JP3932890B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外周耐圧構造部を有する半導体装置の製造方法に関するもので、MOSFET、IGBTなどのパワー素子の製造方法に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
図4に従来の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、IGBTと記す)素子を有する半導体装置の断面構造の一例を示す。図4の左側部分は複数の半導体素子が構成されているセル部の一部分であり、図4の右側部分はセル部の外周にIGBTの耐圧を向上させる為の手段が形成された外周耐圧構造部の一部分である。
【0003】
図4のIGBTは、主表面と裏面を有するp+型基板1の主表面上にn-型層2が形成されており、n-型層2の表層部のうち、セル部では第1p型ウェル3が形成されており、外周耐圧構造部では第2p型ウェル12’が形成されている。そして、セル部では、第1p型ウェル3よりも接合深さが浅く、また、第1p型ウェル3と重なるようにp型ベース領域4が形成され、このp型ベース領域4の表層部にn+型ソース領域5が形成されている。そして、このn+型ソース領域5とn-型層2とに挟まれたp型ベース領域4をチャネル領域とし、この上に絶縁膜としてのゲート絶縁膜6を介してゲート電極7が設けられている。
【0004】
また、n+型ソース領域5とp型ベース領域4との上には、これと電気的に接続されたエミッタ電極8が設けられ、さらに、層間絶縁膜10に絶縁分離されて、ゲート電極8の上にもエミッタ電極8が延設されている。そして、p+型基板1の裏面側にコレクタ電極11が設けられている。
【0005】
このように、n+型ソース領域5とp型ベース領域4とを有し、p型ベース領域4及びn+型ソース領域5の上のエミッタ電極8と、p型ベース領域4の上のゲート電極8とを有する構造を1セルとして、セル部は、これらが複数設置された構成となっている。
【0006】
一方、外周耐圧構造部では、n-型層2の表層部に第2p型ウェル12’が形成され、耐圧向上のために電界緩和用のp型領域4’が第2p型ウェル12’の外側に重なって形成されている。そして、第2p型ウェル12’のセル部側の上にエミッタ電極8が延設されており、第2p型ウェル12’とエミッタ電極8とが電気的に接続している。また、この第2p型ウェル12’のうち、セル部から離れた側の上には絶縁膜としてのLOCOS酸化膜13が形成され、さらにこのLOCOS酸化膜13上にフィールドプレート14が形成されている。そして、フィールドプレート14の周りに酸化膜15が形成され、その上に層間絶縁膜10が形成された構成となっている。
【0007】
この外周耐圧構造部に形成された第2p型ウェル12’はいくつかの役割を有しており、例えば、ブレークダウン時に発生するセル部以外のキャリアの吸入口や、誘導負荷遮断時等の残留キャリアの吸入口として働くように設置され、キャリアがセル部に集中して破壊されてしまうのを防止したり、また、外周部側の半導体素子に集まる電界を緩和させる等の役割がある。
【0008】
なお、一般的な外周耐圧構造部では、この第2p型ウェル12’だけではなく、この他にガードリング構造、ツェナーダイオード等の高耐圧化の手段が設けられているものもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようなIGBT素子に高いサージ電圧が印加されたり、大きなサージ電流が流れると、セル部では図4のa点において、外周耐圧構造部では主にb点においてブレークダウンが生じ、a点では電流I1’が、b点では電流I2’が図中の矢印のように流れる。
【0010】
このとき、セル部に流れる電流I1’は、セル部のチップ占有面積が大きいことから、各セル領域で分散され均一に流れる。しかし、外周耐圧構造部では、外周耐圧構造部のチップ占有面積が小さく、さらにセル部の周辺からも電流が集まる為に電流I2’の電流密度は電流I1’よりも高くなる。この為、第2p型ウェル12’に熱が発生し、第2p型ウェル12’中のSiが溶融するなどの問題が発生する。
【0011】
上記の問題を解決する方法として、第2p型ウェル12’のキャリア濃度を下げることにより抵抗を増加させ、電流I2’を減少させる方法が考えられるが、一般的なIGBTの製造工程では、第1p型ウェル3と第2p型ウェル12’とをイオン注入法により同時に形成しており、第2p型ウェル12’のキャリア濃度を下げるために、異なるドーズ量にて第1p型ウェル3と第2p型ウェル12’とを別々に形成すると、工程数が増加してしまうので好ましくない。また、ドーズ量を減少させて第1p型ウェル3と第2p型ウェル12’とを同時に形成すると、第1p型ウェル3のキャリア濃度が低減されるためにセル部のラッチアップ耐量が低下してしまうという問題が発生する。
【0012】
本発明は上記点に鑑みて、セル部の第1ウェルのキャリア濃度を低減させることなく、外周耐圧構造部の第2ウェルの抵抗を増加させることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、主表面上に第1導電型の半導体層(2)を有する半導体基板(1)を用意する工程と、第1導電型の半導体層(2)の表層部のうち、セル部では第2導電型の第1ウェル(3)を形成し、外周耐圧構造部では第2導電型の第2ウェル(12)を形成する工程と、半導体層(2)の表面上に絶縁膜(6、13)を形成する工程と、絶縁膜上のうち、セル部のチャネル形成予定領域上にゲート電極(7)を形成すると共に、外周耐圧構造部にフィールドプレート(14)を形成する工程と、第1ウェル(3)よりも接合深さが浅く、該第1ウェルと重なった第2導電型のベース領域(4)を形成する工程と、ベース領域(4)の表層部に第1導電型のソース領域(5)を形成する工程と、ソース領域(5)と電気的に接続する第1金属電極(8)を形成すると共に、第2ウェル(12)と電気的に接続する第2金属電極(8)を形成する工程と、半導体基板(1)の裏面に該半導体基板(1)と電気的に接続する第3金属電極(11)を形成する工程とを有し、第2ウェル(12)を形成する工程では、第2ウェルの形成予定領域において、複数の開口している領域が離間して形成されたマスクを使用してイオン注入することで複数のウェル(12a)を互いに離間するように形成し、その後に熱処理をして、複数のウェルを拡散させ、該複数のウェルの隣り合うもの同士を接続させることにより、複数のウェルのうち、イオン注入がなされた領域に相当するキャリア濃度が高い複数の領域の間に、拡散によって形成されたキャリア濃度が低い領域を配置させる工程と、第2ウェル(12)の表層部をエッチングすることで該第2ウェル(12)の表層部のキャリア濃度を低減させる工程とを行うことを特徴とする。
【0014】
このように、請求項1に記載の発明では、複数のウェルのうち、イオン注入がなされた領域に相当するキャリア濃度が高い複数の領域の間に、拡散によって形成されたキャリア濃度が低い領域を配置させる工程を行って、キャリア濃度が高い複数の領域の間に、キャリア濃度が低い領域が設置されている構成の第2ウェルを形成する。このため、第2ウェルは、抵抗が小さな領域の間に抵抗が大きな領域が存在することになり、キャリア濃度が高い領域のみで構成された第2ウェルを形成する場合と比較して、第2ウェルの抵抗を全体的に増加させることができる。
さらに、請求項1に記載の発明では、第2ウェル(12)の表層部をエッチングすることで該第2ウェル(12)の表層部のキャリア濃度を低減させる工程を行うので、第2ウェルのうち、イオン注入された領域に相当するキャリア濃度が高い領域のキャリア濃度も低下させることができ、第2ウェルの抵抗をより多く増加させることができる。
【0015】
従って、セル部の第1ウェルのキャリア濃度を低減させることなく、第2ウェルの抵抗を増加させることができる。これにより、ブレークダウン時に第2ウェルに流れ込む電流を制限し、この部位の電流密度を低下させることができる。そして、電流密度の過大による熱の発生を抑制し、第2ウェル中のSiの溶融などを防止することができる。
【0018】
また、請求項2に示すように、前記第2ウェルを形成する工程では、少なくともセル部から外側に向かう方向で離間して形成されている複数の開口している領域を有するマスクを使用することで、少なくともセル部から外側に向かう方向に互いに離間するように前記複数のウェルを形成することもできる。
【0019】
このようにすれば、第2ウェルの抵抗をセル部から外側に向かう方向で増加させることができる。これにより、ブレークダウン時に外周耐圧構造部の第2ウェルに流れ込む電流を効果的に制限することができる。
【0022】
また、請求項3に示すように、セル部の第1ウェルと外周耐圧構造部の第2ウェルとを同時に形成した後に、第2ウェルの表層部をエッチングする工程を追加すれば、セル部の第1ウェルのキャリア濃度を低減させることなく、第2ウェルの表層部のキャリア濃度を低減させることができる。これによってもブレークダウン時に外周耐圧構造部の第2ウェルに流れ込む電流を制限することができる。
【0023】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を適用した半導体装置の部分断面図を図1(a)に示す。この図は、この半導体装置に形成されるIGBT素子のセル部の一部分及び外周耐圧構造部の一部分を示している。なお、先に説明した図4の従来の半導体装置と同じ箇所は同じ番号を記しているので説明を省略し、従来の構造と異なる部分について主に説明する。
【0025】
図1(a)の半導体装置は、半導体基板としてp+型基板1を用いている。この主表面上に形成されたn-型層2(半導体層2)の表層部のうち、紙面右側の外周耐圧構造部に形成された第2p型ウェル12は、複数のp型ウェル12aによって構成されている。この複数のp型ウェル12aは、例えば、幅が約6μmでセル部から外側に向かう方向(紙面左右方向)に並べられ、複数のp型ウェル12aの隣り合うもの同士が約2μm重なり合っている。そして、p型ウェル12のセル部から離れた側にp型領域4’が形成されている。
【0026】
図1(a)中のA−A’間のキャリア濃度分布図を図1(b)に示す。実線が本実施形態での第2ウェル12近傍のキャリア濃度であり、点線が参考として示した従来構造(図4)の同部位でのキャリア濃度である。本実施形態では、複数の各p型ウェル12aの中央部のキャリア濃度は従来と同じであるが、これらが重なり合っている部分のキャリア濃度は従来よりも低くなっており、すなわち、抵抗が増加している。
【0027】
このように第2p型ウェル12の表層部がセル部から外側に向かう方向において、キャリア濃度が従来と同じように高い領域とそれよりも低い領域とが交互に配置されている。すなわち、従来と同様に抵抗が小さい領域と従来よりも抵抗が大きな領域とが交互に配置されている。このため、第2p型ウェル12は全体として従来構造よりもセル部から外側に向かう方向において抵抗が増加している。このことから、ブレークダウン時に外周耐圧構造部の第2p型ウェル12に流れ込む電流を制限することができ、電流密度の過大による熱の発生を抑制し、第2p型ウェル12中のSiの溶融などを防止することができる。
【0028】
図2(a)〜(d)に図1(a)に示す半導体装置の製造工程を示し、以下図2(a)〜(d)に基づいて製造方法を説明する。
【0029】
図2(a)に示す工程では、表面と裏面とを有するp+型基板1(図示なし)を用意し、このp+型基板1の表面の上にn-型層2を形成し、このn-型層2の上にパッド酸化膜20を形成する。その上にフォトリソグラフィ工程により、フォトレジスト(図示なし)を選択的に配置した後、これをマスクとして、パッド酸化膜20をスルー膜としたイオン注入を行い、セル部の第1p型ウェル3と外周耐圧構造部の複数のp型ウェル12aを同時に形成する。
【0030】
図3(a)は、イオン注入工程にて、第1p型ウェル3と複数のp型ウェル12aを形成するときに使用するマスクのパターンの一部を示したものである。なお、ハッチングがされている領域がマスクとなる領域である。
【0031】
この図は半導体基板の上から見た図であり、紙面左側がセル部でのパターンであり、紙面右側が外周耐圧構造部でのパターンである。
【0032】
イオン注入工程では、この図に示すように、例えば、セル部では、幅が約5.5μmで複数の開口部が約34μmの間隔でストライプ状に形成され、外周耐圧構造部では、幅が約1.5μmでセル部の外周に沿った方向に開口した6つの開口部が、約10μmの間隔でストライプ状に形成されているマスクを使用する。そして、例えば、不純物としてp型不純物であるボロンをドーズ量2.0×1015cm-2、イオン注入エネルギー60keVで注入している。
【0033】
このとき、形成された第1p型ウェル3と複数のp型ウェル12aとは、図2(a)に示される断面構造となり、セル部に形成された第1p型ウェルは基板と平行な方向の一方向に延びた形状となり、外周耐圧構造部に形成された複数のp型ウェルは基板と平行な方向で外周に沿って延びた形状となる。
【0034】
また、この時点においては第2p型ウェル12は複数のp型ウェル12aが図2(a)に示すようにセル部から外側に向かう方向で離間した状態である。
【0035】
次に、図2(b)に示す工程では、フォトレジストを除去し、選択酸化(LOCOS酸化)を行う。例えば、パッド酸化膜20の上にSi3N4膜(図示なし)を形成した後、Si3N4膜をパターニングし、その後LOCOS酸化を行いLOCOS酸化膜13を形成する。この時、LOCOS酸化と同時に第1p型ウェル3と複数のp型ウェル12aを拡散させ、複数のp型ウェル12aの隣り合うもの同士を接続させる。この拡散により形成される領域のキャリア濃度が例えば2×1015cm-3程度になるようにする。また、後の工程にてp型ウェル12のセル部から離れた側に重なるようにp型領域4’を形成するため、LOCOS酸化膜13のうちこの形成予定領域に相当する部分を薄くしておく。
【0036】
なお、この領域のキャリア濃度は、イオン注入された領域よりもキャリア濃度が低く、かつ、複数のp型ウェル12aの隣同士が電気的に接続されるようにn-型層2のキャリア濃度よりも高くなるように設定されていれば良い。
【0037】
このように、拡散させて複数のp型ウェル12aの隣り合うもの同士を接続させることにより、第2p型ウェル12の表層部は、セル部から外側に向かう方向で、イオン注入された領域の濃度に相当するキャリア濃度が高い複数の領域と、拡散によって形成された低い領域とが交互に配置された構成となる。すなわち、従来と同様に抵抗が小さい領域と従来よりも抵抗が大きな領域とが交互に配置された構成となる。このため、セル部から外側に向かう方向において第2p型ウェル12の表層部の抵抗を全体的に従来構造よりも増加させることができる。
【0038】
これにより、ブレークダウン時に外周耐圧構造部の第2p型ウェル12に流れ込む電流を制限し、この部位に流れる電流の電流密度を低下させることができる。そして、電流密度の過大による熱の発生を抑制し、第2p型ウェル12中のSiの溶融などを防止することができる。
【0039】
図2(b)に示す工程では、その後、Si3N4膜とパッド酸化膜20とを除去し、n-型層2の表面にゲート酸化膜6を形成する。
【0040】
図2(c)に示す工程では、ゲート酸化膜6の上にpoly−Siを堆積させ、パターニングを行い、ゲート電極7を形成する。このとき、LOCOS酸化膜13上にもpoly−Siを堆積させフィールドプレート14を形成する。
【0041】
図2(d)に示す工程では、熱処理をすることによりゲート電極7及びフィールドプレート14のそれぞれの周りに酸化膜9、酸化膜15を形成する。そして、酸化膜9とゲート電極7とをマスクとしたイオン注入を行い、p型ベース領域4を形成する。このときp型ベース領域4を形成すると同時に、第2p型ウェル12のセル部と離れた側(外側)にも、イオン注入により、p型領域4’を形成する。そして、フォトリソグラフィ工程により、n+型ソース領域5の形成予定領域を開口したフォトレジスト(図示なし)を利用したイオン注入をし、n+型ソース領域5を形成する。その後、p型ベース領域4とn+型ソース領域5とを熱処理することにより、活性化させる。
【0042】
そして、フォトレジストを除去し、表面上に層間絶縁膜10を形成する。その後、第1p型ウェル3及びn+型ソース領域5と、第2p型ウェル12と、フィールドプレート14との上にコンタクトホールを開口させ、これらと電気的に接続するようにコンタクトホール内にコンタクトプラグ(図示なし)を形成する。さらに、コンタクトプラグと層間絶縁膜10との上に金属膜を蒸着させ、パターニングすることによりエミッタ電極8及びゲート配線層16を形成する。
【0043】
なお、ここでは、第1p型ウェル3及びn+型ソース領域5と電気的に接続した第1金属電極と、第2p型ウェル12と電気的に接続した第2金属電極とが共通のエミッタ電極8となるように金属膜をパターニングしているが、別々の電極となるように金属膜をパターニングしても良い。
【0044】
その後、図示しないがp+型基板の裏面に金属膜を蒸着して、コレクタ電極11(第3金属電極)を形成することで、本発明の第1実施形態を適用した半導体装置が構成される。
【0045】
なお、第1p型ウェル3と第2p型ウェル12とをイオン注入法にて形成する際に使用するマスクの開口部の配置として、図3(a)のパターンを採用したが、図3(b)、(c)に示す他のパターンを採用しても良い。
【0046】
図3(b)に示すように略四角形の開口部を所定間隔で点在するように配置することで、複数のp型ウェル12aを拡散させてキャリア濃度が低い領域を多く形成することができる。このため、第2p型ウェルの表層部全体の抵抗をより増加させることができる。
【0047】
しかしながら、図3(b)のように開口部を点在した配置にすると、形成された第2p型ウェルの最外周の部分は、半導体基板の外から見ると、図1(a)の第2p型ウェル12の断面図のように底面に凹凸が存在する構造となる。それにより、この底面に電界が集中しやすくなり、耐圧の低下が起きる可能性がある。そこで、図3(c)のように最も外側(紙面の一番右)の開口部が、第2p型ウェルの外周方向(紙面の上下方向)に沿って連続した開口形状となっているマスクを使用して、第2ウェルの最外周の底面が直線状となるように形成するのが好ましい。
【0048】
なお、図3(b)、(c)では開口部の形状が略四角形で示しているが、これ以外の円形などの形状でも良い。また、図3(a)〜(c)では、各開口部は同じ幅と間隔で形成されているが、互いが異なる幅と間隔で形成しても良い。
【0049】
また、開口部の幅はイオン注入が可能な限り1.5μmよりも小さくても良く、開口部の隣との間隔は熱処理をした時に、複数のp型ウェル12aが拡散して、これらの隣り合うもの同士が重なり合うように設定すれば良い。
【0050】
なお、図3(a)〜(c)のマスクパターンでは、セル部においては、開口部がストライプ状に形成されていたが、この形状や配置に限らず、第1p型ウェル3が一般的な形状となるような開口部の形状と配置にしても良い。
【0051】
(第2実施形態)
また、本実施形態のように、第1実施形態の製造方法に、第2p型ウェルの表層部をエッチングする工程を追加しても良い。
【0052】
例えば、図2(a)の工程が終了した後、LOCOS酸化膜13を形成する前に、フォトレジストとパッド酸化膜20とを除去する。そして、マスクを形成し、それを利用して複数のp型ウェル12aが形成されている領域の表面を僅かにドライエッチングする。
【0053】
これにより、イオン注入された領域に相当するキャリア濃度が高い領域のキャリア濃度も低下させることができる。そして、さらにそれらの間に拡散によるキャリア濃度がより低減された領域を配置するので、第2p型ウェル12の表面層のキャリア濃度を第1実施形態よりも全体的に低減させることができる。すなわち、外周耐圧構造部の第2p型ウェル12の抵抗をより増加させることができる。
【0054】
(他の実施形態)
第2実施形態では、外周耐圧構造部の第2p型ウェル12を複数のp型ウェル12aの隣り合うもの同士が重なり合った構成となるように形成し、さらにこの表層部をエッチングすることで、第2p型ウェル12の表層部のキャリア濃度を低減させていたが、図4に示した従来構造のように、第2p型ウェル12’をその表層部のキャリア濃度が全て均一となるように形成し、第2p型ウェル12’の表層部をエッチングしても良い。
【0055】
この製造方法は、第2実施形態での製造方法において、第2p型ウェル12を形成するときに使用するマスクのパターンを従来と同様なものにしたものであり、それ以外は第2実施形態と同様である。
【0056】
これによっても、第2p型ウェル12’の表面全体のキャリア濃度を低下させ、すなわち抵抗を増加させる。このため、第1p型ウェル3のキャリア濃度を減少させることなく、第2p型ウェル12’の表面全体の抵抗を増加させることができる。
【0057】
また、上記の各実施形態では、第2p型ウェル12のセル部と離れた側(外側)に重なってp型領域4’が形成されていたが、このp型領域4’を有しない構造とすることもできる。
【0058】
なお、上記の各実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたNチャネルタイプのIGBTを例に挙げて説明したが、各構成要素の導電型を逆にしたPチャネルタイプのIGBTであっても本発明を適用することができる。
【0059】
また、上記の各実施形態では、プレーナ型の縦型IGBTを備える半導体装置に本発明の一実施形態を適用した場合について説明したが、トレンチゲート型のIGBTを備える半導体装置に適用しても良い。また、半導体基板1と半導体層2とを異なる導電型としたIGBTの代わりに、半導体基板1と半導体層2とを同一の導電型としたMOSFETを備える半導体装置に適用しても、本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態における半導体装置の部分断面を示す図であり、(b)は(a)中のA−A’間のキャリア濃度分布を示す図である。
【図2】図1(a)に示す半導体装置の製造方法を示す図である。
【図3】図1(a)に示す半導体装置の製造方法において、イオン注入法によりセル部の第1p型ウェルと外周耐圧構造部の第2p型ウェルを形成するときに使用するマスクのパターンを示す図である。
【図4】従来の半導体装置の部分断面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…p+型基板、2…n-型層、3…第1p型ウェル、4…p型ベース領域、4’…p型領域、5…n+型ソース領域、6…ゲート酸化膜、7…ゲート電極、8…エミッタ電極、9…酸化膜、10…層間絶縁膜、11…コレクタ電極、12…第2p型ウェル、13…LOCOS酸化膜。
Claims (3)
- 複数の半導体素子で構成されているセル部とその周りに形成された外周耐圧構造部を有する半導体装置の製造方法であって、
主表面上に第1導電型の半導体層(2)を有する半導体基板(1)を用意する工程と、
前記第1導電型の半導体層(2)の表層部のうち、前記セル部では第2導電型の第1ウェル(3)を形成し、前記外周耐圧構造部では第2導電型の第2ウェル(12)を形成する工程と、
前記半導体層(2)の表面上に絶縁膜(6、13)を形成する工程と、
前記絶縁膜上のうち、前記セル部のチャネル形成予定領域上にゲート電極(7)を形成すると共に、前記外周耐圧構造部にフィールドプレート(14)を形成する工程と、
前記第1ウェル(3)よりも接合深さが浅く、該第1ウェルと重なった第2導電型のベース領域(4)を形成する工程と、
前記ベース領域(4)の表層部に第1導電型のソース領域(5)を形成する工程と、
前記ソース領域(5)と電気的に接続する第1金属電極(8)を形成すると共に、前記第2ウェル(12)と電気的に接続する第2金属電極(8)を形成する工程と、
前記半導体基板(1)の裏面に該半導体基板(1)と電気的に接続する第3金属電極(11)を形成する工程とを有し、
前記第2ウェル(12)を形成する工程では、前記第2ウェルの形成予定領域において、複数の開口している領域が離間して形成されたマスクを使用してイオン注入することで複数のウェル(12a)を互いに離間するように形成し、その後に熱処理をして、前記複数のウェルを拡散させ、該複数のウェルの隣り合うもの同士を接続させることにより、前記複数のウェルのうち、前記イオン注入がなされた領域に相当するキャリア濃度が高い複数の領域の間に、前記拡散によって形成されたキャリア濃度が低い領域を配置させる工程と、前記第2ウェル(12)の表層部をエッチングすることで該第2ウェル(12)の表層部のキャリア濃度を低減させる工程とを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記第2ウェル(12)を形成する工程では、少なくともセル部から外側に向かう方向で離間して、複数の開口している領域が形成されたマスクを使用することで、少なくともセル部から外側に向かう方向に互いに離間するように前記複数のウェル(12a)を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
- 複数の半導体素子で構成されているセル部とその周りに形成された外周耐圧構造部を有する半導体装置の製造方法であって、
主表面上に第1導電型の半導体層(2)を有する半導体基板(1)を用意する工程と、
前記第1導電型の半導体層の表層部のうち、前記セル部では第2導電型の第1ウェル(3)を形成し、前記外周耐圧構造部では第2導電型の第2ウェルを形成する工程と、
前記半導体層(2)の表面上に絶縁膜(6、13)を形成する工程と、
前記絶縁膜上のうち、前記セル部のチャネル形成予定領域上にゲート電極(7)を形成すると共に、前記外周耐圧構造部にフィールドプレート(14)を形成する工程と、
前記第1ウェルよりも接合深さが浅く、前記第1ウェルと重なった第2導電型のベース領域(4)を形成する工程と、
前記ベース領域の表層部に第1導電型のソース領域(5)を形成する工程と、
前記ソース領域(5)と電気的に接続する第1金属電極(8)を形成すると共に、前記第2ウェルと電気的に接続する第2金属電極(8)を形成する工程と、
前記半導体基板(1)の裏面に該半導体基板(1)と電気的に接続する第3金属電極(11)を形成する工程とを有し、
前記第2ウェルを形成する工程では、イオン注入法により前記第2ウェルを形成した後、該第2ウェルの表層部をエッチングすることにより、該第2ウェルの表層部のキャリア濃度を低下させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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