JP3935164B2 - 複合装飾成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
この貴金属粘土状組成物は、成形(造形)性に優れ、種々の複雑な形状を短時間で容易に成形することができ、専門的技術を必要とせずに貴金属装飾成形品を任意形状に造形できることからカルチャー教室等で利用され、高い評価を得ている。
特に貴金属粘土状組成物は、得られる焼結品が貴金属製品となるため、高価な市販の貴金属製品を購入するより、材料費が廉価な貴金属粘土状組成物を原材料として作製する方が経済的にも優位と考えることができる。
そして、貴金属粘土状組成物では、焼結された装飾成形品は、貴金属焼結品であって、金色や銀色、或いは合金による貴金属粉末の色となり、複合材料としては陶器などの耐熱性材料と組み合わせたものがあるに過ぎなかった。
また、樹脂粘土組成物では、前述のように多色のものを組み合わせたり混合するので、焼結された装飾成形品は、着色樹脂であって、色彩的なバリエーションに富んでいるものの、結局のところ、所謂“安物感”を感じさせてしまうものであった。
そこで、本発明は、前記二つの技術を組み合わせて、極めて視覚的興趣に富んだ貴金属宝飾品や美術工芸品等とすることができる複合装飾成形品の製造方法を提供することを目的とする。
この耐熱性材料としては、例えば別途鋳造等により製造された貴金属成形材料でもよいし、樹脂粘土組成物で完全に被覆するのであれば針金等の安価な材料を用いてもよい。
尚、既に各種の製品が市販されているので、それを用いてもよい。
また、微細形状部分や薄膜部分を形成するために、水等で希釈することによりペースト状若しくはスラリー状とし、これを成形用射出器やハケ等を用いて塗り付けるようにしても良い。
尚、このようにペースト状若しくはスラリー状の組成物を塗布すると、水が蒸発して固化する過程において、ペースト状やスラリー状から粘土状へ状態変化するので、本発明中では総括的に貴金属粘土状組成物と表記した。
尚、既に各種の色顔料を配合することにより、数十色にも及ぶ樹脂粘土組成物が市販されている製品が市販されているので、それを用いてもよい。
第一工程で、抜け防止形状を備える耐熱性材料が埋設される貴金属焼結品を得るようにする第二態様、外れ防止形状を備える凹部が形成される貴金属焼結品を得るようにする第三態様、並びに孔が形成される貴金属焼結品を得るようにする第四態様については、別途後述する。そして、これら第二態様〜第四態様を除くものを第一態様とする。
第二態様は、前述のように第一工程で、抜け防止形状を備える耐熱性材料が埋設される貴金属焼結品を得るようにし、第二工程において、埋設された耐熱性材料を被覆するように樹脂粘土組成物を付着させるものである。
図1に示す実施例では、耐熱性材料として図1(a)に示すような貴金属製の抜け止めピン1を用い、貴金属粘土状組成物で成形したリング2が柔軟性(可塑性)を保持している間に図1(b)のように抜け止めピン1を埋設した。この状態でリング2を焼成した後、図1(c)のように抜け止めピン1に樹脂粘土組成物を球状に付着、成形し、その後、樹脂粘土組成物を焼成すれば、貴金属焼結品のリング2に着色樹脂の球状ヘッド3が組み合わされた指輪(複合装飾成形品)が得られる。
また、用いられる耐熱性材料は、貴金属粘土状組成物の焼成温度に耐え得る耐熱性を有していれば特に材料を限定するものではなく、前記図示実施例のように別途鋳造等により製造された貴金属成形材料でもよいし、樹脂粘土組成物で完全に被覆するのであれば針金等の安価な材料を用いてもよい。また、抜け防止形状とは、着色樹脂や貴金属焼結品から抜けないような形状であればどのような形状でもよい。
第三態様は、前述のように第一工程で、外れ防止形状を備える凹部が形成される貴金属焼結品を得るようにし、第二工程において、埋設された耐熱性材料を被覆するように樹脂粘土組成物を付着させるものである。尚、凹部は1箇所に限定されるものではなく、複数形成されていてもよい。
図2に示す実施例では、貴金属粘土状組成物の土台4を作製し、その上面に成形用射出器等を用いて三重の壁5を形成した。この貴金属粘土状組成物からなる土台4及び壁5を乾燥、焼成すると、形成された壁5の内面には凹凸(外れ防止形状)があるため、壁5,5で囲まれた凹部に樹脂粘土組成物を充填、焼成した場合に、着色樹脂6は外れにくく、着色樹脂と貴金属とが一体状に組み合わされた複合装飾成形品を得ることができる。この方法は、後述する図4の実施例等の手法と組み合わせて実施されることが多い。
この方法は、貴金属の背景にポイント状に任意形状の着色樹脂のパーツを埋め込むようなデザイン等の複合装飾成形品を作製する場合に好適である。
その後、平板10の表面にピース9を接着する。接着する際に水を接着面に付けて接着するようにしてもよい。これを乾燥、焼成すると、ピース9の可燃型材は焼失し、凸部が形成される。そして、縁11と凸部で囲まれた凹部に樹脂粘土組成物を充填、焼成すると、着色樹脂12は外れくく、着色樹脂12と貴金属とが一体状に組み合わされた複合装飾成形品を得ることができる。この方法は、着色樹脂の背景にポイント状に任意形状の貴金属のパーツを埋め込むように視覚されるデザイン等の複合装飾成形品を作製する場合に好適である。
第四態様は、前述のように第一工程で、孔が形成される貴金属焼結品を得るようにし、第二工程において、孔の両側から臨ませた樹脂粘土組成物を孔の中で繋げるようにしたものである。尚、孔は1箇所に限定されるものではなく、複数形成されていてもよい。
図7に示した実施例では、貴金属粘土状組成物で成形した平板が可塑性を保持している間に孔19を形成して乾燥、焼成する。このような貴金属粘土状組成物からなる平板20を乾燥、焼成し、孔19の両側から臨ませた樹脂粘土組成物を孔19の中で繋げるようにして焼成すると、着色樹脂21は外れにくく、着色樹脂21と貴金属20とが一体状に組み合わされた複合装飾成形品を得ることができる。
尚、孔は、貴金属粘土乾燥造形体或いは貴金属焼結品の状態で穿設してもよいが、成形性が説明した順に困難となる。
〔第一工程〕
まず、平均粒径20μmの純Ag粉末92重量%、メチルセルロース0.4重量%、デンプン0.4重量%、水7.2重量%を混練して銀粘土状組成物を調製した。
次に、この銀粘土状組成物を直径約3〜5mm程度のリング状に成形し、可塑性を保持している間に、予め鋳造成形した銀製の抜け止めピン1を埋設した。
これを乾燥固化した後、電気炉で850℃で20分焼成した。
〔第二工程〕
樹脂粘土組成物としてクラフト用樹脂粘土「プレモ」(主成分:PVC,Polyform Products Co.,Inc.製,日本輸入代理店:株式会社アシーナ)を用い、抜け止めピン1に外観形状として球状に付着、成形した。表面模様は、2色以上の樹脂粘土組成物を用いることにより、例えば花柄等どのような模様にも形成できる。
〔第三工程〕
樹脂粘土組成物を120℃で焼成した。
その結果、貴金属のリング2に着色樹脂の球状ヘッド3が組み合わされた指輪(複合装飾成形品)を得た。
〔第一工程〕
前記実施例1と同様のクラフト用樹脂粘土を用いたが、前記実施例1と同様に銀粘土状組成物を調製し、リング状に成形し、可塑性を保持している間に、予め鋳造成形した銀製の抜け止めピン1を埋設して焼成した。
〔第二工程〕
前記実施例1と同様のクラフト用樹脂粘土を用いたが、以下のように天然石「ホワイトクォーツ」風の部品を作成し、凹部14に付着させた。
プレモ ホワイト 商品コードP3900-5001
プレモ トランスルーセント 商品コードP3900-5310
それぞれの樹脂粘土を細かく分け、細かく分けた2色の樹脂粘土を混ぜ、一つの塊にまとめ、スライスした。
その際、凹部14のテーパ状の内側面の奥まで十分に充填されるように成形用射出器等を用いて行った。
〔第三工程〕
樹脂粘土組成物を120℃で焼成した。
その結果、貴金属のリング2に着色樹脂の天然石「ホワイトクォーツ」風のヘッド3が組み合わされた指輪(複合装飾成形品)を得た。
〔第一工程〕
前記実施例1と同様に銀粘土状組成物を調製した。
次に、この貴金属粘土状組成物で成形した平板が可塑性を保持している間にその表面に可燃型材(厚紙)を押圧して埋め込んだ後、剥離し、内側面がテーパ状になるように棒状ヤスリを用いて内側面を削って凹部14とした。尚、貴金属粘土状組成物は、平板と説明したが、これは断面が平板状という意味であり、詳しくは帯状に成形したものを弧状に屈曲したものである。また、凹部14の平面形状は、複雑なデザイン形状を有するものである。
これを乾燥固化した後、電気炉で850℃で20分焼成した。
〔第二工程〕
前記実施例1と同様のクラフト用樹脂粘土を用いたが、黒色の樹脂粘土組成物を用いて凹部14に付着させた。
その際、凹部14のテーパ状の内側面の奥まで十分に充填されるように成形用射出器等を用いて行った。
〔第三工程〕
黒色の樹脂粘土組成物を120℃で焼成した。
その結果、シルバーの素地に黒色の着色樹脂が複雑に組み合わされたデザインのバングル(複合装飾成形品)を得た。
〔第一工程〕
前記実施例1と同様に銀粘土状組成物を調製した。
次に、この貴金属粘土状組成物で成形した平板が可塑性を保持している間に孔19を形成した。
これを乾燥固化した後、電気炉で850℃で20分焼成した。
〔第二工程〕
前記実施例1と同様のクラフト用樹脂粘土を用い、孔19に付着させた。表面模様は、2色以上の樹脂粘土組成物を用いることにより、どのような模様にも形成できる。
〔第三工程〕
樹脂粘土組成物を120℃で焼成した。
その結果、貴金属20と着色樹脂21とが組み合わされたブローチ(複合装飾成形品)を得た。
2 リング(貴金属粘土状組成物、貴金属焼結品)
3 球状ヘッド(樹脂粘土組成物、着色樹脂)
Claims (4)
- 着色樹脂と貴金属焼成物とを組み合わせた複合装飾成形品を製造する方法であって、
貴金属粉末、貴金属合金粉末から選ばれる一種以上の粉末を含有する貴金属粘土状組成物を成形して乾燥、焼成する第一工程と、焼成された貴金属焼結品に、樹脂粘土組成物を、次工程の焼成後に物理的に連結するように、組み合わせる第二工程と、樹脂粘土組成物を焼成する第三工程とからなることを特徴とする複合装飾成形品の製造方法。 - 第一工程では、抜け防止形状を備える耐熱性材料が埋設される貴金属焼結品を得るようにし、第二工程において、埋設された耐熱性材料を被覆するように樹脂粘土組成物を付着させることを特徴とする請求項1に記載の複合装飾成形品の製造方法。
- 第一工程では、外れ防止形状を備える凹部が形成される貴金属焼結品を得るようにし、第二工程において、前記凹部に樹脂粘土組成物を充填することを特徴とする請求項1又は2に記載の複合装飾成形品の製造方法。
- 第一工程では、孔が形成される貴金属焼結品を得るようにし、第二工程において、孔の両側から臨ませた樹脂粘土組成物を孔の中で繋げることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の複合装飾成形品の製造方法。
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