JP3936982B2 - 金属元素を含有する有機ポリマー球状粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属元素を含有(又は内包)する有機ポリマー球状粒子に関し、より詳細には、有機ポリマーの球状粒子内に化学的に結合した金属元素を含有する有機ポリマーの球状粒子に関する。また、その金属元素を含有する有機ポリマーの球状粒子を、通常の乳化重合又は懸濁重合によって簡便で、高効率に調製できる製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から金属元素の金属粉体、また、その金属酸化物微粉体(又は微粒子)を含有させた樹脂微細粒子が、例えば、その金属酸化物磁性粉として含む電子写真用トナー、酸化物顔料粉として含む各種の着色粒子及びチタン等の酸化物粉体を含有する高屈折率樹脂粒子として知られている。例えば、特開昭54−84731号、特開昭59−224102号公報には、鉄,コバルト,ニッケル,三二酸化鉄,四三酸化鉄,酸化鉄マンガン,酸化鉄ニッケル,フェライト等の金属元素の磁性体微粒子を内包する平均粒子径0.1〜100μmの略球状の磁性トナー粒子が記載されている。このような親水性金属元素粒子を樹脂粒子内に内包させるために、元来親水性であるこれらの粒子を親油化させるために、シランカップリング剤で表面処理させた後、水相とスチレン,アクリル酸アルキル,メタアクリル酸アルキル等のビニルモノマーの水性分散媒に分散させ懸濁重合させて、金属元素の磁性体微粒子を内包させた磁性トナー樹脂粒子が記載されている。しかしながら、このような磁性体微粒子の表面は、シランカップリング剤のシラン化合物で被覆されて親油化されたとしても、このような鉄等の金属元素の複合酸化物粉体なる表面処理は、シラン化合物によって単に物理的に被覆されているに過ぎないといえる。
【0003】
また、特開平9−169951号公報には、プラスチックス、金属等の各種の表面を改質させるコーテイング組成物として、反応性ラジカルを有するシラン化合物と各種の金属錯体化合物、又は金属アルコキシドを含有するコーテイング組成物が記載されている。しかしながら、これらの金属元素の化合物は、シラン化合物の三次元網目構造の塗膜を形成させる硬化触媒として使用されている。従って、シラン化合物とこれらの金属錯体化合物、金属アルコキシド等の金属元素の化合物間には、特に化学的な結合が形成されていないといえる。
【0004】
また、特開平8−211649号公報には、バインダー樹脂中に、磁性粉等の粒子の表面に化学的に結合するアルキル基及びアルコキシ基を有するシラン化合物が存在する電子写真用トナーが記載され、その製造方法として、水不溶性のモノマー中に磁性粉を分散するモノマー分散体に、反応性ラジカルのアルキル基及びアルコキシ基を有するシラン化合物を添加したモノマー分散体を、水性媒体中で、所定の粒径のモノマー液滴を懸濁重合させて、磁性粉を内包するスチレン−アクリル系樹脂トナーを調製させることが記載されている。しかるに、このように調製したとしても、この公報に開示されている実施例からすると、シラン化合物のカップリングでは、磁性粉のマグネタイト(すなわち、鉄の複合酸化物である)の表面にシラン化合物が化学的に結合することが極めて困難といえる。
【0005】
更にはまた、特開昭61−291650号公報には、20μm以下で、屈折率が1.6以上のTiO2,ZrO2,NbO2,In2O3,SnO2,CeO2,W2O5等をシランカップリング剤や、チタンカップリング剤で表面処理された無機微細粒子を10〜60重量%分散させたアクリル系、スチレン系の高屈折率樹脂組成物が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況にあって、上述する公報例の提案は、元来親水性である金属元素の酸化物である磁性粉体を、水不溶性のモノマー分散体として懸濁又は乳化重合下に、その金属元素の酸化物を内包させる樹脂粒子の調製方法である。また、これらの提案では、その磁性粉体の表面をシラン化合物で被覆処理又はカップリングさせて親油化させて、モノマー中への分散を安定にさせる目的下に重合させて磁性粉体を樹脂粒子に内包させようとするものである。
【0007】
しかしながら、既に上述した如く、これらの磁性粉体の金属酸化物では、シラン化合物を化学的に結合させるには充分でなく、従って、モノマー中へその金属酸化物粒子を、より高濃度で、より安定に、しかも、均質に分散させるには、未だ十分満足されるものでない。また、樹脂粒子内に所定量の金属元素を内包させて、例えば、その樹脂粒子の屈折率を自在に調整させ、且つ高屈折率粒子を調製させるには、未だ十分満足されるものではない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、金属元素を重合性モノマー中に均一に、安定に分散させて、そのモノマーの重合体粒子内に金属元素の所定量を均質に含有(又は内包)する有機ポリマー球状粒子及び簡便に、しかも、高効率で調製できるその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した課題に鑑みて、鋭意検討した結果、水不溶性の重合性モノマーの水性媒体中に金属元素を有する化合物を均質に分散させることに着目し、予め金属元素の微細水酸化物とシランカップリング剤との脱水型の金属シラン縮合物を調製して、これを水不溶性の重合性モノマー水性媒体中に、分散混合させて、次いで乳化重合させたところ、その重合体粒子である有機ポリマー球状粒子中に金属元素が、化学的に結合されて均質に内包させられることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明によれば、金属元素を、反応性有機ラジカルを有する金属シラン縮合体として含有させ、その反応性有機ラジカルを介して、重合性モノマーが重合体粒子として有機ポリマー球状粒子の形成時にモノマーに結合して、有機ポリマー球状粒子中に金属元素を含有(又は内包)していることを特徴とする金属元素含有の有機ポリマー球状粒子を提供する。 すなわち、この金属シラン縮合体は、アルコキシシラン類及び/又はアシロキシシラン類のシラン化合物と下記(1)式で表わされる金属元素のオキシ化合物との脱水型又は脱アルコール型の縮合物であって、その縮合物に、シラン化合物から導入される反応性有機ラジカルを介して、ポリマー質が、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、フッ素含有アクリル系、フッ素含有アクリル−スチレン系の何れか一種である有機ポリマー球状粒子に結合しているものである。
M(OR)n ・・・・・・・・・・・・・(1)
式中、Mは元素周期表の第2族〜第14族に属する金属元素及び遷移金属元素類から選ばれる原子価2の第2族(Be,Mg,Ca)、原子価4の第4族(Ti,Zr,Th,Ce)、原子価2及び3の第5族(V)、原子価2及び3の第6族(Cr)、原子価3の第7族(Mn)、原子価3の第8族(Fe)、原子価3の第11族(Au)、原子価2の第12族(Zn)、原子価3の第13族(Al,Ga,Tl)、原子価2の第14族(Sn)の少なくとも1種の金属元素を示し、Rが水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基を示し、n=2〜4の整数を示す。
【0011】
また、本発明によれば、このような金属元素含有のポリマー質が、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、フッ素含有アクリル系、フッ素含有アクリル−スチレン系の何れか一種である有機ポリマー球状粒子を調製するにおいて、水/重合性モノマー分散媒体中に、均一に分散する金属元素が金属シラン縮合体として含有する混合溶液を用いて重合させて、重合体粒子中に金属シラン縮合体を介して、金属元素を結合(内包)させることを特徴とする金属元素含有の有機ポリマー球状粒子の製造方法を提供する。 すなわち、攪拌下に、アルコキシシラン類及び/又はアシロキシシラン類の所定量のシラン化合物と、下記(1)式で表わされる所定量の金属元素のオキシ化合物と、界面活性剤及び重合性モノマーとを含有させた均質混合溶液を調製する。 次いで、この均質混合溶液に、所定量の水と更に同様の重合性モノマーとを添加させて、生成させた反応性有機ラジカルを有する脱水型又は脱アルコール型の金属シラン縮合体を含有する水/重合性モノマー混合溶液とする。
M(OR)n ・・・・・・・・・・・・・(1)
式中、Mは元素周期表の第2族〜第14族に属する金属元素及び遷移金属元素類から選ばれる原子価2の第2族(Be,Mg,Ca)、原子価4の第4族(Ti,Zr,Th,Ce)、原子価2及び3の第5族(V)、原子価2及び3の第6族(Cr)、原子価3の第7族(Mn)、原子価3の第8族(Fe)、原子価3の第11族(Au)、原子価2の第12族(Zn)、原子価3の第13族(Al,Ga,Tl)、原子価2の第14族(Sn)の少なくとも1種の金属元素を示し、Rが水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基を示し、n=2〜4の整数を示す。」
【0012】
次いで、この均質混合溶液に、所定量の水と更に同様の重合性モノマーとを添加させて、生成させた反応性有機ラジカルを有する脱水型又は脱アルコール型の金属シラン縮合体を含有する水/重合性モノマー混合溶液とする。
次いで、この混合溶液を乳化重合又は懸濁重合させて、重合性モノマーが球状重合体を形成させながら、同時に金属元素のシラン縮合体に係わる反応性有機ラジカルと重合性モノマーと間での反応を介させて、金属元素含有(又は内包)のポリマー質が、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、フッ素含有アクリル系、フッ素含有アクリル−スチレン系の何れかである有機ポリマー球状粒子を調製させるものである。
【0013】
<作用>
以上のようにして調製される金属元素のオキシ化合物とシラン化合物との金属シラン縮合物には、シラン化合物から導入される反応性有機ラジカルを有して、重合性モノマー水性媒体中に、均質に混合された混合溶液としてその金属元素が安定に、均質に含有される。従って、本発明によるこの均質混合溶液を用いて、通常の乳化重合又は懸濁重合させて得られる有機ポリマー球状粒子中には、所定の金属元素が、金属シラン縮合体を介して、均質に内包され、しかも、その金属元素の内包量を適宜に調整させることができる。
【0014】
また、得られる金属元素含有(又は内包)する有機ポリマー球状粒子は、その金属元素種に係わって、また、その内包量に係わって、有機ポリマー球状粒子には、例えば、屈折率等の諸特性を安定した物性として賦与させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明による金属元素含有の有機ポリマー球状粒子及びその製造方法の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明によれば、既に上述した如く、金属元素を、反応性有機ラジカルを有する金属シラン縮合体として、重合性モノマーの水性分散媒体中に混合溶液として、安定に、均質に含有させ、これを通常の乳化重合又は懸濁重合法で、重合体粒子である有機ポリマー球状粒子中に、含有(又は内包)されることを特徴とするものである。
【0017】
すなわち、本発明における金属シラン縮合体は、既に上述した如く、アルコキシシラン類及び/又はアシロキシシラン類のシラン化合物と、下記(1)式で表される金属元素のオキシ化合物との脱水型の金属シラン縮合物又は脱アルコール型の金属シラン縮合物である。しかも、このような縮合物とすることで、この縮合物には、シラン化合物から反応性有機ラジカルが導入されることを特徴とする。
M(OR)n ・・・・・・・・・(1)
式中、Mは元素周期表の第2族〜第14族に属する金属元素及び遷移金属元素類から選ばれる原子価2の第2族(Be,Mg,Ca)、原子価4の第4族(Ti,Zr,Th,Ce)、原子価2及び3の第5族(V)、原子価2及び3の第6族(Cr)、原子価3の第7族(Mn)、原子価3の第8族(Fe)、原子価3の第11族(Au)、原子価2の第12族(Zn)、原子価3の第13族(Al,Ga,Tl)、原子価2の第14族(Sn)の少なくとも1種の金属元素を示し、Rが水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基を示し、n=2〜4の整数を示す。
【0018】
そこで、本発明において、シラン化合物から導入される反応性有機ラジカルとして、例えば、ビニル基、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基等を挙げることができる。すなわち、そのシリコーン化合物(又はシラン化合物)としては、例えば、アルコキシシラン、アシロキシシラン、シランカップリング剤、シリル化剤等のシラン化合物を挙げることができる。例えば、アルコキシシランとしては、Si(OMe)4 ,MeSi(OMe)3 ,Me2Si(OMe)2,Me3Si(OMe) ,C2H5Si(OMe)3 ,n−C3H7Si(OMe)3 ,n−C6H13Si(OMe)3 ,n−C10H21Si(OMe)3 ,CH2=CHSi(OMe)3 ,C6H5Si(OMe)3 ,(C6H5)2Si(OMe)2 ;特に、通常に知られているシランカップリング剤として、NH2CH2CH2NHCH2CH2CH2MeSi(OMe)3 ,NH2CH2CH2NHCH2CH2CH2SiMe(OMe)2,HSCH2CH2CH2Si(OMe)3 ,C6H5NHCH2CH2CH2Si(OMe)3 ,CH2=(CH3)CCOOCH2CH2CH2Si(OMe)3 ;また、Si(OEt)4 ,MeSi(OEt)3 ,Me2Si(OEt)2 ,Me3SiOEt等が挙げられ、また、アシロキシシランとしては、MeSi(OCOCH3)3,C2H5Si(OMe)3 ,CH2=CHSi(OCOCH3)3 等が挙げられ、更には、シリル化剤としては、Me3SiCl,(Me3Si)2NH,(Me3SiNH)2C=O,CH3CONHSiMe3 等を挙げることができる。
【0019】
また、シランカップリング剤について更に説明すれば、通常、Rn−Si(OR1)4−nとして表される式中において、Rはアルキル基、アミノアルキル基、アルケニル基で、R1は、アルキル基またはアルコキシアルキル基であり、nは1〜3の整数である。本発明において、特に、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、また、R、R1が共にアルキル基のテトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラブチルシリケート等であるものが好適に使用される。
【0020】
また、上記(1)式で表わされる金属元素のオキシ化合物としては、その金属水酸化物、その金属アルコキシド等が挙げられる。そこで、本発明において、その金属水酸化物としては、例えば、Be(OH)2,Mg(OH)2,Ca(OH)2,Zn(OH)2,Al(OH)3,Au(OH)3,Ti(OH)4,Zr(OH)4,V(OH)2,V(OH)3,Cr(OH)2,Cr(OH)3,MnO(OH),Mn(OH)3,Fe(OH)3 ,Ga(OH)3 ,Tl(OH)3 ,Th(OH)4,Ce(OH)4等が挙げられる。本発明において、これらの水酸化物の微粉末又はこれらの水分散性ゾルが用いられ、その平均粒子径は、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは、0.05〜5μm、更に好ましくは0.1〜2μmの金属水酸化物が適宜好適に用いられる。
【0021】
また、金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムエトキシド,アルミニウムトリエトキシド,イソブチルアルミニウムメトキシド,イソブチルアルミニウムエトキシド,アルミニウムイソプロポキシド,イソブチルアルミニウムイソプロポキシド,アルミニウムブトキシド,アルミニウムt−ブトキサイド;スズt−ブトキサイド;アルミニウムトリ−n−プロポキシド,アルミニウムトリ−n−ブトキシド;テトラエトキシチタン,テトラ−n−プロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトラ−i−プロポキシチタン,チタンメトキサイド,チタンエトキサイド,チタン−n−プロポキサイド,チタンイソプロポキサイド,チタン−n−ブトキサイド,チタンイソブトキサイド;ジルコニウムエトキサイド,ジルコニウム−n−プロポキサイド,ジルコニウムイソプロポキサイド,ジルコニウム−n−ブトキサイド,エトキサイドテトラ−n−プロポキシジルコニウム等が挙げられる。
【0022】
また、本発明によるこのような金属シラン縮合体を用いることで、有機ポリマー球状粒子100重量部当り、所望する金属元素を0.01〜30重量部数の範囲で、金属元素を化学的に結合して効果的に含有(又は内包)する金属元素含有の有機ポリマー球状粒子が適宜提供できる。
【0023】
また、このように金属元素を内包させることで、本発明において、有機ポリマーの球状粒子に賦与される諸物性の一つとして、例えば、その屈折率を1.48以上で、好ましくは、略1.6を超え、略1.9以下の屈折率を有する有機ポリマー球状粒子を適宜提供できる。
【0024】
本発明においては、このような金属元素含有する有機ポリマー球状粒子のポリマー質として、特に限定されるものではないが、好ましくは、例えば、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、フッ素含有アクリル系、フッ素含有アクリル−スチレン系等を適宜好適に用いることができる。
【0025】
そこで、本発明におけるアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸アニールエステル類、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類、多価アクリル酸エステル類、脂環式アルコールのメタクリル酸エステル類、エポキシ基含有ビニル単量体、不飽和カルボン酸又はその部分エステル化合物及びその無水物、アミド基含有ビニル単量体、有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体等が挙げられる。本発明においては、原料として比較的に低廉で、しかも、モノマー種が多く、強度等の特性を所望する値にコントロールし易い等の観点から、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の単独又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を主成分にして、他のアクリル系モノマー類の少なくとも1種を適宜好適に組合わせて使用することができる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類に他のモノマー類を組合わせて使用する場合、その配合割合は、香料担持体の用途、発現させる特性にもよるが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の100重量部に対して、他のアクリル系モノマー類の少なくとも1種を10〜100重量部の範囲で適宜用いることができる。
【0026】
これらのアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸イソプロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メタ)アクリル酸ペンチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸ノニル,(メタ)アクリル酸デシル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸フェニル,(メタ)アクリル酸メトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシエチル,(メタ)アクリル酸プロポキシエチル,(メタ)アクリル酸ブトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等のアクリル酸アルキルエステル;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド,N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂環式アルコールのアクリル酸エステル;エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジエチルグリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。
【0027】
また、フッ素置換アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル,(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル−2−パ−フルオロブチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル,(メタ)アクリル酸パ−フルオロメチル,(メタ)アクリル酸ジパ−フルオロメチルメチル等のフッ素置換(メタ)アクリル酸系モノマー等を挙げることができる。
【0028】
また、スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン,メチルスチレン,ジメチルスチレン,トリメチルスチレン,エチルスチレン,ジエチルスチレン,トリエチルスチレン,プロピルスチレン,ブチルスチレン,ヘキシルスチレン,ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン,クロルスチレン,ブロモスチレン,ジブロモスチレン,クロルメチルスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン,アセチルスチレン,メトキシスチレン、α−メチルスチレン,ビニルトルエン等を挙げることができる。
【0029】
また、その他の重合性モノマーとして、例えば、パーフロオロエチレン,パーフロオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,n−酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビニル,カプロン酸ビニル,パーサティック酸ビニル,ラウリル酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸−2−クロロエチル等が挙げられる。このような他のモノマーを併用させて有機ポリマー粒子を製造する場合に、アクリル系モノマー100重量部当りに対して、これらその他のモノマーを、アクリル系重合体の特性を損なわない限りにおいて、通常、100重量部以下で、好ましくは、0.1〜50重量部の範囲で適宜使用することができる。
【0030】
また、必要に応じて、官能基を有するモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸が挙げられ、また、これらの誘導体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、また、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル系誘導体類、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類、アリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミンなどのアリルアミン系誘導体、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体、p−アミノスチレンなどのアミノスチレン類、6−アミノヘキシルコハク酸イミド、2−アミノエチルコハク酸イミド等のアミノ基含有エチレン性不飽和結合を有するモノマーが適宜好適に使用することができる。
【0031】
また、本発明において、乳化重合又は懸濁重合下にこのような金属元素含有の有機ポリマー球状粒子を調製するに、必ずしも架橋構造を形成させる必要がないが、粒子の形成強度からして、好ましくは、架橋構造を適宜導入させることができる。このような架橋構造を形成させるに、2官能性以上の多官能性モノマーを適宜好適に使用することができる。その多官能性モノマーとして、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート,ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート,トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート,N−メチロールアクリルアマイド等を挙げることができる。また、このような多官能性モノマーは、既に上述した重合性モノマー100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部、好ましくは、1〜15重量部で適宜好適に使用される。
【0032】
また、本発明によれば、このような金属元素含有の有機ポリマー球状粒子を調製させるにおいて、既に上述した如く、水/重合性モノマー分散媒体中に、均一に分散する金属元素が金属シラン縮合体として含有する混合溶液を用いて重合させることで、重合体粒子である有機ポリマー球状粒子中に金属シラン縮合体を介して、金属元素を結合させて含有(又は内包)させることができる。
【0033】
まず、攪拌下に、アルコキシシラン類及び/又はアシロキシシラン類の所定量のシラン化合物と、下記(1)式で表わされる金属元素のオキシ化合物の所定量と、界面活性剤及び既に上述した重合性モノマーの所定量とを含有させて、均質な混合溶液を調製させる。
M(OR)n ・・・・・・・・・・・・・(1)
式中、Mは元素周期表の第2族〜第14族に属する金属元素及び遷移金属元素類から選ばれる原子価2の第2族(Be,Mg,Ca)、原子価4の第4族(Ti,Zr,Th,Ce)、原子価2及び3の第5族(V)、原子価2及び3の第6族(Cr)、原子価3の第7族(Mn)、原子価3の第8族(Fe)、原子価3の第11族(Au)、原子価2の第12族(Zn)、原子価3の第13族(Al,Ga,Tl)、原子価2の第14族(Sn)の少なくとも1種の金属元素を示し、Rが水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基を示し、n=2〜4の整数を示す。
【0034】
次いで、この均質混合溶液に、所定量の水と更に上記で使用した同様の重合性モノマーとを添加させて加温反応させることで、脱水型の金属シラン縮合体又は脱アルコール型の金属シラン縮合体を適宜生成させる。これによって、この金属シラン縮合体を含有する水/重合性モノマー混合溶液が調製される。ここで、生成した金属シラン縮合体には、添加したシラン化合物から反応性有機ラジカルが導入されている。
次いで、この反応性有機ラジカルを有する金属シラン縮合体と重合性モノマーとが均一に混合されている混合溶液を用いることで、通常の乳化重合又は懸濁重合させて、重合性モノマーが球状重合体を形成させながら、同時に金属元素のシラン縮合体に係わる反応性有機ラジカルと重合性モノマーとの反応が、略同時に進捗させられる。これによって、本発明では、得られる有機ポリマー球状粒子中には、所望する金属元素が化学的に結合されて内包されている。なお、本発明においては、必要において、ソープフリ乳化重合も好適に調製され、特に、乳化重合又は懸濁重合に限定されるものではない。
【0035】
ここで、乳化重合又は懸濁重合においては、その乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩,ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル,ビニル基、アクリロイル基、アリル基等の反応性基を有する反応性乳化剤,ポリビニルアルコール,ポリアクリル酸塩等の水溶性高分子化合物を挙げることができる。例えば、乳化重合において、これらの乳化剤は、アクリル系モノマー等の重合性モノマー100重量部に対して、通常、0.01〜60重量部で、好ましくは0.1〜20重量部の範囲で適宜添加することができる。また、その添加量において、下限値方向の添加量では、得られるポリマー球状粒子の粒子径が大き目の傾向に調製され、一方、上限値方向の添加量では、その粒子径が小さ目の傾向に調製され、本発明においても、金属元素含有の有機ポリマー球状粒子の平均粒子径は、適宜0.01〜100μm範囲に調製することができる。
【0036】
これらの方法で製造される本発明による金属元素含有の有機ポリマー球状粒子の平均粒子径は、通常、体積基準で表わして0.01〜100μmの粒子で、好ましくは、0.08〜50μmの粒子で、更に好ましくは、0.1〜20μmの粒子を適宜好適に調製することができる。また、特に、所望する粒子径及びその均斉度を求める場合には、通常、乳化重合法にあっては、乳化剤の種類及びその添加量等に影響され、分散安定剤として界面活性剤等を用いずに水系の反応媒体中に、溶解したモノマーを、水溶性開始剤により攪拌混合下に重合させることから、一般的に、その粒子径は、溶解度の高いモノマーにおいて、生成する粒子径が小さくなり、溶解度の低いモノマーにおいて、その粒子径が大きくなる傾向にある。本発明においては、好ましくは、懸濁重合法において、油溶性重合開始剤を溶解する反応モノマーに、乳化剤を溶解する水性媒体を所定の攪拌速度・加温下に介在させて所望する粒子径を有する本発明による金属元素含有の重合体樹脂粒子の分散液(エマルジョン)を適宜容易に調製することができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例にいささかも限定されるものではない。
【0038】
(実施例)
金属元素として、それぞれチタニウム(又はチタン)、ジルコニウム(又はジルコン)及び錫である反応性有機ラジカルを含有する金属シラン縮合体を含有するモノマー混合溶液を調製し、次いで、この混合溶液を用いて乳化重合又は懸濁重合させて、チタニウム、ジルコニウム及び錫の金属元素が均質に内包された有機ポリマーの球状微細粒子及びその製造方法について説明する。
【0039】
実施例1
金属元素としてチタンの金属シラン縮合体を含む水相モノマー分散体を調製した。温度計、撹拌装置を備えた容量300mlの四つ口丸底フラスコに、テトラ−n−プロポキシチタンニウムの5重量部、シランカップリング剤のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの5重量部、イソプロパノール10重量部、メチルメタクリレート(MMA)30重量部を添加して30分間攪拌混合した。次いで、水道水1重量部、MMAの65重量部を添加して、脱アルコール型の反応性ラジカルを有するチタン・シラン縮合体を含有する含水MMA混合溶液−1を調製した。
次いで、金属元素としてジルコンの金属シラン縮合体を含む水相モノマー分散体を調製した。テトラ−n−プロポキシチタニウムの代わりにテトラ−n−プロポキシジルコニウムに替えた以外は、チタン・シラン縮合体を含有する含水MMA混合溶液−1を調製すると同様にして、脱アルコール型の反応性ラジカルを有するジルコン・シラン縮合体を含有する含水MMA混合溶液−2を調製した。
【0040】
実施例2
<乳化重合によるチタン元素内包のPMMA微細粒子の調製>
温度計、窒素導入管、撹拌装置を備えた容量1000mlの四つ口丸底フラスコに、乳化剤であるドデシルスルホン酸ナトリウムの1.5重量部、水道水240重量部を添加し、80℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウムの0.55重量部を添加した。次いで、76〜78℃、攪拌下に、含水MMA混合溶液−1の100重量部と乳化剤ドデシルスルホン酸ナトリウムの1.5重量部との混合溶液をゆっくり徐注させた後、この温度下で40分間反応させ、次いで90℃で1時間反応させて、本発明によるチタン・シラン縮合体を内包したPMMA微細粒子を分散する重合体を調製した。得られた金属元素を内包するPMMA微細粒子の平均粒子径は、80nmで、真球状の粒子であった。また、その可視光の透過率が98%の透明粒子で、且つその屈折率は1.81であった。
【0041】
実施例3
<懸濁重合によるチタン元素内包のPMMA微細粒子の調製>
温度計、窒素導入管、撹拌装置を備えた容量1000mlの四つ口丸底フラスコに、含水MMA混合溶液−1の100重量部を添加し、アゾ系開始剤のAIBNの1.5重量部を溶解させ、更に乳化剤であるポリビニールアルコールの5%水溶液60重量部、重合禁止剤の亜硝酸ナトリウム0.1重量部、水300重量部を添加し、強攪拌下で10分間混合した。次いで、75℃×2時間反応させ、更に90℃×3時間反応させて、発明によるチタン・シラン縮合体を内包したPMMA微細粒子を分散する重合体を調製した。得られた金属元素を内包するPMMA微細粒子の平均粒子径は、2μmで、真球状の粒子であった。また、半透明の粒子で、且つその屈折率は1.82であった。
【0042】
実施例4
<乳化重合によるジルコニウム元素内包のPMMA微細粒子の調製>
温度計、窒素導入管、撹拌装置を備えた容量1000mlの四つ口丸底フラスコに、乳化剤であるドデシルスルホン酸ナトリウム1.5重量部、水道水240重量部を添加し、80℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウムの0.55重量部を添加した。次いで、76〜78℃、攪拌下に、含水MMA混合溶液−2の100重量部と乳化剤ドデシルスルホン酸ナトリウム1.5重量部との混合溶液をゆっくり徐注させた後、この温度下で40分間反応させ、次いで90℃×1時間反応させて、本発明によるジルコニウム・シラン縮合体を内包したPMMA微細粒子を分散する重合体を調製した。得られた金属元素を内包するPMMA微細粒子の平均粒子径は、80nmで、真球状の粒子であった。また、その可視光の透過率が96%の透明粒子で、且つその屈折率は1.76であった。
【0043】
実施例5
金属元素としてジルコニウムの水性水酸化物ゾルを用いて、金属元素としてジルコニウムの金属シラン縮合体を含む水相モノマー分散体を調製した。温度計、撹拌装置を備えた容量300mlの四つ口丸底フラスコに、ジルコニウムの水性水酸化物ゾル5重量部、シランカップリング剤のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、イソプロパノール10重量部、メチルメタクリレート(MMA)30重量部を添加して30分間攪拌混合した。次いで、水道水1重量部、MMAの65重量部を添加して、脱水型の反応性ラジカルを有するジルコニウム・シラン縮合体を含有する含水MMA混合溶液−3を調製した。
次いで、金属元素として錫の水性水酸化物ゾルを用いて、金属元素として錫の金属シラン縮合体を含む水相モノマー分散体を調製した。テトラn−プロポキシチタニウムの代わりにテトラn−プロポキシジルコニウムに替えた以外のジルコン・シラン縮合体を含有する含水MMA混合溶液−1を調製すると同様にして、脱アルコール型の反応性ラジカルを有する錫・シラン縮合体を含有する含水MMA混合溶液−4を調製した。
【0044】
実施例6
ドデシルスルホン酸ナトリウムの1.5重量部、水道水240重量部を添加し、80℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウムの0.55重量部を添加した。次いで、76〜78℃、攪拌下に、含水MMA混合溶液−3の100重量部と乳化剤ドデシルスルホン酸ナトリウムの1.5重量部との混合溶液をゆっくり徐注させた後、この温度下で40分間反応させ、次いで90℃で1時間反応させて、本発明によるジルコニウム・シラン縮合体を内包したPMMA微細粒子を分散する重合体を調製した。得られたジルコニウム元素を内包するPMMA微細粒子の平均粒子径は、80nmで、真球状の粒子であった。また、その可視光の透過率が97%の透明粒子で、且つその屈折率は1.76であった。
【0045】
実施例7
次いで、含水MMA混合溶液−3を含水MMA混合溶液−4に替えた以外は、実施例6と同様にして、錫元素を内包するPMMA微細粒子を得、その平均粒子径は、80nmで、真球状の粒子であった。
【0046】
【発明の効果】
以上から、本発明による金属元素のオキシ化合物とシラン化合物との金属シラン縮合体により、金属元素を重合性モノマー中に均一に、安定に分散され、しかもこの縮合体には、反応性有機ラジカルが導入されているので、そのモノマーの重合体粒子内に、化学的に結合する金属元素の所定量を均質に含有(又は内包)する有機ポリマー球状粒子を提供できる。
【0047】
また、本発明による金属元素のオキシ化合物とシラン化合物との反応性有機ラジカルを有する金属シラン縮合物が、重合性モノマー水性媒体中に、均質に混合された混合溶液としてその金属元素が均質に、安定に含有されているこの均質混合溶液を用いることで、通常の乳化重合又は懸濁重合で、有機ポリマー球状粒子中に、所定の金属元素が、均質に内包され、しかも、その金属元素の内包量を適宜に調整できる簡便で、高効率で製造できる製造方法を提供できる。
【0048】
また、得られる金属元素含有(又は内包)する有機ポリマー球状粒子は、その金属元素種に係わって、また、その内包量に係わって、諸特性を安定に賦与される有機ポリマー球状粒子を提供できる。
Claims (6)
- 重合体粒子を形成する有機ポリマー中に金属シラン縮合体として結合する金属元素を含有(又は内包)する有機ポリマー球状粒子において、
前記金属シラン縮合体は、アルコキシシラン類及び/又はアシロキシシラン類のシラン化合物と下記(1)式、
M(OR)n ・・・・・・・・・・・・・(1)
[式中、Mは元素周期表の第2族〜第14族に属する金属元素及び遷移金属元素類から選ばれる原子価2の第2族(Be,Mg,Ca)、原子価4の第4族(Ti,Zr,Th,Ce)、原子価2及び3の第5族(V)、原子価2及び3の第6族(Cr)、原子価3の第7族(Mn)、原子価3の第8族(Fe)、原子価3の第11族(Au)、原子価2の第12族(Zn)、原子価3の第13族(Al,Ga,Tl)、原子価2の第14族(Sn)の少なくとも1種の金属元素を示し、Rが水素又は炭素数が1〜5のアルキル基を示し、n=2〜4の整数を示す。]
で表わされる前記金属元素のオキシ化合物との脱水型又は脱アルコール型縮合物であって、且つ前記金属シラン縮合体に係わる反応性有機ラジカルを介して、ポリマー質が、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、フッ素含有アクリル系、フッ素含有アクリル−スチレン系の何れか一種の前記有機ポリマーに結合していることを特徴とする金属元素含有の有機ポリマー球状粒子。 - 前記反応性有機ラジカルが、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の金属元素含有の有機ポリマー球状粒子。
- 前記有機ポリマー球状粒子100重量部当り、前記金属元素が0.1〜30重量部数の範囲で含有していることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の金属元素含有の有機ポリマー球状粒子。
- 屈折率が1.48以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載する金属元素含有の有機ポリマー球状粒子。
- 前記金属元素含有の有機ポリマー球状粒子の平均粒子径が、0.01〜100μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の有機ポリマー球状粒子。
- 金属元素が、金属シラン縮合体として球状重合体粒子中に結合しているポリマー質が、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、フッ素含有アクリル系、フッ素含有アクリル−スチレン系の何れか一種である金属元素を含有(又は内包)する有機ポリマー球状粒子の製造方法において、
攪拌下に、アルコキシシラン類及び/又はアシロキシシラン類の所定量のシラン化合物と、下記(1)式、
M(OR)n ・・・・・・・・・・・・・(1)
[式中、Mは元素周期表の第2族〜第14族に属する金属元素及び遷移金属元素類から選ばれる原子価2の第2族(Be,Mg,Ca)、原子価4の第4族(Ti,Zr,Th,Ce)、原子価2及び3の第5族(V)、原子価2及び3の第6族(Cr)、原子価3の第7族(Mn)、原子価3の第8族(Fe)、原子価3の第11族(Au)、原子価2の第12族(Zn)、原子価3の第13族(Al,Ga,Tl)、原子価2の第14族(Sn)の少なくとも1種の金属元素を示し、Rが水素又は炭素数が1〜5のアルキル基を示し、n=2〜4の整数を示す。」
で表わされる所定量の前記金属元素のオキシ化合物と、界面活性剤及び重合性モノマーとを含有する均質混合溶液を調製させ、
前記均質混合溶液に、所定量の水と更に前記重合性モノマーとを添加させ、生成させた反応性有機ラジカルを有する脱水型又は脱アルコール型の前記金属シラン縮合体を含有する水/重合性モノマー混合溶液を調製させ、
次いで、前記混合溶液を乳化重合又は懸濁重合させて、前記反応性有機ラジカルを介して、前記金属元素シラン縮合体が前記重合性モノマーに結合しながらポリマー質が、アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、フッ素含有アクリル系、フッ素含有アクリル−スチレン系の何れか一種である球状重合体を調製させることを特徴とする金属元素含有の有機ポリマー球状粒子の製造方法。
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