JP3817607B2 - 発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、電子機器、雑貨、および自動車用の部品等は、強度や耐衝撃性などの物性の維持・改善に加えて、軽量化が求められている。このため、各部品等を構成する素材には、化学発泡方式やマイクロセルラー方式等の各種手段によって、樹脂内にセルと呼ばれる空隙が形成され、軽量化された発泡体が開発されている。ここで、例えば、化学発泡方式とは、所定の発泡剤と熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物を用いて形成する方法である。また、マイクロセルラー方式とは、熱可塑性樹脂に超臨界ガスを浸透させた後に、この超臨界ガスを脱ガスすることによって形成する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の場合には、発泡によって、表面にシルバストリークと称する銀白色のすじ状のものが生じて、一般の射出成形品等に比べると外観表面が良くないという問題があった。その上、成形品内に形成されるセルが大きくなりすぎて、得られた成形品の強度が低下するという問題もあった。このような外観不良を回避するために、前者の方法に加えてカウンタープレッシャー法を併用することも考えられるが、この場合には、製造設備やこの設備の制御が複雑になって、手軽に製造できないという問題があった。
一方、後者の場合には、成形品内部に形成されるセルが比較的小さくなるため、得られた成形品が十分な強度を有するものの、前述の化学発泡の場合と同様にシルバストリーク等による外観不良が発生しやすいという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、表面外観に優れるとともに、手軽に製造できる発泡体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る発泡体の製造方法は、コア層にセルを有する発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂を、金型温度がこの樹脂の結晶化温度Tc以上に設定された金型内に射出成形する成形工程と、この成形工程の後に、金型温度を樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’以下まで昇温して、樹脂の比容積が増加するまで保持する保持工程と、この樹脂の比容積の増加に応じて、金型内の容積を増加させる金型容積増加工程と、この金型容積増加工程の後に、金型を樹脂の結晶化温度Tc未満まで降温して、樹脂を冷却して硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とする。
なお、融点近傍温度Tm’とは、結晶性熱可塑性樹脂の融点Tm±5℃の範囲内の温度のことである。
【0006】
ここで、結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(6Ny、6,6Ny等;PA)、ポリアセタール(POM)、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)等を採用できる。また、前記ポリプロピレン(PP)には、ポリプロピレンのホモポリマー、ランダムコポリマー、及びこれらの混合物や多層複合物が含まれる。また、前記フッ素樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が含まれる。なお、以下の発明においても同じである。
【0007】
発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂とは、前述した結晶性熱可塑性樹脂に対して、所定の化学発泡剤や、結晶水を含む無機・有機フィラーのように樹脂内部を膨張させるもの、または、超臨界ガス等のように脱ガスすることで樹脂内にセルを発生させる機能を持つもの等が含有されていないものである。なお、これらの発泡剤が十分に発泡しない程度の量のみ含有されている場合も、「発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂」に該当する。なお、以下の発明においても同じである。
【0008】
金型の温度を制御する手段としては、例えば、エチレングリコール等の媒体を使用して、この媒体を加熱してポンプ等で金型内を循環させ、金型の温度を調整または保持するような調温装置を採用できる。なお、金型の温度を制御する手段における加熱方法としては、スチームや、高周波加熱、カートリッジヒーター、熱媒等の既存の温調システムを採用できる。なお、以下の発明においても同じである。
【0009】
本発明の発泡体の製造方法では、相互に進退自在に構成された2つ以上の型を有する金型を備えた所定の射出成形機を用いて、例えば、以下の手順で行われる。
すなわち、(1)成形工程において、発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂を、樹脂の結晶化温度Tc以上に設定された金型内に射出成形する。(2)保持工程において、この金型内に射出成形された樹脂を、樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’以下に設定した金型で樹脂の比容積が増加するまで保持する。(3)金型容積増加工程において、樹脂の比容積の増加に応じて、金型における一方の型を他方の型から後退させることにより、金型内の容積を増加させる。(4)硬化工程において、金型を樹脂の結晶化温度Tc未満に設定して、金型内の樹脂を冷却して硬化させる。
【0010】
このような本発明において、保持工程では、樹脂の比容積が増加するまで保持するが、この際、樹脂は、表面部分はそのままの状態でありながら、内部(非晶部)のみが徐々に膨張するため、発泡体(成形品)全体としても膨張する。このため、結果として、樹脂全体の比容積が増加する。なお、実際に膨張するのは、金型容積増加工程を実施して膨張用のスペースを確保した後である。
【0011】
ここで、前記金型容積増加工程では、前述したように、2つの型からなる金型を用意し、これら金型の一方の型を他方の型から後退させて、2つの型間の空間の容積を増加させる構成を採用できる。
なお、成形品である発泡体内部のセル径としては、成形品の強度を確保するために、平均長径が50μm以下であることが好ましい。
【0012】
また、このような発泡体の製造方法において、成形工程は、金型温度を樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’以下に設定して射出成形し、保持工程は、この成形工程における温度を維持した状態で、樹脂の比容積が増加するまで保持することが好ましい。
【0013】
以上のような本発明において、成形工程における金型温度を樹脂の結晶化温度Tc未満とすると、発泡体の表面転写性が改良されず、また、結晶化度も高くならないため、表面の光沢性および耐傷付性が改良され難いという欠点がある。
また、成形工程における金型温度を樹脂の融点近傍温度Tm’よりも高くすると、発泡体の表面が溶融して十分な外観性を確保できない上、結晶化度もあまり高くできないという欠点がある。
【0014】
以上より、本発明によれば、非晶部・欠陥部が空隙となり射出成形品である発泡体において、その表面を外観性の高いスキン層にできるとともに、内部のコア層を微細で均一なセルを有する成形品にできる。
また、本発明を実施するにあたり、既存の射出成形機を用いて金型温度を制御するだけでよいから、手軽に発泡体を製造できる。
【0015】
ここで、成形工程では、金型温度を樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’未満に設定し、保持工程では、金型温度を樹脂の融点近傍温度Tm’に設定することが好ましい。
このような場合において、成形工程から保持工程への移行時に金型を加温するため、この温度上昇に応じて、樹脂全体の結晶化度が進行し、樹脂の融点Tmが少なくとも5℃程度上昇することになる。このため、樹脂の融点+5℃(融点近傍温度Tm’の上限)まで金型温度を上昇させても、この樹脂の溶融のおそれが少ない上、より高い温度とすることにより樹脂の結晶化度も高くできる。
【0016】
ここで、温度設定される金型は、該金型の一部であってもよい。
このような場合には、成形品の一部分だけを発泡体とすることができ、用途や目的に合わせた多種多様な成形品を簡単に形成できる。
【0017】
本発明に係る発泡体の製造方法は、コア層にセルを有する発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂をパリソンとして押し出すとともに、このパリソン内の気圧を高めて、この樹脂を、金型温度がこの樹脂の結晶化温度Tc以上に設定された金型の内面に沿って中空成形する成形工程と、この成形工程の後に、金型温度を樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’以下まで昇温して、樹脂の比容積が増加するまで保持する保持工程と、樹脂の比容積の増加に応じて、パリソン内の気圧を減少させる減圧工程と、この減圧工程の後に、金型を樹脂の結晶化温度Tc未満まで降温して、樹脂を冷却して硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
この減圧工程では、前記射出成形における金型内容積増加工程と同様の役割を果たすものであり、パリソン内側の中空部分を減圧することにより、樹脂が中空部分の中心側に向かって徐々に膨張するため、発泡体(成形品)全体としても内側に膨張して、結果として、樹脂全体の比容積が増加することになる。この後、硬化工程において樹脂の温度も樹脂の結晶化温度Tc未満とするため、樹脂に収縮が生じて、内部に微細なセルが発生することになる。
【0019】
ここで、成形工程は、金型温度を樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’以下に設定して中空成形し、保持工程は、この成形工程における温度を維持した状態で、樹脂の比容積が増加するまで保持することが好ましい。
【0020】
以上のような本発明において、成形工程での金型温度を樹脂の結晶化温度Tc未満とすると、前述の射出成形等の場合と同様に、発泡体の表面転写性が改良されず、また、結晶化度も高くならないため、表面の光沢性および耐傷付性が改良され難いという欠点がある。
一方、成形工程での金型温度を樹脂の融点近傍温度Tm’よりも高くすると、前述同様に、発泡体表面の十分な外観性を確保できず、また、結晶化度もあまり高くできないという欠点がある。
【0021】
以上より、本発明によれば、非晶部・欠陥部が空隙となり中空成形品である発泡体において、その表面を外観性の高いスキン層にできるとともに、内部のコア層を微細で均一なセルを有する成形品にできる。
また、本発明を実施するにあたり、既存のブロー成形機を用いて金型温度を制御するだけでよいから、手軽に発泡体を製造できる。
【0022】
ここで、成形工程では、金型温度を樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’未満に設定し、保持工程では、金型温度を樹脂の融点近傍温度Tm’に設定することが好ましい。
このような場合において、成形工程から保持工程への金型の加温の際に、樹脂全体の結晶化度が進行し、樹脂の融点Tmが5℃程度上昇するため、樹脂の融点+5℃(融点近傍温度の上限)まで金型温度を加温することにより、樹脂の溶融を抑えた上で、樹脂の結晶化度を非常に高くできる。
【0023】
また、温度設定される金型は、該金型の一部であってもよい。
このような場合には、成形品の一部分だけを発泡体とすることができ、用途や目的に合わせた多種多様な成形品を簡単に形成できる。
【0024】
本発明に係る発泡体の製造方法は、コア層にセルを有する発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂を押出成形機のダイからシート状に押出し、ロール表面の温度がこの樹脂の結晶化温度Tc以上に設定された第1ロールを当接させ、樹脂を成形する成形工程と、この成形工程の後に、ロール表面の温度が樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’以下に設定された第2ロールを当接させ、樹脂の比容積を増加させる比容積増加工程と、この比容積増加工程の後に、ロール表面の温度が樹脂の結晶化温度Tc未満に設定された第3ロールを当接させ、樹脂を冷却して硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とするものである。
【0025】
本発明において、第1ロールの表面温度を樹脂の結晶化温度Tc未満とすると、前述の射出成形等の場合と同様に、発泡体の表面転写性が改良されず、また、結晶化度も高くならないため、表面の光沢性および耐傷付性が改良され難いという欠点がある。
このような本発明によれば、押出成形品である発泡体において、その表面を外観性の高いスキン層にできるとともに、内部のコア層を微細で均一なセルを有する成形品にできる。また、本発明を実施するにあたり、既存の押出成形機を用いて、各ロール温度を制御するだけでよいから、手軽に発泡体を製造できる。
【0026】
ここで、成形工程では、第1ロールの表面温度を樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’未満に設定し、保持工程では、第2ロールの表面温度を樹脂の融点近傍温度Tm’に設定することが好ましい。
このような場合において、成形工程から保持工程への間におけるロール温度の上昇によって、樹脂全体の結晶化度が進行し、樹脂の融点Tmが5℃程度上昇するため、樹脂の融点+5℃(融点近傍温度の上限)まで加温することになり、樹脂の溶融を抑えた上で、樹脂の結晶化度を非常に高くできる。
【0027】
本発明に係る発泡体の製造方法は、コア層にセルを有する発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂を押出成形機のダイからシート状に押出し、ロール表面の温度がこの樹脂の結晶化温度Tc以上で、かつ融点近傍温度Tm’以下に設定された第1ロールを当接させ、樹脂を成形し、樹脂の比容積を増加させる成形工程と、この成形工程の後に、ロール表面の温度が樹脂の結晶化温度Tc未満に設定された第2ロールを当接させ、樹脂を冷却して硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とするものである。
【0028】
本発明において、第1ロールの表面温度を樹脂の結晶化温度Tc未満とすると、前述の射出成形等の場合と同様に、発泡体の表面転写性が改良されず、また、結晶化度も高くならないため、表面の光沢性および耐傷付性が改良され難いという欠点がある。一方、成形工程での第1ロールの表面温度を樹脂の融点近傍温度Tm’よりも高くすると、前述同様に、発泡体表面の十分な外観性を確保できず、また、結晶化度もあまり高くできないという欠点がある。
このような本発明によれば、押出成形品である発泡体において、その表面を外観性の高いスキン層にできるとともに、内部のコア層を微細で均一なセルを有する成形品にできる。また、本発明を実施するにあたり、既存の押出成形機を用いて各ロール温度を制御するだけでよいから、手軽に発泡体を製造できる。
【0029】
以上のような発泡体の製造方法において、第1ロールは、ロール表面の一部が結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度Tc以上に設定されていてもよい。
このような場合には、前述同様に、用途や目的等に合わせた多種多様な発泡体を簡単に形成できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1および図2は、本発明の発泡体を製造するための射出成形機1を示す図である。
この射出成形機1は、図1,2に示すように、発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂であるポリプロピレン(PP)10を原料として、所定形状の射出成形品を製造する機械であり、射出成形機本体11と、金型12とを備える。
【0032】
ポリプロピレン10は、ペレット状に形成されたものであり、例えば、結晶化温度Tcが105℃で、融点Tmが161℃のもの等がある。この場合には、融点近傍温度Tm’は、156℃〜166℃の範囲内となる。
ここで、図3は、ポリプロピレン10における温度と比容積との関係を示すグラフである。ポリプロピレン10は、図3に示すように、温度の上昇に伴って比容積も増加し、特に、結晶化温度Tc〜融点Tm(融点近傍温度)において結晶化が進行し、比容積が劇的に増加している。なお、図3中の符号であるTgはガラス転移温度、Tcは結晶化温度、Tmは融点である。
【0033】
図1に戻って、射出成形機本体11は、投入されるポリプロピレン10を可塑化して金型12内に射出するものであり、熱伝達媒体を利用するヒータ111Aを有するシリンダ111と、このシリンダ111内に配置されるスクリュ112と、シリンダ111内にポリプロピレン10を投入するホッパ113と、スクリュ112を回転させる油圧装置114と、シリンダ111および金型12を繋ぐノズル115とを備える。
【0034】
このような射出成形機本体11において、ホッパ113から投入されたペレット状のポリプロピレン10は、シリンダ111のヒータ111Aによって加熱されて、油圧装置114によって回転するスクリュ112によって、可塑化されながら、先端のノズル115側へと移動し、ノズル115を介して、金型12内へと高圧で射出される。
【0035】
金型12は、射出成形機本体11から射出された可塑化ポリプロピレン10を所定形状の内部側の間隙に充填し、この充填したポリプロピレン10を間隙形状に成形するものであり、雌型121と、雄型122と、これらの型121,122を加熱・冷却する図示しない調温装置とを備える。
【0036】
雌型121は、ノズル115と繋がった状態で固定配置されている。
雄型122は、図示しない型締装置により、雌型121に対して進退可能に構成され、この進退機構により、充填したポリプロピレン10の発泡ができるとともに、硬化後の射出成形品が取り出せるようになっている。
【0037】
以上のような射出成形機1を用いて、発泡体としての部分を有する射出成形品を製造する手順について説明する。
<1-1>まず、事前準備として、ヒータ111Aによりシリンダ111を予熱した上で、前記調温装置により、金型12の温度を110℃等のTc以上でTm’未満の温度に設定しておく。次いで、油圧装置114を作動させてスクリュ112を回転させる。
【0038】
<1-2>この状態で、ペレット状のポリプロピレン10を、ホッパ113を介して、シリンダ111内に投入する。この投入されたポリプロピレン10を、シリンダ111の熱およびスクリュ112からの圧力によって可塑化する。この可塑化されたポリプロピレン10をスクリュ112の回転によって移動させ、ノズル115を介して、金型12内の間隙において射出成形する(成形工程)。
【0039】
<1-3>次に、金型12内に射出成形された射出成形品100を図示しない調温装置を用いて加温する。具体的には、金型12を融点近傍温度Tm’に設定して射出成形品100を加温し、射出成形品100におけるポリプロピレン10の比容積が増加するまで保持する(保持工程)。
【0040】
<1-4>このような保持工程の途中で、ポリプロピレン10の比容積の増加に合わせて、雄型122を外部側(図2中の矢印方向)へ後退させる(金型容積増加工程)。具体的には、射出成形品100の厚さ寸法分だけ後退させる。
【0041】
<1-5>次に、前記調温装置により、金型12全体の温度を結晶化温度Tc未満の温度に設定して、射出成形品100を冷却して硬化する(硬化工程)。
<1-6>最後に、雄型122を雌型121から後退させて、金型12から取り出すことにより、図2に示すポリプロピレン10製の射出成形品100を得る。
このような射出成形品100は、図2に示すように、内部のコア層に所定寸法のセルが形成された発泡体となっている。
【0042】
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) 雄型122を温度調整に合わせて後退させるので、表面が外観性の高いスキン層であって、内部のコア層が微細で均一なセルを有する射出成形品100を製造できる。
【0043】
(2) 既存の射出成形機1を用いた上で、温度調整を行うだけの構成としたので、設備改良のための投資や労力等を少なくでき、発泡体を手軽に製造できる。
【0044】
(3) 雄型122の後退量を、成形品の寸法と同程度としたので、発泡体内のセル径が適度な大きさとなり、成形品の強度を十分に確保できる。
【0045】
(4)成形工程において、金型12の温度を結晶化温度Tc以上で融点近傍温度Tm’未満に設定し、保持工程において、金型12の温度を融点近傍温度Tm’に設定したので、成形工程から保持工程への移行時の金型12の温度上昇に応じて、射出成形品100におけるポリプロピレン10全体の結晶化度が進行して融点Tmが少なくとも5℃程度上昇するから、融点+5℃まで金型12の温度を上昇させても、この射出成形品100におけるポリプロピレン10の溶融を防止した上で、ポリプロピレン10の結晶化度をより一層高くできる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
図4および図5は、本発明の発泡体を製造するための射出成形機1Aを示す図である。
この射出成形機1Aは、前記第1実施形態の射出成形機1とは、金型12の構成のみが相違しており、金型12とは異なる構成である金型50の構成について、以下に説明する。
【0047】
金型50は、射出成形機本体11から射出された可塑化ポリプロピレン10を所定形状の内部側の間隙に充填し、この充填したポリプロピレン10を間隙形状に成形するものであり、雌型51と、雄型52と、これらの型51,52を加熱・冷却する図示しない調温装置とを備える。
雌型51は、ノズル115と繋がった状態で固定配置されている。この雌型51は、図5に示すように、雄型52が進退する方向と直交する方向、つまり外側へ進退する可動部51Aを備える。この可動部51A内には、ヒータ装置51Bが収納されており、金型50内の射出成形品を部分的に調温できるようになっている。
雄型52は、図示しない型締装置により、雌型51に対して進退可能に構成され、この機構により、硬化後の射出成形品が取り出せるようになっている。
【0048】
以上のような射出成形機1Aを用いて、発泡体としての部分を有する射出成形品を製造する手順について説明する。
<2-1>まず、事前準備として、ヒータ111Aによりシリンダ111を予熱した上で、前記調温装置により、金型50の温度を110℃等のTc以上でTm’未満の温度に設定しておく。次いで、油圧装置114を作動させてスクリュ112を回転させる。
【0049】
<2-2>この状態で、ペレット状のポリプロピレン10を、ホッパ113を介して、シリンダ111内に投入する。この投入されたポリプロピレン10を、シリンダ111の熱およびスクリュ112からの圧力によって可塑化する。この可塑化されたポリプロピレン10をスクリュ112の回転によって移動させ、ノズル115を介して、金型50内の間隙において射出成形する(成形工程)。
【0050】
<2-3>次に、金型50内に射出成形された射出成形品100のうち、雌型51の可動部51Aに対応する部分だけを、可動部51A内のヒータ装置51Bを用いて加温する。具体的には、可動部51Aを融点近傍温度Tm’に設定して射出成形品100を加温し、射出成形品100におけるポリプロピレン10の比容積が増加するまで保持する(保持工程)。
【0051】
<2-4>このような保持工程の途中で、ポリプロピレン10の比容積の増加に合わせて、可動部51Aを外部側(図5中の矢印方向)へ後退させる(金型容積増加工程)。具体的には、射出成形品100において、可動部51Aに対応する部分100Aの厚さ寸法と同程度の寸法分だけ後退させる。
【0052】
<2-5>次に、前記調温装置により、金型50全体の温度を結晶化温度Tc未満の温度に設定して、射出成形品100を冷却して硬化する(硬化工程)。
<2-6>最後に、雄型52を雌型51から後退させて、金型50から取り出すことにより、図5に示すポリプロピレン10製の射出成形品100を得る。
このような射出成形品100は、図5に示すように、可動部51Aに対応する部分100Aのみが、内部のコア層に所定寸法のセルが形成された発泡体となっている。
【0053】
以上のような本実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(4)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(5)金型50の一部に進退可能な可動部51Aを設けた上で、この可動部51Aにおける温度調整が可能となるように金型50を構成したので、射出成形品の一部分だけを発泡体にできる。このため、用途や目的に合わせた多種多様な成形品を簡単に形成できる。
【0054】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、前記第1,2実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
図6は、本発明の発泡体である中空成形品を製造するためのブロー成形機2を示す図である。
ブロー成形機2は、図6に示すように、発泡剤を含有しない前記ポリプロピレン10を原料として、所定形状の中空成形品を製造する機械であり、ブロー成形機本体21と、アキュムレータ22と、金型装置23とを備える。
【0055】
ブロー成形機本体21は、可塑化されたポリプロピレン10をアキュムレータ22内へ射出するものであり、ヒータ211Aが設けられたシリンダ211と、このシリンダ211内に配置されるスクリュ212と、シリンダ211内にポリプロピレン10を投入するホッパ213と、スクリュ212を回転させる油圧装置214とを備える。
【0056】
このようなブロー成形機本体21において、ホッパ213から投入されたポリプロピレン10は、シリンダ211におけるヒータ211Aで加熱されて、油圧装置214により回転するスクリュ212によって、可塑化されながらアキュムレータ22側へと移動し、アキュムレータ22内へ射出される。
【0057】
アキュムレータ22は、ブロー成形機本体21から射出された可塑化ポリプロピレン10を内側に溜めておき、この溜まったポリプロピレン10を所定のタイミングで金型装置23の内側へ2枚のシート状のパリソン110として押し出すものであり、アキュムレータ本体221と、ノズル222Bを介して、押し出されたパリソン110内側の空気圧を調整する調圧装置222とを備える。なお、アキュムレータ22は、図示しないスチームを使用する所定の調温装置により温度調整が可能である。
【0058】
アキュムレータ本体221は、プランジャ221Aが上下方向に進退して、内部のポリプロピレン10を所定のタイミングで2枚のシート状のパリソン110として押し出す機械である。
調圧装置222は、具体的な図示を省略するが、所定のコンプレッサ等を備えて構成され、このコンプレッサ等を制御することにより、ノズル222Bを介して、パリソン110内側に空気を送ったり、パリソン110内側の空気を吸い込む装置である。
【0059】
このようなアキュムレータ22において、アキュムレータ本体221内のプランジャ221Aが、図6中の下方向に進行すると調圧装置222がパリソン110内側に空気を吹き込むようになっている。これにより、パリソン110同士がくっつかないようになっている。
【0060】
金型装置23は、アキュムレータ22から射出されたパリソン110を内部の間隙に沿って所定形状の中空成形品を形成する装置であり、一対の金型231と、これらの金型231の一部(図6中の下部)を加熱・冷却する調温装置232と、一対の金型231を互いに接近・離間させる型締め装置233とを備えて構成される。
【0061】
一対の金型231は、内面が所定形状に形成された凹状の部材であり、内側に射出されたパリソン110を、この内面形状に沿って倣わせることにより、所定形状に形成する。
調温装置232は、所定のカートリッジヒータで構成されており、一対の金型231内側にあるパリソン110の下部側のみを部分的に調温できるようになっている。
【0062】
このような金型装置23では、型締め装置233によって、一対の金型231が互いに接近する方向に進行すると、図6中の左右側からパリソン110を挟み込んで、パリソン110における金型231下部側部分が、互いに重なりあうことになり、中空成形がなされることになる。
【0063】
以上のようなブロー成形機2を用いて、下部側が発泡体とされた中空成形品を製造する手順について説明する。
<3-1>まず、事前準備として、シリンダ211およびアキュムレータ本体221を予熱する。また、図示しない調温装置により金型231の温度を結晶化温度Tc以上で融点近傍温度Tm’未満の温度に設定しておく。
【0064】
<3-2>この状態で、ペレット状のポリプロピレン10を、ホッパ213を介して、シリンダ211内に投入する。この投入されたポリプロピレン10を、シリンダ211の熱、および油圧装置214により回転するスクリュ212の圧力によって可塑化する。この可塑化されたポリプロピレン10を、スクリュ212の回転によって移動させ、アキュムレータ本体221内に射出する。
【0065】
<3-3>次に、アキュムレータ本体221内に射出されたポリプロピレン10を、その内部に所定量分溜めた後に、プランジャ221Aにより、金型装置23の内部側へパリソン110として射出する。この際、パリソン110の内側には、調圧装置222から空気を送っておく。
【0066】
<3-4>次に、金型装置23において、一対の金型231を互いに接近する方向に移動させ、一対の金型231を互いに接合した箱状とする。この際、パリソン110の内側に依然として調圧装置222から空気を送り続けておくことにより、パリソン110を外部側へと押圧して一対の金型231の内面に倣わせる。このようにして中空成形品を形成する(成形工程)。
【0067】
<3-5>次に、一対の金型231内における中空成形品の下部側の部分だけを、一対の金型231内の調温装置232を用いて、一対の金型231を融点近傍温度Tm’まで加温し、パリソン110におけるポリプロピレン10の比容積が増加するまで保持する(保持工程)。
<3-6>このように保持している途中で、ポリプロピレン10の比容積の増加に応じて、調圧装置222によりパリソン110内部側の空気を吸い込み、内部側を減圧する(減圧工程)。
【0068】
<3-7>次に、一対の金型231全体の温度を結晶化温度Tc未満まで冷却し、中空成形品を硬化させる(硬化工程)。
<3-8>最後に、一対の金型231同士を離間させて、一対の金型231から取り出すことにより、ポリプロピレン10製の中空成形品を得る。
このようにして得られた中空成形品は、図示しないが、下部側のみが、内部のコア層に所定寸法のセルが形成された発泡体となっている。
【0069】
以上のような本実施形態によれば、前記第1,2実施形態の(2),(4),(5)に加えて、以下のような効果がある。
(6)一対の金型231の下部側の温度調節に合わせて、パリソン110の内部側を減圧することにより、成形品の下部側部分において、その表面が外観性の高いスキン層にできて、かつ内部のコア層に微細で均一なセルを形成できる。
【0070】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、前記第1〜3実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
図7は、本発明の発泡体である押出成形品としてのシート120を製造するためのシート成形機3を示す図である。
シート成形機3は、前記ポリプロピレン10を可塑化して、シート状に連続的に押し出す機械であり、図7に示すように、シート成形機本体31と、第1ロール32と、第2ロール33と、第3ロール34とを備える。
【0071】
シート成形機本体31は、前記第1実施形態の射出成形機本体11と略同様のものであるが、押し出されるポリプロピレン10がシート状となるように、Tダイ311の開口部311Aが細長いスリット状に形成されている。
【0072】
各ロール32〜34は、それぞれ回転軸321,331,341を中心として回転自在な2つのロール部材322,332,342を備え、これらの2つのロール部材322,332,342は、成形品の厚み寸法を調整するために、所定の間隔で配置されている。なお、この間隔は適宜変更可能となっている。
また、各ロール32〜34は、それぞれのロール32〜34全体の表面温度を調節するために、ロール32〜34内に熱伝達媒体が流入自在となっている。
さらに、第1ロール32および第2ロール33は、前述の熱伝達媒体による調温機構とは別に、2つのロール部材322,332の中央部分322A,332Aの表面温度だけを調整できる図示しない調温装置が設けられている。
【0073】
第1ロール32は、ロール全体については特に加温・冷却がなされておらず、その中央部分322Aの温度だけが結晶化温度Tc以上で融点近傍温度Tm’未満に設定されている。
第2ロール33も、ロール全体については特に加温・冷却がなされていないが、その中央部分332Aの温度だけが融点近傍温度Tm’に設定されている。
第3ロール34は、ロール全体が結晶化温度Tc未満に設定されている。
【0074】
以上のようなシート成形機3を用いて、中央部分が発泡体とされたシート120を製造する手順について説明する。
<4-1>まず、シート成形機本体31において、ポリプロピレン10を混練および可塑化し、Tダイ311の開口部311Aを介してシート状に押し出す。
<4-2>次に、押し出されたシート120を、第1ロール32において、ロール部材321間の間隙により、所定の厚み寸法まで圧延し成形する。この際、シート120におけるロール部材322の中央部分322Aに対応する中央部分だけを、表面温度を結晶化温度Tc以上で融点近傍温度Tm’未満とした第1ロール32によって成形する(成形工程)。
【0075】
<4-3>次いで、第1ロール32を通過した後のシート120を、第2ロール33において、さらに所定の厚み寸法に圧延する。この際、第1ロール32通過後のシート120における中央部分を、表面温度を融点近傍温度Tm’とした第2ロール33で成形し、この中央部分の比容積だけを増加させる(比容積増加工程)。
<4-4>次いで、第2ロール33を通過した後のシート120を、その全体の表面温度を結晶化温度Tc未満とした第3ロール34で、その全体を冷却し硬化させる(硬化工程)。
【0076】
<4-5>最後に、第3ロール34を通過した後のシート120を、図示しない所定の巻き取り装置によりロール状に巻いて完成品とする。
このようにして得られたポリプロピレン10製のシート120は、中央部分において、その表面がスキン層であり、かつ内部のコア層に所定寸法のセルが形成された発泡体である。
【0077】
以上のような本実施形態によれば、前記第1〜3実施形態の(4),(5)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(7)各ロール32,33における中央部分322A,332Aの温度や、第3ロール34のロール部材341全体の温度を調節するだけで、シート120の中央部分において、その表面が外観性の高いスキン層であって、内部のコア層が微細で均一なセルを有するシートを製造できる。
【0078】
(8)各ロール32,33は、既存のロールに対して、その中央部分322A,332Aの温度調節を行う所定の調温装置を配置するだけで構成したので、設備改良のための投資や労力等を少なくでき、発泡体を手軽に製造できる。
【0079】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について、図7を参照しながら説明する。
第5実施形態は、前記第4実施形態におけるシート成形機3を用いた上で、各ロール32〜34の温度を前記第4実施形態の温度とは異なる温度に設定して、シート120を製造する。なお、前記第4実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
【0080】
ここで、各ロール32〜34における設定温度は以下の通りである。
第1ロール32は、ロール全体については特に加温・冷却がなされておらず、その中央部分322Aだけが結晶化温度Tc以上で融点近傍温度Tm’以下の温度に設定されている。また、第2ロール33は、ロール全体が結晶化温度Tc未満の温度に設定されている。なお、第3ロール34は、特に温度は設定されない。このため、第3ロール34を取り外して、第2ロール34以降ではシート130を徐冷するように構成してもよい。
【0081】
以上のようなシート成形機3を用いて、中央部分が発泡体とされたシート130を製造する手順について説明する。
<5-1>前述同様に、シート成形機本体31からポリプロピレン10製のシート130を押し出し、このシート130を、第1ロール32において所定の厚み寸法まで圧延する。この際、シート130の中央部分だけを、表面温度を結晶化温度Tc以上で融点近傍温度Tm’以下とした第1ロール32で成形する。これにより、シート130における中央部分だけ、その比容積を増加させる(成形工程)。
【0082】
<5-2>次いで、第2ロール33を通過した後のシート130を、表面温度を結晶化温度Tc未満とした第3ロール34において、その全体を冷却し硬化させる(硬化工程)。
<5-3>最後に、前述同様に、第3ロール34を通過した後のシート130をロール状に巻いて完成品とする。
【0083】
このようにして得られたポリプロピレン10製のシート130は、中央部分において、その表面がスキン層であり、かつ内部のコア層に所定寸法のセルが形成された発泡体である。
以上の本実施形態によれば、前記第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
なお、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態において、結晶性熱可塑性樹脂としてポリプロピレン10を採用していたが、これに限らず、前述したように、ポリエチレンやポリアミド、フッ素樹脂等のその他の結晶性熱可塑性樹脂を採用してもよい。
また、成形工程および保持工程での温度は、前記所定の範囲内であれば特に限定されない。この際、採用する結晶性熱可塑性樹脂の物性等に応じて、適宜、最適な温度に設定すればよい。
【0085】
また、成形品の中央部分等の一部分が発泡体となるように金型等を構成したが、成形品の全体が発泡体となるように構成してもよい。この場合には、成形品の形状や用途等に合わせて、温度調節の範囲を適宜変更すればよい。
また、成形品において発泡体となる部分は、中央部分以外のその他の部分であってもよく、その位置は特に限定されない。
【0086】
また、金型やロール、加熱炉を調温する装置としては、前記各実施形態で採用したものには限定されず、スチームや、高周波加熱、カートリッジヒータ、熱伝達媒体等の既存の温調システムを採用できる。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造としてもよい。
【0087】
【実施例】
〔実施例1〕
前記第1実施形態の射出成形機1Aを用いて下記の条件で実施した。なお、本実施例1では、金型50全体の温度を変化させるとともに、可動部51Aを含む雌型51はそのままの位置で固定し、雄型52を後退させた。
結晶性熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン(PP),商品名:J-2000GP,結晶化温度Tc;105℃,融点Tm;161℃,融点近傍温度Tm’;156℃〜165℃),出光石油化学社製を採用した。
【0088】
本実施例では、図8に示すように、金型温度を110℃として射出成形した後に160℃まで昇温した。この後、金型温度を160℃で10分間保持した。次に、金型温度を160℃から60℃まで降温した。
この射出成形品をマイクロスコープにより200倍率で観察したものを図9に示す。図9に示す射出成形品は、そのコア層のセルの平均径が約15μmであった。
【0089】
〔実施例2〕
前記第1実施形態の射出成形機1Aを用いて下記の条件で実施した。なお、本実施例2でも金型50全体の温度を変化させ、雌型51を固定した状態で雄型52を後退させた。
結晶性熱可塑性樹脂は、前記実施例1と同じポリプロピレンを採用した。
各工程における金型温度は、成形工程:140℃、保持工程:140℃、硬化工程:60℃とした。この際の温度変化を図10に示す。
【0090】
本実施例では、図10に示すように、金型温度を110℃として射出成形した後に、金型温度を140℃まで昇温した。この後、すぐに金型温度を140℃から60℃まで降温した。
この射出成形品をマイクロスコープにより200倍率で観察したものを図11に示す。図11に示す射出成形品は、そのコア層のセルの平均径が約35μmであった。
【0091】
【発明の効果】
本発明の発泡体の製造方法によれば、表面外観に優れた発泡体を手軽に製造できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発泡体を製造するための射出成形機を示す図である。
【図2】前記射出成形機において、雄型を後退させた図である。
【図3】ポリプロピレンにおける温度と比容積の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る発泡体を製造するための射出成形機を示す図である。
【図5】前記第2実施形態の射出成形機において、可動部を後退させた図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る発泡体を製造するためのブロー成形機を示す図である。
【図7】本発明の第3,4実施形態に係る発泡体を製造するためのシート成形機を示す図である。
【図8】実施例1における金型温度の変化を示すグラフである。
【図9】前記実施例1におけるコア層のセルを示す図である。
【図10】実施例2における金型温度の変化を示すグラフである。
【図11】前記実施例2におけるコア層のセルを示す図である。
【符号の説明】
1,1A 射出成形機
2 ブロー成形機
3 押出成形機であるシート成形機
10 結晶性熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン
12,50 金型
32 第1ロール
33 第2ロール
34 第3ロール
51A 可動部
51B ヒータ装置
100 発泡体を含む射出成形品
110 パリソン
120,130 押出成形品である発泡体を含むシート
222 調圧装置
231 一対の金型
Tc 結晶化温度
Tm 融点
Tm’ 融点近傍温度

Claims (9)

  1. コア層にセルを有する発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、
    発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂を、金型温度がこの結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上に設定された金型内に射出成形する成形工程と、
    この成形工程の後に、前記金型温度を前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上で、かつ融点近傍温度以下まで昇温して、前記結晶性熱可塑性樹脂の比容積が増加するまで保持する保持工程と、
    この結晶性熱可塑性樹脂の比容積の増加に応じて、前記金型内の容積を増加させる金型容積増加工程と、
    この金型容積増加工程の後に、前記金型を前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度未満まで降温して、前記結晶性熱可塑性樹脂を冷却して硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とする発泡体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の発泡体の製造方法において、
    前記成形工程は、前記金型温度を前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上で、かつ融点近傍温度以下に設定して射出成形し、
    前記保持工程は、この成形工程における温度を維持した状態で、前記結晶性熱可塑性樹脂の比容積が増加するまで保持することを特徴とする発泡体の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の発泡体の製造方法において、
    前記温度設定される金型は、該金型の一部であることを特徴とする発泡体の製造方法。
  4. コア層にセルを有する発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、
    発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂をパリソンとして押し出すとともに、このパリソン内の気圧を高めて、前記結晶性熱可塑性樹脂を、金型温度がこの結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上に設定された金型の内面に沿って中空成形する成形工程と、
    この成形工程の後に、前記金型温度を前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上で、かつ融点近傍温度以下まで昇温して、前記結晶性熱可塑性樹脂の比容積が増加するまで保持する保持工程と、
    この結晶性熱可塑性樹脂の比容積の増加に応じて、前記パリソン内の気圧を減少させる減圧工程と、
    この減圧工程の後に、前記金型を前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度未満まで降温して、前記結晶性熱可塑性樹脂を冷却して硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とする発泡体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の発泡体の製造方法において、
    前記成形工程は、前記金型温度を前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上で、かつ融点近傍温度以下に設定して中空成形し、
    前記保持工程は、この成形工程における温度を維持した状態で、前記結晶性熱可塑性樹脂の比容積が増加するまで保持することを特徴とする発泡体の製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の発泡体の製造方法において、
    前記温度設定される金型は、該金型の一部であることを特徴とする発泡体の製造方法。
  7. コア層にセルを有する発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、
    発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂を押出成形機のダイからシート状に押出し、ロール表面の温度がこの結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上に設定された第1ロールを当接させ、前記結晶性熱可塑性樹脂を成形する成形工程と、
    この成形工程の後に、ロール表面の温度が前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上で、かつ融点近傍温度以下に設定された第2ロールを当接させ、前記結晶性熱可塑性樹脂の比容積を増加させる比容積増加工程と、
    この比容積増加工程の後に、ロール表面の温度が前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度未満に設定された第3ロールを当接させ、前記結晶性熱可塑性樹脂を冷却して硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とする発泡体の製造方法。
  8. コア層にセルを有する発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、
    発泡剤を含有しない結晶性熱可塑性樹脂を押出成形機のダイからシート状に押出し、ロール表面の温度がこの結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上で、かつ融点近傍温度以下に設定された第1ロールを当接させ、前記結晶性熱可塑性樹脂を成形し、前記結晶性熱可塑性樹脂の比容積を増加させる成形工程と、
    この成形工程の後に、ロール表面の温度が前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度未満に設定された第2ロールを当接させ、前記結晶性熱可塑性樹脂を冷却して硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とする発泡体の製造方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の発泡体の製造方法において、
    前記第1ロールは、ロール表面の一部が前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度以上に設定されていることを特徴とする発泡体の製造方法。
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