JP3933417B2 - 洗濯機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は除菌機能を有する洗濯機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来より、洗濯機においては、洗濯用の槽の内部に洗濯物と水とを収容し、必要量の洗剤を投入して、それらを撹拌することにより、洗濯を行っている。ところが、そのときに、洗剤中の界面活性剤が洗濯水中のカルシウム分やマグネシウム分と反応することによって不溶性の金属石けんができ、それが種々の部分に付着して堆積する。これは、洗剤が高級脂肪酸ナトリウムから成る粉石けん等であった場合に、一層顕著である。
【0003】
更に、この発生した金属石けんの堆積物には、洗濯物から分離した繊維屑や汚れ等も付着して堆積するものであり、そして、それらは水分を吸収して微生物 (菌)を繁殖させる。この結果、かびや臭いが発生し、以後の運転で、それらが付着堆積部分から分離して洗濯物に付着することにより、充分に清浄な洗濯結果が得られなくなるという問題点を有していた。
【0004】
特に、脱水兼用洗濯機(全自動洗濯機)における槽は、もっぱら脱水のための孔を周側部に有する内槽と、これを包囲する水溜め用の外槽とから成っており、そのうちの内槽の内部で洗濯を行うようになっている。このため、内槽の外側では洗濯物の接触がなく、それでいて、その内槽の外側が面する部分(内槽の外周面と外槽の内周面との間)には、上述の孔を通じて内槽の内部から出た金属石けんを含む水が溜まるようになっているため、上述の問題を発生しやすい。
【0005】
更に、内槽の外側は一般使用者では分解掃除をすることができず、しかも、そこは、内槽がプラスチック製である場合、強度を持たせるために多数のリブが形成され、複雑な凹凸部となっている。このため、そこには、金属石けんの堆積、更には繊維屑や汚れの付着を生じやすい。
加えて、洗濯物は、着用すると、人体や外気等から多くの菌が付着して、洗濯してもそれが洗濯物に残留し、洗濯物の乾きが悪い状態では、その残留した菌が再び繁殖して、臭いや黄ばみを発生させていた。このことは、洗濯に風呂の残り水を使用する場合に、一層顕著である。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、洗濯用の槽や洗濯物の除菌ができ、しかも、それが特別の材料を要することなくできる洗濯機を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機は、第1に、洗濯用の槽と、この槽とは別の電気分解槽に、対を成す電極を具えて構成され電気分解装置と、前記電気分解槽に接続され、洗剤が収納可能な注水ケースと、この注水ケースに給水して前記洗剤を洗剤溶液とし、該洗剤溶液を前記電気分解槽に供給する給水弁と、前記電気分解装置により電気分解された電気分解液を前記電気分解槽から出して前記洗濯用の槽へ供給する供給手段とを具備し、前記電気分解装置が前記電気分解槽に供給された洗剤溶液を電気分解して電気分解液を生成することを特徴とする。
【0008】
このものによれば、電解質溶液を電気分解することによって殺菌液が生成され、この殺菌液を含む電気分解液が洗濯用の槽に供給されることにより、洗濯用の槽や洗濯物の除菌が行われる。しかも、その元となる電解質溶液には、洗濯に使用する洗剤の溶液が使用されるので、特別の材料を要することがない。
この場合、電気分解装置における洗剤溶液の電気分解は、電極間に一定の電気量を与えて行うと良い(請求項2の発明)。
【0009】
このものでは、各回の電気分解時ごとに洗剤溶液の濃度が異なっても、必要量の殺菌液を含む電気分解液が生成される。すなわち、殺菌液の生成量は、電気分解で消費する電流と時間とによって決まるものであり、この電流は洗剤溶液の濃度によって導電度が変化することにより変化するが、電流値の積算値が一定であれば、定量の殺菌液が生成される。従って、一定の電流積算値、換言すれば一定の電気量を与えることにより、洗剤溶液の濃度に左右されずに必要量の殺菌液を含む電気分解液が生成され、過不足のない適正な除菌効果が得られる。しかも、この場合、洗剤の厳密で面倒な計量も必要ない。
【0010】
又、洗濯用の槽への電気分解液の供給は、洗濯用の槽に貯水した状態で行なうと良い(請求項3の発明)。
このものでは、電気分解液が洗濯用の槽に供給されたとき、洗濯用の槽は既に貯水した状態にあるから、その既に貯留された槽内の水によって電気分解液が希釈される。よって、洗濯物に高濃度の電気分解液が接触することがなく、電気分解液による洗濯物の色落ちの発生が避けられる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例につき、図1ないし図5を参照して説明する。
まず、図2には、洗濯機、中でも脱水兼用洗濯機(全自動洗濯機)の全体構成を示しており、外箱1の内部に洗濯用の槽2を配設している。この槽2は、この場合、外槽3と、これにより包囲された内槽4の二重槽から成っており、そのうちの外槽3を、複数本(一本のみ図示)の吊り棒5を主体とする吊持機構6によって外箱1に吊持している。
【0023】
内槽4は、周側部の下部を除いた部分にもっぱら脱水のための孔7を多数有しており、内底部に洗濯用の撹拌体8を回転可能に軸支して設けている。これに対して、外槽3の外下方部には駆動機構9を配設している。この駆動機構9は、モータ10を駆動源として有し、そのほか、ベルト伝動機構11や、クラッチ機構12、ブレーキ機構13等を有していて、後述する洗い行程及びすすぎ行程で撹拌体8を正逆回転駆動し、脱水行程で内槽3を一方向に高速回転駆動するようになっている。
このほか、外槽3の外下方部には、外槽3の底部に形成した排水口14に連なる排水弁15や、この排水弁15に連なる排水ホース16を配設している。
【0024】
一方、外箱1上にはトップカバー17を装着している。このトップカバー17は、図1に示すように、ほゞ中央部に洗濯物出入口18を有しており、この出入口18を蓋19により開閉するようにしている。なお、蓋19は、この場合、前部19aと後部19bとが連結部19cで連結され、後部19bの後端部で上下に回動すると共に連結部19cで屈伸して洗濯物出入口18を開閉するようになっている(図9及び図13参照)。
【0025】
トップカバー17の後部の内部には、給水弁20と電気分解装置21とを配設している。このうち、給水弁20は、1つの入水口20aに対して第1及び第2の2つの出水口20b,20cを有する三方弁から成っており、その入水口20aに対する出水口20b,20cの開放及び閉鎖の選択を図示しないソレノイド等の駆動源によって行うようになっている。この場合、出水口20b,20cは、それらを片方ずつ独立して開放させることができ、両方を同時に開放させることも可能なものである。
【0026】
又、そのうちの入水口20aには、図示しない水道の蛇口に接続する給水ホースを接続するようになっており、第1の出水口20bには第1の接続パイプ22の一端部を接続し、第2の出水口20cには第2の接続パイプ23の一端部を接続している。
【0027】
そして、第1の接続パイプ22の他端部は注水ケース24に接続している。この注水ケース24は、トップカバー17における洗濯物出入口18の後縁部ほゞ中央の位置に設けており、その内部には洗剤投入ケース25を例えば引出し式にて収納するようになっている。なお、洗剤投入ケース25は、使用者が洗剤を入れて注水ケース24に収納するものであり、その収納された洗剤は、上記給水弁20の第1の出水口20bから第1の接続パイプ22を通じて注水ケース24内に供給される水道水により撹拌溶解されて、洗濯物出入口18を通り内槽4内に供給されるようになっている。
【0028】
又、この場合、注水ケース24の図中右側の側部には、洗剤溶液分岐手段である分岐パイプ26の一端部を接続しており、前記注水ケース24内に供給された水により撹拌溶解された洗剤の溶液は、一部がこの分岐パイプ26を通じて分岐されるようになっている。
さて、電気分解装置21は、図3に示すように、電気分解槽27を主体に構成している。この電気分解槽27は、上面が開口する直方体箱状の槽本体27aと、これの上面の開口部を塞ぐ蓋27bとから成っており、数10〜数100〔ml〕程度の容積を有している。なお、蓋27bにはガス抜き孔28を形成している。
【0029】
これに対して、槽本体27aの内部には、対を成す電極29,30を配設している。これらの電極29,30は、イリジウムや、白金、チタン白金メッキ電極、カーボン電極等から成っており、同一のほゞ矩形板状で、槽本体27aの長手方向と直角の方向に向き合っている。又、これらの電極29,30は、蓋27bを液密に貫通した電線31,32を介して、直流電源回路33のプラス電源33a、マイナス電源33bにそれぞれ接続しており、従って、そのうちのプラス電源33aに接続した電極29が陽極として機能し、マイナス電源33bに接続した電極30が陰極として機能するようになっている。
【0030】
このほか、槽本体27aには、図3中左側の前面部に第1の入液口34を形成し、それ近くの一側面部の前側に第2の入液口35を、他方、底面部の後側に出液口36をそれぞれ形成している。そして、そのうち、第1の入液口34には前記分岐パイプ26の他端部を接続しており、第2の入液口35に前記第2の接続パイプ23の他端部を接続している。更に、出液口36には、接続パイプ37を介して給液ポンプ38の入液口38aを接続し、この給液ポンプ38の出液口38bに輸液ホース39の一端部を接続している。
【0031】
上記輸液ホース39は、例えば蛇腹状等の可撓性あるホースから成るもので、輸液手段たるものであり、他端部を、図2に示すように、トップカバー17内から外箱1内の槽2外方のスペースに導入している。しかして、槽2の外槽3には、内槽4の孔7を有する部分を避けた位置である下部に対応して下部に供給口40を形成し、この供給口40に輸液ホース39の他端部を接続している。ここで、前記給水弁20の第2の出水口20c、及び第2の接続パイプ23と、電気分解槽27の槽本体27aの出液口36、接続パイプ37、給液ポンプ38、輸液ホース39、及び供給口40は、電気分解装置21の電気分解槽27から電気分解液を出して槽2へ供給する供給装置41を構成するもので、すなわち、その電気分解液の供給をする供給手段として機能するようになっている。
【0032】
前記直流電源回路33は、図4に示すように、商用電源(AC100V)42を直流の所定電圧に変換して出力するようになっており、これには、入力電流を検出する電流検出手段たる変流器43及び電流検出回路44を設けている。直流電源回路33の出力電圧Dccは、電気分解用駆動回路45を介して前記給液ポンプ38、及び電極29,30に与えるようにしている。
【0033】
これに対して、制御回路46は、マイクロコンピュータやA/D変換器を含んで構成されており、洗濯機の運転全般を制御する制御手段として機能し、中でも電気分解装置21のための電気量制御手段として機能するようになっている。この制御回路46には、スイッチ入力回路47、水位センサ48、蓋開閉検知スイッチ49、及び前記電流検出回路44から入力が与えられるようにしている。
【0034】
なお、上記スイッチ入力回路47は、前記トップカバー17の前部に設けた操作パネル50(図1参照)が有する各種スイッチを具えて構成されている。その各種スイッチには、運転コース選択スイッチや、除菌選択スイッチ、風呂水使用設定スイッチ、更には運転スタートスイッチ等が含まれている。又、水位センサ48は、槽2(特には外槽3)の貯留水位を検知するように設けたものであり、蓋開閉検知スイッチ49は前記蓋19の開・閉を検知するように設けたものである。
【0035】
そして、制御回路46により、前記操作パネル50に設けた表示器51を制御すると共に、蓋ロック装置52、前記給水弁20、排水弁15、及び駆動機構9のモータ10を、駆動回路53を介して制御し、更に、給液ポンプ38及び電極29,30を、前記電気分解用駆動回路45を介して制御するようにしている。なお、上記蓋ロック装置52は前記蓋19を閉鎖状態にロックするもので、詳しくは図示しないが、例えば電磁ソレノイド等から成っている。
【0036】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
洗濯を行う前、使用者は、蓋19を開けて、洗濯物出入口18から内槽4内に洗濯物(図示せず)を入れる。又、注水ケース24には、洗剤を入れた洗剤投入ケース25を収納し、その後、蓋19を閉じ、運転のコースを選択する。図5は、このように選択される運転のコースの中の自動コースを示しており、「洗い」、「排水」、「脱水」、「シャワーすすぎ」、「脱水」、「ためすすぎ」、「排水」、及び「脱水」の行程が順に実行されるようになっている。槽2や洗濯物の除菌をする場合には、この自動コースにおいて、除菌選択スイッチを操作し、その上で、運転スタートスイッチを操作する。
【0037】
すると、最初に「洗い」行程に入り、制御回路46が、給水弁20の第1の出水口20bを開放させて、第1の接続パイプ22から注水ケース24を経る水路による、内槽4内への水道水の供給(図5中、給水オン)を実行する。このとき、注水ケース24内に収納された洗剤は、注水ケース24に至った水により撹拌溶解され、その洗剤溶液が内槽4内に供給される。又、その洗剤溶液の一部は分岐パイプ26を通って電気分解装置21の電気分解槽27内に電解質溶液として供給され、貯えられる。
【0038】
この状態で、制御回路46は、電気分解装置21の電極29,30間に直流電源回路33の出力電圧Dccを印加する。すると、電極29,30間には、洗剤溶液の濃度(電解質濃度)に応じて電流(入力電流)が流れ、これにより、洗剤溶液が電気分解され、特に陽極である電極29側に殺菌液である酸性液が生成される。
【0039】
上記入力電流は変流器43及び電流検出回路44により検出されて制御回路46に与えられる。制御回路46は、この電流を積算し、その積算値が所定値となったところ、つまり一定の電気量となったところで断電する。
【0040】
又、この「洗い」行程で、槽2内に所定水位(図5のH)まで給水がなされると、制御回路46は、前記給水弁20の第1の出水口20bを閉鎖させて内槽4内への給水を終了(図5中、給水オフ)する。そして、それに代わり、駆動機構9のモータ10により撹拌体8を正逆回転させて、内槽4内の洗濯物と水及び洗剤溶液を撹拌することにより、洗濯物の洗いを実行する。
【0041】
この後、「排水」行程では、排水弁15を開放させることにより、洗い後の洗剤溶液成分を含む水を排水ホース16を通じて機外に排出させる排水を行う。 その後の「脱水」行程では、駆動機構9のモータ10により内槽4を一方向に高速回転させて、洗濯物が含む水分を遠心力により孔7から振り切り排出させ、更にそれを排水弁15から排水ホース16を通じて機外に排出させる脱水を行う。
【0042】
更に、その後の「シャワーすすぎ」行程では、前記給水弁20の第1の出水口20bを再び開放させて内槽4内への給水を行いつつ、あるいはそれと交互に、内槽4を駆動機構9のモータ10により回転させる脱水を行うことで、洗濯物に残留する洗剤溶液成分を希釈排出するすすぎを行う。
この後の、「脱水」行程は、上述の「脱水」行程と同様に行う。
【0043】
そして、その後の「ためすすぎ」行程(この場合の最終すすぎ行程)では、前記給水弁20の第1の出水口20bを開放させて内槽4内への給水を行いつつ、所定時間(図5のT1 )が経過したところ、すなわち、内槽4内にある程度貯水されたところで、蓋ロック装置52を作動させて蓋19をロックすると共に、給水弁20の第2の出水口20cをも開放させ、給液ポンプ38を作動させる。
【0044】
すると、給水弁20の第2の出水口20cから第2の接続パイプ23を通じて電気分解装置21の電気分解槽27内に水道水が供給されると共に、その電気分解槽27内から前述の殺菌水を含む電気分解液が、接続パイプ37、給液ポンプ38、及び輸液ホース39を通じて、外槽3下部の供給口40から外槽3内、特にはかびの多発生場所である内槽4の外側が面する部分(内槽4の外周面と外槽3の内周面との間)に供給される。しかも、この場合、供給口40は内槽4の孔7を有する部分を避けた位置に対応して設けているから、電気分解液はその内槽4の孔7を有する部分を避けた位置に供給される。
【0045】
又、このとき、給水弁20の第2の出水口20cから電気分解槽27内に供給された水道水も、電気分解槽27内の電気分解液を希釈しつつ、上述の電気分解液と同じ経路で外槽3内に供給される。更に、この場合、電気分解槽27内の電気分解液を出し切った後も、給水弁20の第2の出水口20cから電気分解槽27内への水道水の供給を続けることにより、電気分解槽27内の洗浄ができ、電気分解液が触れる電極29,30を初めとした各種部品の酸化を極力抑制できて、電気分解装置21の長寿命化を図ることができる。
【0046】
しかして、外槽3と内槽4との間に供給された電気分解液は、それらの間に貯留された水道水に拡散すると共に、内槽4の孔7を通って内槽4内に進入し、該内槽4内に貯留された水道水に拡散する。そして、所定時間(図5のT2 )が経過したところで、制御回路46は、給水弁20の第2の出水口20cを閉鎖させると共に、給液ポンプ38の作動を停止させる。これにより、電気分解槽27内への水道水の供給と、電気分解槽27内からの電気分解液の排出が終了される。
【0047】
次いで、槽2(外槽3及び内槽4)内に所定水位(これも図5のH)まで給水がなされると、制御回路46は、前記給水弁20の第1の出水口20bを閉鎖させて内槽4内への給水を終了する。そして、それに代わり、駆動機構9のモータ10により撹拌体8を正逆回転させて、内槽4内の洗濯物と水及び電気分解液を撹拌することにより、洗濯物や槽2の除菌を伴った、洗濯物のすすぎを実行する。
この後の「排水」行程は、前述の「排水」行程と同様に行う。
更に、その後の「脱水」行程(最終脱水行程)も、前述の「脱水」行程と同様に行う。
【0048】
このように本構成のものでは、洗濯用の槽2とは別の電気分解槽27に、対を成す電極29,30を具える電気分解装置21を有し、その電気分解槽27に、給水弁20から、洗剤を収容した注水ケース24に給水して生成した洗剤溶液を供給し、その洗剤溶液を電解質溶液として電気分解することにより電気分解液を生成し、洗濯用の槽2に供給するようにしている。
【0049】
洗濯に使用する洗剤は、陰イオン界面活性剤、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、珪酸ナトリウム等の電解質を多量に含んでおり、電解質溶液である。この電解質溶液である洗剤溶液を上述のごとく電気分解することによって、殺菌液が生成される。そして、その生成された殺菌液を含む電気分解液を槽2に供給することにより、槽2や洗濯物の除菌を行うことができ、槽2のかびの発生、臭いの発生を抑制できると共に、そのかびによる洗濯物の汚れや、その他の菌による洗濯物の臭いや黄ばみの発生を抑制できる。
しかも、その場合、洗濯に使用する洗剤の溶液がそのまま使用できるので、別途電解質溶液を必要とせず、それを別途用意する手間を省くことができる。
【0050】
加えて、本構成のものの場合、電気分解装置21における洗剤溶液の電気分解は、電極29,30間に一定の電気量を与えて行うようにしている。この電気分解による殺菌液の生成量は、電気分解で消費する電流と時間とによって決まるものであり、この電流は洗剤溶液の濃度によって導電度が変化することにより変化するが、電流値の積算値が一定であれば、定量の殺菌液が生成される。従って、一定の電流積算値、換言すれば一定の電気量を与えることにより、洗剤溶液の濃度に左右されずに必要量の殺菌液を含む電気分解液を生成でき、過不足のない適正な除菌効果を得ることができる。しかも、この場合、洗剤の厳密で面倒な計量も必要ない。
【0051】
なお、電気分解装置21の電極29,30間に一定の電気量を与えて電気分解をする方法としては、変流器43及び電流検出回路44により検出される電流値から、洗剤溶液の濃度を判定し、その判定結果、すなわち、洗剤溶液の濃度に応じて、その濃度が低ければ、印加電圧の通電周期に対するオンデューティー比を大きくし、濃度が高ければ、印加電圧の通電周期に対するオンデューティー比を小さくする方法を採用するようにしても良い。
【0052】
又、槽2への電気分解液の供給は、槽2に貯水した状態で行なうようにしている。これにより、電気分解液が槽2に供給されたとき、槽2は既に貯水した状態にあるから、その既に貯留された槽2内の水によって電気分解液が希釈される。よって、洗濯物に高濃度の電気分解液が接触することがなく、電気分解液による洗濯物の色落ちの発生を避けることができる。なお、この場合、槽2への電気分解液の供給は、槽2に最終所定水位まで貯水した状態、すなわち洗濯に必要な給水を終えた状態で行なうようにしても良い。
【0053】
更に、本構成のものの場合、槽2は、孔7を有する内槽4と、これを包囲する外槽3とを有して成り、電気分解装置21により電気分解された電気分解液を電気分解槽27から出して槽2に供給する供給装置41は、内槽4の孔7を有する部分を避けた位置に対応して外槽3に設けた供給口40と、この供給口40に接続した輸液ホース39とを有して成る。
【0054】
これにより、電気分解液を、かびの多発生場所である内槽4の外側が面する部分に供給できるので、槽2(特には内槽4の外側及び外槽3の内側)の除菌がより効果的にできる。しかも、その場所は、内槽4の孔7を有する部分を避けた位置であり、その孔7から内槽4の内部に電気分解液が直接進入することを避け得るので、これによっても電気分解液による洗濯物の色落ちの発生を避けることができる。なお、この効果を得る分には、洗剤溶液以外の電解質溶液を電気分解に使用するものであっても良い。
【0055】
このほか、本構成のものにおいては、電気分解液をすすぎ行程で槽2に供給するようにしている。これは、「洗い」行程では、洗剤や、洗濯物から分離した汚れ等の有機物が槽2内の水中に大量に含まれていて、殺菌液を供給しても、それらの分解に殺菌液が消費されてしまい、充分な除菌効果が得られないからであり、有機物の量が少なくなったすすぎ行程で電気分解液を槽2に供給することにより、充分な除菌効果を得ることができる。
【0056】
しかも、その場合、「洗い」行程で洗剤溶液を電気分解槽27に供給して、電気分解を行い、すなわち、あらかじめ殺菌液を生成しておいて、すすぎ行程でその殺菌液を含む電気分解液を槽2に供給するようにしている。これにより、殺菌液の生成が合理的にできて、運転終了までの時間が長延化するのを回避できる。なお、これらの場合にも、洗剤溶液はそれ以外の電解質溶液に変えて実施するようにしても良い。
【0057】
更に、給水弁20は、槽2への給水と、電気分解槽27への給水とがそれぞれ独立してできるものであり、それによって、電気分解槽27への給水が槽2への給水に関わりなく自由にでき、制御の自由度を増すことができる。なお、この場合にも、洗剤溶液はそれ以外の電解質溶液に変えて実施するようにしても良く、又、給水弁20は三方弁でなく、2つの独立した(別個の)給水弁に変えて実施するようにしても良い。
【0058】
加えて、この給水弁20に関しては、それを電気分解槽27の給水受け口である第2の入液口35より高い位置に設けることにより、それらを接続する接続パイプ(記載した例では第2の接続パイプ23)に水が残らず、冬季など低温時における残水の凍結のおそれをなくすことができる。
又、電気分解槽27はトップカバー17の内部(裏側)に配設しており、それによって、それの組込みが、トップカバー17の内部に対する給水弁20やこれに付随する配管(第1の接続パイプ22、第2の接続パイプ23、及び分岐パイプ26)等の組込みと同時にできて、組立性を良くすることができる。
【0059】
更に、槽2への電気分解液の供給は、使用者が除菌選択スイッチより選択操作してできるようにしており、これによって、洗濯物や槽2の除菌が使用者の希望に応じてでき、必要でないときには、槽2内への電気分解液の供給を実行しないようにできる。
なお、これらの効果を得る分にも、洗剤溶液はそれ以外の電解質溶液に変えて実施するようにしても良い。
【0060】
以上に対して、図6ないし図16は本発明の第2ないし第実施例と、第1ないし第5参考例とを示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0061】
[第2実施例]
図6に示す第2実施例においては、前述の図5に示した自動コース中、最後の「脱水」行程の後に、それ以前の「ためすすぎ」、「排水」、及び「脱水」の行程と同じ、「ためすすぎ」、「排水」、及び「脱水」の行程を追加して実行するようにしている。従って、この場合、先に実行する「ためすすぎ」行程は「第1ためすすぎ」行程となり、後に実行する「ためすすぎ」行程は「第2ためすすぎ」行程となる。又、その「第2ためすすぎ」行程においては、槽2への電気分解液の供給は行わず、槽2には水道水だけを供給して、洗濯物のすすぎを行うようにしている。
【0062】
このようにすることにより、「第1ためすすぎ」行程で除菌をした後の残留殺菌成分を「第2ためすすぎ」行程で除去し、殺菌液による洗濯物の色落ちの発生を避けることができる。なお、この効果を得る分にも、洗剤溶液はそれ以外の電解質溶液に変えて実施するようにしても良い。
【0063】
[第3実施例]
図7及び図8に示す第3実施例においては、供給装置41中の、給液ポンプ38に、前述の輸液ホース39に代わる輸液手段としての輸液チューブ61の一端部を接続している。又、この輸液チューブ61の他端部は、外槽3の下部に形成した挿入孔62(図8参照)から外槽3の内部に導入して、先端の出液口61aを下方へ指向させている。この場合、外槽3下部の、挿入孔62を形成した部分は、内槽4の孔7を有する部分に対応しているが、先端の出液口61aを下方へ指向させたことにより、該出液口61aは、内槽4の孔7を有する部分を避けた方向に指向している。
【0064】
このようにしても、電気分解液を、かびの多発生場所である内槽4の外側が面する部分に供給できると共に、孔7から内槽4の内部に電気分解液が直接進入することを避けることができる。
【0065】
加えて、この場合、輸液チューブ61は、例えば軟質塩化ビニルチューブや、ポリオレフィンチューブ、蛇腹状チューブ等から成っており、槽2の揺動に対する柔軟性を充分に有するものであるが、その槽2や外箱1との衝突の可能性があるため、それを避けるべく、途中部を吊持機構6中の最寄りの1本の吊り棒5に巻き付けている。このようにすることによって、輸液チューブ61の傷付きを防止でき、永く良好な状態で使用できる。
なお、これらの効果を得る分にも、洗剤溶液はそれ以外の電解質溶液に変えて実施するようにしても良い。
【0066】
[第1参考例]
図9ないし図11に示す第1参考例においては、電気分解装置21をトップカバー17の一側部(この場合、左側部)の内部(裏側)に配設している。又、この場合、電気分解槽27の蓋27bには注入口71(図11参照)を形成し、この注入口71にキャップ72を例えばねじ込み式にて装着している。なお、この場合、前述のガス抜き孔28はキャップ72に形成している。又、キャップ72はトップカバー17の外上面に突出して、トップカバー17外からの操作を可能としている(図9参照)。なお、図9に示す内槽4では孔7及び撹拌体8の図示を省略している(後述する図13も同じ)。
【0067】
更に、この場合、電気分解槽27の槽本体27aには、出液口36だけを後面部に形成しており(第1の入液口34及び第2の入液口35を形成していない)この出液口36に接続パイプ37を介して接続した給液ポンプ38には、更に接続パイプ73の一端部を接続している(図11参照)。
そして、トップカバー17の後部の内部には、補助給水弁74を配設しており、これの出水パイプ74aに、輸液ホース39の一端部を接続すると共に、上記接続パイプ73の他端部を接続している(図10参照)。
【0068】
なお、補助給水弁74は、前述の給水弁20の第2の出水孔20c側に相当するもので、トップカバー17の後部の内部には、そのほか、前述の給水弁20の第1の出水孔20b側に相当する主給水弁を配設している(図示せず)。
この構成で、洗濯物や槽2の除菌をする場合には、電気分解槽27内に電解質溶液を注入する。この電解質溶液の注入は、この場合、蓋19を図9に示すように開けて、キャップ72を外し、注入口71から電気分解槽27内に電解質溶液を注入する作業で行う。
【0069】
電解質溶液としては、前述の洗剤溶液(この場合は、使用者が手作業で溶解させたもの)でも良いが、それ以外のものであっても良い。洗剤溶液以外の電解質溶液としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、珪酸ナトリウムなど、水に溶解性を有するものであれば良い。
【0070】
ことに、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウムのように、ハロゲン化イオンを有するものであれば、電気分解によって、強力な殺菌力を有する次亜ハロゲン酸を生成するから、除菌性能の優れた電気分解液を作ることができる。又、それら以外でも、前述の洗剤溶液のように、電気分解することで陽極側に生成される酸性液を用いれば、充分な除菌効果をもたらすことができる。
これら電解質溶液の注入を終えた後には、キャップ72を装着して締める。
【0071】
この後、自動コースにおいて、除菌選択スイッチを操作し、運転スタートスイッチを操作すると、洗濯機の運転が開始されることにより、「洗い」行程で、電気分解装置21における上記電解質溶液の電気分解が前述同様に行われる。
【0072】
ここで、電気分解装置21における塩化ナトリウム溶液(食塩水)の電気分解の条件を示す。発明者の調査によれば、洗濯水に除菌効果を出すための塩素濃度としては、0.1〔ppm〕程度の濃度で有効である。一般家庭用の洗濯機では、「洗い」で供給する水量は多くとも100リットル程度であり、従って、必要な塩素量は10〔mg〕で良い。食塩水の電気分解は、次の化学式で示される。
【0073】
【化1】
Figure 0003933417
【0074】
この場合、例えば食塩1〔g〕のうち30〔%〕が分解されたとする。これに必要な電力は、NaClの300〔mg〕は、5×10−3〔mol〕であるから、
5×10−3〔ファラデー〕=480〔クーロン〕
となる。1〔A〕の電流で電気分解したとすると、8分間で、有効塩素300 〔mg〕を生成させることができる。これは前述の1回の殺菌に必要な塩素量の30倍であり、短時間で、数回分必要な殺菌液を作ることができるようになる。従って、1回の殺菌については、電気分解液の1/30の量を供給すれば良いことになる。又、この関係上、電気分解槽27は、前述の数10〜数100〔ml〕程度の容積を有すれば良いことになる。
【0075】
そして、「ためすすぎ」行程で、前述の給水弁20の第2の出水口20cが開放されるのに代わって補助給水弁74が開放されると共に、給液ポンプ38が作動される。これにより、補助給水弁74を通じて供給される水道水に電気分解液を加えて、それらを輸液ホース39を通じ槽2内に供給する。従って、この場合には、補助給水弁74と、槽本体27aの出液口36、接続パイプ37、給液ポンプ38、及び接続パイプ73により、電気分解液を槽2内に供給する供給手段たる供給装置75を構成している。
【0076】
しかして、必要量の電気分解液を供給する補助給水弁74及び給液ポンプ38の作動時間が経過すれば、それら補助給水弁74及び給液ポンプ38の作動を停止させて、電気分解液の供給を終了する。
電解質溶液の電気分解、並びに電気分解液の供給は、このようにして行っても良い。
【0077】
[第2参考例]
図12に示す第2参考例においては、電気分解装置21における電気分解槽27の蓋27bのうち、陽極である電極29に接続した電線31が貫通した一帯の部分27b´を、他の部分とは分離可能に構成して、この部分27b´ごと、電極29を電気分解槽27から取出し得るようにしており、取出した電極29はそれをそのまま、あるいは新品と交換して部分27b´ごと、電気分解槽27に装着し得る。かくして電極29を機外より着脱可能としている。
【0078】
電解質溶液の電気分解をすると、前述のように、陽極である電極29の側には酸性液が生成されるため、該電極29の表面が酸化され、電気を通しにくくなって、分解効率が悪くなると共に、腐食による耗が起こりやすくなる。これに対して、上述のように電極29を機外より着脱可能とすると、酸化された該電極29を交換するのが、それの着脱性で容易にできるものであり、もってメンテナンスを容易になし得る。又、それにより、電気分解性能を良好に維持することができると共に、電極29に高コストの長寿命材料を使用する必要をなくすことができて、低コスト化できる。
なお、この電極29を機外より着脱可能とする構成は、前述の第1実施例構造でも同様に実施することができる。
【0079】
[第3参考例]
図13に示す第3参考例においては、電気分解装置21を内設したトップカバー17の一側部(この場合も、左側部)に、開閉部81を設けている。この開閉部81は、図中左側縁部にヒンジ82を有し、洗濯物出入口18側から外側方へ回動して開放し、それとは反対の方向に回動して閉鎖する蓋となっている。この開閉部81を開放させて、電気分解槽27を、第2の接続パイプ23や分岐パイプ26及び接続パイプ37など付属配管から取外してつかみ出し、つかみ出した電気分解槽27はそれをそのまま、あるいは新品と交換してトップカバー17に装着し得る。かくして電気分解槽27を機外より着脱可能としている。
【0080】
このようにすることにより、電極29を交換する折りには、それを電気分解槽27ごと取出して交換することができ、もって、この場合も、メンテナンスを容易になし得る。又、それにより、電気分解性能を良好に維持することができると共に、電極29だけでなく、電気分解槽27及びこれに付随する各部品に、高コストの長寿命材料を使用する必要をなくし得るので、全体に低コスト化できる。
【0081】
なお、この電気分解槽27を機外より着脱可能とする構成も、前述の第1実施例構造でも同様に実施することができる。又、この電気分解槽27の交換、並びに前記電極29の交換の時期は、先の図4に示した変流器43及び電流検出回路44により検出される電流値から、電気分解槽27内の電極29,30間の導電度を検知することで、判断するようにすると良い。
【0082】
[第4参考例]
図14に示す第4参考例においては、電気分解装置21に給液槽91を付加している。この給液槽91は、電解質の飽和溶液など濃厚な電解質溶液92を複数特には多数の洗濯回数分収容したカートリッジで、例えばピンホール大の出液口93を有し、この出液口93にスポンジ等の通水性多孔質体94を装填している。又、電気分解槽27と給液ポンプ38との間の接続パイプ37には、給液槽取付口95を形成しており、この給液槽取付口95に、上記給液槽91の出液口93を有する部分をOリング96を介して着脱可能に取付け、もって給液槽91の内部が出液口93によって接続パイプ37内と連通するようにしている。
【0083】
そして、この場合、電気分解槽27の反給液槽91側である前部に形成した入液口97には、補助給水弁98を接続している。この補助給水弁98は、第1参考例の補助給水弁74と同様に、第1実施例の給水弁20の第2の出水孔20c側に相当するものであり、トップカバー17の内部には、そのほか、給水弁20の第1の出水孔20b側に相当する主給水弁を配設している(図示せず)。
【0084】
この構成で、洗濯物や槽2の除菌をする場合には、補助給水弁98を開放させて、電気分解槽27の内部から接続パイプ37の内部に水道水99を供給し貯留する。すると、給液槽91の内部から通水性多孔質体94を通って出る濃厚な電解質溶液92が、接続パイプ37内から電気分解槽27内の水道水99中に徐々に放出されて、電気分解槽27内に供給される。かくして、電気分解槽27内の電解質濃度が上がる。
【0085】
この状態で、電気分解を前述同様に行い、電気分解液の供給時に、補助給水弁98を再び開放させると共に、給液ポンプ38を作動させる。すると、補助給水弁98により供給される水道水により、電気分解槽27内の電気分解液が押出されて輸液ホース39を通じ槽2に供給される。従って、この場合には、補助給水弁98と、槽本体27aの出液口36、接続パイプ37、給液ポンプ38、及び輸液ホース39により、電気分解液を槽2内に供給する供給手段たる供給装置100を構成している。
【0086】
このように使用するとき、給液槽91の内部からは上述のように濃厚な電解質溶液92が通水性多孔質体94を通って出るが、それと同時に、接続パイプ37の内部からは水道水99が通水性多孔質体94を通って給液槽91内に浸入する。このため、給液槽91内の電解質溶液92の濃度が漸次低下し、この給液槽91からその電解質溶液92が供給される電気分解槽27内の電解質濃度も使用を重ねるごとに低下していく。
【0087】
そこで、先の図4に示した変流器43及び電流検出回路44により検出される電流値から、電気分解槽27内の電解質の濃度に応じた導電度を検知し、その検知結果が所定値以下となれば、電気分解槽27内の電解質溶液の濃度が有効な殺菌液を生成する濃度より低い濃度になったと判断して、前記操作パネル50の表示器51中の、給液槽91の交換又は該給液槽91への電解質溶液92の補充の必要性を報知する表示器を作動させる。この場合、併せてブザーを作動させても良い。
【0088】
従って、この場合には、上記変流器43及び電流検出回路44は、電気分解槽27内の電解質溶液の導電度を検知する導電度検知手段として機能するものであり、操作パネル50の表示器51の一つ並びにブザーは、給液槽91の交換又は該給液槽91への電解質溶液92の補充の必要性を報知する報知手段として機能する。
このものによれば、給液槽91の交換や該給液槽91への電解質溶液の補充の必要性が分かりやすく、これにても、メンテナンスを容易になし得る。
【0089】
なお、電気分解槽27内の電解質溶液の濃度を判断する方法としては、上述の電気分解槽27内の電解質溶液の導電度を検知するのに代えて、給液槽91内の電解質溶液92の放出量に比例する給液ポンプ38の作動回数をカウントするようにしても良い。
【0090】
又、この場合、給液槽91は、濃厚な電解質溶液92に代えて、通常濃度の電解質溶液を収容し、それを無給水状態の電気分解槽27内に供給するものであっても良い。更に、その場合、給液槽91は電解質溶液を洗濯の1回分ずつ収容して供給するものであっても良い(この場合、導電度検知手段である変流器43及び電流検出回路44は、電気分解槽27内から電解質溶液を出し切ったときに、電気分解槽27内に電解質溶液がない状態であることを検知する)。
【0091】
[第5参考例]
図15に示す第5参考例においては、上記第4参考例における電気分解槽27の出液口36と入液口97とを、ともに電気分解槽27の底部から下方へ突出させて形成し、この出液口36と入液口97とを、接続パイプ73と補助給水弁98の出水パイプ98aのともに起立させた接続端部に、それぞれOリング101,102を介して着脱可能に接続している。
このようにすることにより、前記第3参考例で示したような電気分解槽27の着脱が容易にでき、しかも、装着の折りの液密性の保持ができる。
【0092】
[第実施例]
図16に示す第実施例においては、電気分解装置21の電気分解槽27内に配設した、対を成す電極29、30間に、液体の移動を制限する多孔質体(例えば不織布)から成る隔膜111を設けている。また、直流電源回路33のプラス側とマイナス側は、リレースイッチから成る切換スイッチ112により切換えて上記電極29、30に与えるようにしている(矢印A+、A−、B+、B−参照)。
【0093】
更に、供給手段たる供給装置113を構成する液供給路114を設けており、上記電気分解槽27のうち、隔膜111にて区画された一方の領域115と他方の領域116とを、この液供給路114により、槽2側と排水ホース16側とに連通させるようにしている。
【0094】
この液供給路114は、電磁制御弁から成る切換弁117、118を切換装置として具えており、その切換弁117、118を切換え制御することにより、電気分解槽27の一方の領域115内の電気分解液を槽2側へ導くか(矢印Ha参照)、排水ホース16側へ導くか(矢印Hb参照)の切換えをすると共に、電気分解槽27の他方の領域116内の電気分解液を槽2側へ導くか(矢印Ia参照)、排水ホース16側へ導くか(矢印Ib参照)の切換えをするようにしている。なお、上記切換スイッチ112及び切換弁117、118は、図4に示した制御回路46によって制御されるようにしている。
【0095】
そして、この実施例では、前記電極29、30のうち、前記切換スイッチ112による切換えで陽極とした側の電気分解液のみを槽2側へ供給するようにしており(電極29を陽極としたときに矢印Ha、電極30を陽極としたときに矢印Ia)、これによって、陽極側の殺菌効果のある電気分解液のみを槽2側へ供給できるから、除菌効果をより高く得ることができる。又、電極29、30については、その一方を陽極とし、他方を陰極とするのを、電気分解をするたびなど、所定の周期で切換え得るから、電極29、30の損耗をより少なくすることができる。
【0096】
なお、電極29、30の陽陰の極切換えは、上述の隔膜111や切換弁117、118等を有しないものでは、例えば1分間に数回から数1000回など、より頻繁に行うようにしても良い。又、このように電極29,30はそのいずれをも陽極とし得る場合があり、そのために前記第2参考例において着脱を可能とする電極は、固定的に陽極とする側に限られず、少なくともいずれか片側の電極であれば良い(両方の電極をともに着脱可能としても良い)。
【0097】
このほか、図示はしないが、例えば槽2内の洗濯液中に光を投じてそれの到達度合で洗濯液の汚れを検知し、ひいてはその洗濯液に含まれる、洗濯物から分離した汚れの度合を検知する汚れ検知手段たる汚れセンサを具備し、この汚れセンサの検知結果から、電気分解装置21における電解質溶液の電気分解に供する電気量(電極29,30間に与える電気量)を増減させる方法もある。
【0098】
特に、洗濯物の汚れが多くなれば、その汚れに含まれる雑菌数も多くなる傾向にあり、汚れが少なくなれば、雑菌数も少なくなる傾向にある。一方、電解質溶液の電気分解に与える電気量を増やせば、殺菌液の生成量が多くなり、反対に電気量を減じれば、殺菌液の生成量は少なくなる。
【0099】
従って、上述のように、洗濯物の汚れを検知し、その検知結果に応じて、電解質溶液の電気分解に与える電気量を増減することにより、殺菌液の生成量が洗濯物の汚れに含まれる雑菌数に応じて増減されることになり、もって、その雑菌数に応じた適正な殺菌力を得ることができ、洗濯物の除菌が効率良くできる。
【0100】
又、この場合、前記風呂水使用設定スイッチの操作に応じて、電気分解装置21における電解質溶液の電気分解に供する電気量を増加させるようにしても良い。すなわち、風呂の残り水には、多くの有機物と多くの雑菌が含まれており、これに電気分解液を加えても、それがその風呂の残り水に含まれた有機物と雑菌を酸化するのに消費されてしまい、洗濯物及び槽2について充分な除菌効果が得られない場合がある。そこで、風呂水使用設定スイッチの操作に応じて、電気分解装置21における電解質溶液の電気分解に供する電気量を増加させるようにすることにより、より多くの殺菌液を生成し、もって洗濯物及び槽2について充分な除菌効果が得られるようにできる。
更にこのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の洗濯機によれば、電解質溶液を電気分解することによって生成する殺菌液を含む電気分解液により洗濯用の槽や洗濯物の除菌ができ、しかも、それが、洗濯に使用する洗剤の溶液を使用してできるから、特別の材料を要することなくしてできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示す洗濯機全体の破断平面図
【図2】 洗濯機全体の破断側面図
【図3】 電気分解装置の拡大斜視図
【図4】 電気的構成のブロック図
【図5】 自動コースの除菌機能に関するタイムチャート
【図6】 本発明の第2実施例を示す図5相当図
【図7】 本発明の第3実施例を示す図2相当図
【図8】 一部の拡大縦断側面図
【図9】 第1参考例を示す洗濯機全体の開蓋状態の斜視図
【図10】 図2相当図
【図11】 図3相当図
【図12】 第2参考例を示す図3相当図
【図13】 第3参考例を示す図9相当図
【図14】 第4参考例を示す電気分解装置の縦断側面図
【図15】 第5参考例を示す図14相当図
【図16】 本発明の第実施例を示す電気分解装置の概略構成図
【符号の説明】
2は洗濯用の槽、3は外槽、4は内槽、7は孔、21は電気分解装置、24は注水ケース、25は洗剤投入ケース、26は分岐パイプ、27は電気分解槽、27bは蓋の分離可能な部分、29,30は電極、39は輸液ホース(輸液手段)、40は供給口、41は供給装置(供給手段)、43は変流器(導電度検知手段)、44は電流検出回路(導電度検知手段)、46は制御回路、61は輸液チューブ(輸液手段)、61aは出液口、75は供給装置(供給手段)、81は開閉部、91は給液槽、92は電解質溶液、100,113は供給装置(供給手段)を示す。

Claims (3)

  1. 洗濯用の槽と、
    この槽とは別の電気分解槽に、対を成す電極を具えて構成された電気分解装置と、
    前記電気分解槽に接続され、洗剤が収納可能な注水ケースと、
    この注水ケースに給水して前記洗剤を洗剤溶液とし、該洗剤溶液を前記電気分解槽に供給する給水弁と、
    前記電気分解装置により電気分解された電気分解液を前記電気分解槽から出して前記洗濯用の槽へ供給する供給手段とを具備し、
    前記電気分解装置が前記電気分解槽に供給された洗剤溶液を電気分解して電気分解液を生成することを特徴とする洗濯機。
  2. 電気分解装置における洗剤溶液の電気分解を、電極間に一定の電気量を与えて行うことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
  3. 洗濯用の槽への電気分解液の供給を、洗濯用の槽に貯水した状態で行なうことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
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