JP3932765B2 - 紙製トレー状容器のトップシール方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙製トレーと該トレーの開口部を覆うように載置される蓋材とを紙製トレーのフランジで密封シールする紙製トレー状容器のトップシール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、少なくとも内面に熱可塑性プラスチック樹脂が塗布された複合板紙からなる蓋材を、紙製容器本体の内面に熱可塑性プラスチック樹脂皮膜を設けた紙製トレー状容器からなり、前記紙製容器本体は、方形の底面板の各辺に折り曲げ線を介在させて側面板とフランジが順次連設され、この紙製容器本体の内面に熱可塑性プラスチック樹脂皮膜を一体化した紙製トレーに、該紙トレーの開口部を覆うように載置し、蓋材の周縁とそれに重なる紙製トレーのフランジとを密封シールする紙製トレー状容器のシール方法としては、上下方向の力で紙製トレーのフランジとそれに該当する蓋材とを断面形状が凸型のリング状バーで熱シールする方法が採用されていた。
【0003】
このシール方法は、フランジを有するプラスチック成形容器などを熱シールする場合には、簡便で有利な熱シール方法であるが、フランジ同士が重なり合うような紙製のトレー状容器に対しては重なり合ったフランジ部分が段差部分が生じ、通常の一般的な熱シール時間ではフランジの段差部分が埋めきれず、フランジとフランジの重なった段差部分から液状物、粉末状物や顆粒状物などの収容物が漏れだしてしまうことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少なくとも内面に熱可塑性プラスチック樹脂が塗布された複合板紙からなる蓋材を、紙製容器本体の内面に熱可塑性プラスチック樹脂皮膜が設けられた紙製トレー状容器からなり、前記紙製容器本体は、方形の底面板の各辺に折り曲げ線を介在させて側面板とフランジが順次連設され、内面に熱可塑性プラスチック樹脂皮膜を一体化した紙製トレーに、該紙トレーの開口部を覆うように載置し、蓋材の周縁とそれに重なる紙製トレーのフランジとを密封シールする紙製トレー状容器のシール方法に関する以上のような問題点に着目してなされたもので、通常の熱シール時間でも完全な密封シールが可能な紙製トレー状容器のトップ部のシール方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、少なくとも内面に熱可塑性プラスチック樹脂が塗布された複合板紙からなる蓋材を、紙製容器本体の内面に熱可塑性プラスチック樹脂皮膜を設けた紙製トレー状容器からなり、前記紙製容器本体は、方形の底面板の各辺に折り曲げ線を介在させて側面板とフランジが順次連設され、この紙製容器本体の内面に熱可塑性プラスチック樹脂皮膜を一体化した紙製トレーに、該紙トレーの開口部を覆うように載置し、蓋材の周縁とそれに重なる紙製トレーのフランジとを密封シールしてなる紙製トレー状容器のトップシール方法であって、第1次シールとして、先ず、上下方向の力で紙製トレーのフランジとそれに重なる蓋材の周縁とを断面形状が凸型のリング状バーで熱シールし、ついで第2次シールとして、互いに隣り合うフランジが重なり合った段差部分に楔形状バーで段差部分をなくするようにポイントシールすることを特徴とする紙製トレー状容器のトップシール方法である。
【0006】
このように、紙製トレー状容器のフランジとそれに重なる蓋材の周縁とを熱シールするに際して、第1次シールとして、先ず、上下方向の力で紙製トレーのフランジとそれに重なる蓋材の周縁とを断面形状が凸型のリング状バーで熱シールし、ついで第2次シールとして、互いに隣り合うフランジが重なり合った段差部分に楔形状バーで段差部分をなくするようにポイントシールするという2段階シールをしているので、紙製トレー状容器のフランジとそれに重なる蓋材の周縁とは完全な熱シールが行われる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の紙製トレー状容器のトップシール方法を用いて、蓋材をシールした紙製トレー状容器を示し、図2は本発明の紙製トレー状容器のトップシール方法を示す模式説明図である。
【0009】
紙製トレー状容器を構成する紙製トレー10と蓋材20の材質構成は、板紙1にシーラントとなる熱可塑性プラスチック樹脂2を積層した複合板紙を基本構成とする。
【0010】
板紙1には、コートボール、コートマニラ、アイボリー等が好ましく使用できる。
また、熱可塑性プラスチック樹脂2としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱融着性を有する樹脂が好ましく使用でき、成形性、耐熱性から未延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)は特に好適に使用できる。
【0011】
蓋材を構成する材料である板紙に熱可塑性プラスチック樹脂を塗布する方法としては、あらかじめフィルム状に加工された熱可塑性プラスチック樹脂を接着剤や溶融プラスチック樹脂を介在させて板紙と積層させても、また、熱溶融させた熱可塑性プラスチック樹脂を板紙の上に塗布するいわゆる溶融押出し法によって塗布しても、いずれの方法によっても構わない。
【0012】
必要に応じては、板紙の両面に熱可塑性プラスチック樹脂を積層することもあり、板紙と熱可塑性プラスチック樹脂の間に中間層3として、例えば、ガスバリア性を付与するために、第3の樹脂層を設けることもあり、また、紙製トレーや蓋材の外側面に印刷表紙層(図示せず)やオーバーコートニス層(図示せず)を設けることもある。
【0013】
紙製トレー用のブランクや紙製トレーの開口部を覆う大きさの蓋材のブランクは、一般的には前述した板紙に熱可塑性プラスチック樹脂を積層したロール状の複合板紙から連続的に折り曲げ線付け等の加工と同時に打ち抜き作製する。
【0014】
紙製トレーへの組み立ては、紙製トレー用のブランクを熱可塑性プラスチック樹脂が内面になるようにして、専用のトレー組立機にセットすることにより容易に組立てることができる。
この場合、例えば、図1(b)に示すように隣り合ったフランジ同士は重なり合って、紙厚の違いによる段差が生じる。
【0015】
組み立てた紙製トレー10に、必要に応じて内容物を収納後、開口部に熱可塑性プラスチック樹脂が内面になるようにして蓋材20を被せ、蓋材の周縁とそれに重なる紙製トレーのフランジを専用のシーラーで熱融着して本発明の紙製トレー状容器のトップシール方法を用いて作製した紙製トレー容器とした。
【0016】
この時の熱シール方法が重要であるので以下に詳細に述べる。
すなわち、先ず、第1セクションとして、紙製トレーのフランジ13と、このフランジと重なる蓋材20の周縁とを、断面形状が凸型のリング状バーmを用いて上下方向の力で、熱圧着することによりシーラントである熱可塑性プラスチック樹脂を溶かし、フランジ13と蓋材の周縁とを熱融着させ、第1次シールを完了させる。
【0017】
続いて、第2セクションとして、フランジの重なった箇所に楔形状のバーnを用いて上下方向の力で熱圧着して、シーラントである熱可塑性プラスチック樹脂を溶かして、段差部分の蓋材との隙間sをシーラントで埋めて第2次シールである完全密着シールを完了させる。
【0018】
蓋材とフランジとの間の隙間sをシーラントで埋めたことによって、紙製トレー状容器のトップシールは完全なものとなる。
【0019】
【実施例】
以下に本発明の実施例をさらに具体的に説明する。
〈実施例1〉
先ず、坪量280g/m2 のコートマニラを所定の形状に打ち抜いたブランクを図1に示すように、フランジ部が重なるように容器を成形し、ついで、厚みが160μmのCPPを前記成形容器内面に真空成形して内面にCPPフィルムを密着させ、紙製トレーとした。
【0020】
ついで、〔内側〕坪量300g/m2 のコートマニラ/中間層(30μm)/シーラント(60μm)〔外側〕構成の複合板紙のロールを押出しラミネート法と貼り合わせラミネート法を併用して作製し、総厚みが約390μmの蓋材用の原紙とした。
なお、中間層としては厚みが30μmの低密度ポリエチレンを使用し、シーラントとしては厚みが60μmの線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)を使用した。
【0021】
つぎに、紙製トレー作製用の原紙から、打ち抜き機を用いて方形の底面板の各辺に折り曲げ線を介在させて側面板とフランジが順次連設された紙製トレーのブランクを作製した(フランジ幅;10mm)。
このブランクを製函機にセットして紙製トレー10とした。
【0022】
別に、蓋材用の原紙から打ち抜き機を用いて、紙製トレーの開口部を覆う大きさの紙製トレー用の蓋材20を作製した。
【0023】
最後に紙製トレー10に内容物である食品などを収納してシーラントであるL−LDPEが内面になるようにして蓋材を被せ、蓋材の周縁とそれに重なる紙製トレーのフランジ13を専用シーラーの第1セクションで温度;240°C、シール時間;4秒の条件で、第1次シールし(シールバーは断面形状が凸型のリング状バーを使用)、ついで、第2セクションで第1次シール後の隣り合ったフランジが重なり合った箇所に、縦5mm、横10mmの楔形状バーを使用して第1次シールと同じシール温度、シール時間の条件で、第2次シールを行い、重なり合ったフランジと蓋材との間に生じていた隙間sを溶けたシーラントが埋めることにより完全な密封シールが完了した。
こうして実施例1の紙製トレー状容器が作製できた(図2(a)、(b)参照)。
【0024】
〈比較例1〉
第1次シール、第2次シールともシール時間を2秒に短縮した以外は実施例1と同じ材料を使用して比較例1の紙製トレー状容器を作製した。
【0025】
こうして作製した2種類の紙製トレー状容器の密封性を下記の方法で評価した。その結果を表1に示す。
密封性の評価方法 ‥ ピンホールチェック液を紙製トレー状容器の1か所から注入し、15〜30分後にシール面からのピンホー
ルチェック液の液漏れの有無を確認する。
【0026】
【表1】
Figure 0003932765
【0027】
この結果から、断面形状が凸型のリング状バーと楔形状バーを組み合わせて、かつ、十分なシール時間を取ることにより、フランジが重なり合った紙製トレー状容器についても完全密封シールが可能となることがわかる(実施例1)。
【0028】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、フランジが重なり合った紙製トレー状容器に対して、内容物が液状物であっても、収納が可能となった。
また、トレーおよび蓋材にバリアー層を積層させることにより、種々のバリアー性容器への展開が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する紙製トレーの一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)の要部断面説明図である。
【図2】本発明の紙製トレー状容器のトップシール方法を用いて、蓋材をシールした紙製トレー状容器の一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は要部断面説明図である。
【図3】本発明の紙製トレー状容器のトップシール方法を用いて、蓋材をシールした紙製トレー状容器の第1次シールまで完了させた段階での要部断面説明図である。
【符号の説明】
1‥‥板紙
2‥‥熱可塑性プラスチック樹脂、シーラント
3‥‥中間層
10‥‥紙製トレー
11‥‥底面板
12‥‥側面板
13‥‥フランジ
20‥‥蓋材
m‥‥リング状バー(の跡)
n‥‥楔形状バー(の跡)
s‥‥隙間

Claims (1)

  1. 少なくとも内面に熱可塑性プラスチック樹脂が塗布された複合板紙からなる蓋材を、紙製容器本体の内面に熱可塑性プラスチック樹脂皮膜を設けた紙製トレー状容器からなり、前記紙製容器本体は、方形の底面板の各辺に折り曲げ線を介在させて側面板とフランジが順次連設され、この紙製容器本体の内面に熱可塑性プラスチック樹脂皮膜を一体化した紙製トレーに、該紙トレーの開口部を覆うように載置し、蓋材の周縁とそれに重なる紙製トレーのフランジとを密封シールしてなる紙製トレー状容器のトップシール方法であって、
    第1次シールとして、先ず、上下方向の力で紙製トレーのフランジとそれに重なる蓋材の周縁とを断面形状が凸型のリング状バーで熱シールし、ついで第2次シールとして、互いに隣り合うフランジが重なり合った段差部分に楔形状バーで段差部分をなくするようにポイントシールすることを特徴とする紙製トレー状容器のトップシール方法。
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