JP3937202B2 - フィルム巻き戻り防止機能を有したラップフィルムケース - Google Patents

フィルム巻き戻り防止機能を有したラップフィルムケース Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の技術分野】
この発明は、ラップフィルムの端部の巻き戻り防止機能を付与したラップフィルムケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルム端の巻き戻り防止機能を付与したラップフィルムケース自体は公知に属し、例えばケース前板部の折蓋片と重なり合う部位の全部又は一部にプラスチックフィルムを貼着する方法、又は感圧接着剤或いは架橋性硬化二スからなる平坦な塗布層を設け、これらをフィルム端に密着させて固定する子音が提案されている。
【0003】
これら公知の方法においても、ラップフィルムをケースから引き出し、切る際に、ケース前板部の折蓋片を介してラップフィルムが巻き戻り防止機能を有する面に密着し、ラップフイルム切断後、前記折蓋片を放しても、ラップフィルムが前記面に固定され、ラップフィルムの端部が前記ケース内に戻ってしまうことを防止している。
【0004】
しかし、ラップフィルムの材質によっては、ラップフィルム巻き戻り防止機能を有する面とラップフィルムの密着性が弱く、ラップフィルムが前記面に固定されにくく、ラップフィルム端が前記ケース内に巻き戻ってしまう可能性があった。
特にポリエチレン製のラップフィルムにおいては、ラップフィルム巻き戻り防止機能を有する面との密着性が弱く、これは感圧接着剤からなる塗布層を設けることによって密着性能を上げることができるが、適正な粘着力或いはタック性を維持制御するのは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明においては、ラップフィルムとラップフィルム巻き戻り防止機能を有する面との密着性能の制御手段として、この面に塗布する樹脂を軟らかくし、その粘着性或いはタック性を利用したラップフィルムとの密着性を上げることと、ラップフィルムとの密着性能を制御し、かつ製造工程におけるカートンブランク裏面とのブロッキングを防止することが課題として挙げられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決すべく、請求項1記載のラップフィルムケースにおいては、ロール状ラップフィルムを収納する箱体と、この箱体と一体形成されかつこの箱体に対して開閉される折蓋片を備え、前記箱体から所望の長さに引き出された前記ラップフィルムを、前記箱体を構成している前板部とその前板部と重なり合う位置に設けられた折蓋片との間で押圧した、前記箱体に形成した切断具で切り取るためのラップフィルムケースにおいて、前記折蓋片と重なり合う前記箱体の面上に、前記ラップフィルムの引き出し方向に対して交差する方向の全幅又は一部にTg(ガラス転移温度)がー75〜0℃の樹脂であって、かつその樹脂が乳化重合により合成されたアクリル酸エステルと酢酸ビニルとの共重合体を、この樹脂を塗布する面に対してパターン模様すなわち点状或いは線状に形成させることにより、ラップフィルムとこの樹脂の薄膜層の密着性を制御し、かつ製造工程におけるカートンブランク裏面とのブロッキングを防止することを特徴とするものである。
【0007】
この発明によって得られたラップフィルムケースに収納したラップフィルムを、箱体から引き出して種要するに際し、比較的密着し難いポリエチレン製ラップフィルムにおいても、所望の長さにラップフィルムを引き出した後、折蓋片との間で、前記ラップフィルムの経路を形成する箱体の面との間に、前記ラップフィルムを押さえて、公知のような切断手段によって切断した後、前記のように押圧力を解除しても、ラップフィルムは前記面に塗布されている樹脂の薄膜層に密着し、箱対内に巻き戻るのが阻止され、かつ樹脂薄膜層がパターン模様で形成され、その密着性が適度に制御される。すなわち塗布する樹脂薄膜の粘着性或いはタック適正の許容範囲が広がるため、次にラップフィルムを引き出すときに、樹脂薄膜の密度が強過ぎてラップフィルムが引き裂けるようなことは起こり難い。また、粘着力、タック性が制御できるため、製造工程におけるカートンブランク裏面とのブロッキングの防止が可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1はこのラップフィルムケースを構成する板紙からなるカートンブランク1の展開図であって、後述する組み立て状態において、箱体2を形成するのは、頂壁片3、前壁片4、底壁片5、後壁片6、端壁片7、8、接着片9、10、11、12と、前記端壁片7、8に連なる折込片13、14であり、前記頂壁片3と前壁片4との間の折曲片15に沿って、鋸歯状の切断手段16が取り付けられている。
【0009】
前記後壁片6に連ねて折蓋片17が形成され、この折蓋片17のほぼ中央部には、全幅に切裂用脆弱縁18が設けられ、ラップフィルムケースの使用時にこの切裂用脆弱縁18に沿って、前記折蓋片17を引き裂いて閉蓋する。に供されるのである。
【0010】
図2はラップフィルムケース19を形成した状態を示し、かつ図3はこのように構成したラップフィルムケース19の箱体2内に収容したらアップフィルム20を引き出して、所望の長さに前記切断手段16で切断した直後の状態を示し、この図に示すように、ラップフィルム20は、前記本体2の一部を構成する頂壁片13の面上に形成した巻き戻り防止機能を有する薄膜層21によって、箱体2内に引込まれるのを阻止されている。
【0011】
図2の状態になる前の、ラップフィルムケース19とラップフィルム20との関係すなわち、折蓋片17と頂壁片3との間の経路22を通って、ラップフィルム20が引き出され、これら折蓋片17と頂壁片3との間で、前記ラップフィルム20を挟みつけた図4に示す関係において、前記薄膜層21にラップフィルム20が押し付けられ密着されるのであって、次にこの薄膜層21を前記箱体2の一部を構成する頂壁片3に設ける方法について記述する。
【0012】
前記薄膜層21を形成するための樹脂は、雰囲気の温度によってラップフイルム20と、この薄膜層21との密着性が低下することのないようにTg(ガラス転移点)が軟らかいものを使うことが望ましく、Tg=75〜0℃が最適条件である。Tg(ガラス転移点)を低くする方法としては、ベースとなる樹脂に可塑剤を添加する方法がある。
【0013】
次に前記薄膜層21を形成するための樹脂を、前記箱体2の一部を構成する頂壁片3にパターン模様すなわち点状或いは線状に塗布する例として、図5に示すように直径35〜65μmの点を、塗布面積10〜15%で均一に塗布する方法、或いは図6に示すように、幅35〜65μmの線を145μmの間隔で均一に塗布する方法が適しているが、前記薄膜層21を形成するための樹脂粘着性或いはタック性によって塗布する点の形状及び塗布面積あるいは幅及び間隔を変えて、ラップフィルムとの
密着性が最適となるように、また、カートンブランク裏面とのブロッキングが起こらないように調整することが望ましい。塗布加工の方式としては、グラビア、フレキソ、オフセット、シルクスクリーン等が考えられるが、塗布加工する樹脂の粘度及び性状により(水性或いは油性)最適な塗布方式を採用することが望ましい。
【0014】
上記した実施例は、折蓋片17が単独で開閉する様式の箱体について説明したが、これをそのまま折蓋片17が端部折蓋片と一体になっている、所謂ボックス様式の箱体についても応用できる。
【0015】
この発明の薄膜層21に密着するフィルムは、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエステル、ポリアミド(通称ナイロン)等の合成樹脂の薄膜フィルム、また、グラシン紙やアルミ薄膜に至るまで応用できる範囲は広い。
【0016】
以下に具体的な実施例を挙げる。Tgがー65℃のアクリル酸エステルと酢酸ビニルとの共重合体を、ラップフィルム巻き取り機能を有する材料として、板紙(コートボード)表面にグラビア輪転印刷機を使用して、図1に示す位置に図5に示すパターンで塗布し、乾燥して形成し、図1に示す形状に打ち抜いてカートンブランクを作成した。
【0017】
次に、図2に示すような形状に切断具を取付けラップフィルムケースを作製した。このようにして作製したラップフィルムケース(製造後1ヶ月)にポリエチレン系樹脂(PE)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)及びポリメチルペンテン系樹脂(PMP)の各々のラップフィルムを充填包装した後、各々を開封し、ラップフィルムを引き出し、切断sh手ラップフィルムの薄膜層への密着性を評価した。
【0018】
その結果、PVDC及びPVCのラップフィルムに対しては、やや密着性が強く際剥離し難い傾向が見られたのに対し、PE及びPMPに対しては全く問題なく良好であった。
【0019】
更に、ラップフィルムと薄膜層との剥離特性の温度依存性及びその経時変化を調べるために、以下の方法で評価した。まづ、長方形のラップフィルム(2.5mm巾)を製造後1ヶ月後の薄膜層の表面に密着させて、フィルムの一層を引張速度300mm/minの条件で垂直に引き上げる時の荷重(g)を測定値とする。これらの(図7)よりPVDC、PVCの薄膜層に対する剥離強度が強く、PMPの40℃における剥離強度が強いものの、常温及び5℃ではほぼ問題のないレベルである。PEについては、全体的に少し弱い傾向が見られたが、塗膜の塗工面積を増やすことで強度を上げることは可能である。また、製造1ヶ月後のものにおいてもラップ密着性におおきな変化はなかった。
【0020】
【発明の効果】
この発明によれば、ロール状ラップフィルムを収納したラップフィルムケースの箱体から引き出されるラップフィルムが、前記ラップフィルムケースに形成した切断手段によって所望の長さに切断された後、ラップフィルムケースの箱体に巻き戻ることを阻止できるラップフィルムケースが提供でき、この特徴としては、
a)ラップフィルムの巻き戻り防止機能をベース樹脂に可塑剤を添加する等の方法で制御できる。
b)ラップフィルムの巻き戻り防止機能を薄膜層を形成するための塗布面積及び塗布パターン、すなわち点状或は線状に形成することにより制御でき、且つ製造工程においてカートンブランクが重なる際にカートンブランク裏面と薄膜層とのブロッキングが防止できる。
c)樹脂薄膜層がパターン模様で形成され、その密着性が適度に制御され、すなわち塗布する樹脂の粘着性或はタック適正の許容範囲が広がるため、次のラップフィルムを引き出す時に、樹脂薄膜層の密着が強過ぎてラップフィルムを引き裂けるようなことは起こらない。等、ラップフィルムの材質による巻き取り防止機能の制約を受けないようにしたところにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のラップフィルムケースを形成するためのカートンブランクの展開図である。
【図2】 上記カートンブランクでラップフィルムケースに形成した状態の斜視図である。
【図3】 ラップフィルムケースからラップフィルムを引き出し所望の長さのところで切断した直後の状態の部分図である。
【図4】 図3の状態になる直前のラップフィルムケースの箱体と折蓋片との関係を示す部分図である。
【図5】 この発明のラップフィルムの一実施形態の拡大図である。
【図6】 この発明の他の実施形態の拡大図である。
【図7】 この発明のラップフィルムと薄膜層との剥離特性の温度依存性及びその経時変化を調べたデータである。
【符号の説明】
1 カートンブランク
2 箱体
3 頂壁片
16 切断手段
17 折蓋片
18 ラップフィルムケース
21 薄膜層

Claims (1)

  1. ロール状ラップフィルムを収納する箱体と、この箱体を一体形成されかつこの箱体に対して開閉される折蓋片を備え、前記箱体から所望の長さを引き出された前記ラップフィルムを、前記箱体を構成している前板部とその前板部と重なり合う位置に設けられた折蓋片との間で押圧し前記箱体に形成した切断具で切り取ることができるラップフィルムケースにおいて、前記折蓋片と重なり合う前記箱体の面上に、前記ラップフィルムの引き出し方向に対して交差する方向の全幅又は一部分に、 Tg (ガラス転移温度)がー 75 0 ℃であって、乳化重合により合成されたアクリル酸エステルと酢酸ビニルとの共重合体からなる樹脂の薄膜層を、塗布すべき前記面に対してパターン模様すなわち点状或いは線上に形成し、ラップフィルムとこの樹脂の薄膜層との密着性を制御してなる、フィルム巻き戻り防止機能を有したラップフィルムケース。
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