JP3933546B2 - 壁面土圧計及び壁面土圧計付横坑構築装置 - Google Patents

壁面土圧計及び壁面土圧計付横坑構築装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば、地中にトンネル等の横坑を構築したり或いは下水管きょを構築する場合に使用される壁面土圧計付横坑構築装置及びこの壁面土圧計付横坑構築装置において使用される壁面土圧計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、土圧式セミシールド機,泥水加圧式セミシールド機及び泥濃式セミシールド機等の横坑構築装置(セミシールド機)は、適用土質も広く、また操作性にも富んでいることから、地中にトンネル等の横坑を構築したり下水管きょを構築する場合には広く使用されている。
【0003】
そして、このような横坑構築装置(セミシールド機)を用いて実施される工法の中で、例えば、土圧式セミシールド工法について説明すると、この工法は、先導体として動力により駆動する掘削装置と、方向修正ジャッキ等が装備された横抗構築装置や掘削機本体により、地山の崩壊を防止しながら推進管を推進伝達体として発進立坑内の推進管体後部に配設したジャッキにより推進する工法であり、こうした土圧式セミシールド工法を行うセミシールド機は、例えば、特開昭57−15797号公報,特開昭57−74498号公報或いは特公昭61−25879号公報において提案されている。
【0004】
これらの公報に記載されている土圧式セミシールド機は、駆動モータにより回転駆動し正面には複数のビットが固定されてなるとともに内部に土砂等を導入する開口が形成されたカッターヘッドと、このカッターヘッドの背面側に形成され該カッターヘッドの回転駆動により地盤が掘削されて発生した土砂や泥土を外部に排出する排泥管を備えているものであり、上記土砂等は、この排泥管により外部に排出される。なお、この排泥管の先端側中途部には、図示しない開閉弁が設けられ、この開閉弁の開放により上記土砂等は、上記排泥管を介して外部に排出される。
【0005】
そして、このような横坑構築装置を用いた工法においては、横坑構築装置(セミシールド機)のチャンバ壁土圧の測定のために、壁面土圧計が配設されている。壁面土圧計を用いることは、掘削時の土圧管理を行うにあたり重要である。
【0006】
すなわち、壁面土圧計は、横坑構築装置の先端側に形成されたカッターの後方に配設されている。そして、この横坑構築装置においては、壁面土圧計により計測される壁面土圧が所定値より高い場合には、上記開閉弁を開放して排泥管内部に土砂等を導入し外部に排出し、壁面土圧が所定値より低い場合には、開閉弁を閉蓋し、排泥管による土砂等の排出を停止する。
【0007】
そして、従来用いられている上記壁面土圧計は、図11に示すように、受圧面101をなす金属の僅かな伸縮によって変化する抵抗値を歪みとして測定し、その歪みを圧力値に変換してケーブル102を介して出力するものである。この壁面土圧計は、円筒状の本体部103内に抵抗値の変化を測定する素子を内蔵し、この本体部103の前端面が受圧面101とされている。
【0008】
この壁面土圧計は、横坑構築装置内の隔壁104に形成された透孔105内に本体部103を嵌合させ、受圧面101を該隔壁104の前面部に略々面一状態とされてなるとともに、この本体部103の後方側に設けられたフランジ106をボルト107によって隔壁104の裏面に固定された状態で上記横坑構築装置内に取付けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の壁面土圧計は、各壁面土圧計毎に、許容負荷圧力が定められており、この圧力を超える負荷圧力を受けると、破壊されてしまう。許容負荷圧力の高い、すなわち、測定レンジの広い壁面土圧計を用いれば、破壊されることは少なくなるが、一方において、測定レンジの広い壁面土圧計は、測定の精度が低い。
【0010】
すなわち、従来の壁面土圧計では、必要な測定精度を確保しようとすれば、許容負荷圧力の高さ(測定レンジの広さ)の上限は限定されてしまう。したがって、壁面土圧計の許容負荷圧力を超えることによる破壊を充分に防止できる程度には、許容負荷圧力を高くすることはできない。
【0011】
そこで、本発明は、上述した従来の壁面土圧計及び壁面土圧計付横坑構築装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、許容負荷圧力を超える圧力が作用しないようにして、過負荷による破損を有効に防止することができる壁面土圧計及びこのような壁面土圧計を備えた壁面土圧計付横坑構築装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、壁面土圧計に係り、第1のシリンダと、この第1のシリンダ内において進退可能となされた第1のピストンと、この第1のピストンが後退できるストロークを一定距離に規制する移動規制部材と、上記第1のシリンダの後端側に連続されて構成され上記第1のピストンの後方側に密閉された空間を形成するキャビティと、このキャビティ内の空間に充填された圧力伝達液と、この圧力伝達液を介して上記キャビティ内の空間の内圧を計測する圧力計測手段と、上記キャビティ内の空間に連通している第2のシリンダと、この第2のシリンダ内において進退可能となされた第2のピストンと、この第2のピストンを上記キャビティ内の空間に向けて弾性付勢する弾性部材と、上記第2のピストンの上記キャビティ内の空間に向かう移動を所定の位置で規制する位置規制部材とを備え、上記第1のピストンが前端部において受ける壁面土圧が上記圧力計測手段によって計測されるとともに、該壁面土圧が所定の圧力値よりも大きい場合には、上記キャビティ内の空間の内圧により、上記第2のピストンが上記弾性部材の付勢力に抗して該キャビティ内の空間の容積を広げる方向に移動されることにより、上記第1のピストンが該キャビティ内の空間に向けて後退し、この第1のピストンの後退が上記移動規制部材により規制されることにより、上記キャビティ内の空間の内圧がさらに上昇することが防止されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明に係る第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記壁面土圧計において、上記第1のピストンは、上記第2のシリンダにもなっており、上記第2のピストン及び上記弾性部材が、該第1のピストン内の中空部分内に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
これら壁面土圧計においては、壁面土圧が所定の圧力値よりも大きい場合には、上記キャビティ内の空間の内圧によって上記第2のピストンが上記弾性部材の付勢力に抗して該キャビティ内の空間の容積を広げる方向に移動され、上記第1のピストンが該キャビティ内の空間に向けて後退し、この第1のピストンの後退が上記移動規制部材により規制されることにより、上記キャビティ内の空間の内圧がさらに上昇することが防止されるので、圧力計測手段に過負荷がかかる虞れがない。
【0015】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記壁面土圧計において、上記弾性部材は、圧縮コイルバネであることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明に係る第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記壁面土圧計において、上記弾性部材は、上記第2のシリンダ内に上記第2のピストンによって密封された気体であることを特徴とするものである。
【0017】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記壁面土圧計を備えた壁面土圧計付横坑構築装置に係るものであって、駆動モータにより回転され土砂を掘削するカッターヘッドが先端側に形成された本体部と、この本体部内に収納された壁面土圧計とを備え、上記壁面土圧計は、上記カッターヘッドの後方に位置する上記本体部内の隔壁の透孔として形成された第1のシリンダと、この第1のシリンダ内において進退可能となされた第1のピストンと、この第1のピストンが後退できるストロークを一定距離に規制する移動規制部材と、該第1のシリンダの後端側に連続されて上記隔壁に取付けられて構成され該第1のピストンの後方側に密閉された空間を形成するキャビティと、このキャビティ内の空間に充填された圧力伝達液と、この圧力伝達液を介して該キャビティ内の空間の内圧を計測する圧力計測手段と、上記キャビティ内の空間に連通している第2のシリンダと、この第2のシリンダ内において進退可能となされた第2のピストンと、この第2のピストンを上記キャビティ内の空間に向けて弾性付勢する弾性部材と、該第2のピストンの上記キャビティ内の空間に向かう移動を所定の位置で規制する位置規制部材とを有して構成され、上記第1のピストンが前端部において受ける壁面土圧が上記圧力計測手段によって計測されるとともに、該壁面土圧が所定の圧力値よりも大きい場合には、上記キャビティ内の空間の内圧により、上記第2のピストンが上記弾性部材の付勢力に抗して該キャビティ内の空間の容積を広げる方向に移動されることにより、上記第1のピストンが該キャビティ内の空間に向けて後退し、この第1のピストンの後退が上記移動規制部材により規制されることにより、上記キャビティ内の空間の内圧がさらに上昇することが防止されることを特徴とするものである。
【0018】
この壁面土圧計付横坑構築装置における壁面土圧計においては、壁面土圧が所定の圧力値よりも大きい場合には、上記キャビティ内の空間の内圧によって上記第2のピストンが上記弾性部材の付勢力に抗して該キャビティ内の空間の容積を広げる方向に移動され、上記第1のピストンが該キャビティ内の空間に向けて後退し、この第1のピストンの後退が上記移動規制部材により規制されることにより、上記キャビティ内の空間の内圧がさらに上昇することが防止されるので、圧力計測手段に過負荷がかかる虞れがない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態は、本発明を、小口径(外径が30cm〜70cm)の横坑構築装置に適用したものである。この横坑構築装置は、駆動モータにより回転されるカッターヘッドを有し、該カッターヘッドを回転させて地中を掘削するとともに、地山の崩壊を防止しながら推進管を上記横坑構築装置の後方から順次推進させる横坑構築工法において、先導体として用いられるものである。
【0020】
この実施の形態に係る横抗構築装置1は、図1に示すように、横抗構築装置本体2と、この横抗構築装置本体の正面に着脱可能に配設されたカッターヘッド3とを備えたものである。上記横抗構築装置本体2は、円筒状に成形され、内部には上記カッターヘッド3を回転駆動させるための駆動モータ4が配設されている。この駆動モータ4の駆動軸4aには、歯車5が固定されている。また、この横抗構築装置本体2の正面側内周には、リング状に成形された内歯歯車6が配設され、この内歯歯車6は、上記歯車5と噛合している。そして、この内歯歯車6の正面にはリング状の連結部材7を介してアウターコーン8が固定されている。すなわち、上記横抗構築装置本体2内の正面側には、上記駆動モータ4の駆動力により回転駆動されるアウターコーン8が設けられている。このアウターコーン8は、外周面はリング状に成形され内周面は正面側から背面側に亘って徐々に縮径されてなるものであり、このアウターコーン8の縮径された内周面には、複数の突片9が固定されている。
【0021】
また、上記駆動モータ4の上方には、土圧制御弁10が固定されており、この土圧制御弁10の正面側には、この横抗構築装置本体2内に流入した泥土を後方に搬送する排泥管11が配設され、この排泥管11の先端には、隔壁12が設けられている。この隔壁12は円盤状に成形され、外周面には上記連結部材7よりも縮径された円筒状のリング部13が溶接されており、このリング部13の外周面と、上記回転駆動する連結部材7との間には軸受14が配設されている。なお、上記隔壁12には、図示しない排泥口が形成され、横抗構築装置本体2内に流入した泥土は、この排泥口を通って上記排泥管11内に流入する。なお、この排泥管11の先端側には、図示しないエアーピンチバルブが配設され、このエアーピンチバルブの開放により、上記泥土は外部に排出され、該エアーピンチバルブを閉塞することにより、泥土の排出が規制される。
【0022】
また、上記隔壁12の中心には、インナーコーン15が固定されている。このインナーコーン15は、アウターコーン8の奥行きとほぼ同じ奥行き(長さ)を有するものであって、外周面は先端側から基端側に亘って徐々に拡径されている。すなわち、この横抗構築装置本体2の先端側には、上記アウターコーン8とインナーコーン15とからなる破砕部が設けられており、後述するカッターヘッド3に形成された開口を通って内部に流入した礫等は、上記駆動モータ4の駆動力により回転駆動するアウターコーン8の内周面と固定されたインナーコーン15の外周面とにより、細かく破砕された上で、上記排泥口を通過して排泥管11内に流入する。なお、上記インナーコーン15の先端には、後述するカッターヘッド3に設けられた一方の軸受け部に当接する他方の軸受部15aが形成されている。
【0023】
そして、上述のように構成された横抗構築装置本体2の先端には、カッターヘッド3が着脱可能に固定されている。このカッターヘッド2は、図2に示すように、上記横抗構築装置本体2の外径とほぼ同じ長さの外径に成形された筒状部20と、この筒状部20の正面に設けられた第1のカッタースポーク部21と、該筒状部20の正面に設けられた第2のカッタースポーク部22とを備えている。上記第1及び第2のカッタースポーク部21,22は、何れも両端が上記筒状部20の先端に溶接され、該筒状部20の先端に形成された開口を一部閉塞するものである。そして、この第1のカッタースポーク部21と第2のカッタースポーク部22とは、正面視において、(交差するものではなく)X字状に一体化されてなる。したがって、このカッターヘッド3の正面には、扇型となされた二つの大きな開口23,24と、扇形となされた二つの小さな開口25,26が設けられている。
【0024】
なお、上記第1のカッタースポーク部21の両端には、それぞれゲージカッタービット27,28が転動可能に配設され、該ゲージカッター27,28間には、センタカッター29,30,31,32が転動可能に配設されている。また、上記第2のカッタースポーク部22には、インナーカッター33,34が転動可能に配設されている。また、上記第1のカッタースポーク部21の一端側側面及び他端側側面には、外側に外周スクレーパツース35,36が形成され、これら外周スクレーパツース35,36の内側には、スクレーパツース37,38が形成され、また、上記第2のカッタースポーク部22の両端には、礫破砕ビット39,40と、外周スクレーパツース41,42が形成され、これらの外周スクレーパツース41,42内側には、スクレーパツース43,44が形成されている。また、上記筒状部20の先端面であって、上記大きな開口23,24が形成されている部位には、取込ビット45,46が形成されている。なお、この実施の形態においては、上記第2のカッタースポーク部20には、掘削する地山に加泥材を注入する加泥材注入口47が設けられ、この加泥材注入口47は、図示しない加泥材注入管に連結されている。
【0025】
また、上記カッターヘッド3を構成する第1のカッタースポーク部21と第2のカッタースポーク部22とが一体化されている部位(中心)の背面側には、図1に示すように、上記インナーコーン15の先端に形成された他方の軸受部15aが挿入される一方の軸受48が設けられている。そして、上記カッターヘッド3を構成する筒状部20の後端は、間にスペーサ49を介して上記アウターコーン8の先端に図示しないボルト及びナットにより着脱可能に固定されている。
【0026】
したがって、上述した実施の形態に係る横抗構築装置1によれば、図1に示す駆動モータ4が回転駆動すると、歯車5と噛合する内歯歯車6,アウターコーン8及びカッターヘッド3が回転駆動する。そして、このカッターヘッド3の回転駆動により、上記第1のカッタースポーク部21又は第2のカッタースポーク部22に形成され又は配設されたゲージカッタービット27,28,センタカッター29,30,31,32,インナーカッター33,34,外周スクレーパツース35,36,スクレーパツース37,38,礫破砕ビット39,40により、地山が掘削され、またこの地山内に大きな礫が混入している場合には、上記ゲージカッタービット27,28,センタカッター29,30,31,32,インナーカッター33,34或いは礫破砕ビット39,40により破砕される。このとき、破砕された礫が図2に示す二つの小さな開口25,26から横抗構築装置本体2内に取り込まれない場合であっても、上記二つの大きな開口23,24から内部に取り込まれる。
【0027】
そして、このように横抗構築装置本体2の内部に取り込まれた礫は、土圧により、上記アウターコーン8とインナーコーン15との間に到達し、大きな礫は、該アウターコーン8の回転駆動力と土圧によりインナーコーン15に挟まれてさらに細かく破砕され、このさらに細かく破砕された礫は、上記隔壁12に形成された図示しない排泥口から排泥管11内に流入し、最終的には、地上に排出される。
【0028】
そして、この横抗構築装置においては、図3に示すように、横抗構築装置本体2に、本発明に係る壁面土圧計50が配設されている。この壁面土圧計50は、横抗の壁面から受ける圧力を計測し、この壁面土圧が所定値より高い場合には、土圧制御弁10を制御して前記エアーピンチバルブを開放し、横抗構築装置本体2内に流入した泥土を排泥管を介して外部(地上)に排出し、壁面土圧が所定値より低い場合には、土圧制御弁10を制御して上記エアーピンチバルブを閉塞し、横抗構築装置本体2内に流入した泥土の排出を停止するものである。
【0029】
この壁面土圧計50は、図3に示すように、横抗構築装置本体2内の隔壁12の透孔として形成された第1のシリンダ51と、この第1のシリンダ51内において進退可能となされた第1のピストン52とを有している。この第1のシリンダ51の内面部と第1のピストン52の外周部との間は、この第1のピストン52の外周部に設けられた密閉部材(O−リング)53により密閉されている。
【0030】
上記第1のピストン52の前端面52aは、横抗構築装置本体2の隔壁12の前面部と略々面一となされており、壁面土圧を受ける受圧面となる。
【0031】
そして、この壁面土圧計50は、隔壁12に取付けられて第1のシリンダ51の後端側に連続されて構成されたキャビティ54を有している。このキャビティ54は、隔壁12の後面部に第1のシリンダ51の周囲に位置して固定されたリング状部材55と、このリング状部材55に重ねられて固定される円盤状の蓋部材56とを有している。これらリング状部材55及び蓋部材56は、互いに重ねられた状態で、ボルト57によって隔壁12に対して固定されている。蓋部材56は、第1のピストン52の後端面に主面部を対向させており、この第1のピストン52が後退できるストロークを一定距離に規制する移動規制部材となる。
【0032】
また、上記蓋部材56の中心部には、中継ジョイント58が取付けられる透孔59が設けられている。この透孔59には、中継ジョイント58がネジ込みによって取付けられる。また、蓋部材56の中心部からは、中継ジョイント58が取付けられる透孔59に対応して、第1のピストン52側に向けて円筒状部分60が突設されている。この円筒状部分60は、第1のピストン52内の中空部52bにこの第1のピストン52の後方側より嵌入している。これら第1のピストン52内の中空部52bの内面部と、円筒状部分60の外周部との間は、密閉部材(O−リング)により密閉されている。
【0033】
また、上記中継ジョイント58は、中空円筒状の部材であって、両端側には、取付け用のネジ(符号は省略する。)が設けられている。この中継ジョイント58は、一端側が蓋部材56の中心部の透孔59にネジ込みによって取付けられ、他端側には、T字管61の第1の開口端がネジ込みによって取付けられている。なお、上記T字管61は、3つの開口端を有する中空の部材、すなわち、中空の管がT字状に成形されたものである。
【0034】
また、このT字管61の第2の開口端には、中継ジョイント62を介して、後述する第2のシリンダ63がネジ込みにより取付けられ、T字管61の第3の開口端には、中継ジョイント64,65を介して、後述する圧力計測手段66の接液部67がネジ込みにより取付けられている。上記第2のシリンダ63内は、後述する第2のピストン69によって密閉されている。
【0035】
すなわち、このキャビティ54には、上記第1のピストン52の後方側に、第1のピストン52内の中空部52bより、蓋部材56の円筒状部分60内、中継ジョイント58、T字管61、中継ジョイント62,64,65、第2のシリンダ63、第2のピストン69及び圧力計測手段66の接液部67までに至る密閉された空間が形成されている。なお、上記中継ジョイント62,64,65は、それぞれ、円筒状或いは屈曲された管状の部材である。
【0036】
そして、このキャビティ54内の密閉された空間には、圧力伝達液68が充填されている。この圧力伝達液68としては、圧力による体積変化が少ない液体が望ましく、オイルなどが適している。また、上記圧力計測手段66は、接液部67に対して圧力伝達液68によって加えられる圧力を電気信号に変換して増幅し、図示しない信号ケーブルを介して出力するように構成されている。すなわち、この圧力計測手段66は、圧力伝達液68を介して、キャビティ54内の空間の内圧を計測するものである。
【0037】
そして、上記T字管61の第2の開口端に取付けられている第2のシリンダ63は、円筒状に形成されており、キャビティ54内の空間に連通している。また、この第2のシリンダ63内には、進退可能となされた第2のピストン69が設けられている。これら第2のシリンダ63の内面部と、第2のピストン69の外周面との間は、この第2のピストン69の外周部に設けられた密閉部材(O−リング)70により密閉されている。
【0038】
この第2のシリンダ63内には、第2のピストン69をキャビティ54内の空間に向けて弾性付勢する弾性部材となる圧縮コイルバネ71が収納されている。この圧縮コイルバネ71は、一端部を第2のピストン69の裏面部に当接させ、他端部を第2のシリンダ63の後端部を閉蓋した蓋体72に当接させている。そして、第2のシリンダ63内には、第2のピストン69のキャビティ54内の空間に向かう移動を所定の位置で規制する位置規制部材となる位置決め段部73が設けられている。すなわち、第2のピストン69は、周縁部を位置決め段部73に当接させた位置よりもキャビティ54内の空間に向かう方向に移動することが規制されている。
【0039】
また、上記第2のピストン69が周縁部を位置決め段部73に当接させている状態において、圧縮コイルバネ71は、自然状態よりも圧縮された状態とされており、この第2のピストン69を位置決め段部73に押接させている。この状態における圧縮コイルバネ71による押圧力は、所定の圧力値、すなわち、圧力計測手段66における定格負荷圧力(例えば、3kgf/cm2)に対応されている。
【0040】
このように構成された壁面土圧計50において、図3中矢印Pで示すように、第1のピストン52の前端面52aに壁面土圧が加わると、この壁面土圧は、圧力計測手段66によって計測される。この壁面土圧に第1のピストン52の前端面52aの面積と第1のピストン52がキャビティ54内に臨む後面の面積との比率(以下、「第1のピストン52の前後面積比」という。)を乗じた値が圧力計測手段66における定格負荷圧力以下であるとき、すなわち、この壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値が圧縮コイルバネ71による押圧力以下であるときには、第2のピストン69は、位置決め段部73に当接した位置から移動することはない。
【0041】
そして、壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値が圧力計測手段66における定格負荷圧力よりも大きい場合には、図4に示すように、キャビティ54内の空間の内圧により、第2のピストン69が圧縮コイルバネ71の付勢力に抗して位置決め段部73より離れ、キャビティ54内の空間の容積を広げる方向に移動される。なお、第2のシリンダ63の後端部を閉蓋した蓋体72には、第2のピストン69の移動が円滑に行われるように空気孔74が設けられている。このようにキャビティ54内の空間の容積が広がることにより、第1のピストン52は、キャビティ54内の空間に向けて後退する。
【0042】
このように第1のピストン52が後退したとき、キャビティ54内の空間の内圧は、壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値まで高まる。そして、このように高まったキャビティ54内の空間の内圧、圧縮コイルバネ71の付勢力による圧力及び圧力計測手段66が計測している圧力は、全て等しい圧力となって均衡した状態となっている。
【0043】
そして、さらに壁面土圧が高くなり、壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値が圧力計測手段66における許容負荷圧力(例えば、5kgf/cm2)となったときには、図5に示すように、圧縮コイルバネ71がさらに圧縮され、第1のピストン52がキャビティ54内の空間に向けてさらに後退する。そして、このときには、移動規制部材である蓋部材56に第1のピストン52の後端部が当接することにより、この第1のピストン52の後退が規制され、キャビティ54内の空間の内圧がさらに上昇することが防止される。
【0044】
すなわち、第1のピストン52の前端面52aが受ける壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値は、圧力計測手段66における許容負荷圧力よりも大きくなることはない。再び壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値が圧力計測手段66における許容負荷圧力よりも低くなったときには、図4に示すように、圧縮コイルバネ71が伸び、第1のピストン52が壁面に向けて前進する。そして、このときには、壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値、キャビティ54内の空間の内圧、圧縮コイルバネ71の付勢力による圧力及び圧力計測手段66が計測している圧力は、すべて等しい圧力となる。
【0045】
なお、上述のような動作は、圧力計測手段66における定格負荷圧力の値、許容負荷圧力の値に基づいて、圧縮コイルバネ71のバネ定数を適切に定めることによって実現される。
【0046】
そして、この壁面土圧計50において、弾性部材は、上述のような圧縮コイルバネではなく、第2のシリンダ63内に第2のピストン69によって密封された気体、すなわち、空気バネであっても良い。この場合にも、第2のシリンダ63の容積と封入する気体の量とによって、バネ定数を定めることができる。
【0047】
ところで、上述のような本発明に係る壁面土圧計50の構造は、図6に示すように、モデル化(模式化)して表現することができ、さらに、図7に示すように、第1のピストン52の構造をモデル化して表現することができる。このようにモデル化された構造において検討すると、壁面土圧をP1(kgf/cm2)、第1のピストン52が壁面土圧P1を受ける前端面52aの面積をA(cm2)とすると、第1のピストン52が壁面土圧P1から受ける力は、以下のように示される。
A・P1(kgf)
【0048】
一方、キャビティ54内の内圧をP2(kgf/cm2)、第1のピストン52が内圧を受ける後面部分の面積をB(cm2)とすると、第1のピストン52が内圧から受ける力は、以下のように示される。
B・P2(kgf)
【0049】
そして、これらの力は等しいので、以下のように示される。
A・P1(kgf)=B・P2(kgf)
P2=(A/B)・P1(kgf)
すなわち、内圧P2は、壁面土圧P1の(A/B)倍となる。
【0050】
このようにして内圧P2(kgf/cm2)が定まると、「密閉した静止流体は、その一部に受けた圧力を、増減なくすべての部分に伝達する」というパスカルの原理により、第2のピストン69の前面及び圧力計測手段66が受ける圧力も内圧P2(kgf/cm2)となる。
【0051】
すると、第2のピストン69の前面部の面積をC(cm2)とすると、第2のピストン69が内圧P2から受ける力は、以下のように示される。
C・P2(kgf)
【0052】
このときの圧縮コイルバネ71の付勢力をf(kgf)とすると、以下のように示される。
f=C・P2=(AC/B)・P1(kgf)
【0053】
すなわち、圧縮コイルバネ71の付勢力f(kgf)は、壁面土圧P1(kgf/cm2)に(AC/B)(cm2)を乗じた値となる。
【0054】
なお、ここで、内圧である圧力P2は、P2=f/Cとも表現できることから、上述の説明中では、圧力P2を「圧縮コイルバネ71の付勢力による圧力」と表記している。
【0055】
以上のことから、以下のことがいえる。
(1)圧縮コイルバネ71(弾性部材)のバネ定数は、第2のシリンダ63内に収納された状態(すでに自然状態よりも所定距離圧縮された状態)における弾発力f0が、下記の力となるように定めることができる。ここで、P0は、圧力計測手段66における定格負荷圧力(例えば、3kgf/cm2)である。
f=C・P0(kgf)
(2)第2のピストン69の前面部の面積C(cm2)を小さくすれば、圧縮コイルバネ71として、バネ定数の低い(力の弱い)バネを使用することができる。
(3)第1のピストン52の前端面52aの面積Aと後面部分の面積Bとを等しくしておけば、壁面土圧P1と内圧P2とを常に等しくできる。
(4)第1のピストン52の前端面52aの面積Aを後面部分の面積Bより小さくしておけば、壁面土圧P1よりも内圧P2を低くできるので、測定できる壁面土圧P1の上限を高くすることができる。例えば、許容負荷圧力が5kgf/cm2である圧力計測手段66を用いて、AをBの1/2としておけば、10kgf/cm2の壁面土圧まで測定でき、AをBの1/3としておけば、15kgf/cm2の壁面土圧まで測定することができる。
【0056】
そして、本発明係る壁面土圧計は、図8に示すように、第1のピストン52が、第2のシリンダにもなっている構造としてもよい。この場合には、第2のピストン69及び弾性部材となる圧縮コイルバネ71は、第1のピストン52内の中空部分内に設けられる。
【0057】
すなわち、この壁面土圧計50は、横抗構築装置本体2内の隔壁12の透孔として形成された第1のシリンダ51と、この第1のシリンダ51内において進退可能となされた第1のピストン52とを有している。この第1のシリンダ51の内面部と第1のピストン52の外周部との間は、この第1のピストン52の外周部に設けられた密閉部材(O−リング)53により密閉されている。なお、図8においては、第1のピストン52が2個の部品(円筒状の部品及び蓋状の部品)によって構成されているが、図3乃至図5により前述した実施の形態と同様に、第1のピストン52は、一体的に構成しても良い。上記第1のピストン52の前端面52aは、横抗構築装置本体2の隔壁12の前面部と略々面一となされており、壁面土圧を受ける受圧面となる。
【0058】
そして、この壁面土圧計50は、隔壁12に取付けられて第1のシリンダ51の後端側に連続されて構成されたキャビティ54を有している。このキャビティ54は、隔壁12の後面部に第1のシリンダ51の周囲に位置して固定されたリング状部材55と、このリング状部材55に重ねられて固定される円盤状の蓋部材56とを有している。これらリング状部材55及び蓋部材56は、互いに重ねられた状態で、ボルト57によって隔壁12に対して固定されている。蓋部材56は、第1のピストン52の後端面に主面部を対向させており、この第1のピストン52が後退できるストロークを一定距離に規制する移動規制部材となる。
【0059】
上記蓋部材56の中心部には、圧力計測手段66の接液部67が取付けられる透孔59が設けられている。この透孔59には、圧力計測手段66の接液部67がネジ込みによって取付けられる。すなわち、このキャビティ54は、第1のピストン52の後方側に、リング状部材55及び蓋部材56によって形成された空間内から圧力計測手段66の接液部67までに至る密閉された空間を形成している。
【0060】
そして、このキャビティ54内の密閉された空間には、圧力伝達液68が充填されている。この圧力伝達液68としては、圧力による体積変化が少ない液体が望ましく、オイルなどが適している。
【0061】
上記圧力計測手段66は、上述したように、接液部67に対して圧力伝達液68によって加えられる圧力を電気信号に変換して増幅し、出力するので、圧力伝達液68を介して、キャビティ54内の空間の内圧を計測する。
【0062】
そして、第2のシリンダともなる第1のピストン52は、前端側が閉塞され、後端側が開放された円筒状に形成されており、キャビティ54内の空間に連通した中空部を有している。そして、この第1のピストン52の中空部内には、進退可能となされた第2のピストン69が設けられている。これら第1のピストン52の中空部の内面部と、第2のピストン69の外周面との間は、この第2のピストン69の外周部に設けられた密閉部材(O−リング)70により密閉されている。
【0063】
この第1のピストン52の中空部内には、第2のピストン69をキャビティ54内の空間に向けて弾性付勢する弾性部材となる圧縮コイルバネ71が収納されている。この圧縮コイルバネ71は、一端部を第2のピストン69の裏面部に当接させ、他端部を第1のピストン52の中空部の前端側を閉蓋した蓋状の部品に当接させている。そして、第1のピストン52の中空部内には、第2のピストン69のキャビティ54内の空間に向かう移動を所定の位置で規制する位置規制部材となる位置決め段部73が設けられている。すなわち、第2のピストン69は、周縁部を位置決め段部73に当接させた位置よりもキャビティ54内の空間に向かう方向への移動が規制されている。
【0064】
上記第2のピストン69が周縁部を位置決め段部73に当接させている状態において、圧縮コイルバネ71は、自然状態よりも圧縮された状態となっており、第2のピストン69を位置決め段部73に押接させている。この状態における圧縮コイルバネ71による押圧力は、所定の圧力値、すなわち、圧力計測手段66における定格負荷圧力(例えば、3kgf/cm2)に対応している。このように構成された壁面土圧計50において、図8中矢印Pで示すように、第1のピストン52の前端面52aに壁面土圧が加わると、この壁面土圧は、圧力計測手段66によって計測される。この壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値が圧力計測手段66における定格負荷圧力以下であるとき、すなわち、この壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値が圧縮コイルバネ71による押圧力以下であるときには、第2のピストン69は、位置決め段部73に当接した位置から移動することはない。
【0065】
そして、壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値が圧力計測手段66における定格負荷圧力よりも大きい場合には、図9に示すように、キャビティ54内の空間の内圧により、第2のピストン69が圧縮コイルバネ71の付勢力に抗して位置決め段部73より離れ、キャビティ54内の空間の容積を広げる方向に移動される。このようにキャビティ54内の空間の容積が広がることにより、第1のピストン52は、キャビティ54内の空間に向けて後退する。
【0066】
このように第1のピストン52が後退したとき、キャビティ54内の空間の内圧は、壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値まで高まる。そして、このように高まったキャビティ54内の空間の内圧、圧縮コイルバネ71の付勢力による圧力及び圧力計測手段66が計測している圧力は、全て等しい圧力とされ均衡した状態となる。
【0067】
また、壁面土圧がさらに高くなり、該壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値が圧力計測手段66における許容負荷圧力(例えば、5kgf/cm2)となったときには、図10に示すように、圧縮コイルバネ71がさらに圧縮され、第1のピストン52がキャビティ54内の空間に向けてさらに後退する。そして、このときには、移動規制部材である蓋部材56に第1のピストン52の後端部が当接することにより、この第1のピストン52の後退が規制され、キャビティ54内の空間の内圧がさらに上昇することが防止される。
【0068】
すなわち、第1のピストン52の前端面52aが受ける壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値は、圧力計測手段66における許容負荷圧力よりも大きくなることはない。再び壁面土圧が圧力計測手段66における許容負荷圧力よりも低くなったときには、図9に示すように、圧縮コイルバネ71が伸び、第1のピストン52が壁面に向けて前進する。そして、このときには、壁面土圧に第1のピストン52の前後面積比を乗じた値、キャビティ54内の空間の内圧、圧縮コイルバネ71の付勢力による圧力及び圧力計測手段66が計測している圧力は、全て等しい圧力となる。
【0069】
このような構成からなる壁面土圧計50においても、上述のような動作は、圧力計測手段66における定格負荷圧力の値、許容負荷圧力の値に基づいて、圧縮コイルバネ71のバネ定数を適切に定めることによって実現される。
【0070】
そして、この壁面土圧計50においても、弾性部材は、上述のような圧縮コイルバネではなく、第1のピストン52の中空部内に第2のピストン69によって密封された気体、すなわち、空気バネであることとしてもよい。この場合にも、第1のピストン52の中空部内の容積と封入する気体の量とによって、バネ定数を定めることができる。
【0071】
なお、本発明に係る壁面土圧計は、上述したように、横抗構築装置本体2に内蔵されて使用されることに限定されず、種々の用途における圧力計として使用することができる。この場合には、上述の横抗構築装置本体2内の隔壁12に代えて、圧力計本体の外筐壁に第1のシリンダ51を設ける構成とすることにより、単体の圧力計として構成することができる。
【0072】
【発明の効果】
前述した本発明の実施例の説明からも明らかなように、第1の発明(請求項1記載の発明)及び第2の発明(請求項2記載の発明)に係る壁面土圧計によれば、壁面土圧が所定の圧力値よりも大きい場合には、キャビティ内の空間の内圧によって第2のピストンが弾性部材の付勢力に抗して該キャビティ内の空間の容積を広げる方向に移動され、第1のピストンが該キャビティ内の空間に向けて後退し、この第1のピストンの後退が移動規制部材により規制されることにより、キャビティ内の空間の内圧がさらに上昇することが防止されるので、圧力計測手段に過負荷がかかる虞れがない。
【0073】
すなわち、本発明は、許容負荷圧力を超える圧力がかからないようにして、過負荷による破損が防止された壁面土圧計を提供することができる。
【0074】
そして、本発明に係る壁面土圧計においては、第3の発明(請求項3記載の発明)及び第4の発明(請求項4記載の発明)におけるように、弾性部材は、圧縮コイルバネ、または、第2のシリンダ内に第2のピストンによって密封された気体とすることができる。
【0075】
さらに、第5の発明(請求項5記載の発明)に係る壁面土圧計付横坑構築装置においては、壁面土圧計において、壁面土圧が所定の圧力値よりも大きい場合には、キャビティ内の空間の内圧によって第2のピストンが弾性部材の付勢力に抗して該キャビティ内の空間の容積を広げる方向に移動され、第1のピストンが該キャビティ内の空間に向けて後退し、この第1のピストンの後退が移動規制部材により規制されることにより、キャビティ内の空間の内圧がさらに上昇することが防止されるので、圧力計測手段に過負荷がかかる虞れがない。
【0076】
すなわち、本発明は、許容負荷圧力を超える圧力がかからないようにして、過負荷による破損が防止された壁面土圧計を備えた壁面土圧計付横坑構築装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る壁面土圧計付横抗構築装置の要部を示す断面図である。
【図2】上記壁面土圧計付横抗構築装置のカッターヘッドを示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る壁面土圧計の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示す壁面土圧計において壁面土圧が定格負荷圧力を超えた状態を示す断面図である。
【図5】図3に示す壁面土圧計において壁面土圧が許容負荷圧力を超えた状態を示す断面図である。
【図6】図3に示す壁面土圧計の構造をモデル化して示す断面図である。
【図7】図3に示す壁面土圧計の構造をさらにモデル化して示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る壁面土圧計の構成を示す断面図である。
【図9】図8に示す壁面土圧計において壁面土圧が定格負荷圧力を超えた状態を示す断面図である。
【図10】図8に示す壁面土圧計において壁面土圧が許容負荷圧力を超えた状態を示す断面図である。
【図11】従来の壁面土圧計の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 横抗構築装置
2 横抗構築装置本体
3 カッターヘッド
4 駆動モータ
10 土圧制御弁
12 隔壁
50 壁面土圧計
51 第1のシリンダ
52 第1のピストン
54 キャビティ
56 蓋部材
63 第2のシリンダ
66 圧力計測手段
68 圧力伝達液
69 第2のピストン
71 圧縮コイルバネ
73 位置決め段部

Claims (5)

  1. 第1のシリンダと、
    上記第1のシリンダ内において進退可能となされた第1のピストンと、
    上記第1のピストンが後退できるストロークを一定距離に規制する移動規制部材と、
    上記第1のシリンダの後端側に連続されて構成され、上記第1のピストンの後方側に密閉された空間を形成するキャビティと、
    上記キャビティ内の空間に充填された圧力伝達液と、
    上記圧力伝達液を介して、上記キャビティ内の空間の内圧を計測する圧力計測手段と、
    上記キャビティ内の空間に連通している第2のシリンダと、
    上記第2のシリンダ内において進退可能となされた第2のピストンと、
    上記第2のピストンを上記キャビティ内の空間に向けて弾性付勢する弾性部材と、
    上記第2のピストンの上記キャビティ内の空間に向かう移動を所定の位置で規制する位置規制部材とを備え、
    上記第1のピストンが前端部において受ける壁面土圧が上記圧力計測手段によって計測されるとともに、該壁面土圧が所定の圧力値よりも大きい場合には、上記キャビティ内の空間の内圧により、上記第2のピストンが上記弾性部材の付勢力に抗して該キャビティ内の空間の容積を広げる方向に移動されることにより、上記第1のピストンが該キャビティ内の空間に向けて後退し、この第1のピストンの後退が上記移動規制部材により規制されることにより、上記キャビティ内の空間の内圧がさらに上昇することが防止されることを特徴とする壁面土圧計。
  2. 上記第1のピストンは、上記第2のシリンダにもなっており、上記第2のピストン及び上記弾性部材が、該第1のピストン内の中空部分内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の壁面土圧計。
  3. 上記弾性部材は、圧縮コイルバネであることを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の壁面土圧計。
  4. 上記弾性部材は、上記第2のシリンダ内に上記第2のピストンによって密封された気体であることを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の壁面土圧計。
  5. 駆動モータにより回転され土砂を掘削するカッターヘッドが先端側に形成された本体部と、
    上記本体部内に収納された壁面土圧計とを備え、
    上記壁面土圧計は、上記カッターヘッドの後方に位置する上記本体部内の隔壁の透孔として形成された第1のシリンダと、この第1のシリンダ内において進退可能となされた第1のピストンと、この第1のピストンが後退できるストロークを一定距離に規制する移動規制部材と、該第1のシリンダの後端側に連続されて上記隔壁に取付けられて構成され該第1のピストンの後方側に密閉された空間を形成するキャビティと、このキャビティ内の空間に充填された圧力伝達液と、この圧力伝達液を介して該キャビティ内の空間の内圧を計測する圧力計測手段と、上記キャビティ内の空間に連通している第2のシリンダと、この第2のシリンダ内において進退可能となされた第2のピストンと、この第2のピストンを上記キャビティ内の空間に向けて弾性付勢する弾性部材と、該第2のピストンの上記キャビティ内の空間に向かう移動を所定の位置で規制する位置規制部材とを有して構成され、
    上記第1のピストンが前端部において受ける壁面土圧が上記圧力計測手段によって計測されるとともに、該壁面土圧が所定の圧力値よりも大きい場合には、上記キャビティ内の空間の内圧により、上記第2のピストンが上記弾性部材の付勢力に抗して該キャビティ内の空間の容積を広げる方向に移動されることにより、上記第1のピストンが該キャビティ内の空間に向けて後退し、この第1のピストンの後退が上記移動規制部材により規制されることにより、上記キャビティ内の空間の内圧がさらに上昇することが防止されることを特徴とする壁面土圧計付横坑構築装置。
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