JP3936877B2 - グレーチングにおけるメインバーの連結構造 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通水性を備えた溝蓋として使用されるグレーチングに関し、さらに詳しくは該グレーチングを構成するメインバーの連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
プールサイドや浴場等の排水溝として形成された溝路を覆うための溝蓋に使用されるグレーチングにあって、隣接するメインバー相互を弾性連結部材によって順次連結することにより、複数のメインバーを多数並列させてなるグレーチングが知られている。かかるグレーチングは、溶接等によって組み付けられる一般的なグレーチングに比して、その全長の調節が自由にできるとともに、使用中において一部が損傷してもその部分だけを簡単に取り替えることが可能であり、さらに溝路の清掃時には、溝路から取り外した状態で巻回することができるので邪魔にならない利点もある。
【0003】
この種のグレーチングとしては、図9,図10に示すように、断面略倒H形を呈するメインバーaの左右両側に、上下方向で対向する一対の係止突起b,bを突成することによって、該係止突起b,bの内側に嵌合溝部cを夫々形成する一方、該嵌合溝部cに嵌合される嵌入片部dを左右両端に備えた弾性連結部材eを形成し、該弾性連結部材eの両嵌入片部d,dを隣接するメインバーa,aの嵌合溝部c,cに夫々嵌合させることにより、隣接するメインバーa,aの端部相互を順に連結するようにした構成(従来構成1)や、図11,図12に示すように、断面T字形を呈するメインバーfの左右両側に嵌合溝gを夫々備えた複数の連結部h,hを、該メインバーfの長手方向の中間部分の二カ所に位置させて形成する一方、該連結部h,hの嵌合溝gに嵌合される嵌入片部jを左右両端に備えた弾性連結部材kを形成し、該弾性連結部材kの両嵌入片部j,jを隣接するメインバーf,fの嵌合溝g,gに夫々嵌合させることにより、隣接するメインバーf,fの中間部相互を順に連結するようにした構成(従来構成2)等が案出されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来構成1のものにあっては、メインバーaを押出成形することができるため、製造コストは低廉であるが、メインバーaの左右両側に形成された嵌合溝部c,c内にゴミや泥が滞留するという問題点がある。一方、従来構成2のものは、メインバーkが射出成形によって形成されるが、周知のように射出成形用の金型は高価であるため、製造コストが高くなるとともに、長さの異なる数種類のメインバーkを形成する場合には、夫々の金型を揃える必要があり、さらに仕様以外の長さの特注品には対応できないという問題点がある。また、従来構成1及び従来構成2の何れのものにあっても、隣接するメインバー相互が弾性連結部材の弾性作用を介して個々に変位可能であるため、受枠との間に隙間があると、人が乗った時の衝撃で騒音が発生するとともに、図13に示すように、受枠m上にメインバーf(またはメインバーa)の端部を直接乗載して支持させているため、滑り易い状態となっており、人が乗ると滑り動く虞があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点を解消し得るメインバーの連結構造を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メインバーを多数並列させて、その隣接するメインバー相互を連結部材によって連結してなり、両側縁を溝路に沿って配設された受枠に乗載して該溝路に被着されるグレーチングにおいて、メインバーを端部が開口した筒状若しくは略筒状に形成する一方、メインバーの下面側に位置させて受枠との間に介装される支持座部と、該支持座部に連成された一対の連結突起部とを備えてなる連結部材を弾性材料により一体形成し、該連結部材を隣接するメインバーの端部間に差し渡して、該端部の開口に、隣り合う各連結部材の隣接するメインバー相互を連結するようにしたものであり、さらに、前記一対の連結突起部は、メインバーの連結時に隣り合う連結部材相互の連結突起部を二つ合わせると、メインバーの端部の開口内に略密嵌状に強制嵌入し得る略整一なブロック状となるよう形成されていることを特徴とするグレーチングにおけるメインバーの連結構造である。
【0007】
ここで、上記メインバーは、その縦断面形状において外周が完全に連続した筒状のものや、外周の一部がスリットを介して分離している略筒状のものが提案される。尚、この略筒状のものは、そのスリット部分を下部に位置させて用いることにより、メインバー内に水が入った場合でもその水抜き作用を生じるものとなる。
【0008】
かかる構成にあって、上記のように連結部材を隣接するメインバーの端部間に差し渡して、該端部の開口に、隣り合う各連結部材の連結突起部を夫々嵌入することにより、隣接するメインバー相互をその端部で個々に変位可能に連結することができる。そして、このように連結したグレーチングの両側縁を、溝路に沿って配設された受枠に乗載して該溝路に被着すると、各メインバーの端部を連結している連結部材の支持座部が受枠との間に介装されることにより、たとえ受枠との間に隙間があっても、弾性材料で形成された支持座部の緩衝作用によって、人が乗った時の衝撃が吸収され、騒音の発生が防止される。また、受枠上に支持座部が当接していることにより、その弾性材料の摺動抵抗作用によって、グレーチングに人が乗っても受枠上で滑り動くことがない。
【0009】
また、メインバーが筒状若しくは略筒状に形成されていることにより、流水がその外表面を上面側から側面を伝って下方に滴下するため、メインバーの外表面にゴミや泥が滞留することがない。
【0010】
また、前記メインバーを押出成形により形成する構成が提案される。ここで、メインバーの材質としては、硬質合成樹脂、或いはアルミニウム等の押出成形可能な金属が適用され得る。そして、このようにメインバーを押出成形により形成することにより、射出成形に比して金型が安価であるため、製造コストを低廉化することができるとともに、定尺寸法のものを種々異なる長さに切断することにより、仕様以外の長さの特注品にも容易に対応することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施例を図1〜図7について説明する。
グレーチング1を構成する複数のメインバー2は、AES樹脂等の硬質合成樹脂を押出成形することにより、図1に示すように、端部が開口した断面矩形の筒状に形成されている。また、該メインバー2の上面には、略鋸歯状の連続山形からなる滑り止め面3が形成されており、これによって滑り止め効果が得られるようになっている。このメインバー2は、6000mm程度の定尺成形品を150〜300mm程度の所定長さに切断することにより、種々の長さのものが仕様に基づいて製作される。
【0012】
一方、前記メインバー2を連結するための連結部材4は、ゴム或いは弾性合成樹脂(エラストマー)等の弾性材料を用いて一体形成されており、図2,図3に示すように、水平板状の支持座部5と、該支持座部5の外端に連成された立ち上がり板部6と、該立ち上がり板部6の内側面から支持座部5上に突出するように連成された左右で一対をなす連結突起部7a,7bとを備えている。この連結突起部7a,7bは、メインバー2の連結時に隣り合う連結部材4,4相互の連結突起部7a,7bを二つ合わせると、メインバー2の端部の開口2’内に略密嵌状に強制嵌入し得る略整一なブロック状となるよう形成されている。また、前記立ち上がり板部6には、その横幅方向の中間位置に、連結突起部7a,7bを左右に分ける適宜幅の間隙部8が支持座部5の直上から上端に至る全高に亘って形成されており、これによって、支持座部5が上下方向に屈撓可能となるようにしている。さらに、支持座部5の下面には、略鋸歯状の連続山形からなる滑り止め面9が形成されており、弾性材料の摺動抵抗作用による滑り止め効果をさらに高め得るようになっている。
【0013】
上述した連結部材4とメインバー2を組み付けてグレーチング1を構成するには、図4,図5に示すように、多数のメインバー2を並列させた状態で、隣接するメインバー2,2の端部間に連結部材4を夫々差し渡して、各メインバー2の端部の開口2’に、隣り合う連結部材4,4相互の連結突起部7a,7bを夫々嵌入する。そして、このような連結操作をメインバー2の両端部に施すことにより、隣接するメインバー2,2相互を順に連結することができる。ここで、連結されるメインバー2の本数を任意に増減することにより、グレーチング1の全長を自由に設定することができる。
【0014】
上記のように構成されたグレーチング1は、図6に示すように、その各メインバー2の両端部の下面側に連結部材4の支持座部5が位置することとなる。そして、該グレーチング1の両側縁を、図7に示すように、排水溝等の溝路10の肩部に沿って配設された受枠11に夫々乗載することにより、前記支持座部5を各メインバー2と受枠11との間に介装させた状態で、グレーチング1を溝路10に被着することができる。
【0015】
そして、このような被着状態にあって、仮に受枠11との間に隙間が生じていても、弾性材料で形成された支持座部5の緩衝作用によって、人が乗った時の衝撃が吸収されることにより、騒音の発生を防止することができる。また、受枠11上に支持座部5が当接していることにより、その弾性材料の摺動抵抗作用によって、グレーチング1に人が乗っても受枠11上で滑り動くことがない滑り止め効果を得ることができる。
【0016】
また、メインバー2が筒状に形成されていることにより、流水をその外表面の上面側から側面を伝って下方に滴下させることができる。これにより、メインバー2の外表面におけるゴミや泥の滞留を防止することができる。
【0017】
さらに、各連結部材4によってメインバー2が連結されていることにより、使用中において一部のメインバー2や連結部材4が損傷してもその部分だけを簡単に取り替えることが可能であり、また、各連結部材4の支持座部5が上下方向に屈撓可能であるため、溝路10の清掃時には、グレーチング1を該溝路10から取り外した状態で巻回することができるので邪魔にならない利点もある。
【0018】
尚、上記実施例では、メインバー2を、硬質合成樹脂で形成した場合について説明したが、同一構造であればアルミニウム等の押出成形可能な金属製であってもよい。ここで、上述したように合成樹脂製とすれば、軽量かつ安価で、種々の色彩を選定し得るものとなる。
【0019】
また、実施例では、メインバー2を、その縦断面形状において外周が完全に連続する筒状としたが、これ以外に、外周の一部がスリットを介して分離している略筒状のものであってもよい。この略筒状のものは、そのスリット部分を下部に位置させて用いることにより、メインバー内に水が入った場合でもその水抜き作用を生じるものとなる。
【0020】
さらに、実施例では、立ち上がり板部6の間隙部8が全て同一幅に形成された連結部材4を用いて、各メインバー2相互を等間隔に連結した構成例を示したが、図8イ,ロに示すように、間隙部8の幅sを変えて形成した連結部材4を用いることにより、メインバー2を曲線方向に列設することが容易である。即ち、一側部では、広幅の間隙部8を備えた連結部材4を用いて各メインバー2の端部の位置間隔を広くし、他側部では、狭幅の間隙部8を備えた連結部材4を用いて各メインバー2の端部の位置間隔を狭くすることにより、各メインバー2は、曲線方向に沿って列設されることとなり、湾曲した溝路や、溝路の円弧状コーナー部に適用可能となる。また、上記のような間隙部8の幅が異なる連結部材4を選択的に用いることにより、単に等間隔だけでなく、種々の変化に富んだ間隔を設定することができ、溝路の間隔を周囲のデザインに適合させるようにしたり、独自の趣味感を生じさせるような場合にも対応し得るものとなる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、上述したように、メインバーを端部が開口した筒状若しくは略筒状に形成する一方、メインバーの下面側に位置させて受枠との間に介装される支持座部と、該支持座部に連成された一対の連結突起部とを備えてなる連結部材を弾性材料により一体形成し、該連結部材を隣接するメインバーの端部間に差し渡して、該端部の開口に、隣り合う各連結部材の連結突起部を夫々嵌入することにより、隣接するメインバー相互を連結するようにしたから、溝路10への被着状態にあって、仮に受枠11との間に隙間が生じていても、弾性材料で形成された支持座部5の緩衝作用によって、人が乗った時の衝撃が吸収されることにより、騒音の発生を防止することができる。また、受枠11上に支持座部5が当接していることにより、その弾性材料の摺動抵抗作用によって、グレーチング1に人が乗っても受枠11上で滑り動くことがない滑り止め効果を得ることができる。
【0022】
また、メインバー2を筒状若しくは略筒状に形成したことにより、外表面におけるゴミや泥の滞留箇所がなくなり、清潔性を向上させることができる。
【0023】
さらに、本発明はメインバーを押出成形することが可能であり、この押出成形によってメインバーを形成すれば、射出成形に比して金型が安価であるため、製造コストを低廉化することができるとともに、定尺寸法のものを種々異なる長さに切断することにより、仕様以外の長さの特注品にも容易に対応し得る等の優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるメインバーを示し、イは側面図、ロは一部切欠正面図、ハは一部切欠平面図である。
【図2】本発明にかかる連結部材の斜視図である。
【図3】同上の連結部材を示し、イは側面図、ロは背面図、ハは平面図である。
【図4】メインバーと連結部材の分離状態を示す斜視図である。
【図5】メインバーと連結部材の組み付け状態を示す斜視図である。
【図6】メインバーと連結部材の組み付け状態を示す側面図である。
【図7】グレーチングの側縁を受枠に乗載した状態を示す縦断正面図である。
【図8】異なる幅sの間隙部を備えた連結部材の背面図である。
【図9】従来のグレーチングを示す斜視図である。
【図10】同上のグレーチングを構成するメインバーの側断面図である。
【図11】他の従来構成のグレーチングの連結状態を示す側断面図である。
【図12】同上のグレーチングを構成するメインバーを示し、イは正面図、ロは拡大側断面図である。
【図13】受枠にメインバーの端部を乗載した状態を示す従来のグレーチングの作用説明図である。
【符号の説明】
1 グレーチング
2 メインバー
2’開口
4 連結部材
5 支持座部
7a,7b 連結突起部
10 溝路
11 受枠

Claims (2)

  1. メインバーを多数並列させて、その隣接するメインバー相互を連結部材によって連結してなり、
    両側縁を溝路に沿って配設された受枠に乗載して該溝路に被着されるグレーチングにおいて、
    メインバーを端部が開口した筒状若しくは略筒状に形成する一方、
    メインバーの下面側に位置させて受枠との間に介装される支持座部と、
    該支持座部に連成された一対の連結突起部とを備えてなる連結部材を弾性材料により一体形成し、
    該連結部材を隣接するメインバーの端部間に差し渡して、
    該端部の開口に、隣り合う各連結部材の連結突起部を夫々嵌入することにより、
    隣接するメインバー相互を連結するようにしたものであり、
    さらに、前記一対の連結突起部は、メインバーの連結時に隣り合う連結部材相互の連結突起部を二つ合わせると、メインバーの端部の開口内に略密嵌状に強制嵌入し得る略整一なブロック状となるよう形成されていることを特徴とするグレーチングにおけるメインバーの連結構造。
  2. メインバーが押出成形により形成されていることを特徴とする請求項1に記載したグレーチングにおけるメインバーの連結構造。
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