JP3934386B2 - 導電層を有する導電性フィルム及びその導電層が付与された物体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に導電性微粒子の圧縮層からなる導電層を有する転写用導電性フィルム、その導電層が付与され表面導電性を有する物体及び導電層が付与され表面導電性を有する物体を製造する方法に関する。
【0002】
本発明において、導電性フィルムには導電性フィルム、導電性シートの双方が含まれる。また、支持体が金属であるものも、本発明の導電性フィルムに含まれる。
【0003】
とりわけ本発明は、支持体上に導電性微粒子の圧縮層からなる透明導電層を有する転写用導電性フィルム、その透明導電層が付与され表面導電性を有する物体及び透明導電層が付与され表面導電性を有する物体を製造する方法に関する。
【0004】
透明導電層は、エレクトロルミネッセンスパネル電極、エレクトロクロミック素子電極、液晶電極、透明面発熱体、タッチパネルのような透明電極として用いることができるほか、透明な電磁波遮蔽層として用いることができる。
【0005】
本発明の転写用導電性フィルムは、特に、薄いフィルム状支持体表面に電気抵抗値の低い透明導電層を形成するために有効である。
【0006】
【従来の技術】
現在、透明導電層は主にスパッタリング法によって製造されている。スパタッリング法は種々の方式があるが、例えば、真空中で直流または高周波放電で発生した不活性ガスイオンをターゲット表面に加速衝突させ、ターゲットを構成する原子を表面から叩き出し、基板表面に沈着させ膜を形成する方法である。
【0007】
厚さ100μm以上の厚い樹脂フィルム上に透明導電層を形成する場合には、樹脂フィルムを冷却キャンで冷却しながらスパッタリング法で成膜することが可能である。しかしながら、スパッタリング法で厚さ10μm程度の薄い樹脂フィルム上に透明導電層を形成しようとすると、熱により樹脂フィルムが収縮して筒状になってしまう等の不都合が発生する。
【0008】
また、スパッタリング法は、ある程度大きな面積のものでも、表面電気抵抗の低い導電層を形成できる点では優れているが、装置が大掛かりで成膜速度が遅いという欠点もある。
【0009】
一方、塗布法による透明導電層の製造も知られている。従来の塗布法では、導電性微粒子がバインダー溶液中に分散された導電性塗料を基板上に塗布して、乾燥し、硬化させ、導電層を形成する。塗布法では、大面積の導電層を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、スパッタリング法よりも低コストで導電層を製造できるという長所がある。塗布法では、導電性微粒子同士が接触することにより電気経路を形成し導電性が発現される。しかしながら、従来の塗布法で作製された導電層は接触が不十分で、得られる導電層の電気抵抗値が高い(導電性に劣る)という欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景から、可撓性支持体上に大面積の導電層を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、低コストで導電層を製造できるという塗布法の利点を生かしつつ、電気抵抗値の低い透明導電層が得られる方法の開発が望まれていた。
【0011】
そこで、本発明者は、WO01/47709A1号公報に、導電性微粒子を分散した液を支持体上に、塗布、乾燥して導電性微粒子含有層を形成し、その後、前記導電性微粒子含有層を圧縮し、導電性微粒子の圧縮層を形成することを含む、透明導電層の製造方法を開示した。また、本発明者は、WO01/48764A1号公報に、導電性微粒子を分散した液中にごく少量の樹脂を含ませる、透明導電層の製造方法を開示した。これら公報に記載の方法によれば、電気抵抗値の低い透明導電層を低コストで製造することができる。
【0012】
しかしながら、これら公報に記載の方法では、支持体が厚さ10μm以下の薄い樹脂フィルムの場合には、例えば1μm程度の厚さの導電層を設けようとする場合、圧縮時の圧力によって樹脂フィルムがカールしてしまい、所望の透明導電層を得ることは困難であった。
【0013】
最近、エレクトリックペーパー等の分野において、薄い樹脂フィルム支持体表面に電気抵抗値の低い透明導電層を形成する技術の開発が要望されている。
【0014】
そこで、本発明の目的は、支持体上に導電性微粒子の圧縮層からなる導電層を有する転写用導電性フィルム、その導電層が付与され表面導電性を有する物体及び導電層が付与され表面導電性を有する物体を製造する方法を提供することにある。
【0015】
とりわけ本発明の目的は、支持体上に導電性微粒子の圧縮層からなる透明導電層を有する転写用導電性フィルム、その透明導電層が付与され表面導電性を有する薄いフィルム状物体及び透明導電層が付与され表面導電性を有する薄いフィルム状物体を製造する方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、WO01/47709A1号公報及びWO01/48764A1号公報に開示の技術に基づいてさらに鋭意検討した結果、導電層を支持体上に前記支持体から弱い力でも剥離可能な状態で設けることによって、薄いフィルム状支持体表面に透明導電層を形成するために好適な転写用導電性フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0017】
本発明は、支持体上に、前記支持体から剥離可能な樹脂含有層を有し、前記樹脂含有層上に導電性微粒子の圧縮層からなる導電層を少なくとも有する転写用導電性フィルムであって、前記導電性微粒子の一部は、前記支持体が剥離され前記樹脂含有層面が露出した時に、前記樹脂含有層面に導通が得られる程度に、前記樹脂含有層中に入り込んでおり、前記導電層は前記樹脂含有層と共に前記支持体から剥離可能である、転写用導電性フィルムである。
の転写用導電性フィルムを導電層面が対象物体面に接するように貼り付け、導電層を樹脂含有層と共に、支持体から剥離することにより樹脂含有層面が外側になり、導電層が付与され、且つ、前記樹脂含有層表面に導通が得られる程度に、前記導電性微粒子の一部が前記樹脂含有層の表層部に存在している表面導電性の物体が得られる。
【0018】
本発明は、支持体上に、前記支持体から剥離可能な樹脂含有層を有し、前記樹脂含有層上に導電性微粒子の圧縮層からなる導電層を少なくとも有する転写用導電性フィルムであって、前記導電性微粒子の一部は前記樹脂含有層を貫通しており、前記導電層は前記樹脂含有層と共に前記支持体から剥離可能である、転写用導電性フィルムである。
この転写用導電性フィルムを導電層面が対象物体面に接するように貼り付け、導電層を樹脂含有層と共に、支持体から剥離することにより樹脂含有層面が外側になり、導電層が付与され且つ前記導電性微粒子の一部が前記樹脂含有層を貫通して表面に露出している表面導電性の物体が得られる。
【0019】
本発明は、前記樹脂含有層は厚さ0.1μm以下である、前記の導電性フィルムである。前記導電性微粒子の一部が樹脂含有層をより貫通しやすくなり、対象物体への転写後に、より確実に表面導電性が得られる。
【0020】
本発明は、前記支持体の樹脂含有層側の面には、ハードコート層が形成され、前記樹脂含有層と前記ハードコート層との間は剥離可能である、前記の導電性フィルムである。支持体の樹脂含有層側の面にハードコート層を設けておくことにより、樹脂含有層とハードコート層との密着性が低いので、対象物体への転写の際に、樹脂含有層と支持体との剥離をより容易に行うことができる。
【0021】
本発明は、前記導電層及び前記樹脂含有層は、透明である、前記の導電性フィルムである。
【0022】
本発明は、前記導電性微粒子の圧縮層は、導電性微粒子を分散した液を支持体上の樹脂含有層上に、塗布、乾燥して形成された導電性微粒子含有層を圧縮することにより得られたものである、前記の導電性フィルムである。
【0023】
あるいは、本発明は、前記導電性微粒子の圧縮層は、
まず、導電性微粒子を分散した液を転写支持体上に塗布、乾燥し、転写支持体上に導電性微粒子含有層が形成された転写前駆フィルムを作成し、
次に、導電層を形成すべき樹脂含有層が形成された支持体と前記転写前駆フィルムとを、前記樹脂含有層と前記導電性微粒子含有層とが接するように重ね合わせ、前記導電性微粒子含有層を圧縮し支持体上に導電性微粒子の圧縮層を形成し、
その後、転写支持体を前記導電性微粒子の圧縮層から剥離することより得られたものである、前記の導電性フィルムである。
【0024】
本発明は、前記導電性微粒子の圧縮層は、44N/mm2 以上の圧縮力で圧縮することにより得られたものである、前記の導電性フィルムである。
【0025】
また、本発明は、前記のうちのいずれかの導電性フィルムの導電層が樹脂含有層と共に転写により付与され、且つ
前記導電性微粒子の一部は、前記樹脂含有層表面に導通が得られるように、前記樹脂含有層を貫通して表面に露出しているか、又は前記樹脂含有層の表層部に存在している物体である。本発明は、物体が厚さ10μm以下のフィルム状のもの、例えば、樹脂フィルムである、前記の物体である。もちろん、本発明の転写用導電性フィルムは、転写対象物体として、薄いフィルム状のもの以外にも、厚いフィルムやガラス等の板材にも適用可能である。
【0026】
また、本発明は、前記のうちのいずれかの導電性フィルムの導電層を樹脂含有層と共に、支持体から導電層を付与すべき対象物体上に、前記樹脂含有層面が外側になるように転写することを特徴とする、導電層が付与され、且つ前記導電性微粒子の一部は、前記樹脂含有層表面に導通が得られるように、前記樹脂含有層を貫通して表面に露出しているか、又は前記樹脂含有層の表層部に存在している物体を製造する方法である。本発明は、対象物体が厚さ10μm以下のフィルム状のもの、例えば、樹脂フィルムである、前記の物体を製造する方法である。
【0027】
なお、本発明において、「導電層は樹脂含有層と共に支持体から剥離可能」とは、支持体と、樹脂含有層及び導電層とが互いに剥離可能な状態であることを意味する。本発明の転写用導電性フィルムを実際に使用する際には、対象物体上に貼り付けられた導電層から支持体を剥離することもあるし、薄い対象物体上に貼り付けられた導電層を対象物体と共に、支持体から剥離することもある。
【0028】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明を説明する。本発明の転写用導電性フィルムの層構成例を図1及び図2に示す。
【0029】
図1は、支持体(1) 上に樹脂を主成分とする樹脂含有層(3) と導電層(4) がこの順で形成された転写用導電性フィルム(11)の層構成例を示す断面図である。導電性微粒子の一部は樹脂含有層(3) を貫通して支持体(1) 面にまで達している。図1において、導電性微粒子は模式的に示されている。(以下の図2及び図4においても、同様である。)この場合、支持体(1) の樹脂含有層(3) 側の表面は、対象物体への転写の際の剥離を容易にするために剥離処理されていることが好ましい。導電層(4) 上にさらに接着剤層(図示されていない)が形成されていてもよい。
【0030】
図2は、支持体(1) 上にハードコート層(2) が形成され、ハードコート層(2) 上に樹脂を主成分とする樹脂含有層(3) 及び導電層(4) がこの順で形成された転写用導電性フィルム(12)の層構成例を示す断面図である。導電性微粒子の一部は樹脂含有層(3) を貫通してハードコート層(2) 面にまで達している。本発明においては、樹脂含有層(3) とハードコート層(2) との密着性は低いので、対象物体への転写の際の剥離はより容易である。導電層(4) 上にさらに接着剤層(図示されていない)が形成されていてもよい。
【0031】
支持体(1) として、圧縮工程の圧縮力を大きくしても割れることがない可撓性樹脂フィルムが好適である。樹脂フィルムは軽量であり、取扱いも容易である。本発明では、高温での加圧工程や、焼成工程がないので、樹脂フィルムを支持体として用いることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製、アートンなど)等が挙げられる。
樹脂フィルムの他に、支持体として、布、紙等を用いることもできる。
【0032】
ハードコート層(2) は、ハードコート剤を必要に応じて溶剤に溶解した液を支持体(1) 上に塗布、乾燥して、硬化させることにより形成することができる。
ハードコート剤としては、特に制限されることなく、公知の各種ハードコート剤を用いることができる。例えば、シリコーン系、アクリル系、メラミン系等の熱硬化型ハードコート剤を用いることができる。これらの中でも、シリコーン系ハードコート剤は、高い硬度が得られる点で優れている。
【0033】
また、不飽和ポリエステル樹脂系、アクリル系等のラジカル重合性ハードコート剤、エポキシ系、ビニルエーテル系等のカチオン重合性ハードコート剤等の紫外線硬化型ハードコート剤を用いてもよい。紫外線硬化型ハードコート剤は、硬化反応性等の製造性の点から好ましい。これらの中でも、硬化反応性、表面硬度を考慮すると、アクリル系のラジカル重合性ハードコート剤が望ましい。
【0034】
ハードコート剤の塗布は、グラビアシリンダー、リバース等のロールコーター、メイヤーバー、スリットダイコーター等公知の方法で行うとよい。
塗布後、適切な温度範囲で乾燥し、その後、硬化させる。熱硬化型ハードコート剤の場合には、適切な熱を与えて、例えばシリコーン系ハードコート剤の場合には60〜120℃程度に、1分間〜48時間加熱して硬化させる。紫外線硬化型ハードコート剤の場合には、紫外線照射を行い、硬化させる。紫外線照射は、キセノンランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等のランプを用いて、紫外線を200〜2000mJ/cm2 程度照射するとよい。ハードコート層(2) の厚さは、例えば0.5〜20μm程度であり、好ましくは0.5〜2μm程度である。
【0035】
支持体(1) 上に直接、又は支持体(1) 上のハードコート層(2) 上に、樹脂を主成分とする樹脂含有層(3) を形成する。支持体(1) 上に直接、樹脂含有層(3) を形成する場合には、支持体(1) の樹脂含有層側の表面は、対象物体への転写の際の剥離を容易にするために剥離処理されていることが好ましい。本発明において支持体(1) 上にハードコート層(2) が設けられている場合は、樹脂含有層(3) とハードコート層(2) との密着性は低いので、対象物体への転写の際の剥離はより容易である。
【0036】
樹脂含有層(3) には、導電性微粒子の圧縮層(4) が密着性良く形成されると共に、圧縮の際に導電性微粒子の一部がこの樹脂含有層(3) を貫通して、ハードコート層(2) が設けられている場合にはハードコート層(2) 面にまで、ハードコート層(2) が設けられていない場合には支持体(1) 面にまで達する程度の柔らかさが求められる。樹脂含有層(3) は、圧縮層の形成時に柔らかい樹脂を主成分とすることが好ましく、例えば鉛筆硬度2Hよりも柔らかいことが好ましい。樹脂含有層に要求される柔らかさの程度は、導電性微粒子の種類や粒径、圧縮圧力等によっても変化する。
【0037】
樹脂含有層(3) に用いる柔らかい樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の中から、比較的低い硬度が得られるものを用いる。樹脂含有層には、密着性に悪影響を与えない範囲で、樹脂含有層の硬さを調整するためのシリカなどの微粒子や、着色、紫外線吸収のためのフィラーを含ませることも可能である。導電性微粒子の圧縮後に、前記柔らかい樹脂含有層を熱や紫外線などで硬化させてもよい。
【0038】
樹脂含有層(3) の厚さは、例えば、0.1μm以下であることが好ましく、0.005〜0.03μm程度であることがより好ましく、0.01〜0.02μmであることが更に好ましい。0.1μm以下の厚さであれば、圧縮の際に導電性微粒子の一部が樹脂含有層をより貫通しやすくなる。その結果、対象物体への転写後に、より確実に表面導電性が得られる。圧縮圧力が高い場合や、微粒子の大きさが大きい場合は、上記好ましい厚さの範囲内で樹脂含有層(3) を厚くし、逆の場合は、樹脂含有層(3) を薄くすることが好ましい。
【0039】
樹脂含有層(3) 上に導電層(4) を形成する。本発明において、導電層(4) の形成のために、各種の導電性微粒子から選ばれる導電性微粒子を用いる。
【0040】
透明導電層の製造においては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性無機微粒子が用いられる。ITOがより優れた導電性が得られる点で好ましい。あるいは、ATO、ITO等の無機材料を硫酸バリウム等の透明性を有する微粒子の表面にコーティングしたものを用いることもできる。これら微粒子の粒子径は、導電性フィルムの用途に応じて必要とされる散乱の度合いにより異なり、また、粒子の形状により一概には言えないが、一般に10μm以下であり、1.0μm以下が好ましく、5nm〜100nmがより好ましい。
【0041】
あるいは、有機質の導電性微粒子が用いられてもよい。有機質の導電性微粒子としては、例えば、金属材料を樹脂微粒子表面にコーティングしたもの等が挙げられる。
【0042】
本発明において、透明とは可視光を透過することを意味する。光の散乱度合いについては、導電層の用途により要求されるレベルが異なる。本発明では、一般に半透明といわれるような散乱のあるものも含まれる。
【0043】
本発明において、上記各種の導電性微粒子から目的に応じて選ばれる導電性微粒子を分散した液を導電性塗料として用いる。この導電性塗料を樹脂含有層(3) 上に、塗布、乾燥し、導電性微粒子含有層を形成する。その後、前記導電性微粒子含有層を圧縮し、導電性微粒子の圧縮層を形成して、導電層(4) を得る。
【0044】
導電性微粒子を分散する液体としては、特に限定されることなく、既知の各種液体を使用することができる。例えば、液体として、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。これらのなかでも、極性を有する液体が好ましく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類のような水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても分散性が良好であり好適である。これら液体は、単独でも2種以上の混合したものでも使用することができる。また、液体の種類により、分散剤を使用することもできる。
【0045】
また、液体として、水も使用可能である。水を用いる場合には、樹脂含有層表面が親水性のものである必要がある。樹脂フィルムや樹脂含有層は通常疎水性であるため水をはじきやすく、均一な膜が得られにくい。このような場合には、水にアルコールを混合するとか、あるいは樹脂含有層の表面を親水性にする必要がある。
【0046】
用いる液体の量は、特に制限されず、導電性微粒子の分散液が塗布に適した粘度を有するようにすればよい。例えば、導電性微粒子100重量部に対して、液体100〜100,000 重量部程度である。導電性微粒子と液体の種類に応じて適宜選択するとよい。
【0047】
導電性微粒子の液体中への分散は、公知の分散手法により行うとよい。例えば、サンドグラインダーミル法により分散する。分散に際しては、微粒子の凝集をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディアを用いることも好ましい。また、分散の際に、ゴミ等の不純物の混入が起こらないように注意する。
【0048】
導電性微粒子の分散液は、樹脂を含まないことが好ましい。すなわち、樹脂量=0であることが好ましい。樹脂を用いなければ、導電層において、樹脂によって導電性微粒子同士の接触が阻害されることがない。従って、導電性微粒子相互間の導電性が確保され、得られる導電層の電気抵抗値が低い。導電性を損なわない程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であるが、その量は、従来技術におけるバインダー樹脂としての使用量に比べると少ない。例えば、分散液中における樹脂の含有量の上限は、分散前の体積で表して、導電性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積である。従来技術においては、強い圧縮を行わないので、塗膜の機械的強度を得るためにバインダーを多く用いなければならなかった。バインダーとしての役割を果たす程度の量の樹脂を用いると、導電性微粒子同士の接触がバインダーにより阻害され、微粒子間の電子移動が阻害され導電性が低下する。
【0049】
一方、樹脂には導電層のヘイズを向上させる効果がある。しかしながら、導電性の点からすると、樹脂は、分散前の体積で表して、導電性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積の範囲内で用いられることが好ましく、20未満の体積の範囲内で用いられることがより好ましい。また、ヘイズの向上効果は少なくなるが、導電性の点からすれば、樹脂を用いないことが最も好ましい。
【0050】
このように導電層には圧縮時において(すなわち、導電性微粒子の分散液中において)樹脂を用いないことが好ましく、用いるとしても少量が好ましい。用いる場合の樹脂量は、導電層の目的に応じて、ある程度変化し得るので、適宜決定するとよい。
【0051】
導電性微粒子の分散液には、要求される導電性能を満たす範囲内で、各種の添加剤を配合してもよい。例えば、紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤等の添加剤である。
【0052】
導電性微粒子の分散液を樹脂含有層(3) 上に塗布、乾燥し、導電性微粒子含有層を形成する。
導電性微粒子分散液の塗布は、特に限定されることなく、公知の方法により行うことができる。例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョンノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート法、ディップ法、キスコート法、スクイズ法などの塗布法によって行うことができる。また、噴霧、吹き付けなどにより、樹脂含有層上へ分散液を付着させることも可能である。
【0053】
乾燥温度は分散に用いた液体の種類によるが、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空気中の水分の結露が起こりやすく、150℃を越えると樹脂フィルム支持体が変形する。また、乾燥の際に、不純物が前記微粒子の表面に付着しないように注意する。
【0054】
塗布、乾燥後の導電性微粒子含有層の厚みは、次工程の圧縮条件や最終導電性フィルムの用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。
【0055】
このように、導電性微粒子などの導電性微粒子を液に分散させて塗布し、乾燥すると、均一な膜を作成しやすい。前記微粒子の分散液を塗布して乾燥させると、分散液中にバインダーが存在しなくても微粒子は膜を形成する。しかし、この段階での膜の強度は弱く、導電層の電気抵抗値は高く、電気抵抗値のばらつきも大きい。
【0056】
次に、形成された導電性微粒子含有層を圧縮し、導電性微粒子の圧縮層(4) を得る。圧縮することにより、膜の強度を向上させる。すなわち、圧縮することで導電性微粒子相互間の接触点が増え接触面が増加する。このため、塗膜強度が上がると共に、電気抵抗が低下する。微粒子は元々凝集しやすい性質があるので圧縮することで強固な膜となる。また、圧縮することにより、導電性微粒子の一部が樹脂含有層(3) を貫通して、ハードコート層(2) が設けられている場合にはハードコート層(2) 面にまで、ハードコート層(2) が設けられていない場合には支持体(1) 面にまで達する。このことにより、対象物体への転写後の表面導電性が確保される。
【0057】
圧縮は44N/mm2 以上の圧縮力で行うことが好ましい。44N/mm2 未満の低圧であれば、導電性微粒子含有層を十分に圧縮することができず、導電性に優れた導電層が得られにくい。135N/mm2 以上の圧縮力がより好ましく、180N/mm2 の圧縮力が更に好ましい。圧縮力が高いほど、塗膜強度が向上し、樹脂含有層(3) との密着性が向上する傾向にあり、導電性微粒子の一部が樹脂含有層(3) を貫通しやすく、より導電性に優れた層が得られる。圧縮力を高くするほど装置の耐圧を上げなくてはならないので、一般には1000N/mm2 までの圧縮力が適当である。
【0058】
また、圧縮を前記支持体が変形しない温度で行うことが好ましい。例えば、前記支持体が樹脂フィルムの場合、前記樹脂のガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲となる。
【0059】
圧縮は、特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に圧縮すべきフィルムを挟んで圧縮し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に高圧がかけられ、シートプレスよりも生産性が良く好適である。
【0060】
ロールプレス機のロール温度は生産性の点から常温(人間が作業しやすい環境)が好ましい。加温した雰囲気やロールを加温した圧縮(ホットプレス)では、圧縮圧力を強くすると樹脂フィルムが伸びてしまうなどの不具合が生じる。加温下で支持体の樹脂フィルムが伸びないようにするため、圧縮圧力を弱くすると、導電層塗膜の機械的強度が低下し、電気抵抗が上昇する。ロールプレス機で連続圧縮した場合に、発熱によりロール温度が上昇しないように温度調節することも好ましい。
【0061】
導電性微粒子表面の水分の付着をできるだけ少なくしたいというような理由がある場合に、雰囲気の相対湿度を下げるために、加温した雰囲気としてもよいが、温度範囲はフィルムが容易に伸びてしまわない範囲内である。一般にはガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲となる。湿度の変動を考慮して、要求される湿度になる温度より少し高めの温度にすればよい。
【0062】
なお、樹脂フィルムのガラス転移温度は、動的粘弾性を測定して求められ、主分散の力学的損失がピークとなる温度を指す。例えば、PETフィルムについて見ると、そのガラス転移温度はおよそ110℃前後である。
【0063】
ロールプレス機のロールは、強い圧力がかけられることから金属ロールが好適である。また、ロール表面が柔らいと、圧縮時に微粒子がロールに転写することがあるので、ロール表面をハードクロムやセラミック溶射膜、TiNなどのイオンプレーティングにより得た膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の硬質膜で処理することが好ましい。
【0064】
また、導電性微粒子の圧縮層(4) は、一旦転写支持体上に導電性微粒子含有層を形成し、この導電性微粒子含有層を圧縮しつつ支持体上に転写することによっても形成することができる。この圧縮・転写形成法において、支持体(1) 上へのハードコート層(2) (設ける場合)の形成、樹脂含有層(3) の形成は、上述と同様に行う。
【0065】
図3は、本発明の転写用導電性フィルムの製造例(圧縮層の形成例)を説明するための図である。図3において、ベースフィルム(22a) 上にハードコート層(22b) が形成された転写支持体(22)上に、導電性微粒子含有層(P4)が形成されて、転写前駆フィルム(PF)とされている。一方、支持体(1) 上にハードコート層(2) 及び樹脂含有層(3) が形成されている。
【0066】
ロールプレス機の上下一対のプレスロール(R1)(R2)の間に、ハードコート層(2) 及び樹脂含有層(3) が形成された支持体(1) と転写前駆フィルム(PF)とを、樹脂含有層(3) と導電性微粒子含有層(P4)とが接するように重ね合わせて挟み圧縮する。導電性微粒子含有層(P4)は圧縮されて圧縮層(4) となる。その後、適宜配置されるガイドローラ(G1)(G2)を通過したところで、転写支持体(22)と圧縮層(4) との間を剥離すると、樹脂含有層(3) 上に圧縮層(4) が転写形成され、導電性微粒子の一部は樹脂含有層(3) を貫通する。転写支持体(22)と圧縮層(4) とは容易に剥離する。
【0067】
このようにして、導電性微粒子の圧縮層(4) が形成される。導電性微粒子圧縮層の厚さは、用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよく、0.3〜5μmが好ましく、0.3〜2μmがより好ましい。また、10μm程度の厚い圧縮層を得るために、微粒子の分散液の塗布、乾燥、圧縮の一連の操作を繰り返し行っても良い。さらに、本発明において、支持体の両面に導電層を形成することも勿論可能である。このようにして得られる透明導電層は、優れた導電性を示し、バインダー樹脂を用いないか又はバインダーとしては機能しない程の少量の樹脂を用いて作成したにもかかわらず、実用上十分な膜強度を有する。
【0068】
本発明において、導電性微粒子圧縮層(4) が、少なくとも2層の異なる導電性微粒子の圧縮層から構成されていてもよい。
【0069】
本発明の転写用導電性フィルムにおいて、導電層(4) 上に接着剤層を形成することも好ましい。この接着剤層を介して、導電層(4) を付与したい対象物体上に導電層(4) を転写することが容易になる。本発明の導電性フィルムにおいて、接着剤層が形成されていない場合には、転写対象物体上に予め接着剤層を設けておけばよい。もちろん、本発明の導電性フィルムに接着剤層を形成しておき、さらに転写対象物体上にも接着剤層を設けておくことも好ましい。
【0070】
導電層が付与される対象物体が薄いフィルムの場合に、本発明の効果が大きい。対象物体が薄いフィルムの場合は、対象物体に接着剤層を設けて、転写用導電性フィルムの導電層(4) と接着剤層とを重ね合わせるようにラミネートするとよい。
【0071】
本発明の導電性フィルムの接着剤層や転写対象物体上に予め設けておく接着剤層には、導電性フィルムの導電層(4) と転写対象物体の表面の双方に対して親和性があり、両者を強力に接着できる接着剤であれば、特に限定されることなく、公知の種々の接着剤を用いることができる。例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、イソシアネート系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。接着剤は、転写対象物体に転写後に紫外線又は熱により硬化可能なものでもよい。ホットメルト型でもよい。
【0072】
対象物体に予め設けておく接着剤層としては、流動性があり、紫外線により硬化するものが取り扱い易い。具体的には、アクリルモノマーを含むものである。また、接着剤層の流動性を適宜制御すればよい。粘度を高くしたいときは、ポリマーを加えるとよい。モノマーとポリマーの混合比は適宜選択すればよいが、モノマー:ポリマーの比率(重量比)は20:80〜100:0であり、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは70:30〜98:2である。流動性がある接着剤層を用いると、毛管力により接着剤層の一部が容易に導電層に含浸される。このような接着剤層の厚みとしては、例えば0.1μm〜10μmであり、0.2μm〜5μmが好ましく、0.3μm〜2μmがより好ましい。
【0073】
また、導電性フィルムの接着剤層に用いる接着剤としては、接着剤溶液を塗布し乾燥しただけでタック感のある接着剤層が得られ、転写対象物体上に貼り付けた後に接着剤層を紫外線硬化することによって非常に硬い硬化層が得られるような接着剤も好ましい。転写対象物体上に貼り付けた後の接着剤層の軟化や劣化は好ましくない。
【0074】
導電性フィルムに接着剤層を設けた場合には、接着剤層上に剥離フィルムを付与し、使用時まで接着剤層面を保護してもよい。
【0075】
本発明においては、導電性微粒子の圧縮層の形成後、(接着剤層の形成前に、)導電性微粒子の圧縮層を熱処理することも好ましい。熱処理によって、樹脂含有層に残った圧縮層形成時の内部応力が緩和され、導電性フィルムの各種物質や各種溶剤に対する耐蝕性が向上する。
【0076】
熱処理の条件は、適宜選定すればよい。熱処理温度は、内部応力の緩和のために50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。熱処理温度の上限値は、例えば支持体に樹脂フィルムを用いたものでは通常130℃である。熱処理時間も、通常は1分〜100時間、好ましくは10分〜50時間、更に好ましくは30分〜25時間の範囲である。熱処理時の雰囲気は、真空中、減圧中、空気中、窒素ガス中、アルゴン等の不活性ガス中のいずれであってもよい。
【0077】
本発明は、上述の転写用導電性フィルムの導電層(4) 及び樹脂含有層(3) が付与された物体にも関する。図4は、本発明の導電層が付与された物体の層構成例を示す断面図である。
【0078】
図4において、対象物体(6) 表面に接着剤層(5) を介して導電層(4) 及び樹脂含有層(3) が付与されている。この接着剤層(5) は、転写用導電性フィルムの接着剤層及び/又は対象物体上に予め形成された接着剤層に由来する。導電性微粒子の一部は樹脂含有層(3) を貫通して、表面に露出している。このため、対象物体(6) 表面の導電性が付与される。
【0079】
尚、本発明においては上記のように導電性微粒子の一部が樹脂含有層を貫通して表面に露出していることが最も好ましいが、微視的には完全に露出していなくても良い。完全には露出していなくても、ごく薄い樹脂の層は絶縁破壊により導電性を発現し得るためである。すなわち、絶縁破壊により導電性が付与される程度に樹脂含有層の表層部に導電性微粒子の一部が存在していても良い。このような形態は、転写用導電性フィルムとして、支持体が剥離され樹脂含有層面が露出した時に、樹脂含有層面に導通が得られる程度に導電性微粒子の一部が樹脂含有層中に入り込んでいるものを用いることで可能である。
【0080】
対象となる物体(6) には、特に限定されることなく、種々のものが含まれる。例えば、均一厚みの塗布層を形成しにくい板材のような可撓性に乏しい物体ないしは支持体、圧縮層を直接的には形成しにくいガラスやセラミックスのような物体等が含まれる。例えば、CRT表面は、帯電防止、電磁波遮蔽等の処理が求められており、CRTは本発明における対象物体の具体例として挙げられる。また、本発明における対象物体として、厚さ10μm以下の薄いフィルム状物体、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。このような薄いフィルム状物体には、圧縮層を直接的には形成することが困難であり、本発明を適用する利点が大きい。
【0081】
本発明の導電層が付与された物体を得るには、転写用導電性フィルムの導電層(4) 及び樹脂含有層(3) を支持体(1) から対象物体(6) 上に転写する。すなわち、導電性フィルムを対象物体面に、支持体(1) が外側となるように接着剤層を介して貼り付ける。その後、導電性フィルムの支持体(1) 又はハードコート層(2) と樹脂含有層(3) とを剥離する。本発明の転写用導電性フィルムにおいては、樹脂含有層(3) と導電層(4) との密着性は、導電性微粒子の一部が圧縮により樹脂含有層(3) を貫通しているため強い。一方、樹脂含有層(3) と支持体(1) 又はハードコート層(2) との密着性は充分に弱い。そのため、支持体(1) 又はハードコート層(2) と樹脂含有層(3) との剥離は容易であり、転写対象物体が薄い樹脂フィルムであっても、転写操作は確実に行われる。
【0082】
導電層の転写に際して、転写対象物体上に予め接着剤層を設けてもよいし、転写対象物体を予め表面処理しておいてもよい。例えば、転写対象物体がガラスの場合、その表面をシランカップリング剤等で表面処理してもよい。
【0083】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0084】
[実施例1]
この実施例では、図3に示す圧縮・転写形成法によって、図2に示す転写用導電性フィルムを作成した。
【0085】
(転写前駆フィルムの作成)
50μm厚のPETフィルムHPE(帝人デュポンフィルム製)(22a) の易接面上に、シリコーンハードコート液KP−854(信越化学工業(株)製)を塗布、乾燥し、70℃、48時間で硬化させ、1.0μm厚のシリコーンハードコート層(22b) を形成し、転写支持体(22)とした。
【0086】
一次粒径が10〜20nmのITO微粒子(三井金属鉱業製、BET比表面積30m2 /g)100重量部にエタノール300重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られたITO塗液を転写支持体(22)のハードコート層(22b) 上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、ITO微粒子含有層(P4)を形成した。このようにして、転写前駆フィルム(5) を得た。ITO微粒子含有層(P4)の厚みは1.2μmであった。
【0087】
(支持体及びハードコート層の形成)
50μm厚のPETフィルムGE50(帝人デュポンフィルム製)を支持体(1) として用いた。フレッセラN(松下電工製)のA液100重量部とB液100重量部を混合し、ハードコート層(2) 用の塗布液とした。PETフィルムGE50の片面をコロナ処理し、処理面に、前記塗布液を塗布、乾燥し、70℃、48時間で硬化させ、0.7μm厚のハードコート層(2) を形成した。
【0088】
(樹脂含有層の形成)
アクリル樹脂103B(大成化工(株)製、固形分濃度:50%)1重量部に、メチルエチルケトン99重量部を加えて、アクリル樹脂溶液を作成した。アクリル樹脂溶液をハードコート層(2) 上に塗布、乾燥して、0.01μm厚のアクリル樹脂含有層(3) を形成した。
【0089】
(導電層の形成)
一対の直径140mmの金属ロール(ロール表面にハードクロムめっき処理が施されたもの)を備えるロールプレス機を用いた。
ハードコート層(2) 及び樹脂含有層(3) が形成された支持体(1) と転写前駆フィルム(PF)とを、樹脂含有層(3) と導電性微粒子含有層(P4)とが接するように重ね合わせて金属ロール間に挟み圧縮した。圧縮圧力は183N/mm2 (線圧:330N/mm、圧縮幅:1.8mm)であり、送り速度は5m/分であった。圧縮後に、転写支持体(22)のハードコート層(22b) を、支持体(1) 上のITO微粒子の圧縮層(4) から剥離した。このようにして、支持体(1) 上にITO微粒子圧縮層からなる導電層(4) が形成されたITOフィルム(12)を得た。導電層(4) の厚みは0.7μmであった。ITOフィルム(12)を温度60℃の窒素雰囲気中に6時間おいた。
【0090】
(薄い樹脂フィルムへの導電層の転写)
図4を参照して、転写対象物体の薄い樹脂フィルム(6) として、4.5μm厚のPETフィルムK203E4.5W(三菱化学ポリエステルフィルム製)を用いた。
【0091】
アクリルモノマーSD−318(大日本インキ工業(株)製)100重量部に、アクリル樹脂1BR−305(大成化工(株)製、固形分濃度:39.5%)28重量部とメチルエチルケトン242重量部を加えて、接着剤溶液とした。
【0092】
接着剤溶液を、PETフィルムK203E4.5Wの易接面に塗布し、乾燥した。次に、ITOフィルム(12)の導電層(4) 側が接着剤層(5) と接するように、ITOフィルム(12)と樹脂フィルム(6) とをラミネートした。ITOフィルム(12)側から紫外線を照射して、接着剤層(5) を硬化させた。
【0093】
得られたフィルム状物につき、50mm×50mmの大きさに樹脂フィルム(6) 側から、切り込みを入れた。この部分の樹脂フィルム(6) を支持体PETフィルム(1) から剥がした。支持体PETフィルム(1) 上のハードコート層(2) と樹脂含有層(3) との間が容易に剥がされ、剥がされた樹脂フィルム(6) 上には、樹脂含有層(3) 、導電層(4) 及び接着剤層(5) が形成されていた。この全厚は6.0μmであった。図5に剥離の様子を示す。樹脂含有層(3) の図示は省略されている。
【0094】
(電気抵抗)
剥がされた樹脂フィルム(6) 上の導電層(4) 側の面の対角の位置にある角の2点にテスターをあてて電気抵抗を測定したところ、5kΩであった。
【0095】
[比較例1]
転写前駆フィルムは、実施例1と同じものを用いた。
50μm厚のPETフィルムGE50(帝人デュポンフィルム製)を支持体として用いた。しかし、ハードコート層及び樹脂含有層は形成しなかった。
【0096】
(導電層の形成)
実施例1と同じ操作を行った。支持体と転写前駆フィルム(PF)とを、支持体と導電性微粒子含有層(P4)とが接するように重ね合わせて金属ロール間に挟み圧縮した。圧縮圧力は183N/mm2 (線圧:330N/mm、圧縮幅:1.8mm)であり、送り速度は5m/分であった。圧縮後に、転写支持体(22)のハードコート層(22b) を支持体から剥離した。このようにして、支持体上にITO微粒子圧縮層からなる導電層が形成された比較例のITOフィルムを得た。導電層の厚みは0.7μmであった。ITOフィルムを温度60℃の窒素雰囲気中に6時間おいた。
【0097】
(薄い樹脂フィルムへの導電層の転写)
実施例1と同じ操作により、薄い樹脂フィルムとして4.5μm厚のPETフィルムK203E4.5W(三菱化学ポリエステルフィルム製)への導電層の転写を行った。得られたフィルム状物につき、50mm×50mmの大きさに樹脂フィルム側から、切り込みを入れ、この部分の樹脂フィルムを支持体PETフィルムから剥がそうとしたが、剥がすことができなかった。
【0098】
[実施例2]
実施例1と同じITOフィルム(12)を用いた。転写対象物体を易接処理された6μm厚のPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム(帝人デュポンフィルム製)に変更した。また、接着剤層の厚みを薄くした。導電層が付与された状態で全厚は7.2μmであった。電気抵抗値は5kΩであった。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、支持体上に導電性微粒子の圧縮層からなる導電層を有する転写用導電性フィルム、その導電層が付与され表面導電性を有する物体及び導電層が付与され表面導電性を有する物体を製造する方法が提供される。
【0100】
とりわけ本発明によれば、支持体上に導電性微粒子の圧縮層からなる透明導電層を有する転写用導電性フィルム、その透明導電層が付与され表面導電性を有する薄いフィルム状物体及び透明導電層が付与され表面導電性を有する薄いフィルム状物体を製造する方法が提供される。
【0101】
本発明の転写用導電性フィルムによれば、弱い力でも破れ易い薄いフィルム状物体表面に、電気抵抗値の低い導電層を簡便な操作で形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の転写用導電性フィルムの一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の転写用導電性フィルムの他の例を示す断面図である。
【図3】 本発明の転写用導電性フィルムの製造例(圧縮層の形成例)を説明するための図である。
【図4】 本発明の導電層が付与された物体の層構成例を示す断面図である。
【図5】 実施例における剥離の様子を示す図である。
【符号の説明】
(1) :支持体
(2) :ハードコート層
(3) :樹脂含有層
(4) :導電層
(5) :接着剤層
(6) :対象物体
(11):転写用導電性フィルム
(12):転写用導電性フィルム

Claims (12)

  1. 支持体上に、前記支持体から剥離可能な樹脂含有層を有し、前記樹脂含有層上に導電性微粒子の圧縮層からなる導電層を少なくとも有する転写用導電性フィルムであって、前記導電性微粒子の一部は、前記支持体が剥離され前記樹脂含有層面が露出した時に、前記樹脂含有層面に導通が得られる程度に、前記樹脂含有層中に入り込んでおり、前記導電層は前記樹脂含有層と共に前記支持体から剥離可能である、転写用導電性フィルム。
  2. 支持体上に、前記支持体から剥離可能な樹脂含有層を有し、前記樹脂含有層上に導電性微粒子の圧縮層からなる導電層を少なくとも有する転写用導電性フィルムであって、前記導電性微粒子の一部は前記樹脂含有層を貫通しており、前記導電層は前記樹脂含有層と共に前記支持体から剥離可能である、転写用導電性フィルム。
  3. 前記樹脂含有層は、厚さ0.1μm以下である、請求項1又は2に記載の導電性フィルム。
  4. 前記支持体の樹脂含有層側の面には、ハードコート層が形成され、前記樹脂含有層と前記ハードコート層との間は剥離可能である、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  5. 前記導電層及び前記樹脂含有層は、透明である、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  6. 前記導電性微粒子の圧縮層は、導電性微粒子を分散した液を支持体上の樹脂含有層上に、塗布、乾燥して形成された導電性微粒子含有層を圧縮することにより得られたものである、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  7. 前記導電性微粒子の圧縮層は、
    まず、導電性微粒子を分散した液を転写支持体上に塗布、乾燥し、転写支持体上に導電性微粒子含有層が形成された転写前駆フィルムを作成し、
    次に、導電層を形成すべき樹脂含有層が形成された支持体と前記転写前駆フィルムとを、前記樹脂含有層と前記導電性微粒子含有層とが接するように重ね合わせ、前記導電性微粒子含有層を圧縮し支持体上に導電性微粒子の圧縮層を形成し、
    その後、転写支持体を前記導電性微粒子の圧縮層から剥離することより得られたものである、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  8. 前記導電性微粒子の圧縮層は、44N/mm2 以上の圧縮力で圧縮することにより得られたものである、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  9. 請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の導電性フィルムの導電層が樹脂含有層と共に転写により付与され、且つ
    前記導電性微粒子の一部は、前記樹脂含有層表面に導通が得られるように、前記樹脂含有層を貫通して表面に露出しているか、又は前記樹脂含有層の表層部に存在している物体。
  10. 物体が厚さ10μm以下のフィルム状のものである、請求項に記載の物体。
  11. 請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の導電性フィルムの導電層を樹脂含有層と共に、支持体から導電層を付与すべき対象物体上に、前記樹脂含有層面が外側になるように転写することを特徴とする、導電層が付与され、且つ前記導電性微粒子の一部は、前記樹脂含有層表面に導通が得られるように、前記樹脂含有層を貫通して表面に露出しているか、又は前記樹脂含有層の表層部に存在している物体を製造する方法。
  12. 対象物体が厚さ10μm以下のフィルム状のものである、請求項11に記載の物体を製造する方法。
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