JP3935775B2 - レーザ加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ光を用いて穴加工、切断などを行うレーザ加工装置に係り、特にレーザ光を複数に分離させ、分離させたレーザ光のそれぞれを用いて加工対象上の異なる位置に穴を加工するレーザ加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ加工装置はレーザ光を用いて、例えばプリント基板に穴を加工する装置である。
【0003】
加工能率を向上させるため、特開平11−58055号公報(以下、「第1の従来技術」という。)では、レーザ光を位置決めする2次元スキャニング光学系と加工レンズとをN組(Nは複数)設け、レーザ発振器から出力されたレーザ光をN本に分割し、分割したレーザ光を、それぞれプリント基板の異なる位置に集光させている。このようにすると、N箇所を同時に加工することができるので、作業能率を向上させことができる。この場合、加工領域の大きさは加工レンズの大きさで決まるので、加工レンズを等間隔に配置すると共にプリント基板を共通のXYステージに載置しておく。そして、ある加工領域内の加工が終了すると、XYステージを移動させ、次の加工領域を加工レンズに対して位置決めする動作を加工が終了するまで繰り返す。
【0004】
また、特開平11−314188号公報(以下、「第2の従来技術」という。)や特開2000−190087号公報(以下、「第3の従来技術」という。)では、2つのスキャニング光学系を1つの加工レンズに対応させ、レーザ光を2分割して2か所を同時に加工することにより加工能率を向上させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第1の従来技術の場合、高価な加工レンズがN組必要になる。また、N組の加工レンズを活用するためには加工範囲を予め割り振る必要があり、さらに、加工パターン毎に加工レンズ間の距離を変える必要もある。
【0006】
また、上記第2、第3の従来技術では、2つの光学的スキャニング光学系を加工レンズに対して最適位置に配置することがスペース的に困難であるため、加工ビームをプリント基板に対して垂直に入射させることができない。このため、加工した穴の軸線がプリント基板の表面に対して斜めになってしまい、加工品質が低下する。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、2つに分離させたレーザ光を1つの加工レンズで集光させる場合であっても、加工対象に品質の優れる穴を加工することができるレーザ加工装置を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、レーザ光の光路を第1の光路と第2の光路に分離する光路分離手段と加工レンズとを備え、前記第1の光路を通る前記レーザ光と前記第2の光路を通る前記レーザ光を前記加工レンズにより集光して加工対象を加工するレーザ加工装置において、分離された前記第1の光路と前記第2の光路を1つの光路に統合する光路統合手段と、2組の2次元偏向手段と、リレー光学系と、を設け、前記2次元偏向手段の一方を前記第1と第2の光路のいずれか一方に配置すると共に、前記2次元偏向手段の他方を前記光路統合手段と前記加工レンズとの間に配置し、前記第1の光路と前記第2の光路を通る前記レーザ光を1個の前記加工レンズに入射させ、前記リレー光学系を前記2次元偏向手段の一方と他方との間に配置することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の構成図である。
【0011】
レーザ発振器1の光路上には、ミラー2、開口3、ビーム分割・偏向・合成光学系4、リレー光学系9、ミラー15、ミラー18、加工レンズ19が配置されている。
【0012】
レーザ発振器1は炭酸ガスレーザであり、電場が紙面と垂直に振動する直線偏光のレーザ光(波長10.6μm)を出力する。
【0013】
ビーム分割・偏向・合成光学系4は、ビームスプリッタ(図1におけるBS)5、ミラー6、ビームスプリッタ(ここではハーフミラー)8および駆動手段70により反射面7aを2次元方向に位置決め自在の2次元スキャナ7とから構成され、ビームスプリッタ5の透過側にミラー6が、反射側に2次元スキャナ7が配置されている。薄い板の表面にコーティングが施されたビームスプリッタ5は、偏光を保った状態で、入射光の一部を予め定める割合で透過させ、残りを反射する。ビームスプリッタ5とミラー6の開口3の中心軸に対する角度は45度であり、ビームスプリッタ8はビームスプリッタ5と平行に配置されている。
【0014】
2次元スキャナ7は、反射面7aの中心がビームスプリッタ5の入射面5aおよびミラー6の反射面の中心を1辺、ミラー6の反射面とビームスプリッタ8の背面8aを他の1辺とする長方形の頂点に一致するように位置決めされている。すなわち、ビームスプリッタ5を透過しミラー6を介してビームスプリッタ8の背面8aに至る光路(以下、「第1の光路」という)の長さと、反射面7aをビームスプリッタ5の入射面5aと平行に位置決めした時、ビームスプリッタ5および反射面7aで反射されビームスプリッタ8を透過して背面8aに至る光路(以下、「第2の光路」という)の長さとが等しくなるように構成されている。
【0015】
2次元スキャナ7は、例えば特開2001−305471に開示された2次元スキャナのように、レーザ光を2次元的に偏向する機能を備えている。そして、この実施形態における2次元スキャナ7は、紙面に垂直な方向(Z方向)を軸として反射されたレーザ光がビームスプリッタ8から外れる位置まで回転できるように構成されている。
【0016】
リレー光学系9は焦点距離の等しい集光レンズ10、11を焦点距離の2倍の距離を隔てて配置されている。このリレー光学系は、入射光が平行光である場合、出射光も平行光になる無焦点系であり、アフォーカル光学系とよばれる。
【0017】
そして、リレー光学系9は一方の焦点が反射面7aの中心に、他方の焦点が第2の加工レンズ19の前焦点付近に配置されている。
【0018】
スキャナ13は、モータ14を制御して、ミラー15を指定された位置(角度)に位置決めする。スキャナ16は、モータ17を制御して、ミラー18を指定された位置(角度)に位置決めする。そして、スキャナ13とスキャナ16により、第2の2次元偏向手段30を構成している。2次元偏向手段30は加工レンズ19の前焦点付近に配置されている。すなわち、ミラー15とミラー18は近接して配置され、両者の中間点が加工レンズ19の前焦点に一致するように配置されている。
【0019】
加工レンズ19は、いわゆるfθレンズであり、設計時に設定されたレンズの光軸上の前焦点を通りレンズの光軸に対して角度θで入射する光線を、レンズの後焦点においてレンズの光軸に垂直な面(以下、「後焦点面」という。)におけるレンズの光軸からfθ(ただし、fは加工レンズ19の焦点距離である。)の位置に、垂直に集光する。なお、レンズの光軸に対して角度θで入射する光線であって前焦点から外れた光線も、後焦点面のレンズの光軸からfθの位置に集光されるが、集光されたレーザ光の光軸は後焦点面に対して斜めになる。
【0020】
加工対象20は上面が後焦点面と略同一面になるようにしてXYステージ21に載置されている。XYステージ21は、XY方向に移動自在である。
【0021】
次にこの実施形態の動作を説明する。
【0022】
レーザ発振器1から出力された直線偏光のレーザ光は、ミラー2を介して開口3を照明する。開口3を通過したレーザ光はビームスプリッタ5に入射し、一部はビームスプリッタ5を透過して第1の光路に入り、残りは反射されて第2の光路に入る。
【0023】
ビームスプリッタ5を透過したレーザ光はミラー6により反射されてビームスプリッタ8に入射し、ビームプリッタ8の表面で反射されて集光レンズ10、11を透過し、ミラー15、ミラー18に反射されて加工レンズ19に入射し、ミラー15とミラー18の角度で決まる加工対象20上の第1の位置に入射する。このとき、リレー光学系9はアフォーカル光学系であり、かつ第1の光路を通るレーザ光はリレー光学系9の光軸に垂直に入射するので、リレー光学系9の影響は受けない。しかも、2次元偏向手段30が加工レンズ19の前焦点付近に配置されているので、レーザ光は加工対象20に対してほぼ垂直に入射する。
【0024】
一方、ビームスプリッタ5で反射されたレーザ光は、反射面7aによりリレー光学系9の光軸に対して角度θ偏向され、ビームスプリッタ8を透過し、リレー光学系9により加工連ステップS19の前焦点付近に角度−θで入射する。すなわち、反射面7aが実質的に前焦点の位置にあることになるので、加工レンズ19に入射した第2の光路を通るレーザ光は、ミラー15とミラー18の角度で決まる加工対象20上の第1の位置を基準にして、反射面7aの角度で決まる距離だけ離れた加工対象20上の第2の位置にほぼ垂直に入射する。
【0025】
第1の光路と第2の光路の長さは等しいので、加工対象20上の第1の位置と第2の位置に結像される開口4の像の大きさは同じである。
【0026】
また、反射面7aと2次元偏向手段30によるレーザ光の偏向角度は独立に設定できるので、位置の異なる2個所を同時に加工することができる。
【0027】
したがって、加工能率を向上させることができると共に真直度や形状に優れる穴を加工することができる。
【0028】
また、2次元スキャナ7をミラー15から離れた位置に配置しても、ミラー15及びミラー18の大きさを距離に応じて大きくする必要がない。
【0029】
なお、加工レンズ19の大きさで決まる加工領域に含まれる加工箇所が奇数の場合は、反射面7aの回転角度を大きくして反射面7aで反射されたレーザ光がビームスプリッタ8から外れるように設定しておき、2次元偏向手段30でレーザ光を加工箇所に位置決めすればよい。
【0030】
また、この実施形態では開口3を設け、開口3の像を加工対象20上に結像させるようにしたが、開口3を設けず、レーザ発振器1から出力された平行なレーザ光を用いて後焦点面付近で加工するようにしてもよい。このようにすると、開口に起因する回折によるレーザ光の広がりが発生しないので、レーザ光のエネルギーを有効に利用することができる。
【0031】
ところで、第2の光路を通るレーザ光は2次元偏向手段30によって偏向されるため、加工位置から反射面7aの角度を求める演算は複雑になる場合がある。しかし、第1の位置と第2の位置との距離が5mm以下である場合、反射面7aの偏向角度を2次元偏向手段30の偏向角度を基準にして定めても、実用上問題になることはない。
【0032】
次に、ビーム分割・偏向・合成光学系の他の構成例について説明する。
【0033】
図2は本発明に係るビーム分割・偏向・合成光学系の第2の構成例を示す図であり、図1と同じものまたは同一機能のものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
ビーム分割・偏向・合成光学系41は、ビームスプリッタ5、ミラー6、47、48、2次元スキャナ43および紙面と平行な振動面を持つ光を透過させ、紙面に垂直な振動面を持つ光は反射する偏光ビームスプリッタ(図中のPBS)42とから構成されている。そして、ミラー47、48は第1の光路に、また2次元スキャナ43は第2の光路に配置されている。
【0035】
ビームスプリッタ5とミラー6の開口3の中心軸に対する角度は45度であり、偏光ビームスプリッタ42はビームスプリッタ5と平行に配置されている。
【0036】
ミラー48とミラー48の下方に配置されたミラー47は互いに平行で、紙面に対して45度の方向に配置されている。
【0037】
2次元スキャナ43により位置決めされるミラー45の中心とミラー44、47の中心およびビームスプリッタ5の中心は紙面と平行な同一面内に配置されている。また、2次元スキャナ43により位置決めされるミラー46の中心とミラー48の中心は紙面と平行な同一面内に配置されている。
【0038】
そして、第1の光路と第2の光路の長さを等しくするため、偏光ビームスプリッタ42は、ミラー48に反射されたレーザ光が背面側の中心に入射するように配置されている。
【0039】
図3は、本発明に係る偏光ビームスプリッタの正面図である。
【0040】
偏光ビームスプリッタ42は、平板状のゲルマニウム基板51とゲルマニウム基板53を張り合わせた構成になっており、ゲルマニウム基板51の表面にはレーザ発振器1から出力されるレーザ光の波長よりも小さいピッチのグレーティング(溝)52が多数形成されている。なお、ゲルマニウム基板51、53の対向する側とその反対側は無反射コーティングにより反射が抑制されている。そして、偏光ビームスプリッタ42は、入射光のP偏光成分(図2の紙面と平行な振動成分)を透過させ、S偏光成分(図2の紙面と垂直な振動成分)は反射する。
【0041】
次に、この構成例の動作を説明する。
【0042】
ビームスプリッタ5の透過光はミラー6により紙面内下向きに、ミラー47により紙面と垂直な上向きに、ミラー48により再度紙面内下向きに、それぞれ偏向された後、偏光ビームスプリッタ42の背面側で反射されてリレー光学系9に入射し、ミラー15とミラー18の角度で決まる加工対象20上の第1の位置に入射する。
【0043】
また、ビームスプリッタ5で反射されたレーザ光は、ミラー45により上向きに、ミラー46により右方向に偏向された後、偏光ビームスプリッタ42を透過してリレー光学系9に入射し、第1の位置からミラー45とミラー46の角度で決まる距離だけ離れた加工対象20上の第2の位置に入射する。
【0044】
第1の光路と第2の光路の長さは等しいので、加工対象20上の第1の位置と第2の位置に結像される開口4の像の大きさは同じである。
【0045】
この実施形態の場合、第1の光路を通り偏光ビームスプリッタ42で反射されたレーザ光と、第2の光路を通り偏光ビームスプリッタ42を透過したレーザ光の電場の振動方向は同じになるので、上記第1図の場合に比べて、第1の光路を通るレーザ光と第2の光路を通るレーザ光を効率よく合成することができる。
【0046】
次に、偏光ビームスプリッタ42についてさらに説明する。
【0047】
図4は本発明に係る偏光ビームスプリッタ42の配置方向を説明する図であり、(a)はレーザ光の入射方向説明図、(b)は(a)のA矢視図である。
【0048】
屈折率がnGeであるゲルマニウムの表面にデューティー比α(溝が形成されていない部分の幅がαであり、溝の幅すなわち空気の部分の幅が1−α)のグレーティング52を形成した場合、グレーティングベクトルK(グレーティング52に直交する方向)に対して電場が垂直に振動する光に対する屈折率n1は式1により、また、グレーティングベクトルKに対して電場が平行に振動する偏光に対する等価屈折率n2は式2によりそれぞれ近似することができる。
【0049】
【数1】
Figure 0003935775
そして、偏光の定義より、図4(a)において左方および上方から入射角45度でグレーティング52に入射するP偏光のレーザ光に対するグレーティング部の屈折率npは上記式1におけるn1で、また、S偏光に対するグレーティング部の屈折率nsは上記式2におけるn2で与えられる。
【0050】
次に、数値を用いてさらに具体的に説明する。
【0051】
例えば、nGeを4.0、デューティー比αを0.8にすると、np=3.61、ns=1.11程度になる。そして、このとき、グレーティング層の厚さ(すなわち溝の深さ)をレーザ光の波長λの1/3にすると、P偏光の反射光が互いに干渉する結果、P偏光の反射率はほぼ0に、また、S偏光の反射率は0.8以上になるので、レーザ光のエネルギは殆ど失われない。
【0052】
そして、このように、入射角45度でレーザ光を入射させることができる偏光ビームスプリッタを採用すると、光学系の外形を小形にできると共に、光学系のアラインメント作業が容易になる。
【0053】
ちなみに、一般に使用されている炭酸ガスレーザ用の偏光ビームスプリッタは入射角を75度程度にしなければならない。このため、同一の開口に対し、この実施形態における偏光ビームスプリッタよりも大形のものを用いる必要があると共に透過方向の光路が長くなるので、アラインメント作業が面倒になる。
【0054】
なお、グレーティングの方向を90度回転させて配置すると共にピッチを適当に選ぶことにより、P偏光を透過させ、S偏光を屈折させることができる。そして、偏光ビームスプリッタ42をこのように構成すると、グレーティング52のピッチを図4の場合よりも比較的粗くでき、製作が容易になる。
【0055】
図5は本発明に係る他の偏光ビームスプリッタの配置方向を説明する図であり、(a)はレーザ光の入射方向説明図、(b)は(a)のB矢視図である。
【0056】
この実施形態における偏光ビームスプリッタ42は、材質がゲルマニウムの直角プリズム61、62を斜辺で張り合わせた構成になっており、直角プリズム61の斜面にはレーザ発振器1から出力されるレーザ光の波長よりも小さいピッチでグレーティング52が形成されている。なお、直角プリズム61、62の対向する斜面以外の入射面と出射面は無反射コーティングにより反射が抑制されている。
【0057】
そして、P偏光に対する屈折率npをS偏光に対する屈折率nsよりも大きくすると共にグレーティング52を同図に示す方向に配置すると、S偏光をグレーティング部で全反射させ、P偏光を透過させることができる。また、グレーティング52の方向を図の位置から90度回転させることにより、P偏光をグレーティング部で全反射させ、S偏光を透過させることができる。
【0058】
このように、偏光ビームスプリッタ42を2個の直角プリズムで構成すると、反射あるいは透過する偏光を自由に選べることができると共に、反射角をある程度任意に設定できるので光学系のアラインメント作業が容易になる。
【0059】
次に、数値を用いてさらに具体的に説明する。
【0060】
例えば、直角プリズムの頂角以外の2つの角を45度、nGeを4.0、デューティー比αを0.6にすると、np=3.16、ns=1.27になる。ここで、グレーティング層の厚さを1.15λにすると、P偏光の透過率をほぼ1とすることができると共に、S偏光は全反射(反射率1)される。このように、偏光ビームスプリッタ25を2個の直角プリズムで構成すると、板型よりも偏光分離特性に優れるものにすることができる。
【0061】
なお、本発明に係る偏光ビームスプリッタ42に代えて、通常入手可能な誘電体多層膜を用いた板形やキューブ型の偏光ビームスプリッタを使用することもできる。また、パワーの利用効率は劣るが、偏光特性を備えていないビームスプリッタを用いることもできる。
【0062】
なお、偏光ビームスプリッタの反射率と透過率が入射角に依存する場合には、以下のようにすればよい。
【0063】
すなわち、反射率の入射角依存性が透過率の入射角依存性よりも大きい場合には、図2に示すように2次元スキャナ43からの光を透過させる構成とすればよい。
【0064】
また、透過率の入射角依存性が反射率の入射角依存性よりも大きい場合には、例えば、レーザ発振器1を90度回転させて配置し、図2において紙面と平行な偏光で開口3を照射すればよい。
【0065】
なお、リレー光学系のレンズの一方をビーム分割・偏向・合成光学系4の内部に配置することもできる。
【0066】
図6はビーム分割・偏向・合成光学系の第3の構成例を示す構成図であり、図1、2と同じものまたは同一機能のものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
ビーム分割・偏向・合成光学系90は、1/2波長板92、偏光ビームスプリッタ42a、ミラー6、偏光ビームスプリッタ42b、ミラー94、2次元スキャナ7とから構成されている。偏光ビームスプリッタ42a、42bおよびミラー6、94の開口3の中心軸に対する角度は45度である。そして、ミラー6は第1の光路に、また2次元スキャナ7は第2の光路に配置されている。2次元スキャナ7は、反射面7aの中心が偏光ビームスプリッタ42aの入射面およびミラー6の反射面の中心を1辺、ミラー6の反射面と偏光ビームスプリッタ42bの背面42cを他の1辺とする長方形の頂点に一致するように位置決めされている。
【0068】
1/2波長板92は入射光の振動面を45度回転させる機能を備えている。偏光ビームスプリッタ42a、42bは入射光のうちP偏光成分(紙面と平行な振動成分)を透過させ、S偏光成分(紙面と垂直な振動成分)を反射する。
【0069】
次に、この構成例の動作を説明する。
【0070】
開口3を透過したレーザ光は1/2波長板92により振動面を45度回転させられ、P偏光成分は偏光ビームスプリッタ42aを透過し、ミラー6を介して偏光ビームスプリッタ42bに入射し、偏光ビームスプリッタ42bを透過した後、ミラー94で反射されてリレー光学系9に入射する。
【0071】
一方、S偏光成分は偏光ビームスプリッタ42aおよび反射面7a、偏光ビームスプリッタ42bおよびミラー94で反射されてリレー光学系9に入射する。
【0072】
第1の光路と第2の光路の長さは等しいので、加工対象20上の第1の位置と第2の位置に結像される開口4の像の大きさは同じである。
【0073】
この第3の構成例の場合も、上記第2の構成例の場合と同様に、光の利用効率が高いという利点がある。
【0074】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置の部分構成図であり、図1と同じものまたは同一機能のものは説明を省略する。なお、図示を省略した部分は図1と同じである。
【0075】
ビーム分割・偏向・合成光学系99は、ビームスプリッタ5、ミラー6、レンズ10、ビームスプリッタ8、2次元スキャナ7、レンズ96とから構成され、ビームスプリッタ5の透過側にミラー6とレンズ10が、反射側に2次元スキャナ7とレンズ96が配置されている。
【0076】
2次元スキャナ7は、反射面7aの中心がビームスプリッタ5の入射面5aおよびミラー6の反射面の中心を1辺、ミラー6の反射面とビームスプリッタ8の背面8aを他の1辺とする長方形の頂点に一致するように位置決めされている。
【0077】
そして、レンズ10とレンズ11は第1のリレー光学系を、レンズ96とレンズ11は第2のリレー光学系を構成している。
【0078】
レンズ10とレンズ96はビームスプリッタ8から等距離の位置であって、焦点距離から外れた位置に配置されている。
【0079】
そして、このように構成すると、2次元偏向手段7とレンズ96を物理的に近づけることができるので、レーザ加工装置内におけるリレー光学系の配置が容易になり、光学系を小型化できると共に安価に構成することができる。
【0080】
また、ビームスプリッタ8をレンズ10とレンズ96の焦点位置からずらせて設置することにより、ビームスプリッタ8が加熱により損傷することを予防できる。
【0081】
なお、動作は上記図1の場合と実質的に同一であるので、説明を省略する。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、2つに分離させたレーザ光を1つの加工レンズで集光させる場合であっても、加工対象に品質の優れる穴を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の構成図である。
【図2】本発明に係るビーム分割・偏向・合成光学系の第2の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る偏光ビームスプリッタの正面図である。
【図4】本発明に係る偏光ビームスプリッタの配置方向を説明する図である。
【図5】本発明に係る他の偏光ビームスプリッタの配置方向を説明する図である。
【図6】ビーム分割・偏向・合成光学系の第3の構成例を示す構成図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置の部分構成図である。
【符号の説明】
5 ビームスプリッタ
7 2次元スキャナ
8 ビームスプリッタ
20 加工対象

Claims (2)

  1. レーザ光の光路を第1の光路と第2の光路に分離する光路分離手段と加工レンズとを備え、前記第1の光路を通る前記レーザ光と前記第2の光路を通る前記レーザ光を前記加工レンズにより集光して加工対象を加工するレーザ加工装置において、
    分離された前記第1の光路と前記第2の光路を1つの光路に統合する光路統合手段と、2組の2次元偏向手段と、リレー光学系と、を設け、
    前記2次元偏向手段の一方を前記第1と第2の光路のいずれか一方に配置すると共に、前記2次元偏向手段の他方を前記光路統合手段と前記加工レンズとの間に配置し、
    前記第1の光路と前記第2の光路を通る前記レーザ光を1個の前記加工レンズに入射させ
    前記リレー光学系を前記2次元偏向手段の一方と他方との間に配置することを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 前記リレー光学系はアフォーカル光学系であることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
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