JP3936427B2 - 圧縮コイルばね - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コイルばねに関し、特に車両用自動変速機に代表される変速機構の切替えに用いられる摩擦係合装置であるクラッチ及びブレーキの係合解放に用いられる圧縮コイルばねに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、エネルギー問題及び環境問題から自動変速機には、小型軽量であり、かつ耐久性の高いものが求められている。このような自動変速機の摩擦係合装置においては、燃費低減、作動ショックの低減のため、走行中におけるクラッチの連続滑り状態を拡大し、クラッチ効率を変化させたり、クラッチ係合時にエンジンを制御し、入力トルク/クラッチ容量の比を低下させるなど、高度な制御が数多く採用されつつある。
【0003】
図26は、従来の自動変速機100を示す。図27は、図26のA部の拡大断面図であり、自動変速機100の一部に用いられる摩擦係合装置110を示している。
【0004】
クラッチハブ3に支持された湿式摩擦材を芯金に貼りつけた駆動側プレート4は、クラッチドラム30に支持された受動側プレート2と交互に装着されている。油圧によりピストン6が作動することにより受動側プレート2と駆動側プレート4(以下摩擦板2、4)が係合し、動力を伝達する。その後、油圧が下降すると、摩擦版2から摩擦版4を引き離すリターンスプリング7aの付勢力が油圧力を上回り、ピストン6が係合前の状態に戻り、摩擦板2と4は係合状態から解放され、動力の伝達が遮断される。すなわち、圧縮コイルばねである、リターンスプリング7aは、摩擦板どうしの係合、解放を精確に制御するため安定した付勢力を与える必要がある。
【0005】
従来用いられている圧縮コイルばね(リターンスプリング)としては、コイル端部が図28(a)−(g)に示す7種類のものがJISに定められている。座面(コイル端部のうち図30のA′からB間の斜線部と接触する面)のすわりをよくして直角度を良好に保ち、荷重の偏心や座屈を防止するため、研削加工されたクローズドエンドが一般的には多く用いられる。端部は経済的な面から研削されない場合も多いが、テーパ加工する場合は、図30に示すように先端の厚さは材料直径の1/4、テーパ部の長さは約3/4巻にとられているのが通常である。
【0006】
ばねの端部の構造は、図29に示す座巻(斜線部:コイルばねの端部で見掛け上、ばねとして作用しない部分)から正規のピッチを備えた部分にいたるまでピッチ角が0から連続的に変化している。このために、ばねに荷重を加えていくと座巻に近い部分のコイルは互いに接触を始め、有効巻数が減少する。つまり、座巻から正規のピッチにいたるまでは不等ピッチになっているからであり、座巻の線の傾斜角よりコイル部のピッチ角が大きいので、そのピッチ角に到着するまでの範囲は角度が次第に増大するように成形せざるをえない。従って、図30に示すように圧縮が始まると座巻に近い部分のコイルは、傾斜角βからピッチ角αになるまで順次にコイルの接触を生じ、有効巻数が減少することになる。しかし、接触し始める部分(A点)は、製造上の精度の面からたわみが開始してからどのくらいで接触し始めるかは不確実であり、また、クローズドエンドのようにA点のスキマをたとえゼロとしても、荷重によって線がねじられる影響からずれが生じ、必ずしもたわみ開始とともに接触するかは不確実である。そのため、荷重とたわみの関係は、圧縮の始めにおいては図25のa部のように非線形になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、荷重とたわみの比例関係が成り立ち始めるのは荷重をある程度加えてからで、通常のばねではたわみ量が全たわみ量(自由高さと密着高さの差)の10%以上に達してからであり、実際には、図25に示すようにばね特性の安全率を加味して、たわみと荷重の関係の線形関係が確実に得られる領域までたわませた状態(たわみ:δ1 以上)で使う必要があった。
【0008】
また、ばねをさらに圧縮して密着点近くまでくると急激にばね定数が増加する。これが図25における非線形部bで示す状態であり、ばねが密着荷重に近づくと、等ピッチであるべきコイル部のわずかなピッチの不同で部分的な接触が始まり、やがて全面接触になるためである。これはピッチ不同のため有効巻数の現象が生ずることによるもので、JISでは全たわみの80%以内での座巻部に接する部分を除くコイルの接触は生じてはならないと規定している。このように厳密に見た場合には、有効巻数がたわみとともに変化するため、たわみの全域でばね定数は一定でない。
【0009】
座巻のある圧縮コイルばねは全たわみの間に有効巻数が0.5巻くらい変化するので、巻数の多いほど座巻の影響は少ないことになる。逆にいえば、少なくとも有効巻数が3巻未満のばねの場合には非線形特性が著しいということで、JISでは一般的に有効巻数が3巻以上となるように定めている。
【0010】
しかしながら、従来、特に自動変速機の摩擦係合装置としては、係合解放用ばねは低荷重の圧縮コイルばね7aをピストン6の円周方向上に多数配置し、必要荷重を設定していた。これに対して、装置の小型軽量化の手法として、太い材料直径・少ない有効巻数の圧縮コイルばねを用いて、部品点数の削減と限られた容積でかつ少ないたわみで高荷重を成立させる有効巻数が3巻未満の圧縮コイルばねの採用が近年多くなってきている。(例えば、図1に示すように圧縮コイルばね16を参照)ところが、有効巻数が3巻未満の車両の自動変速機用の摩擦係合装置のばねは、上述のように、安定して使用できる線形領域は限られたものとなっており、作動上、必ずしも安定領域で使用されているとは限らない。
【0011】
また、
▲1▼ コイルと接触するA点の底A′点と座巻の始まる点B点で荷重を支持するため、特に2点に荷重が集中することにより、上部と下部の荷重の合力による荷重中心が存在し、設計上の荷重中心(ばねの中心)とのズレが作動時に、ばねの荷重方向を傾斜させ、ばねを傾斜させる。その結果、ピストン面を傾ける恐れがある。
【0012】
▲2▼ ばね自身が摩擦係合装置内で回転する仕様の場合、荷重方向を傾斜させたコイルは、中心軸がずれていることと、巻数が少ないことによるコイル巻数の非対称から、遠心力の影響を大きく受け、作動時にばねの荷重方向をより傾斜させる力を与える。その結果、ピストン面の傾きが更に増大する恐れがある。
【0013】
この2点のばねの荷重方向を傾斜させる要因とばねの非線形特性が、摩擦係合装置に悪影響を及ぼす。
【0014】
その悪影響とは、自動変速機の小型・軽量化の流れから、摩擦係合装置の摩擦板2、4は、より平面精度が高められ、プレート間のクリアランスもスペース等の制約で必要最小限に抑えられてきているため、変速時、
【0015】
(a) 摩擦板2、4同士がピストン面の傾きによって、低温下における潤滑油の粘性抵抗と摩擦板2、4同士の接触による引きずりトルク(動力)が駆動側から受動側に伝達され、ニュートラル状態であるにもかかわらず車両が動き出す問題が発生する。
【0016】
(b) 摩擦板2、4同士がピストン面の傾きによって、係合初期、設定以上に早く接触が開始したり、係合油圧を解放のために下げていっても、設定通りにピストンが元の状態(係合前の状態)に戻らないことにより、交互の切替えによって変速を行う2つの係合装置が速やかに係合解放できず、車両における変速ショックや急激な減速等が発生する。
【0017】
この問題は、ばね設計に関する問題であるが、従来言われてきた座巻の仕上げの影響によるばねの巻軸のわん曲、荷重の偏心とは別物であり、座面に発生する面圧の荷重分布の不均一、ばねの非線形特性およびコイル巻数の少なさが要因となって、摩擦板2、4を押すピストン面の不均一な荷重分布の発生やシリンダーとの摩擦を発生させるピストンの傾きが、係合解放時の摩擦板の作動性や変速性能の悪化につながっているものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
油圧がピストン室に供給され始めると、ばねの各要素のばらつきによる図26の非線形部aの荷重と正規のピッチを備えた部分にいたるまでのたわみ量のばらつきは、ピストンの動きすなわち摩擦板の初期の動きに影響を与え、係合タイミングのズレとして現れるため、従来、ばね特性の安全率を加味して、たわみと荷重の関係の線形関係が確実に得られる領域までたわませた状態を取付時高さ(δ1 )としていた。
【0019】
ここで、図33に図示の有効巻数2.5巻、テーパ部の長さを約3/4巻としたクローズドエンド型の圧縮コイルばねのばね形状と矢視方向の座面から見た、指定荷重時の荷重分布の一例を図32に示す。
【0020】
荷重分布図における荷重分布の形状は、座面が接触する部分の形状であり、荷重の大きさは、色の濃淡によって検出される。まず荷重分布図32(a)によると、圧縮コイルばねの先端が直線状に切られている場合、先端部の座面の方が荷重面積が多いことから、先端部に荷重が高く集中する傾向にあり、下部座面の荷重中心は中心より先端部の方へずれる。また荷重分布図32(b)によると、先端部と座巻の始まり部以外に座面のうねりの影響から部分的な接触が存在することが幸いし、上部座面の荷重中心はより中心に近くなっている。しかし、ばねの荷重中心を考えた場合、上下面の中心を結んだものがばねの真の荷重中心となるため、結局、設計上の荷重中心(ばねの中心)とは一致しないことは、荷重分布図から明らかとなる。
【0021】
本発明では、オープンエンドのばねを取付時にばね先端上部のみをコイルに接触させる設計とする等により、図25の非線形部aを取付高さ(取付時のばねの長さ)の状態(δ0 )から排除することができ、線形のばね特性をばねの稼動長さとして最大限に活用することができる。同時に先端部と座巻の始まり部とがほぼ180度対称の位置にあることにより、両端の座の荷重の集中が、180度対称の位置となることから、荷重の作用する荷重方向が中心に移動し、設計上の荷重中心と一致することで、摩擦板2、4を動かすピストン面の傾きを減少させることができる。
【0022】
ここで、本発明の特許請求の範囲としている「座巻開始部と座巻の先端部とが円周方向でほぼ180度対称の位置」という定義を明確にすると、荷重分布の結果より、荷重が発生している領域は先端部と座巻の始まり部、その中でも特に荷重が高い領域は、端から材料の断面積とほぼ一致する範囲であることがわかった。そこで、荷重の理想的なバランスを考慮し、ばねの中心線と先端部および座巻の始まり部の端から材料の断面積と一致する形状の中心線を一致させる。つまり特許請求の範囲は、お互いの中心線をほぼ180度対称の位置に設定しているという意味である。
【0023】
つまり、図31に示すように、先端部と座巻の始まり部の端から断面積が一致する領域の中心線を見出し、ばねの中心線と一致させたことであり、先端部と座巻の始まり部の端がほぼ180度対称の位置あるということではない。よって、単なる端がほぼ180度対称の位置にあるとは異なった意味を持つ(図31の例は、材料断面が円形である一般的な線材を用いた場合である)。
【0024】
また、取付時にばね先端上部をコイルに接触させる設計とすることが重要なのは、例えば先端部と座巻の始まり部とが180度対称の位置にあったとしても、ばねを若干たわませた時、先端部と座巻の始まり部が受ける荷重は座巻の始まり部の方が大きいため、荷重の中心は座巻の始まり部の方に移動し、設計上の荷重中心と一致しないためである。したがって、取付時にばね先端上部をコイルに接触させる設計とすることで、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重中心を一致させることができる。
【0025】
クローズドエンド、特に太線を用いている場合、製造上、ばね先端上部のA点におけるスキマを0、すなわち自由高さ時にばね先端上部をコイルに接触させることが厳密には難しい。しかしながら、オープンエンドと同様に、クローズドエンドでも取付時に、ばね先端上部をコイルに接触させる設計とすることで同様の効果が期待される。しかし、指定荷重の設定がある場合、スキマの小さいクローズドエンドでは初期状態で十分な荷重を発生させる事ができず、オープンエンドに比較して線形のばね特性をばねの稼動長さとして最大限に活用する範囲が小さくなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
オープンエンドのばねの取付時にばね先端上部をコイルに接触させることにより、図26の非線形部aを取付高さ(長さ)の状態から排除することができ、線形のばね特性をばねの稼動長さ(δ0 −δ3 )として最大限に有効活用できる(図26の→印が効果的)ことから、ばねを設計する上で、たわみ(δ)と荷重(P)の関係をより広い範囲で検討でき、材料直径・巻数およびコイル径の設計自由度が増す。また、ばねの先端部と座巻の始まり部の荷重の集中を材料直径の断面積を考慮した設計を行うことにより、先端部と座巻の始まり部を180度対称の位置、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、摩擦板2、4を動かすピストン面の中心軸に対する傾きを減少させることができる。図2Aの(a)参照。
【0027】
しかし、先端部と座巻の始まり部がほぼ180度対称の位置であっても、ばねの上下における座の始まり部と先端部は、巻数によって一致しない。また、材料が太く、先端部が直線に切り取られた形状の場合、座面における先端部と座巻の始まり部の幅(径方向の寸法)の差は必然的に大きくなってしまい、お互いの中心(材料の断面積と同一面積における)を一致させても負担する荷重の周方向の幅(形状)が大きく異なり、荷重中心がばねの中心からはずれることがある。そこで、ばねを設計する上で、先端部と座巻の始まり部を上下位置において180度対称もしくは、同位置に座をつくることを最優先として材料直径等を決定することにより、荷重分布を常にばねの上下位置(ほぼ180度対称)で一致させることができるため、より安定した荷重中心を形成させたばねとすることができる。図2Aの(b)及び(c)参照。
【0028】
クローズドエンドのばねも同様に、ばねの先端部が座巻の始まり部と180度対称の位置とし、取付時高さ時にばね先端上部がコイルに接触させることにより、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重中心が一致し、摩擦板2、4を動かすピストン面の傾きは減少する。図2Aの(d)参照。
【0029】
一般的な丸い材料を用いた場合、例えば研削を施した座巻の始まり部の形状は、図29に示されるように先端に向かって徐々に大きくなる形状となる。これは、荷重分布における形状と一致するため、ばねの先端形状を座巻の始まり部と形状を同一(近似)とするか先端部の底形状(座面)を座巻の始まり部と形状を同一(近似)とすることにより、荷重分布は均一になる。また、座巻の始まり部の座面上の一部を削り取る等の加工により、接触しない領域を作り、座巻の始まり部をばねの先端形状と形状を同一(近似)とすることにより、同様に荷重分布は均一となる。従って、荷重中心がばねの中心と一致し、より安定した荷重中心を形成することができる。図2Bの(e)及び(f)参照。
【0030】
ばねの先端上部が、取付時にコイルのピッチ角に平行となるように面取り加工に相当する機械加工を行うことにより、点もしくは線で接触していた先端上部を面で接触させることにより、より接触点をより安定させる。図2Bの(g)参照。
【0031】
同様に、先端上部もしくは材料の断面形状をばねの高さ方向に凹とさせることにより、接触の安定を図る。その際コイルの途中で材料をねじることによって、先端上部の凹部は上下対称とすることができる。図2Bの(h)参照。
【0032】
他部品と接触する座の荷重分布は、座巻の始まりの部分と先端部が極端に強くあたり、また、他の部分は平面度やうねりの影響を受け、荷重分布は安定しない。それに伴い、荷重中心はばねの中心からずれてしまう。そこで、座巻の始まりの部分と先端部が安定してあたるよう座巻の始まりの部分と先端部を除いた、少なくとも1/2の座の部分は接触しないように凹となっていることを特徴とする。また、その際座巻の始まりの部分と先端部の座の面積を同一にすることにより、荷重分布がより安定し、荷重中心がばねの中心と一致させることができる。図3(a)−(c)参照。
【0033】
同様の考えに基づいて、ばねの内外径と一致する円周上ほぼ180度対称となる2個所に凸部を設け、座巻の始まりの部分と先端部を一致させ、台座もしくは部品の間にばねをはさむことにより、座を削ることなく荷重分布を安定させる。図4(a)及び(b)また図5及び図6参照。
【0034】
更に、振動等により台座間でばねが移動し、安定した性能が維持できないことを排除するため、ばねの先端部を固定する部位を設けている。図7−9参照。
【0035】
一般に、座巻をテーパ加工する場合は、先端の厚さは材料直径の1/4、テーパ部の長さは約3/4巻にとられているのが通常である。しかし、今まで述べているように、取付時にばね先端上部がコイルに接触する位置によって荷重中心がずれてしまう問題点がある。また、ばねを設計する上で、先端部と座巻の始まり部を上下位置においてほぼ180度対称もしくは、同位置に座をつくることを最優先として材料直径等を決定することが不可能な場合がある。そこで取付時にばねの座の反対面のコイルと接触する一部分を、ばねの高さ方向に凸部を形成するように機械加工するか、もしくは材料を折り曲げることにより形成させ、かつ座巻の始まり部と180度対称の位置とさせることにより、従来の座りの安定性を兼ね備え、荷重中心をばねの中心と一致させることできる。図10−11参照。
【0036】
また、他部品を接合もしくは環状の部品を先端部から挿入する等により凸部を形成させ、同様の効果を得ることもできる。図12−14参照。
【0037】
座巻の材料上部の接触部形状は、平坦とする。または、少なくとも先端部を含めた材料の断面形状を矩形とすることで接触部の安定を得る。図15及び16図参照。
【0038】
他部品と接触する座の荷重分布は、座巻の始まりの部分と先端部が極端に強くあたるが、先端形状によっては、荷重分布がばねの内外径の範囲で移動する。そこで、他部品と接触するばね先端部の座の中心を、ばねの内外径の範囲内で径方向にずらし、はみ出した部分を削除することにより、内外径の寸法上は何ら変化しないばねをつくる。同様に先端部分の一部を削除することにより、荷重分布を均一としたばねをつくる。従って、荷重中心がばねの中心と一致し、より安定した荷重中心を形成することができる。図17参照。
【0039】
コイルと接触する部分は局部的なあたりとなるため、へたりや変形を防止するため、浸炭焼き入れ・窒化処理・ショットピーニング等の強度を高めるための加工を行い、耐久性の向上を図る。図18参照。
【0040】
同様に凸部を形成する他部品のみ強度を高めるための処理を行い、コスト面と耐久面の両立を図る。図19参照。
【0041】
取付時にばね先端上部がコイルに接触するばねの設計や製造は、必ずしも安易ではないため、取付時にばね先端上部がコイルに接触する高さの立上片を基板に設け、この基板面に圧縮コイルばねの座を接触させ、取付時にコイルと基板の舌片が接触する設定とすることで、簡便に精度の良い機構を得る。図20参照。
【0042】
同様に、穴と溝を形成した板もしくは円盤が取付時にコイルに接触する位置に挿入することにより、簡便な機構を得る。図21参照。
【0043】
しかしながら、この機構は振動等によりコイル内部を移動する可能性があるため、弾性体の壁面を持つ円筒状の基板により固定することで、精度をより高める。図22参照。
【0044】
よって、本発明は、前記のような課題を解決するために、ばねの先端部が座巻の始まり部とほぼ180度対称の位置であり、取付時にばね先端上部がコイルに接触することにより、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重中心を一致させることにより、圧縮コイルばねの座の荷重分布を改善することにより前記問題点を解決するものである。
【0045】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明の各実施例を説明する。尚、図面において同一部分は同一符号で示してある。尚、以下の各実施例において、圧縮コイルばねは、所定のばね定数を有する断面がほぼ円形の線材から形成されている。
【0046】
図1は、本発明の圧縮コイルばねが適用できる車両用の自動変速機の軸方向断面図である。自動変速機10は、不図示のエンジンからの動力を断続するロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ11と、多数の摩擦板を交互に配置した自動変速機構である摩擦係合装置13とを備えている。摩擦係合装置13は、摩擦板どうしを係合離脱させるためのピストン部材12とピストン部材12が軸方向移動自在に嵌合する出力軸15とを備えている。出力軸15の周囲には、圧縮コイルばね16が嵌装されている。
【0047】
油圧制御されるピストン部材16は、摩擦板どうしを係合させる。ピストン部材12による押圧が解除されると摩擦板どうしの係合は解かれるが、その際圧縮コイルばね16が各摩擦板が係合しない中立位置に保持されるように、ピストン12に対して所定の反力を与えるためのリターンスプリングの機能を備えている。
【0048】
以下、上述のように用いられる圧縮コイルばねの各実施例を詳細に説明する。尚、図1では出力軸15、すなわちピストン部材12に対して単一の圧縮コイルばね16を用いているが、必要であれば、出力軸15の円周方向に複数、以下説明する各実施例の圧縮コイルばね16を配置することもできる。また、以下説明の便宜上、本明細書では「圧縮コイルばね」を単に「ばね」と称する。
【0049】
図2A及び図2Bは、本発明の各実施例の圧縮コイルばねを示している。図2Aの(a)の(イ)は、ばね26の一端面の正面図であり、ばね26の端部では座巻開始部27と先端部28とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。図2Aの(a)において、座巻のうち、座巻開始部27から先端部28までほぼ半周(180度)にわたりばね26の座は研削加工により平坦化されている。尚、先端部28の先端は、研削部との境界が丸く形成されている。(ロ)はばね26の軸方向一端部を取付時の状態で示している。座巻の先端部28は、研削加工された側と反対側でばね26の隣接するコイル部29に接触している。したがって、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。また、(ハ)は、取付前のばね26を示している。取付前のばね26は、座巻の先端部28が隣接するコイル部29に接触していない。
【0050】
図2Aの(b)の(イ)は、ばね36の一端面の正面図であり、ばね36の端部では座巻開始部37と先端部38とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。図2Aの(b)において、座巻のうち、座巻開始部37から先端部38までほぼ半周(180度)にわたりばね36の座は研削加工により平坦化されている。尚、先端部38の先端は研削部の境界が直線で形成されている。(ロ)はばね36の軸方向一端部を取付前の状態で示している。座巻の先端部38は、取付時には研削加工された側と反対側でばね36の隣接するコイル部39と接触する。また、(ハ)は、ばね36の他端の正面図であり、座巻の先端部38と座巻開始部37とは、(イ)に示す端部と同位相(円周方向ほぼ180度対称)で設けられている。本実施例でも、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。
【0051】
図2Aの(c)の(イ)は、ばね46の一端面の正面図であり、ばね46の端部では座巻開始部47と先端部48とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。図2Aの(c)において、座巻のうち、座巻開始部47から先端部48までほぼ半周(180度)にわたりばね46の座は研削加工により平坦化されている。尚、先端部48の先端は研削部の境界が直線で形成されている。(ロ)はばね46を取付前の状態で示している。座巻の先端部48は、取付時には研削加工された側と反対側でばね46の隣接するコイル部49と接触する。また、(ハ)は、ばね46の他端の正面図であり、座巻の先端部48と座巻開始部47とは、(イ)に示す端部と逆位相(円周方向でばね46の軸と対称に)で設けられている。本実施例でも、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。
【0052】
尚、上述の図2Aの(a)−(c)に示す各実施例ではばねの座はオープンエンドとなっている。
【0053】
図2Aの(d)の(イ)は、ばね56の一端面の正面図であり、ばね56の端部では座巻開始部57と先端部58とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。図2Aの(d)において、座巻開始部57から先端部58までの座巻部分は、特別な加工はされていない。(ロ)はばね56の取付時の状態で示している。座巻の先端部58は、取付時にばね56の隣接するコイル部59と接触している。また、座巻部分は他のコイル部分と同様に断面円形である。本実施例でも、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。
【0054】
図2Bの(e)の(イ)は、ばね66の一端面の正面図であり、ばね66の端部では座巻開始部67と先端部68とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。図2Bの(e)においては、座巻の先端部68の座面の形状を座巻開始部67のV字型の平面形状とほぼ同一としている。このため、先端部68は他の座巻部分と同様に研削により平坦にされているが、図示のように更にその一部を研削により削ってある。残った部分の形状は、座巻開始部67の平面形状とほぼ同じになっている。(ロ)はばね66の取付前の状態を示している。取付時には、先端部68と隣接するコイル部69とが接触する。本実施例でも、荷重分布が均一となり、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。
【0055】
図2Bの(f)の(イ)は、ばね76の一端面の正面図であり、ばね76の端部では座巻開始部77と先端78とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。図2Bの(f)においては、先端部78の終端は線材を横断するようにほぼ直線状に規定されている。但し、座巻開始部77の研削形状を先端部78に合わせるため、(ロ)に示すように、座巻開始部77の末端の一部は更に研削されて、線材を横断するようにほぼ直線状に規定された段部79となっている。この結果、座巻開始部77と先端部78とが同一の形状になり、より安定した荷重中心が得られる。尚、(ロ)はばね76の取付前の状態を示している。本実施例でも、荷重分布が均一となり、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。
【0056】
図2Bの(g)の(イ)は、ばね86の一端面の正面図であり、ばね86の端部では座巻開始部87と先端88とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。図2Bの(g)においては、先端部88の終端はほぼ直線状に形成されている。座巻部分全体が研削加工されてほぼ平坦になっている。また、(ロ)に示すように、本実施例では先端部88の研削されていない側の面も一部研削されている。この平坦な研削面90は、ばね88の取付時に隣り合うコイル部89の外周に接触する。この結果、コイル部89と先端部88との接触が安定する尚、(ロ)はばね86の取付前の状態を示している。本実施例でも、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。
【0057】
図2Bの(g)の実施例と同様に、ばねと隣接するコイル部との接触の安定を図るための改良の他例が図2Bの(h)に示した実施例である。(イ)は、オープンエンド型のばね96の側面図であり、ばね96の端部では座巻開始部97と先端98とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。(イ)のA−A線で切った断面図である(ロ)に示すように、先端部98は、座となる研削された平坦部101と対向し、隣接するコイル部99と接触する側が凹部100となっている。凹部100は、ばね96の取付時に隣り合うコイル部99の外周に接触する。この結果、コイル部99と先端部98との接触が安定する。より安定させるためには、凹部100の曲率はばね96の断面の曲率と一致させることが好ましい。すなわち、凹部100とコイル部99とは互いに相補的な形状を有するようにすることが好ましい。尚、(イ)はばね96の取付前の状態を示している。本実施例でも、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。また、コイルの途中で線材をねじることにより、先端上部の凹部を上下対称とすることができる。
【0058】
尚、上述の図2Bの(e)−(g)に示す各実施例ではばねの座はオープンエンドとなっている。
【0059】
図3に示す実施例では、(a)に示すように、オープンエンド型のばね106の座巻開始部107と先端部108だけが、平坦に研削された座の他の部分からばね106の軸方向に突出した凸部として形成されている。これは、他部品と接触する座の荷重分布は、座巻の始まりの部分と先端部が極端に強くあたり、また、他の部分は平面度やうねりの影響を受け、荷重分布は安定せず、荷重中心はばねの中心からずれてしまうからである。そこで、座巻開始部107と先端部108が安定してあたるよう座巻開始部107と先端部108とを除いた、少なくとも1/2の座の部分は接触しないように凹部109となっている。尚、(b)に示すばね116のように、座巻開始部117と先端部118の他部品と接触する座の面積を同一にすることにより、荷重分布がより安定し、荷重中心をばねの中心と一致させることができる。尚、(c)は、ばね106を取付前の状態で示している。尚、この実施例ではばね106は、断面が矩形のばねとなっている。
【0060】
図4、図5及び図6に示す実施例では、前記実施例と逆の発想から、ばねの取り付けられる台座などの、他部品の側に凸部を設けている。図4(a)及び(b)に示すように、ばね126が取り付けられる台座110は中央にほぼ円形の貫通孔114を設けたほぼ円形の円板部113とその外周から軸方向に一体に延在する円筒部111とからなる部材である。円筒部分111と貫通孔114とで囲まれる環状の部分115には円周方向でほぼ対向する位置(180度の位相で)に平坦は頂部を有する2つの凸部112が軸方向内方に向かって突出するように設けられている。2つの凸部112の位相は、ばね126の座巻開始部127と先端部128との位相関係と同じである。
【0061】
図5に示すように、オープンエンド型のばね126は、端部で座巻開始部127と先端128とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。座巻開始部127から先端部128にかけての座巻部分全体が研削加工されてほぼ平坦になっている。ばね126の軸方向両端で互いに180度位相が異なる位置に配置された先端部128が、それぞれ2つの台座110の凸部112に挟まれるように載置されている。また、図6に示すように、座巻開始部127も同様に2つの台座110の凸部112に挟まれるように載置さてれている。このような構成のため、本実施例においても図3で説明した前記実施例と同様な効果が得られる。尚、図5及び6は、摩擦係合装置に取り付ける前の状態でばね126を示している。
【0062】
図3、4、5及び6の実施例では、ばねの座巻開始部や先端部を部分的に研削しなくても、荷重分布を安定できる。
【0063】
図7、図8及び図9は、振動などによりばねが台座間で回転等で移動することを防止するため、移動防止手段を設けた実施例である。尚、本実施例においても図3、4、5及び6に示した実施例と同様に、ばね136の座巻開始部や先端部を部分的に研削しなくても、荷重分布を安定できる。
【0064】
図7(a)及び(b)に示すように、ばね136(図9参照)が取り付けられる台座210は中央にほぼ円形の貫通孔214を設けたほぼ円形の円板部216とその外周から軸方向に一体に延在する円筒部211とからなる部材である。円筒部分211と貫通孔214とで囲まれる環状の部分215には円周方向でほぼ対向する位置(180度の位相で)に2つの凸部212及び213が軸方向内方に向かって突出するように設けられている。2つの凸部112及び113の位相は、ばね136の座巻開始部(図8では裏側なので見えない)と先端部138との位相関係と同じである。
【0065】
但し、台座210の凸部212と213とはそれぞれ構成が異なる。凸部212は、頂部が平坦であるが凸部213は平坦な凸部の円周方向の一部で軸方向内方に更に突出する壁部217を備えている。
【0066】
図8に示すように、オープンエンド型のばね136は、端部で座巻開始部と先端138とが円周方向でほぼ180度の位相に、すなわち円周方向でほぼ対向する位置に設けられている。座巻開始部から先端部138にかけての座巻部分全体が研削加工されてほぼ平坦になっている。ばね136の軸方向両端で互いに180度位相が異なる位置に配置された先端部138が、それぞれ2つの台座210の凸部212と213に挟まれるように載置されている。また、不図示であるが、座巻開始部も同様に2つの台座210の凸部212及び213に挟まれるように載置さてれている。
【0067】
このとき、凸部212に座巻の先端部138が載置されるが、凸部212の円周方向の縁部に設けた壁部217によって、円周方向の動きが規制される。このような構成のため、ばね136が台座間で移動することを防止できる。また、本実施例においても図3で説明した前記実施例と同様な効果が得られる。尚、図8は、摩擦係合装置に取り付ける前の状態でばね136を示している。
【0068】
同様に、図9の(a)及び(b)に壁部を設けた他の実施例を示す。本実施例の構成は、基本的に図7の実施例と同様である。
【0069】
図9(a)及び(b)に示すように、ばね136(図8参照)が取り付けられる台座310は中央にほぼ円形の貫通孔314を設けたほぼ円形の円板部316とその外周から軸方向に一体に延在する円筒部211とからなる部材である。円筒部分311と貫通孔314とで囲まれる環状の部分315には円周方向でほぼ対向する位置(180度の位相で)に2つの凸部212及び213が軸方向内方に向かって突出するように設けられている。2つの凸部312及び313の位相は、ばね136の座巻開始部と先端部138との位相関係と同じである。
【0070】
但し、台座310の凸部312と313とはそれぞれ構成が異なる。凸部313は、頂部全面が平坦であるが凸部312は平坦な凸部の円周方向の一縁部及び半径方向の内縁部が軸方向内方に更に突出する壁部317、318を備えている。
【0071】
図9に示す台座310も図8に示すような形態でオープンエンド型のばねを収容する。このとき、凸部212に座巻の先端部138が載置されるが、凸部312の円周方向の縁部に設けた壁部317によって、円周方向の動きが規制され、半径方向内方の壁部318によって半径方向の移動が制限される。すなわち、円周方向と半径方向の両方向でばね136の移動が防止できる。このような構成のため、ばね136が台座間で移動することを防止できる。また、本実施例においても図3で説明した前記実施例と同様な効果が得られる。
【0072】
図10−14は、更に他の実施例を示す。これらの実施例では隣接するコイルに面する先端部の面に突起を設けている。これは、座巻を形成する上で座巻開始部と先端部とを必ずしも180度の位相で形成できないことがあるので、それを補正するために、先端部の所定位置に突起を設けている。
【0073】
図10は、ばね146の座巻開始部147から先端部148に到る座面を平坦に研削し、先端部148の隣接するコイル149に接触する面に突起150が一体に設けられていることを示している。この突起150の位置を座巻開始部147と180度対称となる位置に調節することで、ばねの座りの安定と荷重中心とばねの中心とを一致させることができる。
【0074】
図11は、ばね156の座巻開始部157から先端部158に到る座面を平坦に研削し、先端部158の隣接するコイル159に接触する面に突起160が一体に形成されるように、先端部158の一部を外側に折り返して重畳構造にしてある。この突起160の位置を座巻開始部157と180度対称となる位置に調節することで、ばねの座りの安定と荷重中心とばねの中心とを一致させることができる。
【0075】
図12−13は、ばねの座巻の先端部に別部材を取り付けて、先端部と隣接するコイル部との接触点を調節して座りの安定化を達成しようとするものである。
【0076】
図12は、不図示のばね本体の座巻の先端部161は、その先端に断面円形の延長部162が形成されている。この延長部162には取付部材163が取り付けられる。取付部材163は全体としてほぼ正方形をしており、延長部162の直径より僅かに大きな直径を有する円筒形の貫通孔164が設けられている。図12の(a)及び(b)に示すように、貫通孔164に延長部162を嵌合させることで、取付部材163が延長部に取り付けられる。この際、取付部材163の底面166と先端部161の底面165とは面一となるように構成される。尚、貫通孔164は、必ずしも貫通している必要はない。先端部161と隣接するコイル部との接触点を調節して座りの安定化と座巻開始部との間の180゜対称性を達成できるものであればよい。また、取付部材163は必要であれば溶接などで延長部162もしくは先端部161に固定される。
【0077】
次に、図13に示す実施例では、不図示のばね本体の先端部171の中程の底面に切り欠き部172を設け、この切り欠き部172の位置に円環部材173を嵌合する。切り欠き部172の面は円環部材173の内周円筒面174と密接するような形状とすることが好ましい。また、切り欠き部172の軸方向長さは円環部材173の軸方向長さとほぼ等しい。更に、円環部材の肉厚は切り欠き部172の深さと一致しているので、取付後は、先端部171の底面と円環部材173の外周とは面一になる。尚、本実施例でも、円環部材173は、必要であれば溶接などにより切り欠き部172または先端部171に固定できる。
【0078】
図12の実施例では取付部材163の上面が、また図13の実施例では円環部材173の外周面がそれぞれ隣接するコイル部に接触する。
【0079】
図14(a)は、ばね176の座巻開始部177と先端部178とのほぼ中間位置に突起181を設けている。突起181は、先端部178と一体に設けている。この突起181がばねの取付時に隣接するコイル部に接触する。この場合でも、荷重の作用する荷重中心と設計上の荷重(ばね)中心を一致させることができ、ピストン部材12の傾きを防ぐことができる。
【0080】
突起は、例えば図14(b)に示すように、別部材として設け、溶接などで先端部に固定してもよい。突起部材182は、円弧状の上面184と同じく円弧状の下面183とを有する。この下面183を先端部の外側円弧面に取り付け固定する。従って、突起部材182の上面184が隣接するコイル部に当接する。
【0081】
図15は、座巻の先端部のうち隣接するコイル部に当接する部位に平坦面を設けた実施例である。ばね186は、座巻開始部187から先端部188まで研削加工により平坦になっており、座巻開始部187と先端部188とは他の実施例と同様に円周方向で180度の位相で設けられている。先端部188の隣接するコイル部189に対向する部分は、研削などにより平坦部190が形成されており、この平坦部190が隣接するコイル部189に当接する。従って、先端部188と隣接するコイル部189との接触がより安定する。
【0082】
図16は、いままでの実施例とことなり、ばね196は断面円形の線材から作られるのではなく、断面矩形の線材から作られている。座巻開始部197と先端部198とは円周方向で180度対向する位相で設けられている。研削加工により他のコイル部より薄くなった座巻の先端部198は、断面矩形のため、研削加工することなく、隣接するコイル部199に対して平坦な面で接触する。従って、先端部198と隣接するコイル部199との接触が安定する。
【0083】
図17(a)及び(b)は、ばねの先端部を内方または外方に径方向にずらして座の中心をずらし、荷重分布を均一にした実施例を示している。図17(a)では、ばね416の座巻開始部417と円周方向でほぼ180度の位相に設けられた先端部418は、径方向の外方に位置をずらされている。その際、外方にずれてばね416の外径からはみ出した部分420(斜線部分)は削除するので、ばね全体の内外径には変化がない。しかしながら、先端部418は実線で示すように、隣接するコイル部と接触する部分で先が細くなっている。一般に、他部品と接触する座の荷重分布は、座巻の始まりの部分と先端部が極端に強くあたるが、先端形状によっては、荷重分布がばねの内外径の範囲で移動する。そこで、本実施例のように隣接するコイル部に当たる部分の先端部を変形することで、荷重分布を均一としたばねを作ることができる。従って、荷重中心がばねの中心と一致し、より安定した荷重中心を形成することができる。
【0084】
次に図17(b)では、図17(a)とは反対に、座巻開始部517とほぼ180度対向する位相に設けられたばね516の先端部518を、径方向で内方へずらしている。この場合、内径側へばね516の内径からはみ出した部分520(斜線部分)は、削除するのでばね全体の内外径にはまったく変化がない。この例でも、図17(a)と同様に、先端部を変形することで、荷重分布を均一としたばねを作ることができる。従って、荷重中心がばねの中心と一致し、より安定した荷重中心を形成することができる。
【0085】
図17(a)及び(b)と同様の目的で先端部の一部を削除する実施例を図17(c)及び(d)に示す。図17(c)では、ばね616の座巻開始部617と円周方向でほぼ180度の位相で対向して設けられた先端部618の径方向の内側の一部620(斜線部分)を削除する。ほぼ矩形の削除部分620は、先端部618のばね616の軸方向の肉厚全体を削除してもよいが、一部は残して段部として形成してもよい。例えば、(e)や(f)のように形成することができる。
【0086】
図17(c)−(f)の実施例でも図17(a)及び(b)と同様に、先端部を変形することで、荷重分布を均一としたばねを作ることができる。従って、荷重中心がばねの中心と一致し、より安定した荷重中心を形成することができる。
【0087】
図18及び図19では、コイル部と接触する部分は局部的なあたりとなるため、へたりや変形を防止するため、浸炭焼き入れ・窒化処理・ショットピーニング等の強度を高めるための処理をした実施例である。図18のばね726は、座巻開始部727から円周方向でほぼ180度の位相で対向して設けられた先端部728の、隣接するコイル部729に接触する部分730に浸炭焼き入れ・窒化処理・ショットピーニング等の表面処理を施してある。
【0088】
図19では、ばね736は、座巻開始部737から円周方向でほぼ180度の位相で対向して設けられた先端部738までのほぼ中間に、隣接するコイル部739に接触する部位に突起740が固定されている。この突起740には、強度を高めるため浸炭焼き入れ・窒化処理・ショットピーニング等の表面処理を施してある。
【0089】
尚、このような表面処理加工をする部位は、必ずしも先端部を含む座巻側に限定さえすればよい。例えば、図18において、隣接するコイル部729の先端部728に接触する面731に前記表面処理を施すこともできる。同様に、図19においては、隣接するコイル部739の突起740と接触する面741に前記表面処理を施すこともできる。すなわち、所定の強度を確保するため接触する部材のいずれか一方、また両方にそのような処理を施すことができる。図18及び図19の実施例によれば、ばねの耐久性が向上するという効果が得られる。特に図19によれば、他部品である突起740のみ表面処理するので更にコスト面でも有利となる。
【0090】
図18及び図19に示した、浸炭焼き入れ・窒化処理・ショットピーニング等の表面処理を施すことは、必要に応じて本発明の他のすべての実施例にも適用できることは言うまでもない。
【0091】
図20(a)及び(b)は、取付時にばね先端上部がコイルに接触するばねの設計や製造が必ずしも安易ではない点を考慮して、取付時にばね先端上部がコイルに接触する高さの立上片を基板に設け、この基板面に圧縮コイルばねの座を接触させ、取付時にコイルと基板の舌片が接触する設定とすることで、簡便に精度の良い機構を得るための実施例を示す。
【0092】
図20(a)は、ばね746を取り付ける台座750である。台座750は、中央に貫通孔を有する平板な環状部材であるが、円周方向の一部は、軸方向に立ち上がり、そこから半径方向内方に延在するフランジ部751となっている。図20(b)に示すように、座巻開始部747と円周方向でほぼ180度の位相で対向する先端部748とからなるばね746の座巻は、台座750の環状部752に載置される。この際、先端部748は、台座750の環状部752とそこから立ち上がってフランジ部751との間で挟まれるように載置される。
【0093】
従って、取付時にはばね746の先端部748は隣接するコイル部749に接触せず、台座750のフランジ部751の上面と接触する。このように構成することで、簡便に精度の良いばね組立体が得られる。
【0094】
図21は、ばねを載置するための台座に溝を設けた実施例である。ばね756は、座巻開始部757と、座巻開始部757と円周方向で180度の位相で対向する位置に先端部758が設けられた座巻を備えている。図21(b)に示すように台座760は、ばね756の座巻部の径とほぼ同じ肉厚を有し、正面から見るとほぼ正方形の基板である。台座760には座巻の先端部758が嵌入する溝孔761が設けられており、この溝孔761に先端部758が完全に挿入された状態で、ばね756は台座760に載置される。この状態を図21(a)が示している。図から明らかなように、ばね756の先端部758は、溝孔761に潜るように嵌合している。従って、先端部758は隣接するコイル部759には接触しない。隣接するコイル部759に接触するのは、先端部758の上を覆う、台座の表面部770である。このように構成することで、更に簡便に精度の良いばねユニットが得られる。なお、図22では、台座760は、円筒部材762に合わせて円形にすることもできる。
【0095】
しかしながら、上記機構は振動等によりコイルが内部で移動してずれる恐れがあるため、これを防ぐ必要がある。このための実施例が図22に示したものである。基本的な構成は、図21の実施例にしめすばね756と台座760との関係と同じである。しかし、台座760の上部のばね756の載置側に弾性を有するほぼ円筒形の円筒部材を固定してある点で異なる。このようにすることで、取付時にばね756が円筒部材762の表面に接触して、摩擦等によりばね756の回動することにより移動することなどが防げる。従って、精度をより高めることができる。
【0096】
最後に、図23及び24は、ばね766、ピストン部材12、平板な板部材である台座860との関係を示す他の例である。図23(b)に示すばね766は、コイルの軸方向の一端と他端とで座巻の状態が異なる。一端では、座巻開始部767と座巻の先端部768は、円周方向の位相が180度ではなく、270度から360度の間にある。また、他端では、上述の他の実施例と同様に座巻開始部777と先端部778との位置は円周方向でほぼ180度の位相となっている。一端の座巻は、図23(a)に示してあり、他端の座巻は図23(c)に示してある。
【0097】
図24は、図23のばね766をピストン部材12と台座860間に取り付けた状態を示している。図23(a)に示すばね766の一端側が台座860に接触しており、図23(c)に示す他端側がピストン部材12に当接している。すなわち、荷重中心の一致と当たりの確実性を要求されるピストン側には座巻開始部777と先端部778とが円周方向でほぼ180度の位相で設けられているばね766の他端側が位置するようにばね766を取り付ける。このようにすれば、ばねのコイルの軸方向両側で座巻を揃える必要がない。
【0098】
本発明は、特に有効巻数3巻未満の圧縮コイルばねの問題について述べているが、これは構造上問題が顕在化しやすいものが有効巻数3巻未満の圧縮コイルばねであるというだけで、3巻以上の圧縮コイルばねも同様な問題を抱えているものである。よって、本発明は、有効巻数3巻以上の圧縮コイルばねに適用して、有効巻数3巻未満のばねと同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0099】
また、座巻の座巻開始部と先端部との関係は、ばねの取付方向の両側で、まったく同じにするかどうかは任意である。例えば、図23に示すようにばねの取付方向の一端でのみ座巻開始部と先端部との位相をほぼ180度にすることができる。また、両端とも両者がほぼ180度の位相にする場合でも、両端で座巻の開始位置を180度変えることもでき、この場合、より精度が向上したばねが得られる。
【0100】
更に、ピストン部材に対してのばねの取付に関しては、直接ばねをピストン部材に当接させることもできるが、例えば、図9等に示すような台座を介して取り付けることもできる。
【0101】
【発明の効果】
以上説明した本発明の圧縮コイルばね及び圧縮コイルばねを用いたばねユニットによれば、次のような効果が得られる。
【0102】
(1) 設計上の荷重中心(ばねの中心)が真の荷重中心と一致するため、ピストン部材の傾きが防げる。
【0103】
(2) 車両用の自動変速機の摩擦係合装置に用いられると、ピストン部材の傾きがないため、係合解放が速やかに行われるため、変速ショックが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧縮コイルばねが適用された自動変速機の断面図である。
【図2A】(a)は、本発明の第1実施例を示しており、(イ)は、ばねの正面図、(ロ)はばね取付時の側面図、(ハ)は取付前の側面図である。
(b)は、本発明の第2実施例を示しており、(イ)は、ばねの正面図、(ロ)はばね取付前の側面図、(ハ)は、(イ)とは反対側から見たばねの正面図である。
(c)は、本発明の第3実施例を示しており、(イ)は、ばねの正面図、(ロ)はばね取付前の側面図、(ハ)は、(イ)とは反対側から見たばねの正面図である。
(d)は、本発明の第4実施例を示しており、(イ)は、ばねの正面図、(ロ)はばね取付時の側面図である。
【図2B】(e)は、本発明の第5実施例を示しており、(イ)は、ばねの正面図、(ロ)はばね取付前の側面図である。
(f)は、本発明の第6実施例を示しており、(イ)は、ばねの正面図、(ロ)はばね取付前の側面図である。
(g)は、本発明の第7実施例を示しており、(イ)は、ばねの正面図、(ロ)はばね取付前の側面図である。
(h)は、本発明の第8実施例を示しており、(イ)は、取付前のばねの側面図、(ロ)は、(イ)のA−A線に沿ったばね先端部の矢視方向から見た断面図である。
【図3】本発明の第9実施例を示しており、(a)は、ばねの正面図、(b)は、(a)の変形例を示すばねの正面図、(c)は取付前のばねの側面図である。
【図4】本発明の第10実施例を示しており、(a)は台座の正面図、(b)は、(a)のA−A線に沿った矢視方向から見た断面図である。
【図5】本発明の第10実施例を示しており、台座にばねを載置した状態を示す側面図(台座は断面図)である。
【図6】本発明の第10実施例を示しており、図5のB−B線に沿った矢視方向から見た、台座にばねを載置した状態を示す側面図(台座は断面図)である。
【図7】本発明の第11実施例を示しており、(a)は台座の正面図、(b)は、(a)のA−A線に沿った矢視方向から見た断面図である。
【図8】本発明の第11実施例を示しており、台座にばねを載置した状態を示す側面図(台座は断面図)である。
【図9】本発明の第12実施例を示しており、(a)は台座の正面図、(b)は、(a)のA−A線に沿った矢視方向から見た断面図である。
【図10】本発明の第12実施例を示す取付前のばねの側面図である。
【図11】本発明の第13実施例を示す取付時のばねの側面図である。
【図12】本発明の第13実施例を示すばねの先端部の部分斜視図であり、先端部に設ける突起の各種の変更例を示している。
【図13】本発明の第13実施例を示すばねの先端部の部分斜視図であり、先端部に設ける突起の各種の変更例を示している。
【図14】本発明の第14実施例を示しており、(a)は取付前のばねの側面図であり、(b)は、突起を形成するためにばねに取り付けられる他部品の一例を示す斜視図である。
【図15】本発明の第15実施例を示しており、(a)は、ばねの正面図、(b)は、取付時のばねの側面図である。
【図16】本発明の第16実施例を示しており、(a)は、ばねの正面図、(b)は、取付時のばねの側面図である。
【図17】本発明の第17実施例を示しており、(a)−(d)は、ばねの先端形状の変形例を示すばねの正面図であり、(e)、(f)はそれぞれ(c)及び(d)に対応する先端部の詳細を示す部分斜視図である。
【図18】本発明の第18実施例を示しており、(a)は、ばねの先端部に表面処理をした取付前のばねの側面図、(b)は、ばねの座巻の中間部に表面処理をした取付前のばねの側面図である。
【図19】本発明の第18実施例を示しており、(a)は、ばねの先端部に表面処理をした取付前のばねの側面図、(b)は、ばねの座巻の中間部に表面処理をした取付前のばねの側面図である。
【図20】本発明の第19実施例を示しており、(a)は台座の正面図、(b)は(a)の題材に載置されたばねを取り付け前の状態で示す側面図(台座は(a)のA−A線に沿った矢視方向より見た断面図)である。
【図21】本発明の第20実施例を示しており、(a)は台座に嵌合したばねを取り付け前の状態で示す側面図(台座は(a)のA−A線に沿った矢視方向より見た断面図)、(b)は(a)で右方向より見た台座及びばねの正面図である。
【図22】本発明の第21実施例を示しており、円筒部材を有する台座に嵌合したばねを取り付け前の状態で示す側面図(台座は(a)のA−A線に沿った矢視方向より見た断面図)である。
【図23】本発明の第22実施例を示しており、(a)はばねの取付方向の一端部の正面図、(b)はばねの側面図、(c)は、ばねの他端部の正面図である。
【図24】本発明の第22実施例を示しており、ばねがピストン部材と台座との間に取り付けられた状態を示す側面図(台座は断面図)である。
【図25】圧縮コイルばねの荷重とたわみの関係を示すグラフである。
【図26】従来の自動変速機の軸方向断面図である。
【図27】図26のA部の詳細であり、従来例のクラッチ部の断面図である。
【図28】JISによる圧縮コイルばねの端末形状である。
【図29】圧縮コイルばねの各部の説明図である。
【図30】圧縮コイルばねの座巻部の展開図である。
【図31】先端部と座巻開始部の端から断面積が一致する領域の中心を説明する図であり、(a)は、ばねの正面図であり、(b)は、ばねの材料である線材の断面である。
【図32】圧縮コイルばねの荷重分布を示す図であり、(a)は下部座面の荷重分布を示す図であり、2つの円の外側がコイルの外径、内側が内径を示している。また(b)は、上部座面の荷重分布を示しており、2つの円の外側がコイルの外径、内側が内径を示している。
【図33】従来のクローズドエンド型の圧縮コイルばねの側面図である。
【符号の説明】
10:自動変速機
12:ピストン部材
13:摩擦係合装置
14:摩擦板
16、26、36、46、56、66、76、86、96、106、116、126、136、146、156、176、186、196、416、516、616、716、726、736、746、756、766:圧縮コイルばね(リターンスプリング)
210、750、760、860:台座
Claims (29)
- 作動領域ではコイル部が互いに密着しない圧縮コイルばねにおいて、圧縮コイルばねの取付方向の少なくとも一方の端部に有する座巻が、前記座巻の座巻開始部と前記座巻の先端部とが円周方向で180度対称の位置にあり、前記圧縮コイルばねの取付時に前記座巻の背面の一部でのみ前記座巻と隣接するコイル部に接触すると共に、他部品と接触する座の内、前記座巻開始部と前記先端部を除き、少なくとも1/2の座の底面部分が他部品と接触しないことを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記座巻は無研削、もしくは研削されたオープンエンド型であることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記座巻は無研削、もしくは研削されたクローズドエンド型であることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−3のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記圧縮コイルばねの両端の座が、ばねの中心に対して180度対称であることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−3のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記圧縮コイルばねの両端の座が、円周方向の位相において上下同位置にあることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−5のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記先端部の座の形状と前記座巻開始部の座の形状とが同一または類似形状を有することを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−6のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記圧縮コイルばねの前記先端部の背面が、取付時にコイル部のピッチ角に平行であることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−6のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記圧縮コイルばねの前記先端部の背面が、コイル部の外面形状と相補的な形状を有することを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−8のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記圧縮コイルばねのコイルの有効巻数が3巻以下であることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−8のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記圧縮コイルばねのコイルの有効巻数が3巻を越えることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−3のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記背面の一部には凸部が設けられており、前記凸部のみで隣接するコイル部に接触することを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項11に記載の圧縮コイルばねにおいて、
前記凸部は、前記背面と一体的に設けられていることを特徴とする圧縮コイルばね。 - 請求項11に記載の圧縮コイルばねにおいて、
前記凸部は、前記圧縮コイルばねとは別部材であり、前記先端部に設けられることを特徴とする圧縮コイルばね。 - 請求項1−3のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記圧縮コイルばねのコイル部の断面の形状はほぼ円形であることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−3のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記圧縮コイルばねのコイル部の断面の形状はほぼ矩形であることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項1−6のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記先端部の背面は平坦に形成されていることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 作動領域ではコイル部が互いに密着しない圧縮コイルばねと前記圧縮コイルばねを載置する台座からなるばねユニットにおいて、圧縮コイルばねの取付方向の少なくとも一方の端部が座巻を有し、前記座巻の座巻開始部と座巻の先端部とが円周方向で180度対称の位置にあり、前記先端部は前記台座に一体に形成したフランジ部に挿入され、前記圧縮コイルばねの取付時に前記フランジ部のみが隣接するコイル部に接触することを特徴とするばねユニット。
- 作動領域ではコイル部が互いに密着しない圧縮コイルばねと前記圧縮コイルばねを載置する台座からなるばねユニットにおいて、圧縮コイルばねの取付方向の少なくとも一方の端部に有する座巻が、前記座巻の座巻開始部と座巻の先端部とが円周方向で180度対称の位置にあり、前記先端部は前記台座に一体に形成した突起部に載置され、前記圧縮コイルばねの取付時に前記座巻の背面の一部でのみ隣接するコイル部に接触することを特徴とするばねユニット。
- 請求項18に記載のばねユニットにおいて、前記台座は、前記圧縮コイルばねの取付方向の両端に設けられ、前記突起部は180度の位相で円周方向2カ所に設けられていることを特徴とするばねユニット。
- 請求項18または19に記載のばねユニットにおいて、前記突起部に前記圧縮コイルばねの移動を制限する手段が設けられていることを特徴とするばねユニット。
- 請求項18に記載のばねユニットにおいて、前記台座に前記先端部が嵌入される溝孔が設けられていることを特徴とするばねユニット。
- 請求項21に記載のばねユニットにおいて、前記台座には前記圧縮コイルばねを包囲する円筒部材が設けられていることを特徴とするばねユニット。
- 請求項1−16のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記背面の一部、または前記背面の一部と接触する隣接するコイル部の部位のいずれか一方に表面処理がなされていることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項18−22のいずれか1項に記載のばねユニットにおいて、前記背面の一部、または前記背面の一部と接触する隣接するコイル部の部位のいずれか一方に表面処理がなされていることを特徴とするばねユニット。
- 請求項11−13のいずれか1項に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記凸部に表面処理がなされていることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項23に記載の圧縮コイルばねにおいて、前記表面処理は、浸炭焼き入れ、窒化処理、またはショットピーニングのいずれか一つであることを特徴とする圧縮コイルばね。
- 請求項24に記載のばねユニットにおいて、前記表面処理は、浸炭焼き入れ、窒化処理、またはショットピーニングのいずれか一つであることを特徴とするばねユニット。
- 請求項17−27のいずれか1項に記載のばねユニットにおいて、前記圧縮コイルばねのコイルの有効巻数が3巻以下であることを特徴とするばねユニット。
- 請求項17−27のいずれか1項に記載のばねユニットにおいて、前記圧縮コイルばねのコイルの有効巻数が3巻を越えることを特徴とするばねユニット。
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