JP3910388B2 - 成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、成形品を成形する方法に関するもので、特に、成形時の残留応力が要因となる成形品の経時変形を抑制して寸法精度の向上を図るようにした成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術としては、たとえば特開平8−332673号公報(以下、従来技術1という)に示されたものがある。この従来技術1は、光照射によって硬化する光硬化性樹脂を用いて成形品を成形する方法において、光硬化性樹脂液に収縮防止用充填剤を撹拌混合しながら光照射を行うようにしたものである。
【0003】
収縮防止用充填剤としては、合成樹脂を殻材とした中空粒子や、低ヤング率のゴムビーズを用いるようにしている。これら中空粒子やゴムビーズは、適度な固さを有し、かつ中実粒子に比べて変形し易いため、光硬化性樹脂の硬化収縮を抑えることができるとともに、光硬化性樹脂の硬化の際に適宜変形することによって成形品の内部に大きな応力が残留するのを防止することが可能となる。
【0004】
また、上記収縮防止用充填剤として、熱線や紫外線の照射によって膨張する膨張性粒子を用いた例も開示されている。光硬化性樹脂を光照射によって硬化させる際に、硬化用の光照射と同時に加熱用の熱線等を照射し、光硬化性樹脂の硬化収縮に見合う量だけ膨張性粒子を膨張させれば、成形品全体としての硬化収縮をゼロ、もしくは著しく低減することができる。この場合、膨張性粒子は、光硬化性樹脂の硬化にあわせて徐々に膨張するため、成形品の残留応力をきわめて小さいものとすることができる。
【0005】
これらの結果、上記のような収縮防止用充填剤を光硬化性樹脂液に撹拌混合しながら光照射した場合には、収縮防止用充填剤が光硬化性樹脂液に沈殿することなく均等に分散して光硬化するため、成形品全体に亘って大きな応力が残留する事態を防止することができ、当該残留応力が要因となる成形品の経時変形を抑制することが可能になる。
【0006】
また、成形品の経時変形を抑えるための従来技術としては、特開平11−115923号公報(以下、従来技術2という)に開示されたものもある。この従来技術2では、射出成形によって一次成形品プリフォームを成形した後、さらに二軸延伸ブローすることによって成形されるプラスチック壜体を適用対象とし、該プラスチック壜体の底部に経時変形の起こり難い構造を設けるようにしたものである。すなわち、上記従来技術2では、図10に示すように、壜体1の底部2に、胴部3に連続した環状底壁部4と、この環状底壁部4の内周縁から壜体中心軸線1aに沿って胴部3の内部に半球状に隆起している凸状底壁部5と、この凸状底壁部5の頂壁部分において半球状に窪んだ状態の凹状底壁部6と、を設けるようにしている。これらの構成のうち、半球状に窪んだ凹状底壁部6は、プリフォーム成形時の状態をそのまま残した部分である。従って、この凹状底壁部6は、プリフォームの射出成形時における高温での成形記憶(摂氏250〜280度での成形記憶)がそのまま残ったものとなり、ブロー成形時において壜体1の底部2に発生するひずみが小さくなるとともに、その後の熱変形や経時変形を抑制することができるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術にあっては、確かに経時変形を抑制することが可能になるものの、各々の具現化にあたって成形材料や成形品の形状が限定されることになり、種々の問題を招来する虞れがある。
【0008】
例えば、従来技術1では、成形材料が光硬化性樹脂に限られるばかりか、この光硬化性樹脂に対応した収縮防止用充填材が必要となるため、材料の選択幅が著しく狭くなるばかりか、混合した収縮防止用充填材が成形品の機械的特性や熱的特性等の諸特性を低下させる要因となる虞れもある。従って、成形品の用途もごく限られたものとなり、機械的特性や熱的特性が要求される成形品の成形を行うことができない。さらに、光照射によって光硬化性樹脂を都度硬化させなければならないため、成形品を高速、かつ大量に成形する場合には不向きである。
【0009】
一方、従来技術2は、底部を有した成形品には有効であるが、例えば貫通孔を有する筒状成形品のように、底部が存在しない成形品への適用は不可能である。さらに、射出成形によって一次成形品プリフォームを成形した後、二軸延伸ブローするものに限定されるため、従来技術1と同様に、成形品を高速、かつ大量に成形する場合には不向きである。
【0010】
この発明は上記実情に鑑みてなされたもので、成形材料や成形品の形状を限定することなく、成形品の経時変形を抑制することのできる成形方法を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる成形方法は、一方の成形面を成形するための第1金型部分と、他方の成形面を成形するための第2金型部分との間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填した後、前記第2金型部分を成形品から離隔し、かつ前記第1金型部分を前記成形品に保持させた状態で、該第1金型部分を通じて前記成形品の冷却を行う成形方法であって、前記成形品の残留応力が減少するように、前記第1金型部分を前記成形品に保持させる時間を制御することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、第1金型部分を成形品に保持させる時間を制御することにより、成形品の残留応力を減少させることができる。
【0013】
つぎの発明にかかる成形方法は、一方の成形面を成形するための第1金型部分と、他方の成形面を成形するための第2金型部分との間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填した後、前記第2金型部分を成形品から離隔し、かつ前記第1金型部分を前記成形品に保持させた状態で、該第1金型部分を通じて前記成形品の冷却を行う成形方法であって、前記成形品の残留応力が減少するように、前記製品キャビティに充填した成形材料に対する印加圧力を制御することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、製品キャビティに充填した成形材料に対する印加圧力を制御することにより、成形品の残留応力を減少させることができる。
【0015】
つぎの発明にかかる成形方法は、一方の成形面を成形するための第1金型部分と、他方の成形面を成形するための第2金型部分との間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填した後、前記第2金型部分を成形品から離隔し、かつ前記第1金型部分を前記成形品に保持させた状態で、該第1金型部分を通じて前記成形品の冷却を行う成形方法であって、前記成形品の残留応力が減少するように、前記第1金型部分および前記第2金型部分の温度制御を行うことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、第1金型部分および第2金型部分の温度制御を行うことにより、成形品の残留応力を減少させることができる。
【0017】
つぎの発明にかかる成形方法は、上記の発明において、前記第1金型部分に対して互いに温度の異なる媒体を供給することにより、当該第1金型部分の温度制御を行うことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、低温媒体を供給することにより第1金型部分を通じて成形品の冷却を行うことができる一方、高温媒体を供給することにより第1金型部分を加熱することができる。
【0019】
つぎの発明にかかる成形方法は、上記の発明において、少なくとも前記第1金型部分と前記第2金型部分との間の成形品キャビティに成形材料を充填する際には、これら第1および第2金型部分に高温媒体を供給することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、第1および第2金型部分に高温媒体を供給することにより、成形材料の流動性を確保することができるとともに、充填の際の温度低下を抑えることができる。
【0021】
つぎの発明にかかる成形方法は、上記の発明において、前記成形品の冷却を行う際には、前記第1金型部分に低温媒体を供給することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、低温媒体を供給することにより、第1金型部分を冷却することができる。
【0023】
つぎの発明にかかる成形方法は、上記の発明において、前記第1金型部分の材質として前記第2金型部分よりも熱容量の小さい材質を用いることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、成形品を冷却する際に第1金型部分が所望の温度まで冷却される時間を短縮することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる成形金型および成形方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
まず、この発明の概要について説明する。成形品に発生する経時変形の主要因は、成形品の内部に残留している応力である。外力が与えられない場合には、時間の経過に伴ってこの残留応力が順次解放されることになり、これが成形品の経時変形となって現れる。従って、成形品内部の残留応力の状態が変化すれば、経時変形の挙動も変わることになる。つまり、成形品の残留応力として圧縮応力が支配的に作用している場合には成形品が膨張し、一方、残留応力として引張応力が支配的に作用している場合には成形品が収縮するようになる。
【0027】
経時変形を引き起こす残留応力としては以下の3つが挙げられる。(1)成形品の冷却時の熱収縮に伴って生じる熱応力、(2)保圧による内部応力、(3)成形材料が結晶性樹脂の場合に非晶部分に生じる結晶ひずみ応力である。これらの残留応力は、以下の過程で発生する。
【0028】
(1)熱収縮に伴う熱応力
成形品の一方の成形面のみを第1金型部分に保持したまま強制冷却を継続している場合には、当該成形品が線膨張係数に応じて熱収縮することになる。しかしながら、第1金型部分によって変形が阻止されているため、成形品の内部に引張応力が発生する。これが熱収縮に伴う熱応力である。
【0029】
(2)保圧による内部応力
保圧力が作用している保圧工程の間においては、成形品が第1金型部分と第2金型部分との間の成形品キャビティに閉じ込められた状態となる。従って、第1金型部分と第2金型部分とによって変形が拘束された成形品には、その内部に圧縮応力が発生する。これが保圧による内部応力である。
【0030】
(3)結晶ひずみ応力
成形材料が結晶性樹脂の場合には、内部の非晶部分に凝固収縮に伴って引張応力が発生する。これが結晶ひずみ応力である。
【0031】
以上3つの残留応力を制御すれば、成形品全体としての残留応力の発生を最小限に抑え、経時変形を抑制することができるようになる。すなわち、熱応力を制御するために一方の成形面を第1金型部分に保持する時間を適宜調整し、また保圧による内部応力を制御するために保圧力を適宜調整し、また結晶ひずみ応力を制御するために成形材料の加熱温度を適宜調整すれば、残留応力の引張と圧縮とを相殺するような条件を見出すことができる。これにより残留応力を最小限に抑えた成形品を成形し、経時変形を抑制することが可能となる。
【0032】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である金型装置を示したものである。ここで例示する金型装置は、図4に示すように、主円筒部11と、この主円筒部11の外周面(他方の成形面)11aから直交する方向に沿って延在した2本の副円筒部12,13とを備えた筒状成形品10を、結晶性樹脂であるポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、単にPPS樹脂という)によって射出成形するためのものである。筒状成形品10において2本の副円筒部12,13は、相互に上下にオフセットした位置に設けてあり、主円筒部11の軸心に対して左右が非対称である。この筒状成形品10では、主円筒部11の上端面が寸法の基準面14となっている。また、筒状成形品10においては、図5中の符号Aで示す主円筒部11の上端部分が最も精度の要求される箇所であり、特に、その内周面(一方の成形面)11bに高い真円度が要求されるものである。つまり、上記筒状成形品10において最も経時変形を抑制すべき部分は、主円筒部11においてその上端部分の内周面11bである。
【0033】
上記筒状成形品10を成形する金型装置は、図1に示すように、外型部20と、コアピン21と、コアガイド22と、サブコアピン23と、2本のサイドピン24,25とを備えて構成してある。
【0034】
外型部20は、図には明示していないが、互いに開閉する固定側外型部と移動側外型部とを備えたもので、これら固定側外型部と移動側外型部との間に筒状成形品10の外形形状に合致した成形品キャビティ20aを有している。コアピン21は、筒状成形品10において主円筒部11の上端部内周面11bを成形するためのもので、高い真円度を有した円柱状を成している。コアガイド22は、円筒状を成し、かつその中心孔22aに上記コアピン21を摺動可能に嵌合したもので、外型部20に対してスライド可能に配設してある。このコアガイド22の先端面は、筒状成形品10の寸法基準となる基準面14を成形する部分となる。サブコアピン23は、筒状成形品10において主円筒部11の下端部内周面、並びに主円筒部11の下端面15を成形するためのもので、外型部20に対してスライド可能に配設してある。サイドピン24,25は、それぞれ筒状成形品10において副円筒部12,13の内周面、並びに副円筒部12,13の先端面16,17を成形するためのもので、外型部20に対してスライド可能に配設してある。これら外型部20、コアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25は、すべてを冷間金型用合金工具鋼(SKD−11)やステンレス鋼(SUS−420、SUS440)等の鋼材によって形成してもよいが、特にコアピン21に関しては、他の構成部品よりも熱容量の小さい材質、例えば銅合金やアルミニウム合金によって形成することが好ましい。本実施の形態1では、上述した金型装置の構成部品のうち、コアピン21が特許請求の範囲の第1金型部分に相当し、外型部20等が第2金型部分に相当する。
【0035】
なお、図には明示していないが、上記金型装置は、上述した外型部20、コアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25をはめ込むための母型もその構成要素として備えている。
【0036】
一方、上記金型装置では、外型部20、コアピン21、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25の各内部にそれぞれ媒体通路20A,21A,23A,24A,25Aを設けてある。このうち、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25に設けた媒体通路20A,23A,24A,25A(以下、単に第2媒体通路という)に関しては、連絡流路26を介して互いに直列に接続し、さらに温度調整手段30の高温媒体供給部31に接続してある。なお、必ずしも外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25に設けた第2媒体通路20A,23A,24A,25Aは、互いに直列に接続する必要はなく、並列に接続して高温媒体供給部31に接続してもよいし、個別に高温媒体供給部31に接続するようにしてもよい。
【0037】
これに対してコアピン21に設けた媒体通路21A(以下、単に第1媒体通路という)は、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25に設けた媒体通路20A,23A,24A,25Aとは独立しており、供給媒体選択部40を介して温度調整手段30の高温媒体供給部31および低温媒体供給部32に接続してある。供給媒体選択部40は、第1媒体通路21Aに対して高温媒体供給部31および低温媒体供給部32を択一的に接続するためのもので、4つのバルブ41,42,43,44を備えている。具体的には、低温媒体供給部32から第1媒体通路21Aに至る低温媒体供給流路45に設けた第1バルブ41と、第1媒体通路21Aから低温媒体供給部32に至る低温媒体返送流路46に設けた第2バルブ42と、高温媒体供給部31から第1媒体通路21Aに至る高温媒体供給流路47に設けた第3バルブ43と、第1媒体通路21Aから高温媒体供給部31に至る高温媒体返送流路48に設けた第4バルブ44とを備えている。これら第1〜第4バルブ41,42,43,44は、バルブ駆動制御部50からの制御信号に基づいてそれぞれの流路45,46,47,48を個別に開閉するように動作するものである。
【0038】
上述した温度調整手段30の高温媒体供給部31および低温媒体供給部32は、それぞれ媒体として、熱交換効率に優れ、かつ取り扱いが容易な水を供給するものである。このうち、高温媒体供給部31は、媒体である水を所定の高温状態に調整した状態で供給する一方、低温媒体供給部32は、媒体である水を所定の低温状態に調整した状態で供給する。なお、高温媒体供給部31および低温媒体供給部32が供給する媒体としては、必ずしも水に限らず、エチレングリコールや各種油等の液体、あるいは飽和蒸気や加熱蒸気等の気体を適用してもよい。
【0039】
図2は、上述した金型装置による筒状成形品10の成形過程を順に示した概念図、図3は、筒状成形品10の成形過程において第1媒体通路21Aおよび第2媒体通路20A,23A,24A,25Aに供給する媒体の切替態様を示した図表である。以下、これらの図を参照しながら、上記金型装置を適用した筒状成形品10の成形工程について説明する。
【0040】
図3に示すように、上記金型装置では、型閉め工程→射出工程→保圧・冷却工程→型開き工程→強制冷却工程→離型工程→型閉め工程を順次繰り返すことによって筒状成形品10の成形を行う。
【0041】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、外型部20の固定側外型部と移動側外型部とを相互に閉塞するとともに、この外型部20にコアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25を配置する(型閉め工程)。この状態から外型部20とコアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25との間に画成される成形品キャビティ20aに対して溶融状態の成形材料を射出し(射出工程)、さらに射出した成形材料に所定の保圧力を与えながら凝固点以下に維持して固化させる(保圧・冷却工程)。その後、図2(b)に示すように、筒状成形品10から外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25を離隔させ(型開き工程)、さらに図2(c)に示す後述の強制冷却工程を経た後、図2(d)に示すように、筒状成形品10からコアピン21を離隔させて取り出す(離型工程)。その後、再び、図2(a)に示すように、外型部20の固定側外型部と移動側外型部とを相互に閉塞するとともに、この外型部20にコアピン21、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25を配置し(型閉め工程)、上述した工程を繰り返し実施する。
【0042】
上述した成形工程のうち、保圧・冷却工程においては、できる限り保圧力を高めることで、筒状成形品内部のボイドや表面のヒケ発生を抑制し、転写性が良好になるばかりでなく、筒状成形品10の強度を向上させることができるようになる。しかしながら、保圧力を高めすぎると、バリの発生が増えたり、金型装置や射出成形機の負荷が過大となって寿命を短くする等の問題が発生する。これらの条件を考慮して保圧力、並びに保圧力を印加し続ける時間(保圧時間)の最適値を設定する。
【0043】
図3からも明らかなように、これら一連の成形工程において第2媒体通路20A,23A,24A,25Aに対しては、常に高温媒体供給部31から高温媒体の供給を継続し、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25が室温以上の温度となるように保持しておく。また、第1媒体通路21Aに対しても、型閉め工程から型開き工程が終了するまでの間においては、高温媒体供給部31から高温媒体の供給を行い、コアピン21が室温以上となるように保持しておく。つまり、第1および第2バルブ41,42を閉成する一方、第3および第4バルブ43,44を開成する。
【0044】
これは、成形品キャビティ20aに射出した成形材料の良好な流動性を確保するとともに、成形材料を成形品キャビティ20aに充填する過程においてその温度低下を可及的に抑えることにより、ウェルド部の強度を向上するためである。この成形材料の流動性やウェルド部の強度を考慮した場合、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21の温度は、できるだけ高いことが好ましい。しかしながら、これらの温度が高すぎると、保圧・冷却工程において筒状成形品10が十分に冷却されないため、その取り出し時に不具合が生ずる。すなわち、型開き工程において筒状成形品10の最表層部が剥離して外型部20、サブコアピン23、サイドピン24,25の表面に残留したり、エジェクタピン(図示せず)が筒状成形品10を傷つけ、最悪突き破るといった不具合が発生する。さらに、成形材料から発生する分解ガスの量が増大し、金型装置の腐食を促進させる虞れもある。これらの不具合を発生させることなく、成形材料の良好な流動性やウェルド部の強度を確保するには、成形材料に応じて外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21の温度に上限値を設定する必要がある。本実施の形態1で適用するPPS樹脂では、この温度の上限値が423K程度となる。
【0045】
一方、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21の温度には、上述した上限値だけではなく、下限値も存在する。すなわち、PPS樹脂等の結晶性樹脂の場合には、これ以上は結晶化が進行しないという最大の結晶化度(=飽和結晶化度)が存在する。筒状成形品10の結晶化度がこの飽和結晶化度に到達しなかった場合には、結晶ひずみが増大し、これが内部応力として作用するため、離型工程の後に筒状成形品10の内部応力によって変形量が大きくなり、寸法精度を低下させる要因となる。従って、筒状成形品10の寸法精度を向上させるためには、成形工程中において離型工程までの間に飽和結晶化度以上に到達させる必要がある。上述したPPS樹脂の場合には、図6に示すように、403K以上で飽和結晶化度となる。
【0046】
これらの理由から、成形材料としてPPS樹脂を適用する場合には、型閉め工程から型開き工程までの間に、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21を403K〜423Kの温度範囲に設定しておくことが好ましいことになる。本実施の形態1では、上述したウェルド部の強度をできる限り向上させるため、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びにコアピン21が上記温度範囲の上限値である423Kとなるように、高温媒体供給部31から第1媒体通路21Aおよび第2媒体通路20A,23A,24A,25Aに高温媒体を供給するようにしている。なお、成形材料としてPPS樹脂以外のものを適用する場合には、最適な温度範囲も異なるものとなり、上述した条件に応じて適宜変更する必要がある。
【0047】
型開き工程が終了した後においては、強制冷却工程および離型工程の間、図3に示すように、第1媒体通路21Aに対して低温媒体供給部32から低温媒体の供給を行い、コアピン21の強制冷却を行う。この場合、第1〜第4バルブ41,42,43,44の開閉タイミングを制御することにより、つまり第1および第2バルブ41,42を開成する一方、第3および第4バルブ43,44を閉成することにより、第1媒体通路21Aに供給する媒体を瞬時に切り替えることができる。しかも、コアピン21に関しては、上述したように、熱容量の小さい材質によって構成してある。さらに、共通の第1媒体通路21Aに対して高温媒体と低温媒体とを切り替え供給するようにしているため、高温媒体と低温媒体とを個別の媒体通路に供給する場合に比べて第1媒体通路21Aの横断面積を大きく確保することができる。これらの結果、媒体の切り替えに要する時間を著しく短縮し、生産効率の向上を図ることが可能になる。
【0048】
ここで、高温媒体供給部31が供給する高温媒体は、低温媒体供給部32が供給する低温媒体よりも高圧状態として熱輸送量を多くとることがさらに好ましい。本実施の形態1では、低温媒体として約1kgf/cm2の水を供給するのに対して、高温媒体としては約2kgf/cm2、もしくはそれ以上の圧力の高圧水を供給するようにしている。これにより、生産効率を一層向上させることができるようになる。
【0049】
上述した強制冷却の際には、筒状成形品10の温度が室温と同等になるまで完全に冷却するのが理想的である。しかしながら、適用する成形材料によっては冷却に多大な時間を要し、成形サイクルが長くなって生産効率に影響を与えるようになる。そこで、本実施の形態1で適用するPPS樹脂のように、成形材料が結晶性樹脂の場合には、少なくともコアピン21がガラス転移点以下の温度となるように強制冷却するようにしている。これは、結晶性樹脂がガラス転移点以上の温度から室温まで冷却する場合、線膨張係数に依存した熱収縮量と、非晶部分の分子構造変化に伴う収縮量とを加算した量の収縮が発生するのに対し、ガラス転移点以下の温度から室温まで冷却する場合、線膨張係数に依存した熱収縮量のみとなるためである。上述したPPS樹脂では、ガラス転移点が約363Kに存在する。本実施の形態1では、離型工程までの間に筒状成形品10をできる限り室温に近づけるべく、コアピン21が293Kとなるように低温媒体供給部32から第1媒体通路21Aに低温媒体を供給するようにしている。なお、強制冷却の際のコアピン21の温度に関しても、PPS樹脂以外の成形材料を適用する場合には、上述した条件に応じて適宜変更する必要がある。
【0050】
上記のように、型開き工程において筒状成形品10から外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25を離隔させた後、主円筒部11の上端部内周面11bをコアピン21に保持させた状態のまま、当該コアピン21を通じて強制冷却するようにした成形方法によれば、高い寸法精度が要求される主円筒部11の上端部内周面11bを拘束する一方、比較的寸法精度の要求されない他の部分の拘束を解除することでその自由な変形を招来することができるようになる。従って、筒状成形品10に発生する内部応力を可及的に抑え、その後の離型工程でコアピン21を離隔させた場合の変形量を最小限に止めることが可能になる。また、主円筒部11の上端部内周面11bを局所的に強制冷却することで、その後の離型工程でコアピン21を離隔させた場合の熱収縮による変形量も最小限に止めることができる。さらに、強制冷却温度をPPS樹脂のガラス転移点以下である293Kに設定してあるため、非晶部分の分子構造変化に伴う収縮をも最小限に止めることができる。
【0051】
これらの結果、コアピン21に抜き勾配を設けたり、専用の設備を要することなく、離型工程において主円筒部11の上端部内周面11bから当該コアピン21を容易に抜き出すことができるようになり、主円筒部11の外周面11aに2本の副円筒部12,13を備えた左右が非対称となる筒状成形品10であっても、その内周面11bに極めて高い寸法精度を確保することができるようになる。しかも、射出成形を前提とした成形方法であるため、筒状成形品10を高速、かつ大量に成形する場合にも好適である。
【0052】
ここで、上記強制冷却工程においては、主円筒部11の上端部内周面11bのみがコアピン21に保持されたままとなって熱収縮による変形が拘束される一方、その他の部分の拘束を解除することで熱収縮による自由な変形が許容されるようになる。従って、主円筒部11の上端部内周面11bに対するコアピン21の保持時間を適宜変更すれば、熱応力を意図的に発生させ、かつこれを任意に制御することが可能となる。
【0053】
図7は、主円筒部11の上端部内周面11bに対するコアピン21の保持時間と、経時変形前後の寸法変化量との関係を示したものである。この図7において縦軸は、筒状成形品10の成形直後の寸法に対する経時変形前後の寸法の変化量の比を示したものである。この縦軸において正の値は筒状成形品10が膨張していることを表す一方、負の値は筒状成形品10が収縮していることを表している。図7において横軸となる保持時間に関しては、0〜90秒の範囲で適宜変化させてある。測定個所は、図5に示すように、主円筒部11の内周面11bにおいて、代表となる4箇所a,b,c,dであり、3次元測定機によってそれぞれの内径測定を行った。なお、短時間のうちに筒状成形品10の残留応力を解放させる目的で、成形後の筒状成形品10に対して、373K、大気圧下で100時間の熱処理を行っている。
【0054】
図7において、保持時間を5秒に設定した筒状成形品10では、保圧工程の際に比較的高い圧力で成形材料を保圧した影響が残り、内部に圧縮応力が支配的に作用する。この圧縮応力が離型工程後において残留応力となり、当該残留応力が解放された場合に経時変形として筒状成形品10が膨張することになる。
【0055】
一方、保持時間を長く設定すると、筒状成形品10は全体として収縮しようとするが、コアピン21が嵌合されたままとなる主円筒部11の内周面11bにおいては、変形が拘束されることにより引張応力が支配的となる。例えば、保持時間を90秒に設定した筒状成形品10では、保圧工程において発生する圧縮応力よりも、強制冷却中に発生する引張応力が圧倒的となり、これが残留応力となるため、当該残留応力が解放された場合に経時変形として筒状成形品10が収縮するようになる。
【0056】
このように、主円筒部11の上端部内周面11bに対するコアピン21の保持時間を適宜変更することにより、熱収縮に伴う熱応力を任意に制御することができる。この熱応力(引張応力)および結晶ひずみ応力(引張応力)と、保圧による内部応力(圧縮応力)とを互いに相殺するように保持時間を設定すれば、離型工程後に残留する応力を最小限に抑えることが可能となり、筒状成形品10の主円筒部11において内周面11bの経時変形も最小限となる。本実施の形態1では、保持時間を15〜17秒に設定することで、主円筒部11の外周面11aに2本の副円筒部12,13を備えた左右が非対称となる筒状成形品10であっても、全測定箇所a,b,c,dに対して成形直後の寸法に対する経時変形前後の寸法の変化量の比を±5×10-4以内に抑えることができた。
【0057】
図7において保持時間に0秒を含めているのは、従来の成形方法との比較のためである。つまり、保持時間が0秒となるのは、型開き工程において外型部20、コアガイド22、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25と同様に筒状成形品10からコアピン21をも離隔させることであり、従来の成形方法に相当するものである。なお、測定個所については、実施の形態1と同一である。
【0058】
この従来の成形方法では、成形直後の寸法に対する経時変形前後の寸法の変化量の比が1.0×10-3〜1.4×10-3となり、経時変形として筒状成形品10が大きく膨張することになる。この結果と、上述した実施の形態1による結果(保持時間を15〜17秒に設定したもの)とを比較すれば、実施の形態1のものが経時変形量を1/2〜1/3程度に低減できることを容易に理解することができる。
【0059】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、型開き工程の後、強制冷却工程において主円筒部11の上端部内周面11bに対するコアピン21の保持時間を制御することにより、筒状成形品10の残留応力を制御し、これによって経時変形を最小限に抑えるようにしている。これに対して実施の形態2は、筒状成形品10に対して転写性や成形品強度が特に求められず、保圧工程での保圧力にも制限がない場合に、当該保圧力を制御することによって経時変形を最小限に抑えるようにしたものである。
【0060】
この実施の形態2では、保圧工程において保圧力を27.8MPa、55.6MPa、83.4MPa、111MPaの4通りに設定した。保圧時間はいずれも約10秒で共通である。また、強制冷却工程において主円筒部11の上端部内周面11bに対するコアピン21の保持時間に関しても、相互に共通としてある。なお、特に説明していない条件については、実施の形態1と同様である。
【0061】
図8は、こうした保圧力と経時変形前後の寸法変化量との関係を示したものである。この図8において縦軸は、筒状成形品10の成形直後の寸法に対する経時変形前後の寸法の変化量の比を示したものである。この縦軸において正の値は筒状成形品10が膨張していることを表す一方、負の値は筒状成形品10が収縮していることを表している。測定個所は、図5に示すように、主円筒部11の内周面11bにおいて、代表となる4箇所a,b,c,dであり、3次元測定機によってそれぞれの内径測定を行った。なお、短時間のうちに筒状成形品10の残留応力を解放させる目的で、成形後の筒状成形品10に対して、373K、大気圧下で100時間の熱処理を行っている。
【0062】
この結果によれば、保圧力を35MPa程度に設定することで、筒状成形品10の経時変形を最小限とすることができる。つまり、保圧力を35MPaに設定すれば、この保圧による内部応力(圧縮応力)と、熱応力(引張応力)および結晶ひずみ応力(引張応力)とが互いに相殺することになり、離型工程後に残留する応力が最小限となって、筒状成形品10の主円筒部11において内周面11bの経時変形も最小限となる。実際に、保圧力を27.8MPaに設定した場合には、主円筒部11の外周面11aに2本の副円筒部12,13を備えた左右が非対称となる筒状成形品10であっても、成形直後の寸法に対する経時変形前後の寸法の変化量の比が3×10-4程度となり、経時変形が有効に防止されていることが分かった。
【0063】
実施の形態3.
上述した実施の形態1では、型開き工程の後、強制冷却工程において主円筒部11の上端部内周面11bに対するコアピン21の保持時間を制御することにより、筒状成形品10の残留応力を制御し、これによって経時変形を最小限に抑えるようにしている。これに対して実施の形態3は、射出工程で成形材料の良好な流動性やウェルド部の強度を特に確保する必要がない場合に、成形材料の加熱温度、つまり金型部分の加熱温度を制御することによって経時変形を最小限に抑えるようにしたものである。成形材料が結晶性樹脂の場合、非晶部分に凝固収縮に伴う結晶ひずみが発生し、結晶ひずみ応力が残留する。この応力は結晶化度と相関があり、また、結晶化度は成形時の加熱温度に依存する(図6参照)。従って、金型部分の加熱温度を適宜変更すれば、結晶ひずみ応力を任意に制御することが可能になる。
【0064】
この実施の形態3では、外型部20、サブコアピン23および2本のサイドピン24,25、並びに強制冷却工程および離型工程以外においてコアピン21が313K、343K、371K、403K、423Kの5通りとなるように、高温媒体供給部31から第1媒体通路21Aおよび第2媒体通路20A,23A,24A,25Aに高温媒体を供給するように設定した。保圧工程では、筒状成形品10内部のボイドや表面の引け発生を抑制し、転写性や成形品強度の向上を図るために保圧力を111MPaと比較的高めに設定し、約10秒間の保圧時間を設定してある。なお、特に説明していない条件については、実施の形態1と同様である。
【0065】
図9は、こうした成形材料の加熱温度と経時変形前後の寸法変化量との関係を示したものである。この図9において縦軸は、筒状成形品10の成形直後の寸法に対する経時変形前後の寸法の変化量の比を示したものである。この縦軸において正の値は筒状成形品10が膨張していることを表す一方、負の値は筒状成形品10が収縮していることを表している。測定個所は、図5に示すように、主円筒部11の内周面11bにおいて、代表となる4箇所a,b,c,dであり、3次元測定機によってそれぞれの内径測定を行った。なお、短時間のうちに筒状成形品10の残留応力を解放させる目的で、成形後の筒状成形品10に対して、373K、大気圧下で100時間の熱処理を行っている。
【0066】
この結果によれば、加熱温度を380〜390K程度に設定することで、筒状成形品10の経時変形を最小限とすることができる。つまり、加熱温度を380〜390Kに設定すれば、保圧による内部応力(圧縮応力)と、熱応力(引張応力)および非晶部分に存在する結晶ひずみ応力(引張応力)、さらには結晶化の進行に伴う体積収縮の影響とが互いに相殺することになり、離型工程後に残留する応力が最小限となって、筒状成形品10の主円筒部11において内周面11bの経時変形も最小限となる。実際に、加熱温度を371Kに設定した場合には、主円筒部11の外周面11aに2本の副円筒部12,13を備えた左右が非対称となる筒状成形品10であっても、成形直後の寸法に対する経時変形前後の寸法の変化量の比が7×10-4程度となり、経時変形が有効に抑制されていることが分かった。
【0067】
なお、上述した実施の形態1〜3では、成形材料として結晶性樹脂であるポリフェニレンサルファイド樹脂を例示しているが、その他の成形材料を用いても同様の作用効果を期待することが可能である。例えば高分子系の樹脂材料の場合、熱可塑性樹脂であればその種類は問わない。具体的には、(1)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、(2)ポリ塩化ビニル系樹脂、ナイロン6やナイロン66などの脂肪族ポリアミド系樹脂、(3)ポリフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系樹脂、(4)ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、(5)ポリオキシメチレン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、フッ素系樹脂などの結晶性樹脂、(6)ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアレリート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アクリロニトリル−スチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン系樹脂などの非晶性樹脂、(7)芳香族ポリエステル系樹脂や芳香族ポリエステルアミド系樹脂などの液晶ポリマーなどを列挙することができる。また、これらのアロイや、ガラス繊維などのフィラーを配合した樹脂であってもよい。
【0068】
また、上述した本実施の形態では、樹脂を成形材料としたものを例示しているが、必ずしも樹脂による射出成形に限らず、例えば、無機材料を用いた粉末成形にも適用することが可能である。この種の粉末成形としては、セラミック射出成形、金属粉末射出成形、超硬合金射出成形などがある。これらの粉末成形では、成形材料に可塑性を付与するためにバインダが混入される。バインダとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブラチール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、パラフィンワックスやカルナバ蝋などのワックス類などを挙げることができる。
【0069】
さらに、上述した実施の形態では、成形品として、主円筒部11と、この主円筒部11の周面から直交する方向に沿って延在した2本の副円筒部12,13とを備えた筒状成形品10を例示しているが、その他の形状の成形品にも適用することが可能である。この場合、成形品が必ずしも筒状を成している必要はない。つまり、一方の成形面と他方の成形面とを有するものであれば、如何なる形状の成形品にも適用することが可能である。
【0070】
また、上述した実施の形態では、温度調整手段30として高温媒体や低温媒体を供給するものを例示しているが、必ずしも媒体を適用する必要はない。例えば、コアピン21等の金型部分に加熱素子や冷却素子を埋設するようにしてもよい。また、電熱ヒータを設置したり、高温ガスを金型部分の内部に直接吹き付けるようにしても構わない。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、第1金型部分を成形品に保持させる時間を制御することにより、成形品の残留応力を減少させることができるため、成形材料や成形品の形状を限定することなく、成形品の経時変形を抑制することが可能となる。
【0072】
つぎの発明によれば、製品キャビティに充填した成形材料に対する印加圧力を制御することにより、成形品の残留応力を減少させることができるため、成形材料や成形品の形状を限定することなく、成形品の経時変形を抑制することが可能となる。
【0073】
つぎの発明によれば、第1金型部分および第2金型部分の温度制御を行うことにより、成形品の残留応力を減少させることができるため、成形材料や成形品の形状を限定することなく、成形品の経時変形を抑制することが可能となる。
【0074】
つぎの発明によれば、低温媒体を供給することにより第1金型部分を通じて成形品の強制冷却を行うことができる一方、高温媒体を供給することにより第1金型部分を加熱することができるため、媒体の切り替えによって第1金型部分の温度制御を行うことが可能になる。
【0075】
つぎの発明によれば、第1および第2金型部分に高温媒体を供給することにより、成形材料の流動性を確保することができるとともに、充填の際の温度低下を抑えることができるため、ウェルド部の強度を向上させることが可能になる。
【0076】
つぎの発明によれば、低温媒体を供給することにより、第1金型部分を冷却することができるため、第1金型部分を通じて成形品の一方の成形面を強制冷却することが可能になる。
【0077】
つぎの発明によれば、成形品を強制冷却する際に第1金型部分が所望の温度まで冷却される時間を短縮することができるため、生産効率を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1〜3で適用する金型装置を示した概念図である。
【図2】 図1に示した金型装置による筒状成形品の成形過程を順に示した概念図である。
【図3】 筒状成形品の成形過程において第1媒体通路および第2媒体通路に供給する媒体の切替態様を示した図表である。
【図4】 図1に示した金型装置によって成形する成形品を示したもので、(a)は平面図、(b)は断面側面図である。
【図5】 図4に示した成形品において真円度測定を行った箇所を示す断面側面図である。
【図6】 金型装置の加熱温度と成形材料の結晶化度との関係を示すグラフである。
【図7】 この発明の実施の形態1において、成形品に対する第1金型部分の保持時間と、経時変形前後の寸法変化量との関係を示したグラフである。
【図8】 この発明の実施の形態2において、保圧力と経時変形前後の寸法変化量との関係を示したグラフである。
【図9】 この発明の実施の形態3において、成形材料の加熱温度と経時変形前後の寸法変化量との関係を示したグラフである。
【図10】 従来の成形方法によって成形したプラスチック製壜体の底部を示す部分断面図である。
【符号の説明】
10 筒状成形品、11 主円筒部、11a 外周面、11b 内周面、12,13 副円筒部、14 基準面、15 下端面、16,17 先端面、20 外型部、20A,23A,24A,25A 第2媒体通路、20a 成形品キャビティ、21 コアピン、21A 第1媒体通路、22 コアガイド、22a 中心孔、23 サブコアピン、24,25 サイドピン、26 連絡流路、30温度調整手段、31 高温媒体供給部、32 低温媒体供給部、40 供給媒体選択部、41 第1バルブ、42 第2バルブ、43 第3バルブ、44 第4バルブ、45 低温媒体供給流路、46 低温媒体返送流路、47 高温媒体供給流路、48 高温媒体返送流路、50 バルブ駆動制御部。

Claims (7)

  1. い寸法精度の内側の面を拘束する第1金型部分と、前内側の面より寸法精度の低い外側の面を拘束する第2金型部分とを含む、少なくとも2つの金型部分間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填して、オフセット位置に分岐部を有する管状成形品の成形を行う成形方法であって、
    前記成形品キャビティに成形材料を充填して保圧する保圧工程と、
    前記第2金型部分を成形品から離隔した後、前記第1金型部分を前記成形品に保持させた状態で、前記第1金型部分内の媒体通路に流れる媒体を高温媒体から前記高温媒体より温度が低い低温媒体に切り替えて、強制的に冷却する強制冷却工程とを含み、
    前記成形品に発生する経時変形を抑制するために、前記成形品の内部に引張応力として発生する、前記成形材料の非晶質部分の凝固収縮による結晶ひずみ応力と、前記成形品の内部に引張応力として発生する、前記強制冷却工程での前記成形品の熱収縮による熱応力と、前記成形品内部に圧縮応力として発生する、前記保圧工程での保圧による内部応力との総和である残留応力が減少するように、
    前記強制冷却工程においては、前記第1金型部分を前記成形品に保持させる時間を制御して、前記熱応力を制御する
    ことを特徴とする成形方法。
  2. い寸法精度の内側の面を拘束する第1金型部分と、前内側の面より寸法精度の低い外側の面を拘束する第2金型部分とを含む、少なくとも2つの金型部分間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填して、オフセット位置に分岐部を有する管状成形品の成形を行う成形方法であって、
    前記成形品キャビティに成形材料を充填して保圧する保圧工程と、
    前記第2金型部分を成形品から離隔した後、前記第1金型部分を前記成形品に保持させた状態で、前記第1金型部分内の媒体通路に流れる媒体を高温媒体から前記高温媒体より温度が低い低温媒体に切り替えて、強制的に冷却する強制冷却工程とを含み、
    前記成形品に発生する経時変形を抑制するために、前記成形品の内部に引張応力として発生する、前記成形材料の非晶質部分の凝固収縮による結晶ひずみ応力と、前記成形品の内部に引張応力として発生する、前記強制冷却工程での前記成形品の熱収縮による熱応力と、前記成形品内部に圧縮応力として発生する、前記保圧工程での保圧による内部応力との総和である残留応力が減少するように、
    前記保圧工程においては、前記成形品キャビティに充填した成形材料に対する保圧力を制御して、前記保圧による内部応力を制御する
    ことを特徴とする成形方法。
  3. い寸法精度の内側の面を拘束する第1金型部分と、前内側の面より寸法精度の低い外側の面を拘束する第2金型部分とを含む、少なくとも2つの金型部分間に画成される成形品キャビティに成形材料を充填して、オフセット位置に分岐部を有する管状成形品の成形を行う成形方法であって、
    前記成形品キャビティに成形材料を充填して保圧する保圧工程と、
    前記第2金型部分を成形品から離隔した後、前記第1金型部分を前記成形品に保持させた状態で、前記第1金型部分内の媒体通路に流れる媒体を高温媒体から前記高温媒体より温度が低い低温媒体に切り替えて、強制的に冷却する強制冷却工程とを含み、
    前記成形品に発生する経時変形を抑制するために、前記成形品の内部に引張応力として発生する、前記成形材料の非晶質部分の凝固収縮による結晶ひずみ応力と、前記成形品の内部に引張応力として発生する、前記強制冷却工程での前記成形品の熱収縮による熱応力と、前記成形品内部に圧縮応力として発生する、前記保圧工程での保圧による内部応力との総和である残留応力が減少するように、
    前記保圧工程においては、前記第1金型部分および前記第2金型部分の温度を制御して、前記結晶ひずみ応力を制御する
    ことを特徴とする成形方法。
  4. 前記第1金型部分内の媒体通路に対して互いに温度の異なる媒体を供給することにより、当該第1金型部分の温度制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の成形方法。
  5. 少なくとも前記第1金型部分と前記第2金型部分との間の前記成形品キャビティに成形材料を充填する際には、前記第1金型部分内の媒体通路および前記第2金型部分内の媒体通路前記高温媒体を供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の成形方法。
  6. 前記成形品の冷却を行う際には、前記第1金型部分内の媒体通路前記低温媒体を供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の成形方法。
  7. 前記第1金型部分の材質として前記第2金型部分よりも熱容量の小さい材質を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の成形方法。
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