JP3930712B2 - 金型装置および成形品の製造方法 - Google Patents

金型装置および成形品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、金型装置および成形方法に関するもので、特に厳しい寸法精度が要求される成形品を成形する場合に適用する金型装置および成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術としては、例えば特開平6−312430号公報に示されたものがある。この従来技術は、図12に示すように、肉厚が実質的に均一な円筒形状部品を対象とする成形方法を開示するもので、円筒形状部品の外周面を形成する外型部1,2と、この外型部1,2のキャビティ3に挿入され、円筒形状部品の内周面を形成するコアピン4と、これら外型部1,2およびコアピン4の間においてコアピン4に嵌合されたリング5とを備えた金型装置を適用する。例えば、リング5をゲート6に近接させた状態で金型装置の内部に溶融樹脂を充填すると、この溶融樹脂の充填圧力によってリング5がコアピン4に嵌合された状態で順次移動し、円筒形状部品を成形することができる。この場合、リング5は、溶融樹脂が充填されている間、コアピン4を外型部1,2の内部で保持する効果がある。従って、溶融樹脂の充填によってコアピン4の位置がずれることはなく、寸法精度の良い成形品を得ることができる。上記リング5は、コアピン4および/または外型部1,2に対して密に接触し、成形時の移動に少し抵抗があることが好ましい。これにより、しっかりと樹脂が充填されながら成形されるので、成形後の成形品表面が平滑になる。
【0003】
リング5の材料としては、樹脂、もしくは金属を用いればよい。樹脂製のリング5であれば、例えば完成した円筒形状部品を切断したものを適用することにより、コアピン4および/または外型部1,2に密に接触して適宜な摺動抵抗を得ることができる。但し、成形された円筒形状部品が収縮あるいは膨張する場合には、コアピン4にうまく嵌合できないため適用することができない。一方、金属製のリング5としては、外型部1,2やコアピン4に傷が付くのを防止するため、これら外型部1,2やコアピン4よりも硬度が低いものを適用することが好ましい。例えば、外型部1,2やコアピン4が冷間金型用合金工具鋼(SKD−11)やステンレス鋼(SUS−420、SUS440)等で構成されている場合には、リング5の材料として砲金、真鍮、銅、アルミニウムおよびジュラルミンを用いることが好ましい。金属製のリング5をコアピン4に密着して嵌合させる場合には、図13に示すように、リング5の縦方向に溝部7を設けるとともに、このリング5を円形バネ8によって締め、コアピン4に密着するように嵌合させる。溝部7は細かく数が多いほうが、リング5が円形バネ8によって締まり易いので好ましい。以上により、リング5は抵抗を有しながらコアピン4に沿って移動することができるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように樹脂の充填圧力によってリング5を移動させながら成形を行う従来の成形方法にあっては、その成形品の形状がリング5の移動軌跡に合致したものに限定されることになり、例えば、円筒の外周面一部に凸部を有するような形状の部品には適用が不可能である。
【0005】
さらに、通常の成形方法にあっては、成形材料である樹脂の線膨張係数に応じた熱収縮や、結晶性樹脂の場合は非晶部分に生じる結晶ひずみ、さらには金型内での冷却中に変形が拘束されることによって発生する内部応力等々の要因によって離型後の成形品の変形は避けられず、金型の形状や寸法を完全に転写した成形品を得ることはきわめて困難である。このため、例えば上述した従来技術において、コアピン4が嵌合された状態で外型部1,2から取り出された成形品は、高温の状態から室温まで冷めていく間に、その熱収縮、結晶ひずみ、内部応力によって徐々にコアピン4を締め付け、人の手によってはコアピン4を抜き出すことが困難となる等の問題を招来することになる。
【0006】
このように、上述した従来の成形方法は、成形品の形状が単純な円筒等のように、リング5の移動軌跡に合致したものに限られ、さらには成形後の熱収縮や、結晶ひずみ、さらには内部応力の要因によって変形するため高い寸法精度を確保することも困難である。
【0007】
この発明は上記実情に鑑みてなされたもので、成形品の形状を限定することなく、しかも任意の成形面に高い寸法精度を確保することのできる金型装置および成形方法を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる金型装置は、一方の成形面を成形するための第1金型部分と、他方の成形面を成形するための第2金型部分とを備え、これら第1および第2金型部分の間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填して成形品の成形を行う金型装置において、前記第2金型部分を成形品から離隔した後、前記第1金型部分を通じて前記成形品の強制冷却を行う温度調整手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、一方の成形面を第1金型部分に保持した状態のまま局所的に強制冷却することができるため、第1金型部分から離隔させた後においても成形品の熱収縮、結晶ひずみ、および内部応力による変形を最小限に抑えることが可能になる。
【0010】
つぎの発明にかかる金型装置は、上記の発明において、前記第1金型部分を前記第2金型部分よりも熱容量の小さい材質によって構成したことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、成形品を強制冷却する際に第1金型部分が所望の温度まで冷却される時間を短縮することができる。
【0012】
つぎの発明にかかる金型装置は、上記の発明において、前記温度調整手段が、前記第1金型部分に設けた第1媒体通路と、この第1媒体通路に対して低温媒体を供給する低温媒体供給部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、低温媒体供給部の駆動により、第1媒体通路に低温媒体が供給されることになる。
【0014】
つぎの発明にかかる金型装置は、上記の発明において、前記温度調整手段が、前記第1金型部分と前記第2金型部分との間の成形品キャビティに成形材料を充填する際にこれら第1および第2金型部分の加熱を行うことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、第1および第2金型部分を加熱することにより、成形材料の流動性を確保することができるとともに、充填の際の温度低下を抑えることができる。
【0016】
つぎの発明にかかる金型装置は、上記の発明において、前記温度調整手段が、前記第1金型部分に設けた第1媒体通路と、この第1媒体通路に対して低温媒体を供給する低温媒体供給部と、前記第1媒体通路に対して高温媒体を供給する高温媒体供給部と、前記第1媒体通路へ供給する媒体を選択する供給媒体選択部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、共通の第1媒体通路に対して、低温媒体を供給することにより第1金型部分を通じて成形品の強制冷却を行うことができる一方、高温媒体を供給することにより第1金型部分を加熱することができる。
【0018】
つぎの発明にかかる金型装置は、上記の発明において、前記供給媒体選択部が、前記低温媒体供給部から前記第1媒体通路へ至る間の低温媒体供給流路を開閉する第1バルブと、前記第1媒体通路から前記低温媒体供給部へ至る間の低温媒体返送流路を開閉する第2バルブと、前記高温媒体供給部から前記第1媒体通路へ至る間の高温媒体供給流路を開閉する第3バルブと、前記第1媒体通路から前記高温媒体供給部へ至る間の高温媒体返送流路を開閉する第4バルブと、これら第1バルブ、第2バルブ、第3バルブおよび第4バルブの開閉タイミングを制御するバルブ駆動制御部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、各バルブの開閉タイミングを制御することによって第1媒体通路に供給する媒体を瞬時に切り替えることができる。
【0020】
つぎの発明にかかる金型装置は、上記の発明において、前記バルブ駆動制御部が、前記低温媒体と前記高温媒体とに圧力差がある場合、前記第1媒体通路に対して供給する媒体を高圧側から低圧側に切り替える際には、当該低圧側の媒体供給部から前記第1媒体通路へ至る間の媒体供給通路に設けたバルブの開成タイミングをその他のバルブの開閉タイミングよりも所定の時間だけ遅らせる一方、前記第1媒体通路に対して供給する媒体を低圧側から高圧側に切り替える際には、当該高圧側の媒体供給部から前記第1媒体通路へ至る間の媒体供給通路に設けたバルブの開成タイミングをその他のバルブの開閉タイミングよりも所定の時間だけ遅らせることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、チェックバルブ等の方向制御バルブを要することなく、高圧側の媒体が低圧側の媒体供給部に流入する事態を防止することができる。
【0022】
つぎの発明にかかる金型装置は、前記第1金型部分が筒状成形品の内周面を成形するためのコアピンであるとともに、前記第2金型部分が前記筒状成形品の外周面を成形するための外型部であることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、外型部を離隔させた後、コアピンを通じて筒状成形品の内周面を強制冷却することができる。
【0024】
つぎの発明にかかる成形方法は、一方の成形面を成形するための第1金型部分と、他方の成形面を成形するための第2金型部分との間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填して成形品の成形を行う成形方法において、前記第2金型部分を成形品から離隔した後、前記第1金型部分を通じて前記成形品を所定の時間だけ強制冷却することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、一方の成形面を第1金型部分に保持した状態のまま局所的に強制冷却することができるため、第1金型部分から離隔させた後においても成形品の熱収縮、結晶ひずみ、および内部応力による変形を最小限に抑えることが可能になる。
【0026】
つぎの発明にかかる成形方法は、上記の発明において、前記第1金型部分と前記第2金型部分との間の成形品キャビティに成形材料を充填する際には、これら第1および第2金型部分を加熱することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、第1および第2金型部分を加熱することにより、成形材料の流動性を確保することができるとともに、充填の際の温度低下を抑えることができる。
【0028】
つぎの発明にかかる成形方法は、上記の発明において、前記成形材料が樹脂材の場合には、前記第2金型部分を成形品から離隔した後、当該成形品をガラス転移点以下になるまで強制冷却することを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、第1金型部分から成形品を離隔した場合に、該成形品に発生する結晶ひずみによる変形を最小限に抑えることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる金型装置および成形方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
図1は、この発明の実施の形態である金型装置を示したものである。ここで例示する金型装置は、図4に示すように、主円筒部11と、この主円筒部11の外周面(他方の成形面)11aから直交する方向に沿って延在した2本の副円筒部12,13とを備えた筒状成形品10を、結晶性樹脂であるポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、単にPPS樹脂という)によって射出成形するためのものである。筒状成形品10において2本の副円筒部12,13は、相互に上下にオフセットした位置に設けてあり、主円筒部11の軸心に対して左右が非対称である。この筒状成形品10では、主円筒部11の上端面が寸法の基準面14となっている。また、筒状成形品10においては、図5中の符号Aで示す主円筒部11の上端部分が最も精度の要求される箇所であり、特に、その内周面(一方の成形面)11bに高い真円度が要求されるものである。
【0032】
上記筒状成形品10を成形する金型装置は、図1に示すように、外型部20と、コアピン21と、コアガイド22と、サブコアピン23と、2本のサイドピン24,25とを備えて構成してある。
【0033】
外型部20は、図には明示していないが、互いに開閉する固定側外型部と移動側外型部とを備えたもので、これら固定側外型部と移動側外型部との間に筒状成形品10の外形形状に合致した成形品キャビティ20aを有している。コアピン21は、筒状成形品10において主円筒部11の上端部内周面11bを成形するためのもので、高い真円度を有した円柱状を成している。コアガイド22は、円筒状を成し、かつその中心孔22aに上記コアピン21を摺動可能に嵌合したもので、外型部20に対してスライド可能に配設してある。このコアガイド22の先端面は、筒状成形品10の寸法基準となる基準面14を成形する部分となる。サブコアピン23は、筒状成形品10において主円筒部11の下端部内周面、並びに主円筒部11の下端面15を成形するためのもので、外型部20に対してスライド可能に配設してある。サイドピン24,25は、それぞれ筒状成形品10において副円筒部12,13の内周面、並びに副円筒部12,13の先端面16,17を成形するためのもので、外型部20に対してスライド可能に配設してある。これら外型部20、コアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25は、すべてを冷間金型用合金工具鋼(SKD−11)やステンレス鋼(SUS−420、SUS440)等の鋼材によって形成してもよいが、特にコアピン21に関しては、他の構成部品よりも熱容量の小さい材質、例えば銅合金やアルミニウム合金によって形成することが好ましい。本実施の形態では、上述した金型装置の構成部品のうち、コアピン21が特許請求の範囲の第1金型部分に相当し、外型部20等が第2金型部分に相当する。
【0034】
なお、図には明示していないが、上記金型装置は、上述した外型部20、コアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25をはめ込むための母型もその構成要素として備えている。
【0035】
一方、上記金型装置では、外型部20、コアピン21、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25の各内部にそれぞれ媒体通路20A,21A,23A,24A,25Aを設けてある。このうち、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25に設けた媒体通路20A,23A,24A,25A(以下、単に第2媒体通路という)に関しては、連絡流路26を介して互いに直列に接続し、さらに温度調整手段30の高温媒体供給部31に接続してある。なお、必ずしも外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25に設けた第2媒体通路20A,23A,24A,25Aは、互いに直列に接続する必要はなく、並列に接続して高温媒体供給部31に接続してもよいし、個別に高温媒体供給部31に接続するようにしてもよい。
【0036】
これに対してコアピン21に設けた媒体通路21A(以下、単に第1媒体通路という)は、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25に設けた媒体通路20A,23A,24A,25Aとは独立しており、供給媒体選択部40を介して温度調整手段30の高温媒体供給部31および低温媒体供給部32に接続してある。供給媒体選択部40は、第1媒体通路21Aに対して高温媒体供給部31および低温媒体供給部32を択一的に接続するためのもので、4つのバルブ41,42,43,44を備えている。具体的には、低温媒体供給部32から第1媒体通路21Aに至る低温媒体供給流路45に設けた第1バルブ41と、第1媒体通路21Aから低温媒体供給部32に至る低温媒体返送流路46に設けた第2バルブ42と、高温媒体供給部31から第1媒体通路21Aに至る高温媒体供給流路47に設けた第3バルブ43と、第1媒体通路21Aから高温媒体供給部31に至る高温媒体返送流路48に設けた第4バルブ44とを備えている。これら第1〜第4バルブ41,42,43,44は、バルブ駆動制御部50からの制御信号に基づいてそれぞれの流路45,46,47,48を個別に開閉するように動作するものである。
【0037】
上述した温度調整手段30の高温媒体供給部31および低温媒体供給部32は、それぞれ媒体として、熱交換効率に優れ、かつ取り扱いが容易な水を供給するものである。このうち、高温媒体供給部31は、媒体である水を所定の高温状態に調整した状態で供給する一方、低温媒体供給部32は、媒体である水を所定の低温状態に調整した状態で供給する。なお、高温媒体供給部31および低温媒体供給部32が供給する媒体としては、必ずしも水に限らず、エチレングリコールや各種油等の液体、あるいは飽和蒸気や加熱蒸気等の気体を適用してもよい。
【0038】
図2は、上述した金型装置による筒状成形品10の成形過程を順に示した概念図、図3は、筒状成形品10の成形過程において第1媒体通路21Aおよび第2媒体通路20A,23A,24A,25Aに供給する媒体の切替態様を示した図表である。以下、これらの図を参照しながら、上記金型装置を適用した筒状成形品10の成形工程について、その特徴部分を説明する。
【0039】
図3に示すように、上記金型装置では、型閉め工程→射出工程→保圧・冷却工程→型開き工程→強制冷却工程→離型工程→型閉め工程を順次繰り返すことによって筒状成形品10の成形を行う。
【0040】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、外型部20の固定側外型部と移動側外型部とを相互に閉塞するとともに、この外型部20にコアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25を配置する(型閉め工程)。この状態から外型部20とコアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25との間に画成される成形品キャビティ20aに対して溶融状態の成形材料を射出し(射出工程)、さらに射出した成形材料に所定の圧力を与えながら凝固点以下に維持して固化させる(保圧・冷却工程)。その後、図2(b)に示すように、筒状成形品10から外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25を離隔させ(型開き工程)、さらに図2(c)に示す後述の強制冷却工程を経た後、図2(d)に示すように、筒状成形品10からコアピン21を離隔させて取り出す(離型工程)。その後、再び、図2(a)に示すように、外型部20の固定側外型部と移動側外型部とを相互に閉塞するとともに、この外型部20にコアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25を配置し(型閉め工程)、上述した工程を繰り返し実施する。
【0041】
図3からも明らかなように、これら一連の成形工程において第2媒体通路20A,23A,24A,25Aに対しては、常に高温媒体供給部31から高温媒体の供給を継続し、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25が室温以上の温度となるように保持しておく。また、第1媒体通路21Aに対しても、型閉め工程から型開き工程が終了するまでの間においては、高温媒体供給部31から高温媒体の供給を行い、コアピン21が室温以上となるように保持しておく。つまり、第1および第2バルブ41,42を閉成する一方、第3および第4バルブ43,44を開成する。
【0042】
これは、成形品キャビティ20aに射出した成形材料の良好な流動性を確保するとともに、成形材料を成形品キャビティ20aに充填する過程においてその温度低下を可及的に抑えることにより、ウェルド部の強度を向上するためである。この成形材料の流動性やウェルド部の強度を考慮した場合、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21の温度は、できるだけ高いことが好ましい。しかしながら、これらの温度が高すぎると、保圧・冷却工程において筒状成形品10が十分に冷却されないため、その取り出し時に不具合が生ずる。すなわち、型開き工程において筒状成形品10の最表層部が剥離して外型部20、サブコアピン23、サイドピン24,25の表面に残留したり、エジェクタピン(図示せず)が筒状成形品10を傷つけ、最悪突き破るといった不具合が発生する。さらに、成形材料から発生する分解ガスの量が増大し、金型装置の腐食を促進させる虞れもある。これらの不具合を発生させることなく、成形材料の良好な流動性やウェルド部の強度を確保するには、成形材料に応じて外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21の温度に上限値を設定する必要がある。本実施の形態で適用するPPS樹脂では、この温度の上限値が423K程度となる。
【0043】
一方、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21の温度には、上述した上限値だけではなく、下限値も存在する。すなわち、PPS樹脂等の結晶性樹脂の場合には、これ以上は結晶化が進行しないという最大の結晶化度(=飽和結晶化度)が存在する。筒状成形品10の結晶化度がこの飽和結晶化度に到達しなかった場合には、結晶ひずみが増大し、これが内部応力として作用するため、離型工程の後に筒状成形品10の内部応力によって変形量が大きくなり、寸法精度を低下させる要因となる。従って、筒状成形品10の寸法精度を向上させるためには、成形工程中において離型工程までの間に飽和結晶化度以上に到達させる必要がある。上述したPPS樹脂の場合には、図6に示すように、403K以上で飽和結晶化度となる。
【0044】
これらの理由から、成形材料としてPPS樹脂を適用する場合には、型閉め工程から型開き工程までの間に、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21を403K〜423Kの温度範囲に設定しておくことが好ましいことになる。本実施の形態では、上述したウェルド部の強度をできる限り向上させるため、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21が上記温度範囲の上限値である423Kとなるように、高温媒体供給部31から第1媒体通路21Aおよび第2媒体通路20A,23A,24A,25Aに高温媒体を供給するようにしている。なお、成形材料としてPPS樹脂以外のものを適用する場合には、最適な温度範囲も異なるものとなり、上述した条件に応じて適宜変更する必要がある。
【0045】
型開き工程が終了した後においては、強制冷却工程および離型工程の間、図3に示すように、第1媒体通路21Aに対して低温媒体供給部32から低温媒体の供給を行い、コアピン21の強制冷却を行う。この場合、第1〜第4バルブ41,42,43,44の開閉タイミングを制御することにより、つまり第1および第2バルブ41,42を開成する一方、第3および第4バルブ43,44を閉成することにより、第1媒体通路21Aに供給する媒体を瞬時に切り替えることができる。しかも、コアピン21に関しては、上述したように、熱容量の小さい材質によって構成してある。さらに、共通の第1媒体通路21Aに対して高温媒体と低温媒体とを切り替え供給するようにしているため、高温媒体と低温媒体とを個別の媒体通路に供給する場合に比べて第1媒体通路21Aの横断面積を大きく確保することができる。これらの結果、媒体の切り替えに要する時間を著しく短縮し、生産効率の向上を図ることが可能になる。
【0046】
ここで、高温媒体供給部31が供給する高温媒体は、低温媒体供給部32が供給する低温媒体よりも高圧状態として熱輸送量を多くとることがさらに好ましい。本実施の形態では、低温媒体として約1kgf/cm2の水を供給するのに対して、高温媒体としては約2kgf/cm2、あるいはそれ以上の高圧水を供給するようにしている。これにより、生産効率を一層向上させることができるようになる。但し、このように高温媒体と低温媒体とに圧力差を付けた場合には、第1〜第4バルブ41,42,43,44の開閉切り替えを同時に行うと、高圧の高温媒体が低温媒体供給流路45へ逆流する事態が発生することになる。このため、本実施の形態では、第1媒体通路21Aに供給する媒体を高圧の高温媒体から低圧の低温媒体に切り替える場合、低温媒体供給流路45に設けた第1バルブ41の開成タイミングをその他の第2〜第4バルブ42,43,44の開閉タイミングよりも所定の時間だけ遅らせるようにしている。逆に、後述するように、第1媒体通路21Aに供給する媒体を低圧の低温媒体から高圧の高温媒体に切り替える場合には、高温媒体供給流路47に設けた第3バルブ43の開成タイミングをその他の第1、第2、第4バルブ41,42,44の開閉タイミングよりも所定の時間だけ遅らせるようにしている。このように、第1媒体通路21Aに供給する媒体を切り替える際に第1〜第4バルブ41,42,43,44の開閉タイミングを制御した場合には、低温媒体供給流路45にチェックバルブ等の方向制御バルブを設けることなく、高圧の高温媒体が逆流する事態を確実に防止することができるようになる。なお、実施の形態とは逆に、低温媒体を高温媒体よりも高圧状態とした場合にも、同様に、第1〜第4バルブ41,42,43,44の開閉タイミングを適宜制御することにより、同様の作用効果を期待することが可能である。
【0047】
上述した強制冷却の際には、筒状成形品10の温度が室温と同等になるまで完全に冷却するのが理想的である。しかしながら、適用する成形材料によっては冷却に多大な時間を要し、成形サイクルが長くなって生産効率に影響を与えるようになる。そこで、本実施の形態で適用するPPS樹脂のように、成形材料が結晶性樹脂の場合には、少なくともコアピン21がガラス転移点以下の温度となるように強制冷却するようにしている。これは、結晶性樹脂がガラス転移点以上の温度から室温まで冷却する場合、線膨張係数に依存した熱収縮量と、非晶部分の分子構造変化に伴う収縮量とを加算した量の収縮が発生するのに対し、ガラス転移点以下の温度から室温まで冷却する場合、線膨張係数に依存した熱収縮量のみとなるためである。上述したPPS樹脂では、ガラス転移点が約363Kに存在する。本実施の形態では、離型工程までの間に筒状成形品10をできる限り室温に近づけるべく、コアピン21が293Kとなるように低温媒体供給部32から第1媒体通路21Aに低温媒体を供給するようにしている。強制冷却する時間に関しては、筒状成形品10においてコアピン21に接触する主円筒部11の上端部内周部分が所望の温度まで冷却するのに要する時間で決定される。結晶性樹脂であるPPS樹脂を使用して図4に示す筒状成形品10を成形する場合には、筒状成形品10の温度をガラス転移点温度以下まで冷却するのに要する時間はおよそ5秒から20秒である。なお、強制冷却の際のコアピン21の温度に関しても、PPS樹脂以外の成形材料を適用する場合には、上述した条件に応じて適宜変更する必要がある。
【0048】
上記のように、型開き工程において筒状成形品10から外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25を離隔させた後、主円筒部11の上端部内周面11bをコアピン21に保持させた状態のまま、当該コアピン21を通じて強制冷却するようにした成形方法によれば、高い寸法精度が要求される主円筒部11の上端部内周面11bを拘束する一方、比較的寸法精度の要求されない他の部分の拘束を解除することでその自由な変形を招来することができるようになる。従って、筒状成形品10に発生する内部応力を可及的に抑え、その後の離型工程でコアピン21を離隔させた場合の変形量を最小限に止めることが可能になる。また、主円筒部11の上端部内周面11bを局所的に強制冷却することで、その後の離型工程でコアピン21を離隔させた場合の熱収縮による変形量も最小限に止めることができる。さらに、強制冷却温度をPPS樹脂のガラス転移点以下である293Kに設定してあるため、非晶部分の分子構造変化に伴う収縮をも最小限に止めることができる。
【0049】
これらの結果、コアピン21に抜き勾配を設けたり、専用の設備を要することなく、離型工程において主円筒部11の上端部内周面11bから当該コアピン21を容易に抜き出すことができるようになり、主円筒部11の外周面11aに2本の副円筒部12,13を備えた左右が非対称となる筒状成形品10であっても、その内周面11bに極めて高い寸法精度を確保することができるようになる。
【0050】
図7は、上述した金型装置を適用して成形した筒状成形品10の真円度測定結果を示す図である。測定箇所は、図5に示すように、高い寸法精度が要求される主円筒部11の内周面11bにおいて、代表となる4箇所a,b,c,dである。図7において縦軸は、各測定箇所の真円度をそれぞれの内径で除した比を示すものである。この比は、測定個所a,b,c,dによって異なるものの、いずれも約1×10-3〜7×10-3の範囲内の値となっている。
【0051】
図8は、本実施の形態との比較のために、従来の成形方法によって得られた筒状成形品の真円度測定結果を示したものである。ここでいう従来の成形方法とは、型閉め工程→射出工程→保圧・冷却工程→型開き工程→型閉め工程を順次繰り返すことによって筒状成形品の成形を行うものである。この間、金型装置全体を常時一定の温度(423K)に保持し、また型開き工程と同期して筒状成形品をコアピンから取り出すようにしている。成形に使用したコアピンは、本実施の形態と同様に、高い真円度を有した円柱状を成している。測定箇所に関しても、本実施の形態と同一の4箇所a,b,c,dである。
【0052】
図8からも明らかなように、従来の成形方法にあっては、各測定個所a,b,c,dの真円度をそれぞれの内径で除した比が、約1×10-3〜11×10-3の範囲内の値となっている。つまり、図7に示したように、本実施の形態によれば、従来のものに比べて、測定個所dを除く部分において真円度が4/5〜1/2程度に改善されていることが分かる。従来の成形方法において高い寸法精度の筒状成形品10を得ることができないのは、熱収縮、結晶ひずみ、および内部応力による影響を強く受け、離型した後の変形量が大きくなるためである。
【0053】
本実施の形態において、さらに高い寸法精度および真円度が要求される場合には、外型部20、コアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25に対して、個々の形状や寸法を補正することが有効である。例えば、極めて高い真円度を有するコアピン21を使用して筒状成形品10の成形を行い、離型工程後に発生する筒状成形品10の変形量を予め把握しておく。そして、この筒状成形品10の変形量を考慮し、外型部20やコアピン21の寸法を補正して筒状成形品10の成形を行えば、より寸法精度の高い筒状成形品10を得ることが可能になる。
【0054】
図9は、こうした成形方法によって得られた筒状成形品10の真円度測定結果を示したものである。この図9に示した成形方法では、コアピン21の寸法を1回だけ補正してある。測定箇所は、図7および図8のものと同様である。図9からも明らかなように、コアピン21の寸法を補正した成形方法にあっては、各測定個所a,b,c,dの真円度をそれぞれの内径で除した比が、いずれも約1×10-3オーダーとなり、1回の補正であっても真円度が飛躍的に向上することが分かる。
【0055】
離型した後の筒状成形品10の変形に影響を及ぼす熱収縮、結晶ひずみおよび内部応力は、成形サイクル毎の真円度のばらつきを発生させる要因にもなるが、本実施の形態によれば、これらの要因を最小限に止めることで、成形サイクル毎の真円度のばらつきを抑えることも可能となる。
【0056】
図10および図11は、こうした成形サイクル毎の真円度のばらつきを見るために示した筒状成形品10の真円度測定結果である。このうち、図10は、上述した実施の形態の成形方法において、寸法を1回補正したコアピン21を適用して成形した10個の筒状成形品10の真円度測定結果を示したものである。一方、図11は、従来の成形方法において、寸法を4回補正したコアピン21を適用して成形した10個の筒状成形品10の真円度測定結果を示したものである。測定個所は、図5に示した4箇所a,b,c,dである。図10および図11中の縦軸は、それぞれ真円度を内径で除した比のばらつきを示す。これらの図からも明らかなように、本実施の形態による成形方法によれば、従来の成形方法に比べてばらつきを約1/2に低減することができるようになる。
【0057】
なお、上述した実施の形態では、成形材料として結晶性樹脂であるポリフェニレンサルファイド樹脂を例示しているが、その他の成形材料を用いても同様の作用効果を期待することが可能である。例えば高分子系の樹脂材料の場合、熱可塑性樹脂であればその種類は問わない。具体的には、(1)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、(2)ポリ塩化ビニル系樹脂、ナイロン6やナイロン66などの脂肪族ポリアミド系樹脂、(3)ポリフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系樹脂、(4)ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、(5)ポリオキシメチレン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、フッ素系樹脂などの結晶性樹脂、(6)ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアレリート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アクリロニトリル−スチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン系樹脂などの非晶性樹脂、(7)芳香族ポリエステル系樹脂や芳香族ポリエステルアミド系樹脂などの液晶ポリマーなどを列挙することができる。また、これらのアロイや、ガラス繊維などのフィラーを配合した樹脂であってもよい。
【0058】
また、上述した本実施の形態では、樹脂を成形材料としたものを例示しているが、必ずしも樹脂による射出成形に限らず、例えば、無機材料を用いた粉末成形にも適用することが可能である。この種の粉末成形としては、セラミック射出成形、金属粉末射出成形、超硬合金射出成形などがある。これらの粉末成形では、成形材料に可塑性を付与するためにバインダが混入される。バインダとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブラチール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、パラフィンワックスやカルナバ蝋などのワックス類などを挙げることができる。
【0059】
さらに、上述した実施の形態では、成形品として、主円筒部11と、この主円筒部11の周面から直交する方向に沿って延在した2本の副円筒部12,13とを備えた筒状成形品10を例示しているが、その他の形状の成形品にも適用することが可能である。この場合、成形品が必ずしも筒状を成している必要はない。つまり、一方の成形面と他方の成形面とを有するものであれば、如何なる形状の成形品にも適用することが可能であり、当該一方の成形面に高い寸法精度を確保することができるようになる。
【0060】
また、上述した実施の形態では、温度調整手段30として高温媒体や低温媒体を供給するものを例示しているが、必ずしも媒体を適用する必要はない。例えば、コアピン21等の金型部分に加熱素子や冷却素子を埋設するようにしてもよいし、電熱ヒータを設置するようにしても構わない。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、一方の成形面を第1金型部分に保持した状態のまま局所的に強制冷却することができるため、第1金型部分から離隔させた後においても成形品の熱収縮や内部応力による変形を最小限に抑えることが可能になるため、成形品が如何なる形状であっても、一方の成形面に高い寸法精度を確保することができるようになる。
【0062】
つぎの発明によれば、成形品を強制冷却する際に第1金型部分が所望の温度まで冷却される時間を短縮することができるため、生産効率を向上させることが可能になる。
【0063】
つぎの発明によれば、低温媒体供給部の駆動により、第1媒体通路に低温媒体が供給されることになるため、第1金型部分を通じて成形品の強制冷却を行うことが可能となる。
【0064】
つぎの発明によれば、第1および第2金型部分を加熱することにより、成形材料の流動性を確保することができるとともに、充填の際の温度低下を抑えることができるため、ウェルド部の強度を向上させることが可能になる。
【0065】
つぎの発明によれば、共通の第1媒体通路に対して、低温媒体を供給することにより第1金型部分を通じて成形品の強制冷却を行うことができる一方、高温媒体を供給することにより第1金型部分を加熱することができるため、高温媒体と低温媒体とを個別の媒体通路に供給する場合に比べて第1媒体通路の容量を大きく確保することができ、媒体の切り替えに要する時間を著しく短縮して生産効率の向上を図ることが可能になる。
【0066】
つぎの発明によれば、各バルブの開閉タイミングを制御することによって第1媒体通路に供給する媒体を瞬時に切り替えることができるため、媒体の切り替えに要する時間を短縮して生産効率の向上を図ることが可能になる。
【0067】
つぎの発明によれば、チェックバルブ等の方向制御バルブを要することなく高圧側の媒体が低圧側の媒体供給部に流入する事態を防止することができるため、構造の簡略化を図ることが可能になる。
【0068】
つぎの発明によれば、外型部を離隔させた後、コアピンを通じて筒状成形品の内周面を強制冷却することができるため、該筒状成形品の内周面の熱収縮や内部応力による変形を最小限に抑え、高い寸法精度を確保することが可能になる。
【0069】
つぎの発明によれば、一方の成形面を第1金型部分に保持した状態のまま局所的に強制冷却することができるため、第1金型部分から離隔させた後においても成形品の熱収縮や内部応力による変形を最小限に抑えることが可能になるため、成形品が如何なる形状であっても、一方の成形面に高い寸法精度を確保することができるようになる。
【0070】
つぎの発明によれば、第1および第2金型部分を加熱することにより、成形材料の流動性を確保することができるとともに、充填の際の温度低下を抑えることができるため、ウェルド部の強度を向上させることが可能になる。
【0071】
つぎの発明によれば、第1金型部分から成形品を離隔した場合に、該成形品に発生する結晶ひずみによる変形を最小限に抑えることができるため、一方の成形面の寸法精度を一層高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態である金型装置を示した概念図である。
【図2】 図1に示した金型装置による筒状成形品の成形過程を順に示した概念図である。
【図3】 筒状成形品の成形過程において第1媒体通路および第2媒体通路に供給する媒体の切替態様を示した図表である。
【図4】 図1に示した金型装置によって成形する成形品を示したもので、(a)は平面図、(b)は断面側面図である。
【図5】 図4に示した成形品において真円度測定を行った箇所を示す断面側面図である。
【図6】 金型装置の加熱温度と成形材料の結晶化度との関係を示すグラフである。
【図7】 図1に示した金型装置によって成形した成形品の真円度測定結果を示すグラフである。
【図8】 従来の成形方法によって成形した成形品の真円度測定結果を示すグラフである。
【図9】 図1に示した金型装置においてコアピンの寸法を1回補正した場合の真円度測定結果を示すグラフである。
【図10】 図1に示した金型装置によって成形した成形品に関して真円度のばらつきを示すグラフである。
【図11】 従来の成形方法によって成形した成形品に関して真円度のばらつきを示すグラフである。
【図12】 従来の金型装置を示す断面側面図である。
【図13】 図12に示した金型装置で適用するリングの構造を示したもので、(a)は側面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図、(c)は(a)におけるB−B線断面図である。
【符号の説明】
10 筒状成形品、11 主円筒部、11a 外周面、11b 内周面、12,13 副円筒部、14 基準面、15 下端面、16,17 先端面、20 外型部、20A,23A,24A,25A 第2媒体通路、20a 成形品キャビティ、21 コアピン、21A 第1媒体通路、22 コアガイド、22a 中心孔、23 サブコアピン、24,25 サイドピン、26 連絡流路、30温度調整手段、31 高温媒体供給部、32 低温媒体供給部、40 供給媒体選択部、41 第1バルブ、42 第2バルブ、43 第3バルブ、44 第4バルブ、45 低温媒体供給流路、46 低温媒体返送流路、47 高温媒体供給流路、48 高温媒体返送流路、50 バルブ駆動制御部。

Claims (11)

  1. 第1金型部分と前記第1金型部分を囲む第2金型部分との間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填して、前記第1金型部分が成形する内側の成形面と前記第2金型部分が成形する外側の成形面とを有する成形品の成形を行う金型装置において、
    前記第1金型部分は、寸法精度が高い前記内側の成形面を拘束するとともに、内部に第1媒体通路が設けられ、
    前記第2金型部分は、前記内側の成形面より寸法精度の低い前記外側の成形面を拘束
    前記第2金型部分を前記成形品から離隔して前記外側の成形面の拘束を解除した後、前記第1媒体通路に流す媒体を高温媒体より温度が低い低温媒体に切り替えて、前記第1金型部分の少なくとも前記内側の成形面を拘束する部分を強制的に冷却する温度調節手段
    を備えたことを特徴とする金型装置。
  2. 前記第1金型部分を前記第2金型部分よりも熱容量の小さい材質によって構成したことを特徴とする請求項1に記載の金型装置。
  3. 前記温度調整手段は
    記第1媒体通路に対して前記低温媒体を供給する低温媒体供給部と、
    を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の金型装置。
  4. 前記温度調整手段は、前記第1金型部分と前記第2金型部分との間の成形品キャビティに成形材料を充填する際に、前記第1金型部分および前記第2金型部分の加熱を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の金型装置。
  5. 前記温度調整手段は
    記第1媒体通路に対して前記高温媒体を供給する高温媒体供給部と、
    前記第1媒体通路へ供給する媒体を選択する供給媒体選択部と、
    を備えたことを特徴とする請求項3に記載の金型装置。
  6. 前記供給媒体選択部は、
    前記低温媒体供給部から前記第1媒体通路へ至る間の低温媒体供給流路を開閉する第1バルブと、
    前記第1媒体通路から前記低温媒体供給部へ至る間の低温媒体返送流路を開閉する第2バルブと、
    前記高温媒体供給部から前記第1媒体通路へ至る間の高温媒体供給流路を開閉する第3バルブと、
    前記第1媒体通路から前記高温媒体供給部へ至る間の高温媒体返送流路を開閉する第4バルブと、
    前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブおよび前記第4バルブの開閉タイミングを制御するバルブ駆動制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項5に記載の金型装置。
  7. 前記バルブ駆動制御部は、前記低温媒体と前記高温媒体とに圧力差がある場合、
    前記第1媒体通路に対して供給する媒体を高圧側から低圧側に切り替える際には、当該低圧側の媒体供給部から前記第1媒体通路へ至る間の媒体供給通路に設けたバルブの開成タイミングをその他のバルブの開閉タイミングよりも所定の時間だけ遅らせる一方、
    前記第1媒体通路に対して供給する媒体を低圧側から高圧側に切り替える際には、当該高圧側の媒体供給部から前記第1媒体通路へ至る間の媒体供給通路に設けたバルブの開成タイミングをその他のバルブの開閉タイミングよりも所定の時間だけ遅らせる
    ことを特徴とする請求項6に記載の金型装置。
  8. 前記成形品は筒状成形品であり、前記第1金型部分が前記筒状成形品の内周面を成形するコアピンであるとともに、前記第2金型部分が前記筒状成形品の外周面を成形するための外型部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の金型装置。
  9. 第1金型部分と前記第1金型部分を囲む第2金型部分との間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填して、前記第1金型部分が成形する内側の成形面と前記第2金型部分が成形する外側の成形面とを有する成形品を成形する成形品の製造方法において、
    前記第1金型部分は、寸法精度が高い前記内側の成形面を拘束するようにして、
    前記第2金型部分は、前記内側の成形面より寸法精度の低い前記外側の成形面を拘束するようにして、
    前記第2金型部分を前記成形品から離隔して前記外側の成形面の拘束を解除した後、前記第1金型部分の内部に設けられた第1媒体通路に流す媒体を高温媒体より温度が低い低温媒体に切り替えて、前記第1金型部分の少なくとも前記内側の成形面を拘束する部分を所定の時間だけ強制的に冷却する
    ことを特徴とする成形品の製造方法。
  10. 前記第1金型部分と前記第2金型部分との間の成形品キャビティに成形材料を充填する際には、前記第1金型部分および前記第2金型部分を加熱することを特徴とする請求項9に記載の成形品の製造方法。
  11. 前記成形材料が樹脂材の場合には、前記第2金型部分を前記成形品から離隔した後、当該成形品をガラス転移点以下になるまで強制冷却することを特徴とする請求項9または10に記載の成形品の製造方法。
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