JP3640513B2 - シールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルを掘削する時に、シールド掘進機の後部で組み立てられた一次覆工体と地山との間に裏込剤を注入する裏込剤注入管がシールド本体の外面に突設されたシールド掘進機において、硬質地盤や岩盤、発進孔や中間孔、到達孔の壁体などの掘削通過時に、裏込剤注入管の破損を防止するための裏込剤注入管用先行カッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の硬い岩盤や地下構造物、既設管などの地中構造物を切削通過時に、シールド本体の外周部に設けられた裏込剤注入管を保護する目的で、本出願人は、前方の地中構造物を掘削する従来の固定カッタに代えて、特願平9−140740号において回転カッタをシールド本体の外周部に出退させる裏込剤注入管用先行カッタを提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、被切削物は地中構造物でその硬度や切削難度が個々に相違し、また建築構造物の場合には大きな振動を与えることができないため、スムーズに切削できるのが望ましい。しかし従来のように一義的に決定されたカッタの切削速度では、スムーズな切削が期待できないという問題があった。また上記先行カッタは、シールド本体内に取付けられるため、破損したり、動かなくなった場合に、メンテナンスやカッタの交換が困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決して、硬質岩盤や発進、中間、到達孔の硬質壁体でもスムーズに切削できてカッタの破損を防止できるシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、シールド本体の前部に回転駆動されるカッタヘッドを有し、シールド本体の後部外面に、シールド本体後部で組み立てられる一次覆工体と地山との間に裏込剤を注入する裏込剤注入管が配設されたシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置であって、シールド本体の外周面で前記裏込剤注入管より前方適所に形成された収納凹部と、この収納凹部内から外方に出退自在に配設された回転カッタと、この回転カッタを回転駆動するカッタ回転装置と、回転カッタを出退させるカッタ出退装置とを具備し、前記回転カッタに切削トルクを検出するトルク検出器を設けるとともに、カッタ出退装置による回転カッタの突出速度を検出する突出速度検出手段を設け、前記トルク検出器の検出信号に基づいてカッタ出退装置による回転カッタの突出速度を制御する切削制御装置を設けたものである。
【0006】
上記構成によれば、硬質岩盤や硬質地下構造体により、過大な掘削負荷が回転カッタにかかると、これをトルク検出器により検出して、回転カッタの突出速度が遅くなるように制御することで、スムーズな切削が可能となり、回転カッタが破損することもない。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記構成の切削制御装置を、切削トルクの検出値が、最大トルクを越えた時に、基準突出速度に0を越えて1未満の係数を乗じた遅いカッタ突出速度となるようにカッタ出退装置を制御し、最大トルクを越える切削トルクが検出される毎に、基準突出速度に乗じる係数を小さくしてカッタ突出速度をさらに遅くなるようにカッタ出退装置を制御し、最大トルクを越える切削トルクが検出される回数が所定の回数を越えると、カッタ出退装置を停止するように構成したものである。
【0008】
上記構成によれば、回転カッタの突出速度を複数段にわたって制御することができて、適正な速度で切削が可能となり、また過大切削トルクの検出が所定の回数を越えると、カッタ出退装置を停止するので、回転カッタの破損を確実に防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る裏込剤注入管用先行カッタ装置の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0010】
図2,図3に示すように、シールド本体1の外周面の裏込剤注入管6より前方の対応位置に、シールド本体1の大気室1bに連通する開口部2が形成されている。この開口部2には、有底筒状の外筒3がスキンプレート1a面に固着されて、排土装置4付きの収納凹部5が形成されている。さらにシールド本体1には、収納凹部5内にシールド本体1の半径方向に出退自在に配設された回転カッタ11と、この回転カッタ11を回転駆動するための油圧式カッタ回転装置12と、回転カッタ11をシールド本体1の半径方向に出退駆動させるためのカッタ出退装置13と、開口部2を開閉するゲート14とが設けられている。また、このカッタ装置には、回転カッタ11の切削をスムーズに行うとともに、破損を防止する切削制御装置10が設けられている。
【0011】
前記回転カッタ11は、裏込剤注入管6の幅と略同一径に設定され、外筒3内に軸受ブッシュ16を介して摺動及び回転可能に配置された可動内筒17と、この可動内筒17内に十字状に架設された十字枠18と、この十字枠18の可動内筒17より上方に突出する先端部に固着されたカッタ部21とで構成されている。
【0012】
前記カッタ部21は、図6,図7に示すように、リングフレーム21a上に十字フレーム21bが固着され、さらにリングフレーム21a上に周方向一定間隔ごとにビット取付フレーム21cが立設されている。そしてこれら十字フレーム21bおよびビット取付フレーム21cの外周側で回転方向前部に、切削面に面接触して切削する面切削ビットである外周面切削ビット22Aが取り付けられるとともに、外周面切削ビット22Aによる切削面より突出して所定のピッチで切削面に周方向の溝を形成し硬質地盤に内在された強化繊維等を切断する溝切削ビットである複数の円弧形外周溝切削ビット23Aが軸心方向に所定間隔ごとに突出されている。また十字フレーム21bおよびビット取付フレーム21cの先端面に、切削面に面接触して切削する面切削ビットである先端面切削ビット22Bが取り付けられるとともに、先端面切削ビット22Bによる切削面より突出して半径方向に所定のピッチで回転方向の溝を形成し硬質地盤に内在された強化繊維等を切断する複数の円弧形の溝切削ビットである先端溝切削ビット23Bが半径方向に所定間隔ごとに突出されている。そして、リングフレーム21a内で十字フレーム21bの間の空間部が収容凹部5に連通する切削片の取入口24に構成されている。
【0013】
前記カッタ回転装置12は、図2,図3に示すように、十字枠18の下面中央部に突設されたカッタ軸31が、外筒3の底壁部に固着されたシールボックス32を貫通して移動枠33の軸受34に回転自在に支持されている。そして移動枠33に取り付けられた油圧式カッタ回転モータ35がスプロケットホイール36,37及びチェン38を介してカッタ軸31に連動連結されて構成されている。
【0014】
また前記カッタ回転モータ35は、図1に示すように、シールド本体1に内蔵された油圧ユニットの油圧ポンプ41からモータ用油圧管42を介して圧油が供給されており、モータ用油圧管42に介在されたモータ切替弁43により、停止および正逆回転が操作される。またこのカッタ回転モータ35には、油圧の出入り口に介装された圧力変換器44a,44bを具備したトルク検出器44が設けられており、このトルク検出器44により回転カッタ11の切削トルクを検出することができる。
【0015】
前記カッタ出退装置13は、図3に示すように、外筒3の外周面に突設したブラケット51に連結ピン52を介して左右一対の油圧式カッタ出退シリンダ53が配設され、その各カッタ出退シリンダ53のピストンロッド53aの先端部が移動枠33に突設した左右一対のアーム54にそれぞれ連結ピン55を介して連結されて構成されている。またこれらカッタ出退シリンダ53には、ピストンロッド53aの位置を検出する変位計56が設けられており、この変位計56からの検出値を回転カッタ11の突出速度に変換する図4の切削制御装置10の位置/速度変換部10bとにより突出速度検出手段が構成されている。さらに、図1に示すように、これらカッタ出退シリンダ53には、前記油圧ユニットの油圧ポンプ41からシリンダ用油圧管45を介して圧油が供給されており、シリンダ用油圧管45に介在された切替えおよび流量連続調整可能な出退用サーボ弁46(または電磁比例弁)によりカッタ出退シリンダ53に供給される圧油量が調整されて回転カッタ11の突出速度が制御される。
【0016】
前記排土装置4は、図2に示すように、収納凹部5に接続された開閉弁61付き送泥管62と、収納凹部5からカッタヘッド後部の圧力室2cに接続された排泥管63とから構成されている。
【0017】
前記ゲート14は、図3に示すように、外筒3の上部に形成されたゲート用凹部14a内に、ゲート板14bがスライド自在に嵌合され、ゲート板14bに連結された油圧式ゲート開閉シリンダ64により開閉される。
【0018】
前記切削制御装置10は、図1,図4に示すように、トルク検出器44から入力された実測トルクTNから回転カッタ11の突出速度目標値VKを演算する目標速度設定部10aと、カッタ出退シリンダ53の変位計56の実測位置から実速度VNを演算する位置/速度変換部10bと、変位計56の実測位置から突出ストローク限を判断して目標速度設定部10aに出力する最大ストローク検出部10cと、突出速度目標値VKから実速度VNを減算する減算器10dと、減算器10dからの速度偏差を弁の開度信号に変換する積分器10eとが具備されている。
【0019】
そして、目標速度設定部10aでは、図5に示すように、基準突出速度VSでカッタ出退シリンダ53を駆動し(STEP1)、トルク検出器44で検出された実測トルクTNが予め設定された最大切削トルクTMAXを越えた時に(STEP2)、カッタ基準突出速度VSに予め設定された係数αSを乗じて目標値VKを演算し(STEP3)、回転カッタ11の突出速度の目標値VKは出力する。この係数αは、0<α<1の範囲から選択されて、最大切削トルクTMAXを越える実測トルクTNを検出する回数Kが増加するごとに減少される値で、たとえばαK=αS−0.1×Kに設定されている。
【0020】
次いで、最大切削トルクTMAXを越える実測トルクTNを検出した回数Kが予め設定された回数Nと等しく(K=N)なった時に、目標値VN=0として出退用サーボ弁46を閉じ(STEP4)、カッタ出退シリンダ53を停止するように構成されている。
【0021】
上記構成において、カッタヘッド1により例えば土留め用NOMST壁などの硬質壁体を掘削する場合には、シールド本体2の掘進を回転カッタ11の掘削直径より小さい間隔で間欠移動させ、停止時にゲート14を開動させて開口部2を開放し、カッタ回転装置12およびカッタ出退装置13により回転カッタ11を突出移動させて硬質地盤に先行穴を形成する。この時、先端溝切削ビット23Bにより切削面に回転方向の溝が形成され、溝が形成された切削面に先端面切削ビット22Bが面接触して切削することにより、強化繊維が内在された硬質壁体を効果的に切削除去することができる。
【0022】
この時、切削制御装置10により回転カッター11の突出移動速度を制御し、回転カッター11に最大切削トルクTMAXを越える過大な負荷がかかった場合には、切削制御装置10により突出速度Vが制御されて適正な負荷で切削するように制御され、スムーズに切削されて回転カッタ11の破損を確実に防止することができる。
【0023】
そして、切削片が回転カッタ11の取入口24から収納凹部5内に回収され、その回収した切削片が送泥管62を介して収納凹部5内に供給した泥水によりスラリー状された後、排泥管63を介してカッタヘッド側の圧力室2c内に流入され、掘削土砂といっしょにスラリー輸送で地上まで排出される。これを繰り返すことにより、先行穴を連続させて裏込剤注入管の損傷を防止する先行溝を形成することができる。
【0024】
また硬質地盤の掘削終了後、ゲート14が閉動させて開口部2が閉鎖されることにより(図2実線参照)、その開口部2から収納凹部5内に土砂が流入されるのが阻止され、これにより地山の崩壊を防止することができる。
【0025】
上記実施の形態によれば、切削制御装置10により、回転カッタ11の突出速度を制御して回転カッタ11に過大な負荷がかかるのを防止するので、硬質壁体をスムーズ切削することができ、回転カッタ11が破損し、掘削不能になることがない。しかもこの硬質構造物の硬度や切削難度に応じて切削することができ、また建築構造物の場合にも大きな振動を与えることがなくスムーズに切削することができる。したがって、回転カッタ11が破損したり、動かなくなることが無く、メンテナンスや回転カッタ11の交換が不要となる。
【0026】
なお、上記実施の形態では、油圧式のカッタ回転モータ35およびカッタ出退シリンダ53を使用したが、もちろん電動モータおよび電動シリンダを採用してもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上に述べたごとく、請求項1記載の発明によれば、硬質岩盤や硬質地下構造体により、過大な掘削負荷が回転カッタにかかると、これをトルク検出器により検出して、回転カッタの突出速度が遅くなるように制御することで、スムーズな切削が可能となり、回転カッタが破損することがない。
【0028】
また請求項2記載の発明によれば、回転カッタの突出速度を複数段にわたって制御することができて、適正な速度での切削が可能となり、また過大切削トルクの検出が所定の回数を越えると、カッタ出退装置を停止するので、回転カッタの破損を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置の実施の形態を示す構成図である。
【図2】同先行カッタ装置の縦断面図である。
【図3】同先行カッタ装置の横断面図である。
【図4】同先行カッタ装置の切削制御装置の関数ブロック図である。
【図5】同切削制御装置の目標速度設定部におけるフローチャートである。
【図6】同回転カッタのカッタ部を示す平面図である。
【図7】同回転カッタのカッタ部を示す側面図である。
【符号の説明】
1 シールド本体
2 開口部
4 排土装置
5 収納凹部
6 裏込剤注入管
10 切削制御装置
10a 目標速度設定部
11 回転カッタ
12 カッタ回転装置
13 カッタ出退装置
14 ゲート
35 カッタ回転モータ
44 トルク検出器
46 出退用サーボ弁
53 カッタ出退シリンダ
56 変位計
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルを掘削する時に、シールド掘進機の後部で組み立てられた一次覆工体と地山との間に裏込剤を注入する裏込剤注入管がシールド本体の外面に突設されたシールド掘進機において、硬質地盤や岩盤、発進孔や中間孔、到達孔の壁体などの掘削通過時に、裏込剤注入管の破損を防止するための裏込剤注入管用先行カッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の硬い岩盤や地下構造物、既設管などの地中構造物を切削通過時に、シールド本体の外周部に設けられた裏込剤注入管を保護する目的で、本出願人は、前方の地中構造物を掘削する従来の固定カッタに代えて、特願平9−140740号において回転カッタをシールド本体の外周部に出退させる裏込剤注入管用先行カッタを提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、被切削物は地中構造物でその硬度や切削難度が個々に相違し、また建築構造物の場合には大きな振動を与えることができないため、スムーズに切削できるのが望ましい。しかし従来のように一義的に決定されたカッタの切削速度では、スムーズな切削が期待できないという問題があった。また上記先行カッタは、シールド本体内に取付けられるため、破損したり、動かなくなった場合に、メンテナンスやカッタの交換が困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決して、硬質岩盤や発進、中間、到達孔の硬質壁体でもスムーズに切削できてカッタの破損を防止できるシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、シールド本体の前部に回転駆動されるカッタヘッドを有し、シールド本体の後部外面に、シールド本体後部で組み立てられる一次覆工体と地山との間に裏込剤を注入する裏込剤注入管が配設されたシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置であって、シールド本体の外周面で前記裏込剤注入管より前方適所に形成された収納凹部と、この収納凹部内から外方に出退自在に配設された回転カッタと、この回転カッタを回転駆動するカッタ回転装置と、回転カッタを出退させるカッタ出退装置とを具備し、前記回転カッタに切削トルクを検出するトルク検出器を設けるとともに、カッタ出退装置による回転カッタの突出速度を検出する突出速度検出手段を設け、前記トルク検出器の検出信号に基づいてカッタ出退装置による回転カッタの突出速度を制御する切削制御装置を設けたものである。
【0006】
上記構成によれば、硬質岩盤や硬質地下構造体により、過大な掘削負荷が回転カッタにかかると、これをトルク検出器により検出して、回転カッタの突出速度が遅くなるように制御することで、スムーズな切削が可能となり、回転カッタが破損することもない。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記構成の切削制御装置を、切削トルクの検出値が、最大トルクを越えた時に、基準突出速度に0を越えて1未満の係数を乗じた遅いカッタ突出速度となるようにカッタ出退装置を制御し、最大トルクを越える切削トルクが検出される毎に、基準突出速度に乗じる係数を小さくしてカッタ突出速度をさらに遅くなるようにカッタ出退装置を制御し、最大トルクを越える切削トルクが検出される回数が所定の回数を越えると、カッタ出退装置を停止するように構成したものである。
【0008】
上記構成によれば、回転カッタの突出速度を複数段にわたって制御することができて、適正な速度で切削が可能となり、また過大切削トルクの検出が所定の回数を越えると、カッタ出退装置を停止するので、回転カッタの破損を確実に防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る裏込剤注入管用先行カッタ装置の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0010】
図2,図3に示すように、シールド本体1の外周面の裏込剤注入管6より前方の対応位置に、シールド本体1の大気室1bに連通する開口部2が形成されている。この開口部2には、有底筒状の外筒3がスキンプレート1a面に固着されて、排土装置4付きの収納凹部5が形成されている。さらにシールド本体1には、収納凹部5内にシールド本体1の半径方向に出退自在に配設された回転カッタ11と、この回転カッタ11を回転駆動するための油圧式カッタ回転装置12と、回転カッタ11をシールド本体1の半径方向に出退駆動させるためのカッタ出退装置13と、開口部2を開閉するゲート14とが設けられている。また、このカッタ装置には、回転カッタ11の切削をスムーズに行うとともに、破損を防止する切削制御装置10が設けられている。
【0011】
前記回転カッタ11は、裏込剤注入管6の幅と略同一径に設定され、外筒3内に軸受ブッシュ16を介して摺動及び回転可能に配置された可動内筒17と、この可動内筒17内に十字状に架設された十字枠18と、この十字枠18の可動内筒17より上方に突出する先端部に固着されたカッタ部21とで構成されている。
【0012】
前記カッタ部21は、図6,図7に示すように、リングフレーム21a上に十字フレーム21bが固着され、さらにリングフレーム21a上に周方向一定間隔ごとにビット取付フレーム21cが立設されている。そしてこれら十字フレーム21bおよびビット取付フレーム21cの外周側で回転方向前部に、切削面に面接触して切削する面切削ビットである外周面切削ビット22Aが取り付けられるとともに、外周面切削ビット22Aによる切削面より突出して所定のピッチで切削面に周方向の溝を形成し硬質地盤に内在された強化繊維等を切断する溝切削ビットである複数の円弧形外周溝切削ビット23Aが軸心方向に所定間隔ごとに突出されている。また十字フレーム21bおよびビット取付フレーム21cの先端面に、切削面に面接触して切削する面切削ビットである先端面切削ビット22Bが取り付けられるとともに、先端面切削ビット22Bによる切削面より突出して半径方向に所定のピッチで回転方向の溝を形成し硬質地盤に内在された強化繊維等を切断する複数の円弧形の溝切削ビットである先端溝切削ビット23Bが半径方向に所定間隔ごとに突出されている。そして、リングフレーム21a内で十字フレーム21bの間の空間部が収容凹部5に連通する切削片の取入口24に構成されている。
【0013】
前記カッタ回転装置12は、図2,図3に示すように、十字枠18の下面中央部に突設されたカッタ軸31が、外筒3の底壁部に固着されたシールボックス32を貫通して移動枠33の軸受34に回転自在に支持されている。そして移動枠33に取り付けられた油圧式カッタ回転モータ35がスプロケットホイール36,37及びチェン38を介してカッタ軸31に連動連結されて構成されている。
【0014】
また前記カッタ回転モータ35は、図1に示すように、シールド本体1に内蔵された油圧ユニットの油圧ポンプ41からモータ用油圧管42を介して圧油が供給されており、モータ用油圧管42に介在されたモータ切替弁43により、停止および正逆回転が操作される。またこのカッタ回転モータ35には、油圧の出入り口に介装された圧力変換器44a,44bを具備したトルク検出器44が設けられており、このトルク検出器44により回転カッタ11の切削トルクを検出することができる。
【0015】
前記カッタ出退装置13は、図3に示すように、外筒3の外周面に突設したブラケット51に連結ピン52を介して左右一対の油圧式カッタ出退シリンダ53が配設され、その各カッタ出退シリンダ53のピストンロッド53aの先端部が移動枠33に突設した左右一対のアーム54にそれぞれ連結ピン55を介して連結されて構成されている。またこれらカッタ出退シリンダ53には、ピストンロッド53aの位置を検出する変位計56が設けられており、この変位計56からの検出値を回転カッタ11の突出速度に変換する図4の切削制御装置10の位置/速度変換部10bとにより突出速度検出手段が構成されている。さらに、図1に示すように、これらカッタ出退シリンダ53には、前記油圧ユニットの油圧ポンプ41からシリンダ用油圧管45を介して圧油が供給されており、シリンダ用油圧管45に介在された切替えおよび流量連続調整可能な出退用サーボ弁46(または電磁比例弁)によりカッタ出退シリンダ53に供給される圧油量が調整されて回転カッタ11の突出速度が制御される。
【0016】
前記排土装置4は、図2に示すように、収納凹部5に接続された開閉弁61付き送泥管62と、収納凹部5からカッタヘッド後部の圧力室2cに接続された排泥管63とから構成されている。
【0017】
前記ゲート14は、図3に示すように、外筒3の上部に形成されたゲート用凹部14a内に、ゲート板14bがスライド自在に嵌合され、ゲート板14bに連結された油圧式ゲート開閉シリンダ64により開閉される。
【0018】
前記切削制御装置10は、図1,図4に示すように、トルク検出器44から入力された実測トルクTNから回転カッタ11の突出速度目標値VKを演算する目標速度設定部10aと、カッタ出退シリンダ53の変位計56の実測位置から実速度VNを演算する位置/速度変換部10bと、変位計56の実測位置から突出ストローク限を判断して目標速度設定部10aに出力する最大ストローク検出部10cと、突出速度目標値VKから実速度VNを減算する減算器10dと、減算器10dからの速度偏差を弁の開度信号に変換する積分器10eとが具備されている。
【0019】
そして、目標速度設定部10aでは、図5に示すように、基準突出速度VSでカッタ出退シリンダ53を駆動し(STEP1)、トルク検出器44で検出された実測トルクTNが予め設定された最大切削トルクTMAXを越えた時に(STEP2)、カッタ基準突出速度VSに予め設定された係数αSを乗じて目標値VKを演算し(STEP3)、回転カッタ11の突出速度の目標値VKは出力する。この係数αは、0<α<1の範囲から選択されて、最大切削トルクTMAXを越える実測トルクTNを検出する回数Kが増加するごとに減少される値で、たとえばαK=αS−0.1×Kに設定されている。
【0020】
次いで、最大切削トルクTMAXを越える実測トルクTNを検出した回数Kが予め設定された回数Nと等しく(K=N)なった時に、目標値VN=0として出退用サーボ弁46を閉じ(STEP4)、カッタ出退シリンダ53を停止するように構成されている。
【0021】
上記構成において、カッタヘッド1により例えば土留め用NOMST壁などの硬質壁体を掘削する場合には、シールド本体2の掘進を回転カッタ11の掘削直径より小さい間隔で間欠移動させ、停止時にゲート14を開動させて開口部2を開放し、カッタ回転装置12およびカッタ出退装置13により回転カッタ11を突出移動させて硬質地盤に先行穴を形成する。この時、先端溝切削ビット23Bにより切削面に回転方向の溝が形成され、溝が形成された切削面に先端面切削ビット22Bが面接触して切削することにより、強化繊維が内在された硬質壁体を効果的に切削除去することができる。
【0022】
この時、切削制御装置10により回転カッター11の突出移動速度を制御し、回転カッター11に最大切削トルクTMAXを越える過大な負荷がかかった場合には、切削制御装置10により突出速度Vが制御されて適正な負荷で切削するように制御され、スムーズに切削されて回転カッタ11の破損を確実に防止することができる。
【0023】
そして、切削片が回転カッタ11の取入口24から収納凹部5内に回収され、その回収した切削片が送泥管62を介して収納凹部5内に供給した泥水によりスラリー状された後、排泥管63を介してカッタヘッド側の圧力室2c内に流入され、掘削土砂といっしょにスラリー輸送で地上まで排出される。これを繰り返すことにより、先行穴を連続させて裏込剤注入管の損傷を防止する先行溝を形成することができる。
【0024】
また硬質地盤の掘削終了後、ゲート14が閉動させて開口部2が閉鎖されることにより(図2実線参照)、その開口部2から収納凹部5内に土砂が流入されるのが阻止され、これにより地山の崩壊を防止することができる。
【0025】
上記実施の形態によれば、切削制御装置10により、回転カッタ11の突出速度を制御して回転カッタ11に過大な負荷がかかるのを防止するので、硬質壁体をスムーズ切削することができ、回転カッタ11が破損し、掘削不能になることがない。しかもこの硬質構造物の硬度や切削難度に応じて切削することができ、また建築構造物の場合にも大きな振動を与えることがなくスムーズに切削することができる。したがって、回転カッタ11が破損したり、動かなくなることが無く、メンテナンスや回転カッタ11の交換が不要となる。
【0026】
なお、上記実施の形態では、油圧式のカッタ回転モータ35およびカッタ出退シリンダ53を使用したが、もちろん電動モータおよび電動シリンダを採用してもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上に述べたごとく、請求項1記載の発明によれば、硬質岩盤や硬質地下構造体により、過大な掘削負荷が回転カッタにかかると、これをトルク検出器により検出して、回転カッタの突出速度が遅くなるように制御することで、スムーズな切削が可能となり、回転カッタが破損することがない。
【0028】
また請求項2記載の発明によれば、回転カッタの突出速度を複数段にわたって制御することができて、適正な速度での切削が可能となり、また過大切削トルクの検出が所定の回数を越えると、カッタ出退装置を停止するので、回転カッタの破損を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置の実施の形態を示す構成図である。
【図2】同先行カッタ装置の縦断面図である。
【図3】同先行カッタ装置の横断面図である。
【図4】同先行カッタ装置の切削制御装置の関数ブロック図である。
【図5】同切削制御装置の目標速度設定部におけるフローチャートである。
【図6】同回転カッタのカッタ部を示す平面図である。
【図7】同回転カッタのカッタ部を示す側面図である。
【符号の説明】
1 シールド本体
2 開口部
4 排土装置
5 収納凹部
6 裏込剤注入管
10 切削制御装置
10a 目標速度設定部
11 回転カッタ
12 カッタ回転装置
13 カッタ出退装置
14 ゲート
35 カッタ回転モータ
44 トルク検出器
46 出退用サーボ弁
53 カッタ出退シリンダ
56 変位計
Claims (2)
- シールド本体の前部に回転駆動されるカッタヘッドを有し、シールド本体の後部外面に、シールド本体後部で組み立てられる一次覆工体と地山との間に裏込剤を注入する裏込剤注入管が配設されたシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置であって、
シールド本体の外周面で前記裏込剤注入管より前方適所に形成された収納凹部と、この収納凹部内から外方に出退自在に配設された回転カッタと、この回転カッタを回転駆動するカッタ回転装置と、回転カッタを出退させるカッタ出退装置とを具備し、
前記回転カッタに切削トルクを検出するトルク検出器を設けるとともに、カッタ出退装置による回転カッタの突出速度を検出する突出速度検出手段を設け、
前記トルク検出器の検出信号に基づいてカッタ出退装置による回転カッタの突出速度を制御する切削制御装置を設けた
ことを特徴とするシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置。 - 切削制御装置を、
切削トルクの検出値が、最大切削トルクを越えた時に、基準突出速度に0を越えて1未満の係数を乗じた遅いカッタ突出速度となるようにカッタ出退装置を制御し、
最大トルクを越える切削トルクが検出される毎に、基準突出速度に乗じる係数を小さくしてカッタ突出速度をさらに遅くなるようにカッタ出退装置を制御し、
最大トルクを越える切削トルクが検出される回数が所定の回数を越えると、カッタ出退装置を停止するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載のシールド掘進機の裏込剤注入管用先行カッタ装置。
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