JP3937942B2 - 放射線検査装置 - Google Patents

放射線検査装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3937942B2
JP3937942B2 JP2002177875A JP2002177875A JP3937942B2 JP 3937942 B2 JP3937942 B2 JP 3937942B2 JP 2002177875 A JP2002177875 A JP 2002177875A JP 2002177875 A JP2002177875 A JP 2002177875A JP 3937942 B2 JP3937942 B2 JP 3937942B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ray
radiation
signal
radiation detector
detection signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002177875A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003090882A5 (ja
JP2003090882A (ja
Inventor
進一 小嶋
菊男 梅垣
隆司 岡崎
健介 雨宮
博司 北口
雄一郎 上野
憲史 柳田
一磨 横井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2002177875A priority Critical patent/JP3937942B2/ja
Priority to US10/241,499 priority patent/US20030012331A1/en
Publication of JP2003090882A publication Critical patent/JP2003090882A/ja
Publication of JP2003090882A5 publication Critical patent/JP2003090882A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3937942B2 publication Critical patent/JP3937942B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)
  • Nuclear Medicine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線検査装置に係り、特にX線CT,陽電子放出型CT(ポジトロン・エミッション・コンピューテッド・トモグラフィ(Positron Emission Computed Tomography)、以下、PETという)及び単光子放出型CT(シングル・フォトン・エミッション・コンピューテッド・トモグラフィ(Single Photon Emission Computed Tomography))、以下、SPECTという)に適用するのに好適な放射線検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被検診者の体内の機能,形態を無侵襲で撮像する技術として、放射線を用いた検査がある。その中で、使用する放射線を用いた代表的な検査方法として、X線CT,PET及びSPECTがある。X線CTはX線源から放出された放射線を被検診者に照射し、その被検診者の体内における放射線の透過率から体内の形態を撮像する方法である。体内を透過したX線の強度を放射線検出器で検出することにより、X線源と放射線検出器との間の線減弱係数が求まる。この線減弱係数をアイトリプルイー トランザクション オン ニュークリア サイエンス(IEEE Transaction on Nuclear Science)NS−21巻、228〜229頁に記載されているフィルタードバックプロジェクション法(Filtered Back Projection Method)などを用いて各ボクセルの線減弱係数を求め、その値をCT値に変換する。X線CTによく用いられる線源は約80kev前後である。
【0003】
PETは、陽電子放出核種(15O,13N,11C,18F等)、及び体内の特定の細胞に集まる性質を有する物質を含む放射性薬剤(以下、PET用薬剤という)を被検診者に投与し、そのPET用薬剤が体内のどの部位で多く消費されているかを調べる方法である。PET用薬剤中の陽電子放出核種から放出された陽電子が、付近の細胞の電子と結合して消滅し、511keVのエネルギーを有する一対のγ線(γ線対という)を放射する。これらのγ線は、互いに正反対の方向に放射される。この一対のγ線をγ線検出器で検知すれば、どの2つの検出素子の間で陽電子が放出されたかがわかる。それらの多数のγ線対を検知することで、PET用薬剤を多く消費する場所がわかる。例えば、特定の細胞に集まる性質を有する物質として糖を用いて陽電子放出核種を含むPET用薬剤を製造した場合、このPET用薬剤は糖代謝の激しい癌細胞に集まる。このため、癌病巣を発見することが可能である。なお、得られたデータは、先ほど示したフィルタードバックプロジェクションなどの方法により各ボクセルの放射線発生密度に変換される。PETに用いられる15O,13N,11C,18Fは2分から110分の短半減期の放射性同位元素である。
【0004】
PETによる検査では、陽電子消滅の際に発生するγ線が被検診者の体内で減衰するため、トランスミッション像を撮像し補正する。トランスミッション像とは、例えば放射線源にセシウムを用いてγ線を入射させ、被検診者の体内を透過したγ線の強度を測定することにより体内におけるγ線の減衰率を測定する方法である。得られたγ線減衰率を用いて体内でのγ線減衰率を見積もりPETで得られたデータを補正することにより、より高精度なPET像を得ることが可能である。
【0005】
SPECTは、シングルフォトン放出核種を含む放射性薬剤(以下、SPECT 用薬剤という)を被検診者に投与し、核種から放出されるγ線をγ線検出器で検出する。SPECTによる検査時によく用いられるシングルフォトン放出核種から放出されるγ線のエネルギーは数100keV前後である。SPECTの場合、単一γ線が放出されるため、検出素子に入射した角度が得られない。そこで、コリメータを用いて特定の角度から入射するγ線のみを検出することにより角度情報を得ている。SPECTは、特定の腫瘍や分子に集積する性質を有する物質、及びシングルフォトン放出核種(99Tc,67Ga,201Tl等)を含む放射性薬剤(SPECT用薬剤という)を被検診者に投与し、SPECT用薬剤より発生するγ線を検知してSPECT用薬剤を多く消費する場所を特定する検査方法である。SPECTの場合も、得られたデータはフィルタードバックプロジェクションなどの方法により各ボクセルのデータに変換する。なお、SPECTでもトランスミッション像を撮影することがしばしばある。SPECTに用いられる99Tc,67Ga,201Tl は、PETに用いられる放射性同位元素の半減期よりも長く6時間から3日である。
【0006】
従来、以上に述べた各検査はそれぞれ独立に行っていた。PET及びSPECT による検査では検査装置内で放射性薬剤の消費量分布を知ることは可能である。しかしながら、被検診者の体内の部位との対応に関する情報が無いため、病巣の詳細位置が判らない場合がある。このため、近年、PET像またはSPECT像と、被検診者の体内の部位が特定できるX線CT像との結合が行われている。その放射線検査装置の一例が、特開平7−20245号公報に記載されている。すなわち、その放射線検査装置は、X線CT装置の撮像装置とPET装置の撮像装置とを直ぐ側に並列に設置し、擬似的な同時撮像を行う。被検診者は、被検診者保持装置のベッド上に横たえられ、ベッドの水平方向の移動により両撮像装置内に順次移送される。被検診者は、X線CT装置の撮像装置で撮影された後、PET装置の撮像装置で撮影される。この場合、2つの撮影を行う時間間隔が短く、被検診者はベッドの上で殆ど動かないため2つの撮像装置で得られた撮像データであるPETデータとX線CTデータの対応関係が分かる。その対応関係の情報を用いて、PETデータとX線CTデータとを結合し、被検診者の病巣位置の特定を行っている。
【0007】
特開平9−5441号公報は、ベッドを兼用して、X線CT装置の撮像装置とSPECT装置の撮像装置を直ぐ側で並列に配置した放射線検査装置を記載している。各撮像装置で得られた撮像データであるX線CTデータとSPECTデータとを結合し、被検診者の病巣位置の特定を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の各公開公報に記載された放射線検査装置では、一見すると2つの撮像データの位置関係が明確であるように思えるが、被検診者が両撮像装置の間で動く可能性がある。最近でのPET装置の撮像装置の分解能は約5mmであり、X線CT装置の撮像装置の分解能はそれよりも約1桁小さく約0.5mm である。そのため、両撮像装置の間で被検診者が動いたり、被検診者の角度が変われば両撮像装置で得られた各撮像データの対応関係が不明瞭になる。その結果、例えば、各々の撮像データを画像再構成した後、共通して各像に存在する特徴領域を抽出し、その特徴領域の位置関係から、各像の位置関係を求め、位置合わせを行う必要が生じる。また、これらの放射線検査装置は、放射線検出器等をそれぞれ有する2つの撮像装置を備えているため装置構成が複雑である。
【0009】
本発明の目的は、診断精度を向上できる放射線検査装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の特徴は、線の検出信号及びγ線の検出信号の両方を出力する複数の放射線検出器とを備えたことにある。それぞれの放射線検出器がX線検出信号及びγ線検出信号の両方を出力するため、その放射線検出器を備えた放射線検査装置は、被検体を透過したX線を検出する複数の放射線検出器を備えた撮像装置、及び被検体から放出されたγ線を検出する複数の放射線検出器を備えた他の撮像装置を備えた従来の放射線検査装置に比べて装置構成が著しく単純化される。
【0013】
好ましくは、X線検出信号に基づいて被検診者の第1断層像のデータを作成し、γ線検出信号に基づいて被検診者の第2断層像のデータを作成し、かつ第1断層像のデータと第2断層像のデータとを合成した合成断層像のデータを作成する断層像データ作成装置を備える。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
本発明の好適な一実施例である放射線検査装置を、図1及び図2を用いて以下に説明する。本実施例の放射線検査装置は、撮像装置13,被検診者保持装置11,信号弁別装置4,同時計数装置5,記憶装置6,コンピュータ14及びモニタ32を備えている。被検診者保持装置11は、保持部12、および保持部12の上端部に位置して長手方向に移動可能に保持部12に設置されたベッド8を有する。撮像装置13は、放射線検出器2,貫通している孔部18を有するケーシング15,X線源装置16及びガイドレール50を備える。撮像装置13は、ベッド8の長手方向に対して直角の方向に設置される。放射線検出器2は半導体放射線検出器であり、多数の放射線検出器2(合計10000個)が孔部18の周囲を取り囲むように配列されてケーシング15に設置される。放射線検出器2は、孔部18の円周方向に多数配列される。この円周方向における放射線検出器2の配列が、孔部18の奥行き方向、すなわちベッド8の移動方向に複数列配置される。これらの放射線検出器2は、放射線検出器31を構成する。放射線検出器2の検出部である半導体素子部は、カドミウムテルル(CdTe),ガリウムヒ素(GaAs)、またはカドミウムテルル亜鉛(CZT)等で構成される。
【0015】
X線源装置16は、X線源3,駆動装置制御装置9及びX線源駆動装置17を有する。X線源駆動装置17は、ケーシング内に、図示されていないが、モーター、及び減速機構を有する動力伝達機構を備える。動力伝達機構は、モーターに連結される。X線源3は、X線源駆動装置17のケーシングに取り付けられて、孔部18内に伸びている。環状のガイドレール50は、ケーシング15の被検診者保持装置11に面する側壁に、孔部18を取り囲むように設置される。X線源駆動装置17は、落下しないようにかつ環状のガイドレール50に沿って移動可能にガイドレール50に取り付けられる。X線源駆動装置17は、図示していないが、前述の動力伝達機構から回転力を受けるピニオンを有する。このピニオンはガイドレール50に設けられたラックと噛合う。
【0016】
信号弁別装置4は、波形整形装置41,γ線弁別装置42及び波高分析装置43を有する。信号弁別装置4は、配線19によって放射線検出器2に接続される。信号弁別装置4は、各々の放射線検出器2毎に1個設けられる。配線19は信号弁別装置4の波形整形装置41に接続される。γ線弁別装置42及び波高分析装置43は波形整形装置41に接続される。γ線弁別装置42は同時計数装置5を介してコンピュータ14に接続される。同時計数装置5は1個でありγ線弁別装置42に接続される。同時計数装置5は、幾つかのγ線弁別装置42毎に設けても良い。各波高分析装置43はコンピュータ14に接続される。記憶装置6及びモニタ32がコンピュータ14に接続される。電源44のマイナス端子は抵抗20を介して配線19に接続され、電源44のプラス端子は放射線検出器2に接続される。信号弁別装置4は信号処理装置である。この信号処理装置は、波高分析装置43を有する第1の信号処理装置、及び波形整形装置41及びγ線弁別装置42を有する第2信号処理装置を備える。
【0017】
本実施例は、X線CT検査(X線源3から放射されて被検診者の体内を投下したX線を放射線検出器で検出する行為)及びPET検査(PET用薬剤に起因して被検診者の体内から放射されるγ線を放射線検出器で検出する行為)を一台の撮像装置13を用いて行う例である。
【0018】
検診を行う前に、まず、被検診者7の体内に、予め注射などの方法により前述したPET用薬剤を投与し、PET用薬剤が撮像可能な状態に体内に拡散して患部に集まるまでの所定時間を待機する。PET用薬剤は、検診する患部に応じて選ばれる。その所定時間の経過によってPET用薬剤は、被検診者7の患部(例えば癌の患部)に集積する。その所定時間が経過した後、被検診者7を被検診者保持装置11のベッド8上に寝かせる。なお、検査の種類によっては、PET用薬剤をベッド8上に寝かせられた被検診者7に投与することもある。また、そのPET用薬剤を被検診者7に投与しながら、撮像装置13で被検診者7を撮像することもある。例えば、半減期が2分である15Oを使用する場合には、それを被検診者7に投与しながら撮像を行う。
【0019】
撮像装置13を用いて被検診者7の撮像を行う場合、ベッド8を撮像装置13に向かって移動させる。ベッド8上の被検診者7及びベッド8が、孔部18内に挿入されて反対側に向かって移動する。被検診者7の患部に集積したPET用薬剤に起因して体内より放出された511keVのγ線は、放射線検出器2に入射される。一方、X線源3から照射されたあるエネルギーを有するX線は、被検診者7を透過後、放射線検出器2に入射される。X線のエネルギーは例えば80keVである。X線CT検査中は、X線源装置16をガイドレール50に沿って被検診者7の周りを移動させるため、X線源3からのX線が周方向のあらゆる位置から被検診者7に照射される。X線CT検査開始時にX線源装置16をガイドレール50に沿って動かすとき、駆動装置制御装置9は、駆動開始信号を出力して、X線源駆動装置17のモーターに接続された、電源とつながる開閉器を閉じる。電流の供給によりモーターが回転し、その回転力が動力伝達機構を介してピニオンに伝えられ、ピニオンが回転する。ピニオンがガイドレール50のラックと噛合っているため、X線源装置16がガイドレール50に沿って周方向に移動する。X線源3は、孔部18内に挿入された状態で被検診者7の周囲を移動する。X線CT検査終了時には、駆動装置制御装置9は駆動停止信号を出力して上記の開閉器を開く。
【0020】
各放射線検出器2は、X線源3から放射されて被検診者7の体内を透過したX線、及びPET用薬剤に起因して患部から放出されたγ線をそれぞれ検出し、その体内を透過したX線の検出信号(以下、X線撮像信号という)及びγ線の検出信号(以下、γ線撮像信号という)を含んでいる出力信号をそれぞれ出力する。X線源3から放射されたX線は、上記患部を透過して放射線検出器2で検出される。ある放射線検出器2から出力されたX線撮像信号及びγ線撮像信号は、該当する配線19を介して該当する信号弁別装置4に入力される。電源44は、放射線検出器2を作動させるために放射線検出器2に電圧を印加する。その電圧の印加により放射線検出器2の半導体素子部に電場が発生しているため、この半導体素子部にX線及びγ線が入射されると、半導体素子部に電荷が発生する。この電荷が撮像信号として放射線検出器2から出力される。
【0021】
信号弁別装置4の機能を以下に説明する。信号弁別装置4は、放射線検出器2の出力信号からX線撮像信号及びγ線撮像信号を分離する機能を有する。すなわち、信号弁別装置4は、1つの放射線検出器2で検出したX線撮像信号及びγ線撮像信号をエネルギー弁別する装置である。なお、X線源3がX線を放射する時間間隔は、信号弁別装置4の動作タイムウィンドウΔτに比べて長い。
【0022】
信号弁別装置4の波形整形装置41は、放射線検出器2からの出力信号を入力する。入力されたγ線撮像信号は、図3に示すように、最初に急激に立下り、その後、指数関数的に0に近づくような形になっている。波形整形装置41の出力信号を入力するγ線弁別装置42は、図3に示すような波形のγ線撮像信号を処理できない。このため、波形整形装置41は、図3に示すような波形のγ線撮像信号を、例えば図4に示すように時間的なガウス分布の波形を有するγ線撮像信号に変換して出力する。放射線検出器2で検出されたX線撮像信号も、波形整形装置41で波形がガウス分布に整形されて出力される。
【0023】
波形整形装置41の出力γ線撮像信号及びX線撮像信号は、γ線弁別装置42及び波高分析装置43に入力される。γ線弁別装置42がγ線撮像信号を処理し、波高分析装置43がX線撮像信号を処理する必要がある。このため、本実施例では以下の工夫がなされている。
【0024】
PET用薬剤から放出された陽電子が陽電子消滅により体内で生成するγ線のエネルギーは先に述べたように511keVである。しかし、半導体素子部内でγ線のエネルギー全てが電荷に変わるとは限らない。このため、γ線弁別装置42は、例えばエネルギーが511keVよりも低い450keVをエネルギー設定値として、このエネルギー設定値(第1エネルギー設定値という)以上のエネルギーを有する撮像信号を入力したときに所定のエネルギーを有するパルス信号を発生させる。すなわち、γ線弁別装置42は、第1エネルギー設定値以上のエネルギーを有する撮像信号(γ線撮像信号)が入力されたときに上記のエネルギーを有するパルス信号を発生させる装置である。
【0025】
波高分析装置43は、波形整形装置41から出力された、第1エネルギー設定値よりも低いエネルギーを有する撮像信号(X線撮像信号)が入力されたとき、その撮像信号の計数値を計測する。本実施例では、被検診者7に照射されるX線のエネルギーが80keVであるため、波高分析装置43は第2エネルギー設定値である70keV以上で第3エネルギー設定値である90keV以下の範囲のエネルギーを有する撮像信号(X線撮像信号)を計数しその撮像信号の計数値を出力する。このような特定のエネルギーの撮像信号の処理を行うことによって波高分析装置43の負荷は著しく軽減される。
【0026】
上記のように、γ線弁別装置42及び波高分析装置43において特定のエネルギーを有する撮像信号を処理するためには、所定のエネルギー範囲の撮像信号を通過させるフィルタをγ線弁別装置42及び波高分析装置43内(またはγ線弁別装置42及び波高分析装置43の前段)に設けるとよい。第1エネルギー設定値以上のエネルギーを有する撮像信号を通過させ、その設定値よりも低いエネルギーを有する撮像信号の通過を阻止する第1フィルタがγ線弁別装置42内に設けられる。γ線弁別装置42は第1フィルタを通過した撮像信号に対してパルス信号を発生する。第2エネルギー設定値以上で第3エネルギー設定値以下の範囲のエネルギーを有する撮像信号を通過させ、その範囲外のエネルギーを有する撮像信号の通過を阻止する第2フィルタが波高分析装置43内に設けられる。波高分析装置43は、第2フィルタを通過した撮像信号(X線撮像信号)を計数する。
【0027】
本実施例は、信号弁別装置4を用いることによって、放射線検出器2の出力である撮像信号からピーク計数値に対するエネルギーが異なるγ線撮像信号及びX線撮像信号を分離することができる。
【0028】
同時計数装置5は、各信号弁別装置4のγ線弁別装置42から出力されたパルス信号を入力しこれらのパルス信号を用いて同時計数を行い、γ線撮像信号に対する計数値を求める。更に、同時計数装置5は、前述の一対のγ線に対する一対のパルス信号によりその一対のγ線を検出した2つの検出点(一対の放射線検出器2の位置)をγ線検出の位置情報としてデータ化する。
【0029】
コンピュータ14は、図5に示すステップ21〜29の処理手順に基づいて処理を実行する。このような処理を実行するコンピュータ14は、断層像データ作成装置である。同時計数装置5によって計数されたγ線撮像信号の計数値、同時計数装置5から出力された検出点の位置情報、及び波高分析装置43から出力されたX線撮像信号の計数値が入力される(ステップ21)。入力された、γ線撮像信号の計数値,検出点の位置情報、及びX線撮像信号の計数値は、記憶装置6に記憶される(ステップ22)。
【0030】
次に、ステップ23において、X線撮像信号の計数値の補正が行われる。この補正について、以下に詳細に説明する。
【0031】
被検診者7に照射するX線のエネルギーは、前述のように80keVであり、PET用薬剤に起因してその体内で発生するγ線に比べて低いエネルギーである。波高分析装置43から出力されたX線撮像信号の計数値には、エネルギーが半導体素子部内で80keV前後に減衰したγ線撮像信号の計数値が含まれている。このため、そのX線撮像信号の計数値からγ線撮像信号の計数値を除去する補正を行って、真のX線撮像信号の計数値を求める。X線撮像信号の計数値の補正方法の一例を説明する。例えば511keVのγ線の検出スペクトルを予め測定しておき、この検出スペクトルの測定結果を用いて80keV前後のγ線の強度を見積もる。放射線検出器2の半導体素子部に対して511keVのγ線を照射したときのスペクトルが図6のように得られたとする。そして、例えば被検診者7の体内から放出されたγ線がある半導体素子部で100個検出されたとする。その場合、図6のピーク部分における計数値(カウント数)が100個になるように図6に示すスペクトル全体の計数値を等倍した後、X線撮像信号の計数値から、等倍されたその計数値を差し引くことにより、図7に示す正確なX線撮像信号単体の計数値(カウント数)が得られる。この補正された計数値は、記憶装置6に記憶される。
【0032】
記憶装置6に記憶されているX線撮像信号の補正された計数値を用いて強度を算出し、得られた強度のデータを用いて、被検診者7の体内の各ボクセルにおけるX線の減衰率を算出する(ステップ24)。この減衰率及びX線撮像信号の強度は記憶装置6に記憶される。
【0033】
被検診者7の横断面(以下、横断面とは被検診者が立った状態での横断面をいう)の断層像を、該当する位置でのX線撮像信号の減衰率を用いて再構成する(ステップ25)。X線撮像信号の強度、すなわちX線撮像信号の減衰率を用いて再構成した断層像をX線CT像と称する。ステップ25においては、PET薬剤が集積している患部を通る断層面でのX線CT像も再構成される。X線CT像を再構成するために、記憶装置6から読み出されたX線撮像信号の減衰率を用いて、X線源3とX線を検出した放射線検出器2の半導体素子部との間における体内での線減弱係数を求める。この線減弱係数を用いて、フィルタードバックプロジェクション法により各ボクセルの線減弱係数を求める。各ボクセルの線減弱係数の値を用いて各ボクセルにおけるCT値を得る。これらのCT値を用いてX線CT像のデータが得られる。このX線CT像のデータは、記憶装置6に記憶される。
【0034】
患部で発生したγ線は体内を透過する間に吸収・減衰されるため、これらの効果を前述の減衰率のデータより見積ってγ線撮像信号の計数値に補正をかけることにより、更に高精度なγ線撮像信号の計数値を得ることも可能である。ステップ26では、γ線撮像信号の計数値を補正する。γ線撮像信号の計数値に関する補正方法の一例を以下に述べる。まず、X線撮像信号の減衰率を用いて被検診者7の断層像を再構成し、体内の各位置におけるCT値を求める。得られたCT値から、各位置における物質組成を見積もる。そして物質組成データから511
keVにおける各位置での線減弱係数を見積もる。得られた線減弱係数データを用いて一対のγ線を検出した一対の半導体素子部間の線減弱係数をフォワードプロジェクション法により求める。求められたその線減弱係数の逆数をγ線撮像信号の計数値に掛け合わせることにより体内減衰によるデータ差の補正がなされる。
【0035】
患部(例えば癌の患部)を含む、被検診者7の横断面の断層像を、該当する位置でのγ線撮像信号の補正後の計数値を用いて再構成する(ステップ27)。γ線撮像信号の計数値を用いて再構成した断層像をPET像と称する。この処理を詳細に説明する。記憶装置6から読み出されたγ線撮像信号の計数値を用いて、一対のγ線を検出した一対の放射線検出器2(検出点の位置情報より特定)の各半導体素子部間における体内での線減弱係数を求める。この線減弱係数を用いて、フィルタードバックプロジェクション法により各ボクセルの線減弱係数を求める。得られた各ボクセルの線減弱係数の値を用いて各ボクセルにおける放射線発生密度を得る。これらの放射線発生密度に基づいてPET像のデータを得ることができる。このPET像のデータは、記憶装置6に記憶される。
【0036】
PET像のデータとX線CT像のデータとを合成して、両データを含む合成断層像のデータを求め、記憶装置6に記憶させる(ステップ28)。患部の位置におけるPET像データとその位置のX線CT像データを合成して、患部の位置での被検診者7の横断面の合成断層像データを求める。PET像のデータとX線CT像のデータとの合成は、両方の像データにおける、孔部18の中心軸の位置を合わせることによって、簡単にかつ精度良く行うことができる。すなわち、PET像のデータ及びX線CT像のデータは、共通の放射線検出器2から出力された撮像信号に基づいて作成されるので、前述のように位置合せを精度良く行える。合成断層像のデータは、記憶装置6から呼び出されてモニタ32に出力され(ステップ29)、モニタ32のディスプレイに表示される。モニタ32に表示された合成断層像はX線CT像を含んでいるので、PET像における患部の、被検診者7の体内での位置を容易に確認することができる。すなわち、X線CT像は内臓及び骨の像を含んでいるので、医者は、患部(例えば、癌の患部)が存在する位置を、その内臓及び骨との関係で精度よく特定することができる。
【0037】
なお、X線CT像は複数のスキャンデータが必要なため、X線源駆動装置17を用いてX線源3をガイドレール50に沿って移動させることによって、放射線検出器2により必要なデータ量を得ることができる。
【0038】
本実施例では、放射線検出器31がX線撮像信号及びγ線撮像信号の両方を出力する複数の放射線検出器2で構成されているため、放射線検出器31はγ線検出部でありX線検出部でもある。本実施例は、X線検出部が、ベッド8の長手方向においてγ線検出部の一端とγ線検出部の他端との間に形成される領域内に位置している。
【0039】
本実施例によれば、以下に示す効果を得ることができる。
【0040】
(1)本実施例では、放射線検出器2のそれぞれが被検診者7の体内を透過するX線(透過X線という)、及びPET用薬剤に起因してその体内から放出されるγ線の両方を検出してX線撮像信号及びγ線撮像信号を出力する。このため、従来技術は撮像装置として透過X線を検出する撮像装置及びγ線を検出する他の撮像装置を必要としていたが、本実施例は一台の撮像装置13で前述の透過X線及びγ線の両方を検出でき、放射線検査装置の構成を著しく単純化でき、かつ放射線検査装置を小型化できる。しかも、本実施例は、透過X線及びγ線の両方を検出する放射線検出器2の出力信号からX線撮像信号及びγ線撮像信号のそれぞれを分離し、分離したX線撮像信号の強度を用いて、被検診者の、内臓及び骨の画像を含む患部(PET用薬剤が集積)の位置での第1の断層像(X線CT像)を再構成でき、分離したγ線撮像信号の強度を用いて、その被検診者の、患部の画像を含む第2の断層像(PET像)を再構成できる。第1断層像のデータ及び第2断層像のデータは透過X線及びγ線の両方を検出する放射線検出器2の出力信号に基づいて再構成されているので、患部の位置における第1断層像及び第2断層像の両データを精度良く位置合せして合成することができ、精度のよい、患部,内臓及び骨の画像を含む断層像(合成断層像)を簡単に得ることができる。この合成断層像によれば、内臓及び骨との関係で、患部の位置を正確に知ることができる。
【0041】
(2)X線検出部がベッド8の長手方向においてγ線検出部の一端とγ線検出部の他端との間に形成される領域内に位置しているため、PET検査を実施している被検診者7の所定の領域に対して、被検診者7をベッド8により移動させずに同じ位置でX線CT検査を実施できる。このため、検査中に被検診者7がベッド8上で動いた場合でも、患部の位置でのPET像及びX線CT像の両データを精度よく合成できる。得られた、患部の位置での合成断層像データ、すなわち、モニタ32に表示された合成断層像画像を用いることによって、患部の診断精度を向上できる。特に、臓器が込み入っている箇所に患部が存在する場合でも、本実施例で得られた断層画像により患部の位置を適切に把握でき、患部の診断精度が向上する。
【0042】
(3)本実施例は、第1の断層像を作成するために必要な撮像信号、及び第2の断層像を作成するために必要な撮像信号を共通の放射線検出器2から得ることができるため、被検診者の検査に要する時間(検査時間)を著しく短縮できる。換言すれば、短い検査時間で、第1の断層像を作成するために必要な撮像信号、及び第2の断層像を作成するために必要な撮像信号を得ることができる。本実施例は、従来技術のように、被検診者を、透過X線を検出する撮像装置からγ線を検出する他の撮像装置まで移動させる必要がなく、被検診者が動く確率を低減できる。被検診者を、透過X線を検出する撮像装置からγ線を検出する他の撮像装置まで移動させる必要がなくなることも、被検診者の検査時間の短縮に寄与する。
【0043】
(4)さらに、X線CT像の作成のために必要なX線撮像信号を得るために要する検査時間は、PET像の作成のために必要なγ撮像信号を得るために要する検査時間よりも短い。このため、そのγ線撮像信号得るための検査時間の間、常にX線源3からX線を被検診者に照射してX線撮像信号を得ることによって、被検診者が検査中に動いた場合でもX線撮像信号に基づいて得られるX線CT像の連続像から、被検診者の揺動に伴うPET像のデータのずれを補正できる。
【0044】
(5)放射線検出器2として用いている半導体放射線検出器は、エネルギー分解能が高い。このため、本実施例では、放射線検出器2から出力されたX線撮像信号及びγ線撮像信号を弁別装置4で簡単に分離できる。
【0045】
(6)放射線検出器2として半導体放射線検出器を用いているため、撮像装置13を小型化できる。
【0046】
(7)本実施例は、X線源3を周回させて放射線検出器31を孔部18の周方向及び軸方向に移動させないため、放射線検出器31を移動させるに必要なモーターに比べてX線源3を周回させるモーターの容量を小さくできる。後者のモーターの駆動に要する消費電力も、前者のモーターのそれよりも少なくできる。
【0047】
(8)本実施例は、環状の放射線検出器31の内側でX線源3が周回するため、放射線検出器31の直径が大きくなり、放射線検出器31を構成する放射線検出器2の個数を多くすることができる。周方向における放射線検出器2の個数の増加は、感度の向上をもたらし、被検診者7の横断面の分解能を向上させる。
【0048】
なお、必ずしも被検診者に対する検査時間のすべての間、X線CT検査とPET検査の両方を行う必要はない。必要なデータ量に応じてPET検査のみ行う時間やX線CT検査のみを行う時間があってもよい。
【0049】
(実施例2)
本発明の他の実施例である放射線検査装置を説明する。図示されていないが、本実施例の構成は、図1の構成において信号弁別装置4の替りに図8に示す信号弁別装置4Aを用いたものである。信号弁別装置4Aは、後述の実施例4でも信号弁別装置4の替りに用いることができ、実施例4でも用いることができる。信号弁別装置4Aは、前述の信号弁別装置4に切替スイッチ60を新たに設置し、更に波高分析装置43を信号処理装置33に替えた構成を有する。信号弁別装置4Aは、波形整形装置41,γ線弁別装置42、及びX線強度を求める信号処理装置33を備える。信号処理装置33は積分装置(図示せず)を有する。切替スイッチ60は、可動端子61、及び固定端子62及び63を有する。配線19は、可動端子61に接続される。波形整形装置41は固定端子62及びγ線弁別装置42に接続される。信号処理装置33は固定端子63に接続される。信号弁別装置4Aは信号処理装置であり、この信号処理装置は第1の信号処理装置である信号処理装置33、及び波形整形装置41及びγ線弁別装置42を有する第2信号処理装置を備える。
【0050】
図2に示す信号弁別装置4では、γ線撮像信号及びX線撮像信号がγ線弁別装置42及び波高分析装置43に入力されるため、各信号の定量性が維持できない場合がある。また、X線源3から放射されるX線の時間間隔を信号弁別装置のタイムウィンドウΔτよりも短くして、X線CT検査の検査時間を短縮したい場合がある。この要求を満たすために、本実施例の信号弁別装置4Aは、切替スイッチ60を設け、切替スイッチ60の切替えにより配線19により伝送されてくる撮像信号をγ線弁別装置42または信号処理装置33に伝えるように構成される。PET検査時は、可動端子61を固定端子62に接続してPET検査を行う。
【0051】
切替スイッチ60の固定端子62または固定端子63に接続する切替操作は、駆動装置制御装置9の出力である制御信号に基づいて行われる。駆動装置制御装置9は、前述のようにX線源装置16の移動動作を制御するが、同時にX線源3に対して180°反対側の位置にある放射線検出器2を選択し、選択した放射線検出器2に接続される信号弁別装置4Aの切替スイッチ60の可動端子61を固定端子63に接続する。
【0052】
上記の放射線検出器2(X線源3に対して180°反対側の位置にある)の選択について説明する。X線源駆動装置17内のモーターにはエンコーダー(図示せず)が連結される。駆動装置制御装置9は、エンコーダーの検出信号を入力してX線源3のガイドレール50上の位置を求め、このX線源3の位置と180°反対側に位置する放射線検出器2を、記憶している各放射線検出器2の位置のデータを用いて選択する。X線源3から放射されるX線はガイドレール50の円周方向にある幅を有しているため、被検診者7の体内を透過したX線を検出する放射線検出器2は、選択した放射線検出器2以外にも円周方向に複数個存在することになる。駆動装置制御装置9はその複数の放射線検出器2も選択する。そのため、駆動装置制御装置9は、それらの放射線検出器2に接続された複数個の切替スイッチ60の可動端子61も固定端子63に接続する。駆動装置制御装置9が、X線源3の移動によって別の放射線検出器2を選択したときには、新たに選択放射線検出器2となる放射線検出器2に接続された可動端子61は固定端子63に接続される。選択放射線検出器でなくなった放射線検出器2に接続された可動端子61は駆動装置制御装置9によって固定端子62に接続される。本実施例も、実施例1と同様に、X線撮像信号及びγ線撮像信号の両方を出力する複数の放射線検出器2によって環状の放射線検出器31が形成される。
【0053】
放射線検出器2から出力されたγ線撮像信号は、可動端子61が固定端子62に接続されている状態で波形整形装置41を介してγ線弁別装置42に入力され、前述した放射線検査装置1のそれらと同様な処理を受ける。γ線弁別装置42から出力されたパルス信号は、同時計数装置5に入力される。同時計数装置5から出力されたγ線撮像信号の計数値がコンピュータ14に入力されて放射線検査装置1で行われる処理によりPET像のデータが求められる。本実施例では、可動端子61と固定端子62とが接続されている状態では、後述するように放射線検出器2にX線が入射されないので、γ線撮像信号のみが波形整形装置41及びγ線弁別装置42に入力される。γ線弁別装置42は、第1フィルタによってPET像のデータ作成に悪影響を与える低エネルギーのγ線信号を削除する。このため、精度の良いPET像のデータを得ることができる。
【0054】
次に、放射線検出器2から出力されたX線撮像信号の処理を、図9を用いて説明する。X線源3より放射されるX線の時間間隔は信号弁別装置4AのタイムウィンドウΔτに比べて小さいため、Δτの間に複数のX線が放射線検出器2に入射される。一方、放射性薬剤に起因して発生するγ線はΔτの間に複数のγ線対が発生した場合、どの放射線検出器2の間で発生したかが分からなくなるため、Δτの間に被検診者の体内で平均1個、若しくはそれ以下のγ線対しか発生しないようにする。これは、被検診者に投与するPET検査用の放射性薬剤の量を、Δτの間に体内で平均1個、若しくはそれ以下のγ線対しか発生しないような量に調整することによって可能である。放射線検出器2は一般のPET装置では数千から数万個に及ぶため、例えば10Δτの間に同じ放射線検出器に複数のγ線が入射する確率はほとんど0である。そこで、例えば10Δτの検査時間の間にX線源3よりX線を放射した場合で、その期間に一度、γ線が放射線検出器に入射したとする(図9(b))。すると、体内を透過したX線によるX線撮像信号、そのγ線によるγ線撮像信号は図9(d)及び(c)のような形になる。この結果、放射線検出器2から出力される撮像信号は、図9(b)のような形になる。従って、放射線検出器2の出力信号から例えば最も大きな信号を除いた信号を平均することにより、X線撮像信号の強度が求まる。
【0055】
可動端子61が固定端子63に接続されているときに放射線検出器2で検出されたX線撮像信号及び極めて少ない個数のγ線撮像信号が信号処理装置33に入力され、積分装置によってそれらの撮像信号が積算される。この撮像信号の積算は、可動端子61が固定端子63に接続されている間に行われ、可動端子61が固定端子62に接続されたときに積算を終了する。
【0056】
信号処理装置33からX線撮像信号の積算値、すなわちX線撮像信号の強度の情報がコンピュータ14に入力される。本実施例では、図5のステップ21の「X線撮像信号の計数値の入力」が「X線撮像信号の強度の入力」、及びステップ22の「X線撮像信号の計数値の記憶」が「X線撮像信号の強度の記憶」となり、ステップ23の処理が実行されない。ステップ22の処理後にステップ24の処理が実行される。ステップ24による演算処理によって、入力したX線撮像信号の強度からγ線撮像信号の積算値(予め決めた個数(1,2個)のγ線撮像信号の積算値)を差引いて可動端子61が固定端子63に接続されている時間で平均したX線撮像信号の平均強度を求める。この平均強度に基づいて各ボクセルにおける減衰率を計算し、ステップ25でX線CT像のデータを求める。
【0057】
信号弁別装置4Aを用いることによって、γ線撮像信号及びX線撮像信号の定量性が改善できる。信号弁別装置4の替りに本実施例の信号弁別装置4Aを用いた放射線検査装置1は、実施例1で述べた効果も生じる。本実施例は、実施例1のように、放射線検出器2の出力信号からX線撮像信号とγ線撮像信号をそれぞれ分離する処理を行ってはいないが、放射線検出器2から出力されたX線撮像信号に基づいてX線CT像データを作成することができ、γ線撮像信号に基づいてPET像のデータを得ることができる。本実施例は、実施例1で生じる(1)〜(8)の効果を得ることができる。
【0058】
(実施例3)
本発明の他の実施例である放射線検査装置を、図10を用いて説明する。本実施例は、X線CT検査とPET検査とを一台の撮像装置13Aを用いて行う例である。本実施例の放射線検査装置1Aは、配線19Bによって信号処理装置33に接続される放射線検出器54、及び配線19Aによって信号弁別装置4Bに接続される放射線検出器55を有する。放射線検出器54及び55は、放射線検出器2と同様に、半導体放射線検出器である。放射線検出器54と放射線検出器55とは、撮像装置13Aの孔部18の円周方向に交互に配置される。放射線検出器54及び55の配置は、交互に配置する必要はなく、必要においてそれらの配列割合を変えてもよい。信号弁別装置4Bは信号処理装置である。
【0059】
信号弁別装置4Bは、図11に示すように、直列に接続された波形整形装置41及びγ線弁別装置42を有する。波形整形装置41が配線19Aに接続される。電源44の接続状態は、図2に示す構成と同じである。
【0060】
放射線検出器54及び55は、図1の実施例における放射線検出器2と同様に、X線撮像信号及びγ線撮像信号を出力する。放射線検出器54に接続された信号処理装置33は、前述した信号弁別装置4Aの信号処理装置33と同様にX線撮像信号の積分値であるX線撮像信号の強度を出力する。放射線検出器55の出力を入力する波形整形装置41及びγ線弁別装置42は、信号弁別装置4のそれらと同じ処理を実行する。γ線弁別装置42はγ線撮像信号に基づいたパルス信号を発生する。
【0061】
本実施例のコンピュータ14における処理は、実施例2で述べたその処理と同じである。最終的に、患部の位置でのX線CT像及びPET像の両データを合成し、患部位置での合成断層像のデータが得られる。本実施例は、実施例2で述べた効果を得ることができる。放射線検出器54及び55を交互に配置することによってγ線が検出できない位置(放射線検出器54が配置された位置)及びX線が検出できない位置(放射線検出器55が配置された位置)が存在することによる、PET像及びX線CT像の画質の低下を補うために、例えばモーターを用いて放射線検出器54及び55を孔部18の円周方向に旋回させる。これによって、その円周方向においてきめ細かくX線及びγ線を検出することができる。このため、PET像およびX線CT像の画質の低下を防止できる。本実施例は、ベッド8の長手方向に配置された複数の放射線検出器54によってX線源制御装置53が構成され、その長手方向に配置された放射線検出器55によってγ線検出部35が構成される。X線源制御装置53とγ線検出部35が孔部18の周方向に交互に配置されている。X線源制御装置53は、ベッド8の長手方向においてγ線検出部35の一端とγ線検出部35の他端との間に形成される領域内に位置している。本実施例も、実施例1で生じる(1)〜(8)の効果を得ることができる。
【0062】
(実施例4)
本発明の他の実施例である放射線検査装置1Bを、図12に基づいて以下に説明する。放射線検査装置1Bは、X線CT装置及びSPECT装置の機能を有している。放射線検査装置1Bの撮像装置30は、放射線検査装置1の撮像装置13における各放射線検出器2よりも孔部18の中心側にコリメータ10を配置したものである。放射線検査装置1Bの他の構成は放射線検査装置1と同じである。本実施例も、図示されていないが、実施例1と同様に、複数の放射線検出器2で構成された放射線検出器31を有する。この放射線検出器31はX線検出部及びγ線検出部を兼用している。信号弁別装置4は前述のように信号処理装置である。計数装置5Aは各信号弁別装置4のγ線弁別装置42のそれぞれに接続される。計数装置5Aは幾つかのγ線弁別装置42毎に設けても良い。コリメータ10は、図12に図示されていないが各放射線検出器2毎にそれぞれ対向するように設けられ、X線及びγ線が通過する貫通孔を有する。本実施例は、X線CT検査とSPECT検査(SPECT用薬剤に起因して被検診者の体内から放射されるγ線を放射線検出器で検出する行為)とを一台の撮像装置30を用いて行う例である。
【0063】
SPECT検査では、前述したシングルフォトン放出核種を含むSPECT用薬剤を投与した被検診者7をベッド8上に寝かせて、SPECT用薬剤に起因して被検診者7の体内で発生する単一のγ線を放射線検出器2で検出する。特定の角度から入射するγ線を検出するために、前述のようにコリメータ10が配置される。例えば、コリメータ10は放射線検出器2に対して垂直な方向のγ線を放射線検出器2に入射可能にしている。
【0064】
被検診者の体内を透過したX線を放射線検出器2で検出する場合には、放射線検出器2に対して斜め方向から入射するX線も必要である。コリメータ10によってそのX線が遮られるとX線CT検査が行えなくなる。このため、本実施例は、高エネルギーX線を発生するX線源3を用い、そのX線を被検診者に照射して体内を透過するX線を放射線検出器2で検出する。本実施例におけるX線源3は、図1の実施例で用いられるX線源3よりも高エネルギーX線を放射する。
【0065】
SPECT用薬剤に起因して発生するγ線のエネルギーはPET用薬剤に起因して発生するγ線のエネルギーよりも低い。SPECT用薬剤に起因して発生するγ線のエネルギーは、例えば約80eV〜130keVの範囲にある。この場合、コリメータ10は、約80eV以下のエネルギーを有するγ線が貫通孔以外の部分を透過しないように構成される。
【0066】
X線源3により照射されるX線は、SPECT用薬剤によって発生するγ線のエネルギーと同じにならないようにし、更にコリメータ10の貫通孔以外の部分を透過できるエネルギーを有するX線にする。これにより、コリメータ10を装着した状態でX線CT検査を行うことが可能になる。例えば、X線のエネルギーを300keVとし、γ線のエネルギーを100keV、コリメータ10の材質としてタングステンを用いた場合を考える。タングステンの300keV光子における線源弱定数は約6.0cm-1 であるのに対し、100keV光子における線源弱定数は約83cm-1である。このため、コリメータ10をX線,γ線がそれぞれ0.5mm 透過した場合、X線は約75%透過するのに対し、γ線は約2%しか透過しない。この結果、放射線検出器2は、放射線検出器2に斜めに入射するX線に対しても出力信号を出力するが、コリメータ10にて遮られる、斜めに入射したγ線に対しては出力信号を出力しない。
【0067】
本実施例において、各放射線検出器2は、X線源3から放射されて被検診者7の体内を透過したX線、及び体内のSPECT用の放射性薬剤に起因して患部から放出されたγ線をそれぞれ検出し、X線撮像信号及びそのγ線の検出信号(γ線撮像信号)を含んでいる出力信号(撮像信号)をそれぞれ出力する。本実施例は、患部を透過するX線も該当する位置にある放射線検出器2で検出される。信号弁別装置4は、撮像信号からX線撮像信号とγ線撮像信号とを分離する。本実施例では、γ線弁別装置42は第1エネルギー設定値(例えば120keV)以下のエネルギーを有する撮像信号(γ線撮像信号)を入力したときにパルス信号を出力する。計数装置5Aは、そのパルス信号の計数を行い、γ線撮像信号に対する計数値を求める。波高分析装置43は、第2エネルギー設定値(例えば290keV)以上で第3エネルギー設定値(310keV)以下の範囲のエネルギーを有する撮像信号(X線撮像信号)の計数値を出力する。γ線撮像信号及びX線撮像信号の各計数値は、コンピュータ14に入力され、記憶装置6に記憶される。コンピュータ14は、それらの計数値を用いて図5に示された処理手順に基づいた処理を実行する。本実施例で実行されるステップ21〜29のうち、図1に示される実施例で実行される処理とは異なるステップの処理だけを以下に説明する。本実施例のステップ23で行われるX線撮像信号の計数値の補正は、図1に示す実施例のステップ23で実行される補正とは異なり、コリメータ10の線源弱計数を用いて行われる。この補正について、詳細に説明する。
【0068】
得られたX線撮像信号の計数値は、コリメータ10を透過したX線の計数値が含まれているため、コリメータ10の線源弱計数を用いて補正する必要がある。例えばコリメータ10がタングステンで作られており、かつX線がコリメータ10を1mm透過した場合、先ほど示した線源弱計数から、計数が約0.55 倍となる。このため、記憶装置6に記憶しているX線撮像信号の計数値にその逆数をかけることによりその計数値の補正ができる。
【0069】
本実施例のステップ27ではフィルタードバックプロジェクション法によりSPECT像の再構成の処理が実行される。SPECT像とは、本実施例で得られたγ線撮像信号の計数値を用いて再構成した、被検診者7の横断面の断層像をいう。本実施例のステップ28では、ステップ25で得られたX線CT像のデータとステップ27で得られたSPECT像のデータにおける、撮像装置の孔部18の中心軸の位置を合わせることによって、患部位置におけるX線CT像のデータ及びSPECT像のデータの両データの合成が精度良く行われる。得られた合成断層像のデータは、記憶装置6に記憶される。
【0070】
本実施例は、共通の放射線検出器2の出力信号に基づいて得られたX線CT像のデータとSPECT像のデータとの合成により、合成断層像のデータを得るものであるが、図1の実施例で生じる(1)〜(8)の効果を得ることができる。図1の実施例の効果の記載で「PET像」とあるのは、本実施例では「SPECT像」となる。
【0071】
なお、必ずしも被検診者に対する検査時間すべての間、X線CT検査とSPECT検査の両方を行う必要はない。必要なデータ量に応じてSPECT検査のみ行う時間やX線CT検査のみを行う時間があってもよい。
【0072】
実施例2,実施例3及び実施例6で用いられる各撮像装置において、各放射線検出器の孔部18の中心側に、本実施例と同様にコリメータ10を配置してもよい。このようなコリメータ10を有する各撮像装置は、SPECT検査に用いることができる。
【0073】
(実施例5)
本発明の他の実施例である放射線検査装置1Cを、図13及び図14を用いて説明する。放射線検査装置1Cは、前述の放射線検査装置1Bと同じく、X線CT装置及びSPECT装置の機能を有している。放射線検査装置1Cは、放射線検査装置1Bの撮像装置30を撮像装置30Aに替えた部分が放射線検査装置1Bと異なっている。撮像装置30A以外の、放射線検査装置1Cの構成は、放射線検査装置1Bの構成と同じである。撮像装置30Aはコリメータ10及びX線源3を孔部18の軸方向に移動できる構成となっており、この構成が撮像装置30にない構成である。孔部18の周囲に配置された複数の放射線検出器2によって環状の放射線検出部36が構成される。放射線検出部36は、X線撮像信号を出力するX線検出部であってγ線撮像信号を出力するγ線検出部であり、両検出部を兼ねている。撮像装置30Aの他の構成は、撮像装置30と同じである。本実施例は、X線CT検査とSPECT検査とを一台の撮像装置30Aを用いて行う例である。
【0074】
コリメータ10は、図示されていないが、ケーシング15の内側に設置された、孔部18の軸方向に伸びる複数の直線状の水平方向ガイドレール上に水平方向に移動可能に設置される。コリメータ10を水平方向に移動させるコリメータ駆動装置は、図示されていないが、ケーシング15内のコリメータ収納領域70に設置されたモーター、このモーターの回転軸に連結されるピニオン及びコリメータ10の外周に設けられたラックを備える。そのラックは、コリメータ10の外周で、コリメータ10の貫通孔を避けるように、孔部18の軸方向に伸びている。ピニオンはラックと噛合っている。モーターの回転力を受けて回転するピニオンによって、ラックが取り付けられているコリメータ10が孔部18の軸方向に移動する。X線源駆動装置17は、前述したX線源装置16をガイドレール50に沿って移動させる駆動機構(第1駆動機構)以外に、X線源3を孔部18の軸方向に移動させる他の駆動機構(第2駆動機構、図示せず)を備えている。この第2駆動機構は、図示されていないが、X線源駆動装置17の前述のモーターに第2クラッチを介して連結される第2動力伝達機構、X線源3に設けられたラック(孔部18の軸方向に伸びている)と噛合って第2動力伝達機構に連結されるピニオンを有する。本実施例では、第1駆動機構の動力伝達機構(第1動力伝達機構)と前述のモーターとを第1クラッチによって連結する。
【0075】
本実施例におけるコリメータ10は、SPECT検査開始前にコリメータ駆動装置によって図13に示すように放射線検出器2の前面に移動される。また、SPECT検査開始前に第1クラッチによるモーターと第1動力伝達機構との連結を解除して第2クラッチによりモーターと第2動力伝達機構とを連結させ、モーターの駆動によりX線源3を図13のように放射線検出器2の前面から孔部18の外側に移動させる。この状態でSPECT検査が行われる。コリメータ10はX線CT検査開始前にコリメータ駆動装置によって図14のようにコリメータ収納領域70に収納される。X線源3は、X線CT検査開始前に第2クラッチによりモーターと第2動力伝達機構とを連結させた状態でのモーターの駆動によって孔部18内に挿入され、図14に示すように放射性検出器2の前面に位置する。
【0076】
ベッド8上には、SPECT用薬剤を投与された被検診者7が寝かせられている。SPECT検査時には、前述したようにコリメータ10を用いて放射線検出器2に入射するγ線の方向を特定する必要がある。このため、図13の状態でSPECT検査が実施される。SPECT検査時には放射線検出器2からはγ線撮像信号のみが出力され、信号弁別装置4のγ線弁別装置42からγ線撮像信号に対するパルス信号が出力される。パルス信号は計数装置5Aで計数され、γ線撮像信号の計数値としてコンピュータ14(図示せず)に入力される。
【0077】
X線CT検査時においては、X線源駆動装置17において第1クラッチによってモーターと第1動力伝達機構を連結させて(第2クラッチは離れている)モーターの駆動によりX線源装置16をガイドレール50に沿って移動させる。被検診者7の体内を透過してくるX線を放射線検出器2で検出する。放射線検出器2はX線撮像信号のみを出力し、信号弁別装置4の波高分析装置43はX線撮像信号の計数値を出力する。この計数値もコンピュータ14に入力される。コンピュータ14は、放射線検査装置1Bのコンピュータ14と同様な処理を行い、患部の位置におけるSPECT像及びX線CT像の両データを精度よく合成でき、合成断層像のデータを得ることができる。この合成断層像のデータはモニタ32(図示せず)に表示される。
【0078】
本実施例は一台の撮像装置30で前述の透過X線及びγ線の両方を検出でき、放射線検出器を撮像装置二台分を設ける必要もなく、放射線検査装置の構成を著しく単純化できる。
【0079】
本実施例は、放射線検出器2の出力信号から分離したX線撮像信号の強度を用いて、実施例1で述べた患部の位置での被検診者の第1の断層像(X線CT像)を再構成でき、分離したγ線撮像信号の強度を用いて、その被検診者の、患部の画像を含む第2の断層像(SPECT像)を再構成できる。これらの断層像のデータを実施例1と同様に精度良く合成でき、精度のよい、患部,内臓及び骨の画像を含む断層像(合成断層像)を簡単に得ることができる。この合成断層像によれば、内臓及び骨との関係で、患部の位置を正確に知ることができる。本実施例は実施例1で述べた同じ理由で、被検診者の検査時間の短縮に寄与する。特に、SPECT検査時におけるベッド8の移動方向とX線CT検査におけるベッド8の移動方向を逆にすることによって、検査時間は更に減少する。例えば、ベッド8を孔部18に挿入する方向に動かしながらX線CT検査を実施し、X線CT検査終了後に引続いてベッド8を孔部18から引抜く方向に動かしながらSPECT 検査を実施する。この場合は、X線CT検査終了後にベッド8を孔部18から引抜いて再び孔部18内に挿入して実施するSPECT検査に比べて検査時間が短縮される。
【0080】
本実施例のX線源3は、放射線検査装置1BのX線源3よりもエネルギーの低いX線を放射するものでよく、コンパクトになる。また、本実施例は、低いエネルギーのX線を使用できるので、被検診者に対する負担を軽減できる。しかしながら、X線のエネルギーが低下してSPECT用の放射性薬剤に起因して体内から放出されるγ線のエネルギーと同一になった場合には、信号弁別装置4でX線撮像信号とγ線撮像信号とのエネルギー弁別が不可能になる。このため、例えば80keVのγ線を出すSPECT用薬剤を用いる場合は、例えば100keVのX線を用いる必要がある。
【0081】
コリメータ10をコリメータ収納領域70に収納してX線CT検査を行っているときでも、放射線検出器2は体内から放出されるγ線を検出する。このときに放射線検出器2に入射したγ線に関しては、角度情報が得られない。このγ線の検出信号(γ線撮像信号)に基づいてSPECT像のデータを得ることができれば、X線源からエネルギーの低いX線を放出した場合においてもコリメータ10が不要となって撮像装置30Aにおける孔部18の軸方向の寸法を短くできる。これは、撮像装置30Aの小型化につながる。これを達成するために、2つの方法が考えられる。第1の方法は、コリメータ10をコリメータ収納領域70に収納している間に放射線検出器2に入射したγ線の計数値は、特定の分布状態を仮定してコリメータ10が存在する状態の個数を見積もる方法である。第2の方法は、コリメータ10が前面に位置していない時間が最も長い放射線検出器2のγ線の検出時間を基準時間として、他の放射線検出器2が検出したγ線の計数値を基準時間分のその計数値に合わせる方法である。これらの第1及び第2の方法を用いることにより、各放射線検出器2の出力であるγ線撮像信号を用いて得られたその計数値の重みを均一にしてから、例えばフィルタードバックプロジェクション法などを用いてSPECT像のデータを求める。
【0082】
(実施例6)
本発明の他の実施例である放射線検査装置1Dを、図15を用いて以下に説明する。放射線検査装置1Dは、放射線検査装置1の構成にX線源制御装置53を付加し、かつ放射線検査装置1の信号弁別装置4を図8に示す信号弁別装置4Aに取り替えた構成を有する。放射線検査装置1Dの他の構成は放射線検査装置1と同じである。本実施例も、X線検出部及びγ線検出部の機能を有する放射線検出器31を有する。本実施例は、X線CT検査とPET検査とを一台の撮像装置13を用いて行う例である。信号弁別装置4Aは信号処理装置である。
【0083】
本実施例は、発明者らによる以下の検討に基づいてなされた。X線CT像のデータは、X線源から放射されたX線を特定の方向に所定時間の間、照射し、体内を透過したX線を放射線検出器により検出する作業を繰り返し(スキャン)、放射線検出器で検出されたX線の強度に基づいて作成される。精度の良いX線CT像のデータを得るためには、X線CT検査においてX線を検出している放射線検出器に被検診者の体内から放出されるγ線が入射しないことが望ましい。このためには、「1つの放射線検出器においては、γ線の入射率に対応して被検診者へのX線の照射時間を短くすればγ線の影響は無視可能である」との発明者らの新しい知見に基づいて、被検診者へのX線の照射時間の短縮を図った。そのX線の照射時間Tを決めるために、まず、1つの放射線検出器へのγ線の入射率を考える。PET検査において被検診者に投与するPET用薬剤に基づいた体内の放射能をN(Bq),発生するγ線の体内通過率をA、1つの放射線検出器の立体角から求めた入射率をB、放射線検出器の感度をCとすると、1つの放射線検出器で検出するγ線の率α(個/sec)は(1)式で与えられる。(1)式において係数
α=2NABC …(1)
の「2」は、1個の陽電子消滅の際に一対(2個)のγ線が放出されることを意味している。照射時間T内に1つの放射線検出器でγ線が検出される確率Wは(2)式で与えられる。(2)式のWの値を小さくするように照射時間Tを決め
W=1−exp(−Tα) …(2)
ることによって、X線CT検査時において1つの放射線検出器に入射されるγ線の影響は無視できる程度になる。
【0084】
X線の照射時間Tの一例を以下に述べる。(1)および(2)式に基づいて具体的なX線の照射時間Tを求めた。PET検査において被検診者に投与するPET用薬剤に起因する体内での放射線の強度は、最大で360MBq程度であり(N=360MBq)、γ線の体内通過率Aは被検診者の体を半径15cmの水と仮定すれば0.6程度(A=0.6)である。例えば一辺5mmの放射線検出器を半径50cmでリング状に配置する場合を考えると、1つの放射線検出器の立体角から求めた入射率Bは8×10-6(B=8×10-6)である。また、放射線検出器の検出感度Cは半導体放射線検出器を使用した場合最大で0.6程度(C=0.6)である。これらの値から1つの放射線検出器のγ線の検出率αは2000(個/sec )程度である。X線の照射時間Tを例えば1.5μsecとすれば、1つの放射線検出器がX線検出中にγ線を検出される確率Wは0.003 となり、このγ線はほとんど無視できる。体内投与放射能を360MBq以下とした場合、X線の照射時間を1.5μsec以下にすれば、W<0.003 つまりγ線の検出確率は0.3%以下となり無視できる。
【0085】
X線源制御装置53はX線源3からのX線の放出時間を制御する。X線源3は図示されていないがX線管を有する。このX線管は、陽極,陰極,陰極の電流源、及び陽極と陰極との間に電圧を印加する電圧源を外筒内に備える。陰極はタングステン製のフィラメントである。電流源から陰極に電流を流すことによってフィラメントから電子が放出される。この電子は、電圧源から陰極と陽極との間に印加される電圧(数百kV)によって加速され、ターゲットである陽極(W,Mo等)に衝突する。電子の陽極への衝突により80keVのX線が発生する。このX線がX線源3から放出されて、ベッド8上の被検診者7に照射される。被検診者7には体内投与放射能が360MBqになるようにPET用薬剤が投与されている。
【0086】
駆動装置制御装置9から駆動開始信号が出力されたとき、前述のようにX線源装置16がガイドレール50に沿って移動し、X線源3も一緒に移動する。ガイドレール50に沿ったX線源3の移動は、X線源駆動装置17によって所定の速度で行われる。X線源制御装置53は、X線管内の陽極(または陰極)と電圧源との間に設けられた開閉器(以下、X線源開閉器という、図示せず)を、第1設定時間の間で閉じ、第2設定時間の間で開き、これらの開閉制御を繰り返す。陽極と陰極との間には、第1設定時間の間で電圧が印加され、第2設定時間の間で電圧が印加されない。この制御によって、X線管からX線がパルス状に放出される。第1設定時間は照射時間T(例えば1μsec )である。第2設定時間は、X線源3が1つの放射線検出器2とこれに隣接する他の放射線検出器2の間を移動する時間T0 であり、ガイドレール50の周方向におけるX線源3の移動速度で定まる。第1及び第2設定時間はX線源制御装置53に記憶されている。
【0087】
X線CT検査におけるX線の検出及び検出したX線の信号処理について説明する。X線CT検査を開始する際に駆動装置制御装置9から駆動開始信号が出力され、前述のようにX線源3がガイドレール50に沿って移動する。その駆動開始信号はX線源制御装置53に入力される。X線源制御装置53は、駆動開始信号の入力に基づいて、X線源3、具体的にはX線管にX線発生開始信号を出力する。このX線発生開始信号によってX線源開閉器が閉じられる。陽極と陰極との間に電圧が印加されてX線が発生する。X線源3から放出されたそのX線は、ファンビーム状に被検診者7に照射され、被検診者7を透過した後、孔部18の中心を基点にX線源3から180度の位置にある放射線検出器2を中心に孔部18の円周方向においても複数の放射線検出器2に入射する。X線源制御装置53は、そのX線開閉器を第1設定時間、すなわち1μsec の間、閉じ、次の第2設定時間の間でX線源開閉器は開く。X線源3の周方向への移動に伴って、前述の時間間隔でX線開閉器の開閉が繰り返される。X線源開閉器が閉じているときに放出されるX線は、前述のX線源3と対向する位置にある上記の各放射線検出器2に入射する。
【0088】
X線が入射されている各放射線検出器2の出力信号は、実施例2で述べたように、駆動装置制御装置9の制御によって切替スイッチ60の可動端子61が固定端子63に接続されているため、信号処理装置33に入力される。患部を透過したX線も該当する放射線検出器2によって検出される。信号処理装置33は、X線撮像信号の強度の情報をコンピュータ14に入力する。被検診者7の患部からはPET用薬剤に起因した511keVのγ線が放出され、このγ線が放射線検出器2に入射される。X線が入射している放射線検出器2のγ線の検出確率は、前述したように無視できるほど小さい。X線が入射している放射線検出器2以外の放射線検出器2は、γ線を検出してγ線撮像信号を出力する。これらの放射線検出器2に接続された可動端子61は固定端子62に接続されているので、波形整形装置41及びγ線弁別装置42に入力される。γ線弁別装置42から出力された、第1エネルギー設定値以上のγ線撮像信号に対するパルス信号は、同時計数装置5で計数される。得られたγ線撮像信号の計数値は、コンピュータ14に入力される。コンピュータ14にて行われる処理は、実施例2で説明した処理と同じである。ただし、本実施例では、実施例2で実行されるステップ24の処理のうち、γ線撮像信号の積算値を差引くことは行われない。コンピュータ14での処理により、合成断層像のデータが得られる。本実施例の各放射線検出器2は、時間的にはずれているが、X線撮像信号及びγ線撮像信号の両方を出力する。
【0089】
本実施例は、実施例2で生じる効果(実施例1で生じる効果も含む)を得ることができる。本実施例は、実施例2よりも信号処理装置33に入力されるγ線撮像信号が著しく減少する。このため、X線撮像信号に基づいた精度のよいX線CT像のデータを得ることはできる。最終的に得られた合成断層像のデータをモニタ32に表示したとき、患部の位置を精度良く知ることができる。本実施例は、実施例2と同様に、放射線検出器2から出力される出力信号からX線撮像信号とγ線撮像信号をそれぞれ分離する処理を行ってはいないが、X線CT像データを作成することができ、PET像のデータを得ることができる。
【0090】
(実施例7)
本発明の他の実施例である実施例7の放射線検査装置を、図16及び図17を用いて説明する。本実施例の放射線検査装置は、撮像装置13B及び被検診者保持装置11を備える。本実施例の放射線検査装置は、図示されていないが、図10に示す信号弁別装置4B,同時計数装置5,信号処理装置33,記憶装置6,コンピュータ14及びモニタ32を備える。実施例6との違いは撮像装置13Bにあるので、以下主に撮像装置13Bを中心に説明する。
【0091】
撮像装置13Bは、ベッド8の長手方向において並行に配置された複数の放射線検出器環状体37,X線源装置16A及びX線検出装置48を備える。各放射線検出器環状体37は、環状保持部材38の内面に複数の放射線検出器2を周方向及び軸方向に設置している。各環状保持部材38は、検出器保持装置39によって個々に支持部材40上に設置されている。各放射線検出器環状体37の相互間に、間隙45がそれぞれ形成される。環状の周方向ガイドレール56が各環状保持部材38の外面に設けられる。X線源軸方向ガイドレール51及び検出器軸方向ガイドレール52は、お互いに180°離れた位置で各環状保持部材38の外面に軸方向に延びて設けられる。X線源装置16Aは、そのケーシング内に、図示されていないが、モーター,減速機構、及び周方向移動用と軸方向移動用の2種のピニオンを有する。X線源装置16Aの周方向移動時には、減速機構が周方向移動用ピニオンに接続され、モーターが回転した駆動力を周方向移動用ピニオンに伝達する。X線源装置16Aの軸方向移動時には、減速機構が軸方向移動用ピニオンに接続され、モーターが回転した駆動力を軸方向移動用ピニオンに伝達する。周方向移動用ピニオンは周方向ガイドレール56に設けられたラックと噛み合うことにより、また軸方向移動用ピニオンはX線源軸方向ガイドレール51に設けられたラックと噛み合うことにより、自走式のX線源装置16Aは環状保持部材38の外面側においてそれぞれの方向に移動可能である。X線源3はX線源装置16A内で環状保持部材38に面して設けられる。
【0092】
X線検出装置48は、環状保持部材38の外側で、半円の連結部材(図示せず)によってX線源装置16Aに連結される。このため、X線源装置16Aが周方向ガイドレール56に沿って環状保持部材38の周方向に移動するときには、X線検出装置48は、X線源装置16Aの移動に伴って周方向ガイドレール56に沿って環状保持部材38の外側で環状保持部材38の周方向に移動する。X線源装置16AがX線源軸方向ガイドレール51に沿って環状保持部材38の軸方向に移動するときには、X線検出装置48は、X線源装置16Aの移動に伴って検出器軸方向ガイドレール52に沿って環状保持部材38の外側で環状保持部材38の軸方向に移動する。X線検出装置48は複数のX線検出器47を周方向に配置している。X線検出装置48に設置された複数のX線検出器47によってX線検出部が構成される。X線検出器47は環状保持部材38の軸方向にも複数個配列してもよい。
【0093】
γ線検出部46は、全放射線検出器環状体37に設けられた放射線検出器2によって構成される。X線検出部は、ベッド8の長手方向においてγ線検出部46の一端とγ線検出部46の他端との間に形成される領域内に位置している。放射線検出器2及びX線検出器47は、実施例1で述べた半導体放射線検出器である。
【0094】
PET用薬剤を投与された被検診者7はベッド8を移動させることによって孔部18内の所定の位置まで移動させる。X線源3から放出されたX線49は間隙45を通過して被検診者7に照射される。X線源3から放出されるX線49は、X線源装置16Aが周方向ガイドレール56に沿って移動されることによって周囲から被検診者7に照射される。被検診者7を透過したX線49は、X線検出部のX線検出器47によって検出される。X線源装置16A及びX線検出装置48を隣の間隙45まで移動させるためには、1つの間隙45からのX線の照射が完了した後、X線源装置16AをX線源軸方向ガイドレール51に沿って移動させる。そのとき、X線検出装置48は検出器軸方向ガイドレール52に沿って移動する。X線源装置16Aが隣の間隙45に達したとき、X線源装置16A及びX線検出装置48を周方向ガイドレール56に沿って移動させる。X線源3から放出されるX線49は、その間隙45を通過して被検診者7に照射される。
【0095】
いずれかの間隙45を通して照射されたX線49は、被検診者7の患部を透過する。被検診者7を透過したX線はX線検出器47で検出される。X線検出器47はX線撮像信号を出力する。患部から放出されたγ線は放射線検出器2で検出される。放射線検出器2はγ線撮像信号を出力する。X線撮像信号は信号処理装置33で処理される。γ線撮像信号は信号弁別装置4B及び同時計数装置5で処理される。コンピュータ14は、実施例1と同様に、被検診者7の体内の各ボクセルにおけるX線の減衰率に基づいてX線CT像を再構成し、γ線撮像信号の計数値を用いてPET像を再構成する。コンピュータ14は、患部の位置におけるPET像データとその位置のX線CT像データを合成して、患部の位置での被検診者7の横断面の合成断層像データを求める。
【0096】
本実施例は、実施例1で生じる(1)〜(8)の効果を得ることができる。更に、本実施例は、以下に示す効果も得ることができる。
【0097】
(9)本実施例では切替スイッチ60が不要となる。つまり、環状保持部材38上に設置している放射線検出器2は、配線19Aで波形整形装置41を介してγ線弁別装置42に接続されている。一方、X線検出器47は、配線19Bで信号処理装置33に接続されている。したがって回路構成が単純化される。また、切替スイッチ等の制御も必要なくなり制御方法も単純化できる。
【0098】
(10)本実施例では、X線源装置16A及びX線検出装置48が360度回転可能な構成となっている。従って、X線CT検査において、1断面像を得るために360度方向のデータを得ることが可能となり、X線CT画像の画質の向上が図れる。
【0099】
(11)本実施例では、孔部18の中心軸に対してX線源3とX線検出器47を対向の位置に配置している。従って、X線CT検査の2次元の断面画像の撮影時にX線をこの断面に平行に照射することが可能となり、X線CT像の画質の向上が図れる。
【0100】
(12)本実施例は、X線を間隙45に対して平行に照射できる。従って、間隙45の幅を通過するX線の幅とほぼ同等な幅まで最小化することが可能である。間隙45はPET検査時のデータ欠損領域であり、間隙45幅の最小化により、PET検査の高速化,画質の向上が図れる。
【0101】
(13)本実施例では、X線検出装置48をPET検査用のγ線を検出する放射線検出器2と別個に備えている。従って、X線検出装置48内での複数のX線検出器47の配列ピッチを任意に設定可能であり、X線CT像の高分解能化が容易に実施できる。
【0102】
X線検出部の少なくとも一部がベッド8の長手方向においてγ線検出部の一端とγ線検出部の他端との間に形成される領域内に位置していれば、患部の位置でのPET像及びX線CT像の両データを精度よく合成できる。得られた、患部の位置での合成断層像データを用いることによって、患部の診断精度を向上できる。
【0103】
以上に述べた各実施例は、放射線検出器として半導体放射線検出器を用いているが、半導体放射線検出器の替りにシンチレータを用いることも可能である。シンチレータを用いた場合でも、その出力信号は、前述した各信号弁別装置で信号処理することができる。シンチレータのクリスタルとしては、ビスマスゲルマネート,ガドリニウムシリケートまたはイットリニウムシリケートが用いられる。放射線検出器としてシンチレータを用いることによって、各実施例における検査時間が更に短縮できる。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、断層画像を用いての診断精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である放射線検査装置の斜視図である。
【図2】図1に示す実施例における信号弁別装置の構成図である。
【図3】図2の波形整形装置に入力されるγ線撮像信号の波形を示す説明図である。
【図4】図2の波形整形装置から出力されたγ線撮像信号の波形を示す説明図である。
【図5】図1のコンピュータで実行される処理手順のフローチャートである。
【図6】放射線検出器で検出されたγ線撮像信号のエネルギースペクトルを示す説明図である。
【図7】γ線撮像信号を除去したX線撮像信号のエネルギースペクトルを示す説明図である。
【図8】図1に示す実施例における信号弁別装置の他の実施例を示す説明図である。
【図9】図8の信号弁別装置の動作タイムチャートである。
【図10】本発明の他の実施例である放射線検査装置の斜視図である。
【図11】図10に示す信号弁別装置の詳細構成図である。
【図12】本発明の他の実施例である放射線検査装置の斜視図である。
【図13】本発明の他の実施例である放射線検査装置の縦断面図である。
【図14】図12の実施例においてコリメータを放射線検出器の位置からずらした状態を示す説明図である。
【図15】本発明の他の実施例である放射線検査装置の斜視図である。
【図16】本発明の他の実施例である放射線検査装置の縦断面図である。
【図17】図16のB−B断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C…放射線検査装置、2,31,55…放射線検出器、3…X線源、4,4A,4B…信号弁別装置、5…同時計数装置、6…記憶装置、8…ベッド、9…駆動装置制御装置、10…コリメータ、11…被検診者保持装置、13,13A,13B,30,30A…撮像装置、14…コンピュータ、15…ケーシング、16,16A…X線源装置、17…X線源駆動装置、18…孔部、32…モニタ、37…放射線検出器環状体、41…波形整形装置、42…γ線弁別装置、43…波高分析装置、44…電源、48…X線検出装置、50…ガイドレール、51…X線源軸方向ガイドレール、52…検出器軸方向ガイドレール、53…X線源制御装置、56…周方向ガイドレール、60…切替スイッチ。

Claims (12)

  1. 陽電子放出型CT装置又は単光子放出型CT装置のいずれの放射線検査装置において、
    ベッドと、X線を放出するX線源と、前記X線の検出信号及びγ線の検出信号の両方を出力する複数の放射線検出器と、前記X線源を前記ベッドの周りで回転させる第1X線源移動装置と、前記X線源を前記ベッドの長手方向に移動させる第2X線源移動装置と、前記X線検出信号を処理する第1信号処理装置と、前記γ線検出信号を処理する第2信号処理装置と、前記放射線検出器から出力された前記X線検出信号及び前記γ線検出信号を、前記第1信号処理装置又は前記第2信号処理装置に伝える切替装置と、前記X線源の位置に応じて選択された前記放射線検出器からの前記X線検出信号を前記第1信号処理装置に伝えるように前記切替装置を制御する切替制御装置を備えたことを特徴とする放射線検査装置。
  2. 陽電子放出型CT装置又は単光子放出型CT装置のいずれの放射線検査装置において、
    ベッドと、X線を放出するX線源と、前記X線の検出信号及びγ線の検出信号を含む出力信号を出力する複数の放射線検出器と、前記X線源を前記ベッドの周りで回転させる第1X線源移動装置と、前記X線源を前記ベッドの長手方向に移動させる第2X線源移動装置と、前記X線検出信号を処理する第1信号処理装置と、前記γ線検出信号を処理する第2信号処理装置と、前記放射線検出器から出力された前記X線検出信号及び前記γ線検出信号を、前記第1信号処理装置又は前記第2信号処理装置に伝える切替装置と、前記X線源の位置に応じて選択された前記放射線検出器からの前記X線検出信号を前記第1信号処理装置に伝えるように前記切替装置を制御する切替制御装置を備えたことを特徴とする放射線検査装置。
  3. 陽電子放出型CT装置又は単光子放出型CT装置のいずれの放射線検査装置において、
    長手方向に移動可能なベッドを有する被検診者保持装置と、撮像装置と、信号処理装置とを備え、
    前記撮像装置が、
    前記ベッドが挿入される孔部を形成するケーシングと、
    X線を放出するX線源と、
    前記孔部の周囲を取り囲んで配置され、前記X線及びγ線を検出して前記X線の検出信号及び前記γ線の検出信号の両方を出力する複数の放射線検出器と、
    前記X線源を前記ベッドの周りで回転させる第1X線源移動装置と、
    前記X線源を前記ベッドの長手方向に移動させる第2X線源移動装置とを備え、
    前記信号処置装置は、前記複数の放射線検出器の各々に接続され、
    前記X線検出信号を処理する第1信号処理装置、前記γ線検出信号を処理する第2信号処理装置、及び前記放射線検出器からの前記X線検出信号を前記第1信号処理装置に伝え、かつ前記放射線検出器からの前記γ線検出信号を前記第2信号処理装置に伝える切替装置とを有し、
    前記X線源の位置に応じて選択された前記放射線検出器から出力された前記X線検出信号を前記第1信号処理装置に伝えるように前記切替装置を制御する切替制御装置を備えたことを特徴とする放射線検査装置。
  4. 陽電子放出型CT装置又は単光子放出型CT装置のいずれの放射線検査装置において、
    長手方向に移動可能なベッドを有する被検診者保持装置と、撮像装置と、信号処理装置とを備え、
    前記撮像装置が、
    前記ベッドが挿入される孔部を形成するケーシングと、
    X線を放出するX線源と、
    前記孔部の周囲を取り囲んで配置され、前記X線及び放射性薬剤に起因して前記被検診者から放出されたγ線を検出して前記X線の検出信号及び前記γ線の検出信号を含む出力信号を出力する複数の放射線検出器と、
    前記X線源を前記ベッドの周りで回転させる第1X線源移動装置と、
    前記X線源を前記ベッドの長手方向に移動させる第2X線源移動装置とを備え、
    前記信号処置装置は、前記複数の放射線検出器の各々に接続され、
    前記X線検出信号を処理する第1信号処理装置、前記γ線検出信号を処理する第2信号処理装置、及び前記放射線検出器からの前記X線検出信号を前記第1信号処理装置に伝え、かつ前記放射線検出器からの前記γ線検出信号を前記第2信号処理装置に伝える切替装置とを有し、
    前記X線源の位置に応じて選択された前記放射線検出器から出力された前記X線検出信号を前記第1信号処理装置に伝えるように前記切替装置を制御する切替制御装置を備えたことを特徴とする放射線検査装置。
  5. 前記切替制御装置は、
    前記X線源の位置を求め、前記X線源の位置に基づいて前記X線を検出する前記放射線検出器を選択し、選択された前記放射線検出器からの前記X線検出信号を前記第1信号処理装置に伝えるように前記切替装置を制御する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の放射線検査装置。
  6. 前記切替制御装置は、
    前記選択された放射線検出器以外の他の放射線検出器からの前記γ線検出信号を前記第2信号処理装置に伝えるように前記切替装置を制御する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の放射線検査装置。
  7. 前記X線源からのX線の放出及び停止を交互に行わせかつそのX線の放出を設定された時間の間に行わせるX線源制御装置を備え、
    前記切替制御装置は、
    前記X線源が前記X線を放出している間に前記X線検出信号を前記第1信号処理装置に伝えるように前記切替装置を制御する請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の放射線検査装置。
  8. 陽電子放出型CT装置又は単光子放出型CT装置のいずれの放射線検査装置において、
    長手方向に移動可能なベッドを有する被検診者保持装置と、撮像装置と、信号処理装置とを備え、
    前記撮像装置が、
    前記ベッドが挿入される孔部を形成するケーシングと、
    第1放射線を放出する放射線源と、
    前記孔部の周囲を取り囲んで配置され、前記第1放射線、及び放射性薬剤に起因して被検診者から放出される第2放射線を検出して前記第1放射線の検出信号及び前記第2放射線の検出信号の両方を出力する複数の放射線検出器と、
    前記放射線源を前記ベッドの周りで回転させる第1放射線源移動装置と、
    前記放射線源を前記ベッドの長手方向に移動させる第2放射線源移動装置とを有し、
    前記信号処置装置は、前記複数の放射線検出器の各々に接続され、
    前記第1放射線検出信号を処理する第1信号処理装置、前記第2放射線検出信号を処理する第2信号処理装置、及び前記放射線検出器からの前記第1放射線検出信号を前記第1信号処理装置に伝え、かつ前記放射線検出器からの前記第2放射線検出信号を前記第2信号処理装置に伝える切替装置とを有し、
    前記放射線源の位置に応じて選択された前記放射線検出器から出力された前記第1放射線検出信号を前記第1信号処理装置に伝えるように前記切替装置を制御する切替制御装置を備えたことを特徴とする放射線検査装置。
  9. 前記第1信号処理装置の出力に基づいて第1断層像のデータを作成し、前記第2信号処理装置の出力に基づいて第2断層像のデータを作成し、かつ前記第1断層像のデータと前記第2断層像のデータとを合成した合成断層像のデータを作成する断層像データ作成装置を備えた請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の放射線検査装置。
  10. 前記撮像装置は、
    各前記放射線検出器に対向させて配置されたコリメータを備え、前記コリメータは前記放射線検出器よりも前記孔部の中心側に位置している請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の放射線検査装置。
  11. 前記コリメータは、
    前記ケーシング内に設けられた直線状のガイドに移動可能に設置され、前記コリメータを前記孔部の軸方向に移動させる駆動装置を設けた請求項10記載の放射線検査装置。
  12. 前記放射線検出器は、
    半導体放射線検出器及びシンチレータのいずれかである請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の放射線検査装置。
JP2002177875A 2001-06-19 2002-06-19 放射線検査装置 Expired - Fee Related JP3937942B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002177875A JP3937942B2 (ja) 2001-06-19 2002-06-19 放射線検査装置
US10/241,499 US20030012331A1 (en) 2001-06-19 2002-09-12 Radiological imaging apparatus

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001184206 2001-06-19
JP2001-184206 2001-06-19
JP2002177875A JP3937942B2 (ja) 2001-06-19 2002-06-19 放射線検査装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003090882A JP2003090882A (ja) 2003-03-28
JP2003090882A5 JP2003090882A5 (ja) 2005-11-17
JP3937942B2 true JP3937942B2 (ja) 2007-06-27

Family

ID=26617153

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002177875A Expired - Fee Related JP3937942B2 (ja) 2001-06-19 2002-06-19 放射線検査装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3937942B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3800101B2 (ja) * 2002-02-13 2006-07-26 株式会社日立製作所 断層像作成装置及び断層像作成方法並びに放射線検査装置
JP3863873B2 (ja) 2003-09-30 2006-12-27 株式会社日立製作所 放射線検査装置
JP4976874B2 (ja) * 2007-02-02 2012-07-18 株式会社日立製作所 核医学診断装置
JP4604101B2 (ja) 2008-03-26 2010-12-22 株式会社日立製作所 画像情報作成方法,断層撮影装置の断層画像情報作成方法及び断層撮影装置
JP5011250B2 (ja) * 2008-09-30 2012-08-29 株式会社日立製作所 放射線撮像装置及び画像情報作成方法
JP6580836B2 (ja) * 2015-02-03 2019-09-25 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 フォトンカウンティングct装置
WO2019098629A1 (ko) * 2017-11-17 2019-05-23 고려대학교 산학협력단 방사선의 종류를 구별하여 검출하는 방사선 검출기

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003090882A (ja) 2003-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3888156B2 (ja) 放射線検査装置
US6976784B2 (en) Radiological imaging apparatus and radiological imaging method
US7127026B2 (en) Radiological imaging apparatus and radiological imaging method and radiological imaging support method
JP4093013B2 (ja) 放射線検査装置
JP3820972B2 (ja) Pet装置
US20030012331A1 (en) Radiological imaging apparatus
JP3664121B2 (ja) 放射線検査装置及び放射線検査方法
JP3937942B2 (ja) 放射線検査装置
JP4321492B2 (ja) 放射線検査装置
JP4604974B2 (ja) Pet装置
JP2004350942A (ja) 断層像作成装置及び放射線検査装置
JP3938078B2 (ja) 放射線検査装置
JP2007181729A (ja) 放射線検査装置の制御方法および画像情報作成方法
JP2011154031A (ja) 放射線検査装置
JP3797379B2 (ja) 陽電子放出型ct装置
JP4333692B2 (ja) 放射線検査装置
JP5532061B2 (ja) 放射線検査装置
JP2005164609A (ja) 陽電子放出型ct装置
JP3824264B2 (ja) 放射線検査装置及び放射線検出方法
JP2009058528A (ja) 放射線検査装置
JP4400641B2 (ja) 放射線検査装置及び陽電子放出型ct装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050620

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050929

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20050929

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20060217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060322

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060419

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070319

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110406

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120406

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120406

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130406

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140406

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees