JP3934744B2 - 自動車のスペアタイヤカバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のリヤゲート等に設けたブラケットに支持したスペアタイヤを覆うスペアタイヤカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
レクリェーショナルビークル等の車両のリヤゲートに支持したスペアタイヤを覆うスペアタイヤカバーは、一般に複数枚の軟質シートを一体に縫製したもので、周縁にゴムを収納した開閉自在な開口を広げながらスペアタイヤを覆うように装着される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のスペアタイヤカバーは着脱が容易である反面、その着脱の容易さ故に盗まれ易いという問題があり、盗難を回避するために特別の錠を設けるとコストが増加する問題がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、スペアタイヤカバーの盗難を未然に防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、車体の外壁面に設けたブラケットが貫通する開口を有して該ブラケットに支持したスペアタイヤを覆う自動車のスペアタイヤカバーにおいて、前記開口から半径方向外側に延びる着脱用スリットを、そのスリットに沿って移動可能な把手により開閉操作されるファスナーで開閉自在とし、この把手は、これがファスナーを閉じた位置にあるときに、着脱用スリットの半径方向内側の端部近傍に在って車体の外壁面に対向していることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、スペアタイヤカバーを盗むためにファスナーの把手を操作して着脱用スリットを開放しようとしても、把手と車体の外壁面との間の隙間に手が入らずに該把手の操作が不能であるため、スペアタイヤカバーの盗難が確実に防止される。
【0007】
また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、前記ブラケットを開閉自在なリヤゲートに設けるとともに、前記把手をリヤバンパーに対向させたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、リヤゲートを開くとファスナーの把手がリヤバンパーから離れるため、その把手を操作することにより着脱用スリットを開放してスペアタイヤカバーを取り外すことができる。
【0009】
また請求項3に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、前記開口の周縁に弾性部材を装着して該開口を収縮方向に付勢したことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、弾性部材が開口を収縮方向に付勢するのでスペアタイヤカバーの装着状態が安定し、しかも皺の発生が防止されて外観が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図8は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動車の後部の斜視図、図2はスペアタイヤカバーの装着状態を示す斜視図、図3は図2の3方向矢視図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図4の5部拡大図、図6は図4の6部拡大図、図7は図4の7部拡大図、図8は図4の8部拡大図である。
【0013】
図1に示すように、レクリェーショナルビークルVのリヤゲートRの下部にはスペアタイヤTを支持するためのブラケットBrが固定されており、このブラケットBrに支持したスペアタイヤTがスペアタイヤカバーCにより覆われる。図2を併せて参照すると明らかなように、ブラケットBrはリヤゲートRに各2本のボルト1…で固定される左右一対の取付フランジ2,2と、これら取付フランジ2,2から車体後方に延びる左右一対の支持脚3,3と、これら支持脚3,3の後端を接続するスペアタイヤ支持部4とを備えており、スペアタイヤ支持部4には4本のスタッドボルト5…が後ろ向きに固定される。
【0014】
スペアタイヤTはタイヤ本体6とホイール7とから成り、ホイール7に形成した4個のボルト孔8…に前記4本のスタッドボルト5…をそれぞれ貫通させて図示せぬナットで締結することにより、スペアタイヤTがブラケットBrに固定される。スペアタイヤTをブラケットBrに固定した状態で、ブラケットBrの一対の支持脚3,3及びスペアタイヤ支持部4はスペアタイヤTのホイール7の凹部内に嵌まり込む。
【0015】
次に、図2〜図8を参照してスペアタイヤカバーCの構造を説明する。
【0016】
スペアタイヤカバーCの本体部は、ビニールレザー製の第1シート部11、第2シート部12及び第3シート部13を縫製することにより構成される。第1シート部11の外形はスペアタイヤTの直径に略等しい直径を有する円形であり、その中央に下側の円弧部14と上側の一対の直線部15,15とにより囲まれた開口16が形成される。第2シート部12は、スペアタイヤTのトレッド幅と略等しい幅を有する帯状の部材であって、その一方の側縁が縫製部17により前記第1シート部11の周縁に接続される。第3シート部13の外形はスペアタイヤTの直径に略等しい直径を有する円形であり、その周縁に前記第2シート部12の他方の側縁が縫製部18により接続される。第3シート部13の内面には、円形に形成したポリプロピレン製のプレート19が縫製部20において結合されており、最も目立ち易い第3シート部13に皺が寄ることを防止している。
【0017】
図5は前記縫製部18の近傍の構造を示すもので、第2シート部12と、第3シート部13と、玉縁21の帯部211 とが3重に重合して縫製される。前記玉縁21の両端は第3シート部13の下端において付き合わされて接続されるが、その接続部分を補強すべく、図6に示すように、二つ折りにしたビニールレザー製のトリムエンド23が玉縁22に巻き付けられ、その両側を第2シート部12及び第3シート部13で挟んだ状態で縫製が行われる。
【0018】
図2から明らかなように、第1シート部11は、開口16の一対の直線部15,15の接点から半径方向外側に延びる着脱用スリット111 と、一対の直線部15,15と円弧部14との接点から半径方向外側に延びる2本の着脱用スリット112 ,112 と、円弧部14の下端から半径方向外側に延びる1本の着脱用スリット113 とを備える。図4及び図5を併せて参照すると明らかなように、円弧部14の下端から半径方向外側に延びる前記着脱用スリット113 の下端に、第2シート部12の着脱用スリット121 が直列に接続されており、これら着脱用スリット113 ,121 は、該スリット11 3 ,12 1 に沿って移動する把手F1 で開閉操作可能なファスナーFによって開閉される。ファスナーFが閉じられたときに前記把手F1 は第1シート部11の着脱用スリット113 の上端近傍にあり、このとき把手F1 及びリヤバンパーBaの後面間の隙間は手の入らない程度の僅かなものとされる。
【0019】
図7は前記縫製部17の近傍の構造を示すもので、第1シート部11と、第2シート部12と、玉縁22の帯部221 と、二つ折りにされたパッチ26とが5重に重合して縫製される。図2及び図8から明らかなように、開口16の周縁を構成する円弧部14及び直線部15,15は内向きに折り返され、その内部にループ状にした3本のゴム紐24…を収納した状態で縫製部25において縫製される。
【0020】
次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0021】
リヤゲートRのブラケットBrに支持されたスペアタイヤTにスペアタイヤカバーCを装着するには、ファスナーFを開いて下側の着脱用スリット113 ,121 を開放した状態で、ゴム紐24…を引き延ばしながら第1シート部11の開口16を開き、その開口16をくぐらすようにしてスペアタイヤカバーCをスペアタイヤTに装着する。このとき、前記ファスナーFが設けられた着脱用スリット113 ,121 に加えて、他の3本の着脱用スリット111 ,112 ,112 が放射状に形成されているため、前記開口16を容易に開くことができる。
【0022】
次に、ファスナーFを操作して着脱用スリット113 ,121 を閉じる必要があるが、リヤゲートRが閉じた状態ではファスナー操作規制部としてのリヤバンパーBaが邪魔してファスナーFの把手F1 を操作することができない。従って、先ずリヤゲートRを開いてスペアタイヤTをリヤバンパーBaから離し、続いて把手F1 を操作してファスナーFを閉じることによりスペアタイヤカバーCの装着を完了する。この状態からリヤゲートRを閉じると、ファスナーFの把手F1 がリヤバンパーBaの後面に殆ど隙間が無い状態で対向するため、把手F1 が見え難くなるだけでなく把手F1 の操作が不能になってスペアタイヤカバーCの盗難が防止される。スペアタイヤカバーCを取り外すには、リヤゲートRを開いてファスナーFの把手F1 とリヤバンパーBaの後面との間に手の入る隙間を形成すれば良い。
【0023】
而して、スペアタイヤカバーCをスペアタイヤTに装着すると、開口16がブラケットBrに嵌まった状態で第1シート部11によりスペアタイヤTの一側面が覆われ、第2シート部12によりスペアタイヤTの外周面(トレッド面)が覆われ、第3シート部13によりスペアタイヤTの他側面が覆われる。そして3本のゴム紐24…の弾発力で開口16が縮小する方向に付勢されるため、スペアタイヤカバーCの内面がスペアタイヤTの外面に密着し、皺の無い状態でスペアタイヤカバーCが確実に装着される。
【0024】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0025】
例えば、ファスナー操作規制部はリヤバンパーBaに限定されるものではない。また第1〜第3シート部11〜13の材質は実施例のものに限定されず、適宜のものを選択して使用することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載された発明によれば、スペアタイヤカバー開口から半径方向外側に延びる着脱用スリットを、そのスリットに沿って移動可能な把手により開閉操作されるファスナーで開閉自在とし、この把手は、これがファスナーを閉じた位置にあるときに、着脱用スリットの半径方向内側の端部近傍に在って車体の外壁面に対向しているので、スペアタイヤカバーを盗むためにファスナーの把手を操作して着脱用スリットを開放しようとしても、把手と車体の外壁面との間の隙間に手が入らずに該把手の操作が不能であるため、スペアタイヤカバーの盗難が確実に防止される。
【0027】
また請求項2に記載された発明によれば、リヤゲートを開くとファスナーの把手がリヤバンパーから離れるため、その把手を操作することにより着脱用スリットを開放してスペアタイヤカバーを取り外すことができる。
【0028】
また請求項3に記載された発明によれば、弾性部材が開口を収縮方向に付勢するのでスペアタイヤカバーの装着状態が安定し、しかも皺の発生が防止されて外観が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車の後部の斜視図
【図2】 スペアタイヤカバーの装着状態を示す斜視図
【図3】 図2の3方向矢視図
【図4】 図3の4−4線断面図
【図5】 図4の5部拡大図
【図6】 図4の6部拡大図
【図7】 図4の7部拡大図
【図8】 図4の8部拡大図
【符号の説明】
Ba リヤバンパー
Br ブラケット
F ファスナー
F1 把手
R リヤゲート
T スペアタイヤ
113 着脱用スリット
121 着脱用スリット
16 開口
24 ゴム紐(弾性部材)
Claims (3)
- 車体(R)の外壁面に設けたブラケット(Br)が貫通する開口(16)を有して該ブラケット(Br)に支持したスペアタイヤ(T)を覆う自動車のスペアタイヤカバーにおいて、
前記開口(16)から半径方向外側に延びる着脱用スリット(113 ,121 )を、そのスリット(11 3 ,12 1 )に沿って移動可能な把手(F 1 )により開閉操作されるファスナー(F)で開閉自在とし、
この把手(F1 )は、これがファスナー(F)を閉じた位置にあるときに、着脱用スリット(11 3 ,12 1 )の半径方向内側の端部近傍に在って車体(R)の外壁面に対向していることを特徴とする自動車のスペアタイヤカバー。 - 前記ブラケット(Br)を開閉自在なリヤゲートに設けるとともに、前記把手(F1 )をリヤバンパー(Ba)に対向させたことを特徴とする、請求項1に記載の自動車のスペアタイヤカバー。
- 前記開口(16)の周縁に弾性部材(24)を装着して該開口(16)を収縮方向に付勢したことを特徴とする、請求項1に記載の自動車のスペアタイヤカバー。
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