JP2002283462A - 導電層及び機能性層により表面が被覆された物体を製造する方法及び表面被覆物体 - Google Patents

導電層及び機能性層により表面が被覆された物体を製造する方法及び表面被覆物体

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JP2002283462A
JP2002283462A JP2001103932A JP2001103932A JP2002283462A JP 2002283462 A JP2002283462 A JP 2002283462A JP 2001103932 A JP2001103932 A JP 2001103932A JP 2001103932 A JP2001103932 A JP 2001103932A JP 2002283462 A JP2002283462 A JP 2002283462A
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conductive
conductive layer
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Tadayoshi Iijima
忠良 飯島
Hidetaka Ito
秀毅 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可撓性に乏しい物体に均一厚みの導電層及び
機能性層により表面が被覆された物体を簡便に製造し得
る方法、及び導電層及び機能性層により表面が被覆され
た物体を提供する。 【解決手段】 被覆対象物体20上に予め形成された導
電層2上に、機能性層12を接着剤層13を介して貼り
付けることを特徴とする、導電層2及び機能性層12に
より表面が被覆された物体20を製造する方法。好まし
くは、支持体上に前記支持体から剥離可能な透明導電層
を有する導電性フィルムを用いて、前記導電性フィルム
の前記透明導電層2を被覆対象物体20上に接着剤層3
を介して貼り付け、その後、前記支持体を剥離して、被
覆対象物体20上に透明導電層2を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電層及び機能性
層により表面が被覆された物体を製造する方法及び表面
被覆物体に関する。
【0002】本発明において、対象となる物体には、均
一厚みの塗布層を形成しにくい板材のような可撓性に乏
しい物体ないしは支持体、圧縮層を直接的には形成しに
くいガラスやセラミックスのような物体等が含まれる。
例えば、CRTに代表される表示素子の表面は、帯電防
止、電磁波遮蔽、反射防止等の処理が求められており、
CRTに代表される表示素子は本発明における対象物体
の具体例として挙げられる。
【0003】機能性層とは機能を有する層であり、機能
とは物理的及び/又は化学的現象を通じて果たす働きの
ことを意味する。機能性層には、導電層、磁性層、強磁
性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック
層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、
光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層、光触媒層
等の各種の機能を有する層が含まれる。
【0004】
【従来の技術】従来より、CRT表面への帯電防止、電
磁波遮蔽、反射防止等の処理は、スパッタリング、スピ
ンコート等によって行われている。
【0005】例えば、特開2000−188072号公
報には、金属微粒子の分散液を対象フェイス面にスピン
コートし、得られたコーティング膜を乾燥し、続いてシ
リカ膜をスピンコートで塗布し、さらにシリカ膜をスプ
レーコーティングし、得られた3層からなるコーティン
グ膜を150〜250℃の高温で焼成することが記載さ
れている。しかしながら、CRT面にスピンコートする
のは、コートする材料の有効利用率が低いことや、生産
工程が煩雑になるなどの点で不利である。また、電極の
取り出しについては同号公報に詳述されていないが、ア
ースをとるためにはアース部と金属微粒子部とを直接導
通させる必要があり、このためにはシリカ膜を取り除く
工程が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような背景から、
板材のように可撓性に乏しい物体に均一厚みの導電層及
び機能性層を簡便に形成し得る方法の開発が望まれる。
【0007】そこで、本発明の目的は、板材のように可
撓性に乏しい物体に均一厚みの導電層及び機能性層によ
り表面が被覆された物体を簡便に製造し得る方法を提供
すること、及び導電層及び機能性層により表面が被覆さ
れた物体を提供することにある。
【0008】特に、本発明の目的は、均一厚みの導電層
及び機能性層により表面が被覆された表示素子を簡便に
製造し得る方法を提供すること、及び導電層及び機能性
層により表面が被覆された表示素子を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、被覆対象物体
上に予め形成された導電層上に、機能性層を接着剤層を
介して貼り付けることを特徴とする、導電層及び機能性
層により表面が被覆された物体を製造する方法である。
【0010】本発明は、支持体上に前記支持体から剥離
可能な透明導電層を有する導電性フィルムを用いて、前
記導電性フィルムの前記透明導電層を被覆対象物体上に
接着剤層を介して貼り付け、その後、前記支持体を剥離
して、被覆対象物体上に透明導電層を形成する、前記の
製造方法である。
【0011】この接着剤層は、被覆対象物体上に予め設
けられたものであっても良いが、前記導電性フィルムの
前記透明導電層上に設けられたものであることが好まし
い。すなわち、本発明において、支持体上に前記支持体
から剥離可能な透明導電層を有し、前記透明導電層上に
接着剤層を有する導電性フィルムを用いることが好まし
い。
【0012】本発明は、前記導電性フィルムの前記透明
導電層は導電性微粒子の圧縮層である、前記の製造方法
である。
【0013】本発明は、支持体上に前記支持体から剥離
可能な機能性層を有する機能性フィルムを用いて、前記
機能性フィルムの前記機能性層を前記導電層上に接着剤
層を介して貼り付け、前記導電層上に機能性層を形成す
る、前記の製造方法である。前記機能性層は、CRT表
面等に適用する場合には、透明であることが好ましい。
【0014】この接着剤層は、前記導電層を形成した後
に、導電層上に設けられたものであっても良いが、前記
機能性フィルムの前記機能性層上に設けられたものであ
ることが好ましい。すなわち、本発明において、支持体
上に前記支持体から剥離可能な機能性層を有し、前記機
能性層上に接着剤層を有する機能性フィルムを用いるこ
とが好ましい。前記機能性層が接着剤層としての役割を
兼ねている場合もある。
【0015】本発明は、導電層面の所望の箇所に電極端
子を形成し、その後、導電層上に前記機能性層の形成を
行うか、又は、所望の箇所に電極端子を形成するための
導電層露出面を確保しておき、前記露出面以外の導電層
上に前記機能性層の形成を行う、前記の製造方法であ
る。前者の場合、機能性層は形成された電極端子を覆う
ように形成されても良い。
【0016】本発明は、前記機能性層は、導電層、ノン
グレア処理層、ハードコート層及び反射防止層からなる
群から選ばれる、前記の製造方法である。もちろん、こ
れらの機能性層に限られるものではない。本発明は、被
覆対象物体が表示素子用である、前記の製造方法であ
る。
【0017】本発明は、表面が少なくとも導電層及び機
能性層で被覆された物体であって、前記物体表面に接着
剤層を介して導電層が設けられ、前記導電層上に接着剤
層を介して機能性層が設けられている、表面が導電層及
び機能性層で被覆された物体である。本発明は、物体が
表示素子である、前記の表面が被覆された物体である。
【0018】本発明は、前記導電層は導電性微粒子の圧
縮層である、前記の表面が被覆された物体である。本発
明は、前記導電層及び/又は前記機能性層が透明であ
る、前記の表面が被覆された物体である。
【0019】さらに、本発明は、前記の表面が被覆され
た物体を製造する他の方法にも関する。すなわち、本発
明は、支持体上に前記支持体から剥離可能な機能性層、
接着剤層及び導電層をこの順で有する導電性・機能性複
合フィルムを用いて、前記複合フィルムの導電層を被覆
対象物体上に前記接着剤層とは別の接着剤層を介して貼
り付け、その後、前記支持体を剥離して、被覆対象物体
上に導電層及び機能性層を形成する、導電層及び機能性
層により表面が被覆された物体を製造する方法である。
【0020】本発明は、前記導電性・機能性複合フィル
ムは前記導電層上に樹脂層を有するものであり、この樹
脂層面上に接着剤液を塗布することにより前記樹脂層が
一体化された前記別の接着剤層を形成し、この接着剤層
を介して前記複合フィルムの導電層を被覆対象物体上に
貼り付ける、前記の導電層及び機能性層により表面が被
覆された物体を製造する方法である。
【0021】本発明は、前記導電層は導電性微粒子の圧
縮層である、前記の導電層及び機能性層により表面が被
覆された物体を製造する方法である。本発明は、前記導
電層及び/又は前記機能性層が透明である、前記の導電
層及び機能性層により表面が被覆された物体を製造する
方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】図面を参照して、本発明を説明す
る。図1は、転写用導電性フィルムを用いた導電層形成
工程を示す図である。図2は、電極端子形成工程と機能
性層形成工程を示す図である。図3は、導電層形成で好
ましく用いる転写用導電性フィルムの層構成例を示す図
である。図4は、機能性層形成で用いる転写用機能性フ
ィルムの層構成例を示す図である。なお、上記の転写と
は、支持体上の導電層又は機能性層を接着剤層を介して
他の物体へ貼り付けることを意味する。
【0023】本発明の導電層及び機能性層により表面が
被覆された物体を製造する方法には、 ・被覆対象物体表面に導電層を形成する導電層形成工
程、 ・導電層形成後に、所望の箇所に電極端子を形成する電
極端子形成工程、 ・導電層形成後の電極端子形成工程の前又は後に、導電
層面上にさらに機能性層を形成する機能性層形成工程 が主として含まれる。
【0024】被覆対象物体表面への導電層の形成は、直
接被覆対象物体表面に導電性塗料を塗布する塗布法によ
り行ってもよいが、図1に示すように、転写用導電性フ
ィルムを用いて、導電層を転写により接着剤層を介して
貼り付けることが好ましい。
【0025】本発明において転写用導電性フィルムとし
て、図3に示すような、支持体(1)上に前記支持体(1)
から剥離可能な透明導電層(2) を有し、好ましくはさら
に前記透明導電層(2) 上に接着剤層(3) を有する導電性
フィルムを用いることができる。本発明において、好ま
しくは前記透明導電層(2) が導電性微粒子の圧縮層であ
る、前記透明導電性フィルムを用いる。もちろん、他の
方法で作成された導電層であってもよい。被覆対象物体
への転写の際、支持体(1) と透明導電層(2) との間で剥
離される。
【0026】導電層上への機能性層の貼り付けは、図4
に示すような、支持体(11)上に前記支持体(11)から剥離
可能な機能性層(12)を有し、好ましくはさらに前記機能
性層(12)上に接着剤層(13)を有する機能性フィルムを用
いて、接着剤層を介した転写により行うことができる。
機能性層(12)が接着剤層の役割を兼ねている場合もあ
る。本発明において、前記機能性層(12)は、導電層、ノ
ングレア処理層、ハードコート層及び反射防止層からな
る群から選ばれる場合が多い。機能性フィルムの前記各
機能性層(12)は、各機能を発現する機能性微粒子の圧縮
層であってもよい。もちろん、他の方法で作成された機
能性層であってもよい。被覆対象物体の導電層上への転
写の際、支持体(11)と機能性層(12)との間で剥離され
る。また、機能性層(12)は表示素子に用いる場合には透
明であること、すなわち、透明機能性層であることが好
ましい。
【0027】透明導電層(2) が導電性微粒子の圧縮層で
ある、図3に示す層構成の導電性フィルム、及び図4に
示す機能性フィルムの詳細について以下に説明する。
【0028】機能性フィルムにおける機能性層(12)に
は、特に限定されることなく、導電層、磁性層、強磁性
層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、
エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選
択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層、光触媒層等の
各種の機能を有する層が含まれる。従って、本発明にお
いて、前記目的とする層を構成すべき機能性微粒子や有
機材料などが制限なく用いられる。一方、導電性フィル
ムは、本発明において好ましくは透明導電層(2) を構成
すべき導電性微粒子が用いられる。導電性微粒子は、特
に限定されることなく、凝集力を有する主として無機の
微粒子が用いられる。後述の本発明の方法(圧縮による
膜形成)を適用することにより、十分な機械的強度を有
する導電性塗膜が得られると共に、バインダー樹脂を大
量に用いていた従来の塗布法におけるバインダー樹脂に
よる弊害を解消することができる。その結果、導電性が
より向上する。
【0029】例えば、透明導電層の製造においては、酸
化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、ア
ンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫
(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アル
ミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性無機微粒
子が用いられる。ITOがより優れた導電性が得られる
点で好ましい。あるいは、ATO、ITO等の無機材料
を硫酸バリウム等の透明性を有する微粒子の表面にコー
ティングしたものを用いることもできる。これら微粒子
の粒子径は、導電フィルムの用途に応じて必要とされる
散乱の度合いにより異なり、また、粒子の形状により一
概には言えないが、一般に10μm以下であり、1.0
μm以下が好ましく、5nm〜100nmがより好まし
い。
【0030】あるいは、有機質の導電性微粒子が用いら
れてもよい。有機質の導電性微粒子としては、例えば、
金属材料を樹脂微粒子表面にコーティングしたもの等が
挙げられる。
【0031】圧縮による本製造方法の適用によって、優
れた導電性が得られる。本発明において、透明とは可視
光を透過することを意味する。光の散乱度合いについて
は、導電層の用途により要求されるレベルが異なる。本
発明では、一般に半透明といわれるような散乱のあるも
のも含まれる。
【0032】本発明において、目的に応じて、上記各種
の導電性微粒子から選ばれる導電性微粒子を分散した液
を導電性塗料として用いる。この導電性塗料を支持体又
は支持体上に設けられた樹脂を主成分とする樹脂層上
に、塗布、乾燥し、導電性微粒子含有層を形成する。そ
の後、前記導電性微粒子含有層を圧縮し、導電性微粒子
の圧縮層を形成して、導電層を得る。
【0033】導電性微粒子を分散する液体としては、特
に限定されることなく、既知の各種液体を使用すること
ができる。例えば、液体として、ヘキサン等の飽和炭化
水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル
類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリ
ドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のア
ミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素等を挙げることができる。これらのなか
でも、極性を有する液体が好ましく、特にメタノール、
エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類のよ
うな水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても
分散性が良好であり好適である。これら液体は、単独で
も2種以上の混合したものでも使用することができる。
また、液体の種類により、分散剤を使用することもでき
る。
【0034】また、液体として、水も使用可能である。
水を用いる場合には、樹脂層表面が親水性のものである
必要がある。樹脂フィルムや樹脂層は通常疎水性である
ため水をはじきやすく、均一な膜が得られにくい。この
ような場合には、水にアルコールを混合するとか、ある
いは樹脂層の表面を親水性にする必要がある。
【0035】用いる液体の量は、特に制限されず、前記
微粒子の分散液が塗布に適した粘度を有するようにすれ
ばよい。例えば、前記微粒子100重量部に対して、液
体100〜100,000 重量部程度である。前記微粒子と液
体の種類に応じて適宜選択するとよい。
【0036】前記微粒子の液体中への分散は、公知の分
散手法により行うとよい。例えば、サンドグラインダー
ミル法により分散する。分散に際しては、微粒子の凝集
をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディアを用い
ることも好ましい。また、分散の際に、ゴミ等の不純物
の混入が起こらないように注意する。
【0037】前記微粒子の分散液は、樹脂を含まないこ
とが好ましい。すなわち、樹脂量=0であることが好ま
しい。導電層においては、樹脂を用いなければ、樹脂に
よって導電性微粒子同士の接触が阻害されることがな
い。従って、導電性微粒子相互間の導電性が確保され、
得られる導電層の電気抵抗値が低い。導電性を損なわな
い程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であるが、
その量は、従来技術におけるバインダー樹脂としての使
用量に比べると少ない。例えば、分散液中における樹脂
の含有量の上限は、分散前の体積で表して、前記導電性
微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積であ
る。従来技術においては、強い圧縮を行わないので、塗
膜の機械的強度を得るためにバインダーを多く用いなけ
ればならなかった。バインダーとしての役割を果たす程
度の量の樹脂を用いると、導電性微粒子同士の接触がバ
インダーにより阻害され、微粒子間の電子移動が阻害さ
れ導電性が低下する。
【0038】一方、樹脂には導電層のヘイズを向上させ
る効果がある。しかしながら、導電性の点からすると、
樹脂は、分散前の体積で表して、前記導電性微粒子の体
積を100としたとき、25未満の体積の範囲内で用い
られることが好ましく、20未満の体積の範囲内で用い
られることがより好ましい。また、ヘイズの向上効果は
少なくなるが、導電性の点からすれば、樹脂を用いない
ことが最も好ましい。
【0039】このように導電層には圧縮時において(す
なわち、前記微粒子の分散液中において)樹脂を用いな
いことが好ましく、用いるとしても少量が好ましい。用
いる場合の樹脂量は、導電層の目的に応じて、ある程度
変化し得るので、適宜決定するとよい。
【0040】前記微粒子の分散液には、導電性に要求さ
れる性能を満たす範囲内で、各種の添加剤を配合しても
よい。例えば、紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤等の
添加剤である。
【0041】支持体(1) として、圧縮工程の圧縮力を大
きくしても割れることがない可撓性樹脂フィルムが好適
である。樹脂フィルムは軽量であり、取扱いも容易であ
る。圧縮による本製造方法では、高温での加圧工程や、
焼成工程がないので、樹脂フィルムを支持体として用い
ることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフ
ィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフ
ィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフ
ィルム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製、アー
トンなど)等が挙げられる。樹脂フィルムの他に、支持
体として、布、紙等を用いることもできる。
【0042】図3及び図4の層構成の導電性又は機能性
フィルムの場合には、支持体(1) (11)の導電層(2) 又は
機能性層(12)を形成すべき側の表面には、形成された導
電層(2) 又は機能性層(12)が支持体(1) (11)から剥離可
能な状態とするために、剥離処理を施すとよい。例え
ば、支持体表面にシリコーン剥離剤等を塗布するとよ
い。
【0043】図3の層構成の導電性フィルムにおいて、
支持体(1) と導電層(2) との間に、比較的高い硬度、例
えば鉛筆硬度2H以上4H以下を有する樹脂層を設けて
もよい。転写の際、樹脂層と導電層(2) との間で剥離さ
れる。また、支持体(1) と樹脂層との密着性が高いこと
が好ましい。
【0044】前記樹脂層には比較的硬い樹脂を用いるこ
とができ、このような樹脂としては、例えば、アクリル
樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂
等の中から、比較的高い硬度が得られるものを用いる。
樹脂層には、樹脂層の硬さを調整するためのシリカなど
の微粒子を含ませることも可能である。圧縮後に、前記
樹脂層を熱や紫外線などで硬化させてもよい。
【0045】前記樹脂層の樹脂は、導電性微粒子を分散
した液に溶解しないものの方がよい。導電層において
は、前記樹脂層が溶解すると毛管現象で、前記樹脂を含
む溶液が導電性微粒子の周りにきてしまい、結果とし
て、得られる導電層の電気抵抗値が上昇する。
【0046】前記導電性微粒子の分散液を前記樹脂層
(設けられた場合)又は支持体(1) 上に塗布、乾燥し、
導電性微粒子含有層を形成する。前記微粒子分散液の塗
布は、特に限定されることなく、公知の方法により行う
ことができる。例えば、リバースロール法、ダイレクト
ロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン
ノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート
法、ディップ法、キスコート法、スクイズ法などの塗布
法によって行うことができる。また、噴霧、吹き付けな
どにより、支持体上へ分散液を付着させることも可能で
ある。
【0047】乾燥温度は分散に用いた液体の種類による
が、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空
気中の水分の結露が起こりやすく、150℃を越えると
樹脂フィルム支持体が変形する。また、乾燥の際に、不
純物が前記微粒子の表面に付着しないように注意する。
【0048】塗布、乾燥後の導電性微粒子含有層の厚み
は、次工程の圧縮条件や最終導電フィルムの用途にもよ
るが、0.1〜10μm程度とすればよい。
【0049】このように、導電性微粒子を液に分散させ
て塗布し、乾燥すると、均一な膜を作成しやすい。前記
微粒子の分散液を塗布して乾燥させると、分散液中にバ
インダーが存在しなくても微粒子は膜を形成する。バイ
ンダーが存在しなくても膜となる理由は必ずしも明確で
はないが、乾燥させて液が少なくなってくると毛管力の
ため、微粒子が互いに集まってくる。さらに微粒子であ
るということは比表面積が大きく凝集力も強いので、膜
となるのではないかと考えている。しかし、この段階で
の膜の強度は弱い。また、導電層においては抵抗値が高
く、抵抗値のばらつきも大きい。
【0050】次に、形成された導電性微粒子含有層を圧
縮し、導電性微粒子の圧縮層(2) を得る。圧縮すること
により、膜の強度を向上させる。すなわち、圧縮するこ
とで導電性微粒子相互間の接触点が増え接触面が増加す
る。このため、塗膜強度が上がる。微粒子は元々凝集し
やすい性質があるので圧縮することで強固な膜となる。
導電層においては、塗膜強度が上がると共に、電気抵抗
が低下する。
【0051】圧縮は44N/mm2 以上の圧縮力で行う
ことが好ましい。44N/mm2 未満の低圧であれば、
導電性微粒子含有層を十分に圧縮することができず、例
えば導電性に優れた導電層が得られにくい。135N/
mm2 以上の圧縮力がより好ましく、180N/mm2
の圧縮力が更に好ましい。圧縮力が高いほど、塗膜強度
が向上し、支持体との密着性が向上する。導電層におい
ては、より導電性に優れた層が得られ、また、導電層の
強度が向上し、導電層と樹脂層との密着性も強固とな
る。圧縮力を高くするほど装置の耐圧を上げなくてはな
らないので、一般には1000N/mm2 までの圧縮力
が適当である。
【0052】また、圧縮を前記支持体が変形しない温度
で行うことが好ましい。例えば、前記支持体が樹脂フィ
ルムの場合、前記樹脂のガラス転移温度(二次転移温
度)以下の温度範囲となる。
【0053】圧縮は、特に限定されることなく、シート
プレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロ
ールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレ
スは、ロールとロールの間に圧縮すべきフィルムを挟ん
で圧縮し、ロールを回転させる方法である。ロールプレ
スは均一に高圧がかけられ、シートプレスよりも生産性
が良く好適である。
【0054】ロールプレス機のロール温度は生産性の点
から常温(人間が作業しやすい環境)が好ましい。加温
した雰囲気やロールを加温した圧縮(ホットプレス)で
は、圧縮圧力を強くすると樹脂フィルムが伸びてしまう
などの不具合が生じる。加温下で支持体の樹脂フィルム
が伸びないようにするため、圧縮圧力を弱くすると、塗
膜の機械的強度が低下する。導電膜においては、塗膜の
機械的強度が低下し、電気抵抗が上昇する。ロールプレ
ス機で連続圧縮した場合に、発熱によりロール温度が上
昇しないように温度調節することも好ましい。
【0055】微粒子表面の水分の付着をできるだけ少な
くしたいというような理由がある場合に、雰囲気の相対
湿度を下げるために、加温した雰囲気としてもよいが、
温度範囲はフィルムが容易に伸びてしまわない範囲内で
ある。一般にはガラス転移温度(二次転移温度)以下の
温度範囲となる。湿度の変動を考慮して、要求される湿
度になる温度より少し高めの温度にすればよい。
【0056】なお、樹脂フィルムのガラス転移温度は、
動的粘弾性を測定して求められ、主分散の力学的損失が
ピークとなる温度を指す。例えば、PETフィルムにつ
いて見ると、そのガラス転移温度はおよそ110℃前後
である。
【0057】ロールプレス機のロールは、強い圧力がか
けられることから金属ロールが好適である。また、ロー
ル表面が柔らいと、圧縮時に微粒子がロールに転写する
ことがあるので、ロール表面をハードクロムやセラミッ
ク溶射膜、TiNなどのイオンプレーティングにより得
た膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の硬質
膜で処理することが好ましい。
【0058】このようにして、導電性微粒子の圧縮層
(2) が形成される。導電性微粒子圧縮層の厚みは、用途
にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。ま
た、10μm程度の厚い圧縮層を得るために、微粒子の
分散液の塗布、乾燥、圧縮の一連の操作を繰り返し行っ
ても良い。このようにして得られる透明導電層は優れた
導電性を示し、バインダー樹脂を用いないか又はバイン
ダーとしては機能しない程の少量の樹脂を用いて作成し
たにもかかわらず、実用上十分な膜強度を有する。
【0059】本発明で用いる導電性又は機能性フィルム
において、前記導電層(2) 又は機能性層(12)上に接着剤
層(3) (13)を形成することも好ましい。接着剤層を形成
しておくことによって、この接着剤層を介して、対象物
体上に前記導電層(2) 又は機能性層(12)を転写すること
が容易になる。機能性層(12)が接着剤層(13)の役割を兼
ねる場合もある。本発明において、導電性又は機能性フ
ィルムに接着剤層が形成されていない場合には、転写対
象物体上に予め接着剤層を設けておけばよい。また、導
電層上に予め接着剤層を設けておけばよい。もちろん、
導電性又は機能性フィルムに接着剤層(3) (13)を形成し
ておき、さらに転写対象物体上又は導電層上にも接着剤
層を設けておくことも好ましい。
【0060】本発明において、導電性又は機能性フィル
ムの接着剤層(3) (13)や転写対象物体上に予め設けてお
く接着剤層には、導電性又は機能性フィルムの前記導電
層(2) 又は機能性層(4) と転写対象物体の表面の双方に
対して親和性があり、両者を強力に接着できる接着剤で
あれば、特に限定されることなく、公知の種々の接着剤
を用いることができる。例えば、アクリル系接着剤、エ
ポキシ系接着剤、イソシアネート系接着剤、シリコーン
系接着剤等が挙げられる。接着剤は、転写対象物体に転
写後に紫外線又は熱により硬化可能なものでもよい。ホ
ットメルト型でもよい。
【0061】導電性又は機能性フィルムの接着剤層(3)
(13)に用いる接着剤としては、接着剤溶液を塗布し乾燥
しただけでタック感のある接着剤層が得られ、転写対象
物体上に貼り付けた後に接着剤層を紫外線硬化すること
によって非常に硬い硬化層が得られるような接着剤が好
ましい。転写対象物体上に貼り付けた後の接着剤層の軟
化や劣化は好ましくない。
【0062】そこで、このような性質を満たす接着剤に
ついても本発明者は検討し、本発明の機能性フィルムの
接着剤層に用いる接着剤として、次の接着剤組成物が好
適であることを見出した。 1.ガラス転移温度Tgが30℃以上の高分子樹脂成分
(P)と、硬化性低分子成分(M)とを、重量比率P/
M=8/2〜2/8で含む接着剤組成物。 2.前記高分子樹脂成分(P)が常温で固体であり、硬
化性低分子成分(M)が常温で液体である、前記1の接
着剤組成物。 3.前記高分子樹脂成分(P)がアクリル系樹脂であ
り、硬化性低分子成分(M)がアクリル系モノマーであ
る、前記1又は2の接着剤組成物。 4.さらに、光重合開始剤を含む、前記1〜3のいずれ
かの接着剤組成物。 5.光照射によって硬化する、前記1〜4のいずれかの
接着剤組成物。
【0063】高分子樹脂成分としては、例えばアクリル
樹脂103Bや1BR−305(大成化工(株)製)が
挙げられる。硬化性低分子成分としては、例えば、KAYA
RADGPO-303 、KAYARAD TMPTA 、KAYARAD THE-330 (い
ずれも日本化薬(株)製)等の3官能以上のアクリル系
モノマーが挙げられる。光重合開始剤としては、種々の
ものを用いることができ、例えば、 KAYACURE DETX-S
(日本化薬(株)製)が挙げられる。また、硬化性低分
子成分と光重合開始剤成分を含むものとして、SD−3
18(大日本インキ化学工業製)が挙げられる。
【0064】導電性又は機能性フィルムに接着剤層(3)
(13)を設けた場合には、接着剤層上に剥離フィルムを付
与し、使用時まで接着剤層面を保護してもよい。
【0065】本発明においては、前記導電性微粒子の圧
縮層の形成後、接着剤層の形成前に、前記導電性微粒子
の圧縮層を熱処理することも好ましい。熱処理によっ
て、樹脂層に残った圧縮層形成時の内部応力が緩和さ
れ、導電性フィルムの各種物質や各種溶剤に対する耐蝕
性が向上する。
【0066】熱処理の条件は、適宜選定すればよい。熱
処理温度は、内部応力の緩和のために50℃以上が好ま
しく、80℃以上がより好ましい。熱処理温度の上限値
は、例えば支持体に樹脂フィルムを用いたものでは通常
130℃である。熱処理時間も、通常は1分〜100時
間、好ましくは10分〜50時間、更に好ましくは30
分〜25時間の範囲である。熱処理時の雰囲気は、真空
中、減圧中、空気中、窒素ガス中、アルゴン等の不活性
ガス中のいずれであってもよい。
【0067】以上、圧縮による膜形成方法を特に導電層
を例にとって説明した。この圧縮による膜形成方法は、
本発明の機能性層(12)に適用できることは前述の通りで
ある。例えば、強磁性層の製造においては、γ−Fe2
3 、Fe3 4 、Co−FeOx、Baフェライト等
の酸化鉄系磁性粉末や、α−Fe、Fe−Co、Fe−
Ni、Fe−Co−Ni、Co、Co−Ni等の強磁性
金属元素を主成分とする強磁性合金粉末等が用いられ
る。本製造方法の適用によって、磁性塗膜の飽和磁束密
度が向上する。
【0068】誘電体層や強誘電体層の製造においては、
チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウム系、チタン
酸ストロンチウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ジルコン
酸鉛系(PZT)、ジルコン酸鉛系、ランタン添加チタ
ン酸ジルコン酸鉛系(PLZT)、ケイ酸マグネシウム
系、鉛含有ペロブスカイト化合物等の誘電体ないしは強
誘電体の微粒子が用いられる。本製造方法の適用によっ
て、誘電体特性ないしは強誘電体特性の向上が得られ
る。
【0069】各種機能を発現する金属酸化物層の製造に
おいては、酸化鉄(Fe2 3 )、酸化ケイ素(SiO
2 )、酸化アルミニウム(Al2 3 )、二酸化チタン
(TiO2 )、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸化タングステ
ン(WO3 )等の金属酸化物の微粒子が用いられる。本
製造方法の適用によって、膜における金属酸化物の充填
度が上がるため、各機能が向上する。例えば、触媒を担
持させたSiO2 、Al2 3 を用いた場合には、実用
強度を有する多孔質触媒層が得られる。TiO2 を用い
た場合には、光触媒機能の向上が得られる。また、WO
3 を用いた場合には、エレクトロクロミック表示素子で
の発色作用の向上が得られる。
【0070】また、エレクトロルミネッセンス層の製造
においては、硫化亜鉛(ZnS)微粒子が用いられる。
本製造方法の適用によって、塗布法による安価なエレク
トロルミネッセンス層の製造を行うことができる。
【0071】WO3 微粒子やTiO2 微粒子などを用い
た機能性層においても、樹脂を用いなければ、樹脂によ
って各微粒子同士の接触が阻害されることがないため、
各機能の向上が図られる。
【0072】Al2 3 微粒子などを用いた触媒層にお
いては、樹脂を用いなければ、樹脂によって触媒機能を
有する微粒子の表面が覆われることがない。このため、
触媒としての機能の向上が図られる。触媒層において
は、膜の内部に空隙が多い方が、触媒としての活性点が
多くなる。
【0073】また、機能性フィルムの製造において、好
ましくは機能性層(12)を、要求される機能を有する無機
及び/又は有機材料を有機溶剤などの溶剤に分散又は溶
解した液を、支持体(11)上に塗布し、乾燥することによ
り設ける。この場合に用いる溶剤や塗布法は、圧縮によ
る導電層形成法において述べたものを用いることができ
る。
【0074】例えば、機能性層としてのハードコート層
は、ハードコート剤を必要に応じて溶剤に溶解した液を
支持体上に塗布、乾燥して、硬化させることにより形成
することができる。ハードコート剤としては、特に制限
されることなく、公知の各種ハードコート剤を用いるこ
とができる。例えば、シリコーン系、アクリル系、メラ
ミン系等の熱硬化型ハードコート剤を用いることができ
る。これらの中でも、シリコーン系ハードコート剤は、
高い硬度が得られる点で優れている。
【0075】例えば、機能性層としてのノングレア処理
層は、表面に凹凸があるフィルム支持体(例えばマット
フィルムといわれているようなもの)上に、前述した接
着剤を塗布することにより形成することができる。得ら
れたフィルムを、導電層上に接着剤が接するように貼り
付け、接着剤を硬化させ、前記フィルム支持体を剥離す
る。導電層に接着剤層が密着し、前記フィルム支持体は
容易に剥離される。導電層上に形成された接着剤層の表
面は、前記フィルム支持体の凹が接着剤層表面の凸にな
り、前記フィルム支持体の凸が接着剤層表面の凹になる
ようにして、凸凹を有する。つまり、導電層上にノング
レア処理層を付与することができる。この場合には、ノ
ングレア処理層が接着剤層としての役割も兼ねている。
【0076】図3に示す転写用導電性フィルムを用い
て、図1に示すように、導電層形成工程を行う。図1に
おいて、被覆対象物体(20)表面に、転写用導電性フィル
ムの導電層(2) を接着剤層(3) を介して貼り付ける(a)
。その後、導電性フィルムの支持体(1) を剥離し(b)
、被覆対象物体(20)表面に導電層(2) が付与される(c)
。この導電層(2) 面は露出している。
【0077】導電層形成後に、図2に示すように、電極
端子形成工程(d) 及び機能性層形成工程(e)(f)(g) を行
う。機能性層形成工程は、電極端子形成工程の前又は後
に行うことができる。図2は、電極端子形成工程の後に
機能性層形成工程を行う場合を示す。
【0078】電極端子形成(d) は通常の方法により行う
ことができる。本発明においては、導電層(2) 面が露出
しているので、所望の箇所への電極端子(21)形成は容易
である。なお、電極端子とは、外部と電気的接続をする
端子である。電極端子の形成は、例えば、導電ペースト
や導電テープを用いて行うことができる。
【0079】電極端子形成後に、図4に示す転写用機能
性フィルムを用いて、機能性層形成工程を行う。図2に
おいて、形成された導電層(2) 表面に、転写用機能性フ
ィルムの機能性層(12)を接着剤層(13)を介して貼り付け
る(e) 。その後、機能性フィルムの支持体(11)を剥離し
(f) 、導電層(2) 表面に機能性層(12)が付与される(g)
【0080】電極端子形成工程(d) の前に、機能性層形
成工程(e)(f)(g) を行う場合には、所望の箇所に電極端
子を形成するための導電層露出面を確保しておき、前記
露出面以外の導電層上に前記機能性層の形成を行うとよ
い。導電層露出面の確保は、転写用機能性フィルムの貼
り付け位置の調整、導電層面へのマスキング等により行
うとよい。
【0081】次に、本発明の表面が被覆された物体を製
造する他の方法について、図面を参照して説明する。図
5は、転写用導電性・機能性複合フィルムの層構成例を
示す図である。図6及び図7は、転写用導電性・機能性
複合フィルムを用いた製造方法の各工程を示す図である
(図7は図6の各工程に続く各工程を示す)。なお、上
記の転写とは、支持体上の導電層及び機能性層を接着剤
層を介して他の物体へ貼り付けることを意味する。
【0082】図5の転写用導電性・機能性複合フィルム
において、支持体(11)上に前記支持体(11)から剥離可能
に機能性層(12)が設けられ、機能性層(12)上に接着剤層
(13)を介して導電層(2) が設けられ、導電層(2) 上に樹
脂層(5) が設けられ、樹脂層(5) 上には樹脂層(5) から
剥離可能にキャリアフィルム(4) が設けられている。
【0083】図5の転写用導電性・機能性複合フィルム
は、キャリアフィルム(4) 上に剥離可能に樹脂層(5) が
設けられ、樹脂層(5) 上に導電層(2) が設けられた導電
性フィルムを用いて、この導電層(2) 上に図4に示した
転写用機能性フィルムを接着剤層(13)を介して貼り合わ
せることにより作成することができる(図6の(h)(i)参
照)。接着剤層(13)は、図6の(i) 工程にて硬化された
ものである。
【0084】前記複合フィルムの作成に用いる導電性フ
ィルムにおいて、キャリアフィルム(4) としては、図3
に示した転写用導電性フィルムの支持体(1) 表面に硬質
層を設けたものを用いるとよい。硬質層は、例えば、シ
リコーンハードコート層である。硬質層によって、キャ
リアフィルム(4) と樹脂層(5) との剥離が容易となる。
【0085】樹脂層(5) は、キャリアフィルム(4) の硬
質層が設けられた面上に設けられる。樹脂層(5) は熱可
塑性樹脂層であり、図7の(l) 工程において樹脂層(5)
上に塗布される接着剤液に溶解ないしは膨潤して、接着
剤液と共に一体化して接着剤層(7) を形成するものが好
ましい。例えば、(l) 工程において接着剤液としてアク
リル系樹脂接着剤を用いる場合、樹脂層(5) にはアクリ
ル系樹脂を用いることが好ましい。
【0086】樹脂層(5) の厚みは適宜選択すればよく、
3μm〜0.01μmが好ましく、0.5μm〜0.0
5μmがより好ましく、0.3μm〜0.1μmがさら
に好ましい。樹脂層(5) は薄い方が、接着剤液と共に一
体化させやすい。
【0087】樹脂層(5) への導電層(2) の形成は、図3
に示した転写用導電性フィルムの場合と同様に、導電性
微粒子を圧縮して行うことができる。このようにして、
図5に示す転写用導電性・機能性複合フィルムを作成す
ることができる。
【0088】図5に示す転写用導電性・機能性複合フィ
ルムを用いて、図6及び図7に示すように、対象物体表
面を被覆する。工程(j) において、転写用導電性・機能
性複合フィルム(i) のキャリアフィルム(4) を剥がす。
キャリアフィルム(4) には硬質層が設けられているの
で、キャリアフィルム(4) は樹脂層(5) から容易に剥離
され、樹脂層(5) 面が露出する((k) )。
【0089】工程(l) において、樹脂層(5) 面上に接着
剤液(6) を塗布する。接着剤液としては、前述した導電
性又は機能性フィルムの接着剤層(3) (13)に用いる接着
剤組成物が好適である。樹脂層(5) にアクリル系樹脂を
用いて、接着剤液として、高分子樹脂成分(P)がアク
リル系樹脂であり、硬化性低分子成分(M)がアクリル
系モノマーである接着剤組成物を用いることが好まし
い。接着剤液中の溶剤及び/又はモノマーが樹脂層(5)
中に侵入し、樹脂層(5) が接着剤液(6) に溶解ないしは
膨潤して、接着剤液(6) と共に一体化して接着剤層(7)
が形成される((m) )。接着剤層(7) としては、流動性
がそれほどなくタック感のあるものが好適である。
【0090】工程(m) において、対象物体(20)上に接着
剤層(7) 面を貼り付ける。対象物体(20)表面の所定位置
に予め電極端子(22)を形成しておくことが好ましい。電
極端子(22)の全体あるいは一部を対象物体(20)表面から
突出状に設けておけば、貼り付けの際、接着剤層(7) は
柔らかいので、突出部は導電層(2) に達して導通が得ら
れる。支持体(11)を剥離し、機能性層(12)を露出させ
る。このようにして、対象物体(20)表面が、接着剤層
(7) を介して導電層(2) 及び機能性層(12)で被覆され
る。
【0091】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。
【0092】[実施例1] 1.導電層の付与 支持体(1) 上に樹脂層、導電層(2) 及び接着剤層(3) を
この順で有する転写用導電性フィルムを作成した。すな
わち、図3において、支持体(1) と導電層(2)の間に樹
脂層を有するフィルムを作成した。
【0093】(樹脂層の形成)硬い樹脂層として、シリ
コーン樹脂を用いた。フレッセラN(松下電工製)のA
液100重量部とB液300重量部を混合し、樹脂層用
の塗布液とした。75μm厚のPETフィルム(1) (H
SL、帝人デュポンフィルム製)にコロナ処理した後、
フィルム(1) 上に、前記塗布液を塗布、乾燥し、70
℃、24時間で硬化させ、0.7μm厚のシリコーン樹
脂層を形成した。
【0094】(導電層の形成)シリコーン樹脂層上に、
一次粒径が10〜30nmのITO微粒子(同和鉱業
(株)製)を用いて、厚み1.0μmのITO圧縮層
(2) を形成した。この操作を以下に記載する。
【0095】前記ITO微粒子100重量部にエタノー
ル300重量部を加え、メディアをジルコニアビーズと
して分散機にて分散した。得られた塗液を前記樹脂層上
に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送っ
て乾燥した。得られたフィルムを、以降において、圧縮
前ITOフィルムと称する。ITO含有塗膜の厚みは
1.7μmであった。
【0096】まず、圧縮圧力の確認のための予備実験を
行った。一対の直径140mmの金属ロール(ロール表
面にハードクロムめっき処理が施されたもの)を備える
ロールプレス機を用いて、ロールを回転させず且つ前記
ロールの加熱を行わないで、室温(23℃)にて前記圧
縮前ITOフィルムを挟み圧縮した。この時、フィルム
幅方向の単位長さ当たりの圧力は660N/mmであっ
た。次に、圧力を解放し、圧縮された部分のフィルム長
手方向の長さを調べたら1.9mmであった。この結果
から、単位面積当たりに347N/mm2の圧力で圧縮
したことになる。
【0097】次に、予備実験に使用したものと同様の前
記圧縮前ITOフィルムを金属ロール間に挟み前記条件
で圧縮し、ロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮
した。このようにして、圧縮されたITOフィルムを得
た。ITO圧縮層(2) の厚みは1.0μmであった。
【0098】(熱処理)前記ITO圧縮層(2) を形成後
のITOフィルムを70℃の雰囲気に1時間おいた。
【0099】(接着剤層の形成)アクリル樹脂1BR−
305(固形分:39.5%、大成化工(株)製)10
0重量部に、紫外線硬化型ハードコート液UVHC11
01(GE東芝シリコーン製)120重量部、MEK
(メチルエチルケトン)312重量部を加えて、接着剤
層用塗布液とした。前記塗布液を、前記熱処理されたI
TOフィルムの圧縮層(2) 上に塗布、乾燥して、10μ
m厚の接着剤層(3) を形成した。
【0100】(被覆対象ガラス板への導電層の付与)ま
ず、対象ガラス板の表面処理を行った。シランカップリ
ング剤KMB503(信越化学工業(株)製)100重
量部に、酢酸(1N)0.9重量部、水21重量部を加
え、加水分解した。加水分解されたシランカップリング
剤液1重量部にエタノール100重量部を加え、表面処
理液とした。この表面処理液を綿棒を用いてガラス板上
に塗布し、乾燥した。ガラス板を110℃の雰囲気に5
分間おいて、シランカップリング剤とガラスとを反応さ
せた。その後、ガラス板上の余剰のシランカップリング
剤を、エタノールを含ませた布で拭き取った。
【0101】次に、得られた導電性フィルムを、接着剤
層(3) が表面処理されたガラス板に接するようにラミネ
ーターにて貼り付けた。紫外線を照射して、接着剤層
(3) を硬化させた。支持体PETフィルム(1) を剥がし
た。シリコーン樹脂層はPETフィルム(1) と共に剥が
され、ITO圧縮層(2) は露出した。このようにして、
図1に示すように、ガラス板(20)上に、接着剤層(3) を
介して、ITO圧縮層(2) が付与された。
【0102】2.ハードコート層の付与 (転写用ハードコートフィルムの作成)支持体(11)上に
ハードコート層(12)及び接着剤層(13)を有する転写用ハ
ードコートフィルムを作成した(図4)。PETフィル
ム(11)上にシリコーンハードコート液KP−854(信
越化学工業(株)製)を塗布、乾燥して、90℃で2時
間硬化させ、1μm厚のハードコート層(12)を形成し
た。1.で用いたのと同じ接着剤用塗布液を、ハードコ
ート層(12)上に塗布、乾燥して、10μm厚の接着剤層
(13)を形成した。
【0103】(導電層上へのハードコート層の付与)形
成された導電層面に、2本の帯状のマスキングテープを
45mmの間隔をあけて平行に貼り、後に電極形成すべ
き部分をマスキングした。得られたハードコートフィル
ムを、接着剤層(13)が導電層面に接するようにラミネー
ターにて貼り付けた。紫外線を照射して、接着剤層(13)
を硬化させた。支持体PETフィルム(11)を剥がした。
続いて、マスキングフィルムを剥がして、導電層面を露
出させた。相対する2辺に幅2.5mmの帯状の導電層
露出面が得られるように、ガラス板を50mm×50m
mの大きさに切断した。
【0104】3.電極端子の形成 露出された導電層面を含むように、対角の位置にある角
の2点に、導電性ペーストであるドータイト(藤倉化成
製)を付け、同時に銅線を各々付けて、その後、乾燥さ
せて電極端子を形成した。これら2点の端子間にテスタ
ーをあてて電気抵抗を測定したところ、3kΩであっ
た。
【0105】このようにして、図2(g) に示すように、
ガラス板(20)上に接着剤層(3) を介してITO圧縮層
(2) が付与され、ITO圧縮層(2) 上に接着剤層(13)を
介してハードコート層(12)が付与され、電極端子(21)が
形成された。
【0106】なお、実施例1において、ハードコート層
の付与前に、上記の電極端子の形成を行い、かつ、ハー
ドコート層の付与の際にマスキングを行わなかった以外
は、同様にして行ったところ、同様の結果が得られた。
【0107】[実施例2]実施例1と同様に導電層の付
与を行い、次に、電極端子を形成した。その後、以下の
ように、ノングレア処理層の付与を行った。 (転写用ノングレア処理フィルムの作成)支持体(11)上
にノングレア処理樹脂層(12)を有する転写用ノングレア
処理フィルムを作成した。すなわち、図4において、支
持体(11)のノングレア表面上に樹脂層(12)を有するフィ
ルムを作成した。なお、この例では、樹脂層(12)が接着
剤層の役割を兼ねている。
【0108】高分子成分としてアクリル樹脂 1BR−
305(NV39.5%、大成化工製)100重量部、
硬化性低分子としてアクリレートモノマー SD−31
8(大日本インキ化学工業製)33重量部、アクリル処
理コロイダルシリカ XR39−B4755(GE東芝
シリコーン製)59重量部、MEK247重量部を混合
して樹脂層用の塗布液とした。ノングレア表面を有する
フィルム支持体(11)としてE180(光沢度80%、厚
み26μmのPETフィルム、三菱化学ポリエステルフ
ィルム製)を用い、このフィルム(11)のノングレア表面
上に、前記塗布液を塗布し、50℃の温風を吹き付けて
乾燥し、厚み10μmの樹脂層(12)を形成した。樹脂層
(12)上に剥離フィルム(S341、厚み25μm、帝人
デュポンフィルム製)をラミネートして、転写用フィル
ムを得た。
【0109】(導電層上へのノングレア処理層の付与)
上記で作製した転写用フィルムの剥離フィルムを剥がし
た。このとき、樹脂層は剥離フィルム側には移行してい
なかった。導電層(2) 面に転写用フィルムを樹脂層(12)
が導電層(2) 面に接するようにして、ラミネーターにて
貼り付けた。紫外線を支持体(11)側から照射して樹脂層
(12)を硬化し、次に支持体(11)を剥がした。硬化した樹
脂層(12)のノングレア面が現れ、導電層(2) 上にノング
レア処理層(12)が付与された。
【0110】このようにして、図2に示すように、ガラ
ス板(20)上に接着剤層(3) を介してITO圧縮層(2) が
付与され、電極端子(21)が形成され、ITO圧縮層(2)
上にノングレア処理層(12)が付与された。
【0111】(反射特性の測定)得られたノングレア処
理されたガラス板(20)の被覆されていない裏面を黒の油
性ペンで黒く塗った。分光光度計V−570(日本分光
製)に積分球(日本分光製)を組み合わせて反射光を測
定した。積分球にガラス板(20)を、ノングレア処理され
た面が積分球側になるように(ノングレア処理面に光が
当たるように)セットした。波長550nmの反射した
全光線の反射率は4.7%であった。次に波長550n
mで、正反射光を除いた反射率(つまり散乱した光の反
射率)を測定したところ、1.5%であった。これよ
り、反射光(波長550nm)のうち約32%(=1.
5/4.7)は散乱した。
【0112】(スクラッチ性)PETフィルム(HP
E、帝人デュポンフィルム製)をガラス板のノングレア
処理された面に重ねて擦った。表面には傷がつかなかっ
た。次に、スチールウールを用いてガラス板のノングレ
ア処理された面を擦った。表面には傷がつかなかった。
【0113】[実施例3] 1.導電性フィルムの作成 (キャリアフィルムの作成)75μm厚のPETフィル
ム(HSL、帝人デュポンフィルム製)にコロナ処理し
て純水の接触角が39°になるようにした。フレッセラ
N(松下電工製)のA液100重量部とB液100重量
部を混合して塗布液とした。この塗布液をPETフィル
ムのコロナ処理された面に塗布、乾燥して、70℃、2
4時間で硬化させて、PETフィルム上に1μm厚のシ
リコーンハードコート層を形成した。このようにして、
キャリアフィルム(4) を作成した。
【0114】(樹脂層の形成)アクリル樹脂0KW−0
05(大成化工製、固形分濃度50%)100重量部に
MEK400重量部を加え、アクリル樹脂層塗布液とし
た。キャリアフィルム(4) の前記シリコーンハードコー
ト層面に、アクリル樹脂層塗布液を塗布、乾燥して、
0.2μm厚の樹脂層(5) を形成した。
【0115】(導電層の形成)樹脂層(5) 上に、実施例
1と同様の操作で、一次粒径が10〜30nmのITO
微粒子(同和鉱業(株)製)を用いて、厚み1.0μm
のITO圧縮層(2) を形成した。圧縮圧力:347N/
mm2 。以上のようにして、導電性フィルムを作成し
た。
【0116】2.反射防止フィルムの作成 支持体(11)上に、低屈折率層と高屈折率層とから構成さ
れる機能性層(12)及び接着剤層(13)を有する反射防止フ
ィルムを作成した。
【0117】(低屈折率層の形成)シリコーン系ハード
コート液KP−854(信越化学工業(株)製)100
重量部にエタノール400重量部を加え、低屈折率層塗
布液とした。この塗布液を75μm厚のPETフィルム
(11)上に塗布、乾燥し、100℃、2時間で硬化させ、
0.09μm厚の低屈折率層を形成した。
【0118】(高屈折率層の形成)平均粒径が約30n
mの酸化すず超微粒子のエタノール分散液(シーアイ化
成(株)製、固形分濃度15重量%)75重量部と平均
粒径が約30nmの酸化チタン超微粒子のエタノール分
散液(シーアイ化成(株)製、固形分濃度15重量%)
25重量部の混合液に、エタノール115重量部を加
え、高屈折率層塗布液とした。得られた塗布液を前記低
屈折率層上に塗布、乾燥し、0.09μm厚の高屈折率
層を形成した。
【0119】(接着剤層の形成)アクリル樹脂UVHC
−1105(GE東芝シリコーン製)100重量部に、
1BR−305(大成化工製、固形分濃度39.5重量
%)71重量部と、メチルエチルケトン(MEK)24
5重量部とを加えて、接着剤層塗布液とした。この塗布
液を前記高屈折率層上に塗布、乾燥して、7μm厚の接
着剤層(13)を形成した。接着剤層を指で触ったところ、
タック感があった。以上のようにして反射防止フィルム
を得た。
【0120】3.転写用導電性・機能性複合フィルムの
作成 反射防止フィルムの接着剤層(13)に導電性フィルムの導
電層(2) が接するように、両フィルムをラミネートし
た。紫外線を照射して接着剤層(13)を硬化した。導電層
側のキャリアフィルム(4) を剥離除去した。このように
して、図6の(k)に示される層構成の転写用導電性・機
能性複合フィルムを得た。
【0121】4.対象物体としてのガラス板上へ導電層
・機能性層の付与 (表面処理)シランカップリング剤KBM503(信越
化学工業(株)製)100重量部に、酢酸(1N)0.
9重量部と水21重量部を加え加水分解した。加水分解
された前記シランカップリング剤1重量部にエタノール
100重量部を加え、表面処理液とした。前記の処理液
を綿棒にてガラス面に塗布し、乾燥した。ガラスを11
0℃の雰囲気に5分間おいて、シランカップリング剤と
ガラスを反応させた。次に、ガラス上の余剰のシランカ
ップリング剤を、エタノールを含ませた布で拭き取っ
た。
【0122】(電極形成)このように処理したガラス(2
0)面上に、ドータイト(藤倉化成製)を幅2mm、長さ
100mm、厚さ11μmの2本の直線になるように塗
布した。2本の直線相互の間隔は50mmで互いに平行
になるようにした。乾燥した後、100℃の雰囲気に1
0分間おいて電極(22)を形成した。
【0123】(導電層及び機能性層の付与)前記転写用
導電性・機能性複合フィルムの樹脂層(5) 上に、反射防
止フィルム作成で用いたのと同じ接着剤層塗布液を塗
布、乾燥して、10μm厚の接着剤層(7) を形成した。
接着剤層を指で触ったところ、タック感があった。前記
電極(22)が形成されたガラス板(20)に、長さ方向の電極
端がそれぞれ10mm露出するように転写用複合フィル
ムの端を位置決めして、複合フィルムの接着剤層(7) が
ガラス(20)面に接するようにラミネーターにて貼りつけ
た。さらに、電極上のフィルムを指で押した。紫外線で
接着剤層(7) を硬化して、その後、PETフィルム(11)
を剥がした。
【0124】(電気抵抗の測定)露出した電極端5mm
長分を含む電極55mm長分が2本とも含まれるよう
に、55mm×55mmでガラス板を切り出した。露出
した電極端にテスターを当てて電機抵抗を測定したら、
1kΩであった。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、板材のように可撓性に
乏しい物体に均一厚みの導電層及び機能性層により表面
が被覆された物体を簡便に製造し得る方法、及び導電層
及び機能性層により表面が被覆された物体が提供され
る。
【0126】特に、本発明によれば、均一厚みの導電層
及び機能性層により表面が被覆された表示素子を簡便に
製造し得る方法、及び導電層及び機能性層により表面が
被覆された表示素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 転写用導電性フィルムを用いた導電層形成工
程を示す図である。
【図2】 電極端子形成工程と機能性層形成工程を示す
図である。
【図3】 導電層形成で好ましく用いる転写用導電性フ
ィルムの層構成例を示す図である。
【図4】 機能性層形成で用いる転写用機能性フィルム
の層構成例を示す図である。
【図5】 転写用導電性・機能性複合フィルムの層構成
例を示す図である。
【図6】 転写用導電性・機能性複合フィルムを用いた
本発明の製造方法の各工程を示す図である。
【図7】 図6の各工程に続く各工程を示す図である。
【符号の説明】
(1) :支持体 (2) :導電層 (3) :接着剤層 (4) :キャリアフィルム (5) :樹脂層 (6) :接着剤液 (7) :接着剤層 (11):支持体 (12):機能性層 (13):接着剤層 (20):対象物体 (21):電極端子 (22):電極端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA12 AA15 BB02 BB24 CC03 CC24 CC42 DD01 DD02 DD06 EE03 4F100 AA33B AK25G AK52A AK52D AR00B AR00C AR00D AR00E AT00A BA03 BA05 BA10A BA10C BA10E CB00 DE01B EC04B GB41 JG01 JG01B JG01C JK06 JK12D JN01B JN01C JN06E 4F211 AA44 AB13 AC03 AD04 AG01 AG03 AH33 TA03 TC02 TD11 TN26 TN50 TQ04 TW34 TW50 5G323 BA02 BA05 BB06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆対象物体上に予め形成された導電層
    上に、機能性層を接着剤層を介して貼り付けることを特
    徴とする、導電層及び機能性層により表面が被覆された
    物体を製造する方法。
  2. 【請求項2】 支持体上に前記支持体から剥離可能な透
    明導電層を有する導電性フィルムを用いて、前記導電性
    フィルムの前記透明導電層を被覆対象物体上に接着剤層
    を介して貼り付け、その後、前記支持体を剥離して、被
    覆対象物体上に透明導電層を形成する、請求項1に記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記導電性フィルムの前記透明導電層は
    導電性微粒子の圧縮層である、請求項2に記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 支持体上に前記支持体から剥離可能な機
    能性層を有する機能性フィルムを用いて、前記機能性フ
    ィルムの前記機能性層を前記導電層上に接着剤層を介し
    て貼り付け、前記導電層上に機能性層を形成する、請求
    項1〜3のうちのいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記機能性層が透明機能性層である、請
    求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 導電層面の所望の箇所に電極端子を形成
    し、その後、導電層上に前記機能性層の形成を行うか、
    又は、 所望の箇所に電極端子を形成するための導電層露出面を
    確保しておき、前記露出面以外の導電層上に前記機能性
    層の形成を行う、請求項1〜5のうちのいずれか1項に
    記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記機能性層は、導電層、ノングレア処
    理層、ハードコート層及び反射防止層からなる群から選
    ばれる、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 被覆対象物体が表示素子用である、請求
    項1〜7のうちのいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 表面が少なくとも導電層及び機能性層で
    被覆された物体であって、前記物体表面に接着剤層を介
    して導電層が設けられ、前記導電層上に接着剤層を介し
    て機能性層が設けられている、表面が導電層及び機能性
    層で被覆された物体。
  10. 【請求項10】 物体が表示素子である、請求項9に記
    載の表面が被覆された物体。
  11. 【請求項11】 前記導電層は導電性微粒子の圧縮層で
    ある、請求項9又は10に記載の表面が被覆された物
    体。
  12. 【請求項12】 前記導電層及び/又は前記機能性層が
    透明である、請求項9〜11のうちのいずれか1項に記
    載の表面が被覆された物体。
  13. 【請求項13】 支持体上に前記支持体から剥離可能な
    機能性層、接着剤層及び導電層をこの順で有する導電性
    ・機能性複合フィルムを用いて、前記複合フィルムの導
    電層を被覆対象物体上に前記接着剤層とは別の接着剤層
    を介して貼り付け、その後、前記支持体を剥離して、被
    覆対象物体上に導電層及び機能性層を形成する、導電層
    及び機能性層により表面が被覆された物体を製造する方
    法。
  14. 【請求項14】 前記導電性・機能性複合フィルムは前
    記導電層上に樹脂層を有するものであり、この樹脂層面
    上に接着剤液を塗布することにより前記樹脂層が一体化
    された前記別の接着剤層を形成し、この接着剤層を介し
    て前記複合フィルムの導電層を被覆対象物体上に貼り付
    ける、請求項13に記載の導電層及び機能性層により表
    面が被覆された物体を製造する方法。
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