JP3931376B2 - 車両用燃料計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料の残量を検知する燃料残量センサからの燃料残量信号に基づいて燃料の残量を燃料表示部に表示するとともに、燃料の残量が所定の値以下に低下した場合に残量警告灯を点灯し、イグニッションスイッチのオフ中には一定の値を指示する置針式の車両用燃料計に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の車両用燃料計としては、例えば特開平4−138921号公報に開示されているように、坂道走行時における燃料残量表示が大きく誤ることを抑制しているものがあるが、このような従来の車両用燃料計における具体的な一例として、例えば図3に示すような回路構成を有する従来の車両用燃料計がある。
【0003】
この従来の車両用燃料計においては、燃料残量センサ1で検知した燃料の残量信号を応答性制御用フィルター回路31に供給し、この燃料残量信号を応答性制御用フィルター回路31から駆動出力回路33を介して燃料表示部7に供給し、これによりその指針7aを制御して、燃料残量を表示するとともに、応答性制御用フィルター回路31からの燃料残量信号を残量警告灯制御回路35に供給し、残量警告灯制御回路35において燃料残量信号が所定の値よりも小さいと判定した場合には、残量警告灯15を点灯し、燃料の残量が少ないことを警告している。
【0004】
また、従来の車両用燃料計における残量警告灯15は、図4に示すように、警告灯用センサ17からの出力で駆動されるようにもなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の車両用燃料計では、イグニッションスイッチのオフ時の燃料残量信号を記憶する機能を持たず、また燃料表示部7に対する燃料残量信号と同期して残量警告灯15の点消灯制御を行なっているため、例えばイグニッションスイッチのオフ直前に車両が坂道などの急斜面に駐車し、時間の経過後に、イグニッションスイッチをオンした時、燃料残量センサ1から入力される燃料残量信号がイグニッションスイッチのオフ時の燃料残量信号と異なっている場合があるが、このような場合に燃料表示部7の指針7aが急激に変化し、違和感を与えるおそれがある。
【0006】
また、燃料の残量が少なくなって、燃料の給油を行った後に、イグニッションスイッチをオンにした場合において、実際には燃料タンク内の燃料は所定値以上であり、残量警告灯15が点灯しないはずであるにも関わらず、燃料表示部7の指針7aの上昇中に残量警告灯15が点灯し、違和感を与えるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、イグニッションスイッチのオン時における燃料残量指示の急激な変化を防止するとともに、給油のイグニッションスイッチのオン時の残量警告灯の誤点灯を防止した車両用燃料計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、燃料の残量を検知する燃料残量センサからの燃料残量信号に基づいて燃料の残量を燃料表示部に表示するとともに、燃料の残量が所定の値以下に低下した場合に残量警告灯を点灯し、イグニッションスイッチのオフ中には一定の値を指示する置針式の車両用燃料計であって、イグニッションスイッチのオフ時の燃料残量信号をイグニッションスイッチのオフ時燃料残量信号として記憶する記憶手段と、イグニッションスイッチのオン時に燃料残量センサから入力されるイグニッションスイッチのオン時燃料残量信号及び前記記憶手段に記憶された前記イグニッションスイッチのオフ時燃料残量信号の間で変動がある場合に、前記イグニッションスイッチのオン時点から所定時間の間は前記イグニッションスイッチのオン時燃料残量信号を前記燃料表示部にまず第1の応答性で遅延させながら表示するようにし、更に該所定時間の経過後は前記第1の応答性より遅い第2の応答性で燃料残量センサから入力される燃料残量信号を燃料表示部に表示するように制御する応答性制御手段と、イグニッションスイッチのオン時点から前記所定の時間の間は残量警告灯を点灯させないように制御する残量警告灯制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の本発明において、前記イグニッションスイッチのオン時燃料残量信号及び前記記憶手段に記憶された前記イグニッションスイッチのオフ時燃料残量信号の間で変動がある場合が給油時であることを特徴とする。
【0010】
更に、請求項3記載の本発明は、請求項1または2記載の本発明において、前記所定の時間は、前記第1の応答性で燃料表示部の指針がエンプティを示すE点からフルを示すF点に達する時間よりも大きい時間であることを要旨とする。
【0011】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、イグニッションスイッチのオン時に燃料残量センサから入力されたイグニッションスイッチのオン時燃料残量信号と前記記憶手段に記憶された前記イグニッションスイッチのオフ時燃料残量信号との間で変動がある場合には、応答性制御手段により、前記イグニッションスイッチのオン時点から所定時間の間は前記イグニッションスイッチのオン時燃料残量信号を前記燃料表示部に第1の応答性で遅延させながら表示するので、従来のような違和感を解消することができる。また、イグニッションスイッチのオン時点から所定時間の経過後は、イグニッションスイッチのオフ時の燃料残量信号からイグニッションスイッチのオン時の間に燃料残量信号に変動があったとしても、燃料残量センサから入力される燃料残量信号の変動を無視して、前記第1の応答性より遅い第2の応答性で燃料残量センサから入力される燃料残量信号を燃料表示部に表示するように制御するため、例えば走行時などの入力信号の変動に対しても安定した指示を行うことができて、従来のような違和感を解消することができる。また、給油時には、第1の応答性で追従するため、短時間で燃料の残量が確認できる。
【0012】
更に、イグニッションスイッチのオン時点から所定の時間の間は残量警告灯を点灯させないように制御するので、従来のように給油したにも関わらず、残量警告灯が点灯するという違和感を解消することができる上に、従来の警告灯用センサを使用した場合よりも早期に警告の有無を伝達することができる。
【0013】
また、請求項2記載の本発明によれば、前記イグニッションスイッチのオン時燃料残量信号及び前記記憶手段に記憶された前記イグニッションスイッチのオフ時燃料残量信号の間で変動がある場合が給油時であるので、第1の応答性で指針が追従するため、短時間で燃料の残量が確認できる。
【0014】
更に、請求項3記載の本発明によれば、第1の応答性で燃料表示部の指針がE点からF点に達する時間よりも大きい時間を前記所定の時間としているので、燃料残量表示を安定的に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係わる車両用燃料計の回路構成を示すブロック図である。同図に示す車両用燃料計は、車両の燃料タンク内の燃料の残量を検知する燃料残量センサ1を有し、該燃料残量センサ1で検知した燃料の残量信号は電圧信号として応答性制御用フィルター回路3に供給される。応答性制御用フィルター回路3は入力された燃料残量信号の変動に対してフィルター制御を行なって、その応答性を制御し、この応答性を制御された燃料残量信号を駆動出力回路5に供給し、該燃料残量信号により駆動出力回路5を介して燃料表示部7の指針7aを駆動し、燃料残量を表示するとともに、この燃料残量信号を残量警告灯制御回路13に供給している。残量警告灯制御回路13は、燃料残量信号が所定の警告残量値よりも小さい場合にはトランジスタを介して残量警告灯15を駆動して点灯するようになっている。
【0017】
また、イグニッションスイッチIGNのオンオフ検知回路9は、イグニッションスイッチIGNのオン/オフを検知しており、イグニッションスイッチIGNのオン信号を前記応答性制御用フィルター回路3および残量警告灯制御回路13に供給するとともに、イグニッションスイッチIGNのオフ信号を記憶回路11に供給するようになっている。
【0018】
記憶回路11は、燃料表示部7を駆動する駆動出力回路5からの燃料残量信号が入力されており、イグニッションスイッチIGNのオンオフ検知回路9からイグニッションスイッチIGNのオフ信号が入力されると、この時の燃料残量信号を記憶するようになっている。すなわち、記憶回路11は、イグニッションスイッチがオフになった時の燃料残量信号(イグニッションスイッチIGNのオフ時燃料残量信号Aと称することにする)を記憶し、この記憶したイグニッションスイッチIGNのオフ時燃料残量信号Aを応答性制御用フィルター回路3に供給するようになっている。
【0019】
また、応答性制御用フィルター回路3は、イグニッションスイッチIGNのオンオフ検知回路9からイグニッションスイッチIGNのオン信号を供給されると、この時に燃料残量センサ1から入力される燃料残量信号(イグニッションスイッチIGNのオン時燃料残量信号Bと称することにする)を記憶回路11からのイグニッションスイッチIGNのオフ時燃料残量信号Aから変動した入力変動と見なし、所定の応答性(第1の応答性という αで遅延させながら、該イグニッションスイッチIGNのオン時燃料残量信号Bを駆動出力回路5に供給し、該駆動出力回路5を介して燃料表示部7を駆動し、その指針7aで燃料残量を表示するようになっている。
【0020】
また、応答性制御用フィルター回路3は、上述したようにイグニッションスイッチIGNのオン燃料残量信号Bを入力した後は、イグニッションスイッチIGNのオン時点から所定の時間t(秒)の間、燃料残量センサ1からの燃料残量信号を読み取らず、入力をイグニッションスイッチIGNのオン時燃料残量信号Bのまま一定としている。そして、所定の時間tの経過後は、前記第1の応答性αよりも遅い第2の応答性βに切り替え、この遅い第2の応答性βでもって燃料残量センサ1からの燃料残量信号を駆動出力回路5に供給し、該駆動出力回路5から燃料表示部7を駆動してその指針7aで燃料残量を表示するようにしている。
【0021】
また、残量警告灯制御回路13は、イグニッションスイッチIGNのオンオフ検知回路9からイグニッションスイッチIGNのオン信号を供給されると、所定の時間tの間は、応答性制御用フィルター回路3を介して入力される燃料残量センサ1からの燃料残量信号を無視して、残量警告灯15を消灯させたままに制御している。なお、所定の時間tは、第1の応答性αにて燃料表示部7の指針7aがエンプティを示すE点からフルを示すF点に達するまでの時間をT1(秒)とし、イグニッションスイッチIGNがオンした後に警告灯用センサ17が安定するまでの時間をT2(秒)とした場合、T1<t<T2のように設定される。
【0022】
以上のように構成される車両用燃料計において、例えば車両が平坦道から入ってきて坂道などの急斜面に駐車して、すぐにイグニッションスイッチIGNをオフにしたとすると、本車両用燃料計の記憶回路11はこのイグニッションスイッチIGNをオフにした時に駆動出力回路5から燃料表示部7に出力されている燃料残量信号を記憶することになるが、本車両用燃料計は上述したように応答性制御用フィルター回路3により第2の応答性βで作動しているため、記憶回路11には急斜面に入る前の平坦道における正常なイグニッションスイッチIGNのオフ時燃料残量信号Aが記憶されることになる。
【0023】
このようにして、記憶回路11にイグニッションスイッチIGNのオフ時燃料残量信号Aが記憶され、時間が経過した後、車両のイグニッションスイッチIGNがオンされると、車両が急斜面で傾斜していたため、燃料は燃料タンク内でいずれかの側に集まり、燃料残量センサ1によって検知される燃料の残量は駐車前よりも多くなっているかまたは少なくなっていることになるが、本車両用燃料計では、イグニッションスイッチIGNがオンになった時には、応答性制御用フィルター回路3はイグニッションスイッチIGNのオン時に燃料残量センサ1から入力されるイグニッションスイッチIGNのオン時燃料残量信号Bを第1の応答性αで駆動出力回路5に供給し、これにより燃料表示部7で燃料残量を表示しているため、急激な変動が起こらないようにしている。そして、イグニッションスイッチIGNのオン時点から所定時間tが経過した後は、第1の応答性αよりも遅い第2の応答性βで燃料残量センサ1からの燃料残量信号を駆動出力回路5に供給し、これにより燃料表示部7で燃料残量を表示している。このように所定時間tの経過後において、遅い第2の応答性βで燃料残量を表示することにより、車両の走行時における入力信号の変動に対しても安定した燃料残量の指示を得ることができる。
【0024】
また、給油した場合にも、上述したのと同じ動作を行うことができるが、更に燃料が非常に減っていたことによって残量警告灯15が点灯していた場合に給油を行なったとし、この給油完了後にイグニッションスイッチIGNをオンにしたとすると、従来の車両用燃料計では給油により燃料の残量が所定量を越えていても、指針7aの上昇中に残量警告灯15が誤って点灯することがあったが、本車両用燃料計においては、残量警告灯制御回路13はイグニッションスイッチIGNのオン時点から所定の時間tの間は、応答性制御用フィルター回路3を介して入力される燃料残量センサ1からの燃料残量信号を無視して、残量警告灯15を消灯させたままに制御しているので、上述したように残量警告灯15が誤って点灯するということがない。
【0025】
図2は、本発明の他の実施形態に係わる車両用燃料計の回路構成を示すブロック図である。同図に示す車両用燃料計は、図1の実施形態に対してイグニッションスイッチIGNのオフ時燃料残量信号イグニッションスイッチIGNのオン時燃料残量信号を比較する比較回路21と、イグニッションスイッチIGNのオン時においては燃料残量センサ1から入力される燃料残量信号により残量警告灯15を制御するイグニッションスイッチIGNのオン時残量警告灯制御回路23とを新たに設けた点が異なるものであり、その他の構成および作用は図1のものと同じである。
【0026】
このように構成される車両用燃料計では、イグニッションスイッチIGNがオンされると、比較回路21は記憶回路11からのイグニッションスイッチIGNのオフ時燃料残量信号と燃料残量センサ1から入力されるイグニッションスイッチIGNのオン時燃料残量信号とを比較する。そして、両者の差が所定の値を越えている場合には、イグニッションスイッチIGNのオフの間に給油が行なわれたものと判断し、応答性制御用フィルター回路3は、燃料残量センサ1から入力される燃料残量信号を第1の応答性αで制御し、この第1の応答性αの燃料残量信号で駆動出力回路5を介して燃料表示部7の指針7aによる燃料残量表示を制御している。
【0027】
また、両者の差が所定の値以下である場合には、給油でないと判断し、応答性制御用フィルター回路3は、燃料残量センサ1から入力される燃料残量信号を更に遅い第2の応答性βで制御し、この遅い第2の応答性βで燃料残量表示を行なっている。
【0028】
更に、残量警告灯15の制御は、イグニッションスイッチIGNのオン時には、イグニッションスイッチIGNのオン時残量警告灯制御回路23が燃料残量センサ1から入力される燃料残量信号により残量警告灯制御回路13を介して残量警告灯15を点消灯制御し、イグニッションスイッチIGNのオン時点から所定時間tの間はこの状態を継続して行なっているが、所定時間tの経過後は、応答性制御用フィルター回路3から残量警告灯制御回路13に供給される燃料残量センサ1の燃料残量信号により残量警告灯制御回路13により残量警告灯15を点消灯制御し、これにより入力変動による残量警告灯15の点消灯の切り替わりを低減している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる車両用燃料計の回路構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の他の実施形態に係わる車両用燃料計の回路構成を示すブロック図である。
【図3】 従来の車両用燃料計の回路構成を示すブロック図である。
【図4】 従来の車両用燃料計における残量警告灯を警告灯用センサからの出力で駆動している従来の車両用燃料計の回路図である。
【符号の説明】
1 燃料残量センサ
3 応答性制御用フィルター回路
5 駆動出力回路
7 燃料表示部
7a 指針
イグニッションスイッチのオンオフ検知回路
11 記憶回路
13 残量警告灯制御回路
15 残量警告灯
21 比較回路
23 イグニッションスイッチのオン時残量警告灯制御回路

Claims (3)

  1. 燃料の残量を検知する燃料残量センサからの燃料残量信号に基づいて燃料の残量を燃料表示部に表示するとともに、燃料の残量が所定の値以下に低下した場合に残量警告灯を点灯し、イグニッションスイッチのオフ中には一定の値を指示する置針式の車両用燃料計であって、
    イグニッションスイッチのオフ時の燃料残量信号をイグニッションスイッチのオフ時燃料残量信号として記憶する記憶手段と、
    イグニッションスイッチのオン時に燃料残量センサから入力されるイグニッションスイッチのオン時燃料残量信号及び前記記憶手段に記憶された前記イグニッションスイッチのオフ時燃料残量信号の間で変動がある場合に、前記イグニッションスイッチのオン時点から所定時間の間は前記イグニッションスイッチのオン時燃料残量信号を前記燃料表示部にまず第1の応答性で遅延させながら表示するようにし、更に該所定時間の経過後は前記第1の応答性より遅い第2の応答性で燃料残量センサから入力される燃料残量信号を燃料表示部に表示するように制御する応答性制御手段と、
    イグニッションスイッチのオン時点から前記所定の時間の間は残量警告灯を点灯させないように制御する残量警告灯制御手段とを有することを特徴とする車両用燃料計。
  2. 前記イグニッションスイッチのオン時燃料残量信号及び前記記憶手段に記憶された前記イグニッションスイッチのオフ時燃料残量信号の間で変動がある場合が給油時であることを特徴とする請求項1記載の車両用燃料計。
  3. 前記所定の時間は、前記第1の応答性で燃料表示部の指針がエンプティを示すE点からフルを示すF点に達する時間よりも大きい時間であることを特徴とする請求項1または2記載の車両用燃料計。
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