JP3934737B2 - 複素フィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高精細テレビジョン受信装置やディジタル携帯電話機等のディジタル通信装置において、受信したディジタル変調信号を直交復調する復調器に設けられる複素フィルタに関する
【0002】
【従来の技術】
一般に高精細テレビジョンシステムは、変調方式として例えば直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation )や位相偏移変調(PSK:Phase Shift Keying)を使用している。このため、高精細テレビジョン受信装置の復調系では、受信したディジタル変調波信号が同相成分と直交成分とからなる複素信号により表されるようになっており、これに応じて復調器内に設けられる等化器や乗算器には複素フィルタあるいは複素乗算器が使用されている。
【0003】
図8は特開平8−9200号に開示された従来の複素フィルタの構成例を示すものである。同図において、複素入力信号の実数部Drは第1の有限長インパルス応答(FIR:Finite Impulse Response )フィルタ11に入力され、ここでフィルタ係数(Cr+Ci)が乗算されてDr(Cr+Ci)となって出力される。また上記複素入力信号の実数部Drと虚数部Diとの和が加算器14で求められて第2のFIRフィルタ12に入力され、ここでフィルタ係数Ciが乗算されて(Dr+Di)Ciとなって出力される。さらに、上記複素入力信号の実数部Drと虚数部Diとの差が減算器15で求められて第3のFIRフィルタ13に入力され、ここでフィルタ係数Crが乗算されて(Dr−Di)Crとなって出力される。
【0004】
そして、上記第1のFIRフィルタ11の出力信号と上記第2のFIRフィルタ12の出力信号との差が減算器16で求められ、その出力が波形等化後の複素出力信号の同相成分Zrとして出力される。また、上記第1のFIRフィルタ11の出力信号と上記第3のFIRフィルタ13の出力信号との差が減算器17で求められ、その出力が波形等化後の複素出力信号の直交成分Ziとして出力される。
【0005】
この複素フィルタを用いると、従来4個必要だったFIRフィルタを3個にすることができる。一般にFIRフィルタはタップ数に相当する複数個の乗算器といくつかの加算器とによって実現されるため、FIRフィルタの数を減らすことは回路規模の縮小を図るうえで極めて有効である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような複素フィルタはFIRフィルタの数こそ少ないものの、依然として多くの加算器14および減算器15,16,17を必要としている。高精細テレビジョン受信装置やディジタル携帯電話機などのディジタル通信装置では、装置の小型化のために回路規模の一層の縮小が重要課題の一つとなっており、複素フィルタについてもさらなる小型化が望まれていた。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、フィルタ本体に加え、加算器あるいは減算器の数も削減して回路規模のより一層の小型化を実現し得る複素フィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明の複素フィルタは、複素入力信号の実数部Drに対し前記フィルタ係数ベクトルCr,Ciの差の反数に相当するフィルタ係数−(Cr−Ci)を畳み込み演算して−(Cr−Ci)*Drを出力する第1のフィルタと、前記複素入力信号の虚数部Diに対し前記フィルタ係数ベクトルCr,Ciの和の反数に相当するフィルタ係数−(Cr+Ci)を畳み込み演算して−(Cr+Ci)*Diを出力する第2のフィルタと、前記複素入力信号の実数部Drと虚数部Diとの和(Dr+Di)を出力する入力加算器と、この入力加算器から出力された和(Dr+Di)に対し前記フィルタ係数ベクトルCrを畳み込み演算して(Dr+Di)*Crを出力する第3のフィルタを具備し、
さらに、前記第1、第2及び第3のフィルタを直列に接続された複数段のタップ回路により構成し、これら複数段のタップ回路の各々に、前記複素入力信号の実数部Drに対し前記フィルタ係数−(Cr−Ci)の要素Mを乗算する第1の係数器と、前記第1の係数器から出力された信号を前段のタップ回路から出力される第1系列の出力信号と加算する第1の加算器と、前記複素入力信号の虚数部Diに対し前記フィルタ係数−(Cr+Ci)の要素Kを乗算する第2の係数器と、前記第2の係数器から出力された信号を前段のタップ回路から出力される第2系列の出力信号と加算する第2の加算器と、前記入力加算器から出力された和(Dr+Di)に対し前記フィルタ係数ベクトルCrの要素Nを乗算する第3の係数器と、前記第1の加算器と直列に接続され当該第1の加算器から出力される信号と前記第3の係数器から出力された信号とを加算する第3の加算器と、前記第2の加算器と直列に接続され当該第2の加算器から出力される信号と前記第3の係数器から出力された信号とを加算する第4の加算器と、前記第3の加算器から出力される信号をクロックタイミングと同期をとりその出力信号を前記第1系列の出力信号として次段のタップ回路へ出力する第1のバッファと、前記第4の加算器から出力される信号をクロックタイミングと同期をとりその出力信号を前記第2系列の出力信号として次段のタップ回路へ出力する第2のバッファを備えるようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
このように構成することで、減算器をすべて無くすことができる。減算器は、加算器の構成に加えてビット反転回路などを多く含むため一般に回路規模が大きくなりがちである。このため、減算器を無くすことにより複素フィルタの回路規模はさらに小型化される。また、減算器を無くしたことで、信号処理速度の向上を図ることも可能となり、さらには処理タイミングの合わせ込みを容易にできる。
しかも、出力加算器をフィルタ内に収容し、これにより集積回路からなる出力加重型の複素フィルタを構成したことにより、加算器間にあって同期を取るためのバッファを削減することができ、これにより回路規模をさらに縮小することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係わる複素フィルタを等化器に使用したディジタル復調回路の一実施形態を示す回路ブロック図である。
【0011】
同図において、図示しない無線受信回路から出力された受信中間周波信号は、実数部(同相成分)IFrと虚数部(直交位相成分)IFiとに分離されたのち、それぞれアナログ/ディジタル変換器(A/D)1r,1iに入力されてディジタル信号に変換され、しかるのちミキサ2r,2iに入力される。ミキサ2r,2iでは、上記受信中間周波信号が、局部発振器4から発生された位相が相互にπ/2異なる局部発振信号とミキシングされて直交復調される。そして、このミキサ2r,2iから出力された復調信号の同相成分および直交位相成分は、符号間干渉を軽減するためにロールオフフィルタ3r,3iに通されたのち等化器5に入力される。
【0012】
等化器5では上記ロールオフフィルタ3r,3iから出力された復調信号に対し信号波形等化のための複素フィルタリング処理が行われ、このフィルタリング後の受信信号は位相同期回路6に入力される。位相同期回路6では位相同期処理が行われ、この同期確立後の受信ベースバンド信号はデコーダなどのベースバンド回路に入力される。
【0013】
ところで、等化器5の複素フィルタは次のように構成される。図2はその構成を示す回路ブロック図である。すなわち、この複素フィルタは、第1、第2および第3のFIRフィルタ120,130,140と、加算器150と、第1および第2の減算器160,170とから構成される。
【0014】
第1のFIRフィルタ120には、フィルタ係数Cr,Ciの差(Cr−Ci)が予め設定されており、第1のFIRフィルタ120は複素入力信号の実数部Drに対し上記フィルタ係数(Cr−Ci)を畳み込み演算してその結果Dr*(Cr−Ci)を出力する。なお、*は畳み込み演算を表す。
【0015】
第3のFIRフィルタ140には、フィルタ係数Cr,Ciの和(Cr+Ci)が予め設定されており、第1のFIRフィルタ120は複素入力信号の実数部Diに対し上記フィルタ係数(Cr+Ci)を畳み込み演算してその結果Di*(Cr+Ci)を出力する。
【0016】
加算器150は、複素入力信号の実数部Drと虚数部Diとを加算してその結果(Dr+Di)を第2のFIRフィルタ130に入力する。第2のFIRフィルタ130にはフィルタ係数Crが予め設定されており、第2のFIRフィルタ130は上記加算器150から供給された(Dr+Di)に対しフィルタ係数Crを畳み込み演算し、その結果(Dr+Di)*Crを出力する。
【0017】
そして、上記第1のFIRフィルタ120から出力された演算結果Dr*(Cr−Ci)および第2のFIRフィルタ130から出力された演算結果(Dr+Di)*Crは第1の減算器160に入力される。この第1の減算器160は、上記第2のFIRフィルタ130の演算結果(Dr+Di)*Crから、上記第1のFIRフィルタ120の演算結果Dr*(Cr−Ci)を引き算し、その結果をフィルタリング後の複素信号の虚数部Ziとして出力する。
【0018】
また、上記第2のFIRフィルタ140から出力された演算結果Di*(Cr+Ci)および第2のFIRフィルタ130から出力された演算結果(Dr+Di)*Crは第2の減算器170に入力される。この第2の減算器170は、上記第2のFIRフィルタ130の演算結果(Dr+Di)*Crから、上記第3のFIRフィルタ140の演算結果Di*(Cr+Ci)を引き算し、その結果をフィルタリング後の複素信号の実数部Zrとして出力する。
【0019】
したがってこのような回路によれば、複素入力信号Dr+jDiを入力すると、
Zr=(Dr+Di)*Cr−Di*(Cr+Ci)
Zi=(Dr+Di)*Cr−Dr*(Cr−Ci)
なるフィルタリングされた複素出力信号が出力される。
【0020】
これを理論的に証明する。すなわち、複素入力信号(Dr+jDi)とフィルタ係数(Cr+jCi)との畳み込み演算式は、
(Dr+jDi)*(Cr+jCi)
=Dr*Cr−Di*Ci+j(Di*Cr+Dr*Ci)
=Dr*Cr+Di*Cr−Di*Cr−Di*Ci+j(Di*Cr+Dr*Cr−Dr*Cr+Dr*Ci)
=(Dr+Di)*Cr−Di*(Cr+Ci)+j{(Di+Dr)*Cr−Dr*(Cr−Ci)}
のように変形できる。この式の実数部は上記Zrに対応し、また虚数部は上記Ziに対応する。したがって、本実施形態の回路により、複素入力信号(Dr+jDi)とフィルタ係数(Cr+jCi)との畳み込み演算結果、つまり
Zr+jZi=(Dr+jDi)*(Cr+jCi)
が得られることは明らかである。
【0021】
このように本実施形態の複素フィルタでは、複素入力信号の実数部Drを第1のFIRフィルタ120でフィルタ係数(Cr−Ci)によりフィルタリングするとともに、複素入力信号の虚数部Diを第3のFIRフィルタ140でフィルタ係数(Cr+Ci)によりフィルタリングし、さらに複素入力信号の実数部Drと虚数部Diとの和を加算器150で求めてその出力を第2のFIRフィルタ130でフィルタ係数Crによりフィルタリングする。そして、この第2のFIRフィルタ130のフィルタリング出力から上記第1のFIRフィルタ120の出力を第1の減算器160で引き算してその出力を複素出力信号の虚数部Ziとして出力するとともに、第2のFIRフィルタ130のフィルタリング出力から上記第3のFIRフィルタ140の出力を第2の減算器170で引き算してその出力を複素出力信号の虚数部Zrとして出力するようにしている。
【0022】
したがって本実施形態の複素フィルタによれば、図8に示した従来の複素フィルタに比べて減算器を1個削減することができ、その分複素フィルタの回路規模を縮小することができる。減算器は、加算器に比べてビット反転回路などを多く含んでいるため回路規模が比較的大きい。このため、減算器を1個削減できることは、回路全体の構成を簡単小型化する上で大きな効果がある。また、減算器を1個削減したことで、信号処理速度の高速化が可能となり、さらには処理タイミングの合わせ込みを容易にすることも可能となる。
【0023】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、FIRフィルタに設定するフィルタ係数の極性を工夫することで減算器を加算器に置き換え、これにより回路規模のより一層の縮小を図るようにしたものである。
【0024】
すなわち、図2に示した複素フィルタからは先に述べたように
Zr=(Dr+Di)*Cr−Di*(Cr+Ci)
Zi=(Dr+Di)*Cr−Dr*(Cr−Ci)
なる複素出力信号が出力される。この式は
Figure 0003934737
のように変形できる。そして、この変形式に応じて回路を構成すれば、減算器を用いない複素フィルタを構成できる。
【0025】
図3は本実施形態に係わる複素フィルタの構成を示す回路ブロック図である。なお、同図において前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0026】
第1のFIRフィルタ220には、フィルタ係数として−(Cr−Ci)が設定してある。また第3のFIRフィルタ240には、フィルタ係数として−(Cr+Ci)が設定してある。このため、第1のFIRフィルタ220からは、複素入力信号の実数部Drに対し上記フィルタ係数−(Cr−Ci)が畳み込み演算された結果Dr*{−(Cr−Ci)}が出力される。また第3のFIRフィルタ240からは、複素入力信号の虚数部Diに対し上記フィルタ係数−(Cr+Ci)が畳み込み演算された結果Di*{−(Cr+Ci)}が出力される。
【0027】
そして、上記第1のFIRフィルタ220の出力Dr*{−(Cr−Ci)}は、第2のFIRフィルタ130の出力(Dr+Di)*Crに加算器260で加算され、その結果がフィルタリング後の複素信号の虚数部Ziとして出力される。また、上記第3のFIRフィルタ240の出力Di*{−(Cr+Ci)}は、第2のFIRフィルタ130の出力(Dr+Di)*Crに加算器270で加算され、その結果がフィルタリング後の複素信号の実数部Zrとして出力される。
【0028】
このような構成であれば、減算器を皆無にすることができ、これにより回路規模をさらに縮小して小型化を図り、しかも信号処理速度のより一層の高速化が可能で処理タイミングの合わせ込みも容易な複素フィルタを提供することができる。
【0029】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態は、前記第2の実施形態の回路中の出力加算器260,270をFIRフィルタ内に収容し、これにより集積回路からなる出力加重型の複素フィルタを構成したものである。
【0030】
図4は本実施形態に係わる複素フィルタを示す回路構成図である。この複素フィルタは、加算器550と、段構成のタップ回路510,520,530とから構成される。これらのタップ回路510,520,530は、各々が複素フィルタの1タップ分を構成している。なお、これらのタップ回路510,520,530の構成は同一なので、ここではタップ回路510の構成についてのみ説明する。
【0031】
複素入力信号の実数部Drは、係数器511で係数ベクトルの要素M1を乗算されたのち加算器512に入力され、ここで入力信号と加算される。また、複素入力信号の虚数部Diは、係数器518で係数ベクトルの要素K1を乗算されたのち加算器515に入力され、ここで入力信号と加算される。このときタップ回路510は1段目なので、上記各入力信号はともに接地信号となっている。
【0032】
複素入力信号の実数部Drと虚数部Diは加算器550に入力されて加算される。そして、この加算器550から出力された信号は係数器519で係数ベクトルN1を乗算されたのち、加算器513,516にそれぞれ入力される。加算器513では、上記加算器512の加算出力と上記係数器519の出力とが加算され、その加算出力はバッファ514でタイミングを回路のクロックタイミングに合わされたのち2段目のタップ回路520に供給される。加算器516では、上記加算器515の加算出力と上記係数器519の出力とが加算され、その加算出力はバッファ517でタイミングを回路のクロックタイミングに合わされたのち2段目のタップ回路520に供給される。
【0033】
以上の動作は、2段目および3段目の各タップ回路520,530においても同様に行われ、3段目の演算回路530から出力された信号がこの複素フィルタの虚数部Ziおよび実数部Zrとなる。
【0034】
なお、上記各タップ回路510,520,530の係数ベクトルM1,M2,M3は、図3に示した回路における(−1)*(Cr−Ci)の各要素であり、また係数N1,N2,N3は図3に示した係数ベクトルCrの各要素である。また係数K1,K2,K3は、図3に示した係数ベクトル(−1)*(Cr+Ci)の各要素である。
【0035】
このような構成であるから、前記図2および図3に示した複素フィルタのように3個のFIRフィルタを用いる場合と比較すると、加算器間にあって同期を取るためのバッファ、例えばバッファ514のような回路を削減することができ、これにより回路規模を縮小することができる。
【0036】
また、複素出力信号Zr,Ziを1段目のタップ回路510に帰還して、接地信号の代わりに加算器515,512に入力することで、小規模の回路でフィードバック型の複素フィルタに変更することも可能である。
【0037】
なお、1段目のタップ回路510への入力信号は接地信号、つまり固定値であるため、1段目のタップ回路510の加算器512,515は必要がない。そこで、1段目のタップ回路510に限り加算器512,515を削除し、係数器511,518の出力を加算器513,516に入力するように構成する。このように構成すると、1段目のタップ回路510の回路規模をさらに小型化することができる。
【0038】
また、図4ではフィルタタップ数が3の場合について説明したが、これに限ることはなく、フィルタ係数が2の場合又は4以上の場合にも同様に本発明を適用できる。
【0039】
(第4の実施形態)
この発明の第4の実施形態は、前記図3に示した複素フィルタと同じフィルタリング処理をソフトウエアで実現するものである。
【0040】
図5はこの第4の実施形態における複素フィルタの概略構成図である。この複素フィルタは、例えばDSP(Digital Signal Processor)からなるフィルタ回路60と、このフィルタ回路60におけるフィルタリング処理の制御プログラムを記憶したメモリ62と、このメモリ62に記憶された制御プログラムを読み込みこの制御プログラムにしたがって上記フィルタ回路60を制御する制御装置61とから構成される。
【0041】
図6は上記制御プログラムの制御手順および制御内容を示すフローチャートである。制御装置61は、先ずステップS6aで、時刻tにおいて複素入力信号の実数部Dr(t) の過去n個分の要素Dr(t) 〜Dr(t-n+1) から構成されるベクトルD1を求める。また同様にステップS6bで、時刻tにおいて複素入力信号の虚数部Di(t) の過去n個分の要素Di(t) 〜Di(t-n+1) から構成されるベクトルD2を求める。
【0042】
次に、ステップS6cで、時刻tにおけるフィルタの係数行列C1を求める。この係数行列C1は、対角の要素としてCr(t,n-1) 〜Cr(t,0) を持つn×n対角行列から構成される。また同様にステップS6dで、時刻tにおけるフィルタの係数行列C2を求める。この係数行列C2は、対角の要素としてCi(t,n-1) 〜Ci(t,0) を持つn×n対角行列から構成される。
【0043】
そして制御装置61は、ステップS6eにおいて{−(C1−C2)}*D1を計算し、その計算結果をバッファA1に代入する。またステップS6fにおいては、C1*(D1+D2)を計算し、その計算結果をバッファA2に代入する。さらにステップS6gにおいて、{−(C1+C2)}*D2を計算し、その計算結果をバッファA3に代入する。なお、上式中の演算子*は内積を表す。
【0044】
次にステップS6hにおいて、上記バッファA1に保持された計出値とバッファA2に保持された計算値とを加算し、その結果を複素出力信号の虚数部Ziとして出力する。またステップS6iにおいて、上記バッファA2に保持された計出値とバッファA3に保持された計算値とを加算し、その結果を複素出力信号の実数部Zrとして出力する。
【0045】
かくして時刻tにおける処理は終了する。そうして時刻tにおける処理が終了すると、続いてステップS6jで時刻tをインクリメント(t←t+1)してステップS6aに戻り、以上述べたステップS6aからステップS6jまでの一連の処理を繰り返す。なお、D1,D2は時刻が進むにしたがってその要素の値が一つずつ変化する。
【0046】
なお、フィルタ係数C1,C2については、図6のフローチャートでは時刻の関数として記述したが、時刻に対し恒等であってもよい。この場合、システムの初期値として予めステップS6c,S6dの処理を実行してフィルタ係数C1,C2を与えておくことができる。このようにすると、時刻tからt+1への処理の繰り返しにおいて、上記フィルタ係数の算出ステップS6c,S6dを除外することができ、その分処理ステップ数を減らして処理速度の高速化を図ることができる。
【0047】
なお、以上述べた第4の実施形態では、図3に示した複素フィルタによるフィルタリング処理をソフトウエアで実現した場合を例にとって説明したが、図2に示した複素フィルタや図4に示した複素フィルタによるフィルタリング処理をソフトウエアで実現するようにしてもよい。
【0048】
(第5の実施形態)
この発明の第5のの実施形態は、前記第1の実施形態において述べた複素フィルタの技術思想を利用して複素乗算器を構成したものである。
【0049】
図7は本実施例における複素乗算器の構成を示す回路ブロック図で、第1の複素入力信号Dr+jDiに第2の複素入力信号Er+jEiを乗算して出力する回路である。
【0050】
同図において、第2の複素入力信号の実数部Erおよび虚数部Eiは第1の減算器395に入力され、ここでErからEiが引き算されてその出力(Er−Ei)が第1の乗算器340に入力される。第1の乗算器340では、第1の複素入力信号の実数部Drと上記第1の減算器395から出力された第2の複素入力信号の減算値(Er−Ei)とが乗算される。また、第2の複素入力信号Er,Eiは第1の加算器390で相互に加算されたのち第3の乗算器360に入力される。第3の乗算器360では、第1の複素入力信号の虚数部Diと上記第1の加算器390から出力された第2の複素入力信号の加算値(Er+Ei)とが乗算される。
【0051】
また、上記第1の複素入力信号の実数部Drおよび虚数部Diは第2の加算器320に入力され、ここで相互に加算されたのち第2の乗算器350に入力される。第2の乗算器350では、上記第2の加算器320から出力された複素入力信号の加算値Dr+Diと、第2にの複素入力信号の実数部Erとが乗算され、その乗算値(Dr+Di)・Erは第2および第3の減算器370,380にそれぞれ入力される。
【0052】
第2の減算器370では、上記第2の乗算器350の乗算出力(Dr+Di)・Erから上記第1の乗算器340の乗算出力Dr・(Er−Ei)が引き算され、その出力値(Dr+Di)・Er−Dr・(Er−Ei)が乗算後の複素出力信号の虚数部Ziとして出力される。また、第3の減算器380では、上記第2の乗算器350の乗算出力(Dr+Di)・Erから上記第2の乗算器360の乗算出力Di・(Er+Ei)が引き算され、その出力値(Dr+Di)・Er−Di・(Er+Ei)が乗算後の複素出力信号の実数部Zrとして出力される。
【0053】
すなわち、この実施形態の複素乗算器からは、
Zr=(Dr+Di)・Er−Di・(Er+Ei)
Zi=(Dr+Di)・Er−Dr・(Er−Ei)
なる複素乗算信号が出力される。
【0054】
この複素乗算信号が第1の複素入力信号(Dr+jDi)と第2の複素入力信号(Er+jEi)との乗算値であることは、以下の理由から明らかである。すなわち、第1の複素入力信号(Dr+jDi)と第2の複素入力信号(Er+jEi)との乗算式は、
(Dr+jDi)・(Er+jEi)
=Dr・Er−Di・Ei+j(Di・Er+Dr・Ei)
=Dr・Er+Di・Er−Di・Er−Di・Ei+j(Di・Er+Dr・Er−Dr・Er+Dr・Ei)
=(Dr+Di)・Er−Di・(Er+Ei)+j{(Di+Dr)・Er−Dr・(Er−Ei)}
のように変形できる。この式の実数部は上記Zrに対応し、また虚数部は上記Ziに対応する。
【0055】
このように本実施形態の複素乗算器は、従来より一般的に使用されている複素乗算器と比べると乗算器を4個から3個に減らすことができ、その分回路規模を小型化することができる。なお、乗算器を減らす代わりに加算器および減算器の数は増えるが、一般に乗算器の回路規模は加算器や減算器に比べて非常に大きい。例えば、同じビット数の処理を行う場合を想定すると、乗算器の回路規模は加減算器に比べてビット数の2乗で大きくなる。したがって、乗算器を1個削減することによる効果は、加減算器が3個増加することによる回路規模の増加分を考慮しても、極めて大きい。
【0056】
この複素乗算器は、ディジタル無線通信装置の復調器において、例えば直交復調用のミキサ等に使用することができる。したがって、このような複素乗算器を前記各実施形態で述べた複素フィルタとともに復調器に使用することで、復調器の回路規模を従来に比べて大幅に縮小することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、複素入力信号に乗算するためのフィルタ係数を工夫したことにより、フィルタ数ばかりでなく加算器あるいは減算器の数も削減して、回路規模のより一層の小型化を実現し得る複素フィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わる複素フィルタを等化器に使用した復調器の構成例を示す回路ブロック図。
【図2】 この発明に係わる複素フィルタの第1の実施形態を示す回路ブロック図。
【図3】 この発明に係わる複素フィルタの第2の実施形態を示す回路ブロック図。
【図4】 この発明に係わる複素フィルタの第3の実施形態を示す回路ブロック図。
【図5】 この発明に係わる複素フィルタの第4の実施形態を示す回路ブロック図。
【図6】 図5に示した複素フィルタにおけるフィルタリング処理プログラムを示すフローチャート。
【図7】 この発明に係わる複素乗算器の一実施形態を示す回路ブロック図。
【図8】 従来の複素フィルタの構成の一例を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
Dr…複素入力信号の実数部
Di…複素入力信号の虚数部
Cr,Ci…フィルタ係数
Zr…複素出力信号の実数部
Zi…複素出力信号の虚数部
120,220…第1のFIRフィルタ
130…第2のFIRフィルタ
140,240…第3のFIRフィルタ
150,260,270,320,390,550…加算器
160,170,370,380,395…減算器
340,350,360…乗算器
510,520,530…タップ回路
511,518,519…係数器
514,517…バッファ

Claims (1)

  1. 実数部および虚数部がそれぞれDr,Diで表される複素入力信号に対し、フィルタ係数ベクトルCr,Ciを基にフィルタリング処理を行う複素フィルタにおいて、
    前記複素入力信号の実数部Drに対し、前記フィルタ係数ベクトルCr,Ciの差の反数に相当するフィルタ係数−(Cr−Ci)を畳み込み演算して−(Cr−Ci)*Drを出力する第1のフィルタと、
    前記複素入力信号の虚数部Diに対し、前記フィルタ係数ベクトルCr,Ciの和の反数に相当するフィルタ係数−(Cr+Ci)を畳み込み演算して−(Cr+Ci)*Diを出力する第2のフィルタと、
    前記複素入力信号の実数部Drと虚数部Diとの和(Dr+Di)を出力する入力加算器と、
    この入力加算器から出力された和(Dr+Di)に対し、前記フィルタ係数ベクトルCrを畳み込み演算して(Dr+Di)*Crを出力する第3のフィルタと
    を具備し、
    前記第1、第2及び第3のフィルタは、直列に接続された複数段のタップ回路を備え、
    前記複数段のタップ回路の各々は、
    前記複素入力信号の実数部Drに対し、前記フィルタ係数−(Cr−Ci)の要素Mを乗算する第1の係数器と、
    前記第1の係数器から出力された信号を、前段のタップ回路から出力される第1系列の出力信号と加算する第1の加算器と、
    前記複素入力信号の虚数部Diに対し、前記フィルタ係数−(Cr+Ci)の要素Kを乗算する第2の係数器と、
    前記第2の係数器から出力された信号を、前段のタップ回路から出力される第2系列の出力信号と加算する第2の加算器と、
    前記入力加算器から出力された和(Dr+Di)に対し、前記フィルタ係数ベクトルCrの要素Nを乗算する第3の係数器と、
    前記第1の加算器と直列に接続され、当該第1の加算器から出力される信号と前記第3の係数器から出力された信号とを加算する第3の加算器と、
    前記第2の加算器と直列に接続され、当該第2の加算器から出力される信号と前記第3の係数器から出力された信号とを加算する第4の加算器と、
    前記第3の加算器から出力される信号をクロックタイミングと同期をとり、その出力信号を前記第1系列の出力信号として次段のタップ回路へ出力する第1のバッファと、
    前記第4の加算器から出力される信号をクロックタイミングと同期をとり、その出力信号を前記第2系列の出力信号として次段のタップ回路へ出力する第2のバッファと
    を備えることを特徴とする複素フィルタ。
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