JP2004350942A - 断層像作成装置及び放射線検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数モダリティの同時撮像における手続きの簡素化及び補正処理の高度化を実現できるようにする。
【解決手段】環状に配置された多数の放射線検出器4を用いて、周方向に移動するX線源9から放出されて被検体35を透過したX線を検出すると共に、被検体35から放出される複数のγ線の対を検出する。コンピュータ27は、X線CT像から被検体35内の関心領域を抽出すると共に、抽出した関心領域の断面積又は体積情報を用いて被検体35の機能情報の画像処理を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】環状に配置された多数の放射線検出器4を用いて、周方向に移動するX線源9から放出されて被検体35を透過したX線を検出すると共に、被検体35から放出される複数のγ線の対を検出する。コンピュータ27は、X線CT像から被検体35内の関心領域を抽出すると共に、抽出した関心領域の断面積又は体積情報を用いて被検体35の機能情報の画像処理を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断層像作成装置及び放射線検査装置に係り、特に、X線CT(X−ray Computed Tomography)、MRI(magnetic resonance image)、陽電子放出型CT(ポジトロン・エミッション・コンピューテッド・トモグラフィ(Positron Emission Computed Tomography)以下、PETという)及び単光子放出型CT(シングル・フォトン・エミッション・コンピューテッド・トモグラフィ(Single Photon Emission Computed Tomography)以下、SPECTという)等による断層像作成に適用するのに好適な断層像作成装置及び放射線検査装置である。
【0002】
【従来の技術】
生体である被検体内の機能、形態を無侵襲で撮像する技術として、放射線を用いた検査がある。放射線検査装置の代表的なものとして、X線CT、MRI、PET、SPECT等がある。
【0003】
X線CTは、X線源から放出された放射線を被検体に照射し、その被検体内における放射線の透過率から体内の形態を撮像する方法である。体内を透過したX線の強度を放射線検出素子で検出することにより、X線源と放射線検出素子との間の線減弱係数が求まる。この線減弱係数を非特許文献1に記載されているフィルタードバックプロジェクション法(Filtered Back Projection Method)等を用いて各ボクセル毎に求め、その値をCT値に変換する。X線CTによく用いられる線源は約80keV前後である。
【0004】
PET検査は、陽電子放出核種(15O,13N,11C,18F等)、及び体内の特定の細胞に集まる性質を有する物質(以下、標識物質という)を含む放射性薬剤(以下、PET用薬剤という)を、被検体に投与し、PET用薬剤がどの部位で多く消費されているかを調べる方法である。PET用薬剤から放出された陽電子が付近の電子と結合して陽電子消滅し、511keVのエネルギーを有した一対のγ線(以下、γ線対という)を放射する。γ線対は、互いに正反対の方向に放射されるので、それらのγ線対を放射線検出器で検出すれば、どの2つの放射線検出器の間で陽電子が放出されたかが分かる。それらの多数のγ線対を検出することによって、PET用薬剤を多く消費する場所がわかる。例えば、標識物質として糖を用いたPET用薬剤を被検体に投与した場合には、糖代謝の激しい癌を発見できる。なお、得られたデータは、前記フィルタードバックプロジェクション等の方法により被検体内の各ボクセルのデータに変換する。
【0005】
SPECT検査は、シングルフォトン放出核種(99Tc、67Ga、201Tl等)を含む放射性薬剤(SPECT用薬剤)を被検体に投与し、その核種から放出されるγ線を放射線検出器で検出する。SPECT検査によく用いられるシングルフォトン放出核種から放出されるγ線のエネルギーは数100keV前後である。SPECTの場合、単一γ線が放出されるため、放射線検出器に入射した角度が得られない。そこで、コリメータを用いて特定の角度から入射するγ線のみを放射線検出器で検出することにより角度情報を得ている。SPECTの場合も、得られたデータはフィルタードバックプロジェクション等の方法により被検体内の各ボクセルのデータに変換する。SPECTに用いられるシングルフォトン放出核種の半減期は、PETに用いられる陽電子放出核種の半減期よりも長く、6時間から3日である。
【0006】
MRIは、元素の磁気モーメントと外部静磁場との共鳴現象により体内の元素分布を調べる検査である。
【0007】
従来は、前記各検査が独立に行われていたが、最近では、例えばX線CT検査とPET検査を同時に行うことが可能な装置が製品化されている。また、X線CT検査とPET検査とを同一の放射線検出器を用いて行い、被検体の形態画像と機能画像との同一断面を同時に撮像する検査装置も検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2003−79614号公報(段落番号[0043]、図1)
【非特許文献1】
アイ・イー・イー・イー トランザクション オン ニュークリア サイエンス(IEEE Transaction on Nuclear Science)NS−21巻の228頁〜229頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来、前記したようにX線CT検査及びPET検査等は別々に行われてきたが、最近では、X線CT検査とPET検査とを同時に行う検査装置も徐々に登場している。しかし、この検査装置は、X線CT検査装置とPET検査装置とを単に並列に並べただけの装置構成となっており、各々の検査結果は独立に処理されている。そのため、X線CT検査を実施した後、PET検査時に補正や位置合わせのために被検体の体積情報等を入力する必要がある。
【0010】
そこで、特許文献1に記載された放射線検査装置のように、被検体の形態画像と機能画像との同一断面を同時に撮像する検査装置も検討されているが、同時撮像時における処理手順の簡略化又は補正処理の高度化を実現することが難しく、実用化されていないのが実状である。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑み、複数モダリティ(例えばX線CT検査とPET検査)の同時撮像における手続きの簡素化及び補正処理の高度化を実現できるようにした断層像作成装置及び放射線検査装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
X線CT検査又はMRI検査と核医学検査(PET検査、SPECT検査)を同時に行った場合、X線CT又はMRIの検査結果から被検体の体積情報を得ることができる。一方、核医学検査では病巣の有無などの診断が可能であるが、体積の情報を得ることができない。本発明は、その点に着目し、X線CT又はMRIの検査で得られた体積情報を核医学検査のデータ処理に利用することで手続きの簡素化や高速化を図る。つまり、同一の被検体の情報を取り扱う1つ装置であるため、X線CT又はMRIの検査情報と核医学検査の検査情報との位置関係が既知であるから、X線CT検査又はMRI検査における体積情報を核医学検査の結果に付加することは容易である。そのため、核医学検査の検査結果を生体の体積情報が必要な診断領域の決定又は画像再構成領域の決定に利用することで、オペレータの負担軽減と、画像再構成の高速化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る放射線検査装置を図1ないし図3を参照して説明する。ここで、本実施の形態に用いる放射線検査装置は、後記のように、X線CT検査(X線源から放射されて被検体35内を透過したX線を放射線検出器で検出する行為)及びPET検査(PET用の放射性薬剤に起因して被検体35内から放射されるγ線を放射線検出器で検出する行為)の両方を実施できるものである。
【0014】
図1は本実施の形態に用いる放射線検査装置を示す縦断面図であり、図2は、本実施の形態に用いる放射線検査装置を示す横断面図である。図1に示すように、放射線検査装置は、撮像装置1、被検体保持装置14、信号処理手段37、断層像作成装置38及び表示装置29を備えている。被検体保持装置14は、検査室の床に固定された支持部材15と、支持部材15の上部に設けられたベッド16とを有し、ベッド16は、支持部材15に対してベッド16の長手方向に移動可能となっている。信号処理手段37は、信号弁別装置19及び同時計数装置26を有する。断層像作成装置38は、コンピュータ27(例えば、ワークステーション)及び記憶装置28を有する。
【0015】
撮像装置1は、ベッド16の長手方向に対して直交する方向に設置されており、放射線検出器環状体3、X線源移動装置7、駆動制御装置17、X線源制御装置18及びケーシング36を有し、これら放射線検出器環状体3、X線源移動装置7、駆動制御装置17及びX線源制御装置18はケーシング36に設置される。
【0016】
放射線検出器環状体3は、環状保持部5と、環状保持部5の内周側に周方向と軸方向とに沿って環状に設置された多数の放射線検出器4(合計約10000個)とによって構成される。放射線検出器環状体3の放射線検出器4の内周側は、ベッド16が挿入される観測領域である孔部30となっている。
【0017】
放射線検出器4は、半導体放射線検出器であり、その検出部である5mm立方体の半導体素子部をカドミウムテルル(CdTe)で構成している。この半導体素子部はガリウムヒ素(GaAs)又はカドミウムテルル亜鉛(CZT)で構成してもよい。
【0018】
X線源移動装置7は、X線源駆動装置10と、X線源駆動装置10からベッド16に向けて径方向内側に延びた径方向アーム8と、径方向アーム8の先端から孔部30内へと軸方向に延びた軸方向可動アーム11と、軸方向可動アーム11の先端に設けられたX線源9とを有している。ケーシング36の端面には環状の凹溝からなるガイドレール12が形成され、このガイドレール12にはX線源駆動装置10が嵌合して取り付けられている。
【0019】
X線源駆動装置10は、図示していないが、第1モータと、第1モータの回転軸に連結される動力伝達機構と、ガイドレール12に設けられたラックと噛合って前記動力伝達機構から回転力を受けるピニオンとを有している。このため、X線源駆動装置10は、第1モータを駆動すると、ピニオンがガイドレール12のピニオンと噛み合いながら回転し、ガイドレール12に沿って周方向に移動する。軸方向可動アーム11は、X線源駆動装置10に設置された第2モータ(図示せず)の作動により軸方向に伸縮する。
【0020】
X線源9は、図示していないが、公知のX線管を有する。このX線管は、陽極、陰極、陰極の電流源、及び陽極と陰極との間に電圧を印加する電圧源を外筒内に備える。陰極はタングステン製のフィラメントである。電流源から陰極に電流を流すことによって陰極から電子が放出される。この電子は、電圧源から陰極と陽極との間に印加される電圧(140kV)によって加速され、ターゲットである陽極(W,Mo等)に衝突し、このときに140keV以下のX線が発生してX線源9から放出される。
【0021】
各放射線検出器4は、それぞれ配線23によって対応する信号弁別装置19に接続される。信号弁別装置19は個々の放射線検出器4毎に1個ずつ設けられる。
信号弁別装置19の詳細な構成を図3に示す。信号弁別装置19は、切替スイッチ31、波形整形装置20、γ線弁別装置21及びX線強度を求める信号処理装置22を備える。切替装置である切替スイッチ31は、可動端子32及び固定端子33,34を有する。波形整形装置20は固定端子33及びγ線弁別装置21に接続される。信号処理装置22は固定端子34に接続される。電源25のプラス端子は抵抗24を介して配線23に接続され、マイナス端子は放射線検出器4に接続される。
【0022】
γ線弁別装置21は図1に示す同時計数装置26を介してコンピュータ27に接続される。同時計数装置26は1個であり、全てのγ線弁別装置21に接続される。各信号処理装置22はコンピュータ27に接続される。記憶装置28及び表示装置29はコンピュータ27に接続される。
【0023】
信号弁別装置19は、信号処理装置22を含むX線検出信号処理装置と、波形整形装置20及びγ線弁別装置21を有するγ線検出信号処理装置とを備える。撮像装置1による検査を具体的に説明する前に、放射線検出の原理について、まず説明する。本実施の形態は、発明者らによる以下の検討を適用することによってなされた。
【0024】
X線CT像(X線CT検査によって得られたX線の検出信号に基づいて作成された、生体である被検体35に対する内臓及び骨の画像を含む断層像であり、生体構造的画像である)のデータは、X線源9から放射されたX線を特定の方向に所定時間の間、被検体35に照射し、体内を透過したX線を放射線検出器4により検出する作業(スキャン)を繰り返し、複数の放射線検出器4で検出されたX線の強度に基づいて作成される。
【0025】
ここで、精度のよいX線CT像のデータを得るためには、X線CT検査において、X線を検出している放射線検出器4に、PET用薬剤に起因して被検体35の内部から放出されるγ線が入射しないことが望ましい。このためには、「1つの放射線検出器4においては、γ線の入射率に対応して被検体35へのX線の照射時間を短くすればγ線の影響は無視可能である」との発明者らの新しい知見に基づいて、被検体35へのX線の照射時間Tの短縮を図った。
【0026】
このX線の照射時間Tを決めるために、まず、1つの放射線検出器4へのγ線の入射率を考える。PET検査において被検体35に投与するPET用薬剤に基づいた体内の放射能をN(Bq)、発生するγ線の体内通過率をA、1つの放射線検出器の立体角から求めた入射率をB、検出素子の感度をCとすると、1つの放射線検出器で検出するγ線の率α(個/sec)は後記の(式1)で与えられる。(式1)において係数の「2」は、1個の陽電子消滅の際に一対(2個)のγ線が放出されることを意味している。照射時間T内に1つの放射線検出器4でγ線が検出される確率Wは後記の(式2)で与えられる。(式2)のWの値を小さくするように照射時間Tを決めることによって、X線CT検査時に、1つの放射線検出器4に入射されるγ線の影響は無視できる程度になる。
【0027】
【数1】
【数2】
【0028】
X線の照射時間Tの一例を以下に述べる。(式1)及び(式2)に基づいて具体的なX線の照射時間Tを求めた。PET検査において被検体35に投与する放射性薬剤に起因する体内での放射線の強度は、最大で370MBq程度であり(N=370MBq)、γ線の体内通過率Aは被検体35の体を半径15cmの水と仮定すれば0.6程度(A=0.6)である。例えば一辺5mmの放射線検出器を半径50cmでリング状に配置する場合を考えると、1つの放射線検出器4の立体角から求めた入射率Bは8×10−6(B=8×10−6)である。また、放射線検出器4の検出感度Cは半導体放射線検出器を使用した場合、最大で0.6程度(C=0.6)である。
【0029】
これらの値から1つの放射線検出器4のγ線の検出率αは(式1)により2000(個/sec)程度である。X線の照射時間Tを例えば1.5μsecとすれば、1つの放射線検出器4がX線検出中にγ線を検出する確率Wは、(式2)により0.003となり、このγ線はほとんど無視できる。体内投与放射能を370MBq以下とした場合、X線の照射時間を1.5μsec以下にすれば、W<0.003つまりγ線の検出確率は0.3%未満となり無視できる。なお、γ線の検出確率が無視できない場合は、1個の放射線検出器4あたりの平均γ線入射数を引くことで同時撮像することも可能である。
【0030】
前記原理を適用した撮像装置1によるX線CT検査及びPET検査について具体的に説明する。まず、PET用薬剤が、体内投与放射能が例えば370MBqとなるように、被検体35に投与される。PET用薬剤は、検査目的(癌の場所を把握、又は心臓の動脈流の検査等)に応じて選択される。PET用薬剤を投与して所定時間経過後に、被検体35をベッド16上に寝かせて孔部30内に挿入する。
【0031】
X線源制御装置18はX線源9から放出されるX線の放出時間を制御する。即ち、X線源制御装置18は、X線CT検査中において、X線発生信号を出力してX線源9におけるX線管の陽極(又は陰極)と電源との間に設けられた開閉器(以下、X線源開閉器という、図示せず)を閉じ、第1設定時間T1が経過した時にX線停止信号を出力してX線源開閉器を開き、次に、第2設定時間T2が経過した時にX線源開閉器を閉じる、という制御を繰り返す。陽極と陰極との間には、第1設定時間T1の間では電圧が印加され、第2設定時間T2の間では電圧が印加されない。この制御によって、X線管からX線がパルス状に放出される。第1設定時間T1、つまりX線の放射時間は、放射線検出器4で検出されるγ線の検出確率を無視できるように例えば1μsecに設定される。第2設定時間T2は、X線源9が1つの放射線検出器4と、この放射線検出器4に周方向で隣接する他の放射線検出器4との間を移動する時間であり、ガイドレール12の周方向におけるX線源9の移動速度で定まる。第1設定時間T1及び第2設定時間T2はX線源制御装置18に記憶されている。
【0032】
駆動制御装置17は、X線CT検査を開始するとき、駆動開始信号を出力して、X線源駆動装置10の第1モータに接続された、電源とつながる開閉器(以下、第1モータ開閉器という)を閉じる。電流の供給により第1モータが回転し、その回転力が動力伝達機構を介してピニオンに伝えられ、ピニオンが回転する。ピニオンの回転によって、X線源移動装置7がガイドレール12に沿って被検体35の周囲を一定の設定速度で移動する。X線CT検査の終了時には、駆動制御装置17は駆動停止信号を出力して第1モータ開閉器を開く。これによって、X線源移動装置9の移動が停止される。
【0033】
本実施の形態では、周方向に環状に配置された全ての放射線検出器4は、その周方向に移動せず、かつ孔部30の軸方向にも移動しない。移動しないX線源制御装置18及び駆動制御装置17から、移動するX線源移動装置7への制御信号の伝送は、X線源移動装置7の移動に支障にならない公知の技術を適用する。
【0034】
X線CT検査を開始する際に駆動制御装置17から出力された駆動開始信号はX線源制御装置18に入力される。X線源制御装置18は、駆動開始信号の入力に基づいてX線発生信号を出力する。その後、X線停止信号及びX線発生信号を繰り返して出力する。X線停止信号及びX線発生信号の繰返しの出力によって、X線源9は、第1設定時間T1(1μsec)の間にX線を放出し、第2設定時間T2の間にX線の放出を停止する。このX線の放出及び停止がX線源9の周方向への移動期間中に繰り返されることになる。X線源9から放出されたX線は、ファンビーム状に、孔部30内の被検体35に対して照射される。X線源9の周方向の移動によって、ベッド16上の被検体35は、その周囲からX線が照射される。
【0035】
このX線は、被検体35を透過した後、孔部30の軸心を基点にX線源9から180度反対方向の位置にある放射線検出器4を中心に周方向に位置する複数個の放射線検出器4によって検出される。これらの放射線検出器4は、X線の検出信号(以下、X線検出信号という)を出力する。このX線検出信号は、該当する配線23を通じて対応する信号弁別装置19に入力される。前記X線を検出した各放射線検出器4は、便宜的に第1の放射線検出器4と称する。
【0036】
孔部30内の被検体35からは、PET用薬剤に起因した511keVのγ線が放出されている。第1の放射線検出器4以外の放射線検出器4は、被検体35から放出されたγ線を検出し、このγ線の検出信号(以下、γ線検出信号という)を出力する。このγ線検出信号は、該当する配線23を通じて対応するそれぞれの信号弁別装置19に入力される。γ線を検出している放射線検出器4を、便宜的に第2の放射線検出器4と称する。
【0037】
信号弁別装置19内で、第2の放射線検出器4から出力されたγ線検出信号はγ線弁別装置21に伝えられ、第1の放射線検出器4から出力されたX線検出信号は信号処理装置22に伝えられる。これらの各検出信号の伝送は、信号弁別装置19の切替スイッチ31の切替操作によって行われる。切替スイッチ31の可動端子32を固定端子33又は固定端子34に接続する切替操作は、駆動制御装置17から出力される切替制御信号に基づいて行われる。駆動制御装置17は、前記のようにX線源駆動装置10の移動動作を制御するが、同時に第1の放射線検出器4を選択し、この第1の放射線検出器4に接続される信号弁別装置19における切替スイッチ31の可動端子32を固定端子34に接続する。
【0038】
第1の放射線検出器4の選択について説明する。X線源駆動装置10内の第1モータにはエンコーダ(図示せず)が連結される。駆動制御装置17は、エンコーダの検出信号を入力して周方向におけるX線源9の位置を求め、このX線源9の位置と180°反対側に位置する放射線検出器4を、記憶している各放射線検出器4の位置のデータを用いて選択する。X線源9から放射されるX線はガイドレール12の周方向に対してある一定の幅を有しているため、被検体35内を透過したX線を検出する放射線検出器4は、選択された放射線検出器4以外にも周方向に複数個存在することになる。駆動制御装置17はその複数個の放射線検出器4も選択する。これらの放射線検出器4が第1の放射線検出器4である。周方向におけるX線源9の移動に伴って、第1の放射線検出器4も違ってくる。X線源9の周方向への移動に伴って、第1の放射線検出器4も擬似的に周方向に移動しているように見える。
【0039】
つまり、駆動制御装置17が、X線源9の周方向への移動に伴って別の放射線検出器4を選択したときには、この別の放射線検出器4が新たな第1の放射線検出器4となり、この放射線検出器4に接続された可動端子32が固定端子34に接続される。X線源9の周方向への移動に伴って第1の放射線検出器4でなくなった放射線検出器4(つまり、第2の放射線検出器4)に接続された可動端子32は駆動制御装置17によって固定端子33に接続される。
【0040】
第1の放射線検出器4は、切替スイッチ31によって信号処理装置22に接続された放射線検出器4であるとも言える。また、第2の放射線検出器4は、切替スイッチ31によってγ線弁別装置21に接続された放射線検出器4であるとも言える。環状保持部5に設置された個々の放射線検出器4は、X線源9の位置との関係で、あるときは第1の放射線検出器4となり、別のあるときには第2の放射線検出器4となる。このため、1つの放射線検出器4は、時間的にずれて別々ではあるがX線検出信号及びγ線検出信号の両方を出力する。なお、全ての放射線検出器4が、両方の信号を出力する必要はない。例えば、X線CT像は被検体35の1スライスのみ必要で、PET像は全身像が必要な場合がある。このように、X線CT検査領域とPET検査領域が同じである放射線検査装置を用いても、必要とする検査領域がそれぞれ異なる場合がある。つまり、両方の検査領域が同じである場合もあれば、一方の検査領域が他方の検査領域に含まれる場合もあり、また、各検査領域がそれぞれ一部分で重なっている場合もある。
【0041】
第1の放射線検出器4は、第1設定時間T1である1μsecの間にX線源9から照射されて被検体35を透過したX線を検出する。1μsecの間に第1の放射線検出器4が被検体35から放出されるγ線を検出する確率は、前記のように無視できるほど小さい。PET用薬剤に起因して被検体35内で発生した多数のγ線は、特定の方向に放出されるのではなく、あらゆる方向に放出される。これらのγ線は、前記のように、対となってほぼ正反対の方向(180°±0.6°)に放出され、放射線検出器環状体3のいずれかの第2の放射線検出器4によって検出される。
【0042】
放射線検出器4から出力されたX線検出信号及びγ線検出信号が信号弁別装置19に入力されたときの信号処理について説明する。第1の放射線検出器4から出力されたX線検出信号は、前記のように切替スイッチ31の切替動作によって信号処理装置22に入力される。信号処理装置22は、入力されたX線検出信号に基づいてX線検出信号の強度を求め、その強度情報を出力する。
【0043】
第2の放射線検出器4から出力されたγ線検出信号は、切替スイッチ31の切替動作によって波形整形装置20に入力される。波形整形装置20に入力されるγ線検出信号は、図4に示すように、最初に急激に立下り、その後、指数関数的に0に近づくような波形になっている。波形整形装置20の出力信号が入力されるγ線弁別装置21は、図4に示すような波形のγ線検出信号を処理できない。このため、波形整形装置20は、図4に示す波形のγ線検出信号を、例えば図5に示すような時間的なガウス分布の波形を有するγ線検出信号に変換して出力する。
【0044】
PET用薬剤から放出された陽電子が陽電子消滅により体内で生成するγ線のエネルギーは前記のように511keVである。しかし、放射線検出器4を構成する半導体素子部内でγ線のエネルギーの全てが電荷に変わるとは限らない。一方、体内で散乱した低エネルギーγ線に伴うノイズを除去するため、511keVに近い信号だけをデータとする必要がある。
【0045】
このため、γ線弁別装置21は、例えばエネルギーが511keVよりも低い450keVをエネルギー設定値として、このエネルギー設定値以上のエネルギーを有する撮像信号(γ線検出信号)が入力されたときに、所定のエネルギーを有するパルス信号を発生させる。
【0046】
前記のように、γ線弁別装置21において特定のエネルギーを有するγ線検出信号を処理するためには、所定のエネルギー範囲のγ線検出信号を通過させるフィルタをγ線弁別装置21の内部又は前段に設けるとよい。γ線弁別装置21は前記フィルターを通過したγ線検出信号に対してパルス信号を発生する。
【0047】
同時計数装置26は、各信号弁別装置19のγ線弁別装置21からのパルス信号がそれぞれ入力され、これらのパルス信号を用いてγ線対毎に同時計数を行い、γ線検出信号に対する計数値を求める。さらに、同時計数装置26は、γ線対に対する一対のパルス信号によりそのγ線対を検出した2つの検出点(孔部30の軸心を中心にしてほぼ180°(厳密には180°±0.6°)方向が異なっている一対の放射線検出器4の位置)をγ線検出の位置情報としてデータ化する。
【0048】
断層像作成装置38における断層像作成処理について具体的に説明する。なお、放射線検出器4から出力されたX線検出信号のデータをX線CTデータと称し、そのX線CTデータに基づいて作成された、被検体35に対する断層像を、X線CT像と称する。このX線CT像は被検体35における内臓及び骨の画像を含む断層像であり、被検体35の体内の密度情報をもつ画像である。これに対して、放射線検出器4から出力されたγ線検出信号のデータをPETデータと称し、そのPETデータに基づいて作成された、被検体35に対する断層像を、PET像と称する。PET像は、放射性薬剤が集まった被検体35内の領域(例えば、患部)を含む断層像であり、生体機能的画像、つまり被検体35の機能情報をもつ画像である。
【0049】
コンピュータ27は、図6に示すS1〜S7の処理手順に基づいて断層像再構成処理を実行する。
【0050】
まず、S1において、同時計数装置26によって計数されたγ線検出信号の計数値、同時計数装置26から出力された検出点の位置情報、及び、信号処理装置22から出力されたX線検出信号の強度を入力して記憶装置28に記憶する。
【0051】
次に、S2において、記憶装置28に記憶されているX線検出信号の強度を用いて、被検体35に対する断層像であるX線CT像を再構成する。その再構成されたX線CT像は記憶装置28に記憶される。X線CT像の再構成は、前記フィルタードバックプロジェクション法により行われる。
【0052】
次に、S3において、S2で得られたX線CT像(再構成像)から被検体35内の関心領域を抽出する。この関心領域の抽出方法は、例えば閾値法を用いる。体内はほとんど水に近い密度のものや骨で構成されているが、体外は一般的には空気である。そこで、例えば空気と水の中間のCT値を閾値とすれば、被検体35の体内のみを抽出でき、被検体35の関心領域が分かる。
【0053】
S4において、S3で抽出した関心領域のサイズである体積、断面積又は長さと、関心領域の位置とをそれぞれ計測する。計測するパラメータは必要に応じて異なるが、例えば断面積を求める場合は抽出された領域のボクセル数を数えればよい。本実施の形態のように関心領域のサイズを決定する場合には、各スライスにおいて最も長い部分を計測すればよい。関心領域のサイズをその長さに合わせると端が切れたようになり見づらくなる場合があるため、それよりも少し大きな領域を設定することが望ましい。
【0054】
次に、S5において、S4で求めた関心領域のPET像におけるサイズ及び位置を計算する。通常、X線CT検査の方がPET検査よりも高分解能であり、その撮像領域、ボクセルサイズが異なる。そのため、S3で求めたX線CT像における被検体35の関心領域が、PET像のどの部分にあたるかを計算する必要がある。以下、その計算方法の一例を示す。
【0055】
まず、X線CT像の1ボクセルあたりの大きさを読み込む。この大きさは、S2における画像再構成時にパラメータとして与えられるか、もしくは装置固有の値があるので、その値を読み出す。次に、その読み出したボクセルの値を用いてS3で求めた被検体35の関心領域のデータを実測値に変換する。最後に、実測値をを用いてPET像の1ボクセルあたりの大きさからPET像における被検体35の体内領域を求める。なお、X線CT像とPET像との位置合わせは、同一装置で撮像しているため位置関係が既知であり、機械的に位置合わせが実行される。なお、実測値が不要な場合は、X線CT像の1ボクセルあたりの大きさとPET像の1ボクセルあたりの大きさとを用いて、X線CT像の関心領域から直接PET像における体内領域を求めてもよい。また、X線CT検査とPET検査の画像が同一領域になり、かつボクセルサイズも同一になる場合はS5は省略してよい。
【0056】
次に、S6において、S1で記憶装置28に記憶したγ線検出信号の計数値及び検出点の位置情報を用いて、被検体35に対する断層像であるPET像を再構成する。再構成されたPET像のデータは記憶装置28に記憶される。PET検査において2次元撮像を行った場合におけるPET像の再構成は、前記したフィルタードバックプロジェクション法を用いればよい。PET検査において3次元撮像を行った場合におけるPET像の再構成は、例えば1997年のアイ・イー・イー・イー トランザクションズ オン メディカル イメージング第16巻,145頁(IEEE Transactions on Medical Imaging)に記載されているフーリエリビニング法を用いればよい。
【0057】
そして、最後に、S7において、PET像のS5で求めた部分を抽出して表示する。表示の方法としては、X線CT像とPET像とを重ね合わせて表示してもよいし、それぞれの像を個々に表示してもよい。
【0058】
なお、S3において、関心領域を抽出してその部分がPET像のどこにあたるかを計算することでPET像における関心領域のみの抽出表示も可能である。また、S6は、S5とS7との間で実行する場合を例に挙げて説明したが、S1とS2との間、S2とS3との間、S3とS4との間、S4とS5との間のいずれかで実行してもよい。
【0059】
本実施の形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)被検体35の検査領域の選択を不要にできる。つまり、従来、被検体35のうちγ線が直接入射しない領域のデータを用いてPET検査の散乱データ補正を行っている。この場合、被検体35の領域情報を入力する操作が必要になる。しかし、本実施の形態では、被検体35の領域情報を入力する操作が自動化され、オペレータの負担を軽減することができる。
【0060】
(2)本実施の形態に用いる放射線検査装置は、様々な体型の被検体35に適用可能である。X線CT検査のデータを用いるため、放射線検査装置内に入る全ての被検体35に対応可能である。
【0061】
(3)X線CT像から被検体35内の関心領域のみを抽出する構成としたので、データ量の低減と診断の高速化とを図ることが可能となる。
【0062】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態である断層像作成方法を、図7を用いて説明する。本実施の形態の断層像作成方法には、第1の実施の形態と同様の撮像装置が用いられる。第1の実施の形態との違いは、断層像作成装置により後記の反復法を用いて画像再構成を行うことである。反復法とは、例えばメディカルイメージングテクノロジ(Medical Imaging Technology)のVol. 18 No. 1の40頁〜45頁にあるようにOS−EM法、座標降下法等がある。
【0063】
本実施の形態では、断層像作成装置により図7に示す処理を行う。S1からS5及びS7は第1の実施の形態と同一であるが、S6Aが第1の実施の形態のものと異なっている。従って、以下、S6Aについての説明を行う。
【0064】
S6Aでは、反復法による再構成を行う。反復法は、被検体の体内の各部分を微小領域に分けて、その微小領域で発生したγ線が放射線検出器に入射する確率を行列化した密度行列を用いて、放射線検出器で得られたデータを満足するボクセル群の値を、反復計算で求める方法である。この反復法では、計算速度を左右するパラメータがいくつか存在するが、その1つにボクセル数があり、ボクセル数を減らすことで計算回数を減らし高速化できる。つまり、無駄なボクセルを減らすことにより反復法の高速化が可能である。被検体35の体外領域では、γ線は発生しないため、被検体35の体外のボクセルは不要である。このため、体外のボクセルは少ないほうがよい。しかし、体内領域を占める部分が分からなければ、安全のために被検体35の体積よりも多い領域を取らなければならない。そこで、放射線検出器からのX線CTデータを用いて体外領域を確定する。
【0065】
具体的には、以下の手順で行う。まず、S5においてPET像における体内領域が計算されている。この結果を用いて、体内の部分にのみボクセルを割り当て、体外の部分にはボクセルを割り当てない。次に、密度行列を決定する。密度行列とはボクセルiで発生したγ線が放射線検出器jに入射する確率を全てのボクセルと放射線検出器について書き表した行列である。詳しくは、前記したメディカラルイメージングテクノロジ(Medical Imaging Technology)のVol. 18 No. 1の40頁〜45頁に記載されている。この密度行列の要素を割り当てた全てのボクセルについて計算する。得られた密度行列とS1で記憶した同時計数装置から出力された検出点の位置情報を用いて画像再構成を行う。再構成した画像は、第1の実施の形態と同様にX線CTと重ね合わせてもよいし、個々に表示してもよい。
【0066】
本実施の形態は、第1の実施の形態で生じる効果(1)〜(3)を得ることができる。さらに、本実施の形態は、以下の効果も得ることが可能である。
【0067】
(4)再構成時間の短縮を図ることができる。必要なボクセル数で計算を行うことが可能であるため、無駄な計算時間を省くことが可能である。しかも、無駄なボクセルの省略を全てコンピュータが計算して行うため、オペレータの負担を一層軽減できる。
【0068】
(5)画質の向上を図ることができる。被検体の範囲が分かるため,その領域外で発生したγ線及びγ線対データの除去を行うことにより、ノイズを除去できる。
【0069】
(第3の実施の形態)
本実施の形態に係る放射線検査装置を図8及び図9を用いて説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0070】
放射線検査装置は、撮像装置1A、被検体保持装置14、MRI磁場制御装置63、カウンタ64、断層像作成装置38A及び表示装置29を備えている。断層像作成装置38Aは、コンピュータ27A(例えば、ワークステーション)及び記憶装置28によって構成される。
【0071】
撮像装置1Aは、ベッド16の長手方向に対して直角の方向に設置されており、MRI検査で用いる磁石60、傾斜磁場コイル61、RFコイル62、信号計測コイル67、平面放射線検出器70及びケーシング36Aを備える。磁石60、傾斜磁場コイル61及びRFコイル62はケーシング36Aに設置される。
【0072】
平面放射線検出器70は、検出器保持部69と、検出器保持部69に設置された多数の放射線検出器4Aとを有し、放射線検出器4AはSPECT検査に用いられ、被検体35内から放射されるγ線を検出するものである。ケーシング36Aの内周側は、ベッド16が挿入される観測領域である貫通した孔部30Aとなっている。多数の放射線検出器4A(合計約1000個)は、検出器保持部69に対して孔部30Aの軸方向及び周方向で複数列設置されている。
【0073】
放射線検出器4Aは、第1の実施の形態で述べた半導体放射線検出器を使用する。また、高磁場中では光電子増倍管が使用できないため、シンチレータの発光を光ファイバで高磁場領域外部に誘導した後、光電子増倍管を用いて信号を増倍するシンチレータを用いて測定することも可能となる。駆動制御装置17A及び検出器位置制御装置66はケーシング36A内に設置される。
【0074】
検出器移動装置78は、検出器駆動装置71、径方向アーム72、軸方向可動アーム73及び平面放射線検出器70を有し、検出器駆動装置71が環状のガイドレール74に嵌合して取り付けられている。また、検出器駆動装置71は、図示されていないが、第1モータ及び第1モータの回転軸に連結される動力伝達機構を備える。また、検出器駆動装置71は、図示していないが、ガイドレール74に設けられたラックと噛合って、前記動力伝達機構から回転力を受けるピニオンを有する。軸方向可動アーム73は、検出器駆動装置71に設置された第2モータ(図示せず)の作動により伸縮される。
【0075】
各放射線検出器4Aの構造を図10に示す。第1の実施の形態のようにX線CTとの同時撮像は行わないため切替スイッチ31、及び信号処理装置22は存在しない。また、波形整形装置20とγ線弁別装置21の動作は第1の実施の形態と同じである。γ線弁別装置21に入力された信号が、ある波高値以上の場合はカウンタ64にパルス信号を送る(図8参照)。カウンタ64では、各放射線検出器4A毎にパルスが入力された数をカウントする。そして、測定終了後、カウンタ64で計測したカウント数を、コンピュータ27Aを介して記憶装置28に書き込む。
【0076】
次に、MRI撮像の方法を示す。MRIの撮像方式は複数存在するが、本実施の形態では、フーリエ変換イメージング法に基づいた計測法を示す。フーリエ変換イメージング法の原理は、例えば医歯薬出版株式会社の放射線診断機器工学P.275−277にある。
【0077】
フーリエ変換イメージング法に基づいた撮像シーケンスは以下のとおりである。まず、磁石60により静磁場のみが存在している。そこへ、MRI磁場制御装置63から傾斜磁場コイル61に信号を発してz方向に傾斜磁場をかける。さらに、MRI磁場制御装置63からRFコイル62に信号を発し、90度パルスを発生させる。
【0078】
次に、MRI磁場制御装置63から傾斜磁場コイル61に信号を発してz方向の傾斜磁場を消して、x方向の傾斜磁場とy方向の傾斜磁場を発生させる。次に、MRI磁場制御装置63から信号を発して傾斜磁場コイル61を用いることにより、再びz方向のみに傾斜磁場をかけ、RFコイル62で180度パルスを発生させてスピンの回転方向を逆転させる。
【0079】
その後、MRI磁場制御装置63から傾斜磁場コイル61に信号を発してx方向にのみ傾斜磁場をかけて信号計測コイル67で信号を計測する。このようにして得られた計測信号は信号計測コイル67からMRI磁場制御装置63に送られて蓄積される。これをy方向の傾斜磁場の強度を変化させて数回撮像する。蓄積されたデータを2次元逆フーリエ変換してMRI像にした後、MRI磁場制御装置63から記憶装置28に送って保存する。
【0080】
前記原理を適用した放射線検査装置によるMRI検査及びSPECT検査について具体的に説明する。まず、SPECT用薬剤が、体内投与放射能が370MBqになるように、被検体35に投与される。SPECT用薬剤は、検査目的(骨シンチ、又は心筋解析検査等)に応じて選ばれる。SPECT用薬剤を投与して所定時間経過した後に、被検体35をベッド16上に寝かせて孔部30A内に挿入する。放射線検査装置によるMRI検査及びSPECT検査は,この状態で、撮像装置1Aを用いて行われる。
【0081】
検出器駆動装置65は、SPECT検査を開始するとき、駆動開始信号を出力して、検出器駆動装置70の第1モータに接続された、電源とつながる開閉器(以下、第1モータ開閉器という)を閉じる。電流の供給により第1モータが回転し、その回転力が動力伝達機構を介してピニオンに伝えられ、ピニオンが回転する。ピニオンの回転によって、検出器移動装置78がガイドレール74に沿って被検体35の周囲を設定速度で移動する。SPECT検査終了時には、検出器駆動装置65は駆動停止信号を出力して第1モータ開閉器を開く。これによって、検出器移動装置78の周方向への移動が停止される。
【0082】
前記のSPECT検査中に、フーリエ変換イメージング法に基づいた撮像シーケンスも行い、MRI像も同時に得る。
【0083】
断層像作成装置38Aによる断層像作成処理について説明する。なお、放射線検出器4Aから出力されたγ線検出信号のデータをSPECTデータと称し、そのSPECTデータに基づいて作成された、被検体35に対する断層像を、SPECT像と称する。SPECT像は、放射性薬剤が集まった被検体35内の領域(例えば、脳機能や患部)を含む断層像であり、生体機能的画像である。断層像作成装置38Aは、放射線検出器4Aから出力されたSPECTデータに基づいてSPECT像を再構成する。
【0084】
コンピュータ27Aは、図11に示すS11からS16の処理手順に基づいて断層像作成処理を実行する。
【0085】
まず、S11において、カウンタ64によって計数されたγ線検出信号の計数値及びカウンタ64から出力された検出点の位置情報からなるSPECTデータと、各コイル61,62,67から出力されたMRIの信号強度に基づいて作成されたMRI像とを記憶装置28に記憶する。このMRI像は、被検体35の密度情報に変換可能な情報である。
【0086】
次に、S12において、S11で記憶したMRI像から被検体35の関心領域を抽出する。関心領域の抽出方法は、例えば第1の実施の形態で述べた閾値法を用いる。
【0087】
次に、S13において、S12で抽出した関心領域のサイズである断面積又は体積と、関心領域の位置とを計測する。計測するパラメータは必要に応じて異なるが、例えば断面積を求める場合は抽出された領域のボクセル数を数えればよい。
【0088】
次に、S14において、S13で求めた被検体35の関心領域の、SPECT像におけるサイズ及び位置を計算する。通常、MRI検査の方がSPECT検査よりも高分解能であり、その撮像領域、ボクセルサイズが異なるので、MRI像における被検体35の体内領域が、SPECT像のどの部分にあたるかを計算する。
【0089】
次に、S15において、γ線検出信号の計数値及び検出点の位置情報を用いて、被検体35に対する断層像であるSPECT像を再構成する。作成されたSPECT像のデータは記憶装置28に記憶される。SPECT検査の再構成は、前記フィルタードバックプロジェクション法を用いればよい。
【0090】
そして、最後に、S16において、SPECT像のS14で求めた部分を抽出して表示する。その表示の方法としては、MRI像とSPECT像を重ね合わせて表示してもよいし、それぞれ一方の像を個々に表示してもよい。
【0091】
本実施例によれば、第1の実施の形態に示す(1)、(2)の効果を得ることができるほか、さらに次の効果を得ることができる。
【0092】
(7)X線CT検査に替えてMRI検査を行う構成としたので、被検体35に対する被曝量を減少させることができる。
【0093】
なお、第1の実施の形態では、X線CTとPET、第3の実施の形態では、MRIとSPECTを組み合わせた検査の例を示したが、その他の組み合わせ、例えばX線CTとSPECTの組み合わせ、又は、MRIとPETの組み合わせでもよい。
【0094】
(第4の実施の形態)
本実施の形態に係る放射線検査装置を図12を用いて説明する。ところで、放射線検査装置を用いて他の検査装置で得られた検査を再検査する際に、機能診断像では関心領域を特定することが難しい場合がある。そこで、本実施の形態では、検出点の位置情報を用いた検査により関心領域を特定し、検査を行う。
【0095】
放射線検査装置80は第1の実施の形態と同様の構成であるが、この放射線検査装置80は、図12に示すように院内ネットワーク(もしくはRIS:放射線科情報システムのような各科のシステム)に接続されており、サーバ100を用いて予約などの一元管理が行われている。また、放射線検査装置80及び他の検査装置である機能診断装置101で得られた診断像はサーバ100(例えばDICOMサーバ、DICOMとは「医用画像と通信」の意で医用画像のデジタル通信に関する標準規格)に保存されており、例えば読影端末102で画像を呼び出して読影する場合はサーバ100から診断像を通信で入手して表示する。また、予約に関してもサーバ100が一元管理している。今回は説明のために必要最低限の端末、および装置のみの構成となっているが、実際には図示しないが管理用端末、会計端末、バックアップ装置などさらに多くの装置が存在し、また、放射線検査装置80及び機能診断装置101を含めた検査装置や端末は複数存在する構成となっている。
【0096】
放射線検査装置80及び機能診断装置101による診断方法の具体的な手順を以下に示す。まず、機能診断装置101で得られた診断像は、サーバ100に蓄えられる。医師は読影端末102を用いて機能診断装置101の診断像をサーバ100から呼び出し診断する。その結果、異常(陽性又は擬陽性)が見つかった場合は、その異常個所を読影端末102から前記診断像にマーキングし、さらに再検査を放射線検査装置1で行うことを命令する。それらのデータはサーバ100に蓄えられ、サーバ100内の予約システムにおいて空き時間を検索し、再検査の予約を入れる。
【0097】
再検査当日において、機能診断装置101で得られた診断像と医師のマーキングを用いて放射線検査装置80における関心領域を抽出する。そして、この関心領域を放射線検査装置80の撮像コンソール103に表示してオペレータに示す。オペレータは撮像コンソール103に表示された画像を用いて放射線検査装置80の被検体の密度情報を撮像しながら関心領域が装置の撮像範囲内に入るように被検体を移動させる。その後、第1の実施の形態で示した撮像方法により機能画像を撮像する。
【0098】
なお、画像処理により抽出が可能な臓器を用いて位置合わせを行う場合、オペレータの行う位置合わせを機械により自動で行うことも可能である。
【0099】
本実施の形態は、第1の実施の形態で生じる効果(1)〜(3)を得ることができる。さらに、本実施の形態は、以下の効果も得ることが可能である。
【0100】
(7)被検体の関心領域を確実に撮像できる。関心領域が移らなければ再度検査を行う必要があり、放射線被曝量が増大し、時間やコストがかかる。本実施の形態によりそのようなミスを事前に防ぐことが可能となる。
【0101】
なお、第4の実施の形態では、放射線検査装置80で再検査を行う例を示したが、逆に放射線検査装置80の機能画像において発見された異常を他のモダリティに送るときに密度情報を送って再検査領域を確定させること、さらに一般的にはある検査装置から他の検査装置へ再検査を依頼する際への拡張も容易に可能である。
【0102】
【発明の効果】
本発明により、複数モダリティの同時撮像における手続きの簡素化及び診断の高度化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検査装置を示す縦断面図である。
【図2】図1中の放射線検査装置を示す横断面図である。
【図3】図1中の信号弁別装置を示す構成図である。
【図4】図3中の波形成形装置に入力されるγ線検出信号を示す特性線図である。
【図5】図3中の波形成形装置から出力されるγ線検出信号を示す特性線図である。
【図6】図1中のコンピュータで実行される断層像作成処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る放射線検査装置のコンピュータで実行される断層像作成処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る放射線検査装置を示す縦断面図である。
【図9】図8中の放射線検査装置を示す横断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に用いる放射線検出器、波形整形装置及びγ線弁別装置を示す回路構成図である。
【図11】図8中のコンピュータで実行される断層像作成処理のフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る放射線検査装置及び機能診断装置を含めた院内ネットワークの一例である。
【符号の説明】
1,1A 撮像装置
4,4A 放射線検出器
7 X線源移動装置
21 γ線弁別装置
22 信号処理装置
27,27A コンピュータ
35 被検体(生体)
37 信号処理手段
38,38A 断層像作成装置
80 放射線検査装置
101 機能診断装置(他の検査装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、断層像作成装置及び放射線検査装置に係り、特に、X線CT(X−ray Computed Tomography)、MRI(magnetic resonance image)、陽電子放出型CT(ポジトロン・エミッション・コンピューテッド・トモグラフィ(Positron Emission Computed Tomography)以下、PETという)及び単光子放出型CT(シングル・フォトン・エミッション・コンピューテッド・トモグラフィ(Single Photon Emission Computed Tomography)以下、SPECTという)等による断層像作成に適用するのに好適な断層像作成装置及び放射線検査装置である。
【0002】
【従来の技術】
生体である被検体内の機能、形態を無侵襲で撮像する技術として、放射線を用いた検査がある。放射線検査装置の代表的なものとして、X線CT、MRI、PET、SPECT等がある。
【0003】
X線CTは、X線源から放出された放射線を被検体に照射し、その被検体内における放射線の透過率から体内の形態を撮像する方法である。体内を透過したX線の強度を放射線検出素子で検出することにより、X線源と放射線検出素子との間の線減弱係数が求まる。この線減弱係数を非特許文献1に記載されているフィルタードバックプロジェクション法(Filtered Back Projection Method)等を用いて各ボクセル毎に求め、その値をCT値に変換する。X線CTによく用いられる線源は約80keV前後である。
【0004】
PET検査は、陽電子放出核種(15O,13N,11C,18F等)、及び体内の特定の細胞に集まる性質を有する物質(以下、標識物質という)を含む放射性薬剤(以下、PET用薬剤という)を、被検体に投与し、PET用薬剤がどの部位で多く消費されているかを調べる方法である。PET用薬剤から放出された陽電子が付近の電子と結合して陽電子消滅し、511keVのエネルギーを有した一対のγ線(以下、γ線対という)を放射する。γ線対は、互いに正反対の方向に放射されるので、それらのγ線対を放射線検出器で検出すれば、どの2つの放射線検出器の間で陽電子が放出されたかが分かる。それらの多数のγ線対を検出することによって、PET用薬剤を多く消費する場所がわかる。例えば、標識物質として糖を用いたPET用薬剤を被検体に投与した場合には、糖代謝の激しい癌を発見できる。なお、得られたデータは、前記フィルタードバックプロジェクション等の方法により被検体内の各ボクセルのデータに変換する。
【0005】
SPECT検査は、シングルフォトン放出核種(99Tc、67Ga、201Tl等)を含む放射性薬剤(SPECT用薬剤)を被検体に投与し、その核種から放出されるγ線を放射線検出器で検出する。SPECT検査によく用いられるシングルフォトン放出核種から放出されるγ線のエネルギーは数100keV前後である。SPECTの場合、単一γ線が放出されるため、放射線検出器に入射した角度が得られない。そこで、コリメータを用いて特定の角度から入射するγ線のみを放射線検出器で検出することにより角度情報を得ている。SPECTの場合も、得られたデータはフィルタードバックプロジェクション等の方法により被検体内の各ボクセルのデータに変換する。SPECTに用いられるシングルフォトン放出核種の半減期は、PETに用いられる陽電子放出核種の半減期よりも長く、6時間から3日である。
【0006】
MRIは、元素の磁気モーメントと外部静磁場との共鳴現象により体内の元素分布を調べる検査である。
【0007】
従来は、前記各検査が独立に行われていたが、最近では、例えばX線CT検査とPET検査を同時に行うことが可能な装置が製品化されている。また、X線CT検査とPET検査とを同一の放射線検出器を用いて行い、被検体の形態画像と機能画像との同一断面を同時に撮像する検査装置も検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2003−79614号公報(段落番号[0043]、図1)
【非特許文献1】
アイ・イー・イー・イー トランザクション オン ニュークリア サイエンス(IEEE Transaction on Nuclear Science)NS−21巻の228頁〜229頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来、前記したようにX線CT検査及びPET検査等は別々に行われてきたが、最近では、X線CT検査とPET検査とを同時に行う検査装置も徐々に登場している。しかし、この検査装置は、X線CT検査装置とPET検査装置とを単に並列に並べただけの装置構成となっており、各々の検査結果は独立に処理されている。そのため、X線CT検査を実施した後、PET検査時に補正や位置合わせのために被検体の体積情報等を入力する必要がある。
【0010】
そこで、特許文献1に記載された放射線検査装置のように、被検体の形態画像と機能画像との同一断面を同時に撮像する検査装置も検討されているが、同時撮像時における処理手順の簡略化又は補正処理の高度化を実現することが難しく、実用化されていないのが実状である。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑み、複数モダリティ(例えばX線CT検査とPET検査)の同時撮像における手続きの簡素化及び補正処理の高度化を実現できるようにした断層像作成装置及び放射線検査装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
X線CT検査又はMRI検査と核医学検査(PET検査、SPECT検査)を同時に行った場合、X線CT又はMRIの検査結果から被検体の体積情報を得ることができる。一方、核医学検査では病巣の有無などの診断が可能であるが、体積の情報を得ることができない。本発明は、その点に着目し、X線CT又はMRIの検査で得られた体積情報を核医学検査のデータ処理に利用することで手続きの簡素化や高速化を図る。つまり、同一の被検体の情報を取り扱う1つ装置であるため、X線CT又はMRIの検査情報と核医学検査の検査情報との位置関係が既知であるから、X線CT検査又はMRI検査における体積情報を核医学検査の結果に付加することは容易である。そのため、核医学検査の検査結果を生体の体積情報が必要な診断領域の決定又は画像再構成領域の決定に利用することで、オペレータの負担軽減と、画像再構成の高速化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る放射線検査装置を図1ないし図3を参照して説明する。ここで、本実施の形態に用いる放射線検査装置は、後記のように、X線CT検査(X線源から放射されて被検体35内を透過したX線を放射線検出器で検出する行為)及びPET検査(PET用の放射性薬剤に起因して被検体35内から放射されるγ線を放射線検出器で検出する行為)の両方を実施できるものである。
【0014】
図1は本実施の形態に用いる放射線検査装置を示す縦断面図であり、図2は、本実施の形態に用いる放射線検査装置を示す横断面図である。図1に示すように、放射線検査装置は、撮像装置1、被検体保持装置14、信号処理手段37、断層像作成装置38及び表示装置29を備えている。被検体保持装置14は、検査室の床に固定された支持部材15と、支持部材15の上部に設けられたベッド16とを有し、ベッド16は、支持部材15に対してベッド16の長手方向に移動可能となっている。信号処理手段37は、信号弁別装置19及び同時計数装置26を有する。断層像作成装置38は、コンピュータ27(例えば、ワークステーション)及び記憶装置28を有する。
【0015】
撮像装置1は、ベッド16の長手方向に対して直交する方向に設置されており、放射線検出器環状体3、X線源移動装置7、駆動制御装置17、X線源制御装置18及びケーシング36を有し、これら放射線検出器環状体3、X線源移動装置7、駆動制御装置17及びX線源制御装置18はケーシング36に設置される。
【0016】
放射線検出器環状体3は、環状保持部5と、環状保持部5の内周側に周方向と軸方向とに沿って環状に設置された多数の放射線検出器4(合計約10000個)とによって構成される。放射線検出器環状体3の放射線検出器4の内周側は、ベッド16が挿入される観測領域である孔部30となっている。
【0017】
放射線検出器4は、半導体放射線検出器であり、その検出部である5mm立方体の半導体素子部をカドミウムテルル(CdTe)で構成している。この半導体素子部はガリウムヒ素(GaAs)又はカドミウムテルル亜鉛(CZT)で構成してもよい。
【0018】
X線源移動装置7は、X線源駆動装置10と、X線源駆動装置10からベッド16に向けて径方向内側に延びた径方向アーム8と、径方向アーム8の先端から孔部30内へと軸方向に延びた軸方向可動アーム11と、軸方向可動アーム11の先端に設けられたX線源9とを有している。ケーシング36の端面には環状の凹溝からなるガイドレール12が形成され、このガイドレール12にはX線源駆動装置10が嵌合して取り付けられている。
【0019】
X線源駆動装置10は、図示していないが、第1モータと、第1モータの回転軸に連結される動力伝達機構と、ガイドレール12に設けられたラックと噛合って前記動力伝達機構から回転力を受けるピニオンとを有している。このため、X線源駆動装置10は、第1モータを駆動すると、ピニオンがガイドレール12のピニオンと噛み合いながら回転し、ガイドレール12に沿って周方向に移動する。軸方向可動アーム11は、X線源駆動装置10に設置された第2モータ(図示せず)の作動により軸方向に伸縮する。
【0020】
X線源9は、図示していないが、公知のX線管を有する。このX線管は、陽極、陰極、陰極の電流源、及び陽極と陰極との間に電圧を印加する電圧源を外筒内に備える。陰極はタングステン製のフィラメントである。電流源から陰極に電流を流すことによって陰極から電子が放出される。この電子は、電圧源から陰極と陽極との間に印加される電圧(140kV)によって加速され、ターゲットである陽極(W,Mo等)に衝突し、このときに140keV以下のX線が発生してX線源9から放出される。
【0021】
各放射線検出器4は、それぞれ配線23によって対応する信号弁別装置19に接続される。信号弁別装置19は個々の放射線検出器4毎に1個ずつ設けられる。
信号弁別装置19の詳細な構成を図3に示す。信号弁別装置19は、切替スイッチ31、波形整形装置20、γ線弁別装置21及びX線強度を求める信号処理装置22を備える。切替装置である切替スイッチ31は、可動端子32及び固定端子33,34を有する。波形整形装置20は固定端子33及びγ線弁別装置21に接続される。信号処理装置22は固定端子34に接続される。電源25のプラス端子は抵抗24を介して配線23に接続され、マイナス端子は放射線検出器4に接続される。
【0022】
γ線弁別装置21は図1に示す同時計数装置26を介してコンピュータ27に接続される。同時計数装置26は1個であり、全てのγ線弁別装置21に接続される。各信号処理装置22はコンピュータ27に接続される。記憶装置28及び表示装置29はコンピュータ27に接続される。
【0023】
信号弁別装置19は、信号処理装置22を含むX線検出信号処理装置と、波形整形装置20及びγ線弁別装置21を有するγ線検出信号処理装置とを備える。撮像装置1による検査を具体的に説明する前に、放射線検出の原理について、まず説明する。本実施の形態は、発明者らによる以下の検討を適用することによってなされた。
【0024】
X線CT像(X線CT検査によって得られたX線の検出信号に基づいて作成された、生体である被検体35に対する内臓及び骨の画像を含む断層像であり、生体構造的画像である)のデータは、X線源9から放射されたX線を特定の方向に所定時間の間、被検体35に照射し、体内を透過したX線を放射線検出器4により検出する作業(スキャン)を繰り返し、複数の放射線検出器4で検出されたX線の強度に基づいて作成される。
【0025】
ここで、精度のよいX線CT像のデータを得るためには、X線CT検査において、X線を検出している放射線検出器4に、PET用薬剤に起因して被検体35の内部から放出されるγ線が入射しないことが望ましい。このためには、「1つの放射線検出器4においては、γ線の入射率に対応して被検体35へのX線の照射時間を短くすればγ線の影響は無視可能である」との発明者らの新しい知見に基づいて、被検体35へのX線の照射時間Tの短縮を図った。
【0026】
このX線の照射時間Tを決めるために、まず、1つの放射線検出器4へのγ線の入射率を考える。PET検査において被検体35に投与するPET用薬剤に基づいた体内の放射能をN(Bq)、発生するγ線の体内通過率をA、1つの放射線検出器の立体角から求めた入射率をB、検出素子の感度をCとすると、1つの放射線検出器で検出するγ線の率α(個/sec)は後記の(式1)で与えられる。(式1)において係数の「2」は、1個の陽電子消滅の際に一対(2個)のγ線が放出されることを意味している。照射時間T内に1つの放射線検出器4でγ線が検出される確率Wは後記の(式2)で与えられる。(式2)のWの値を小さくするように照射時間Tを決めることによって、X線CT検査時に、1つの放射線検出器4に入射されるγ線の影響は無視できる程度になる。
【0027】
【数1】
【数2】
【0028】
X線の照射時間Tの一例を以下に述べる。(式1)及び(式2)に基づいて具体的なX線の照射時間Tを求めた。PET検査において被検体35に投与する放射性薬剤に起因する体内での放射線の強度は、最大で370MBq程度であり(N=370MBq)、γ線の体内通過率Aは被検体35の体を半径15cmの水と仮定すれば0.6程度(A=0.6)である。例えば一辺5mmの放射線検出器を半径50cmでリング状に配置する場合を考えると、1つの放射線検出器4の立体角から求めた入射率Bは8×10−6(B=8×10−6)である。また、放射線検出器4の検出感度Cは半導体放射線検出器を使用した場合、最大で0.6程度(C=0.6)である。
【0029】
これらの値から1つの放射線検出器4のγ線の検出率αは(式1)により2000(個/sec)程度である。X線の照射時間Tを例えば1.5μsecとすれば、1つの放射線検出器4がX線検出中にγ線を検出する確率Wは、(式2)により0.003となり、このγ線はほとんど無視できる。体内投与放射能を370MBq以下とした場合、X線の照射時間を1.5μsec以下にすれば、W<0.003つまりγ線の検出確率は0.3%未満となり無視できる。なお、γ線の検出確率が無視できない場合は、1個の放射線検出器4あたりの平均γ線入射数を引くことで同時撮像することも可能である。
【0030】
前記原理を適用した撮像装置1によるX線CT検査及びPET検査について具体的に説明する。まず、PET用薬剤が、体内投与放射能が例えば370MBqとなるように、被検体35に投与される。PET用薬剤は、検査目的(癌の場所を把握、又は心臓の動脈流の検査等)に応じて選択される。PET用薬剤を投与して所定時間経過後に、被検体35をベッド16上に寝かせて孔部30内に挿入する。
【0031】
X線源制御装置18はX線源9から放出されるX線の放出時間を制御する。即ち、X線源制御装置18は、X線CT検査中において、X線発生信号を出力してX線源9におけるX線管の陽極(又は陰極)と電源との間に設けられた開閉器(以下、X線源開閉器という、図示せず)を閉じ、第1設定時間T1が経過した時にX線停止信号を出力してX線源開閉器を開き、次に、第2設定時間T2が経過した時にX線源開閉器を閉じる、という制御を繰り返す。陽極と陰極との間には、第1設定時間T1の間では電圧が印加され、第2設定時間T2の間では電圧が印加されない。この制御によって、X線管からX線がパルス状に放出される。第1設定時間T1、つまりX線の放射時間は、放射線検出器4で検出されるγ線の検出確率を無視できるように例えば1μsecに設定される。第2設定時間T2は、X線源9が1つの放射線検出器4と、この放射線検出器4に周方向で隣接する他の放射線検出器4との間を移動する時間であり、ガイドレール12の周方向におけるX線源9の移動速度で定まる。第1設定時間T1及び第2設定時間T2はX線源制御装置18に記憶されている。
【0032】
駆動制御装置17は、X線CT検査を開始するとき、駆動開始信号を出力して、X線源駆動装置10の第1モータに接続された、電源とつながる開閉器(以下、第1モータ開閉器という)を閉じる。電流の供給により第1モータが回転し、その回転力が動力伝達機構を介してピニオンに伝えられ、ピニオンが回転する。ピニオンの回転によって、X線源移動装置7がガイドレール12に沿って被検体35の周囲を一定の設定速度で移動する。X線CT検査の終了時には、駆動制御装置17は駆動停止信号を出力して第1モータ開閉器を開く。これによって、X線源移動装置9の移動が停止される。
【0033】
本実施の形態では、周方向に環状に配置された全ての放射線検出器4は、その周方向に移動せず、かつ孔部30の軸方向にも移動しない。移動しないX線源制御装置18及び駆動制御装置17から、移動するX線源移動装置7への制御信号の伝送は、X線源移動装置7の移動に支障にならない公知の技術を適用する。
【0034】
X線CT検査を開始する際に駆動制御装置17から出力された駆動開始信号はX線源制御装置18に入力される。X線源制御装置18は、駆動開始信号の入力に基づいてX線発生信号を出力する。その後、X線停止信号及びX線発生信号を繰り返して出力する。X線停止信号及びX線発生信号の繰返しの出力によって、X線源9は、第1設定時間T1(1μsec)の間にX線を放出し、第2設定時間T2の間にX線の放出を停止する。このX線の放出及び停止がX線源9の周方向への移動期間中に繰り返されることになる。X線源9から放出されたX線は、ファンビーム状に、孔部30内の被検体35に対して照射される。X線源9の周方向の移動によって、ベッド16上の被検体35は、その周囲からX線が照射される。
【0035】
このX線は、被検体35を透過した後、孔部30の軸心を基点にX線源9から180度反対方向の位置にある放射線検出器4を中心に周方向に位置する複数個の放射線検出器4によって検出される。これらの放射線検出器4は、X線の検出信号(以下、X線検出信号という)を出力する。このX線検出信号は、該当する配線23を通じて対応する信号弁別装置19に入力される。前記X線を検出した各放射線検出器4は、便宜的に第1の放射線検出器4と称する。
【0036】
孔部30内の被検体35からは、PET用薬剤に起因した511keVのγ線が放出されている。第1の放射線検出器4以外の放射線検出器4は、被検体35から放出されたγ線を検出し、このγ線の検出信号(以下、γ線検出信号という)を出力する。このγ線検出信号は、該当する配線23を通じて対応するそれぞれの信号弁別装置19に入力される。γ線を検出している放射線検出器4を、便宜的に第2の放射線検出器4と称する。
【0037】
信号弁別装置19内で、第2の放射線検出器4から出力されたγ線検出信号はγ線弁別装置21に伝えられ、第1の放射線検出器4から出力されたX線検出信号は信号処理装置22に伝えられる。これらの各検出信号の伝送は、信号弁別装置19の切替スイッチ31の切替操作によって行われる。切替スイッチ31の可動端子32を固定端子33又は固定端子34に接続する切替操作は、駆動制御装置17から出力される切替制御信号に基づいて行われる。駆動制御装置17は、前記のようにX線源駆動装置10の移動動作を制御するが、同時に第1の放射線検出器4を選択し、この第1の放射線検出器4に接続される信号弁別装置19における切替スイッチ31の可動端子32を固定端子34に接続する。
【0038】
第1の放射線検出器4の選択について説明する。X線源駆動装置10内の第1モータにはエンコーダ(図示せず)が連結される。駆動制御装置17は、エンコーダの検出信号を入力して周方向におけるX線源9の位置を求め、このX線源9の位置と180°反対側に位置する放射線検出器4を、記憶している各放射線検出器4の位置のデータを用いて選択する。X線源9から放射されるX線はガイドレール12の周方向に対してある一定の幅を有しているため、被検体35内を透過したX線を検出する放射線検出器4は、選択された放射線検出器4以外にも周方向に複数個存在することになる。駆動制御装置17はその複数個の放射線検出器4も選択する。これらの放射線検出器4が第1の放射線検出器4である。周方向におけるX線源9の移動に伴って、第1の放射線検出器4も違ってくる。X線源9の周方向への移動に伴って、第1の放射線検出器4も擬似的に周方向に移動しているように見える。
【0039】
つまり、駆動制御装置17が、X線源9の周方向への移動に伴って別の放射線検出器4を選択したときには、この別の放射線検出器4が新たな第1の放射線検出器4となり、この放射線検出器4に接続された可動端子32が固定端子34に接続される。X線源9の周方向への移動に伴って第1の放射線検出器4でなくなった放射線検出器4(つまり、第2の放射線検出器4)に接続された可動端子32は駆動制御装置17によって固定端子33に接続される。
【0040】
第1の放射線検出器4は、切替スイッチ31によって信号処理装置22に接続された放射線検出器4であるとも言える。また、第2の放射線検出器4は、切替スイッチ31によってγ線弁別装置21に接続された放射線検出器4であるとも言える。環状保持部5に設置された個々の放射線検出器4は、X線源9の位置との関係で、あるときは第1の放射線検出器4となり、別のあるときには第2の放射線検出器4となる。このため、1つの放射線検出器4は、時間的にずれて別々ではあるがX線検出信号及びγ線検出信号の両方を出力する。なお、全ての放射線検出器4が、両方の信号を出力する必要はない。例えば、X線CT像は被検体35の1スライスのみ必要で、PET像は全身像が必要な場合がある。このように、X線CT検査領域とPET検査領域が同じである放射線検査装置を用いても、必要とする検査領域がそれぞれ異なる場合がある。つまり、両方の検査領域が同じである場合もあれば、一方の検査領域が他方の検査領域に含まれる場合もあり、また、各検査領域がそれぞれ一部分で重なっている場合もある。
【0041】
第1の放射線検出器4は、第1設定時間T1である1μsecの間にX線源9から照射されて被検体35を透過したX線を検出する。1μsecの間に第1の放射線検出器4が被検体35から放出されるγ線を検出する確率は、前記のように無視できるほど小さい。PET用薬剤に起因して被検体35内で発生した多数のγ線は、特定の方向に放出されるのではなく、あらゆる方向に放出される。これらのγ線は、前記のように、対となってほぼ正反対の方向(180°±0.6°)に放出され、放射線検出器環状体3のいずれかの第2の放射線検出器4によって検出される。
【0042】
放射線検出器4から出力されたX線検出信号及びγ線検出信号が信号弁別装置19に入力されたときの信号処理について説明する。第1の放射線検出器4から出力されたX線検出信号は、前記のように切替スイッチ31の切替動作によって信号処理装置22に入力される。信号処理装置22は、入力されたX線検出信号に基づいてX線検出信号の強度を求め、その強度情報を出力する。
【0043】
第2の放射線検出器4から出力されたγ線検出信号は、切替スイッチ31の切替動作によって波形整形装置20に入力される。波形整形装置20に入力されるγ線検出信号は、図4に示すように、最初に急激に立下り、その後、指数関数的に0に近づくような波形になっている。波形整形装置20の出力信号が入力されるγ線弁別装置21は、図4に示すような波形のγ線検出信号を処理できない。このため、波形整形装置20は、図4に示す波形のγ線検出信号を、例えば図5に示すような時間的なガウス分布の波形を有するγ線検出信号に変換して出力する。
【0044】
PET用薬剤から放出された陽電子が陽電子消滅により体内で生成するγ線のエネルギーは前記のように511keVである。しかし、放射線検出器4を構成する半導体素子部内でγ線のエネルギーの全てが電荷に変わるとは限らない。一方、体内で散乱した低エネルギーγ線に伴うノイズを除去するため、511keVに近い信号だけをデータとする必要がある。
【0045】
このため、γ線弁別装置21は、例えばエネルギーが511keVよりも低い450keVをエネルギー設定値として、このエネルギー設定値以上のエネルギーを有する撮像信号(γ線検出信号)が入力されたときに、所定のエネルギーを有するパルス信号を発生させる。
【0046】
前記のように、γ線弁別装置21において特定のエネルギーを有するγ線検出信号を処理するためには、所定のエネルギー範囲のγ線検出信号を通過させるフィルタをγ線弁別装置21の内部又は前段に設けるとよい。γ線弁別装置21は前記フィルターを通過したγ線検出信号に対してパルス信号を発生する。
【0047】
同時計数装置26は、各信号弁別装置19のγ線弁別装置21からのパルス信号がそれぞれ入力され、これらのパルス信号を用いてγ線対毎に同時計数を行い、γ線検出信号に対する計数値を求める。さらに、同時計数装置26は、γ線対に対する一対のパルス信号によりそのγ線対を検出した2つの検出点(孔部30の軸心を中心にしてほぼ180°(厳密には180°±0.6°)方向が異なっている一対の放射線検出器4の位置)をγ線検出の位置情報としてデータ化する。
【0048】
断層像作成装置38における断層像作成処理について具体的に説明する。なお、放射線検出器4から出力されたX線検出信号のデータをX線CTデータと称し、そのX線CTデータに基づいて作成された、被検体35に対する断層像を、X線CT像と称する。このX線CT像は被検体35における内臓及び骨の画像を含む断層像であり、被検体35の体内の密度情報をもつ画像である。これに対して、放射線検出器4から出力されたγ線検出信号のデータをPETデータと称し、そのPETデータに基づいて作成された、被検体35に対する断層像を、PET像と称する。PET像は、放射性薬剤が集まった被検体35内の領域(例えば、患部)を含む断層像であり、生体機能的画像、つまり被検体35の機能情報をもつ画像である。
【0049】
コンピュータ27は、図6に示すS1〜S7の処理手順に基づいて断層像再構成処理を実行する。
【0050】
まず、S1において、同時計数装置26によって計数されたγ線検出信号の計数値、同時計数装置26から出力された検出点の位置情報、及び、信号処理装置22から出力されたX線検出信号の強度を入力して記憶装置28に記憶する。
【0051】
次に、S2において、記憶装置28に記憶されているX線検出信号の強度を用いて、被検体35に対する断層像であるX線CT像を再構成する。その再構成されたX線CT像は記憶装置28に記憶される。X線CT像の再構成は、前記フィルタードバックプロジェクション法により行われる。
【0052】
次に、S3において、S2で得られたX線CT像(再構成像)から被検体35内の関心領域を抽出する。この関心領域の抽出方法は、例えば閾値法を用いる。体内はほとんど水に近い密度のものや骨で構成されているが、体外は一般的には空気である。そこで、例えば空気と水の中間のCT値を閾値とすれば、被検体35の体内のみを抽出でき、被検体35の関心領域が分かる。
【0053】
S4において、S3で抽出した関心領域のサイズである体積、断面積又は長さと、関心領域の位置とをそれぞれ計測する。計測するパラメータは必要に応じて異なるが、例えば断面積を求める場合は抽出された領域のボクセル数を数えればよい。本実施の形態のように関心領域のサイズを決定する場合には、各スライスにおいて最も長い部分を計測すればよい。関心領域のサイズをその長さに合わせると端が切れたようになり見づらくなる場合があるため、それよりも少し大きな領域を設定することが望ましい。
【0054】
次に、S5において、S4で求めた関心領域のPET像におけるサイズ及び位置を計算する。通常、X線CT検査の方がPET検査よりも高分解能であり、その撮像領域、ボクセルサイズが異なる。そのため、S3で求めたX線CT像における被検体35の関心領域が、PET像のどの部分にあたるかを計算する必要がある。以下、その計算方法の一例を示す。
【0055】
まず、X線CT像の1ボクセルあたりの大きさを読み込む。この大きさは、S2における画像再構成時にパラメータとして与えられるか、もしくは装置固有の値があるので、その値を読み出す。次に、その読み出したボクセルの値を用いてS3で求めた被検体35の関心領域のデータを実測値に変換する。最後に、実測値をを用いてPET像の1ボクセルあたりの大きさからPET像における被検体35の体内領域を求める。なお、X線CT像とPET像との位置合わせは、同一装置で撮像しているため位置関係が既知であり、機械的に位置合わせが実行される。なお、実測値が不要な場合は、X線CT像の1ボクセルあたりの大きさとPET像の1ボクセルあたりの大きさとを用いて、X線CT像の関心領域から直接PET像における体内領域を求めてもよい。また、X線CT検査とPET検査の画像が同一領域になり、かつボクセルサイズも同一になる場合はS5は省略してよい。
【0056】
次に、S6において、S1で記憶装置28に記憶したγ線検出信号の計数値及び検出点の位置情報を用いて、被検体35に対する断層像であるPET像を再構成する。再構成されたPET像のデータは記憶装置28に記憶される。PET検査において2次元撮像を行った場合におけるPET像の再構成は、前記したフィルタードバックプロジェクション法を用いればよい。PET検査において3次元撮像を行った場合におけるPET像の再構成は、例えば1997年のアイ・イー・イー・イー トランザクションズ オン メディカル イメージング第16巻,145頁(IEEE Transactions on Medical Imaging)に記載されているフーリエリビニング法を用いればよい。
【0057】
そして、最後に、S7において、PET像のS5で求めた部分を抽出して表示する。表示の方法としては、X線CT像とPET像とを重ね合わせて表示してもよいし、それぞれの像を個々に表示してもよい。
【0058】
なお、S3において、関心領域を抽出してその部分がPET像のどこにあたるかを計算することでPET像における関心領域のみの抽出表示も可能である。また、S6は、S5とS7との間で実行する場合を例に挙げて説明したが、S1とS2との間、S2とS3との間、S3とS4との間、S4とS5との間のいずれかで実行してもよい。
【0059】
本実施の形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)被検体35の検査領域の選択を不要にできる。つまり、従来、被検体35のうちγ線が直接入射しない領域のデータを用いてPET検査の散乱データ補正を行っている。この場合、被検体35の領域情報を入力する操作が必要になる。しかし、本実施の形態では、被検体35の領域情報を入力する操作が自動化され、オペレータの負担を軽減することができる。
【0060】
(2)本実施の形態に用いる放射線検査装置は、様々な体型の被検体35に適用可能である。X線CT検査のデータを用いるため、放射線検査装置内に入る全ての被検体35に対応可能である。
【0061】
(3)X線CT像から被検体35内の関心領域のみを抽出する構成としたので、データ量の低減と診断の高速化とを図ることが可能となる。
【0062】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態である断層像作成方法を、図7を用いて説明する。本実施の形態の断層像作成方法には、第1の実施の形態と同様の撮像装置が用いられる。第1の実施の形態との違いは、断層像作成装置により後記の反復法を用いて画像再構成を行うことである。反復法とは、例えばメディカルイメージングテクノロジ(Medical Imaging Technology)のVol. 18 No. 1の40頁〜45頁にあるようにOS−EM法、座標降下法等がある。
【0063】
本実施の形態では、断層像作成装置により図7に示す処理を行う。S1からS5及びS7は第1の実施の形態と同一であるが、S6Aが第1の実施の形態のものと異なっている。従って、以下、S6Aについての説明を行う。
【0064】
S6Aでは、反復法による再構成を行う。反復法は、被検体の体内の各部分を微小領域に分けて、その微小領域で発生したγ線が放射線検出器に入射する確率を行列化した密度行列を用いて、放射線検出器で得られたデータを満足するボクセル群の値を、反復計算で求める方法である。この反復法では、計算速度を左右するパラメータがいくつか存在するが、その1つにボクセル数があり、ボクセル数を減らすことで計算回数を減らし高速化できる。つまり、無駄なボクセルを減らすことにより反復法の高速化が可能である。被検体35の体外領域では、γ線は発生しないため、被検体35の体外のボクセルは不要である。このため、体外のボクセルは少ないほうがよい。しかし、体内領域を占める部分が分からなければ、安全のために被検体35の体積よりも多い領域を取らなければならない。そこで、放射線検出器からのX線CTデータを用いて体外領域を確定する。
【0065】
具体的には、以下の手順で行う。まず、S5においてPET像における体内領域が計算されている。この結果を用いて、体内の部分にのみボクセルを割り当て、体外の部分にはボクセルを割り当てない。次に、密度行列を決定する。密度行列とはボクセルiで発生したγ線が放射線検出器jに入射する確率を全てのボクセルと放射線検出器について書き表した行列である。詳しくは、前記したメディカラルイメージングテクノロジ(Medical Imaging Technology)のVol. 18 No. 1の40頁〜45頁に記載されている。この密度行列の要素を割り当てた全てのボクセルについて計算する。得られた密度行列とS1で記憶した同時計数装置から出力された検出点の位置情報を用いて画像再構成を行う。再構成した画像は、第1の実施の形態と同様にX線CTと重ね合わせてもよいし、個々に表示してもよい。
【0066】
本実施の形態は、第1の実施の形態で生じる効果(1)〜(3)を得ることができる。さらに、本実施の形態は、以下の効果も得ることが可能である。
【0067】
(4)再構成時間の短縮を図ることができる。必要なボクセル数で計算を行うことが可能であるため、無駄な計算時間を省くことが可能である。しかも、無駄なボクセルの省略を全てコンピュータが計算して行うため、オペレータの負担を一層軽減できる。
【0068】
(5)画質の向上を図ることができる。被検体の範囲が分かるため,その領域外で発生したγ線及びγ線対データの除去を行うことにより、ノイズを除去できる。
【0069】
(第3の実施の形態)
本実施の形態に係る放射線検査装置を図8及び図9を用いて説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0070】
放射線検査装置は、撮像装置1A、被検体保持装置14、MRI磁場制御装置63、カウンタ64、断層像作成装置38A及び表示装置29を備えている。断層像作成装置38Aは、コンピュータ27A(例えば、ワークステーション)及び記憶装置28によって構成される。
【0071】
撮像装置1Aは、ベッド16の長手方向に対して直角の方向に設置されており、MRI検査で用いる磁石60、傾斜磁場コイル61、RFコイル62、信号計測コイル67、平面放射線検出器70及びケーシング36Aを備える。磁石60、傾斜磁場コイル61及びRFコイル62はケーシング36Aに設置される。
【0072】
平面放射線検出器70は、検出器保持部69と、検出器保持部69に設置された多数の放射線検出器4Aとを有し、放射線検出器4AはSPECT検査に用いられ、被検体35内から放射されるγ線を検出するものである。ケーシング36Aの内周側は、ベッド16が挿入される観測領域である貫通した孔部30Aとなっている。多数の放射線検出器4A(合計約1000個)は、検出器保持部69に対して孔部30Aの軸方向及び周方向で複数列設置されている。
【0073】
放射線検出器4Aは、第1の実施の形態で述べた半導体放射線検出器を使用する。また、高磁場中では光電子増倍管が使用できないため、シンチレータの発光を光ファイバで高磁場領域外部に誘導した後、光電子増倍管を用いて信号を増倍するシンチレータを用いて測定することも可能となる。駆動制御装置17A及び検出器位置制御装置66はケーシング36A内に設置される。
【0074】
検出器移動装置78は、検出器駆動装置71、径方向アーム72、軸方向可動アーム73及び平面放射線検出器70を有し、検出器駆動装置71が環状のガイドレール74に嵌合して取り付けられている。また、検出器駆動装置71は、図示されていないが、第1モータ及び第1モータの回転軸に連結される動力伝達機構を備える。また、検出器駆動装置71は、図示していないが、ガイドレール74に設けられたラックと噛合って、前記動力伝達機構から回転力を受けるピニオンを有する。軸方向可動アーム73は、検出器駆動装置71に設置された第2モータ(図示せず)の作動により伸縮される。
【0075】
各放射線検出器4Aの構造を図10に示す。第1の実施の形態のようにX線CTとの同時撮像は行わないため切替スイッチ31、及び信号処理装置22は存在しない。また、波形整形装置20とγ線弁別装置21の動作は第1の実施の形態と同じである。γ線弁別装置21に入力された信号が、ある波高値以上の場合はカウンタ64にパルス信号を送る(図8参照)。カウンタ64では、各放射線検出器4A毎にパルスが入力された数をカウントする。そして、測定終了後、カウンタ64で計測したカウント数を、コンピュータ27Aを介して記憶装置28に書き込む。
【0076】
次に、MRI撮像の方法を示す。MRIの撮像方式は複数存在するが、本実施の形態では、フーリエ変換イメージング法に基づいた計測法を示す。フーリエ変換イメージング法の原理は、例えば医歯薬出版株式会社の放射線診断機器工学P.275−277にある。
【0077】
フーリエ変換イメージング法に基づいた撮像シーケンスは以下のとおりである。まず、磁石60により静磁場のみが存在している。そこへ、MRI磁場制御装置63から傾斜磁場コイル61に信号を発してz方向に傾斜磁場をかける。さらに、MRI磁場制御装置63からRFコイル62に信号を発し、90度パルスを発生させる。
【0078】
次に、MRI磁場制御装置63から傾斜磁場コイル61に信号を発してz方向の傾斜磁場を消して、x方向の傾斜磁場とy方向の傾斜磁場を発生させる。次に、MRI磁場制御装置63から信号を発して傾斜磁場コイル61を用いることにより、再びz方向のみに傾斜磁場をかけ、RFコイル62で180度パルスを発生させてスピンの回転方向を逆転させる。
【0079】
その後、MRI磁場制御装置63から傾斜磁場コイル61に信号を発してx方向にのみ傾斜磁場をかけて信号計測コイル67で信号を計測する。このようにして得られた計測信号は信号計測コイル67からMRI磁場制御装置63に送られて蓄積される。これをy方向の傾斜磁場の強度を変化させて数回撮像する。蓄積されたデータを2次元逆フーリエ変換してMRI像にした後、MRI磁場制御装置63から記憶装置28に送って保存する。
【0080】
前記原理を適用した放射線検査装置によるMRI検査及びSPECT検査について具体的に説明する。まず、SPECT用薬剤が、体内投与放射能が370MBqになるように、被検体35に投与される。SPECT用薬剤は、検査目的(骨シンチ、又は心筋解析検査等)に応じて選ばれる。SPECT用薬剤を投与して所定時間経過した後に、被検体35をベッド16上に寝かせて孔部30A内に挿入する。放射線検査装置によるMRI検査及びSPECT検査は,この状態で、撮像装置1Aを用いて行われる。
【0081】
検出器駆動装置65は、SPECT検査を開始するとき、駆動開始信号を出力して、検出器駆動装置70の第1モータに接続された、電源とつながる開閉器(以下、第1モータ開閉器という)を閉じる。電流の供給により第1モータが回転し、その回転力が動力伝達機構を介してピニオンに伝えられ、ピニオンが回転する。ピニオンの回転によって、検出器移動装置78がガイドレール74に沿って被検体35の周囲を設定速度で移動する。SPECT検査終了時には、検出器駆動装置65は駆動停止信号を出力して第1モータ開閉器を開く。これによって、検出器移動装置78の周方向への移動が停止される。
【0082】
前記のSPECT検査中に、フーリエ変換イメージング法に基づいた撮像シーケンスも行い、MRI像も同時に得る。
【0083】
断層像作成装置38Aによる断層像作成処理について説明する。なお、放射線検出器4Aから出力されたγ線検出信号のデータをSPECTデータと称し、そのSPECTデータに基づいて作成された、被検体35に対する断層像を、SPECT像と称する。SPECT像は、放射性薬剤が集まった被検体35内の領域(例えば、脳機能や患部)を含む断層像であり、生体機能的画像である。断層像作成装置38Aは、放射線検出器4Aから出力されたSPECTデータに基づいてSPECT像を再構成する。
【0084】
コンピュータ27Aは、図11に示すS11からS16の処理手順に基づいて断層像作成処理を実行する。
【0085】
まず、S11において、カウンタ64によって計数されたγ線検出信号の計数値及びカウンタ64から出力された検出点の位置情報からなるSPECTデータと、各コイル61,62,67から出力されたMRIの信号強度に基づいて作成されたMRI像とを記憶装置28に記憶する。このMRI像は、被検体35の密度情報に変換可能な情報である。
【0086】
次に、S12において、S11で記憶したMRI像から被検体35の関心領域を抽出する。関心領域の抽出方法は、例えば第1の実施の形態で述べた閾値法を用いる。
【0087】
次に、S13において、S12で抽出した関心領域のサイズである断面積又は体積と、関心領域の位置とを計測する。計測するパラメータは必要に応じて異なるが、例えば断面積を求める場合は抽出された領域のボクセル数を数えればよい。
【0088】
次に、S14において、S13で求めた被検体35の関心領域の、SPECT像におけるサイズ及び位置を計算する。通常、MRI検査の方がSPECT検査よりも高分解能であり、その撮像領域、ボクセルサイズが異なるので、MRI像における被検体35の体内領域が、SPECT像のどの部分にあたるかを計算する。
【0089】
次に、S15において、γ線検出信号の計数値及び検出点の位置情報を用いて、被検体35に対する断層像であるSPECT像を再構成する。作成されたSPECT像のデータは記憶装置28に記憶される。SPECT検査の再構成は、前記フィルタードバックプロジェクション法を用いればよい。
【0090】
そして、最後に、S16において、SPECT像のS14で求めた部分を抽出して表示する。その表示の方法としては、MRI像とSPECT像を重ね合わせて表示してもよいし、それぞれ一方の像を個々に表示してもよい。
【0091】
本実施例によれば、第1の実施の形態に示す(1)、(2)の効果を得ることができるほか、さらに次の効果を得ることができる。
【0092】
(7)X線CT検査に替えてMRI検査を行う構成としたので、被検体35に対する被曝量を減少させることができる。
【0093】
なお、第1の実施の形態では、X線CTとPET、第3の実施の形態では、MRIとSPECTを組み合わせた検査の例を示したが、その他の組み合わせ、例えばX線CTとSPECTの組み合わせ、又は、MRIとPETの組み合わせでもよい。
【0094】
(第4の実施の形態)
本実施の形態に係る放射線検査装置を図12を用いて説明する。ところで、放射線検査装置を用いて他の検査装置で得られた検査を再検査する際に、機能診断像では関心領域を特定することが難しい場合がある。そこで、本実施の形態では、検出点の位置情報を用いた検査により関心領域を特定し、検査を行う。
【0095】
放射線検査装置80は第1の実施の形態と同様の構成であるが、この放射線検査装置80は、図12に示すように院内ネットワーク(もしくはRIS:放射線科情報システムのような各科のシステム)に接続されており、サーバ100を用いて予約などの一元管理が行われている。また、放射線検査装置80及び他の検査装置である機能診断装置101で得られた診断像はサーバ100(例えばDICOMサーバ、DICOMとは「医用画像と通信」の意で医用画像のデジタル通信に関する標準規格)に保存されており、例えば読影端末102で画像を呼び出して読影する場合はサーバ100から診断像を通信で入手して表示する。また、予約に関してもサーバ100が一元管理している。今回は説明のために必要最低限の端末、および装置のみの構成となっているが、実際には図示しないが管理用端末、会計端末、バックアップ装置などさらに多くの装置が存在し、また、放射線検査装置80及び機能診断装置101を含めた検査装置や端末は複数存在する構成となっている。
【0096】
放射線検査装置80及び機能診断装置101による診断方法の具体的な手順を以下に示す。まず、機能診断装置101で得られた診断像は、サーバ100に蓄えられる。医師は読影端末102を用いて機能診断装置101の診断像をサーバ100から呼び出し診断する。その結果、異常(陽性又は擬陽性)が見つかった場合は、その異常個所を読影端末102から前記診断像にマーキングし、さらに再検査を放射線検査装置1で行うことを命令する。それらのデータはサーバ100に蓄えられ、サーバ100内の予約システムにおいて空き時間を検索し、再検査の予約を入れる。
【0097】
再検査当日において、機能診断装置101で得られた診断像と医師のマーキングを用いて放射線検査装置80における関心領域を抽出する。そして、この関心領域を放射線検査装置80の撮像コンソール103に表示してオペレータに示す。オペレータは撮像コンソール103に表示された画像を用いて放射線検査装置80の被検体の密度情報を撮像しながら関心領域が装置の撮像範囲内に入るように被検体を移動させる。その後、第1の実施の形態で示した撮像方法により機能画像を撮像する。
【0098】
なお、画像処理により抽出が可能な臓器を用いて位置合わせを行う場合、オペレータの行う位置合わせを機械により自動で行うことも可能である。
【0099】
本実施の形態は、第1の実施の形態で生じる効果(1)〜(3)を得ることができる。さらに、本実施の形態は、以下の効果も得ることが可能である。
【0100】
(7)被検体の関心領域を確実に撮像できる。関心領域が移らなければ再度検査を行う必要があり、放射線被曝量が増大し、時間やコストがかかる。本実施の形態によりそのようなミスを事前に防ぐことが可能となる。
【0101】
なお、第4の実施の形態では、放射線検査装置80で再検査を行う例を示したが、逆に放射線検査装置80の機能画像において発見された異常を他のモダリティに送るときに密度情報を送って再検査領域を確定させること、さらに一般的にはある検査装置から他の検査装置へ再検査を依頼する際への拡張も容易に可能である。
【0102】
【発明の効果】
本発明により、複数モダリティの同時撮像における手続きの簡素化及び診断の高度化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検査装置を示す縦断面図である。
【図2】図1中の放射線検査装置を示す横断面図である。
【図3】図1中の信号弁別装置を示す構成図である。
【図4】図3中の波形成形装置に入力されるγ線検出信号を示す特性線図である。
【図5】図3中の波形成形装置から出力されるγ線検出信号を示す特性線図である。
【図6】図1中のコンピュータで実行される断層像作成処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る放射線検査装置のコンピュータで実行される断層像作成処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る放射線検査装置を示す縦断面図である。
【図9】図8中の放射線検査装置を示す横断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に用いる放射線検出器、波形整形装置及びγ線弁別装置を示す回路構成図である。
【図11】図8中のコンピュータで実行される断層像作成処理のフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る放射線検査装置及び機能診断装置を含めた院内ネットワークの一例である。
【符号の説明】
1,1A 撮像装置
4,4A 放射線検出器
7 X線源移動装置
21 γ線弁別装置
22 信号処理装置
27,27A コンピュータ
35 被検体(生体)
37 信号処理手段
38,38A 断層像作成装置
80 放射線検査装置
101 機能診断装置(他の検査装置)
Claims (16)
- 生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報と、前記生体の機能情報とを共に得ることが可能な断層像作成装置において、
前記生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報により前記生体の断面積又は体積情報を得ると共に、前記生体の断面積又は体積情報を用いて前記生体の機能情報の画像処理を行うことを特徴とする断層像作成装置。 - 前記生体の機能情報の画像処理は、機能画像における関心領域の抽出であることを特徴とする請求項1に記載の断層像作成装置。
- 前記生体の機能情報の画像処理は、機能画像における関心領域の抽出、及び前記関心領域の体積、断面積、長さの取得であることを特徴とする請求項1に記載の断層像作成装置。
- 前記生体に対し前記生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報を得る領域と、前記生体の機能情報を得る領域とが同じであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の断層像作成装置。
- 前記生体に対し前記生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報を得る領域及び前記生体の機能情報を得る領域のうち、一方の領域が他方の領域に含まれることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の断層像作成装置。
- 前記生体に対し前記生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報を得る領域及び前記生体の機能情報を得る領域が一部で重なっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の断層像作成装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の断層像作成装置を有することを特徴とする放射線検査装置。
- 前記生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報を得る手段がX線CT検査の原理に基づいた装置であることを特徴とする請求項7に記載の放射線検査装置。
- 前記生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報を得る手段がMRI検査の原理に基づいた装置であることを特徴とする請求項7に記載の放射線検査装置。
- 前記生体の機能情報を得る手段がPET装置であることを特徴とする請求項7に記載の放射線検査装置。
- 前記生体の機能情報を得る手段がSPECT装置であることを特徴とする請求項7に記載の放射線検査装置。
- 前記生体を動かすことなく、前記生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報と、前記生体の機能情報とを共に得ることを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載の放射線検査装置。
- 生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報と、前記生体の機能情報とを共に得ることが可能な放射線検査装置において、
他の検査装置において陽性又は擬陽性が見つかった生体の再検査を行う場合に、請求項2に記載の断層像作成装置による関心領域の抽出の結果を用いて撮像領域を決定することを特徴とする放射線検査装置。 - 陽性又は擬陽性が見つかった生体の再検査を行う場合に検査終了後に他の検査装置へ関心領域を送信する機能を有することを特徴とする請求項7ないし請求項13のいずれか1項に記載の放射線検査装置。
- 生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報と、前記生体の機能情報とを共に得ることが可能な放射線検査装置において、
陽性又は擬陽性が見つかった検体の再検査を行う場合に、請求項2に記載の断層像作成装置による関心領域の抽出の結果を用いて他の検査装置における撮像領域を決定し、かつ前記撮像領域の情報を送信することを特徴とする放射線検査装置。 - 生体の密度情報又は当該密度情報に変換可能な情報と、前記生体の機能情報とを共に得ることが可能な放射線検査装置において、
他の検査装置で陽性又は擬陽性が見つかった生体の再検査を行うために送られた関心領域の情報を用いて撮像範囲を設定することを特徴とする放射線検査装置。
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