JPH11125610A - におい測定用信号処理装置 - Google Patents

におい測定用信号処理装置

Info

Publication number
JPH11125610A
JPH11125610A JP30999397A JP30999397A JPH11125610A JP H11125610 A JPH11125610 A JP H11125610A JP 30999397 A JP30999397 A JP 30999397A JP 30999397 A JP30999397 A JP 30999397A JP H11125610 A JPH11125610 A JP H11125610A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
odor
sensor
sample
substance
weighting coefficient
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30999397A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunihiko Okubo
邦彦 大久保
Keizo Kawamoto
啓三 川本
Taisei Kinoshita
太生 木下
Hiroshi Nakano
博司 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP30999397A priority Critical patent/JPH11125610A/ja
Publication of JPH11125610A publication Critical patent/JPH11125610A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Fluid Adsorption Or Reactions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 においの識別能力を向上する。 【解決手段】 被測定におい物質と同種の複数の既知の
におい物質を予め測定し、その結果より、互いに応答特
性の相違する複数のにおいセンサの識別性を判定し、識
別の寄与に応じた重み付け係数を決定しておく。被測定
におい物質の測定に際し、乗算部43は、重み付け係数
メモリ45に予め格納しておいた係数α1〜α16を複数
のにおいセンサから得た検出信号に乗じる。演算処理部
44は、この重み付けされた複数のデータを用い多変量
解析処理を実行してにおいを識別又は分類する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスセンサの一種
であるにおいセンサを複数個使用して試料ガスに含まれ
るにおい成分を測定するにおい測定装置において、各に
おいセンサから得られる検出信号を処理してにおいの識
別や分類を行なう信号処理装置に関する。なお、本発明
が適用されるにおい測定装置は、食品や香料の品質検
査、悪臭公害の定量検知、焦げ臭検知による火災警報
機、更には、人物の追跡、識別、認証や薬物検査等の犯
罪捜査等の、幅広い分野に利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】においセンサは、空気(又は供給された
試料ガス)中に含まれるにおい成分がセンサの感応面に
付着することにより生ずる該センサの物理的変化を電気
的(又は光学的)に測定するものである。においセンサ
としては、酸化物半導体を用いたものや導電性高分子を
用いたものが知られている。
【0003】例えば、導電性高分子から成る感応膜を備
えたにおいセンサでは、その導電性高分子の種類や導電
率を調整するために導入されるドーパントの種類等によ
って、検出可能な化合物が相違する。そこで、化合物等
の試料成分が多数混じっているにおい物質を測定するに
は、応答特性の相違する複数のにおいセンサを用い、そ
の各においセンサから得られる複数の検出信号を総合的
に処理及び判断する必要がある。
【0004】このような処理を行なうことにより、例え
ば、未知のにおい物質がどのような物質と近い臭気又は
香気を有しているのか、或いは、「焦げた臭い」「腐敗
臭」といったどのようなにおいの範疇に含まれるのか等
の、においの識別、分類又は位置付け等を行なうことが
できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
に複数のにおいセンサを備えたにおい測定装置において
各においセンサのノイズレベルを同一にすることは不可
能であり、各におい成分に対する感度、選択性はセンサ
毎に異なるので、例えば或るにおい物質を測定する場
合、検出信号の殆ど得られないセンサのノイズレベルが
非常に高いと、このノイズをにおい物質に対する応答と
看做して処理を行なってしまう。このため、におい物質
の識別に正確性を欠く恐れがある。また、被測定におい
物質にごく僅かに含まれる試料成分がその物質の識別の
重要な鍵になっていることも多いが、その物質に多量に
含まれる試料成分の影響で適切な識別が行なえないこと
もある。
【0006】本発明は上記課題を解決するために成され
たものであり、その目的とするところは、複数のセンサ
から得た検出信号を最適に処理し、におい物質の識別や
分類等をより正確に行なうことができるにおい測定用信
号処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明は、におい物質に対して応答する複数
のセンサから得られた検出信号を処理してにおいの識別
や分類を行なうにおい測定用信号処理装置において、 a)基準となる複数のにおい物質を測定した結果に基づい
て1乃至複数のセンサに区分した各グループ毎に決定さ
れた重み付け係数を記憶しておく記憶手段と、 b)被測定におい物質の測定時に、前記記憶手段に記憶さ
れている重み付け係数を各センサの検出信号に乗ずる演
算手段と、 c)該演算手段にて重み付けされた複数の信号を用いて被
測定におい物質の識別処理を行なう処理手段と、 を備えることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係るにおい測定用信号処
理装置では、まず、被測定におい物質と同一又は類似の
範疇に属する、基準となる複数のにおい物質を測定した
結果に基づき、その複数のにおい物質が最適に識別又は
分類されるように各センサの重み付け係数を決定してお
く。すなわち、その複数のにおい物質を識別又は分類す
るために大きく寄与するセンサに対しては相対的に大き
な係数を与え、逆に寄与の小さなセンサに対しては相対
的に小さな係数を与える。このとき、各センサ1個毎に
係数を割り当ててもよいし、複数のセンサを一つのグル
ープとして各グループ毎に係数を割り当ててもよい。こ
のように決定した重み付け係数は、RAM、ROM等の
記憶手段に格納しておく。
【0009】目的とするにおい物質の測定時には、上記
複数のにおいセンサにそのにおい物質を含む試料ガスを
接触させ、各センサの検出信号を得る。演算手段は、記
憶手段に格納されている重み付け係数を読み出し、対応
するセンサの検出信号にその係数を乗じて重み付けされ
た信号を得る。これにより、そのにおい物質の識別又は
分類においてあまり寄与しないと想定されるセンサの検
出信号は相対的に小さくなり、逆に大きく寄与すると想
定されるセンサの検出信号は相対的に大きくなる。処理
手段は、このように重み付けされた複数の検出信号を用
いて、におい物質の識別又は分類のための処理演算を実
行する。この処理のためには、例えば階層的クラスタ分
析、主成分分析等の多変量解析を始めとする種々の手法
を用いることができる。
【0010】
【発明の効果】本発明に係るにおい測定用信号処理装置
では、未知のにおい物質の識別又は分類に寄与しないに
おいセンサの検出出力は小さくなるので、例えばその検
出出力にノイズが混入していてもその影響は軽減され、
未知のにおい物質の識別又は分類に寄与の大きなにおい
センサの検出出力が主として利用される。このため、未
知のにおい物質の識別や分類能力が向上し、においの正
確な判定が行なえる。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係るにおい測定用信号処理装
置の一実施例を図1〜図9を参照して説明する。図1は
本実施例の信号処理装置を用いるにおい測定装置の構成
図、図2は本実施例のにおい測定用信号処理装置の構成
図、図3は本実施例において重み付け係数の決定の処理
手順を示すフローチャート、図4は重み付け係数の決定
処理を説明するための波形図、図5〜図9は重み付け係
数の決定の処理の説明に用いる図である。
【0012】まず図1により、このにおい測定装置の構
成を説明する。純粋な窒素ガスを充填した窒素ガス容器
10のガス出口に設けられた定圧バルブ11の出口側の
流路は、それぞれニードルバルブ13、15を備える二
本の第1及び第2なる窒素ガス流路12、14に分岐さ
れる。試料ガス流路16と第1窒素ガス流路12とは、
三方バルブ17により選択的に六方バルブ(6ポート2
ポジションバルブ)18のポートaに接続される一方、
第2窒素ガス流路14は六方バルブ18のポートdに接
続されている。六方バルブ18のポートcとポートfと
の間には、加熱用のヒータ20が付設された捕集管19
が接続されている。この捕集管19には、測定対象の試
料成分に応じて、例えば、カーボン系吸着剤やそのほか
の適宜の吸着剤が充填される。
【0013】六方バルブ18のポートbは、三方バルブ
21により、第1排出流路22又はニードルバルブ24
とポンプ25とが備えられた第2排出流路23に選択的
に接続される。六方バルブ18のポートeは複数のにお
いセンサ26を備えるフローセル27に接続され、その
下流側はバルブ30と逆止弁31とが備えられた第3排
出流路29となっている。複数のにおいセンサ26の検
出信号はそれぞれ信号処理部40に入力されており、後
述のような処理が行なわれる。においセンサ26の個数
は2以上の任意の数とすることができるが、ここではc
h1〜ch16の番号を付された16個のにおいセンサ
(各においセンサをセンサチャンネルと呼ぶ)を設置し
ている。また、フローセル27は、温度調整部28によ
り所定温度範囲で温度が自由に設定できるようになって
いる。
【0014】制御部32には操作部33が付設されてお
り、所定のプログラムに従って後述のように、三方バル
ブ17、21、六方バルブ18、ポンプ25、ヒータ2
0、温度調整部28等を制御している。なお、各流路の
配管材料としては、試料成分の吸着が少ないPTFEチ
ューブを利用することが望ましい。
【0015】次に、上記におい測定装置の動作を詳述す
る。まず、制御部32は、試料ガス流路16が六方バル
ブ18のポートaに接続されるように三方バルブ17を
切り替えると共に、六方バルブ18のポートbが第2排
出流路23に接続されるように三方バルブ21を切り替
える。また、図1に破線で示す接続状態に六方バルブ1
8を切り替え、ポンプ25を作動させる。すると、ポン
プ25の吸引力により、試料ガス流路16に導入された
試料ガスは三方バルブ17及び六方バルブ18を介して
捕集管19を通り(図1中の左から右方向)、更に六方
バルブ18、三方バルブ21、ニードルバルブ24を通
って第2排出流路23の出口から排出される。この試料
ガスは、例えば清浄空気に測定対象の試料成分(におい
成分)を含むものである。このときヒータ20には通電
されず捕集管19はほぼ常温に維持されるか、又は対象
試料成分が熱による脱離を生じない温度に調節されてい
るため、試料ガスが捕集管19を通過する際に試料ガス
に含まれる試料成分は吸着剤に吸着される。
【0016】一方、窒素ガス容器10のガス出口のガス
圧は高くなっているので、第2窒素ガス流路14を通し
て供給される窒素ガスは六方バルブ18を介してフロー
セル27に流通し、第3排出流路29の出口から排出さ
れる。窒素ガスの流量は、ニードルバルブ15の開度に
より適宜に調節される。これにより、においセンサ26
は常時窒素ガス雰囲気中に保持される。
【0017】所定時間、捕集管19に試料ガスを流通さ
せた後、制御部32は、三方バルブ17を切り替えて第
1窒素ガス流路12を六方バルブ18のポートaに接続
すると共に、三方バルブ21を切り替えて六方バルブ1
8のポートbを第1排出流路22に接続する。すると、
試料ガスに代わって、窒素ガス容器10より供給された
窒素ガスが、第1窒素ガス流路12−三方バルブ17−
六方バルブ18−捕集管19−六方バルブ18−三方バ
ルブ21を通り、第1排出流路22の出口から排出され
る。これにより、捕集管19を含む上記流路内部に残っ
ている試料ガスは、窒素ガスにより外部へ押し出され
る。このとき、捕集管19は常温に維持されるか又は試
料成分が熱による脱離を生じない温度に調節されている
ため、先に吸着剤に吸着された試料成分はそのまま残
る。一方、フローセル27には窒素ガスが流通され続け
るので、各においセンサ26は窒素ガス雰囲気中に保た
れる。
【0018】所定時間、捕集管19に窒素ガスを流通さ
せた後、制御部32は、六方バルブ18を図1に実線で
示す接続状態に切り替える。すると、第2窒素ガス流路
14−六方バルブ18−捕集管19−六方バルブ18−
フローセル27−第3排出流路29という流路が形成さ
れる。この状態でヒータ20に通電を開始し、捕集管1
9を急速に加熱する。これにより、捕集管19内の吸着
剤に吸着していた試料成分は吸着剤から離脱し、それ以
前とは逆方向(図1中で右から左方向)に流通する窒素
ガスに乗ってフローセル27まで運ばれる。このとき、
フローセル27は温度調整部28により約40℃に保た
れる。試料成分を含む窒素ガスがフローセル27を通る
と、各においセンサ26の感応膜に試料成分が吸着さ
れ、その特性に応じてにおいセンサ26の電極間の電気
抵抗が変化する。
【0019】信号処理部40は、図2に示すように、各
センサチャンネルch1〜ch16の電極間の抵抗変化
をそれぞれ測定する測定部41と、測定された信号をデ
ジタル信号に変換するA/D変換部42と、A/D変換
された各データに重み付け係数α1〜α16を乗じる乗算
部43と、重み付けされたデータを用いて例えば階層的
クラスタ分析等の多変量解析処理演算を実行することに
よりにおいの識別を行なう演算処理部44と、重み付け
係数α1〜α16を記憶しておく重み付け係数メモリ45
とから構成される。
【0020】16個のにおいセンサ26は、例えばいず
れも導電性高分子から成る感応膜を有するにおいセンサ
であるが、その導電性高分子の種類(例えばポリピロー
ル、ポリチオフェン等)が相違したり、或いは導入され
るドーパントの種類が相違したりしている。このため、
同一の化合物に対しセンサチャンネル毎に応答特性が相
違する。従って、複数の化合物から成る複数のにおい物
質を測定してこれを識別や分類するに際し、その識別に
重要な役割を有するセンサチャンネル、あまり重要でな
いセンサチャンネル、或いは不要なセンサチャンネルが
存在し得る。そこで、このようなことを考慮して後記の
手順に従って予め決定された重み付け係数α1〜α16
が、重み付け係数メモリ45に格納される。
【0021】上述のようににおい物質の試料成分を含む
窒素ガスがフローセル27に導入されることにより各セ
ンサチャンネルch1〜ch16で生じた電極間の抵抗
変化は、測定部41で検出されて検出信号として取り出
される。この検出信号はA/D変換部42にてデジタル
信号に変換され、乗算部43にて重み付け係数メモリ4
5から読み出された係数α1〜α16がそれぞれ乗じられ
る。これにより、目的とするにおい物質の識別や分類に
有用なセンサチャンネルの検出信号は相対的に大きくな
り、逆にあまり有用でない又は全く不要なセンサチャン
ネルの検出信号は減少又は除外される。この結果、演算
処理部44はより的確ににおい物質を識別をすることが
できる。
【0022】次に、図3のフローチャートに沿って上記
重み付け係数α1〜α16の決定処理の一例を説明する。
ここでは、におい物質としてコーヒー豆を用いた例につ
いて述べる。まず、基準となる既知の三種類のコーヒー
豆(モカ、キリマンジャロ、ブルーマウンテン)を用意
し、この三種類のコーヒー豆から各二個ずつ試料を取
り、清浄空気をキャリアガスとして合計六個の試料ガス
を準備する。また、キャリアガスのみを試料ガス(以下
「空気試料」という)としたものも二個用意する。
【0023】この八個の試料ガスを、図1に示したにお
い測定装置を用いて同一条件でそれぞれ測定する(ステ
ップS1)。勿論、このときは乗算部43にて重み付け
は行なわない。この測定により、一個の試料ガスの測定
に対し、各センサチャンネルch1〜ch16毎に、図
4(a)に示すような出力の時間変化曲線が得られる。
すなわち、におい物質の試料成分がフローセル27に到
達するまでは出力は一定を保ち、捕集管19内の吸着剤
から離脱した試料成分がフローセル27に到達すると出
力が上昇し、吸着剤から試料成分が離脱し終わると出力
は低下する。A/D変換部42はこのような変化曲線を
所定時間Δt間隔でサンプリングするから、各ch1〜
ch16毎にその変化曲線を構成する時系列データセッ
トが得られる。従って、全部で16×8=128〔個〕
の時系列データセットが取得される(ステップS2)。
【0024】次に、各センサチャンネル毎に、空気試料
を除く他の6個の試料ガスの測定結果を相互に比較でき
るように、上記時系列データセットを修正する(ステッ
プS3)。すなわち、まず、図4(a)に示した変化曲
線に対応する各時系列データセットにおいて、試料成分
がにおいセンサ26に到達する以前(つまり窒素ガスの
みがにフローセル27に導入されている期間)の検出値
r0を基準として、他の各検出値の比をそれぞれ計算す
る。例えば、図4(a)中の時間t1における検出値r1
はr1/r0になる。
【0025】次いで、このように比率に修正した時系列
データセットを用い、対応するセンサチャンネル毎に、
空気試料を除く6個の試料に対する時系列データセット
と空気試料に対する時系列データセットとの各データの
差分をそれぞれ求める。空気試料を測定したときの出力
の変化曲線は、例えば図4(b)に示すようになる。す
なわち、吸着剤の加熱初期に水分が蒸発しフローセル2
7に流入するから、これによる出力変化が主として観測
される。このような空気に含まれる水分(及び他の微量
な不純物)の影響は他の試料ガスにも現われている筈で
あるので、両者の差分を取ることにより空気に含まれる
水分等の影響を排除できる。
【0026】更に、その差分データから成る時系列デー
タセット毎に、平均を0、分散を1として各データ値を
正規化した時系列データセットを作成する。これによ
り、異なる試料ガスに対する時系列データセット間のデ
ータの絶対値の相違の影響が排除でき、出力変化の具合
の比較が容易になる。
【0027】上記のように修正された各時系列データセ
ットでは、データ値が修正されただけであるから各時系
列データセットのデータ数自体は減っていない。データ
数が多過ぎると以降の処理での処理時間が厖大になるた
め、例えば適宜の時間間隔でデータを間引く等の抽出処
理を行なうことにより、各時系列データセットに対応し
た処理用データセットを作成する(ステップS4)。そ
の結果、空気試料を除く他の6個の試料ガスに対して、
各センサチャンネル毎に、合計で16×6=96〔個〕
の処理用データセットが作成されることになる。
【0028】このように作成した処理用データセットを
用いて、各センサチャンネル毎に多変量解析の一手法で
ある周知の階層的クラスタ分析(以下「HCA」と称
す)処理を行ないデンドログラムを作成する(ステップ
S5)。デンドログラムの作成方法についての詳細な説
明は省くが、処理用データセットを用いて、二つの相異
なる試料の間の多次元ユークリッド空間上での距離ρを
計算し、距離ρが短い(つまり近い関係にある)ものか
ら順次グループ化してゆく処理を実行する。そして、最
終的に6個の試料に対する相互の距離ρに関し、距離ρ
が最も遠いものを0、距離ρ=0を1として規格化して
デンドログラムを作成する。
【0029】このようにして作成されたセンサチャンネ
ルch5、ch10及びch11に対するHCAデンド
ログラムを図5(a)、(b)及び(c)に示す。HC
Aデンドログラムでは距離が近い、つまり近い関係にあ
るものから順に線で結ばれているから、例えば、図5
(c)に示すHCAデンドログラムによれば、センサチ
ャンネルch11のみでは、モカAとモカB、キリマン
ジャロAとキリマンジャロBとはそれぞれ同一グループ
として適切に分類されていることがわかる。従って、こ
のセンサチャンネルch11はモカ及びキリマンジャロ
を識別する能力は高い、と判断することができる。そこ
で、HCAデンドログラムを基に、各センサチャンネル
ch1〜ch16の識別能力を評価し(ステップS
6)、相対的に識別能力の高いと判断できるセンサチャ
ンネルには高い重み付け係数を与え、逆に識別能力の低
いと判断できるセンサチャンネルには低い重み付け係数
を与える。このようにして、各センサチャンネルch1
〜ch16の仮の重み付け係数を決定する(ステップS
7)。
【0030】続いて、この仮の重み付け係数をそれぞれ
対応するセンサチャンネルから得られたデータに乗じて
総合的なHCA処理を実行し、デンドログラムを作成す
る(ステップS8)。このHCAデンドログラムを評価
し、各試料が正確に識別されているか否かを判定し(ス
テップS9)、識別されている場合にはそのときの仮の
重み付け係数を正式な重み付け係数として採用する(ス
テップS10)。一方、ステップS9にて各試料が正確
に識別されていないと判定されると、上記ステップS6
のHCA評価時に識別能力が高いと判断されたセンサチ
ャンネルの重み付け係数を修正して(ステップS1
1)、再び総合的なHCA処理を実行しこれを評価す
る。
【0031】このように始めに決定した仮の重み付け係
数を元に試行錯誤的にその値を修正し、各試料を適切に
識別することができる重み付け係数を求める。この例で
は、各センサチャンネルの重み付け係数を表1のように
したときに、図6に示すHCAデンドログラムが得られ
た。
【表1】
【0032】図6に明らかなように、三種類のコーヒー
豆はそれぞれ正しく分類されている。そこで、このとき
の係数を最終的な重み付け係数として採用する。比較対
照のために、何等重み付け処理を行なわない場合の、H
CAデンドログラムを図7に示す。図7に明らかなよう
に、重み付け処理を行なわないとキリマンジャロとモカ
とが正しく識別できない。このように、適切な重み付け
処理を行なうことにより識別性が大幅に向上しているこ
とがわかる。
【0033】また、このようにして決定された重み付け
係数を用いて、多変量解析の別の手法である主成分分析
(Principal Component Analysis=PCA)処理を行な
ったときのPCAスコアを図8に、また重み付け係数を
用いない場合のPCAスコアを図9に示す。PCAスコ
アでは、互いに近い関係にあるものは近い位置に配置さ
れる。図8に明らかなように、重み付け係数を用いた場
合には同一種類のコーヒー豆はそれぞれ近接して配置さ
れ、また他の種類のコーヒー豆とは明確に区別できる。
一方、図9に示すように、重み付け係数を用いない場合
には、異なる種類のコーヒー豆が明確に区別できておら
ず、識別性が低いことがわかる。このように、主成分分
析を行なうときにも、上記重み付け係数を用いると識別
性が大幅に向上する。
【0034】以上のようにして、コーヒー豆のにおいを
識別するために最適な重み付け係数が決定され、重み付
け係数メモリ45に格納される。他のにおい、例えば香
水の香りを識別するときには、既知の複数種類の香水を
用いて同様の手法により重み付け係数を決定する。
【0035】なお、上記重み付け決定処理では試行錯誤
的に重み付け係数を決定しているため、各試料は正しく
識別できるものの、必ずしも最良の識別性が得られる重
み付け係数が与えられるとは限らない。そこで、一連の
演算処理をコンピュータで行ない、且つその演算能力が
高い或いは演算時間が充分に確保できる場合には、各セ
ンサチャンネルの重み配分を少しずつ変えたHCAデン
ドログラムを総当たり的に計算し、その識別性を評価
し、最も識別性の高い重み付け係数の組合せを選択する
ようにしてもよい。
【0036】また、上記実施例では、各センサチャンネ
ルの識別性の評価及び未知のにおい物質の識別を階層的
クラスタ分析により行なっていたが、本発明はこれに限
定されるものではなく、複数の物質の識別が可能な種々
の解析手法、例えば主成分分析、PLS(Partial Leas
t Squares)、ニューラルネットワーク等の手法を用い
ることもできる。
【0037】なお、上記実施例は一例であって、本発明
の趣旨の範囲で適宜変形や修正を行なえることは明らか
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である信号処理装置を用い
たにおい測定装置の構成図。
【図2】 本発明の一実施例であるにおい測定用信号処
理装置の構成図。
【図3】 本実施例における重み付け係数の決定処理の
手順を示すフローチャート。
【図4】 重み付け係数の決定処理を説明するための波
形図。
【図5】 各センサチャンネル毎のHCAデンドログラ
ム。
【図6】 重み付け処理を行なった場合の総合的なHC
Aデンドログラム。
【図7】 重み付け処理を行なわない場合の総合的なH
CAデンドログラム。
【図8】 重み付け処理を行なった場合のPCAスコ
ア。
【図9】 重み付け処理を行なわない場合のPCAスコ
ア。
【符号の説明】
26…においセンサ 40…信号処理部 41…測定部 42…A/D変換部 43…乗算部 44…演算処理部 45…重み付け係数メモリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 博司 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所三条工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 におい物質に対して応答する複数のセン
    サから得られた検出信号を処理してにおいの識別や分類
    を行なうにおい測定用信号処理装置において、 a)基準となる複数のにおい物質を測定した結果に基づい
    て1乃至複数のセンサに区分した各グループ毎に決定し
    た重み付け係数を記憶しておく記憶手段と、 b)被測定におい物質の測定時に、前記記憶手段に記憶さ
    れている重み付け係数を各センサの検出信号に乗ずる演
    算手段と、 c)該演算手段にて重み付けされた複数の信号を用いて被
    測定におい物質の識別処理を行なう処理手段と、 を備えることを特徴とするにおい測定用信号処理装置。
JP30999397A 1997-10-23 1997-10-23 におい測定用信号処理装置 Pending JPH11125610A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30999397A JPH11125610A (ja) 1997-10-23 1997-10-23 におい測定用信号処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30999397A JPH11125610A (ja) 1997-10-23 1997-10-23 におい測定用信号処理装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11125610A true JPH11125610A (ja) 1999-05-11

Family

ID=17999854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30999397A Pending JPH11125610A (ja) 1997-10-23 1997-10-23 におい測定用信号処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11125610A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11287777A (ja) * 1998-04-03 1999-10-19 New Cosmos Electric Corp ガス種の判別方法及びガス種の判別装置
JP2004205258A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Futaba Electronics:Kk 匂い測定方法及びその装置
JP2014013601A (ja) * 2007-12-21 2014-01-23 Mks Instruments Inc 部分的最小二乗分析(pls−ツリー)を用いたデータの階層編成
JP2014089671A (ja) * 2012-10-31 2014-05-15 Toshiba Corp データ監視装置
WO2018003186A1 (ja) * 2016-06-29 2018-01-04 株式会社日立製作所 分子識別方法
CN110573853A (zh) * 2017-05-17 2019-12-13 株式会社而摩比特 气味图像的基础数据生成方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11287777A (ja) * 1998-04-03 1999-10-19 New Cosmos Electric Corp ガス種の判別方法及びガス種の判別装置
JP2004205258A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Futaba Electronics:Kk 匂い測定方法及びその装置
JP4562983B2 (ja) * 2002-12-24 2010-10-13 佐 藤 由 紀 匂い測定方法及びその装置
JP2014013601A (ja) * 2007-12-21 2014-01-23 Mks Instruments Inc 部分的最小二乗分析(pls−ツリー)を用いたデータの階層編成
JP2014089671A (ja) * 2012-10-31 2014-05-15 Toshiba Corp データ監視装置
WO2018003186A1 (ja) * 2016-06-29 2018-01-04 株式会社日立製作所 分子識別方法
CN110573853A (zh) * 2017-05-17 2019-12-13 株式会社而摩比特 气味图像的基础数据生成方法
CN110573853B (zh) * 2017-05-17 2022-09-30 株式会社而摩比特 气味图像的基础数据生成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5801297A (en) Methods and devices for the detection of odorous substances and applications
US6439026B2 (en) Odor measuring apparatus
US5910765A (en) Sensor module
JP3282586B2 (ja) におい測定装置
JP2006275606A (ja) ガス検出方法及びガス検出装置
Schüler et al. A novel approach for detecting HMDSO poisoning of metal oxide gas sensors and improving their stability by temperature cycled operation
CN108195895A (zh) 一种基于电子鼻和分光测色仪的茶树叶片氮含量快速检测方法
JP3809734B2 (ja) ガス測定装置
JP3832073B2 (ja) ガス測定装置
JPH11125610A (ja) におい測定用信号処理装置
JP2008008788A (ja) におい識別装置
Xu et al. Hybrid gas sensor array to identify and quantify low-concentration VOCs mixtures commonly found in chemical industrial parks
Tan et al. E-nose screening of pesticide residue on chilli and double-checked analysis through different data-recognition algorithms
CN106918817A (zh) 一种能检测茶叶类型和品质的气敏传感器的优选方法
EP1099949B1 (en) Device for measuring gases with odors
Ahmadou et al. Optimization of an electronic nose for rapid quantitative recognition
Dutta et al. Determination of tea quality by using a neural network based electronic nose
Lösch et al. Ozone detection in the ppb-range with improved stability and reduced cross sensitivity
Sharmilana et al. Classification and identification of volatile organic solvents based on functional groups using electronic nose
Bailey et al. Applications for an electronic aroma detector in the analysis of beer and raw materials
Lozanoa et al. Detection of pollutants in water using a wireless network of electronic noses
JP2004333134A (ja) におい測定装置
Saeed et al. Experimental use of electronic nose for analysis of volatile organic compound (VOC)
Baumbach et al. A new method for fast identification of gases and gas mixtures after sensor power up
JPH11125613A (ja) におい測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040513

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20050916

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051011

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061122

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070116