JP4204960B2 - 射出成形金型と射出成形方法 - Google Patents

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本発明は、射出シリンダーが一本である一般的な射出成形機を用いて、薄肉成形体とそれよりも製品肉厚の厚い厚肉成形体とを一つの金型で成形すること、特に口径の異なる(従って肉厚の異なる)電気融着継手を一つの金型で製造するための射出成形金型、及びそれを用いた射出成形方法に関する。
肉厚の異なる二層からなる厚肉の成形体、例えば電気融着継手のような厚肉の成形体(口径150mmφで肉厚23mm)を一つの金型で成形する方法の一つに、射出金型を薄肉部成形型と厚肉部成形型とに分割し、それぞれの金型部に、薄肉部成形用の射出シリンダーと厚肉部成形用射出シリンダーの合計二本の射出シリンダーを備えた射出成形機を用いる方法がある。しかしながらこの方法では、射出シリンダーを二本装備するために成形機設備が大型となり、かつ投資額も大きくなるという問題点がある。
一本の射出シリンダーを用いて、複層の肉厚の成形体を一つの金型で成形する方法として、例えば厚さが10mm以上である、三乃至五層の多層樹脂層からなる電気融着継手を製造する方法として、成形体の肉厚を1層当たり15mm以内となるように多層に分割した金型を作成し、各層を同時に成形する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
通常、複層分割して射出成形する場合には、内層となる薄肉部は高速かつ高圧で樹脂を充填し、その他の層となる厚肉部は低速かつ低圧で樹脂を充填することが必要とされる。しかしながら、上記特許文献1の成形方法は、全てのホットランナーにオープンゲート式ホットランナーを用いている。成形後に型開きを行うと、薄肉成形体も厚肉成形体も同時に取り出させる。それ故、外層の厚肉部に合わせて樹脂射出速度と射出圧力を低速かつ低圧に調整すれば、内層の薄肉側キャビティー部への樹脂の充填不足が起こり易いという問題点があり、逆に、内層の薄肉部に合わせて樹脂射出速度と射出圧力を高速かつ高圧に調整すれば、外層側の肉厚成形体にガス焼けや流れ模様等の不良が発生し易くなる恐れがあるという問題点がある。特に、電気融着継手の内層の最小肉厚は、通常0.5mm程度であるので、このような内層の薄肉部の厚さと外層の厚肉部の厚さとの差が大きい成形体を製造する場合では、この問題が顕著に現れ易いという問題点がある。
また、金型の成形機ノズルに連通するマニホールド流路とゲートに連通するブランチ流路とでホットランナーを形成すると共にマニホールド流路のブランチ流路側端部に絞りを形成し、絞り径や絞り長さ等の絞り形状を適当に調整することで樹脂流量を調整可能として、金型の樹脂流路径を厚肉成形体側は細く、薄肉成形体側は太くすることで充填に必要な樹脂圧力を均一にする方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
電気融着継手のような、薄肉部と厚肉部とからなる複層成形体を上記特許文献2の方法を適用する場合、樹脂圧力バランスをとるためには、薄肉部となる内層には径の太い流路を、厚肉部となる外層には細い流路とする必要がある。しかしながら、厚肉の外層は収縮量が大きいのでヒケを防止するために充分な保圧圧力と長い保圧時間とが必要であるが、樹脂流路径が細いので、樹脂が固化してしまい、保圧がし難い又はできないという問題点がある。なお、内層側樹脂流路を細く設定し外層側樹脂流路を太く設定すると、樹脂は外層側にばかり流れてしまい、内層側は充填され難い又は充填されないという問題がある。
特許第2849349号公報 特開平5−237879号公報
本発明は、上記従来の射出成形技術が有する問題点を解決し、射出シリンダーが1本の一般的な射出成形機で、薄肉成形体と、厚肉成形体(例えば、薄肉成形体に複層射出して一体化させた複層射出成形体)を一つの金型で製造しても、薄肉部に充分な樹脂が充填されかつ厚肉部の製品にガス焼け又は流れ模様が発生せず、しかもいずれの成形体もショット時間が同じであって、保圧時間や保圧圧力を長くすることなくヒケの少ない成形体を得ることができる、射出成形金型及びそれを用いた射出成形方法を提供する目的でなされたものである。
上記課題を解決するための本発明の請求項1記載の射出成形金型(発明1)は、一つの射出成形金型に、薄肉成形体用キャビティーと、製品厚さがそれより厚い厚肉成形体用キャビティーとを備え、一本の射出シリンダーから供給される樹脂を受けるスプルーに連通されるマニホールドから分岐されて各キャビティーのゲートに連通されるホットランナーとして、前記薄肉成形体用キャビティーにはオープンゲート式ホットランナーを用い、前記厚肉成形体用キャビティーにはバルブゲート式ホットランナーを用いて、薄肉成形体と厚肉成形体とを同時に製造できることを特徴とする。
請求項2記載の発明(発明2)は、発明1の射出成形金型を用い、バルブゲートを閉じた状態で射出を開始して薄肉成形体用キャビティーに樹脂を充填し、薄肉成形体の充填と保圧とが完了した時点でバルブゲートを開き、薄肉成形体の射出時よりも低速かつ低圧で樹脂を射出して厚肉成形体用キャビティーに樹脂を充填し、薄肉成形体を厚肉成形体の射出圧とほぼ同じ圧力で保圧して冷却し、厚肉成形体の充填と保圧とが完了した時点で型開きして、厚肉成形体と新たに成形された薄肉成形体とを同時に取り出すことを特徴とする射出成形方法である。
請求項3記載の射出成形金型(発明3)は、厚さ1mm以下の内層成形体と厚さ5mm以上の外層が積層された成形体を胴部とする電気融着継手の製造に用いられる射出成形金型であって、該射出成形金型に、内層成形体用キャビティーと内層成形体の上に、巻回された電熱線を介して外層を積層する外層成形体用キャビティーとが備えられ、一本の射出シリンダーから供給される樹脂を受けるスプルーに連通されるマニホールドから分岐されて各キャビティーのゲートに連通されるホットランナーとして、前記内層成形体用キャビティーにオープンゲート式ホットランナーを用い、前記外層成形体用キャビティーにバルブゲート式ホットランナーを用いて、電気融着継手と内層成形体とを同時に製造できることを特徴とする。
請求項4記載の発明(発明4)は、発明3の射出成形金型を用い、予め作成されて電熱線が巻回された内層成形体を、外層成形体用キャビティーにセットして型締めし、バルブゲートを閉じた状態で射出を開始して内層成形体用キャビティーに樹脂を充填し、内層成形体の充填と保圧が完了した時点でバルブゲートを開け、内層成形体の射出時よりも低速かつ低圧で樹脂を射出して外層成形体用キャビティーに樹脂を充填し、外層成形体の充填と保圧が完了した時点で型開きして、電気融着継手と新たに作成された内層成形体とを取り出すことを特徴とする射出成形方法である。
本発明1、3の射出成形金型は、薄肉成形体用キャビティーに樹脂を充填する時には厚肉成形体用キャビティーに樹脂が入らないようにし、薄肉成形体用キャビティーに樹脂が十分に充填され保圧された後で、厚肉成形体用キャビティーに樹脂を充填し、厚肉成形体用キャビティーに樹脂が充填され、保圧・冷却後、薄肉成形体と厚肉成形体とを同時に脱型することができるように、樹脂流路を切り替えることができるバルブゲートを厚肉成形体用キャビティーに設けた射出成形金型である。発明3は、特に電気融着継手の製造に適した射出成形金型である。
本発明の射出成形金型で成形される薄肉成形体の肉厚は、0.1mm〜5mm程度の成形体が対象となる。厚さが5mmより厚い成形体では、他の層の厚さとの差が、より薄いものと比較して相対的に小さくなり、従って、樹脂流路を閉じることなく薄肉成形体と厚肉成形体とを同時に一つの金型で射出成形することができるので、通常は本発明のバルブゲートは不要となる。また、薄肉部の厚さが0.1mm以下となるような極端に薄い成形体を得る場合には、均一な厚さの製品を得るために金型精度が極端に高精度となり高価なものになってしまい易いという問題点があるので、通常射出成形は行われない。
又、厚肉成形体の肉厚は、2mm〜15mm程度の成形体が対象となる。更に厚い成形体が必要なら、厚肉成形体用キャビティーを必要な数だけ増やせば良い。この時は最終製品の肉厚に合わせてそれぞれの厚肉成形体用キャビティーのクリアランスを調節すればよい。2mmより薄ければ、薄肉成形体との差が小さくなるので、樹脂流路を閉じることなく薄肉成形体と厚肉成形体とを同時に一つの金型で射出成形することができる、従って本発明のバルブゲートは不要となる。又、15mmより厚い成形体を得る場合は、キャビティー内に樹脂を充填後、保圧や冷却に時間が掛かり、製品に歪みが出たり成形時間が掛かりすぎたりするという問題点が発生する可能性が大きくなる。
本発明で用いられる樹脂は、射出成形に用いらることができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されることはない。例えば一例として、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PB(ポリブテン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVdC(ポリ塩化ビニリデン)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル−(エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー)−スチレン共重合樹脂)、POM(ポリオキシメチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PI(ポリイミド)等が挙げられる。
これらの樹脂には、ガラス繊維、ボロン繊維、金属繊維等の無機繊維や、カーボン繊維、延伸した樹脂繊維などの補強材や充填材が入っていても構わない。
金型には、射出シリンダーから供給される樹脂を受けるスプルーに連通されるマニホールドと、該マニホールドから分岐されて各キャビティーのゲートに連通されるホットランナーとが設けられる。そして、薄肉成形体用キャビティーにはオープンゲート式ホットランナーが用いられ、厚肉成形体用キャビティーにはバルブゲート式ホットランナーが用いられる。
ランナーの形式、形状、樹脂流路断面積又は配置などは、通常のランナーの場合と同様に、樹脂流動比に応じた配分が可能となるように設計されたホットランナーと同じである。ランナーの溶融状体を保つための加熱方法も一般の加熱方法が用いられれば良く、マニホールド部、ゲート部は、通常、共に内部加熱方式、外部加熱方式、電磁誘導方式、又はインシュレートランナーとされる。
又、オープンゲートの形式は、一般的な形式であれば良い。即ち、トーピード式、ノズル式、ホットチップ式などが挙げられ、ホットトーピードではゲート形状として、平坦ピンゲート、へこみ式ゲート、落とし込みゲート等で、ホットエッジゲートとされているもの等であれば良い。
バルブゲートの形式は、一般的な形式であれば良く、特に限定された形式でなくても良い。即ち、ホットノズルの中に摺動部とスプリングとを内蔵したプラゲート等のような一般的なスプリング方式、機械的にバルブピンを開閉する機械開閉式等が挙げられる。なお、オープンゲート又はバルブゲートは、キャビティーあたり一点であっても多点であっても構わない。
厚肉成形体用キャビティーには、予め作成されている薄肉成形体が装着され、その上に樹脂が積層されて最終的に厚肉の複層の成形体となるものでも良い。薄肉成形体用キャビティーでは、新たに薄肉成形体を成形する。厚肉成形体用キャビティーが複数ある場合は、大きなキャビティー内に、順次小さな成形体を装着してその上に樹脂を積層し、更に厚肉の成形体とすれば良い。
本発明の射出成形方法は、バルブゲートを閉じて、薄肉成形体キャビティーのみに樹脂を完全に充填後保圧し、その状態でバルブゲートを開き、薄肉成形体用キャビティーに樹脂を充填する時よりも低速かつ低圧で、厚肉成形体用キャビティーに樹脂を充填する。厚肉成形体のショット時間は、通常、薄肉成形体のショット時間よりも長いので、厚肉成形体が脱型可能となった時には、薄肉成形体も脱型可能となっている。従って、同時に脱型することができる。
バルブゲートの開閉のタイミングは、最初に薄肉成形体を成形する時は、厚肉成形体用キャビティーのバルブゲートを締めて薄肉成形体用キャビティーにのみ樹脂を充填するので、薄肉成形体に適した射出速度と射出圧力で樹脂を充填できる。厚肉成形体を成形する時は、バルブゲートを開いて厚肉成形体用キャビティーに樹脂を充填するが、この時の樹脂充填速度と圧力は、薄肉成形体用キャビティーに樹脂を充填するときよりも、いずれも低くされる。
厚肉成形体用キャビティーに樹脂を充填中は、薄肉成形体用キャビティーはオープンゲートとされているので保圧圧力は充填時より下がる。しかしながら、既にキャビティー内には十分に樹脂が充填されているので、充填不足は起こらない。従って、厚肉成形体はそれに適した条件で充填することができる。このように、薄肉成形体も厚肉成形体も、それぞれに最適な条件で樹脂の注入ができ、保圧・冷却後同時に脱型できるのである。
厚肉成形体用キャビティーに樹脂が充填されたら、これを保圧し冷却する。この時の保圧圧力は厚肉成形体の保圧圧力となり、薄肉成形体に対しては、最初に保圧されたときの圧力よりもやや低い圧力となる。更に薄肉成形体の表面温度低下速度は厚肉成形体の表面温度低下速度よりも早いので、厚肉成形体の冷却完了時には、薄肉成形体も完全に冷却が終了する。従って同時に脱型が出来る。
なお、バルブゲートは、厚肉成形体の計量が完了してから閉じる。閉じる時期は、成形機が計量中即ち樹脂可塑化中でも、計量完了後でも構わない。但し、型開き開始までに閉じておくことが望ましい。
発明1、3の射出成形金型は、薄肉成形体用キャビティーのゲートにオープンゲート式ホットランナーが、厚肉成形体用キャビティーのゲートにバルブゲート式ホットランナーが用いられている。従って、射出シリンダーが1本の一般的な射出成形機で、薄肉成形体と、厚肉成形体品(例えば薄肉成形体に複層射出して一体化させた複層射出成形体)を一つの金型で製造しても、それぞれのキャビティーに樹脂を均等に充填する際、バルブゲートの開閉で順次薄肉成形体と厚肉成形体とを成形するので、ゲートバランスを調節する必要なく、薄肉部に充分な樹脂が充填され、かつ厚肉部にガス焼け又は流れ模様が発生しせず、しかもいずれの成形体も、ショット時間が同じであって保圧時間や保圧圧力を長くすることなくヒケの少ない成形体を得ることができる。
発明2,4の射出成形方法においては、上記射出成形金型を用い、薄肉部を成形完了後バルブゲートを閉じて厚肉部を射出成形する。即ち、射出シリンダーが1本の一般的な射出成形機で、薄肉成形体と、厚肉成形体品(例えば薄肉成形体に複層射出して一体化させた複層射出成形体)、例えば口径の異なる(従って肉厚の異なる)電気融着継手等を一つの金型で製造する場合において、ゲートピン等を閉じて薄肉部を充填し、充填・保圧がほぼ完了した時点でバルブゲートのピン等を開き、薄肉部の成形時よりも低速かつ低圧で厚肉部を成形する。
この時、薄肉部はオープンゲートであるので最初に充填された時よりも低圧となるが、既に薄肉部は充填が完了しているので、充填不足にはならない。即ち、厚肉部の充填、保圧・冷却が所定の圧力と時間とで行われ、厚肉部の成形が完了するまで薄肉部は低圧で保圧され、厚肉部の冷却と同様に冷却されるので、成形後型開きすれば薄肉部と厚肉部とはショット時間が同じとなる。従って、薄肉部と厚肉部とを同時に取り出しても、薄肉部に充分な樹脂が充填されかつ厚肉部の製品にガス焼け又は流れ模様が発生せず、しかもいずれの成形体も、保圧時間や保圧圧力を長くすることなくヒケの少ない成形体を得ることができる。
次に、図面を参照して本発明を説明する。図1は薄肉成形体用キャビティーと厚肉成形体用キャビティーとがそれぞれ一個ずつ設けられ最終的には薄肉成形体と厚肉成形体(薄肉成形体に複層射出して一体化された二層成形体)を製造するための射出成形金型の一例の断面図である。
射出成形金型1は、薄肉成形体用キャビティー2と厚肉成形体用キャビティー3とを備えている。射出シリンダー(図示せず)からスプルー4に供給される溶融樹脂は、マニホールド5を通り、薄肉成形体用キャビティー2に繋がるオープンゲート式ホットランナー6及び厚肉用キャビティー3に繋がるバルブゲート式ホットランナー7を通ってそれぞれのキャビティー2、3に充填される。
厚肉成形体用キャビティー3はその中に薄肉成形体(図示せず)を装着し、その外側に樹脂を充填し二層成形体を得る。即ち一種のインサート射出成形が可能とされる。これは、例えば電気融着継手のような外周面に電熱線を巻回した内筒である薄肉成形体と、リード線や端子とを配置して、その外側に厚い樹脂層で積層した複層射出の肉厚成形体を得ることを可能とするためである。
スプルー4、マニホールド5及びホットランナー6、7は、それぞれ加熱ヒーター41、51、61、71又は外部加熱ヒーター(図示せず)が設けられ、樹脂の溶融状態が保たれる。本図示例においては、オープンゲート式ホットランナー6は、このキャビティー2で製造する目的の薄肉成形体の肉厚が0.1mm程度の薄いものまでを想定しているので、ホットチップ(図示せず)付きオープンゲート式としている。勿論、これ以外のサイドゲートホットランナー(ホットエッジゲート)や加熱on−off制御式オープンゲート(スピアシステム:世紀技研社)等であっても良い。
又、本図示例における厚肉成形体用キャビティー3に用いられているバルブゲート73は、機械開閉式バルブゲートである。シャットオフピン72(バルブピン)で確実にゲート73をシールすることができる。
本図示例では、製造される成形体は二層射出成形体であるが、三層以上の複層射出成形体を得る場合の金型では、例えば、一つの金型に、薄肉成形体用キャビティー、中肉成形体用キャビティー、厚肉成形体用キャビティーのように、積層数に応じた数のキャビティーを設ければよい。そして薄肉成形体用キャビティーにはオープンゲート式ホットランナーを、中肉成形体用キャビティーにはオープンゲート式又はバルブゲート式ホットランナーを、それ以外の厚肉成形体用キャビティーにはバルブゲート式ホットランナーが用いられれば良い。
例えば三層成形体の場合は、薄肉成形体用キャビティーで新しい薄肉成形体を、中肉成形体用キャビティーには予め作成された薄肉成形体を装着して二層成形体を、厚肉成形体用キャビティーには予め作成された二層成形体を装着して三層成形体を製造する。この時、薄肉成形体用から厚肉成形体用にかけて、順に樹脂の射出速度と射出圧力とが低くされていく。従って、特に中肉成形体用キャビティーには、オープンゲート式又はバルブゲート式ホットランナーを、その時々に合わせて適宜選択して用いられれば良い。これ以上の多層成形体の場合でも、同様にされれば良い。
各キャビティー2、3に充填され保圧された樹脂は、金型1に設けられた冷却水通路8に通された冷媒により冷却され、脱型される。
上記図示例の構造を持つ、呼び径150mmφの電気融着継手成形用の射出成形金型1を、射出シリンダーが一本で、型締め力が1300トンの一般的な射出成形機に取り付けた。薄肉成形体用キャビティーにはオープンゲート式ホットランナーを二点ゲートで、厚肉成形体用キャビティーには機械開閉式バルブゲート式ホットランナーを一点ゲートで設けた。
薄肉成形体用キャビティー2は、外径220mmφ、肉厚0.5mm、長さ200mmの円筒形状の成形体が得られる形状とした。この成形体は、電気融着継手の内層側に使用されるものであり、その外周面に加熱用電熱線を螺旋状に巻回するための螺旋溝が設けられた形状のものである。又、厚肉成形体用キャビティー3は、その中に上記電熱線が巻回された薄肉成形体を装着し、その外側に樹脂を充填して、厚さ23mm、上記呼び径150mmφの電気融着継手を製造できる形状とされている。
厚肉成形体用キャビティー3に、予め製造されてその外周面に電熱線が巻回された薄肉成形体を装着し、リード線と端子とを厚肉成形体用キャビティーの所定の格納箇所9に装着した。
樹脂として高密度PE、樹脂温度220℃、金型温度30℃とし、初めに、バルブゲート73を締めて樹脂を薄肉成形体用キャビティー2に、射出圧力108MPaで充填した。射出開始15秒後にシャットオフピン72を上げてバルブゲート73を開き、厚肉成形体用キャビティー3に、射出圧力63MPaで樹脂を充填した。この時の薄肉成形体用キャビティー2の保圧圧力は63MPaとなった。
厚肉成形体用キャビティー3に樹脂を充填後、その圧力を保ったまま冷却し、樹脂温度がおよそ50℃となった時点で脱型して、薄肉成形体の外側に厚肉部が形成された最終製品である電気融着継手と新しい薄肉成形体とを取り出した。
(比較例)
実施例1と同じ射出成形機と射出金型1を用い、厚肉成形体用キャビティー3に、予め製造されてその外周面に電熱線が巻回された薄肉成形体を装着し、リード線と端子とを厚肉成形体用キャビティーの所定の格納箇所9に装着した。
樹脂として高密度PE、樹脂温度220℃、金型温度30℃とし、バルブゲート73を締めずに、薄肉成形体用キャビティー2及び厚肉成形体用キャビティー3に、射出圧力108MPaで同時に樹脂を充填した。
いずれのキャビティー2,3にも樹脂を充填後、その圧力を保ったまま冷却し、樹脂温度がおよそ50℃となった時点で脱型して、薄肉成形体の外側に厚肉部が形成された最終製品である電気融着継手と新しい薄肉成形体とを取り出した。
実施結果を表1に示す。表1から明らかな通り、実施例では、薄肉成形体の外側に厚肉部が形成された電気融着継手の厚肉部及び薄肉成形体共に樹脂が完全に充填され、かつ電気融着継手の厚肉部及び薄肉部のそれぞれの表面及び薄肉成形体の表面には、ガス焼けや流れ模様は観察されなかった。
一方、比較例においては、薄肉成形体の外側に厚肉部が形成された電気融着継手の厚肉部には完全に樹脂が充填されたが、薄肉成形体は樹脂の充填が不完全であった。しかしながら、電気融着継手の厚肉部及び薄肉部のそれぞれの表面及び薄肉成形体の表面には、ガス焼けや流れ模様は観察されなかった。このように、本発明の金型及び射出成形方法によると、一般的な射出シリンダーが1本の射出成形機で、薄肉成形体の外側に厚肉部が形成された電気融着継手及び薄肉成形体を同時に製造することが可能であった。
Figure 0004204960
薄肉成形体用キャビティーと厚肉成形体用キャビティーとがそれぞれ一個ずつ設けられ最終的には薄肉成形体と厚肉成形体(薄肉成形体に複層射出して一体化された二層成形体)を製造するための射出成形金型の一例の断面図である。
符号の説明
1 射出成形金型
2 薄肉成形体用キャビティー
3 厚肉成形体用キャビティー
4 スプルー
41スプルー用ヒーター
5 マニホールド
51 マニホールド用ヒーター
6 オープンゲート式ホットランナー
61 オープンゲート式ホットランナー用ヒーター
7 バルブゲート式ホットランナー
71 バルブゲート式ホットランナー用ヒーター
72 シャットオフピン
73 バルブゲート
8 冷却水通路
9 端子格納箇所

Claims (4)

  1. 一つの射出成形金型に、薄肉成形体用キャビティーと、製品厚さがそれより厚い厚肉成形体用キャビティーとを備え、一本の射出シリンダーから供給される樹脂を受けるスプルーに連通されるマニホールドから分岐されて各キャビティーのゲートに連通されるホットランナーとして、前記薄肉成形体用キャビティーにはオープンゲート式ホットランナーを用い、前記厚肉成形体用キャビティーにはバルブゲート式ホットランナーを用いて、薄肉成形体と厚肉成形体とを同時に製造できることを特徴とする射出成形金型。
  2. 請求項1記載の射出成形金型を用い、バルブゲートを閉じた状態で射出を開始して薄肉成形体用キャビティーに樹脂を充填し、薄肉成形体の充填と保圧とが完了した時点でバルブゲートを開き、薄肉成形体の射出時よりも低速かつ低圧で樹脂を射出して厚肉成形体用キャビティーに樹脂を充填し、薄肉成形体を厚肉成形体の射出圧とほぼ同じ圧力で保圧して冷却し、厚肉成形体の充填と保圧とが完了した時点で型開きして、厚肉成形体と新たに成形された薄肉成形体とを同時に取り出すことを特徴とする射出成形方法。
  3. 厚さ1mm以下の内層成形体と厚さ5mm以上の外層が積層された成形体を胴部とする電気融着継手の製造に用いられる射出成形金型であって、該射出成形金型に、内層成形体用キャビティーと内層成形体の上に、巻回された電熱線を介して外層を積層する外層成形体用キャビティーとが備えられ、一本の射出シリンダーから供給される樹脂を受けるスプルーに連通されるマニホールドから分岐されて各キャビティーのゲートに連通されるホットランナーとして、前記内層成形体用キャビティーにオープンゲート式ホットランナーを用い、前記外層成形体用キャビティーにバルブゲート式ホットランナーを用いて、電気融着継手と内層成形体とを同時に製造できることを特徴とする射出成形金型。
  4. 請求項3記載の射出成形金型を用い、予め作成されて電熱線が巻回された内層成形体を、外層成形体用キャビティーにセットして型締めし、バルブゲートを閉じた状態で射出を開始して内層成形体用キャビティーに樹脂を充填し、内層成形体の充填と保圧が完了した時点でバルブゲートを開け、内層成形体の射出時よりも低速かつ低圧で樹脂を射出して外層成形体用キャビティーに樹脂を充填し、外層成形体の充填と保圧が完了した時点で型開きして、電気融着継手と新たに作成された内層成形体とを取り出すことを特徴とする射出成形方法。
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