを調整自在な搬入コンベア71、および同じく傾斜角度αを調整可能な搬出コンベア72を設け、搬入する湾曲積層ガラスGの先端部、または搬出する湾曲積層ガラスGの後端部が、上下対になった押圧ロール群10間の上下間の隙間近傍位置となるように、型替段取り時に傾斜角度αを調整すれば良い。
【0036】
搬入コンベア71と搬出コンベア72のそれぞれの傾斜角度αの設定は、湾曲積層ガラスGの形状によっては、必ずしも同一とは限らず、この場合、搬入側、搬出側の傾斜角度をそれぞれ所望の角度に設定すれば良い。
【0037】
次に、本発明の予備接着装置の使用方法、および作用等について説明する。
【0038】
図6(b)に示すように、湾曲積層ガラス板Gが上面側を凹状面として、傾斜した搬入コンベア71上を下降すると、縦フレーム41は、ポジションaの位置で待機している。このとき、予め、湾曲ガラス板Gの先端部近傍面と縦フレーム41の軸とが直交する位置となるように搬入コンベア71、搬出コンベア72の角度θは設定しておく。
【0039】
湾曲積層ガラス板Gが駆動手段50の駆動ロール60によって、図6(a)に示すポジション1からポジション5の位置迄搬送されるのに合わせて、縦フレーム41は、図6(b)のポジションaからポジションe迄の角度θ間を回動する。
【0040】
縦フレーム41が、ポジションeの位置に到達した時、湾曲積層ガラス板Gの後端部近傍面と縦フレーム41の軸とが直交する位置となり、湾曲積層ガラス板Gは、傾斜した搬出コンベア72上に移載される。
【0041】
尚、縦フレーム41はポジションaからポジションeまで予め設定された速度で回動するが、湾曲積層ガラス板Gについては、1枚の湾曲積層ガラス板Gの通過中において速度を可変にして搬送させる。つまり、駆動ロール60が図6(a)の湾曲積層ガラス板Gのポジション1からポジション2、およびポジション4からポジション5までの範囲を押圧ロール群10によって通過させるときの搬送速度V1を低速とし、ポジション2からポジション4迄の範囲を押圧ロール群10によって通過させるときの駆動ロール60の搬送速度V2を高速として、搬入コンベア71、搬出コンベア72も同期させるようにしている。
【0042】
図6(b)に示すような搬入コンベア71、搬出コンベア72の傾斜角度αは、湾曲積層ガラス板Gの湾曲形状に合わせて、段取替え時に設定し、湾曲ガラス板Gの先端部近傍面と縦フレーム41の軸とが直交する位置となるように調整する。
【0043】
図1、図4に示すように、上部押圧ロール11、11、・・と下部押圧ロール12、12、・・のそれぞれの配列は、予め段取替時に上下対となった上部シリンダ21、下部シリンダ22のそれぞれの押圧軸が一致するようにし、該押圧軸を湾曲積層ガラスGの中央部の湾曲面に上部、下部の押圧ロール11、12が当接する面の法線方向となるように設定する。
【0044】
つまり、上部シリンダ21、21、・・、下部シリンダ22、22、・・を固定させる上部の横フレーム31、下部の横フレーム32のそれぞれの長孔33、33、・・、34、34、・・の範囲内で上下対となった上部、下部シリンダ21、22のそれぞれの押圧軸が一致するようにし、湾曲面の法線方向となるように上部シリンダ21および下部シリンダ22を上部の横フレーム31、下部の横フレーム32に固定させておく。
【0045】
図6(a)に示したように、湾曲ガラス板Gの中央部の曲率R1と両翼部の曲率R2とが僅かに異なっている場合には、湾曲積層ガラス板Gが上下の押圧ロール11、11・・、12、12・・間を通過移動するにつれて、湾曲積層ガラスGの湾曲面と、上下の押圧ロール11、11・・、12、12・・の先端で形成される湾曲面とが僅かにずれてくるが、例えば、湾曲積層ガラスGによって上部押圧ロール11をずれた曲率による高さ分だけ押し上げれば、該上部押圧ロール11を押圧している上部シリンダ21は、ベロフラムシリンダ等の動作の滑らかな低摩擦式のエアシリンダを用いて、シリンダ内のピストンの摺動が滑らかに行われ、さらに該低摩擦式の上部シリンダ21の給排気口には前記上部シリンダ21内のエアを高速排気可能な圧力調整弁25を接続しているので、上部シリンダー21内のエアは圧力調整弁25によって高速に排出され、該上部シリンダ21内の圧力を瞬時に逃がし、一定圧力となり上部シリンダ21の軸先端は安定して停止する。
【0046】
一方、湾曲ガラス板Gの曲率のずれによって、該湾曲ガラスGが、上部押圧ロール11、11・・を上方に少し持ち上げたとき、下部押圧ロール12、12・・の先端は下部シリンダ22、22・・によって湾曲ガラス板Gに合わせようとするが、下部シリンダ22、22・・内の圧力は図示しないエア供給手段によって、一定圧力とさせるので、下部シリンダ22の軸先端も移動した位置で圧力が安定して停止する。
【0047】
上下の押圧ロール群10のガラス板Gとの当接部を結んだラインは、段取替時に湾曲ガラス板Gの曲面に合わせて円弧を描いているが、厳密には隣接する押圧ロールと微小な段差があって、鋸の歯のような凹凸状となっている。この凹凸状の段差に対しては、上部シリンダ21、21、・・、下部シリンダ22、22、・・内に弾性係数の低いバネ23、23、・・を設けて、このバネ23、23、・・によって前記段差を吸収させるようにした。
【0048】
生産する湾曲ガラス板Gの曲率形状R1、R2が僅かに異なるだけであれば、前回生産した押圧ロール群10の配列をそのまま利用することができる。すなわち、湾曲ガラス板Gの上下ロール11、・・、12、・・間を通過させるときに、湾曲ガラス板Gによって片側の押圧ロール11、12を押し上げ、または押し下げ、他方の押圧ロール12、11を湾曲ガラス板G面に追従させて、押し上げ、または押し下げられた時に押圧ロール11、12を押圧している上部シリンダ21、21・・、または下部シリンダ22、22・・内のピストン21a、・・、22a、・・が滑らかに移動して、上下の各シリンダ21、・・、22、・・内の圧力が高くなれば圧力調整弁25、25・・によって高速に排気し、低くなれば設定圧迄エアを供給させることにより、安定した一定圧力となるようにして、上下の押圧ロール11、11・・、12、12・・の移動後の位置を新たな安定した押圧位置とした。
【0049】
このように、本発明の予備接着装置1を用いれば、フラットな合わせガラスの製造から、二方向に湾曲した合わせガラスGの製造にも対応でき、その形状も矩形のみならず異形状であっても良い。
【0050】
また、図6(a)に示すように、湾曲ガラスの曲げ深さR1、R2の円弧の深さが従来10mm程度であったが、本発明により40mm程度の曲げ深さの深い湾曲ガラス板に対しても対応できるようになった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の予備接着装置を用いれば、複数枚の積層した湾曲ガラス板間に挿入したPVB等の中間膜によって、ガラス板同士をプレス接着させるに当たり、湾曲積層ガラス板間に気泡を発生させないように、均一な押圧力で湾曲ガラスの両面から均等に押圧でき、湾曲ガラス板への押圧力によってガラス板の破損等も発生させないようにすることができる。
【0052】
特に、湾曲積層ガラスの上下面より押圧する押圧ロール群を上下で対となるように配置して、対となる上下の押圧ロールの各押圧軸を一致させるとともに、該押圧軸が湾曲面の法線方向となるようにしたので、均一な押圧力が得られ、湾曲ガラスに無理な力がかからず、ガラス板を破損させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の予備接着装置の全体正面図
【図2】本発明の予備接着装置の要部の斜視図。
【図3】本発明の予備接着装置の押圧ロールの駆動機構を説明する斜視図。
【図4】本発明の予備接着装置の正面図。
【図5】本発明の予備接着装置の押圧手段を説明する図
【図6】本発明の予備接着装置の回動手段を説明する側面図。
【図7】従来の予備接着装置の正面図。
【図8】従来の押圧機構を説明する図。
【符号の説明】
G ガラス板
1 予備接着装置
2 架台
3 支柱
10 押圧ロール群
11 上部押圧ロール
12 下部押圧ロール
20 ロール押圧手段
21 上部シリンダ
22 下部シリンダ
23、23’ バネ
24、24’ バネ
25、26 圧力調整弁
30 角度調整手段
31 上部の横フレーム
32 下部の横フレーム
33、34 長孔
40 回動手段
41 縦フレーム
42 回動モータ
43 変速機
44 回動軸受
50 駆動手段
51 駆動モータ
52 変速機
53〜56 プーリー
57、58 ベルト
59 駆動シャフト
60 駆動ロール
70 搬出入手段
71 入口コンベア
72 出口コンベア
Claims (1)
- 搬送される中間膜を挟んだ湾曲積層ガラスをその湾曲面の両面より縦断面形状に沿って角度調整自在な複数のロール群によって加圧する予備接着装置において、
前記湾曲ガラスを傾斜角度自在に搬出入させる搬出入手段と、
上部側ロール群と下部側のロール群からなる押圧ロール群の上下各押圧ロールは、それぞれ湾曲ガラス面の法線方向で対となるように配置され、
各押圧ロール毎にガラス面を押圧させる押圧シリンダを設け、該シリンダの内部にバランス用スプリングを設けて、隣接する押圧ロールとの段差を吸収させ、該押圧シリンダ内の圧力を湾曲ガラス板の通過によって該シリンダ内の圧力の変動時に一定にさせる圧力調整弁とからなるロール押圧手段と、
前記上下の各押圧シリンダの支持点を水平方向に設けた上下の横フレームに設けた各長孔内で位置移動可能に支持して、湾曲ガラスへの押圧角度を調整自在とした角度調整手段と、
前記上下の横フレームの両端を縦フレームと連結して方形の本体支持枠とし、その縦フレームの略中心部に設けた支持軸で前記本体支持枠を回動自在とする回動手段と、
前記湾曲ガラスを押圧ロール群間で移動させ、その移動速度を調整自在な駆動手段とからなり、
湾曲ガラスの搬送速度に合わせて上下のロール群をガラス曲面の法線方向とするものであり、
湾曲ガラスの通過によって該シリンダ内の圧力が急激に変動する場合であっても、前記圧力調整弁によって該シリンダ内の圧力を安定した一定圧力となるようにして、上下の押圧ロールの移動後の位置を新たな安定した押圧位置とし、均一な押圧力で湾曲ガラスの両面から均等に押圧できるようにしたことを特徴とする積層ガラスの予備接着装置。
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