JP3935645B2 - 車重計測装置及び車重計測方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行する車両の重量を測定するための車重計測装置及び車重計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、走行する車両の重量を測定する車重計測装置(軸重計)が知られており、例えば、高速道路や有料道路の料金所等において用いられている。このような車重計測装置は、路面を掘り下げて形成したピット内に配置されている複数(一般に6体)の荷重センサと、各荷重センサによって路面と同一レベルになるように四隅等を支持された計測板とを備える。各荷重センサは、加算器と低域通過フィルタを備えた演算処理装置に接続されている。かかる構成をもった車重計測装置おける車重の計測手順は次の通りである。すなわち、車重計測装置の計測板を車両が通過した際、各荷重センサによって計測板に作用する荷重が検出される。各荷重センサの検出値は、加算器によって合算され、加算器の出力は、低域通過フィルタによって処理される。そして、低域通過フィルタの出力が走行車両の重量を算出する基礎データとされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車重計測装置には、次のような問題点が存在していた。すなわち、荷重センサから発せられる検出信号には、車両の振動成分と、計測板の固有振動成分とが含まれている。この点を踏まえて、従来の車重計測装置には、車両の振動成分と、計測板の固有振動成分とを除去するために低域通過フィルタが備えられてはいるが、低域通過フィルタを用いた信号処理を行っても、これらの振動成分を十分に除去することは困難である。つまり、図15において一点鎖線で示すように、低域通過フィルタの出力波形は、真の重量値を境に変動してしまう。また、これら振動成分を除去すべく、高い遮断特性をもった低域通過フィルタを用いると、低域通過フィルタの出力波形は、図15において二点鎖線で示すように、真の重量値から大きく逸脱するものとなってしまう。何れにしても、従来の車重計測装置では、走行する車両の重量を精度よく計測することは困難である。
【0004】
そこで、本発明は、走行する車両の重量を高精度に計測可能とする車重計測装置及び車重計測方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による車重計測装置は、計測板上を走行する車両の重量を計測可能な車重計測装置において、計測板に作用した荷重を検出する荷重検出手段と、計測板の振動速度に応じた粘性減衰を計測板に付加する粘性減衰付加手段と、荷重検出手段の検出値を処理する演算処理手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
この車重計測装置では、計測板上を走行する車両の重量を計測する際に、粘性減衰付加手段によって、計測板の振動速度に応じた粘性減衰を計測板に付加することが可能である。これにより、計測中に計測板に発生する振動、すなわち、車両の振動成分と、計測板の固有振動成分とを極めて効果的に減衰することが可能となる。この結果、荷重検出手段による検出値からは、車両の振動成分と、計測板の固有振動成分とが除去されることになり、荷重検出手段による検出値を演算処理手段によって処理することにより、走行する車両の重量を極めて高精度に計測することが可能となる。
【0007】
また、粘性減衰付加手段は、弾性体と剛体とを積層させた動吸収器であると好ましい。
【0008】
このような構成を採用すれば、弾性体の剛性と剛体の質量とを計測板の質量及び一次固有振動数に基づいて適宜設定することにより、計測中に振動する計測板に対して、その振動速度に比例する粘性減衰を付加することが可能となり、計測板に発生する振動を極めて簡易かつ効果的に低減することが可能となる。この結果、荷重検出手段による検出値に含まれている車両の振動成分と計測板の固有振動成分とを効果的に除去可能となる。そして、荷重検出手段による検出値を演算処理手段によって処理すれば、走行する車両の重量を極めて高精度に計測することができる。
【0009】
また、粘性減衰付加手段は、計測板の振動加速度を検出する加速度センサと、この加速度センサの検出値に基づいて、計測板の振動速度を求めると共に当該振動速度に応じた電流を発生する電流発生部と、電流発生部から供給される電流に応じた振動を発生する加振器とからなると好ましい。
【0010】
このような構成を採用しても、計測中に振動する計測板に対して、その振動速度に比例する粘性減衰を付加することが可能となり、計測板に発生する振動を極めて容易かつ効果的に低減することが可能となる。この結果、荷重検出手段による検出値に含まれている車両の振動成分と計測板の固有振動成分とを効果的に除去可能となる。そして、荷重検出手段による検出値を演算処理手段によって処理すれば、走行する車両の重量を極めて高精度に計測することができる。この場合、電流発生部を電圧増幅器、積分器、極性反転回路、及び、利得可変型の電流増幅器により構成すると共に、加振器として、ボイスコイル型動電加振器を用いると好ましい。
【0011】
本発明による車重計測装置は、計測部上を走行する車両の重量を計測可能な車重計測装置において、計測部に作用する荷重を検出する荷重検出手段と、荷重には、ステップ入力成分とインパルス入力成分とが重畳しているという仮定のもとに、荷重検出手段の検出値に基づいて、ステップ入力成分と、インパルス入力成分とを、車重計測装置と車両を組み合わせた数学モデル[数16]に最小二乗法を適用することによって分離し、分離されたステップ入力成分に基づいて車両の重量を算出する演算処理部とを備えることを特徴とする。
【数16】
【0012】
この車重計測装置では、車両が計測板に載った際に、計測部に作用する荷重には、ステップ入力成分とインパルス入力成分とが重畳しているものと仮定されている。すなわち、計測部に対しては、車両が乗り上げることによって車両の重量がステップ荷重として作用し、また、車両が乗り上げることに起因して、計測部は、インパルス加振されて振動するものと仮定する。このように仮定した上で、荷重検出手段による検出値を演算処理手段によってソフトウェア処理することにより、荷重検出手段による検出値から、車両の振動成分と、計測板の固有振動成分とが除去することができるので、走行する車両の重量を極めて高精度に計測することが可能となる。
【0013】
本発明による車重計測方法は、計測板上を走行する車両の重量を計測する車重計測方法において、計測板の振動速度に応じた粘性減衰を計測板に付加しながら、計測板に作用する荷重を検出し、得られた検出値を用いて車両の重量を算出することを特徴とする。
【0014】
この場合、計測板に、弾性体と剛体とを積層させた動吸収器を取り付けることにより、計測板に粘性減衰を付加すると好ましく、また、計測板の振動加速度を検出し、得られた振動加速度から計測板の振動速度を求め、得られた振動速度に応じた電流を利用して計測板を加振することにより、計測板に粘性減衰を付加すると好ましい。
【0015】
本発明による車重計測方法は、計測部上を走行する車両の重量を計測する車重計測方法において、計測部に作用する荷重には、ステップ入力成分とインパルス入力成分とが重畳しているという仮定のもとに、ステップ入力成分と、インパルス入力成分とを、車重計測装置と車両を組み合わせた数学モデル[数17]に最小二乗法を適用することによって分離し、分離されたステップ入力成分に基づいて車両の重量を算出することを特徴とする。
【数17】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明による車重計測装置及び車重計測方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明による車重計測装置の第1実施形態を示す概略構成図である。同図に示す車重計測装置1は、高速道路や有料道路に設置して、走行する車両Cの重量を計測するのに用いると好適なものである。この車重計測装置1は、路面Rを掘り下げて形成したピットP内に配置されている複数(6体)の荷重センサ(力センサ)41,42,43,44,45,46と、各荷重センサ41〜46によって支持された計測板3とを備える。計測板3は、鋼板等からなり、各荷重センサ41〜46によって路面Rと同一レベルになるように四隅等を支持されている。各荷重センサ41〜46は、計測板3上を車両Cが通過した際に、計測板3に作用する荷重を検出し、検出値を示す信号を発生する。
【0018】
各荷重センサ41〜46は、それぞれ、信号ライン及び電圧増幅器5を介して、演算処理装置6に接続されている。演算処理装置6は、図2に示すように、電圧増幅器5を介して各荷重センサ41〜46が接続される加算器7と、加算器7の出力信号を処理する低域通過フィルタ8とを有する。これにより、各荷重センサ41〜46の検出値は、加算器7によって合算され、加算器7の出力は、低域通過フィルタ8によって処理される。そして、低域通過フィルタ8の出力が走行車両Cの重量を算出する基礎データとされる。
【0019】
また、車重計測装置1の計測板3には、図1に示すように、動吸収器(Tuned Mass Damper)10が取り付けられている。動吸収器10は、弾性体である防振ゴム11と、所定質量をもった剛体である金属ブロック12とを積層させたものであり、ばね定数を有する防振ゴム11を介して金属ブロック12の質量(付加質量)を計測板3に対して付加するものである。この動吸収器10は、計測板3の下面と、防振ゴム(弾性体)8とが当接する状態で、各荷重センサ41〜46によって支持されている計測板3の振動モードの腹位置(この場合、重心位置)に固定される。
【0020】
ここで、動吸収器10を構成する弾性体である防振ゴム11の剛性(動吸収器10のばね定数)と、剛体である金属ブロック12の質量(動吸収器10の付加質量)とは、次のように定められる。すなわち、動吸収器10の付加質量をmdとし、計測板3(車重計測装置1)の一次固有振動数における等価質量をmとし、計測板3の一次固有振動数をfとすると、計測板3(車重計測装置1)の振動を最小にする動吸収器10の固有振動数fdは、次の(1)式によって表すことができる。
【数1】
そして、防振ゴム11の剛性と、剛体である金属ブロック12の質量とを上記(1)式を満たすように定めれば、計測板3上を走行する車両Cの重量を計測する際に、動吸収器10によって、計測板3の振動速度に比例した粘性減衰を計測板3に付加することが可能となる。
【0021】
このように構成された車重計測装置1の計測板3上を車両Cが通過(走行)すると、計測板3には、車両Cの重量が加わり、車両Cの重量と各荷重センサ41〜46のばね剛性とが平衡する位置まで計測板3は下方に平行移動する。また、計測板3には、車両Cが乗り上げることに起因して振動(固有振動、通常、50〜60Hz)が励起されと共に、車両Cの振動(通常、1〜3Hz)が伝わることになる。このため、各荷重センサ41〜46の検出値には、車両Cの振動成分と、計測板3の固有振動成分とが重畳されるが、この車重計測装置1では、計測板3上を走行する車両Cの重量を計測する際に、粘性減衰付加手段としての動吸収器10によって、計測板3の振動速度に応じた(比例した)粘性減衰を計測板3に付加することが可能である。
【0022】
上述したように、計測板3の振動速度に応じた粘性減衰を計測板3に付加すれば、図3に示すような振幅をもって振動する計測板3に対しては、動吸収器10によって、図4に示すような減衰振動が付加されることになる。これにより、図5に示すように、計測中に計測板3に発生する振動、すなわち、車両Cの振動成分と、計測板3の固有振動成分とを、動吸収器10を取り付けない場合のおよそ1/10程度にまで減衰させることが可能となる。
【0023】
この結果、荷重検出手段としての各荷重センサ41〜46による検出値(演算処理装置6に含まれる加算器7の出力信号)から、車両Cの振動成分と、計測板3の固有振動成分とを除去することが可能となる。そして、演算処理装置6において、加算器7の出力信号を低域通過フィルタ8によって処理することにより、走行する車両Cの重量を極めて高精度に求めることが可能となる。
【0024】
〔第2実施形態〕
以下、図6〜8を参照しながら、本発明による車重計測装置及び車重計測方法の第2実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態に係る車重計測装置1と同一の要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
図6に示す車重計測装置1Aは、図1等に示した第1実施形態に係る車重計測装置1に対して、動吸収器10の代わりに、加速度センサ14と、加速度センサ14が接続された電流発生部15と、電流発生部15から電流の供給を受けて計測板3に粘性減衰を付加する動電加振器20とを備えたものに相当する。加速度センサ14は、走行車両Cの重量を計測する間、計測板3の振動加速度を検出し、検出値を示す信号を発生する。電流発生部15は、加速度センサ14の検出値に基づいて、計測板3の振動速度に応じた電流を発生する。
【0026】
すなわち、電流発生部15は、電圧増幅器16、積分器17、極性反転回路18、及び、利得可変型の電流増幅器19を有している。加速度センサ14の出力信号は、電圧増幅器16によって増幅された後、積分器17に与えられ、積分器17は、電圧増幅器16から受け取った信号を積分処理し、計測板3の振動速度を示す信号を発生する。積分器17の出力信号は、極性反転回路18によって極性反転されて電流増幅器19に送られ、電流増幅器19は、計測板3の振動速度に応じた電流を発生して動電加振器20に供給する。
【0027】
動電加振器20は、図7に示すように、二重筒状の磁束発生部21にコイル部22を挿入したボイスコイル型の動電加振器である。動電加振器20の磁束発生部21は、路面Rを掘り下げて形成したピットPに対して強固に固定され、コイル部22は、計測板3の下面に固定される。コイル部22の固定位置は、各荷重センサ41〜46によって支持されている計測板3の振動モードの腹位置(この場合、重心位置)とされる。これにより、磁束発生部21の磁束密度をBとし、コイル部22の導線長さをlとすれば、電流発生部15からコイル部22に対して電流iが供給されると、動電加振器20から計測板3に対して、B×i×lに比例する力Fが図7における上下方向に加えられることになる。なお、動電加振器20として、いわゆるPull−Pull型のものを用いることも可能である。
【0028】
このように構成された車重計測装置1Aの計測板3上を車両Cが通過(走行)すると、計測板3には、車両Cの重量が加わり、車両Cの重量と各荷重センサ41〜46のばね剛性とが平衡する位置まで計測板3は下方に平行移動する。また、計測板3には、車両Cが乗り上げることに起因して振動(固有振動、通常、50〜60Hz)が励起されと共に、車両Cの振動(通常、1〜3Hz)が伝わることになる。このため、各荷重センサ41〜46の検出値には、車両Cの振動成分と、計測板3の固有振動成分とが重畳される。これに対して、この車重計測装置1Aでは、計測板3上を走行する車両Cの重量を計測する際に、加速度センサ14によって計測板3の振動加速度が検出され、電流発生部15は、加速度センサ14の検出値に基づいて、計測板3の振動速度に応じた電流を発生して動電加振器20に供給する。そして、計測板3に対しては、その振動速度に比例した粘性減衰が、電流発生部15から電流の供給を受けた動電加振器20から付加される。
【0029】
このように動電加振器20によって、計測板3の振動速度に応じた粘性減衰を計測板3に付加すれば、計測板3に発生する振動を極めて容易かつ効果的に低減することが可能となる。すなわち、車重計測装置1Aが一自由度振動系であると仮定すれば、系の運動方程式は、
【数2】
として表すことができる。但し、m:振動質量、c:粘性減衰定数、k:ばね定数、f(t):外力、x(t):振動変位である。
【0030】
そして、第2実施形態に係る車重計測装置1Aでは、計測板3の振動速度に比例する力が、振動モードの腹位置で計測板3に対して振動方向と逆向きに作用することになるので、電流増幅器19の利得をGとすれば、(2)式は、次のように表すことが可能となる。
【数3】
更に、(3)式の右辺第2項を左辺に移項させれば、
【数4】
となる。
【0031】
この(4)式から解るように、動電加振器20から計測板3に加えられる力は、本来の粘性減衰に付加されるものである。これにより、計測板3の減衰を大幅に増加させることが可能となり、荷重検出手段としての各荷重センサ41〜46による検出値(演算処理装置6に含まれる加算器7の出力信号)からは、図8に示すように、車両Cの振動成分と、計測板3の固有振動成分とが極めて効果的に除去されることになる。従って、この車重計測装置1Aにおいても、演算処理装置6において、加算器7の出力信号を低域通過フィルタ8によって処理することにより、走行する車両Cの重量を極めて高精度に求めることが可能となる。
【0032】
〔第3実施形態〕
以下、図9〜14を参照しながら、本発明による車重計測装置及び車重計測方法の第3実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態に係る車重計測装置1等と同一の要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
図9に示す車重計測装置1Bは、上述した車重計測装置1,1Aと同様に、路面Rを掘り下げて形成したピットP内に配置されている複数(6体)の荷重センサ(力センサ)41,42,43,44,45,46と、各荷重センサ41〜46によって支持された計測板3とを備える。一方、この車重計測装置1Bには、動吸収器10や動電加振器20等は備えられてはおらず、その代わりに、電圧増幅器5を介して接続された各荷重センサ41〜46の検出値をソフトウェア処理する演算処理装置30が備えられている。
【0034】
演算処理装置30は、図10に示すように、各荷重センサ41〜46の検出値を合算する加算器31を有し、この加算器31は、A/D変換器32を介してCPU33に接続されている。これにより、加算器31から出力される電圧信号は、A/D変換器32によってデジタル信号に変換され、CPU33に与えられる。同図に示すように、CPU33には、車両Cの重量を算出するための演算プログラムが記憶されているROM34と、演算処理の際に各種データを記憶するRAM35が接続されている。また、演算処理装置30のCPU33には、表示装置(CRT)36が接続されており、CPU33による演算結果は、この表示装置36に表示される。
【0035】
ここで、演算処理装置30における車両Cの重量(以下、真値u0とする)を算出する手法について説明する。この車重計測装置1Bでは、車両Cが計測板(計測部)3に載った際に、計測板3に作用する荷重には、ステップ入力成分とインパルス入力成分とが重畳しているものと仮定されている。すなわち、図11に示すように、計測板3に対しては、車両Cが乗り上げることによって車両Cの重量がステップ荷重として作用し、また、車両Cが乗り上げることに起因して、計測板3は、インパルス加振されて振動するものと仮定する。
【0036】
このような仮定のもとでは、車両Cが乗り上げた状態の車重計測装置1B(計測板3)における伝達関数L(s)は、次のように表すことが可能である。
【数5】
但し、x:振動変位、y(t):荷重、u(t):ステップ入力成分とインパルス入力成分の和、である。そして、(5)式を、時間積分すると共に、初期条件をx(0)=0とすれば、(5)式は、次のように表すことができる。
【数6】
但し、B=c[A]-1 b,η=ce-T0 である。
【0037】
この(6)式において、求めるべき数値は、右辺第1項のu0であるが、この(6)式における右辺第2項を除去するには、車重計測装置1B(荷重センサ41〜46)の実測データに、Cayley-Hamiltonの理論を適用すればよい。ここでは、デジタル信号処理を前提として、初期時刻をt0としてサンプル時間間隔△tで計測されたN個のデータを考え、
y(t0+i△t)=yi(0≦i≦N−1)とし、
Φ(t0+i△t)=Φi(0≦i≦N−1)とすると、
【数7】
【数8】
と表すことができる。
【0038】
そして、伝達関数L(s)の特性方程式の係数ベクトル{Θ}={α0,α1,…,αN-1,…,1}を導入すると、(6)式は、
【数9】
と表すことができる。但し、{1}=[1,1,…1]T である。
【0039】
この際、Cayley-Hamiltonの理論より、
【数10】
という条件が求められる。従って、車両Cの重量の真値であるu0は、
【数11】
と表すことができる。
【0040】
(11)式から、車両Cの重量の真値であるu0を推定する上で、yiは荷重センサ41〜46によって計測される値である。また、 B は計測板上に既知の重量 u known の荷重が静的に搭載されたときの出力 y known を測定することにより以下の(18)式で求まる。
【数18】
一方、αiは、未知変数である。このため、yiの差分を△yi=yi+1−yiとすれば、(6)式は、以下の(12)式のように書き換えることができる。
【数12】
そして、連続した( M+N+3 )個のサンプルデータを採取し、 [ ε ]= { 0 }とすると N 元一次連立方程式となり(12)式をα i を未知数として容易に解くことが出来る。しかし、この場合、統計的自由度は 2 で、計測データに含まれる各種誤差の影響を直接受けることなり統計的推定誤差は 100% となる。そこで、最小二乗法(例えば、 Levenberg Marquardt 法)を適用することができる。すなわち、連続した( M+N+3 )個以上のサンプルデータを採取し、(11)式を冗長系とすることにより、次の(13)式における{ε}を最小にするα i を求めれば車両Cの重量の真値であるu 0 を算出することができる。
【数13】
【0041】
次に、図12を参照しながら、演算処理装置30における真値u0の算出処理について説明する。ここでは、演算処理装置30が、初期時刻をt0としてサンプル時間間隔△tで計測されたN個のデータをK等分し(但し、K<N)、K個のデータに基づく重量値uを求めた上で、これらK個の重量値uを時間平均して得られた値を車両Cの真の重量u0とする手順について説明する。
【0042】
この場合、演算処理装置30のCPU33は、各荷重センサ41〜46によって取り込まれ、A/D変換器32によってデジタル信号化されたyi(i=j〜j−1+N/K、但し、0≦j≦N−N/Kである)のデータを読み込み(S10)、読み込んだN/K個のデータに基づいて、差分△yi=yi+1−yiを算出する(S12)。そして、CPU33は、ROM34に記憶されているルーチンにより、得られた差分△yiを用いて[△yi][Θ]=εを最小にする[Θ]を最小二乗法によって算出する(S14)。
【0043】
[Θ]が得られると、求められた[Θ]に基づいて、読み込まれたN/K個のデータに基づく重量値uが算出される(S16)。そして、S10〜S16までの処理は、S18において、N個すべてのデータ処理が終了したと判断されるまで継続される。そして、S18にて、N個すべてのデータ処理が終了したと判断されると、K個の重量値uの時間平均が算出される(S20)、算出された値は、真の重量u0として表示装置(CRT)36に表示され(S24)、これにより演算処理が終了する。
【0044】
この演算処理装置30による重量値uの算出結果と、各荷重センサ41〜46の検出結果(加算器31の出力)との比較を図13に示す。同図に示す結果からわかるように、各荷重センサ41〜46による検出値を演算処理装置30によって演算処理すれば、各荷重センサ41〜46による検出値から、車両Cの振動成分と、計測板3の固有振動成分とを極めて効果的に除去することができることがわかる。また、演算処理装置30による重量値uの算出結果と、重量値uの時間平均を取った値との比較を図14に示すと、同図に示す結果からわかるように、K個の重量値uの時間平均をとることにより得られる値は、車両Cの実際の重量(この場合、2000kg)に極めて近い値である。従って、この車重計測装置1Bによれば、走行する車両Cの重量を極めて高精度に計測することが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
本発明による車重計測装置及び車重計測装置では、走行する車両の重量を極めて高精度に計測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車重計測装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す車重計測装置の計測ブロック図である。
【図3】図3(a)は、計測板に荷重が加えられた状態を示す模式図であり、図3(b)は、荷重が加えられた計測板の振動数と振動振幅との関係を示す図表である。
【図4】図4(a)は、動吸収器を示す模式図であり、図4(b)は、動吸収器における振動数と振動振幅との関係を示す図表である。
【図5】図5(a)は、動吸収器を取り付けた計測板を示す模式図であり、図5(b)は、動吸収器が取り付けられている計測板に荷重が加えられた際の振動数と振動振幅との関係を示す図表である。
【図6】本発明による車重計測装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図7】図6の車重計測装置に備えられた動電加振器を示す模式図である。
【図8】図6の車重計測装置による計測結果と従来の車重計測装置による計測結果とを比較する図表である。
【図9】本発明による車重計測装置の第3実施形態を示す概略構成図である。
【図10】図9に示す車重計測装置の計測ブロック図である。
【図11】図9の車重計測装置に備えられた演算処理装置における車両重量の演算手法を説明するための概念図である。
【図12】図9の車重計測装置に備えられた演算処理装置における車両重量の算出手順を説明するためのフローチャートである。
【図13】図10に示す演算処理装置による算出結果と、荷重センサの検出値とを比較する図表である。
【図14】図10に示す演算処理装置による演算処理結果を示す図表である。
【図15】従来の車重計測装置による車両重量の計測結果を示す図表である。
【符号の説明】
1,1A,1B…車重計測装置、3…計測板(計測部)、6,30…演算処理装置、7,31…加算器、8…低域通過フィルタ、10…動吸収器(粘性減衰付加手段)、11…防振ゴム、12…金属ブロック、14…加速度センサ、15…電流発生部、16…電圧増幅器、17…積分器、18…極性反転回路、19…電流増幅器、20…動電加振器(粘性減衰付加手段)、21…磁束発生部、22…コイル部、32…A/D変換器、36…表示装置、41,42,43,44,45,46…荷重センサ、C…車両、P…ピット、R…路面。
Claims (2)
- 計測部上を走行する車両の重量を計測可能な車重計測装置において、
前記計測部に作用する荷重を検出する荷重検出手段と、
前記荷重には、ステップ入力成分とインパルス入力成分とが重畳しているという仮定のもとに、前記荷重検出手段の検出値に基づいて、前記車重計測装置と前記車両を組み合わせた数学モデル[数5]に Cayley-Hamilton の理論を適用することにより、前記ステップ入力成分に対する応答と、前記インパルス入力成分に対する応答から静的な応答成分のみを[数11]に示されるように分離し、事前に既知の静的荷重を載荷することにより求めたBと最小二乗法により求めた[数5]の周波数領域表現である伝達関数L(s)の特性方程式の係数ベクトル{Θ}を用いて[数11]において、前記ステップ入力成分に対する応答u 0 のみを算出する演算処理部とを備える
ことを特徴とする車重計測装置。
u(t):インパルス入力成分とステップ入力成分の和、である。
- 計測部上を走行する車両の重量を計測する車重計測方法において、
前記計測部に作用する荷重には、ステップ入力成分とインパルス入力成分とが重畳しているという仮定のもとに、前記計測部に作用する荷重の検出値に基づいて、前記車両の重量を計測する車重計測装置と前記車両を組み合わせた数学モデル[数5]に Cayley-Hamilton の理論を適用することにより、前記ステップ入力成分に対する応答と、前記インパルス入力成分に対する応答から静的な応答成分のみを[数11]に示されるように分離し、事前に既知の静的荷重を載荷することにより求めたBと最小二乗法により求めた[数5]の周波数領域表現である伝達関数L(s)の特性方程式の係数ベクトル{Θ}を用いて[数11]において、前記ステップ入力成分に対する応答u 0 のみを算出する
ことを特徴とする車重計測方法。
u(t):インパルス入力成分とステップ入力成分の和、である。
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