JP3936170B2 - トップエミッションタイプ有機el素子 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、蛍光性有機化合物を含む有機EL素子に関し、特にガラス基板と封止カバーを含む気密容器で前記有機EL素子を保護し、前記封止カバー側から発光を観察する、トップエミッションタイプ有機EL素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む有機薄膜からなる有機EL層を一対の電極をなす陽極と陰極との間に挟んだ構造であり、前記薄膜に正孔(ホール)及び電子を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、この励起子が失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用する自発光素子である。
【0003】
従来有機EL素子は図4に示すように、有機EL素子を形成する基体であるガラス基板10上に透明電極であるITOからなる陽極電極60を形成しその上面に表示パターンを形成する開口31を設けた絶縁層30を積層し、その上面に有機化合物からなる正孔輸送層50b、電子輸送性発光層50a、(Al:Li,Mg:Ag等)からなる電子注入性を有する陰極40を順次積層して有機EL素子を形成する。前記有機EL素子は透明陽極電極の形成させた気体であるガラス基板側からEL発光を観察する(以下、ボトムエミッションタイプという。)ものが主流である。
【0004】
前記陽極電極と配線を兼ねてITOを配線とした場合該ITOは比抵抗が高いために前記有機EL素子内での配線抵抗が大きくなって電圧ドロップによる表示の不均一及び駆動電圧が上層する等の問題があった。更に、電子注入性を有する陰極として金属合金(Al:Li,Mg:Ag等)を使用するが、有機層である電子輸送性発光層上に電子注入層である陰極が露出する構成のために例えばSiO,GeO等の酸化物又はフッ素系樹脂による保護膜が必要であった。
前記問題点を解決するために、本願発明者等は(特開平10−208882号)において、ガラス基板上面に比抵抗の小さいAl等の金属薄膜で配線及び陰極を形成し、その上面に表示部を構成する開口部を有する絶縁層、電子注入層である金属合金(Al:Li,Mg:Ag等)、電子輸送性発光層、正孔輸送層、陽極としての透明ITO電極からなる有機EL素子に関する技術を開示している。前記有機EL素子は、ガラス基板と封止カバーを含む気密容器で内部をドライエアー等の不活性ガスを封入した状態で前記有機EL素子を保護し、前記封止カバー側から発光を観察する(以下、トップエミッションタイプという。)が、有機EL素子の寿命に大きな影響を及ぼす捕水剤を設けるスペースが無かった。
【0005】
前記トップエミッションタイプ有機EL素子は発光を、基板を通さないで観察するため不透光性基板を使用できるという長所も有する。そこで、薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子に用いたアクテイブマトリクス方式でパネルを設計する場合有機EL素子から光を有効に取り出すために、絶縁性基板上面に形成された薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子上面に有機EL素子を積層形成し、有機EL層側からEL発光を観察する技術も開示されている。(例えば、特開平2001−217072号:この場合はITO陽極、正孔輸送層、電子輸送性発光層、超薄膜電子輸送層、ITO透明陰極の構成でるがトップエミッションタイプであることに変わりはない。)
前記薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子に用いたアクテイブマトリクス方式有機EL素子もトップエミッションタイプのために、ガラス基板と封止カバーを含む気密容器で内部をドライエアー等の不活性ガスを封入した状態で前記有機EL素子を保護し、前記封止カバー側から発光を観察するか、又は、前記有機EL素子表面を(図3)に示すように有機EL素子表面を数μの非透湿性薄膜からなる透明保護膜91を積層形成して、透明保護膜側から発光を観察するものである。
アクテイブマトリクス方式有機EL素子の場合も、長寿命化に好適な捕水剤を設けるスペースが無かった。
【0006】
前記トップエミッションタイプの有機EL素子においても、最大の課題は耐久性の改善であり、その中でもダークスポットと呼ばれる非発光部の発生とその成長の防止が最も大きな課題となっている。ダークスポットの直径が数10μmに成長すると目視で非発光部が確認できるようになる。ダークスポットの主原因としては、水分及び酸素の影響が最も大きいとされ、特に水分は極めて微量でも大きな影響を及ぼすということが知られている。
対策として、有機EL素子の容器内に別途乾燥手段である捕水剤を金属キャップや図4に示すような凹部を設けたガラスの凹部に配置して封止することで大幅に改善できることが公知である。(例えば、特開平9―148066号)
前記凹部に乾燥手段としての粉末状の乾燥剤である酸化バリウムや酸化カルシウム等は透明ではない上、容器内に収容するために凹部を設け、凹部の乾燥剤を乾燥剤水分を通すシート状の蓋によって覆って容器に取り付けなければならない。
【0007】
前記のトップエミッションタイプ有機EL素子において、透明捕水膜(以下同じ)を有機EL素子を内包する気密容器に配置できるようにして、ダークスポットと呼ばれる非発光部の発生とその成長の防止をする事により長期に渡り使用できる有機EL素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、以下に示すように効果的に水分を吸着する透明な膜状の捕水材を設けた有機EL素子とする事により、ダークスポットの発生及び成長を抑えたことにある。
【0009】
請求項1の発明は、絶縁性の基体と、該基体に下部電極発光層を含む有機層及び上部電極が順次積層形成して成る積層膜と、前記積層膜を内包するように前記基体と透明な封止用カバーを含む気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を、前記透明な封止用カバーから観察するトップエミッションタイプ有機EL素子において、
M(OR1)(OR2)・・・(ORn)
(式中、R1〜Rnは炭素数 1 個以上のアルキル基,アリール基,シクロアルキル基,複素環基 , アシル基を含む有機基であり、Mは3価または4価の金属原子を示す。)
で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とする。
請求項2の発明は、(化1)(式中、R1〜R3は独立に炭素数 1 個以上のアルキル基,アリール基,シクロアルキル基,複素環基 , アシル基を含む有機基を示し、Mは3価の金属原子を示す。)で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とするトップエミッションタイプ有機EL素子。
請求項3の発明は、(化2)(式中、R1〜R3、R5は独立に炭素数 1 個以上のアルキル基,アリール基,シクロアルキル基,複素環基 , アシル基を含む有機基を示し、Mは3価の金属原子を示す。)で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とする。
請求項4の発明は、(化3)(式中、R1、R3、R4は独立に炭素数 1 個以上のアルキル基,アリール基,シクロアルキル基,複素環基 , アシル基を含む有機基を示し、Mは4価の金属原子を示す。)で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とする。
請求項5の発明は、(化7)(化8)(化9)で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とする。
請求項6の発明は、前記積層膜と対向する透明な封止用カバー内面にカラーフィルター又は蛍光変換層を設け、前記カラーフィルター又は蛍光変換層の上面に透明捕水膜が形成され、透明な封止用カバーを介して気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を観察することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1〜請求項5に使用の有機金属化合物から選ばれた一の有機金属化合物を含む透明捕水膜が前記上部電極の上面に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本願発明者等は鋭意検討の結果、該透明捕水膜として以下に説明する有機金属化合物(特願2000−147147号)からなる捕水剤が良好な効果を示すことを見出して以下の確認を行った。
前記有機金属化合物の一例としてアルミニウム オキサイド オクチレート(商品名 ホープ製薬製オリープ AOO)(化7)を3μm〜30μmの膜厚で透明ガラス基板に塗膜したときの、波長が400nm〜800nmの範囲の透過率を日立製U−2010形分光光度計を使用して測定した結果を図8に示す。
【0011】
図8から本願発明の透明捕水膜は少なくとも膜厚が3μm〜30μmにおいて、前記有機金属化合物からなる透明捕水膜の透過率が、波長400nm〜800nmの範囲の光を95%以上透過することを示しており、良好な透明捕水膜であること示している。
前記図8の透過率は本願発明の有機金属化合物の代表例として、前記アルミニウム オキサイド オクチレート(商品名 ホープ製薬製オリープ AOO)(化7)を示したが他の有機金属化合物も同様な透過特性を示すことは言うまでも無い。
【0012】
次に、本願発明の透明捕水剤として使用する前記有機金属化合物の一例として、アルミニウム オキサイド オクチレート(商品名 ホープ製薬製オリープ AOO)(化7)を透明ガラス基板に塗膜したときの捕水効果について示す。
前記アルミニウムを含むキレートタイプの有機金属化合物と水の反応式は加熱により、下記化学反応式(化4)に示す様な反応性においてアルミニウム、アルコレート、及び、アルミニウムキレートに一部類似した反応をする。
【化4】
Figure 0003936170
以上から、前記化合物は化学的に水分を除去する乾燥剤として使用できるものと推慮した。
【0013】
本願発明による透明捕水膜は図8に示すように、膜厚が3μm〜30μmにおいて、前記アルミニウム オキサイド オクチレート(商品名 ホープ製薬製オリープ AOO)(化7)の透過率は、波長が400nm〜800nmの範囲の光を95%以上透過することから、有機EL素子のフルカラー化に有効な手段である有機EL素子に対向する封止用カバー内面にカラーフィルターを設け、該カラーフィルター上面に本願発明の透明捕水膜を設けることにより長期に渡って安定した発光特性を維持するフルカラー有機EL素子が得られる。
【0014】
図1は本発明による前記透明捕水膜を配設した有機ELの一実施の形態を示す断面図である。
図1に示すように,基体であるガラス基板10の表面には、低抵抗で安定な金属薄膜(例えばAl)フォトリソ法等により陰極20を形成する。前記Al薄膜は低抵抗であるため配線と併用しても良い。
前記陰極20の上面には、表示パターンを形成する開口31を設けた絶縁層30を積層し、(Al:Li,Mg:Ag等)からなる電子注入層40、電子輸送性発光層50a、正孔輸送層50b、透明陽極電極60を順次積層して有機EL素子を形成する。
【0015】
素子基板10の外周部には、水分を極力取り除いた不活性ガス(例えばドライ窒素)やドライエアーによるドライ雰囲気において、封止部材としての矩形状の封止用カバー90が例えば紫外線硬化樹脂による接着剤100により固定されて前記有機EL素子を保護している。
尚、本願発明は少なくとも一方が透明な2つの電極に発光性有機化合物が挟持されて、前記電極からの電子ないしは正孔の注入により発光する何れかの有機EL素子に適応できることは言うまでもない。
【0016】
前記捕水剤は発光部に近接して配設することが望ましく、封止キャップ内面全面に配設することが望ましいことから、本願発明による透明捕水膜を封止カバーに配設することにより長期に渡り信頼性のある有機EL素子が得られる。
【0017】
前記、薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子に用いたアクテイブマトリクス方式でパネルを構成する有機EL素子の場合、前記スイッチング素子側から発光を観察した場合に、該スイッチング素子は一般に非透光性の為、発光面積が小さくなってしまう。前記問題を解決するため、陰極を構成する金属を薄くする等の技術により、発光部側から有機EL発光を観察することが望ましい。
【0018】
【実施例】
次に本発明の実施例を挙げ具体的に説明する。
(実施例1)
図1に示すように、有機EL素子は、絶縁性及び透光性を有する矩形状のガラスからなる素子基板10を基部としている。ガラス基板10の上に低抵抗で安定な金属であるアルミニウム薄膜により陰極20及び不図示の配線をフォトリソ等により形成する。前記陰極20の上面に前記表示パターンに対応した開口31を有する絶縁層30を設け、表示パターンとなる陰極40としてAl−Liを共蒸着法により200nmの膜厚で成膜した。
陰極の一部配線は、素子基板10端部まで引き出されて不図示の駆動回路に接続される。
電子注入層40の上面に60nmの膜厚で成膜される電子輸送性発光層としてのトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)有機層50aを成膜した。
有機層50aの上面に抵抗加熱法により70nmの膜厚で形成されたホール輸送層としての銅フタロシアニン(CuPc)有機層50bを蒸着した。
前記透明性を有する導電材料としてITO膜をからなる陽極60を200nm、スパッタ法により成膜した。
【0019】
次に、封止キャップ3上に、(化1)で表される有機金属化合物の一つである、アルミニウム オキサイド オクチレート(商品名 ホープ製薬製オリープ AOO)(化7)48重量%含有溶液を、水分を極力取り除いたドライエアーによるドライ雰囲気中で塗布乾燥した。以上で乾燥手段である透明な厚さ30μmの有機金属化合物膜が完成する。
尚、図1に示す様に、乾燥手段である有機金属化合物を、封止キャップを構成する板部材90の一面に塗布しても良いが、封止部である紫外線硬化エポキシ樹脂領域を避けて塗布しても良い。
【0020】
該有機EL素子基板と、該封止キャップを、水分を極力取り除いたドライエア-によるドライ雰囲気中で、対向させ紫外線硬化エポキシ樹脂で塗布乾燥して密封した。
次に、接着剤の硬化反応を進めるために85℃で1時間加熱した。
【0021】
この有機EL素子の発光部について、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長について顕微鏡観察したところ初期1μmであったダークスポット径は中央部で500時間経過後10μmまでしか成長していなかった。ダークスポット径が10μm以下であれば目視では確認できず実用には問題ない。更に周辺部のダークスポットの発生成長も同様に効果があった。尚、加速寿命試験の500時間をかけない一般の寿命試験の数万時間以上に相当すると思われる(図5)。
本実施例による透明捕水膜の透過率を測定したところ、図8に示すとおり約97%の透過率であり優秀な透明膜であることを示している。
尚、(化1)(化2)(化3)の捕水剤は同様な透過特性を示すことは言うまでも無い。
【0022】
(実施例2)
次に、電極と有機EL層を保護膜により保護する形態の有機EL素子について説明する。(図2)
実施例1の有機EL素子の上面に、ドライ雰囲気中でアルミニウム オキサイド オクチレート(商品名 ホープ製薬製オリープ AOO)(化7)48重量%含有非水溶媒溶液のみに前記積層体をディップ後乾燥して10μm装着して透明捕水剤71を設けた後、非透湿層91(例えばエポキシ樹脂等)を印刷法で20μmの厚さで設けた。
尚、バッファー層としてCuPc10nm、保護層としてGeO10nm前記透明捕水剤層と有機EL素子の間に物理蒸着等で設けても良い。
【0023】
前記有機EL素子の発光部について、85℃、湿度85%の環境でのダークスポット径の成長について顕微鏡観察したところ初期1μmであったダークスポット加速寿命試験の結果は500時間経過後10μmまでしか成長していなかった。更に周辺部のダークスポットの発生成長も中央部と差異はなかった。(図5)
【0024】
(比較例1)
実施例1に示す有機EL素子に、凹部にCaOを設けた封止キャップを、前記有機EL積層体と対向する様にして、紫外線硬化型エポキシ樹脂で密封した。
【0025】
この有機EL素子の発光部について、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポット径の成長について顕微鏡観察したところ初期1μmであったダークスポットは500時間経過後11μmまで成長していた。有機EL素子周辺部の方が中央部よりもダークスポットの発生が多かった。(図5)
【0026】
前記アルミニウムを含むキレートタイプの乾燥剤と水の反応式は下記化学反応式(化5)に示す様に前記反応は最終的にアルミニウム錯体の3個のアルコキシ基が取れて前記アルミニウム錯体の3個の水酸基と反応して水分を吸収する。
【化5】
Figure 0003936170
以上から、前記化合物は化学的に水分を除去する透明捕水膜として使用できるものと推慮した。
(化1)に示す有機金属化合物が乾燥手段として有効であることを見出した。
【0027】
また、前記アルミニウム金属錯体以外の金属とのキレートタイプの有機金属化合物も下記化学反応式(化6)に示す反応により、金属の価に対応する有機化合物が取れて、n個の水酸基と反応する。
【化6】
Figure 0003936170
以上から、(化1)(化2)(化3)で表される化合物は、化学的に水分を除去する乾燥剤として使用できるものと推慮できる。
即ち、
M(OR1)(OR2)・・・(ORn)
(式中のR1〜Rnは、炭素数 1 個以上のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基、アシル基を含む有機基を示し、nは3又は4の整数を示し、Mは3価又は4価の金属原子を示す。)
で表される有機金属化合物も化学的に水分を除去する乾燥剤として使用できるものと推慮できる。
前記Rとして、以下に示す有機基がある。
【0028】
Rは、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基、アシル基を示す。アルキル基は置換もしくは未置換のものであるが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル等とあるが好ましくは炭素数が8以上のものが良い。置換若しくは未置換基の具体例として以下に示すものが好適である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。アルケニル基はビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキシセニル基等であるが、好ましくは炭素数が8以上置換若しくは未置換基の具体例として以下に示すものが好適である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0029】
アリール基は置換もしくは未置換のもので、具体例としては、フェニル基、トリル基、4-シアノフェニル基、ビフェニル基、o,m,p-テルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、9-フェニルアントラニル基、9,10-ジフェニルアントラニル基、ピレニル基等があるが好ましくは炭素数が8以上のものが良い。 またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0030】
置換もしくは未置換のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等でありが好ましくは炭素数が8以上のものが良い。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0031】
置換もしくは未置換のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボナン基、アダマンタン基、4-メチルシクロヘキシル基、4-シアノシクロヘキシル基等であり好ましくは炭素数が8以上のものが良い。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0032】
置換もしくは未置換の複素環基の具体例としては、ピロール基、ピロリン基、ピラゾール基、ピラゾリン基、イミダゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、インドール基、ベンズイミダゾール基、プリン基、キノリン基、イソキノリン基、シノリン基、キノキサリン基、ベンゾキノリン基、フルオレノン基、ジシアノフルオレノン基、カルバゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ビスベンゾオキサゾール基、ビスベンゾチアゾール基、ビスベンゾイミダゾール基等がある。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0033】
置換もしくは未置換のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピメロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、エライドイル基、マレオイル基、フマロイル基、シトラコノイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、タルトロノイル基、マロイル基、タルタロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基、グリオキシロイル基、ピルボイル基、アセトアセチル基、メソオキサリル基、メソオキサロ基、オキサルアセチル基、オキサルアセト基、レブリノイル基これらのアシル基にフッソ、塩素、臭素、ヨウ素などが置換しても良い。好ましくはアシル基の炭素は8以上良い。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0034】
Rを上記置換基で置換し、3価金属がアルミニウムである有機金属化合物の一例として(化7)(化8)(化9)が上げられる。
【0035】
【化7】
Figure 0003936170
【0036】
【化8】
Figure 0003936170
【0037】
【化9】
Figure 0003936170
【0038】
更に、本願発明者らは(化2)に示す有機金属化合物が、加水分解により水分子を吸着すること。即ち、有機EL層周辺の水分が有機金属化合物と反応して、(化2)に示す有機金属化合物のM−Oの結合が離れて、新たにM−OH結合が生じる。結果として(化2)に示す有機金属化合物が1モルに対し3モルの水分子と反応して水酸化物を形成することから、水分の吸着作用を有することを見出した。従って、(化2)に示す有機金属化合物は、有機EL素子の乾燥剤として使用できるという作用・原理を有するものと推慮される。(化2)に示す有機金属化合物が乾燥手段として有効であることを見出した。
下記に置換基の一例を示すがこれらに限られるものではない。
【0039】
Rは、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基、アシル基を示す。アルキル基は置換もしくは未置換のものであるが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル等がある。置換若しくは未置換基の具体例として以下に示すものが好適である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。アルケニル基はビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が8以上置換若しくは未置換基の具体例として以下に示すものが好適である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0040】
アリール基は置換もしくは未置換のもので、具体例としては、フェニル基、トリル基、4-シアノフェニル基、ビフェニル基、o,m,p-テルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、9-フェニルアントラニル基、9,10-ジフェニルアントラニル基、ピレニル基等がある。 またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0041】
置換もしくは未置換のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0042】
置換もしくは未置換のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボナン基、アダマンタン基、4-メチルシクロヘキシル基、4-シアノシクロヘキシル基等である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0043】
置換もしくは未置換の複素環基の具体例としては、ピロール基、ピロリン基、ピラゾール基、ピラゾリン基、イミダゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、インドール基、ベンズイミダゾール基、プリン基、キノリン基、イソキノリン基、シノリン基、キノキサリン基、ベンゾキノリン基、フルオレノン基、ジシアノフルオレノン基、カルバゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ビスベンゾオキサゾール基、ビスベンゾチアゾール基、ビスベンゾイミダゾール基等がある。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0044】
置換もしくは未置換のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピメロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、エライドイル基、マレオイル基、フマロイル基、シトラコノイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、タルトロノイル基、マロイル基、タルタロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基、グリオキシロイル基、ピルボイル基、アセトアセチル基、メソオキサリル基、メソオキサロ基、オキサルアセチル基、オキサルアセト基、レブリノイル基これらのアシル基にフッソ、塩素、臭素、ヨウ素などが置換しても良い。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0045】
Rを上記置換基で置換し、3価金属がアルミニウムであり、3価金属がアルミニウムである(化10)有機金属化合物の一例として(化11)(化12)(化13)の有機金属化合物が上げられる。
【0046】
【化10】
Figure 0003936170
【0047】
【化11】
Figure 0003936170
【0048】
【化12】
Figure 0003936170
【0049】
【化13】
Figure 0003936170
【0050】
(実施例4)(化11)
(化11)(ホープ製薬製Chelope-EH-2)のトルエン50wt%溶液を封止用ガラスの内面に塗布し、乾燥させた。この基板を用いて接着剤を用いて封止した。
その他は実施例1と同じである
次に、接着剤の硬化反応を進めるために85℃で1時間加熱した。
この有機EL素子の発光状態を顕微鏡を用いて観察した。
その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を、顕微鏡を用いて観察した。その結果、ダークスポットの成長はほとんど見られなかった。更に周辺部のダークスポットの発生成長も中央部と差異はなかった。(図6)
【0051】
(実施例5)(化12)(ホープ製薬製Chelope C10-2)を使用した以外は実施例10と同じである。その他は実施例1と同じである。
この有機EL素子の発光状態を顕微鏡を用いて観察した。その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を、顕微鏡を用いて観察した。その結果、ダークスポットの成長はほとんど見られなかった。更に周辺部のダークスポットの発生成長も中央部と差異はなかった。(図6)
【0052】
(実施例6)(化13)(ホープ製薬製Chelope C12-2) を使用した以外は実施例1と同じである。その他は実施例1と同じである。
この有機EL素子の発光状態を顕微鏡を用いて観察した。その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を、顕微鏡を用いて観察した。その結果、ダークスポットの成長はほとんど見られなかった。更に周辺部のダークスポットの発生成長も中央部と差異はなかった。(図6)
【0053】
(比較例2)捕水剤は何も使用せず,封止を行った。その他は実施例1と同じである。(図6)
この有機EL素子の発光状態を顕微鏡を用いて観察した。その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を、顕微鏡を用いて観察した。その結果、ダークスポットの成長が見られ,発光面積率は60%まで低下しており,200時間経過後では発光は全く見られなかった。
【0054】
3価金属がLaである有機金属化合物の1例として下記(化14)で表される化合物がある。
【化14】
Figure 0003936170
【0055】
3価金属がYである有機金属化合物の1例として下記(化15)で表される化合物がある。
【化15】
Figure 0003936170
【0056】
3価金属がGaである有機金属化合物の1例として下記(化16)で表される化合物がある。
【化16】
Figure 0003936170
【0057】
(実施例7)(化14)次に、透明乾燥剤膜に含まれる乾燥剤としてホープ製薬製Chelopeシリーズで有機金属化合物の中心金属を替えて実験を行った。乾燥手段としての(化14)に示されるLa錯体溶液を封止用ガラスの内面に塗布し、乾燥させた。この基板を用いて接着剤を用いて封止した。その他は実施例1と同じである。次に、接着剤の硬化反応を進めるために85℃で1時間加熱した。この有機EL素子の発光状態を顕微鏡を用いて観察した。その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を、顕微鏡を用いて観察した。その結果、ダークスポットの成長はほとんど見られなかった。更に周辺部のダークスポットの発生成長も中央部と差異はなかった。また、捕水剤無しの素子と比較して非発光部分の面積は小さかった。(図6)
【0058】
(実施例9)透明乾燥剤膜に含まれる乾燥剤にホープ製薬製Chelopeシリーズの中心金属をY に替えた有機金属化合物(化15)を新たに合成した。その他は実施例1と同じである。次に真空を解除し、乾燥窒素中で封止を行った。Y錯体溶液を封止用ガラスの内面に塗布し、乾燥させた。この基板を用いて接着剤を用いて封止した。 次に、接着剤の硬化反応を進めるために85℃で1時間加熱した。この有機EL素子の発光状態を顕微鏡を用いて観察した。その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を観察した。その結果、ダークスポットの成長はほとんど見られなかった。また、La錯体よりは捕水剤としての効果は劣るものの、捕水剤無しの素子と比較して非発光部分の面積は小さかった。更に周辺部のダークスポットの発生成長も中央部と差異はなかった。(図7)
【0059】
(実施例11)(化16)透明乾燥剤膜に含まれる乾燥剤にホープ製薬製Chelopeシリーズの中心金属をGa に替えた有機金属化合物(化16)を新たに合成した。Ga錯体溶液を封止用ガラスの内面に塗布し、乾燥させた。この基板を用いて接着剤を用いて封止した。その他は実施例1と同じである。次に、接着剤の硬化反応を進めるために85℃で1時間加熱した。この有機EL素子の発光状態を顕微鏡を用いて観察した。その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を観察した。その結果、ダークスポットの成長はほとんど見られなかった。また、La錯体よりは捕水剤としての効果は劣るものの、捕水剤無しの素子と比較して非発光部分の面積は小さかった。(図7)
【0060】
更に、(化3)に示す有機金属化合物が、加水分解により水分子を吸着すること。即ち、有機EL層周辺の水分が(化3)に示す有機金属化合物と反応して、前記化(3)に示す有機金属化合物のM−Oの結合が離れて、水分子のHとOHのが反応して水酸基(OH)結合が生じる。
結果として(化3)に示す有機金属化合物が水分子と反応して水酸化物を形成する。このことから、(化3)に示す有機金属化合物が有機EL素子の透明捕水膜として使用できるという作用・原理を有するものと推慮される。
下記に置換基の一例を示すがこれらに限られるものではない。
【0061】
Rは、炭素数1個以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基、アシル基を示す。アルキル基は置換もしくは未置換のものであるが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル等がある。置換若しくは未置換基の具体例として以下に示すものが好適である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。アルケニル基はビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等であるが、置換若しくは未置換基の具体例として以下に示すものが好適である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0062】
アリール基は置換もしくは未置換のもので、具体例としては、フェニル基、トリル基、4-シアノフェニル基、ビフェニル基、o,m,p-テルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、9-フェニルアントラニル基、9,10-ジフェニルアントラニル基、ピレニル基等がある。 またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0063】
置換もしくは未置換のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0064】
置換もしくは未置換のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボナン基、アダマンタン基、4-メチルシクロヘキシル基、4-シアノシクロヘキシル基等である。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0065】
置換もしくは未置換の複素環基の具体例としては、ピロール基、ピロリン基、ピラゾール基、ピラゾリン基、イミダゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、インドール基、ベンズイミダゾール基、プリン基、キノリン基、イソキノリン基、シノリン基、キノキサリン基、ベンゾキノリン基、フルオレノン基、ジシアノフルオレノン基、カルバゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ビスベンゾオキサゾール基、ビスベンゾチアゾール基、ビスベンゾイミダゾール基等がある。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0066】
置換もしくは未置換のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピメロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、エライドイル基、マレオイル基、フマロイル基、シトラコノイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、タルトロノイル基、マロイル基、タルタロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基、グリオキシロイル基、ピルボイル基、アセトアセチル基、メソオキサリル基、メソオキサロ基、オキサルアセチル基、オキサルアセト基、レブリノイル基これらのアシル基にフッソ、塩素、臭素、ヨウ素などが置換しても良い。またこれらのオリゴマー、ポリマーでも良い。
【0067】
Rを上記置換基で置換し、4価金属がゲルマニウム、シリコンである有機金属化合物の一例として(化17)(化18)の有機金属化合物が上げられる。
【0068】
【化17】
Figure 0003936170
【0069】
【化18】
Figure 0003936170
【0070】
(実施例10)透明乾燥剤膜に含まれる乾燥剤にホープ製薬製Chelopeシリーズの中心金属をゲルマニウム) に替えた有機金属化合物(化17)を新たに合成した。その他は実施例1と同じである。次に真空を解除し、乾燥窒素中で封止を行った。Ge錯体溶液を封止用ガラスの内面に塗布し、乾燥させた。この基板を用いて接着剤を用いて封止した。その後、オーブンで100℃まで加熱し、素子内の水を吸着させた。この有機EL素子の発光状態を観察した。その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を観察した。その結果、ダークスポットの成長はほとんど見られなかった。更に周辺部のダークスポットの発生成長も中央部と差異はなかった。また、La錯体よりは捕水剤としての効果は劣るものの、捕水剤無しの素子と比較して非発光部分の面積は小さかった。(図7)
【0071】
(実施例8)透明乾燥剤膜に含まれる乾燥剤にホープ製薬製Chelopeシリーズの中心金属をSiに替えた有機金属化合物(化18)を新たに合成した。あらかじめ、この材料をトルエンに溶解した。その他は実施例1と同じである。Si錯体溶液を封止用ガラスの内面に塗布し、乾燥させた。この基板を用いて接着剤を用いて封止した。 次に、接着剤の硬化反応を進めるために85℃で1時間加熱した。この有機EL素子の発光状態を顕微鏡を用いて観察した。その後、85℃、湿度85%の環境での加速寿命試験の結果ダークスポットの成長を確認した。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を、顕微鏡を用いて観察した。その結果、ダークスポットの成長はほとんど見られなかった。(図7)
また、La錯体よりは透明捕水膜としての効果は劣るものの、透明乾燥剤膜無しの素子と比較して非発光部分の面積は小さかった。更に周辺部のダークスポットの発生成長も中央部と差異はなかった。
【0072】
(比較例3)比較例として捕水剤は何も使用せず,封止を行った。その他は実施例1と同じである。 この有機EL素子の発光状態を観察した。その後、85℃・85%の高温高湿度雰囲気に入れ、捕水効果の確認を行った。100時間経過後、素子を取り出し同様に発光状態を観察した。その結果、ダークスポットの成長が見られ,発光面積率は60%まで低下しており,240時間経過後では発光は全く見られなかった。実施例14から実施例17および比較例3の結果を下のグラフに示す。(図7)
【0073】
(実施例12)透明ガラス基板にフィルターを設けた封止カバーに本願発明の(化1〜化17)に示す有機金属化合物膜を前記方法で成膜した以外は前記実施例1〜実施例17と同様に有機EL素子を作成したところ、カラーフィルターの特性を有効に利用した長期にわたって安定した発光特性を維持する有機EL素子が得られた。ダークスポットの成長も前記のカラーフィルターを使用しない有機EL素子と同様に抑えられた。
【0074】
(実施例13)透明ガラス基板に蛍光変換膜を設けた封止カバーに本願発明の(化1〜化17)に示す有機金属化合物膜を前記方法で成膜した以外は前記実施例1〜実施例17と同様に有機EL素子を作成したところ、色変換膜の特性を有効に利用した長期にわたって安定した発光特性を維持する有機EL素子が得られた。ダークスポットの成長も前記の蛍光変換膜を使用しない有機EL素子と同様に抑えられた。
【0075】
前記の有機層(4a、4b、4c)に代えてポリビニルカルバゾール(PVK)等の高分子タイプ有機EL層を成膜した有機EL素子においても、同様な効果が得られる。
【0076】
【発明の効果】
以上に詳述した通り、本発明により以下の効果があった。
▲1▼ 有機EL素子のダークスポットに発生・成長を防止する透明な捕水材料を見出した。
▲2▼ 本発明による透明な捕水材料は発光層に対面する封止カバー全面に配設出来ることから捕水効果が活用できることは産業上極めて大きな効果がある。
▲3▼ 本発明による透明な捕水材料を封止カバー内面に配設されたカラーフィルター上面に配することにより、前記カラーフィルターの特性を有効に利用した長期にわたって安定した発光特性を維持する有機EL素子が得られた。
▲4▼ 本発明による透明な捕水材料を封止カバー内面に配設された色変換膜上面に配することにより、前記色変換膜の特性を有効に利用した長期にわたって安定した発光特性を維持する有機EL素子が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態を示す側断面図
【図2】本発明による実施の形態を示す側断面図
【図3】従来の有機ELの構成を示す側断面図
【図4】従来の有機ELの構成を示す側断面図
【図5】本発明のダークスポットの成長を示すグラフ
【図6】本発明のダークスポットの成長を示すグラフ
【図7】本発明のダークスポットの成長を示すグラフ
【図8】本発明の透明捕水剤の透過特性を示すグラフ
【符号の説明】
10 …ガラス基板 20 …陰極 30 …絶縁層 40、…電子注入層
50a …電子輸送性発光層 50b …正孔輸送層 60 …陽極
70 …透明捕水剤 90 …封止カバー 100 …接着剤

Claims (7)

  1. 絶縁性の基体と、該基体に下部電極発光層を含む有機層及び上部電極が順次積層形成して成る積層膜と、前記積層膜を内包するように前記基体と透明な封止用カバーを含む気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を、前記透明な封止用カバーから観察するトップエミッションタイプ有機EL素子において、
    M(OR1)(OR2)・・・(ORn)
    (式中、R1〜Rnは炭素数 1 個以上のアルキル基,アリール基,シクロアルキル基,複素環基 , アシル基を含む有機基であり、Mは3価または4価の金属原子を示す。)
    で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とするトップエミッションタイプ有機EL素子。
  2. 絶縁性の基体と、該基体に下部電極発光層を含む有機層及び上部電極が順次積層形成して成る積層膜と、前記積層膜を内包するように前記基体と透明な封止用カバーを含む気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を、前記透明な封止用カバーから観察するトップエミッションタイプ有機EL素子において、
    (化1)で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とするトップエミッションタイプ有機EL素子。
    Figure 0003936170
    (式中、R1〜R3は独立に炭素数1個以上のアルキル基,アリール基,シクロアルキル基,複素環基,アシル基を含む有機基を示し、Mは3価の金属原子を示す。)
  3. 絶縁性の基体と、該基体に下部電極発光層を含む有機層及び上部電極が順次積層形成して成る積層膜と、前記積層膜を内包するように前記基体と透明な封止用カバーを含む気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を、前記透明な封止用カバーから観察するトップエミッションタイプ有機EL素子において、
    (化2)で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とするトップエミッションタイプ有機EL素子。
    Figure 0003936170
    (式中、R1〜R3は独立に炭素数1個以上のアルキル基,アリール基,シクロアルキル基,複素環基,アシル基を含む有機基を示し、Mは3価の金属原子を示す。)
  4. 絶縁性の基体と、該基体に下部電極発光層を含む有機層及び上部電極が順次積層形成して成る積層膜と、前記積層膜を内包するように前記基体と透明な封止用カバーを含む気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を、前記透明な封止用カバーから観察するトップエミッションタイプ有機EL素子において、
    (化3)で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とするトップエミッションタイプ有機EL素子。
    Figure 0003936170
    (式中、R1、R3、R4は独立に炭素数1個以上のアルキル基,アリール基,シクロアルキル基,複素環基,アシル基を含む有機基を示し、Mは4価の金属原子を示す。)
  5. 絶縁性の基体と、該基体に下部電極発光層を含む有機層及び上部電極が順次積層形成して成る積層膜と、前記積層膜を内包するように前記基体と透明な封止用カバーを含む気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を、前記透明な封止用カバーから観察するトップエミッションタイプ有機EL素子において、
    (化7)(化8)(化9)で表される有機金属化合物を含む透明捕水膜が3μm〜30μmの膜厚で前記封止用カバーの発光層の対向面に形成され、波長400nm〜800nmの範囲の光に対する前記透明捕水膜の透過率が95%以上であることを特徴とするトップエミッションタイプ有機EL素子。
    Figure 0003936170
    Figure 0003936170
    Figure 0003936170
  6. 請求項1〜請求項5の有機EL素子において、前記積層膜と対向する透明な封止用カバー内面にカラーフィルター又は蛍光変換層を設け、前記カラーフィルター又は蛍光変換層の上面に透明捕水膜が形成され、透明な封止用カバーを介して気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を観察することを特徴とするトップエミッションタイプ有機EL素子。
  7. 絶縁性の基体と、該基体に下部電極発光層を含む有機層及び上部電極が順次積層形成して成る積層膜と、前記積層膜を内包するように前記基体と透明な封止用カバーを含む気密容器に保持された有機EL素子の発光層の発光を、前記透明な封止用カバーから観察するトップエミッションタイプ有機EL素子において、
    請求項1〜請求項5に使用の有機金属化合物から選ばれた一の有機金属化合物を含む透明捕水膜が前記上部電極の上面に形成されていることを特徴とするトップエミッションタイプ有機EL素子。
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