JP3935780B2 - ガスの識別検知方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数種のガスを、複数の半導体式ガスセンサにより識別検知する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような複数種のガスを識別検知するガスの識別検知方法としては、特性の異なった複数種のガスセンサを備えたセンサアレイをガス検知部に備え、これらのガスセンサが、識別対象ガスに感応して得られる出力(静的情報)から、その識別検知を行うものが知られている。
【0003】
通常、この種の識別検知にあっては、識別対象ガスを一定時間センサアレイに接触させ、その時間経過後に得られる各ガスセンサの最大出力値あるいはその規格化値に基づいて、ガスを識別検知する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら識別対象ガスが混合ガスであり、比較的多量の主成分ガスと微量のマイナガス(成分エキス)とからなり、後者の成分エキスを識別検知したい場合、上記、従来の方法では、識別検知が非常に難しいという問題があった。
【0005】
例えば、混合ガスが、主成分としてのエタノールに微量の茶成分が混合したものであり、この茶成分が、緑茶、紅茶、ウーロン茶由来の成分である場合にあっては、従来手法を採用すると、複数のガスセンサ間での最大出力値(規格化したもの)は図6に示すようなパターンを示すこととなっていた。
【0006】
図6において、符号S1からS8は、種類を異にするガスセンサに対応する軸であり、実線は緑茶を、破線は紅茶を、一点鎖線はウーロン茶に対応している。各軸上の点は、先に説明したようにセンサを働かせる一定時間(例えば120秒)内の最大出力値を示している。
【0007】
この図からも判明するように、各茶成分間でパターンは重なっており、識別検知ができない。
【0008】
従って、従来型の識別方法では、極めて高い選択性を持つガスセンサを備えたセンサアレイが必要となるが、現実にはこのようなセンサアレイは存在しない。
【0009】
本願の目的は、上記のような識別検知が比較的困難なガスを、従来型のセンサアレイを使用しながら、容易に識別検知できるガスの識別検知方法を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明によるガスの識別検知方法の特徴手段は、
識別対象ガスに対する前記複数の半導体式ガスセンサの過渡応答出力を、個別に取得する過渡応答出力取り込み工程と、
前記過渡応答出力取り込み工程において、前記半導体式ガスセンサの通常検知温度で、前記半導体式ガスセンサを識別対象ガスのないエアー中に暴露するエアー暴露工程及び、前記過渡応答出力取り込み工程において、前記通常検知温度より高いパージ温度で、前記半導体式ガスセンサを識別対象ガスのないエアー中に暴露するパージ工程の少なくとも何れか一方の工程と、
前記過渡応答出力取り込み工程において、前記複数の半導体式ガスセンサそれぞれについて取り込まれた出力に関し、周波数特性を得る周波数特性導出工程とを実行し、
前記周波数特性導出工程で各半導体式ガスセンサ毎に得られる前記識別対象ガスの周波数特性間の関係に基づいて、前記識別対象ガスを識別することにあり、その作用・効果は次の通りである。
【0011】
本願発明に到達した発明者らが考える理論的根拠は以下の通りである。
半導体式ガスセンサにおける、センサ感応部でのガスの吸脱着は化学吸着であって、一種の表面化合物の形成と見ることができる。
【0012】
一方、各種ガスセンサ表面への吸着あるいは脱着進行速度は、センサ表面での化学反応速度と密接な関係を持っており、異なる化学種を持つガスによってセンサでのガスの吸脱着における過渡応答は異なってくる。
【0013】
従って、ガスの識別において識別対象ガスが、比較対象との関係において、同じ主成分に支配されていても、マイナ成分間の反応速度の違いによって、吸脱着速度の差が発生し、センサ出力の過渡応答は異なったものとなる。
【0014】
半導体式センサは、例えば、速い反応速度を持つガスに対してその吸脱着も速く、遅い場合は遅い。従って、マイナ成分の反応速度が主成分の反応速度より速いと、マイナ成分間の違いは、吸着時あるいは脱離時等の過渡応答に良く現われる。よって、この過渡応答波形の周波数特性を検出することで、成分の識別検知が可能となる。
【0015】
従って、本願方法においては、過渡応答出力の取り込みを積極的に実行し、反応速度の差が内在する波形出力を得る。そして、例えば、フーリエ変換を施し、周波数依存の特性を得るとともに、そのセンサ間におけるスペクトル強度データに基づく主成分分析を施し、センサ種及びガス種と関連付けられる周波数領域での特性を得ることにより、識別検知を良好に実行することができる。
【0016】
さらに、一旦ガスを吸着した状態から、ガスセンサがガスを脱離する場合にあっても、同様にガス種起因(言い換えれば反応速度起因で、且つガスセンサ種に依存した)の応答を得ることができる。
この操作は、所謂、通常検知温度で実行しても良いし、パージ操作によるものとしても良い。
そして、ガスセンサ周りに識別対象のガスがある状態で一応の過渡応答出力を得ておくとともに、その後に、脱離側の過渡応答出力を得ることにより、さらに、多くの周波数特性を得るのに有用な情報が載った過渡応答出力を得ることができ、結果的に、有効な識別検知を行うことができることとなる。
【0017】
さらに、上記方法において、請求項2に記載されているように、前記過渡応答出力取り込み工程において、前記識別対象ガスに対する前記複数の半導体式ガスセンサの過渡応答出力を取り込むに、
前記識別対象ガスが存在する状態で、半導体式ガスセンサによるガス検知温度を変更する検知温度変更工程を実行することが好ましい。
【0018】
半導体ガスセンサのガスに対する感度は、センサの動作温度に依存しており、各種ガスに対して最大感度を持つ動作温度は異なっている。
従って、主成分を持つガスを識別する際、ガス検知温度の変更を行って、例えば、マイナ成分間で異なった感度を持つようにガス検知温度を変えることが可能で、結果的に、微妙なマイナ成分の違いを検出でき、識別を可能にすることができる。
【0019】
但し、事前に適当な動作温度を選ぶのは困難で、また複数種のガスのマイナ成分に対する最大感度を持つ動作温度は異なっているため、事実上は、ガス検知温度をある範囲内で連続あるいは段階的に変化させて、反応速度の差異に基づく周波数特性起因の情報が載った出力波形を得る測定を行うこととなる。
そして、温度変更に伴った過渡応答出力を得て、周波数特性を導出することで、本願の識別検知を良好なものとできる。
【0020】
さらに上記方法において、請求項3に記載されているように、
前記検知温度変更工程を経た後に、前記エアー暴露工程と前記パージ工程との少なくとも何れか一方の工程を行うことが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
[ガスの識別検知装置の構造]
1 装置構成
本願のガスの識別検知方法を使用するガスの識別検知装置1の概略構造を図1に示した。同図は、例えば本願発明者が属する新コスモス電機社製のニオイ識別装置EOS−100が有する装置構成と概略同様なものであるが、動作手段201及び解析手段202をハードウエア資源とともに構築するコンピュータ2内に収納される動作ソフト、解析ソフトが、以下に示すように、従来とは異なったものであり、ガスの識別を目的とした独特の動作、解析を実現可能となっている。
【0022】
装置1の概略を示すと、装置1はガスセンサアレイ3が収納されるガス検知部4としてのセンサーセルに、識別対象ガスを導入するガス導入系5と、このガス検知部4からのガスを排気するガス排気系6とを備えて構成されており、装置全体の動作制御が、上記コンピュータ2によって実行される構造が採られている。
【0023】
前記ガス導入系5は、識別対象ガスを識別装置内に個別に導入するための公知構造のサンプリングシステム7に繋がるガス導入部51と、活性炭を備え、エアーを導入するためのエアー導入部52とを切換え、前記ガス検知部4に導く切換えバルブ53を有して構成されている。
この構成を採用することで、コンピュータ2からの指令に従って、サンプリングシステム7からの識別対象のガス、もしくは外気からのエアーを、ガス検知部4に送ることができる。 この動作を実行する手段を動作手段201と呼ぶ。
【0024】
前記ガス排気系6には、流量制御装置61が備えられるとともに、その下手にポンプ62を備え、ガス検知部4から排出すべきガスもしくはエアーを適宜排気できるように構成されている。
この動作も、コンピュータ2からの動作手段201による指令に従ったものとされる。
【0025】
2 ガスセンサアレイ3
前記ガス検知部4に備えられるガスセンサアレイ3の構成について、以下に詳細に説明する。
このガスセンサアレイ3は、複数のガスセンサ31を所定形状の基板32上に備えたものであり、個々のガスセンサ出力が、図1に示される様に個別にセンサ出力回路8を経て取り込まれ、上記コンピュータ2に送られるように構成されている。
【0026】
図2に示すように、各ガスセンサ31は、所謂、基板型センサに構成されている。このセンサはアルミナ等の基板32の裏側にヒータ33を、その表側に一対の櫛歯状電極膜34を設けたものであり、これら一対の電極膜34を覆うように酸化錫膜層35を備え、さらに、その表側に触媒層36を備える、もしくは備えない構造とされている。
前記酸化錫膜層35には酸化鉛を担持しており、酸化錫膜層35に到達するガスにより、一対の電極膜34間の抵抗が変化し、この抵抗の変化をセンサ出力として取り出すことが可能とされている。即ち、この部位がガスセンサ31の感応部となっている。
【0027】
前記触媒層36は、上記のガスセンサ31の感応部へのガスの到達を制御することとなる。
【0028】
本願のセンサアレイ3には8種のガスセンサ31が備えられており、その感応部35の構成は共通で、触媒層36は以下のように異なった組成物からなるものとされている。触媒層36の組成物を以下の表に示した。
【0029】
【表1】
センサ1(S1) 触媒層無し
センサ2(S2) Al2 O3
センサ3(S3) ZnO
センサ4(S4) ZnO2
センサ5(S5) TiO2
センサ6(S6) Mo−FeOx
センサ7(S7) V/SiO2
センサ8(S8) SiO2 −Al2 O3
【0030】
この種のガスセンサ31は以下の工程を経て製造される。
酸化錫厚膜35をスクリーン印刷法で基板上に作成し、1200℃で2時間焼成し、含浸法でPbOx をその膜に担持させる。上記組成の触媒をセンサの感応膜上に塗布して、乾燥し、2次焼結処理し、エージングを経て完成する。
これらのガスセンサ31は、従来知られているように、異なったガスに対して、異なった感応特性を示す。
【0031】
3 識別検知動作
本願ガスの識別検知装置1にあっては、コンピュータ2が動作手段201の働きでガス識別に必要な情報の取り込みを適切に制御するとともに、本願独特の状態で取り込まれたセンサ出力を解析処理するものとされている。この解析処理側の手段を解析手段202と呼ぶ。
【0032】
この動作及びその解析は、以下のように要約することが可能である。
1 過渡応答出力取り込み工程(動作手段201により主に実行される)
識別対象ガスに対する複数の半導体式ガスセンサ31の過渡応答出力を、個別に取得する。具体的には、図3(イ)に示すようなセンサ出力を取得するものである。ここで、図3は、以下に詳細に示すように、センサ出力波形を(イ)に、この出力を得るための温度変更を(ロ)に、さらにその中間にセンサ周りの雰囲気の種別を示したものである。
【0033】
2 周波数特性導出工程(解析手段202により主に実行される)
過渡応答出力取り込み工程において、複数の半導体式ガスセンサ31それぞれについて取り込まれた出力について、その周波数特性を得る。ここでいう、周波数特性とは、過渡応答出力を周波数分析(具体的にはフーリエ変換処理)して、その周波数毎のスペクトル強度(具体的には識別検知に有用な周波数のスペクトル強度)を得ること、さらには、各センサ毎に得られる、そのスペクトル強度を、全センサ種に亘ってパターン的に認識・検討し、主成分分析を実施することを意味する。
【0034】
3 識別検知工程
周波数特性導出工程で、各半導体式ガスセンサ毎に得られる識別対象ガスの周波数特性間の関係に基づいて、識別対象ガスを識別する。
この識別判定は、作業者による判定とすることが可能であるとともに、コンピュータ2内に構築される経験データとの比較において、自動的に識別判定を行うことも可能である。この場合は、コンピュータ2内に判定手段まで備えることとなる。
【0035】
以上が、本願装置1が識別検知を行う場合の主な流れであるが、以下さらに、過渡応答出力取り込み工程を、図3(ロ)とともに詳細に説明する。
この工程は、以下の4工程を含んでいる。
【0036】
a ガス吸着工程
この工程は、ガスセンサ31が使用される通常のセンサ温度である通常検知温度にセンサを維持し、ガスが無いブランク状態から、識別対象ガスをガス検知部4に導いて各ガスセンサにガスを吸着もしくは感応させる工程である。
この工程にあっては、図3(イ)のaエリアで示すようなガスセンサ出力が得られ、その波形は上昇・飽和する波形となる。
【0037】
b センサ温度変更工程
この工程は、識別対象のガスをガス検知部に導きながら、前記通常検知温度に対して、この通常温度とは異なる(通常は低い)温度にセンサを変更し、各センサ素子のセンサ出力を得る工程である。この変更の形態は、ステップ状の変更であってもよいし、連続的な変更であってもよい。
この工程にあっては、温度を低下させた場合、図3(イ)のb1エリアで示すように、センサ出力が下がる(逆の温度操作を行うと、b2エリアで示すように逆の変化を示す)。この操作により反応速度と検知温度対感度特性の異なるセンサ種間の感応データを容易に取り込むことが可能となる。
【0038】
c エアー暴露工程
この工程は、上記のようにしてガスを吸着した状態にあるガスセンサ31を、通常検知温度に維持しながら、識別対象ガスの無いエアーに接触させて、吸着状態にあるガスの一部を放出させる工程である。
この工程にあっては、例えば、図3(イ)に示すように、前記センサ温度変更工程において検知温度を低下・復帰させた後、引き続いてこの工程を実施すると、cエリアで示すように、センサ出力が低下する。
【0039】
d パージ工程
この工程は、通常検知温度より高いパージ温度で、センサ31をエアー中に暴露するものであり、基本的には、吸着されたガスの全体をガスセンサ31からパージすることを意図する。
この工程にあっては、図3(イ)にdエリアで示すように、センサ出力が急速に低下する。
これら工程は、ガスが無い状態から有る状態への変化もしくはその逆の変化、及びガスが有る状態におけるセンサ温度の変化を含んでいるため、そのセンサ出力変化は、センサ出力が定常に達していない過渡応答形態のものである。
結果、ガスの特性を特定するのに好ましい周波数応答特性を得られる多数の情報を含んでいる。
【0040】
このような工程変更操作は、コンピュータの記憶部20に記憶された所定の動作パターンに基づくものとされる。先に示したように動作手段201により、この様な動作パターンで個々のガスセンサ31のセンサ出力を取得し、解析手段202により所定の周波数分析処理及び主成分分析を実行することで、本願が目的とするような精度の高い識別検知に役立つ解析結果を得ることができる。
【0041】
[ガスの識別検知の具体例]
以下、緑茶、紅茶、ウーロン茶エキスの10%エタノール液の識別を例にとって、その検知状況を具体的に説明する。
【0042】
1 過渡応答出力取り込み工程
先に説明したように、図3は、横軸に時間を、縦軸にセンサ出力(イ)、センサ設定温度(ロ)を取ったものである。図3(ロ)で、ヒータ電圧は温度に対応するものであり、電圧が高いほうが温度が高い。
同図に示すように、ガス吸着工程において、120秒間、ガスセンサを通常検知温度500℃に設定する。その後、温度変更工程において、120秒間に亘ってセンサ温度を連続的に変化させる。具体的には、500℃から一旦400℃まで温度を低下させた後に、再度500℃まで復帰させる。この間、識別対象のガスは個別に150mlの流量でずっと供給し続ける。
【0043】
次に、センサ温度が通常検知温度500℃に戻った時点で、エアー暴露工程としてクリーンエアーを500mlの流量で供給してガスセンサ31のリフレッシングを30秒間実行する。さらに、ガスの脱離を急速に起こさせるため、パージ工程として560℃に温度を上げて30秒間パージをかける。
【0044】
その時の各ガスセンサ31の出力波形は、図3(イ)の様になる。
この図において各線は8のガスセンサ個々のセンサ出力を示している。ガスに含有される成分エキスは同図にあっては具体的には緑茶である。
従って、本具体例の場合、この図と同構造の図が、紅茶、ウーロン茶についてもそれぞれ得られる。
【0045】
2 周波数特性導出工程
上記のようにして、各ガスセンサ種毎且つ各識別対象(緑茶、紅茶、ウーロン茶)毎に得られる出力曲線の波形を、個別にフーリエ変換し、その周波数成分スペクトル毎にスペクトルパターンを求め、そのパターンを主成分分析方法で解析する。図5、6に解析結果を示す例にあっては、図4に示したほぼ全時間領域を単一の周波数解析対象領域とした。
【0046】
図4は、上記のようにしてフーリエ変換後のスペクトル強度をパターン化して図示したものである。同図には、基本周波数の3倍成分を表示した。スペクトル強度は規格化されている。各軸は、先に説明した8種のガスセンサ(S1〜S8)に対応しており、実線、破線、一点鎖線の種別は、先に図6において説明したと同様である。図6と比較すると、線種間でばらつきが認められ、ガスの識別検知がそのパターンレベルで可能なことが分かる。
【0047】
さらに、主成分分析の結果を図5に示した。横軸は第一主成分を、縦軸は第二主成分を示している。茶の種類によって、それぞれの成分に対する分布域が明らかに分離されており、容易に識別することができることが分かる。
【0048】
〔別実施の形態〕
(1) 上記の実施の形態にあっては、センサ種の個数を8とするものを示したが、原理的には2以上の複数であればよく、5種以上で、比較的簡易な識別検知が可能となる。また、上記の実施形態では、基板型のセンサを示したが、所謂、熱線型のものも使用できる。
【0049】
(2) 上記の実施の形態にあっては、異なった種類の茶を識別検知することとしたが、発明者は醤油に対しても本願方法を実施したが、有効に識別検知できた。即ち、本願は主成分に微量のエキス成分が含まれたガスの識別検知に特に有用である。
【0050】
(3) 本願識別検知の方法は、主成分中に微量に含まれている成分の識別検知が可能であるため、通用の識別差が出やすい識別検知対象を検査する場合も当然に使用できる。
【0051】
(4) 上記の実施の形態にあっては、ガス吸着工程、センサ温度変更工程、エアー暴露工程、パージ工程を順次連続して実行するものとしたが、ガスが無しから有る状態間で変化させられる場合のみ、その後センサ温度を変更する場合のみにあっても、本願は適応できる。
さらに、ガス吸着状態にある複数種のガスセンサをエアーに暴露して、脱離させる場合にあっても、本願を適応できる。
また、過渡応答出力取り込み工程にあっては、その出力の取り込み時間は、本願の目的に対応させて、任意に設定可能である。
【0052】
(5) 上記の実施形態において、通常検知温度が500℃である場合を示したが、半導体式ガスセンサの場合、その通常検知温度は450〜550℃の範囲で選択される例もある。この場合、温度変更工程にあっては、通常検知温度から±100℃〜200℃の範囲で温度変更することが、好ましい。
また、パージ温度は、560℃〜650℃程度の温度範囲で選択することが、好ましい。
【0053】
(6) これまでの説明にあっては、識別対象のガスを単にガスと称し、エアーに対する用語として使用したが、この種のガスとしては、ニオイ識別の対象となるもの、さらには、組成種識別の対象となるもの、任意のものを含むことは当然である。
(7) 上記の実施の形態にあっては、周波数特性を得るのにフーリエ変換手法を採ったが、スタンフォード大学のTim Edwards らが紹介しているDWT(Discrete Wavelet Transforms) 手法等、任意の手法を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願で使用するガス識別装置の構成を示す図
【図2】ガス識別装置に備えられるセンサアレイの各センサの構成を示す図
【図3】各ガスセンサにおけるセンサ出力と、検知温度設定を示す図
【図4】スペクトル強度パターンを示す図
【図5】主成分分析結果を示す図
【図6】各センサからの出力最大値に基づいて得られるパターンを示す図
【符号の説明】
1 ガスの識別検知装置
2 コンピュータ
3 ガスセンサアレイ
4 ガス検知部
20 記憶部
201 動作手段
202 解析手段

Claims (3)

  1. 複数種のガスを、複数の半導体式ガスセンサにより識別検知するガスの識別検知方法であって、
    識別対象ガスに対する前記複数の半導体式ガスセンサの過渡応答出力を、個別に取得する過渡応答出力取り込み工程と、
    前記過渡応答出力取り込み工程において、前記半導体式ガスセンサの通常検知温度で、前記半導体式ガスセンサを識別対象ガスのないエアー中に暴露するエアー暴露工程及び、前記過渡応答出力取り込み工程において、前記通常検知温度より高いパージ温度で、前記半導体式ガスセンサを識別対象ガスのないエアー中に暴露するパージ工程の少なくとも何れか一方の工程と、
    前記過渡応答出力取り込み工程において、前記複数の半導体式ガスセンサそれぞれについて取り込まれた出力に関し、周波数特性を得る周波数特性導出工程とを実行し、
    前記周波数特性導出工程で各半導体式ガスセンサ毎に得られる前記識別対象ガスの周波数特性間の関係に基づいて、前記識別対象ガスを識別するガスの識別検知方法。
  2. 前記過渡応答出力取り込み工程において、前記識別対象ガスに対する前記複数の半導体式ガスセンサの過渡応答出力を取り込むに、
    前記識別対象ガスが存在する状態で、半導体式ガスセンサによるガス検知温度を変更する検知温度変更工程を実行する請求項1記載のガスの識別検知方法。
  3. 前記検知温度変更工程を経た後に、前記エアー暴露工程と前記パージ工程との少なくとも何れか一方の工程を行う請求項2記載のガスの識別検知方法。
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