JP3930673B2 - 駆動車輪用軸受装置の製造方法 - Google Patents

駆動車輪用軸受装置の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の駆動車輪等に用いられる車輪用軸受装置の製造方法に関し、より詳しくは、駆動軸と連結するための等速自在継手を一体に組み込んでユニット化した車輪用軸受装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の開発の過程で考案された駆動車輪用軸受装置を図13に示す。この駆動車輪用軸受装置は、外輪21と車軸22と複列のボール23a,23bとを有する車輪軸受部20と、外側継手部材25と内側継手部材26と複数のボール28などを有する等速自在継手24からなる。
【0003】
外輪21の内周に設けた複列の外側軌道面21a、21bに対向する複列の内側軌道面のうち、一方の内側軌道面22aを車軸22の外周に形成し、他方の内側軌道面25aを等速自在継手24の外側継手部材25の外周に形成してある。外輪21の外周には、図示しない車体に固定するためのフランジ21cを一体に周設してある。
【0004】
車軸22は中空筒状で、等速自在継手24の外側継手部材25と嵌合するとともにスプライン結合されるスプライン22cが形成される。車軸22の一端側外周には、ハブボルト29を装着するためのフランジ22gを一体に周設してある。
【0005】
等速自在継手24は、外側継手部材25と、内側継手部材26と、両部材25、26間に介在してトルクを伝達するための複数のボール28と、ボール28を保持するケージ27とを主要な構成要素としている。内側継手部材26に図示しない駆動軸(ドライブシャフト)の一端が連結される。外側継手部材25は椀状のマウス部とステム部とからなり、両者の境界に軸線に垂直な肩部25bが位置する。マウス部内に内側継手部材26とボール28とケージ27が収容されている。ステム部には、肩部25bから軸端に向かって、円筒形外周面の圧入部25cとスプライン軸部25dとネジ軸部25eを連設してある。
【0006】
図13の駆動車輪用軸受装置の組立ては次のようにして行われる。外輪21と車軸22の間に一列のボール23aを介在させ、外輪21と外側継手部材25の間に一列のボール23bを介在させた状態で、車軸22を外側継手部材25のステムに形成した圧入部25cに圧入する。車軸22のスプライン22cを外側継手部材25のスプライン軸部25dにスプライン結合させ、ネジ軸部25eにナット30を螺装して、ナット30で車軸22と外側継手部材25を締付ける。
【0007】
ところで、図13の駆動車輪用軸受装置は、軸受の転動寿命、剛性、フレッティングの面から軸受アキシャルすきまは負、すなわち所定の予圧をかけて使用するのが有利であるが、すきま管理の面から負すきまを測定することが困難なため、外側継手部材25のステムに車軸22を圧入することによるすきまの減少分や、ナット30の締付けによるすきまの減少分を見込んで初期すきまを設定するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図13の車輪用軸受装置では、軸受寿命や剛性の面から最適予圧量(最適すきま)が設定されても、それを実測する手段が無く、また、ナット30の締付トルクにバラツキがあることから、信頼性に問題が残る。また、ナットの締付けが、車軸22の端面と対向する外側継手部材25の肩部25bの間に所望の間隔Wが存在するようにして行われた場合、車軸22に外側継手部材25を圧入した圧入完了時において、両者間に間隔Wが存在するため、運転時の衝撃などで外側継手部材25が間隔Wの範囲内で車軸22側に微動して、必要以上の予圧が軸受に負荷される可能性がある。
【0009】
そこで、本発明の目的とするところは、複列の内側軌道面のうちの一方の内側軌道面22aを車軸22の外周に形成し、他方の内側軌道面25aを等速自在継手24の外側継手部材25の外周に形成してなる駆動車輪用軸受装置の軸受負すきまを確実に、簡易に管理することができるようにして、この種の駆動車輪用軸受装置の実用化を達成することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、外周に車体に取り付ける取付けフランジを有し内周に複列の軌道面を設けた外方部材と、外方部材の内側に転動体を介して配置され、外周に車輪を取り付ける車輪取付けフランジと軌道面を設けた内方部材とを有する車輪軸受部と、
ドライブシャフトの一端に設けられ、内側にトラック溝を形成した外側継手部材と、外側継手部材のトラック溝に対応するトラック溝を形成した内側継手部材と、外側継手部材及び内側継手部材の両トラック溝間に配置されるボールとを有する等速自在継手部とを備え、
車輪軸受部の軌道面の一列を外側継手部材の外径面に設け、車輪軸受部と等速自在継手部とを一体化した駆動車輪用軸受装置の製造方法において、
内方部材に外側継手部材を圧入して両者を組み付けるに際し、内方部材の端面と外側継手部材の肩部の両者の突合せ面間にすきまSを残した状態で圧入を一旦停止した状態で、外方部材の軸方向移動量を軸受初期すきまΔa’として測定し、このときの内方部材と外側継手部材の両端面間の距離を初期全幅Lとして測定し、次に、圧入を続行して内方部材と外側継手部材の突合せ面同士を突き合わせて内方部材と外側継手部材の両端面間の距離を圧入後全幅Lとして測定し、このときの軸受すきまΔa”をΔa”=Δa’−(L−L)とし、最後に、内方部材と外側継手部材の組付けを完了した時点で、内方部材と外側継手部材の両端面間の距離を組付け後全幅Lとして測定して、この時点での軸受すきまΔaをΔa=Δa’−(L−L)とするように、車輪軸受部の軸受すきまが計測値に基づいて寸法管理された負すきまであることを特徴とする。
【0011】
外周に車体に取り付ける取付けフランジを有し内周に複列の軌道面を設けた外方部材と、外方部材の内側に転動体を介して配置され、外周に車輪を取り付ける車輪取付けフランジと軌道面を設けた内方部材とを有する車輪軸受部と、
ドライブシャフトの一端に設けられ、内側にトラック溝を形成した外側継手部材と、外側継手部材のトラック溝に対応するトラック溝を形成した内側継手部材と、外側継手部材及び内側継手部材の両トラック溝間に配置されるボールとを有する等速自在継手部とを備え、
車輪軸受部の軌道面の一列を外側継手部材の外径面に設け、車輪軸受部と等速自在継手部とを一体化した駆動車輪用軸受装置において、
内方部材が外側継手部材と連結された状態で、車輪軸受部の軸受すきまが計測値に基づいて寸法管理された負すきまである。
【0012】
請求項の発明は、請求項1に記載の駆動車輪用軸受装置において、外側継手部材の外径面に軌道面を直接形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項1または2記載の駆動車輪用軸受装置において、外側継手部材と内方部材を圧入により一体化するに際し、軸受アキシャルすきまが正の状態で圧入を一旦止め、この状態における外側継手部材の肩部とこれに対向する内方部材の端面との間のすきま(S)を求めるとともに、この状態における軸受アキシャルすきま(Δa’)を測定し、その後、内方部材の端面が外側継手部材の肩部に当接するまで圧入することにより、Δa=Δa’−Sから負の軸受アキシャルすきま(Δa)を求めることによって軸受すきまを管理する。
【0014】
請求項1または2記載の駆動車輪用軸受装置の製造方法であって、外側継手部材と内方部材を圧入により一体化するに際し、軸受アキシャルすきまが正の状態で圧入を一旦止め、この状態における外側継手部材の肩部とこれに対向する内方部材の端面との間のすきま(S)を求めるとともに、この状態における軸受アキシャルすきま(Δa’)を測定し、その後、内方部材の端面が外側継手部材の肩部に当接するまで圧入することにより、Δa=Δa’−Sから負の軸受アキシャルすきま(Δa)を求める。
【0015】
ここで、等速自在継手の外側継手部材に車軸を圧入するに際し、外側継手部材の肩部に内方部材の端面が当接する手前で圧入を一旦止めると、軸受アキシャルすきまが正の状態であり、現実にアキシャルすきまΔa’が存在する。したがって、圧入を一旦止めたときの外側継手部材の肩部とこれと対向する内方部材の端面の間の間隔S、および、このときの外方部材の軸方向移動量に相当する軸受アキシャルすきまΔa’を測定して、この軸受アキシャルすきまΔa’から間隔Sを差し引くと、外側継手部材の肩部を内方部材の端面に当接させた圧入完了時における負の軸受アキシャルすきまΔaが確実に測定できる。間隔Sの測定は、間隔Sに連通するエアー通路を車軸等に設けて、このエアー通路から間隔S内に圧縮エアーを噴出させ、このときの圧縮エアーの背圧、流量、流速等を検出して求めることができる。また、間隔Sは、外側継手部材に圧入される内方部材の圧入を一旦止めてから圧入完了するまで移動する際の内方部材の圧入ストローク量を測定することでも、正確に求めることができる。
【0016】
以上のように外側継手部材の肩部に内方部材の端面を当接させた圧入完了時における負の軸受アキシャルすきまΔaが確実に測定できることにより、車輪軸受と等速自在継手を一体に組み込んでユニット化した車輪用軸受装置の負の軸受すきまを精度よく簡易に測定でき、また、外側継手部材に圧入された内方部材をナットを使用することなくかしめ法等で結合させることもできるようになる。さらに、圧入完了時において内方部材と外側継手部材の間に間隔を設けておく必要がなく、この間隔をゼロにすることで両者の軸方向の微動が無くなって信頼性が良くなる。また、軸受負すきまが確実に保証されるため、軸受の初期すきまの範囲を大きくすることができ、これにより不良率を低減することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、図1〜図6に示される実施の形態を説明する。
【0018】
図1に示される駆動車輪用軸受装置は、本発明の製造方法を用いて負すきまを保証したものである。この駆動車輪用軸受装置の基本構造は図13の装置と同様で、内周に複列の軌道面1a、1bを設けた外方部材つまり外輪1と、外輪1の一方の軌道面1aに対向する軌道面2aを外周に設けた内方部材つまり車軸2と、外輪1の他方の軌道面1bに対向する軌道面5aを外周に設けた等速自在継手4の外側継手部材5と、外輪1と車軸2と外側継手部材5の対向する軌道面間に配置された複列のボール3a、3bとその保持器11を有する。図1の中心線の上半分において、焼入れ硬化層を梨地で表わしてある。
【0019】
外輪1の外周には、図示しない車体に固定するためのフランジ1cが一体に周設される。筒状の車軸2の軸端外周にはハブボルト9を装着するためのフランジ2gが一体に周設され、車軸2の内周に外側継手部材5が軸方向からスプライン結合されるスプライン2cが形成される。等速自在継手4の外側継手部材5内に内側継手部材6がケージ7と複数のボール8を介して装着され、内側継手部材6に駆動軸(ドライブシャフト)の一端が連結される。外側継手部材5の先端部外周には、軌道面5aから凹段状に連設された肩部5bが形成され、肩部5bから軸方向に円筒状の圧入部5cとスプライン軸部5dとネジ軸部5eが一体に連設されてある。
【0020】
上記構成の駆動車輪用軸受装置の組立ては、外輪1と車軸2の間に一列のボール3aを介在させ、外輪1と外側継手部材5の間に一列のボール3bを介在させた状態で、車軸2を外側継手部材5のステムに形成した圧入部5cに圧入し、車軸2のスプライン2cをスプライン軸部5dにスプライン結合させ、ネジ軸部5eにナット12を螺装して車軸2と外側継手部材5を締付けることで行われる。この締付けは、車軸2の端面に、この端面と対向する外側継手部材5の肩部5bを当接させた状態、すなわち負すきまにして行われる。
【0021】
図2は別の実施の形態を示す。図1の実施の形態との相違点は、等速自在継手4の外側継手部材5を車軸2にかしめ法で結合した点だけであり、図1と同一部分には同一符号が付してある。図2においては、外側継手部材5を車軸2に圧入して肩部5bを車軸2の端面に当接させた状態で、外側継手部材5の先端に形成したかしめ部5fを車軸2側にかしめることで組み立てられる。
【0022】
図1および図2の駆動車輪用軸受装置における軸受すきまは、軸受加工工程において、図3に示すように、外輪1の複列の軌道面1a、1bのピッチP0と溝径、車軸2の軌道面2aから端面までの軸方向寸法P1と溝径、および、外側継手部材5の軌道面5aから肩部5bまでの軸方向寸法P2を、複列アンギュラ玉軸受の構成要件のP0>P1+P2の関係式でそれぞれ管理して選択組合せすることによって、所望の負すきまに設定することができる。したがって、図13の装置のように、組立工程においてナットの締付トルクによって軸受すきまを管理する必要がなく、軸受すきまの設定が確実であり、而も、組立後に軸受すきまに変動をきたすことがない。また、上述のように所望値に設定した負すきまを後述する方法で測定し、これを保証することにより、軸受寿命等に対する信頼性が格段に向上する。
【0023】
上述の駆動車輪用軸受装置の軸受アキシャルすきまΔaは、車軸2への外側継手部材5の圧入工程において、図4(A)〜(C)に示す順序で測定される。
【0024】
まず、図4(A)に示すように車軸2を外側継手部材5に圧入し、肩部5bが対向する車軸2の端面に所望の間隔Sまで近付くと圧入を一旦停止させる。このときの軸受アキシャルすきまは正であり、このときのすきまSを測定する。尚、すきまSの測定方法は限定されないが、例えば図5に示すように車軸2にすきまSに連通するエアー通路13を形成して、このエアー通路13からすきまSに圧縮エアーを噴出させ、そのときの圧縮エアーの背圧、流量、流速等を求めればすきまSが測定される。
【0025】
次に、図4(B)に示すように外輪1を軸方向に往復移動させて、その最大移動量から軸受アキシャルすきまΔa’を測定する。
【0026】
最後に、図4(C)に示すように車軸2を外側継手部材5の肩部5bに当接するまで圧入して圧入完了とする。このときの圧入ストロークはSである。以上により、式Δa=Δa’−Sから負の軸受アキシャルすきまΔaを求めることができる。
【0027】
尚、上記すきまSの測定の代わりに、圧入の一旦停止時から圧入完了までの圧入ストロークを測定して、例えば図6に示すように、図4(B)に示す状態において圧入治具15の端面15aの位置と圧入完了時の端面15aの位置との差(移動量)を測定して、この測定値SからΔa=Δa’−Sの式で負の軸受アキシャルすきまΔaを求めるようにしてもよい。また、図6とは逆に車軸2を固定して外側継手部材5を圧入する場合、外側継手部材の移動量を測定し、この測定値SからΔa=Δa’−Sの式で負の軸受アキシャルすきまΔaを求めることができる。
【0028】
上記測定方法は、図13に示すような車軸と外側継手部材の間に間隔Wを設けたタイプの駆動車輪用軸受装置にも適用可能である。この場合、車軸22の圧入の一旦停止時から圧入完了までの圧入ストローク(S)を測定して、Δa=Δa’−Sの式で負の軸受アキシャルすきまΔaを求めることができる。もっとも、間隔Wが存在するとその範囲内で軸受すきまが変化するおそれがある。それゆえ、車軸と外側継手部材を突き合わせた状態で計測値に基づいて寸法管理された負のすきまが確実に形成され、かつ、維持されるようにするのが、作業性、信頼性の面で有利である。
【0029】
図1および図2の実施の形態ではインボード側の軌道面5aを外側継手部材5の外周部に直接形成してあるが、図7に示すように、外周部に軌道面5aを形成した別体の軌道輪14を採用した駆動車輪用軸受装置においても本発明方法を適用することができる。この場合、軌道輪14は車軸2の小径段部の外周面に圧入され、車軸2の小径段部の肩部と外側継手部材5の肩面5bとの間に挟み込まれて軸方向の位置決めがなされる。なお、この実施の形態では、車軸2と外側継手部材5とを軸方向で固定するための手段として、ナット(図1)や加締め(図2)に代えて、止め輪15を採用してある。すなわち、外側継手部材5はその圧入部5cにて車軸2と嵌合し、スプライン部5dにて車軸2とスプライン結合し、止め輪15によって抜け止めがなされる。
【0030】
図2の中心線から上半分において、梨地部分は焼入れ硬化層を表わしている。この場合、外側継手部材5を構成する材料としては、炭素含有量が0.45〜1.10重量%の炭素鋼とし、少なくとも端部(加工前のかしめ部5f)の硬度をHv200〜300とする。これにより、インボード側内側軌道面5a部分やマウス部のトラック溝部分に要求される硬度(Hv510〜900)を確保し、しかも、かしめ作業を十分に行える。すなわち、かしめ部5fを形成する前の端部の硬度がHv300を超えると、端部をかしめる際に、形成されたかしめ部15eにクラックが発生したり、かしめが不十分となってかしめ部5fと車軸2とが密着しなくなって車軸2と外側継手部材5との結合力が不足したりする。また、かしめ部5fを形成するために要する荷重が過大になって、かしめ作業に伴って内側軌道面2aや転動体1aに圧痕等の損傷を生じやすくなるほか、各部の寸法精度が悪化する可能性を生じる。外側継手部材15を構成する炭素鋼の炭素含有量が1.10を超えると、かしめ部5fを形成する前の端部の硬度をHv300以下に抑えることが難しくなるためである。逆に、端部の硬度がHv200に達しないと、形成したかしめ部5fの硬度を確保できず、やはりこのかしめ部による結合力が不足する。外側継手部材5を構成する炭素鋼の炭素含有量が0.45重量%を下回ると、インボード側内側軌道面5a部分に要求される硬さ(Hv510〜900)を確保できず、この内側軌道面部分の寿命が低下する。ステム部の端部(加工前のかしめ部5f)は、かしめを行う部分であるため延性が必要となる。したがって、かしめを可能ならしめるため端部には焼入れ処理を施さず未焼入れ部分として残してある。
【0031】
このように、外側継手部材5は、インボード側内側軌道面5a部分を焼入れ処理により硬化させているため、この内側軌道面の転がり疲れ寿命を十分に確保できる。一方、端部には焼入れ処理を施すことなく、生のままとしているため、端部を塑性変形させるために要する力が徒に大きくなったり、あるいは端部を塑性変形させる場合に端部(かしめ部5f)に亀裂等の損傷が発生しやすくなることはない。したがって、上述のようにインボード側内側軌道面5a部分の硬度を高くして転がり疲れ寿命を確保した場合でも、外側継手部材5と車軸2とを結合するためのかしめ部の加工が面倒になることはない。しかも、車軸2の内周面の全長にわたって硬化層を形成させているため、かしめ部の加工に伴って車軸2に大きな荷重が加わった場合でも、車軸2の変形を防止して、軸受内部すきまが所望値からずれることを防止できる。また、車軸2の外周面に形成したアウトボード側内側軌道面2aの直径が変化したり、精度が悪化することを防止して、この内側軌道面2aの転がり疲れ寿命の低下防止を図れる。
【0032】
図8は、図1の実施の形態におけるすきま管理の変形例を示す。まず、車軸2に外側継手部材5を圧入して両者を組み付けるに際し、図8(A)に示すように、突合せ面間にすきまSを残した状態で圧入を一端停止する。そして、その状態で外輪1の軸方向移動量を軸受初期すきまΔa’として測定する。また、このときの車軸2と外側継手部材5の両端面間の距離を初期全幅L0 として測定する。次に、図8(B)に示すように、圧入を続行して車軸2と外側継手部材5の突合せ面同士を突き合わせる。このときの軸受すきまΔa”は、Δa”=Δa’−(L0 −L1 )で表わされる。L1 は圧入後全幅である。最後に、図8(C)に示すように、外側継手部材5のねじ部5eにハブナット12を締め込んで組付けを完了する。この時点での軸受すきまΔaは、Δa=Δa’−(L0 −L2 )で表わされる。L2 はナット締付け後全幅である。ナット締付けによる軸受すきまの減少量Δnは、Δn=Δa−Δa”で表わされる。
【0033】
図9は、ナット締結に代えてかしめ加工により車軸2と外側継手部材5を一体化する場合のすきま管理の変形例を示す。まず、車軸2に外側継手部材5を圧入して両者を組み付けるに際し、図9(A)に示すように、両者の突合せ面間にすきまSを残した状態で圧入を一端停止する。そして、その状態で外輪1の軸方向移動量を軸受初期すきまΔa’として測定する。次に、図9(B)に示すように、予圧および圧入力受け台ならびにかしめ治具を用い、圧入を続行して突合せ面同士を突き合わせるとともに、予圧をかけた状態でかしめを行なう。この時点での軸受すきまΔaは、Δa=Δa’−(L0 −L2 )で表わされる。L0 は初期全幅(図9(A))、L2 はかしめ後全幅(図9(C))である。
【0034】
図9ではかしめ治具を外側継手部材5に圧入し、外側継手部材5を内径側から外径側に拡径させて外周面を内方部材の内周面に食いつかせることによりかしめを行なうかしめ加工(コイニング)を採っているが、図10に示すように、外側継手部材5の軸端部を折り曲げてかしめを行なうかしめ加工を採ることもできる。この場合もすきま管理は図9の場合と同様である。
【0035】
図11は全幅の測定方法を例示したものである。たとえば、図示するように初期全幅L0 を測定する場合、図8(A)または図9(A)の状態のアセンブリを測定基準上に載置し、上端に測定子を当てて測定する。図12は軸受初期すきまの測定方法を例示したもので、測定子を保持した測定基準の下端を外輪1のフランジ1cに載せ、外輪1を上下方向に移動させてその移動量を軸受初期すきまΔa’として測定する。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、以下に示す効果を有する。
【0037】
(1)軸受の製造(組立)工程において、軸受アキシャルすきまが正の状態で車軸の外側継手部材への圧入を一旦停止させ、この状態で外輪の軸方向移動量を測定し、その測定値を超える量だけ車軸をさらに圧入して圧入完了としたので、車輪軸受と等速自在継手を一体に組み込んでユニット化した車輪用軸受装置の軸受負すきまを精度よく、簡易に測定することができる。また、ナットを使用しない駆動車輪用軸受装置にも適用が可能となり、汎用性に優れている。
【0038】
(2)車輪軸受と等速自在継手を一体に組み込んだユニット化した車輪用軸受装置の軸受寿命、剛性、フレッティングの面で信頼性が格段に高い。
【0039】
(3)外側継手部材の肩部を車軸の端面に当接させて圧入完了とすることで、外側継手部材の微動による位置ズレが回避され、安定した軸受負すきまを維持することができて、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態を示す駆動車輪用軸受装置の縦断面図である。
【図2】別の実施の形態を示す駆動車輪用軸受装置の縦断面図である。
【図3】外輪、車軸、外側継手部材の寸法関係を示す断面略図である。
【図4】すきま管理を説明するための工程順の部分断面図である。
【図5】組み付け過程における車軸と外側継手部材の部分拡大断面図である。
【図6】組み付け過程における駆動車輪用軸受装置の縦断面図である。
【図7】別の実施の形態を示す駆動車輪用軸受装置の縦断面図である。
【図8】すきま管理を説明するための縦断面図である。
【図9】すきま管理を説明するための縦断面図である。
【図10】すきま管理を説明するための縦断面図である。
【図11】測定方法を説明するための縦断面図である。
【図12】測定方法を説明するための縦断面図である。
【図13】本発明の課題を説明するための車輪用軸受装置の断面図である。
【符号の説明】
1 外輪
1a 軌道面
1b 軌道面
1c フランジ
2 車軸
2a 軌道面
3a ボール
3b ボール
4 等速自在継手
5 外側継手部材
5a 軌道面
5b 肩部
5c 圧入部

Claims (3)

  1. 外周に車体に取り付ける取付けフランジを有し内周に複列の軌道面を設けた外方部材(1)と、外方部材(1)の内側に転動体を介して配置され、外周に車輪を取り付ける車輪取付けフランジと軌道面を設けた内方部材(2)とを有する車輪軸受部と、
    ドライブシャフトの一端に設けられ、内側にトラック溝を形成した外側継手部材(5)と、外側継手部材(5)のトラック溝に対応するトラック溝を形成した内側継手部材(6)と、外側継手部材(5)及び内側継手部材(6)の両トラック溝間に配置されるボール(8)とを有する等速自在継手部とを備え、
    車輪軸受部の軌道面の一列を外側継手部材(5)の外径面に設け、車輪軸受部と等速自在継手部とを一体化した駆動車輪用軸受装置の製造方法において、
    内方部材(2)に外側継手部材(5)を圧入して両者を組み付けるに際し、内方部材(2)の端面と外側継手部材(5)の肩部(5b)の両者の突合せ面間にすきまSを残した状態で圧入を一旦停止した状態で、外方部材(1)の軸方向移動量を軸受初期すきまΔa’として測定し、このときの内方部材(2)と外側継手部材(5)の両端面間の距離を初期全幅Lとして測定し、次に、圧入を続行して内方部材(2)と外側継手部材(5)の突合せ面同士を突き合わせて内方部材(2)と外側継手部材(5)の両端面間の距離を圧入後全幅Lとして測定し、このときの軸受すきまΔa”をΔa”=Δa’−(L−L)とし、最後に、内方部材(2)と外側継手部材(5)の組付けを完了した時点で、内方部材(2)と外側継手部材(5)の両端面間の距離を組付け後全幅Lとして測定して、この時点での軸受すきまΔaをΔa=Δa’−(L−L)とするように、車輪軸受部の軸受すきまが計測値に基づいて寸法管理された負すきまであることを特徴とする駆動車輪用軸受装置の製造方法
  2. 外側継手部材(5)の外径面に軌道面を直接形成したことを特徴とする請求項1に記載の駆動車輪用軸受装置の製造方法
  3. 外周に車体に取り付ける取付けフランジを有し内周に複列の軌道面を設けた外方部材(1)と、外方部材(1)の内側に転動体を介して配置され、外周に車輪を取り付ける車輪取付けフランジと軌道面を設けた内方部材(2)とを有する車輪軸受部と、
    ドライブシャフトの一端に設けられ、内側にトラック溝を形成した外側継手部材(5)と、外側継手部材(5)のトラック溝に対応するトラック溝を形成した内側継手部材(6)と、外側継手部材(5)及び内側継手部材(6)の両トラック溝間に配置されるボール(8)とを有する等速自在継手部とを備え、
    車輪軸受部の軌道面の一列を外側継手部材(5)の外径面に設け、車輪軸受部と等速自在継手部とを一体化した駆動車輪用軸受装置の製造方法であって、
    内方部材(2)に外側継手部材(5)を圧入して両者を組み付けるに際し、内方部材(2)の端面と外側継手部材(5)の肩部(5b)の両者の突合せ面間にすきまSを残した状態で圧入を一旦停止した状態で、すきまSに連通するエアー通路(13)を内方部材(2)に設けて、このエアー通路(13)からすきまS内に圧縮エアーを噴出させ、このときの圧縮エアーの背圧、流量、流速を検出してすきまSを測定することを特徴とする駆動車輪用軸受装置の製造方法。
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