JP3929105B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マレイミド類およびエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の共重合物であって、かつカルボン酸基を有する共重合体と、ポリブタジエン構造を有する化合物と、オキサゾリン化合物とからなる硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、積層回路基板の絶縁材などに適した高いガラス転移温度(Tg)、体積固有抵抗、ピール強度および低誘電率を有するアルカリ現像可能な硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
硬化性組成物は、熱または光により硬化して塗料、接着剤、集積回路の絶縁材料および造形用途等に利用されている。
【0003】
近年、プリント配線板の高密度化方法としてフルアディティブ法が注目されている。フルアディティブ法においては、使用されるメッキレジストが最終的に配線間の絶縁層にもなるため多層化時の配線のズレなどを防止することが可能となり、高アスペクト比の配線を有するプリント配線板を多層化するのに適している。
【0004】
この、絶縁層としてプリント配線板に残存するメッキレジストは、従来エポキシ樹脂が用いられてきた。しかし、エポキシ樹脂では高度に集積された積層板の封止材料としては耐熱性に劣るためポリイミド系樹脂が種々開発されている。
【0005】
また、ガラス繊維などに樹脂を含浸させたプリプレグに比較してフルアディティブ法においては絶縁層が薄膜化されるため、高度の電気絶縁性と高周波数化に耐える低誘電率であることが求められる。また、現像液は環境問題からアルカリ現像可能な樹脂が求められており、絶縁材料への要求は多様化している。
【0006】
ポリイミド樹脂はエポキシ樹脂に比較して誘電率は低いものの、近年の高周波数化に対応するには不十分であった。また、特開平6−273930号公報には、特定のポリマレイミドからなる硬化性組成物が提案されている。しかし、この組成物は耐熱性に優れ低誘電率ではあるものの、有機溶媒による現像が必要であり、アルカリ現像に対応できるものではなった。
【0007】
このような要求に対応するために、特開平2−169602号公報には、カルボン酸を有する光重合性組成物にオキサゾリン化合物を添加して、現像後に熱硬化させることでカルボン酸を低減することで、アルカリ現像可能でソルダーレジストに適した硬化性組成物が提案されている。また、特開平6−256684号公報には、アクリル酸類とエポキシ基を有する重合性化合物との共重合体を用い、現像後にエポキシ基とカルボン酸とを熱硬化させることで、耐熱性を改善することが提案されている。また、特開昭58−21926号公報には、プリプレグ用樹脂としてではあるが、低誘電率絶縁材料としてポリブタジエンが提案されている。しかし、いずれの公報に記載された硬化性組成物も実用上は満足しえるものではなく、耐熱性、誘電率、アルカリ現像性、機械的強度のいずれかの性能において満足のいくものではなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、アルカリ現像に適しており、かつ、耐熱性に優れ、低誘電率である硬化性組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、マレイミド化合物とエチレン性不飽和の重合性化合物との共重合体であって、かつカルボン酸基を有する共重合体と、ポリブタジエン構造を有する化合物と、オキサゾリン化合物とからなる硬化性組成物が、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、(A)下記〔化1〕の一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種5〜95重量%、下記〔化2〕の一般式(II)で表される繰り返し単位の少なくとも1種5〜95重量%および下記〔化3〕の一般式(III)で表される繰り返し単位の1種以上0〜50重量%からなる共重合体30〜90重量%と、(B)オキサゾリン環を2個以上有する化合物3〜50重量%と、(C)反応性の官能基で変性されたポリブタジエン3〜50重量%とを含有し、該(A)の共重合体、該(B)の化合物及び該(C)のポリブタジエンの合計量が100重量%未満の場合には、該合計量と他の成分とを合せた量が、100重量%になる量の該他の成分を含有する硬化性組成物を提供するものである。
【0011】
【化4】
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
【0014】
〔上記一般式(I)〜(III)中、R1 、R3 およびR4 は水素原子またはメチル基を表し、R2 は炭素原子数1〜18のアルキレン基、シクロアルキレン基またはアリーレン基を表し、X1 およびX2 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはCOOHを表し、X3 はCOOH、CONR5 R6 (R5 およびR6 は各々独立に水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。)またはCOOR7 (R7 は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、X1 、X2 およびX3 のいずれか一つはCOOHを表し、nは0または1を表す。〕
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の硬化性組成物について詳細に説明する。
【0016】
先ず、本発明に用いられる(A)成分である共重合体について説明する。
上記一般式(II)においてR2 で表されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、第二ブチレン、第三ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、第三オクチレン、ノニレン、イソノニレン、デシレン、イソデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレンなどが挙げられ、シクロアルキレン基としては、シクロペンチレン、シクロヘキシレンなどが挙げられ、アリーレン基としては、フェニレン、トルイレン、キシリレン、ナフチレンなどが挙げられる。特に、R2 のうち、アリーレン基が効果向上の点で好ましい。
【0017】
上記一般式(I)、(II)および(III)において、X1 、X2 およびR7 で表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチルが挙げられる。
【0018】
上記一般式(III)において、X3 がアマイド基(−CONR5 R6 )を表す場合のR5 およびR6 で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、第三オクチルなどが挙げられる。
【0019】
上記一般式(I)で表される繰り返し単位としては、より具体的には下記〔化7〕〜〔化12〕に示す繰り返し単位I−1〜I−6などが挙げられる。
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】
上記一般式(I)で表される繰り返し単位がカルボン酸基を有するとき、該カルボン酸基はアミン塩であってもよい。該アミン塩の構成に用いられるアミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリアルキルアミンの他、ジエチルエタノールアミンと(メタ)アクリル酸とのエステル等が挙げられる。
【0027】
また、上記一般式(II)で表される繰り返し単位としては、例えば、下記〔化13〕〜〔化18〕に示す繰り返し単位II−1〜II−6などが挙げられる。
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
【化18】
【0034】
上記一般式(II)で表される繰り返し単位がカルボン酸基を有するとき、該カルボン酸基はアミン塩であってもよい。該アミン塩の構成に用いられるアミン化合物としては、前記一般式(I)で用いられるものと同様のアミン化合物が挙げられる。
【0035】
本発明に用いられる共重合体〔(A)成分〕は、上記一般式(I)および(II)で表される繰り返し単位の他の成分として、上記一般式(III)で表される繰り返し単位を含んでもよく、原料となる反応性単量体としては、公知の種々の(メタ)アクリル酸およびそのエステル化合物もしくはアマイド化合物を用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる上記共重合体の組成は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、上記一般式(II)で表される繰り返し単位の少なくとも1種5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、および上記一般式(III)で表される繰り返し単位の1種以上0〜50%からなるものである。また、上記一般式(I)で表される繰り返し単位と上記一般式(II)で表される繰り返し単位との合計が50重量%以上であり、カルボン酸当量が2000g/eq以下が好ましい。上記一般式(I)で表される繰り返し単位および上記一般式(II)で表される繰り返し単位が上記範囲を外れると、得られる硬化性組成物の硬化後のガラス転移温度やピール強度が低下して実用的でなくなる。また、上記カルボン酸当量が2000g/eqより大きいとアルカリ現像に適さなくなることがある。
【0037】
また、上記(A)成分である共重合体の組成物中の含有量は、30〜90重量%である。この範囲を外れると、機械強度が不足したり、電気的特性が低下して実用的でなくなることがある。
【0038】
次に、本発明に用いられる(B)成分であるオキゾリン環を2個以上有する化合物(以下、「オキサゾリン化合物」ともいう)について説明する。
上記オキサゾリン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、2,2'- ビス(2- オキサゾリン) 、2,2'- ビス(4- メチル-2- オキサゾリン) 、2,2'- ビス(5- メチル-2- オキサゾリン) 、2,2'- ビス(5,5'-ジメチルオキサゾリン) 、2,2'- ビス(4,4,4',4'- テトラメチル-2- オキサゾリン) 、1,2-ビス(2- オキサゾリン-2- イル) エタン、1,4-ビス(2- オキサゾリン-2- イル) ブタン、1,6-ビス(2- オキサゾリン-2- イル) ヘキサン、1,8-ビス(2- オキサゾリン-2- イル) 、1,4-ビス(2- オキサゾリン-2- イル) シクロヘキサン、1,2-ビス(2- オキサゾリン-2- イル) ベンセン、1,3-ビス(2- オキサゾリン-2- イル) ベンゼン、1,4-ビス(2- オキサゾリン-2- イル) ベンゼン、1,2-ビス(5- メチル-2- オキサゾリン-2- イル) ベンゼン、1,3-ビス(5- メチル-2- オキサゾリン-2- イル) ベンゼン、1,4-ビス(5- メチル-2- オキサゾリン-2- イル) ベンゼン、1,4-ビス(4,4'-ジメチル-2- オキサゾリン-2- イル) ベンゼン等のビスオキサゾリン化合物、および、前記ビスオキサゾリン化合物のオキサゾリン基2化学当量と、多塩基性カルボン酸(例えば、マレイン酸、琥珀酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、クロレンド酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等)のカルボキシル基1化学当量と反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物等を挙げることができる。
【0039】
上記(B)成分であるオキサゾリン化合物は、上記(A)成分である共重合体に含まれるカルボン酸の1化学当量当り好ましくは0.1〜1.2化学当量、より好ましくは0.5〜1.1当量で用いられることが望ましい。該オキサゾリン化合物がこの範囲を外れて用いられると、得られる硬化物の耐薬品性、耐熱性、耐メッキ性、電気絶縁性、密着性などが低下することがある。
【0040】
また、上記(B)成分であるオキサゾリン化合物の組成物中の含有量は、3〜50重量%である。この範囲を外れると、機械強度が不足したり、電気的特性が低下して実用的でなくなることがある。
【0041】
次に、本発明に用いられる(C)成分である反応性の官能基で変性されたポリブタジエンについて説明する。
上記ポリブタジエンとしては、カルボン酸変性、アクリル変性、エポキシ変性、マレイン化変性、エポキシ樹脂変性などの変性ポリブタジエンが挙げられ、より具体的には、下記〔化19〕〜〔化24〕などに示す化合物No.IV-1 〜IV-6などが挙げられる。ただし、本発明は以下の例示によりなんら限定されるものではない。
【0042】
【化19】
【0043】
【化20】
【0044】
【化21】
【0045】
【化22】
【0046】
【化23】
【0047】
【化24】
【0048】
上記(C)成分であるブタジエンは、上記共重合体〔(A)成分〕100重量部に対して、5〜100重量部含有していることが好ましい。該ブタジエンが該共重合体100重量部に対して、5重量部未満であると誘電率の改善効果が小さく、100重量部を超えると得られる硬化物の熱的安定性や機械強度が不足することがある。
【0049】
また、上記(C)成分であるブタジエンの組成物中の含有量は、3〜50重量%である。この範囲を外れると、機械強度が不足したり、電気的特性が低下して実用的でなくなることがある。
【0050】
次に、本発明の硬化性組成物に用いられる共重合体〔(A)成分〕の具体的な合成例を示す。ただし、本発明は下記の合成例によってなんら制限を受けるものではない。
【0051】
合成例−1(ポリマー1〔N-(p- カルボキシフェニル) マレイミドとスチレンとの共重合体〕の合成)
N-(p- カルボキシフェニル) マレイミド6.86g(0.04モル) とスチレン4.16g(0.04モル) とをメチルエチルケトン200gに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」ともいう)2g(0.012モル) を加えて75℃で2 時間反応した。析出した白色沈澱を濾別してトルエン洗浄して白色粉末状ポリマー1;10.5g(収率95%)を得た。得られたポリマー1は酸価174mgKOH/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)より平均分子量47800 であった。
【0052】
合成例−2(ポリマー2〔N-フェニルマレイミドと4-ビニルベンジル-2- カルボキシフェニルエーテルとの共重合体〕の合成)
N-フェニルマレイミド6.92g(0.04モル) と4-ビニルベンジル-2- カルボキシフェニルエーテル10.16g(0.04 モル) とをメチルエチルケトン250gに溶解し、AIBN2.65g(0.014 モル) を加えて75℃で2 時間反応した。析出した白色沈澱を濾別してトルエン洗浄して白色粉末状ポリマー2;15.7g(収率92%)を得た。得られたポリマー2は酸価131mgKOH/gであり、GPCより平均分子量51200 であった。
【0053】
合成例−3(ポリマー3〔N-(p- カルボキシフェニル) マレイミドとスチレンとアクリル酸メチルとの共重合体] の合成)
N-(p- カルボキシフェニル) マレイミド6.86g(0.04モル) とスチレン4.16g(0.04モル) とメタクリル酸メチル6.88g(0.08モル) とをメチルエチルケトン300gに溶解し、AIBN3.23g(0.020 モル) を加えて75℃で2 時間反応した。析出した白色沈澱を濾別してトルエン洗浄して白色粉末状ポリマー3;16.1g(収率90%)を得た。得られたポリマー3は酸価125mgKOH/gであり、GPCより平均分子量38000 であった。
【0054】
合成例−4(ポリマー1のトリエチルアミン塩の合成)
ポリマー110g(カルボン酸換算で0.031 モル) をシクロヘキサノン90g に溶解し、攪拌下トリエチルアミン3.1g(0.031モル) を滴下して、析出した白色沈澱を濾別してシクロヘキサノンで洗浄して白色粉末状ポリマー4;12.7g(収率97%)を得た。
【0055】
合成例−5(ポリマー1のジエチルエタノールアミンのアクリル酸エステル塩の合成)
ポリマー110g(カルボン酸換算で0.031 モル) をシクロヘキサノン90g に溶解し、攪拌下2-アクリロイルオキシエチル- ジエチルアミン5.3g(0.031モル) を滴下して、析出した白色沈澱を濾別してシクロヘキサノンで洗浄して白色粉末状ポリマー5;14.7g(収率96%)を得た。
【0056】
比較合成例−1(比較ポリマー1〔アクリル酸とスチレンとの共重合体] の合成)
アクリル酸2.88g(0.04モル) とスチレン4.16g(0.04モル) とをメチルエチルケトン100gに溶解し、AIBN3.23g(0.020 モル) を加えて75℃で2 時間反応した。析出した白色沈澱を濾別してメタノール洗浄して白色粉末状の比較ポリマー1;6.9g( 収率98%)を得た。得られた比較ポリマー1は酸価318mgKOH/gでありGPCより平均分子量33100 であった。
【0057】
本発明の硬化性組成物は、得られる硬化物の硬度などの機械特性を調整するために、必要に応じて(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化合物を含有してもよい。
【0058】
上記の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価アルコールをα,β−不飽和カルボン酸でエステル化して得られる化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物(1/3)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(1/2)等のグリシジル基含有化合物に(メタ)アクリル酸を付加して得られる化合物;β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのフタル酸ジエステル、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのトルエンジイソシアネート付加物等の水酸基およびエチレン性不飽和結合を有する化合物と多価カルボン酸とのエステル化合物またはポリイソシアネートとの付加物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等があげられる。上記エステル化合物は、本発明の硬化性組成物中、3〜50重量%含有されることが好ましい。該エステル化合物の含有量が3重量%未満では添加効果が認められないことがあり、50重量%より多いと得られる硬化物の機械強度が低下したり、誘電率が高くなり実用的でなくなることがある。
【0059】
本発明の硬化性組成物は熱および光により硬化可能であり、光により硬化させる場合には、任意の光重合開始剤を用いることができる。
【0060】
また、本発明の組成物に併用できる上記光重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4’−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4’−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4’−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9’−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2’−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、9−n−オクチル−3,6−ビス(2’−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−n−ブチル−3’−カルバゾリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−(2”−メトキシ−1”−メチルエトキシカルボニルメチル)−3’−カルバゾリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどがあげられる。これら光重合開始剤は安息香酸系または第三級アミン系などの公知の光重合促進剤の1種または2種以上と組み合わせて用いてもよい。上記光重合開始剤は、硬化性組成物中、0.1〜30重量%で添加されることが好ましい。該添加量が0.1重量%より少ないと添加効果が認められないことがあり、30重量%より多いと得られる硬化物の物性が低下することがある。
【0061】
また、本発明の組成物には、前記(A)成分である共重合体とともに、熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物と(メタ)アクリル酸との共重合体、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸およびこれらと共重合しえる他のビニルモノマーとの共重合体があげられる。
【0062】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、第三ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられ、また、上記の他のビニルモノマーとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン等があげられる。
【0063】
また、本発明の硬化性組成物は、その密着性を改善するために硬化後に行なわれる粗化工程を行なってもよい。
【0064】
また、本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、p−アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、第三ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;官能性シランカップリング剤などの接着促進剤;シリカ、アルミナ、タルク、ベントナイト、ジルコニウムシリケート、粉末ガラス、炭酸カルシウムなどの充填剤、顔料、染料および塗布性・消泡性・レベリング性を改善するための界面活性剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0065】
本発明の組成物の配合組成は、上記共重合体〔(A)成分〕30〜90重量%、上記オキサゾリン化合物〔(B)成分〕3〜50重量%及び上記ポリブタジエン〔(C)成分〕3〜50重量%を含有する組成である。
また、本発明の組成物の更に好ましい配合組成は、上記共重合体〔(A)成分〕30〜90重量%、上記オキサゾリン化合物〔(B)成分〕3〜50重量%、上記ポリブタジエン〔(C)成分〕3〜50重量%、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化合物3〜50重量%及び光重合開始剤0.1〜30重量%を含有する組成である。
【0066】
本発明の硬化性組成物は、通常、必要に応じて前記の各成分を溶解または分散しえる溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチロセロソルブ、エチルセロソルブ、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、クロロホルム、塩化メチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノールを加えた溶液状組成物として用いられる。
【0067】
本発明の硬化性組成物は、通常公知の方法により調製され、ロールコーター、カーテンコーター、スピンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、金属、紙、プラスチック、フィルム等の支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0068】
本発明の硬化性組成物は、塗料、インキ、接着剤、印刷版および印刷配線板用フォトレジスト等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0069】
また、本発明の硬化性組成物を光により硬化する場合には、通常光硬化に用いられる各種の光源が利用可能で、例えば、アルゴンレーザー、水銀蒸気アーク、カーボンアークおよびキセノンアーク等、従来既知の光源を使用することができる。
【実施例】
【0070】
以下、具体的な実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0071】
実施例1
下記〔表1〕に記載の配合物(組成量単位;重量部)を十分に混合したのち、この溶液を表面処理アルミニウム板上にナイフコーターを用いて乾燥後の膜厚が30μmになるよう塗布した。80℃で5分間加熱乾燥した後、キセノンランプ照射(20mw/cm2 ×10秒)により紫外線硬化した。さらに150℃で30分間ベーキングして硬化物を得た。
【0072】
【表1】
【0073】
得られた硬化物についてJIS K7198 に基づいてガラス転移温度(Tg)を、JIS C6481 に基づいてピール強度を、JIS K6911 に基づいて体積抵抗を、JIS K6911 に基づいて1MHzでの比誘電率をそれぞれ測定した。それらの結果を下記〔表2〕に示す。
【0074】
また、解像性については次のようにして行なった。上記配合物をSiO2 ガラス基板上にスピンナーを用いて塗布後、80℃で5分間プレキュアして膜厚30μmの塗膜を形成した。次にテスト用ネガマスク(線幅30μm)を介して高圧水銀灯により300mJ/cm2 露光した。これを0.5重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像して、流水洗浄後、窒素ブローして残存パターンを得た。得られたパターンの解像度を光学顕微鏡で観察した。パターンが正確に現像できたものを○、一部欠損のあるものを△、全体に欠損が認められるものを×として評価した。その結果を下記〔表2〕に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
以上の結果より、本発明の硬化性組成物(実施例1−1〜1−5)は、比較例(1−1〜1−3)の組成物に比して、優れた性能を有する硬化物を提供し得ることが判る。
【0077】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物はアルカリ現像に適しているばかりでなく、優れたピール強度、体積抵抗を示し、特に低誘電率であるので、高周波回路基板用のフルアディティブ法に適したものである。
Claims (4)
- (A)下記〔化1〕の一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種5〜95重量%、下記〔化2〕の一般式(II)で表される繰り返し単位の少なくとも1種5〜95重量%および下記〔化3〕の一般式(III)で表される繰り返し単位の1種以上0〜50重量%からなる共重合体30〜90重量%と、(B)オキサゾリン環を2個以上有する化合物3〜50重量%と、(C)反応性の官能基で変性されたポリブタジエン3〜50重量%とを含有し、該(A)の共重合体、該(B)の化合物及び該(C)のポリブタジエンの合計量が100重量%未満の場合には、該合計量と他の成分とを合せた量が、100重量%になる量の該他の成分を含有する硬化性組成物。
- 上記一般式(I)におけるR2 がアリーレン基である請求項1記載の硬化性組成物。
- 上記他の成分として、アクリル酸またはメタクリル酸と多価アルコールとのエステル化合物3〜50重量%を含有する請求項1記載の硬化性組成物。
- 上記他の成分として、光重合開始剤を添加してなる請求項1記載の硬化性組成物。
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