JP3929099B2 - 映像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像表示装置に関し、特に、観察者の頭部又は顔面に保持することを可能にする頭部又は顔面装着式映像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の周知な映像表示装置として、米国特許第4,026,641号のものがある。この映像表示装置は、図33に示すように、映像表示素子1の像を伝達素子5で湾曲した物体面6に伝達し、その物体面6をトーリック凹面鏡7により空中に投影するようにしたものである。
【0003】
また、従来の他のタイプの映像表示装置として、特開平3−191389号のものがある。この映像表示装置は、図34に示すように、映像表示素子1の表示画像をハーフミラー2を透過させた後、凹面鏡3で反射させ、その後ハーフミラー2で反射させることにより観察者の眼球内に投影するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図26(a)に示すように、映像表示素子1を接眼レンズ8で拡大して眼球4で観察する映像表示装置においては、一般に観察者に大きな映像を表示するためには、接眼光学系(接眼レンズ)8拡大率(倍率)を大きくする必要がある。接眼光学系の拡大率は、その焦点距離をf(mm)とすると、250/fであるから、拡大率を大きくするには、図26(b)に示すように、接眼レンズ8の焦点距離を短くする必要がある。なお、図26(a)、(b)は、液晶表示素子(LCD)のように視野角を持つ映像表示素子1を使用した場合の図であり、映像表示素子1側テレセントリック性にするために、接眼光学系8と眼球4間の距離はf、映像表示素子1に表示された映像の虚像を1mとか2m前に形成すると、接眼光学系8と映像表示素子1の間の距離はほぼfになる。なお、図26(b)は図26(a)より焦点距離が小さい場合を示している。
【0005】
一方、使い勝手を考慮すると、アイリリーフ(射出瞳距離、接眼光学系端面から射出瞳位置までの距離)は10mm以上であることが好ましい。アイリリーフを確保しつつ、接眼光学系の焦点距離を短くすると、当然入射瞳位置が映像表示素子に近づいてしまう。すなわち、図26(c)に示すように、映像表示素子1側のテレセントリック性が悪化してしまう。
【0006】
映像表示素子1側のテレセントリック性が悪いと、映像表示素子1の表示面の光線の中、光軸近傍では表示面に対して略垂直な光線が接眼光学系8に取り込まれ、光軸から離れた位置では表示面に対して傾斜した光線が接眼光学系8に取り込まれる。これは、接眼光学系8が投影する画像に輝度、コントラスト、色相等にむらを作る原因となり、好ましくない。特に、映像表示素子1がLCDの場合には、この問題が顕著に生ずる。
【0007】
上述したように、一般に、広画角化するために焦点距離を短くし、アイリリーフを確保しようとすると、接眼光学系の映像表示素子側テレセントリック性がより崩れてしまう。広画角化によりテレセントリック性が悪化する理由としては、図26(c)に示すように、瞳収差が全くなくとも近軸瞳位置が近づくこと、瞳収差が大きくなりテレセントリック性が悪化すること、があげられる。
【0008】
さらに、図34に示す光学系のように、凹面鏡3を使用した場合、負の瞳収差が発生する(軸外射出瞳位置が観察者に近くなってしまう。)。この現象は画角が大きくなる程顕著になる。その結果、接眼光学系の映像表示素子側テレセントリック性がより崩れてしまう。
【0009】
このテレセントリック性を補正するためには、像面付近に凹パワーのフィールドレンズを配置することが考えられるが、屈折レンズの凹パワーを使用すると像面湾曲をより悪化させ、好ましくない。
【0010】
トーリック凹面鏡7を偏心させて使用している図33の例では、接眼光学系は表示素子側テレセントリックにはなっておらず、表示素子の端部のテレセンテレセントリック性は大きく崩れている。したがって、LCD等の視野角特性を持つ表示素子を使用する際には、不具合を生ずる。
【0011】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、テレセントリック性、瞳収差が良好に補正された小型軽量な映像表示装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の映像表示装置は、映像を表示する映像表示素子と、前記映像表示素子の映像表示面に近接して配置され、映像表示素子の発する光線の主光線を発散するように外向きに屈曲する作用を持つ平板状の光線屈曲手段と、前記光線屈曲手段を通過した光線を観察者の眼球に導き、前記映像表示素子の表示する映像を拡大表示する作用を持つ接眼光学系とからなり、
前記光線屈曲手段は、回折光学素子又はフレネルレンズからなり、かつ、少なくとも第1の周期的なパターンを有する第1の周期構造と第2の周期的なパターンを有する第2の周期構造と、該第1及び第2の周期構造が接続された接続部とを有してなるものであり、
前記第1の周期構造は前記第2の周期構造よりも前記光線屈曲手段の中心側に位置し、
前記第2の周期構造は、中心から周辺に至る所定の周期構造の前記接続部より周辺側の部分からなり、
前記第1及び第2の周期構造におけるピッチは、何れも前記光線屈曲手段の中心から周辺へ向かって小さくなる共に、該ピッチの配列の規則は前記第1の周期構造と前記第2の周期構造とで異なり、
前記光線屈曲手段の前記接続部より中心側の各位置におけるピッチと前記接続部でのピッチの差を、前記第1の周期構造と前記所定の周期構造とで比べた場合、前記第1の周期構造におけるピッチの方が前記所定の周期構造におけるピッチよりも大きなっており、
前記光線屈曲手段のピッチをp1 、映像表示素子のピッチをp2 とするとき、前記光線屈曲手段の周辺から中心へ向かう方向で考えた場合に、
1 ≧0.9p2 ・・・(1)
となる前の位置に、前記接続部が位置することを特徴とするものである。
【0013】
以下に上記本発明の映像表示装置の手段と作用効果について説明する。この説明においては、光学系の設計上の利便性から、原則として観察者の瞳位置から映像表示素子に向けて光線を追跡する逆光線追跡によって行う。
【0014】
すなわち、映像表示素子の虚像を物体とし、映像表示素子の表示面に表示された映像をその像とし、観察者の瞳孔を入射瞳とし、かつ、射出瞳はLCD等を使用した場合、理想的には無限遠にあるものとする。
【0015】
上記したように、本発明の映像表示装置は、映像を表示する映像表示素子と、前記映像表示素子の映像表示面に近接して配置され、映像表示素子の発する光線の主光線を発散するように外向きに屈曲する作用を持つ平板状の光線屈曲手段と、前記光線屈曲手段を通過した光線を観察者の眼球に導き、前記映像表示素子の表示する映像を拡大表示する作用を持つ接眼光学系とからなることを特徴とするものである。
【0016】
この映像表示装置は、後記する実施例1〜18が対応する。以下、その作用効果を説明する。
映像表示素子の多くはLCDのように視野角特性を持つので、接眼光学系の映像表示素子側をテレセントリックにする必要がある。映像表示素子の光線を外向きに屈曲する作用を持つ平板状の光線屈曲手段により主光線が発散するので、焦点距離の短い接眼光学系を使用してアイリリーフを確保しても、映像表示素子側のテレセントリック性を良好に保つことができる。なお、大きな効果を得るためには、光線屈曲手段の光線屈曲作用を大きくする必要がある。光線屈曲手段は、映像表示素子に近接して配置されていること、及び、光線屈曲手段が平板状であることから、その光線屈曲作用が大きくなってもそれを通して観察される映像表示素子の表示面の光学的位置はほとんど変化がなく、また、光線屈曲手段により発生する収差もわずかである。
【0017】
接眼光学系を映像表示素子全面においてテレセントリックにするのは、接眼光学系の設計上の制約条件となり、接眼光学系の設計を困難にするし、完全にテレセントリックにするのは実際上かなり難しい。ところが、上記のような光線屈曲手段を備えていれば、光線屈曲手段でテレセントリック性の改善を行えるので、接眼光学系をテレセントリックにする必要がなくなり、接眼光学系の設計が楽になる。
【0018】
この場合に、光線屈曲手段を光ファイバーバンドルから構成することができる。この映像表示装置は、後記する実施例1が対応する。以下、その作用効果を説明する。
光線屈曲手段としてファイバーバンドルを使用すると、各ファイバー毎に光線の屈曲角を設定できるので、テレセントリック性の悪い光線束のテレセントリック性の改善を行うことができる。各光線毎に光線の屈曲角を設定できるので、射出瞳位置と瞳収差の両方の補正を行うことができ、都合がよい。
【0019】
また、光線屈曲手段をフレネルレンズから構成することができる。この映像表示装置は、後記する実施例4、5、6、12が対応する。以下、その作用効果を説明する。
光線屈曲手段としてフレネルレンズを使用すると、フレネルレンズの各輪帯毎に光線の屈曲作用を設定できるので、テレセントリック性の悪い光線束のテレセントリック性の改善を行うことができる。また、通常の屈折レンズと比較するとレンズの厚みを必要とせず、特に顔面に装着する顔面装着式映像表示装置において好都合である。
【0020】
また、上記の場合に、フレネルレンズが画素毎に要素屈折面を有するものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例5が対応する。その作用効果を説明すると、この場合は、テレセントリック性の補正をより良好に行うことができ、また、モアレ縞の発生を防ぐことができる。そして、凸パワーを持てば、接眼光学系のNA(射出瞳径)を大きくすることができる。
【0021】
また、光線屈曲手段をマイクロレンズアレイから構成することができる。この映像表示装置は、後記する実施例2、7、17が対応する。その作用効果を説明する。光線屈曲手段としてマイクロレンズアレイを使用すると、軽量で光線屈曲手段の配置スペースを必要とせず、顔面に装着する顔面装着式映像表示装置において好都合である。
【0022】
上記の場合に、マイクロレンズアレイが偏心したマイクロレンズを含むものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例4が対応する。以下、その作用効果を説明する。
LCDの各画素に対して偏心したマイクロレンズを配置することで、その画素の光束を偏向することができる。また、画素毎に最適な偏心量とすることで光束全体のテレセントリック性を良好に補正することができる(光軸上のマイクロレンズは偏心していない。)。また、マイクロレンズにアナモルフィックな特性を持たせることができる。また、この場合、マイクロレンズが凸パワーを持つと、接眼光学系のNAを大きくすることができる。また、各マイクロレンズ毎にパワーを変化させれば、テレセントリック性以外の諸収差の補正も行うことができる。
【0023】
また、光線屈曲手段を回折光学素子(以下、DOE)から構成することができる。この映像表示装置は、後記する実施例8、9、10、11、13、14、15、16、18が対応する。以下、その作用効果を説明する。
テレセントリック性の悪い接眼光学系のテレセントリック性を補正する場合、フィールドレンズとしてDOEを使用すると、DOEはプレートレンズなのでスペースを必要とせず都合がよい。特に、顔面に装着する顔面装着式映像表示装置において好都合である。
【0024】
テレセントリック性を補正するために屈折レンズを使用すると、像面湾曲等テレセントリック性以外の収差にも影響を及ぼしてしまう。ところが、DOEは屈折率無限大の屈折素子と等価であるのでペッツバール和は全く変化させず、テレセントリック性のみを効果的に補正することができる。
【0025】
DOEの溝の高さは、透過型DOEの場合は約2λ、反射型DOEの場合は約λ/2(λ:波長)と微小なので、フレネルレンズと比較するとモアレ縞が発生し難い。
【0026】
この場合に、回折光学素子が2次以上の高次回折光を使用しているものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例8、9、10が対応する。その作用効果を説明すると、光線屈曲度を大きくするには、DOEのピッチを小さくするか高次回折光を使用すればよい。高次回折光を使用すると、ピッチを大きくできるので、製作上都合がよい。
【0027】
また、接眼光学系の焦点距離をfとすると、光線屈曲手段と映像表示手段との距離が0.3f以下であることが望ましい。この映像表示装置は、後記する実施例1から18が対応する。以下、その作用効果を説明する。
映像表示装置の概念図を図27に示す。映像表示素子1が接眼レンズ8で拡大され眼球4で観察される。映像表示素子1から出る光束は映像表示素子1に近い程光束径が小さく、各光束毎に図示しない光線屈曲手段上の光束位置が異なるので、収差を崩さずに映像表示素子1全面の光束の偏向を効果的に行うことができる(図27では、接眼レンズ8が完全に映像表示素子1側テレセントリックの場合について示してあるが、接眼レンズ8のテレセントリック性が崩れている場合も、同様のことが言える。)。
【0028】
光線屈曲手段と映像表示手段との距離が0.3f以上になると、この効果が少なくなる。複数枚の屈折レンズで構成する実際の接眼光学系、特にプリズムを配置した光学系の場合は、接眼光学系と映像表示素子の間隔は0.3f以下になることが多いので、光線屈曲手段と映像表示手段との距離が0.3f以下であることが望ましい。
【0029】
この場合、光線屈曲手段が映像表示手段と接触しているようにすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例9、15が対応する。その作用効果を説明すると、光線屈曲手段が映像表示手段と接触していると、上記の効果が大きくなり、かつ、光線屈曲手段を保持する機構の設計が楽になる。
【0030】
さらにこの場合、光線屈曲手段の光線屈曲作用を起こす面が映像表示手段と接触しているようにすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例9、15が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
発散光束の途中に光線屈曲手段を配置すると、接眼光学系の収差を悪化させるが、映像表示素子の直後で光線を屈曲させれば、収差を悪化させることがない。
光線屈曲手段としてDOEを使用した場合、DOEの作製精度が悪いと、所望の次数光以外の不要次数光がゴーストになる可能性がある。また、DOEの分散が大きいので色収差の悪影響が発生する可能性がある。しかし、DOE面を映像表示素子に実質的に密着させると、不要次数光の影響、色収差の影響がなくなる。
【0031】
また、光線屈曲手段による光線の屈曲角が30°以下であることが望ましい。この映像表示装置は、後記する実施例8、9、14、15が対応する。その作用効果を説明すると、光線屈曲手段による光線偏向角度が30°以上になると、光線を屈曲する作用以外に、収差を悪化させる等の悪影響が出たり、複数の光線屈曲手段が必要になり、好ましくない。
【0032】
また、光線屈曲手段が少なくとも2つの異なる構造を接続してなるものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例9、10、12が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
光線屈曲手段がファイバーバンドル、フレネルレンズ、DOE、マイクロレンズアレイ等周期的なパターンを持つ場合、光線屈曲手段と映像表示素子の間でモアレ縞が発生する可能性がある。光線屈曲手段と映像表示素子が密着している場合、光線屈曲手段と映像表示素子のピッチの比が2:3あるいは3:2の場合に、最もモアレ縞が発生し難く、ピッチが近くなるとモアレ縞が発生しやすくなる。
【0033】
そこで、光線屈曲手段を異なる構造を接続した構造とし、光線屈曲手段がモアレ縞が発生しやすい領域を少ししか持たないようにしている。この構造を図28を使用して説明する。図28(a)は上記のような周期的なパターンを持つ光線屈曲手段(代表的にDOE)のピッチ配列を示しており、図28(b)はその接続部近傍を拡大した図であり、映像表示素子周辺に向かうにつれ光線の屈曲角度が大きくなるので、光線屈曲手段も周辺に向かうにつれフレネル輪帯の幅やDOEのピッチが小さくなっている。破線と実線は異なる構造を示し、接続部で破線の構造から実線の構造へ変化している。各構造の周期はある規則に従っており、モアレ縞が発生しやすい周期xになる前に、ピッチの配列の規則(構造)を変更する。このようにすれば、モアレ縞が発生しやすい領域がDからD’と狭くなり、モアレ縞が目立たなくなる。
【0034】
この場合に、光線屈曲手段の接続部両側の異なる構造の光線屈曲作用が連続性を持つようにすることが望ましい。この映像表示装置の作用効果を説明すると、図28のように異なる構造を接続した場合に、破線のパワー配列と実線のパワー配列は接続部で連続となるようにしなければならない。不連続だと、接続部付近で映像表示素子の映像が不連続となり不自然になる。
【0035】
さらにこの場合に、光線屈曲手段のピッチをp1 、映像表示素子のピッチをp2 とするとき、光線屈曲手段の周辺から中心へ向かう方向で考えた場合に、
1 ≧0.9p2 ・・・(1)
となる前に異なる構造が接続されていることが望ましい。この映像表示装置は、後記する実施例9が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
光線屈曲手段のピッチp1 が映像表示素子のピッチp2 に近くなるとモアレ縞が発生する。一方、p1 =1.5p2 、p1 =0.67p2 付近ではモアレ縞が発生し難い。よって、1.1p2 >p1 >0.9p2 (さらに好ましくは、1.2p2 >p1 >0.8p2 )となるp1 の領域を少なくすればよい。
【0036】
このようにして光線屈曲手段が最もモアレ縞が発生しやすい領域のピッチを持つのを防ぐことができる。ピッチが細かい光線屈曲手段の周辺からピッチの大きな光線屈曲手段の中心部へ向かう方向で考えると、図28のように、p1 ≧0.9p2 となる前に光線屈曲手段の構造を変更すればよい。
【0037】
さらに上記の場合に、光線屈曲手段のピッチをp1 、映像表示素子のピッチをp2 とするとき、光線屈曲手段は、
1.1p2 >p1 >0.9p2 ・・・(2)
を満足するピッチを含まないことが望ましい。この映像表示装置は、後記する実施例10、12が対応する。その作用効果を説明すると、このような限定により、モアレ縞が目立つ領域の光線屈曲手段のピッチを除去することができる。
【0038】
さらにまた上記の場合に、光線屈曲手段が光線屈曲作用を持たない部分を有するようにすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例9が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
映像表示素子の中央付近でモアレ縞が発生すると、映像観察時に非常に見苦しい。映像表示素子の中央付近は映像表示素子に対する接眼光学系の光線傾角の直角からのずれは小さいので、LCDのように視野角特性を持つ映像表示素子とテレセントリック性の悪い接眼光学系とを使用した場合でも、その悪影響は少ない。
【0039】
一方、図28のような構成にすると、光線屈曲手段が光線屈曲作用を持たない部分ができる(図28(a))。
そこで、図28の構成の光線屈曲手段を使用し、画像のコントラスト低下や画像の反転等の不具合が起こり難い箇所付近(通常、中央付近)では、光線屈曲作用を持たず、接眼光学系のテレセントリック性や映像表示素子の視野角特性の影響が大きい箇所(通常、映像表示素子周辺)の光線のみテレセントリック性を改善するようにすれば、モアレ縞発生等の不具合がなく、所望の効果が得られるので、都合がよい。
【0040】
さらに上記の場合に、光線屈曲手段が回折光学素子であり、接続している領域の中心側と周辺側で異なる回折次数光を使用し、中心側では周辺側に使用している回折光よりも高次の回折光を使用するようにすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例10が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
【0041】
周辺部では低次回折光を使用し、中心部は高次回折光を使用するようにする。図29は光線屈曲手段であるDOEのピッチ配列を示す。映像表示素子と光線屈曲手段の間でモアレ縞が発生しやすい領域をDとする。光線屈曲手段の周辺部では低次回折光(m次回折光)を使用し、領域Dの内側ではm次より高次のn次回折光を使用する(m<n)。このような構成にすれば、接続部の内側ではピッチがn/m(>1)倍となり、図29に示すようなピッチ配列となり、モアレ縞が発生しやすいピッチ配列を防ぐことができる。
【0042】
さらに上記の場合に、光線屈曲手段がフレネルレンズであり、接続している領域の中心側と周辺側で異なる高さのフレネルレンズを使用し、中心側の高さが周辺側の高さより高いようにすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例12が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
図30にこのフレネルレンズの断面図を示す。図中(a)は通常のフレネルレンズであり、(b)は中心側と周辺側で異なる高さのフレネルレンズである。この高さの異なるフレネルレンズの中心側の高さをA、周辺側の高さをBとする。接続部より内側では、フレネルレンズピッチが外側のA/B倍になり、境界部を境にフレネルレンズピッチが不連続になる。モアレ縞が発生しやすいフレネルレンズのピッチがPの場合、P1 >P>P2 となるように設定すれば、モアレ縞の発生を防ぐことができる。ここで、P1 は中心側のフレネルレンズのピッチ、P2 は周辺側のフレネルレンズのピッチである。
【0043】
このように設定すれば、接続部における光線屈曲作用に連続性を持たせることができるので、映像観察時に違和感がない。また、中心部のフレネルレンズはピッチが大きいので作成しやすく精度良く製作でき、中心付近の映像は鮮明に観察することができる。最周辺になるとフレネルレンズピッチが細かくなりすぎ、精度良く製作できない可能性もあるが、映像の周辺部は鮮明に観察できなくても問題とならない。
【0044】
また、光線屈曲手段が同心円状とすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例8、9、10が対応する。その作用効果を説明すると、DOEやフレネルレンズをプラスチックモールドで製作する場合、DOEが回転対称な同心円状であると、その型を製作しやすいメリットがある。
【0045】
また、光線屈曲手段が偏角プリズム作用を持つものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例14が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
映像表示素子を大型化することで接眼光学系を広画角化することができる。ただし、映像表示素子が余り大きくなると、左右の映像表示素子が相互に干渉してしまう。そこで、左右の映像表示素子を左右の視軸より外側に配置し、相互の干渉を防ぐ。そして、映像表示素子の前側に配置したプリズム作用を持つ光線屈曲手段により映像表示素子からの光を斜め方向から接眼光学系に導く。こうすることにより、映像表示素子が干渉することなく、接眼光学系の広画角化をすることができる。また、接眼光学系として偏心光学系を使用した場合、主光線の傾き角が光軸対称でなくなったり、主光線が全てある方向に傾いたりする場合がある(視軸を含むY−Z平面に関しては対称で、X−Z平面に関して非対称)。この場合、一方向のテレセントリック性の補正で十分な場合がある。
【0046】
また、映像表示素子によっては映像表示面内の明視方向がある方向に傾き気味な場合がある。この場合、光線屈曲手段に偏角プリズム作用を持たせることで、映像の中心付近のコントラストを向上させること、コントラストの面内ばらつきを減少させること等の効果をもたらすことができる。
【0047】
また、光線屈曲手段が偏角プリズム作用とレンズ作用を合わせ持つものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例11、15が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
接眼光学系として共軸系の光学系を使用する場合は、主光線の傾き方は光軸対称なので、光線屈曲手段としては光軸対称の光線屈曲作用(レンズ作用)を持てば接眼光学系のテレセントリック性を補正できる。しかし、接眼光学系として偏心光学系を使用すると、図31に示すように、主光線の傾き方が光軸対称でなくなったり、図32に示すように、主光線が全てある方向に傾いたりする場合がある(視軸を含むY−Z平面に関しては対称で、X−Y平面に関して非対称)。この場合は、光線屈曲手段が光軸非対称の光線屈曲手段(偏角プリズム作用+レンズ作用)を持てば、接眼光学系のテレセントリック性を良好に補正することができる。
【0048】
また、光線屈曲手段がアナモルフィック作用を持つものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例16、17が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
図15に視野角特性(等コントラスト曲線)を示すように、LCDのような映像表示素子は回転非対称な視野角特性を持つ場合がある。また、図31、図32のように、接眼光学系として偏心光学系を使用すると、射出瞳特性も回転非対称なものとなる。この場合、光線屈曲手段もアナモルフィックな特性を持つと、効果的にテレセントリック性を良好に補正することができる。
【0049】
また、回転対称な接眼光学系(共軸系)と回転対称な視野角特性を持つ映像表示素子を使用した場合にも、アナモルフィック光線屈曲手段を使用すると都合がよい場合がある。映像表示素子が16:9のような画面を持つ横長の場合、映像観察時には横方向の眼球の移動量が大きくなるので、接眼光学系の射出瞳特性も横長であることが好ましい。接眼光学系をアナモルフィック光学系とすることで、射出瞳を横長にすることもできるが、接眼光学系をアナモルフィックとすると、虚像(映像表示素子の像)もアナモルフィックとなるので、アナモルフィックな映像を映像表示素子に表示する必要がある上、接眼光学系をアナモルフィックにするのはコストがかかり好ましくない。そこで、光線屈曲手段にアナモルフィック作用を持たせ、光線屈曲手段を映像表示素子に密着させれば、映像表示素子の視野角特性(射出瞳特性)のみを横長(任意の特性)にすることができる。
【0050】
また、映像表示素子と光線屈曲手段が一体化しているものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例6、7、13が対応する。その作用効果を説明すると、部品点数を増やすことなく接眼光学系のテレセントリック性を改善することができ、好ましい。
【0051】
上記の場合に、光線屈曲手段が映像表示素子のカバーガラスを兼ねているものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例6が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
光線屈曲手段として周期的なパターンを持つフレネルレンズ等を使用した場合、LCDのような映像表示素子と光線屈曲手段の間でモアレ縞が発生する可能性がある。光線屈曲手段をLCDの開口と近接一体化し、開口を発した光束を開口の直後で屈曲させれば、モアレ縞が発生しない。また、映像表示素子と光線屈曲手段の位置合わせを行う必要がなくなる。また、この場合、光線屈曲手段が凸パワーを持てば、LCDの開口効率が向上しさらに好ましい。
【0052】
ところで、LCDは液晶層の他に偏光板とカバーガラスを持つ。光線屈曲手段として平行平面板に加工したDOE等の光線屈曲手段を使用すると、光線屈曲手段がカバーガラスを兼ねるようにすることができ、部品点数を増やすことなく接眼光学系のテレセントリック性を改善することができ、好ましい。LCD以外の表面にカバーガラス的なものを持つ映像表示手段についても、同様のことが言える。
【0053】
また、上記の場合に、光線屈曲手段が回折光学素子であり、その回折光学素子がローパスフィルターを兼ねているものとすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例13が対応する。以下に、その作用効果を説明する。
映像表示手段として少画素数のLCDのようなものを使用する場合、ローパスフィルターを使用すると、画素が目立たなくなり、好ましい。また、モアレ縞の発生を防いだりモアレ縞のコントラストを低下させることができる。光線屈曲手段のDOEをローパスフィルターとして利用すると、新たにローパスフィルターを追加する必要がないので、好ましい。
【0054】
また、接眼光学系が凹面鏡を含み、光線屈曲手段が凹パワーの回折光学素子であるようにすることができる。この映像表示装置は、後記する実施例8、9、1、14、15が対応する。以下に、その作用効果を説明する。テレセントリック性を補正するために屈折レンズを使用すると、像面湾曲等テレセントリック性以外の収差にも影響を及ぼしてしまう。ところが、DOEは屈折率無限大の屈折素子と等価であるので、ペッツバール和は全く変化させず、テレセントリック性のみ効果的に補正することができる。この特性は、凹面鏡を使用した接眼光学系のように射出瞳位置が像面よりマイナス方向にあり、負の像面湾曲が発生している場合に、特に有効である。この場合、テレセントリック性を補正するには像面付近に凹パワーを配置すればよいが、凹パワーの屈折レンズを使用すると、像面湾曲をより悪化させてしまう。ところが、DOEを使用すれば、ペッツバール和を全く悪化させずに凹パワー作用によりテレセントリック性の補正を行うことができる。接眼レンズが色収差補正不足の場合、凹パワーのDOEを使用すると色収差を悪化させる方向であるが、映像表示素子付近にDOEを配置すると、実質上無影響である。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の映像表示装置の実施例1から18について図面を参照して説明する。
実施例1
この実施例は、図1に概略の構成を示すように、光ファイバーバンドル11を映像表示素子1から出る主光線を発散するように外向きに屈曲する作用を持つ平板状の光線屈曲手段として用いる実施例である。すなわち、光ファイバーバンドル11の映像表示素子1側の端部においては、光ファイバーバンドル11を構成する光ファイバー素線各々は平行で映像表示素子1の表示面に略垂直になっており、接眼レンズ8側の端部においては、光ファイバーバンドル11を構成する光ファイバー素線は発散するように外向きとなっている。したがって、テレセントリック性の悪い接眼レンズ8を使用していても、映像表示素子1の表示面から略垂直に出た主光線は光ファイバーにより発散するように外向きに屈曲されるので、光ファイバーバンドル11を使用することで接眼レンズ8のテレセントリック性を補正できる。
【0056】
実施例2
この実施例は、図2にLCDの画素に対する1つのマイクロレンズ配置を示したように、光線屈曲手段としてマイクロレンズアレイを用いる実施例である。図2において、LCDの画素開口13に対応して配置されるマイクロレンズ12の中心軸を所要の屈曲角に応じてずらして配置している。マイクロレンズ12から図示しない接眼光学系に入射する光線の屈曲度と収束度は、マイクロレンズ12の映像表示素子に対する偏心量とマイクロレンズの曲率半径で決まる。画素毎に適切なマイクロレンズの偏心量と曲率半径を設定すれば、映像表示素子全面のテレセントリック性と収差の補正を行うことができる。
【0057】
接眼光学系が共軸系の場合は、このマイクロレンズ12を、図3に示すように、映像表示素子1の画面中心からの方向と位置に応じて、画素開口13から偏心させることにより、映像表示素子1全面における接眼光学系のテレセントリック性と収差を補正することができる。
【0058】
接眼光学系が偏心光学系でテレセントリック性が軸対称でない場合は、映像表示素子1の各位置での画素開口13とマイクロレンズ12の中心軸との相対関係を適切にコントロールすればよい。
【0059】
実施例3
この実施例は、図4に概略の構成を示すように、平板状の屈折率分布型レンズ(GIL)14を光線屈曲手段として用いる実施例である。図5にGIL14の屈折率分布を示すように、中心から周辺に向かって屈折率が大きくなっており、このGIL14は凹レンズの作用をする。したがって、この平板状のGIL14を映像表示素子1に密着させ、接眼レンズ8のテレセントリック性を補正している。
【0060】
実施例4
この実施例は、図6に概略の構成を示すように、フレネルレンズ15を光線屈曲手段として用いる実施例である。光線の屈曲度は、フレネルレンズ15の斜面の傾き(高さが一定の場合はピッチ)で決まる。画素1個に対してフレネルレンズ15のリング(輪帯)を1個配置するようにしてもよいが、そうすると1個1個のフレネルレンズ15のピッチが細かくなり、製作し難くなる場合がある。このような場合には、図7に示すように、数個の画素13に対してフレネルレンズ15のリングを1個配置するようにしてもよい。
【0061】
実施例5
この実施例は、画素毎にフレネルレンズの屈折面片あるいはプリズム片を配置して光線屈曲手段とする実施例である。図8に1個のLCD画素16に対してフレネルレンズの1個のプリズム片17を配置した様子を示すように、画素16毎にプリズム片17を対応させて配置することにより光線を屈曲することで、接眼光学系のテレセントリック性を補正している。映像表示素子内の各画素毎にプリズム片17を適切な傾斜角とすることで、映像表示素子全面のテレセントリック性を補正することがてきる。
【0062】
実施例6
以上の実施例では、映像表示素子と接眼光学系からなる系に光線屈曲手段を付加することで、接眼光学系のテレセントリック性を補正している。この実施例では、映像表示素子と光線屈曲手段を一体化している。
【0063】
図9に示すように、LCD1のカバーガラスを接眼光学系のテレセントリック性を補正する特性を持つフレネルレンズ15の形状とすることで、部品点数を増すことなく、接眼光学系のテレセントリック性を補正している。
【0064】
実施例7
この実施例は、マイクロレンズからなる光線屈曲手段と映像表示素子を一体化した実施例である。図10に示すように、LCD1のカバーガラスを接眼光学系のテレセントリック性を補正する特性を持つマイクロレンズ12のアレイ形状とすることで、部品点数を増やすことなく、接眼光学系のテレセントリック性を補正している。なお、この構成のマイクロレンズ12は、テレセントリック性の補正以外に、LCD1側の開口数を増加させる働きもしている。
【0065】
実施例8
この実施例は、接眼光学系と単純な回折光学素子(DOE)を組み合わせた実施例である。図11に映像表示装置の断面図を示す。この実施例において、接眼光学系8は、凹面鏡81とハーフミラー面82を有するプリズム形状をしており、逆光線追跡で瞳4から出た光線は観察者視軸9に沿って進み、接眼光学系8の第1面から入射した光は、ハーフミラー面82で反射した後、凹面鏡81で反射して、今度はハーフミラー面82を透過して接眼光学系8の最終面から射出してLCD1に結像するものである。
【0066】
この接眼光学系8は、アイリリーフを確保したまま、短焦点距離化(広画角化)しているので、LCD1側のテレセントリック性が崩れている。このテレセントリック性を補正するために、映像表示素子1の直後に回転対称同心円状DOE18を配置している。
【0067】
その結果、長いアイリリーフ、広画角、良好なテレセントリック性が実現できている。
【0068】
以下、DOE18の具体的数値について説明する。DOEの製作性を考慮し、+2次回折光を使用し(+2次回折光でブレーズ化)、有効径の最外周でのピッチが10ミクロンとする。すると、ultra−high index lens(DOEを高い屈折率の屈折曲面と等価にして得られるレンズ)の焦点距離fは、
f≦−145.927
(nd =1001、円錐定数K=−1)
となり、これから、曲率半径Rは、
R≧0.145927×106
となり、
R=0.145927×106
となる。図12にこの場合のDOEのピッチ配列を示す。
【0069】
このDOE18を追加しても接眼光学系8の収差を全く崩すことなく、テレセントリック性の補正が行えている。このDOE光線屈曲手段によるテレセントリック性補正効果を次の表1に示す。
Figure 0003929099
【0070】
この実施例において、プリズムにより正の色収差が発生している接眼光学系8に凹パワーDOE18を追加すると、より色収差を悪化させる方向であるが、DOE18の凹パワーは弱いので、実質的には無影響である。
接眼光学系8の構成パラメータは後記する。なお、後記の構成パラメータ中、面番号3がプリズムの入射側端面、面番号6がプリズムのLCD側端面、面番号8がDOEの基板のDOEを加工する面であり、面番号8と9がDOEを表現するultra−high index lensである。
【0071】
実施例9
接眼光学系8の構成は、実施例8と同じ(図11)であるが、DOE18の構成が異なる。画素ピッチが約30ミクロンのLCDを使用した場合、DOEやフレネルレンズのピッチが30ミクロン付近でモアレ縞が発生しやすかったので、光線屈曲手段が30ミクロン付近のピッチを持たないようにする必要がある。
【0072】
そこで、図13の実線で示すように、DOE18の有効径の70%(半径12.0019mm)〜60%は、ピッチが大きくなるようにピッチの配列を変更し、有効径の60%の箇所から内側には、DOEを加工しないようにしている。なお、図13中、破線は実施例8のピッチ配列である。
【0073】
なお、図11では、このDOE18のDOE面をLCD1に密着させているが、DOE18のDOE面と反対側の面をLCD1と密着させるようにしてもよい。DOE面をLCD1に密着させると、DOE18の色収差の影響は全くない。一方、DOE18のDOE面と反対側の面をLCD1と密着させても、色収差の影響は実質上ない上に、モアレ縞のコントラストが落ちる。
【0074】
以下、本実施例のDOE18の具体的数値について説明する。
〔有効径70%より外側〕
サグ :sag1 (h)=h2 /(2R)
サグの微分:der1 (h)=dsag1 (h)/dh=h/R
ピッチ :pit1 (h)=mλR/(nd −1)/h
ここで、h:光線高、R:ultra−high index lensの曲率半径、m:回折光の次数、λ:波長、nd :基板のd線の屈折率。
【0075】
〔有効径70%〜60%(接続部)〕
有効径の60%(x1 =10.2214mm)〜70%(x2 =12.0019mm)の箇所で、サグの微分を以下のべき級数で表現するとする。
der2 (h)=sh2 +th+u
すると、
sag2 (h)=sh3 /3+th2 /2+uh+v
ここで、h:光軸からの距離、s,t,u,v:定数。
連続接続するための条件は、
der1 (x2 )=der2 (x2
der2 (x1 )=0
dder2 (x2 )/dh=dder1 (x2 )/dh
より、
s=0.220952×10-4
t=−0.537221×10-3
u=0.318271×10-2
v=−0.127329×10-1
を得る。
【0076】
実施例10
接眼光学系8の構成は、実施例8と同じ(図11)であるが、DOE18の構成が異なる。モアレ縞の発生を防ぐために、モアレ縞が発生しやすいDOE18のピッチより外側は1次回折光を使用し、内側は2次回折光を使用する。この場合のピッチ配列を図14に示す。図14のグラフの段差の左側が2次回折光を使用した領域、右側が1次回折光を使用した領域である。
【0077】
このように、DOE18のピッチが不連続になり、モアレ縞が発生しやすいピッチ配列を防ぐことができる。この場合、光線屈曲手段(DOE18)のピッチをp1 、映像表示素子1のピッチをp2 とするとき、1.1p2 >p1 >0.9p2 (さらに好ましくは、1.2p2 >p1 >0.8p2 )となるようにすると効果的である。
【0078】
実施例11
接眼光学系8の構成は、実施例8と同じ(図11)であるが、DOE18の構成が異なる。この実施例において用いるLCD1の視野角特性(等コントラスト曲線)を図15に示す。このLCD1の視野角特性は正確な回転対称な特性ではない。そこで、厳密な視野角特性の補正を行うために、回転非対称なDOE18を光線屈曲手段として使用する。すなわち、図15のa方向とb方向に対応する方向の屈折パワーの比がa:b(a≠b)となる図16のような回折格子パターンを有するのDOE(楕円DOE)18を使用する。
【0079】
実施例12
接眼光学系8の構成は実施例8と同じ(図11)である。ただし、この実施例の場合は、DOE18の代わりにフレネルレンズを用いる。そして、そのフレネルレンズの構造に特徴がある。図17(a)にフレネルレンズ15の平面図、同図(b)に断面図を示す(焦点距離−121.5mmに相当するパワーのフレネルレンズ)。フレネルレンズピッチが1.5mm場合に、映像表示素子1とフレネルレンズ15の間で強いモアレ縞が発生するとする。周辺部(B部)におけるフレネルレンズの高さが0.1mmなので、有効径の中心からの距離が10mmの位置におけるフレネルレンズピッチは1.21mmとなる。この部分より内側はフレネルレンズの高さを0.2mmとしている(A部)ので、A部とB部の接続部のすぐ内側はピッチは2.4mm程度で、内側へ向かう程ピッチは大きくなるので、モアレ縞が発生しやすいピッチを除くことができる。
【0080】
この場合、1.1p2 >p1 >0.9p2 (さらに好ましくは、1.2p2 >p1 >0.8p2 )となるようにすると、効果的である。ここで、p1 :光線屈曲手段(フレネルレンズ15)のピッチ、p2 :映像表示素子1のピッチ。
【0081】
実施例13
この実施例は、DOE光線屈曲手段にローパスフィルターの作用を持たせた実施例であり、図18に示すように、映像表示素子1に密着あるいは近接して回折溝の断面形状が矩形のDOE18を配置している。DOE18の1次回折光により接眼レンズ8のテレセントリック性を補正している。そして、DOE18は回折溝の断面形状が矩形なので、+1次回折光以外にも、0次光、−1次光・・・が発生する。この中の±1次回折光、0次光によりDOE18はローパスフィルターの作用も有する。このようにして、部品点数を増すことなく、接眼光学系8のテレセントリック性の補正とローパスフィルター効果が得られる。
【0082】
実施例14
この実施例は、偏心接眼光学系において、DOEの偏角プリズム作用によるテレセントリック性補正に関する実施例であり、図19に示すように、接眼光学系8は、相互に偏心配置された2枚の凹面鏡83、84からなるものであり、逆光線追跡で瞳4から出た光線は観察者視軸9に沿って進み、接眼光学系8の第1凹面鏡83に入射して反射された後、第2凹面鏡84で反射してLCD1に結像するものである。
【0083】
この接眼光学系8は偏心光学系を使用しているので、接眼光学系8の主光線は観察者の視軸に対して一方向に傾いている。そこで、光線屈曲手段として偏角プリズム作用(一方向に光線偏向作用)を持つDOE18をLCD1に密着させ、接眼光学系8のテレセントリック性を補正している。ここでは、平行平面板の接眼光学系8側をDOE面としているが、反対側をDOE面にしてよい。
【0084】
この実施例の接眼光学系8の構成パラメータは後記するが、偏角プリズム作用を持つDOE18を使用しない場合、接眼光学系8のテレセントリック性が悪いので、軸上主光線が映像表示素子1に対して7.2°傾いている。
【0085】
後記の構成パラメータについて、補足的に説明すると、ultra−highindex法の原理により、
(n−1)dz/dh=sinθ
ここで、
dz/dh=tanα
とする。n=1001,θ=7.2°より、α=0.007181°(DOE面が0.007181°)傾いている。
【0086】
なお、図19に示すような接眼光学系8において、主光線が観察者の視軸に対して一方向に傾いているのは、接眼光学系8の収差上好ましいからである。また、映像表示素子1によっては、映像表示面内の明視方向がある方向に傾き気味の場合がある。この場合は、主光線が観察者の視軸に対して一方向に傾いていると、映像の中心付近のコントラストが向上する、コントラストの面内バラツキが減少する等の効果を持たせることができるからである。
【0087】
実施例15
この実施例は、偏心接眼光学系において、偏角プリズム作用とレンズ作用を持つDOEによるテレセントリック性補正に関する実施例であり、図19に示すように、この実施例においても、接眼光学系8は、相互に偏心配置された2枚の凹面鏡83、84からなるものであり、逆光線追跡で瞳4から出た光線は観察者視軸9に沿って進み、接眼光学系8の第1凹面鏡83に入射して反射された後、第2凹面鏡84で反射してLCD1に結像するものである。
【0088】
この接眼光学系8は偏心光学系を使用しているので、接眼光学系8の主光線は観察者の視軸に対して一方向に傾いている。そこで、光線屈曲手段として偏角プリズム作用とレンズ作用を持つDOE18をLCD1に密着させ、接眼光学系8のテレセントリック性を補正している。ここでは、平行平面板のLCD1側をDOE面としているが、反対側をDOE面にしてよい。なお、この実施例の接眼光学系8の構成パラメータは後記する。
【0089】
実施例16
この実施例は、アナモルフィック作用を持つDOE光線屈曲手段による横長射出瞳の形成に関する実施例である。図20に示すように、接眼光学系8として回転対称(共軸)の光学系を使用し、映像表示素子は画面横縦寸法比が16:9の横長のLCD1を使用する場合、LCD1が回転対称に近い視野角特性を持つと、図20の左下に模式的に示すような回転対称な特性を持つ射出瞳が形成される。なお、この射出瞳の中心は明るく、周辺は暗くなる。そこで、図20の射出瞳は明るさの分布の等高線として示してある。
【0090】
そこで、図22に格子溝の形状を模式的に示すように、横(X)方向のパワーが縦(Y)方向のパワーより強いアナモルフィックDOE19を用い、図21に示すように、LCD1にこのアナモルフィックDOE19を密着させ、LCD1の虚像に影響することなく、図21の左下に模式的に示すような横長の特性を持つ射出瞳を形成すると共に、接眼光学系8のテレセントリック性を補正する。
【0091】
ここで、LCD1が回転対称に近い視野角特性を持つとしたが、LCD1の視野角特性が回転対称でない場合は、所望の射出瞳特性が得られるように、光線屈曲手段DOE19のアナモルフィック度を変更すればよい。
【0092】
また、接眼光学系8が完全にテレセントリックな場合は、X方向にパワーを持ち、Y方向にパワーを持たないシリンドリカル作用を持つ光線屈曲手段19を使用すればよい。
【0093】
実施例17
この実施例は、アナモルフィック作用を持つマイクロレンズ光線屈曲手段による横長射出瞳の形成に関する実施例である。本実施例では、実施例16のDOE19の代わりに、図23に示すように、映像表示素子1を構成する画素開口13に整列させてアナモルフィックマイクロレンズ20をアナモルフィック光線屈曲手段としてアレイ状に配置することで、X方向の視野角特性(射出瞳特性)を大きくしている。ここでは、凹パワーを持つマイクロレンズ20を使用しているが、接眼光学系8の射出瞳位置がLCD1のマイナス方向であれば、凸パワーのマイクロレンズを使用すればよい。
【0094】
実施例18
この実施例は、シリンドリカルレンズ作用を持つ光線屈曲手段による広画角化に関する実施例である。図24(a)に示すように、映像表示素子1を接眼レンズ8で拡大して眼球4で観察する映像表示系を左右の眼4それぞれに別々に配置して映像表示装置を構成する場合に、図24(b)に示すように、広画角化のために左右の映像表示素子1を大型化すると、左右の映像表示素子1が相互に干渉してしまう(実際の映像表示素子1は映像表示領域周辺の面積が大きいため)。そこで、図24(c)に示すように、左右の映像表示系それぞれに2つのシリンドリカルレンズ作用を持つ光線屈曲手段21、22の組み合わせからなる光学系を接眼レンズ8の映像表示素子1側に配置して、左右の映像表示素子1を左右の視軸23より外側に配置し、映像表示素子1からの光を斜め方向から接眼レンズ8に導くようにする。この2つの光線屈曲手段の中、一方の光線屈曲手段21は、映像表示素子1から略垂直に出る主光線を斜めに屈曲させ、他方の光線屈曲手段22は、光線屈曲手段21で斜めに屈曲された主光線を視軸23に略平行に屈曲させる作用をする。このようにして、左右の映像表示素子1に大きな映像表示素子を使用した際の映像表示素子1相互の干渉を防ぐことができる。ここで、シリンドリカルレンズ作用を持つ光線屈曲手段21、22としては、図24(d)に示すようなシリンドリカルレンズを偏心して配置したものを用いればよい。このようにして、映像表示素子1が相互に干渉することなく、接眼光学系の広画角化を図ることができる。
【0095】
なお、光線屈曲手段21、22には、一方向(図24(d)のようにX−Z平面方向)のみに光線屈曲作用を持たせてもよいし、2次元の映像表示素子1の視野角特性補正作用や接眼光学系8のテレセントリック性補正作用を持たせてもよい。また、接眼光学系8として偏心光学系を使用する場合は、接眼光学系8の偏心収差の補正作用を光線屈曲手段21、22に持たせることもできる。ここで、映像表示素子1の視野角特性補正作用とは、映像表示素子1からの出る表示光の角度分布が表示面の法線を中心に等方的に分布せず何れかの方向に偏っている場合には、単に接眼レンズ8を配置するだけでは暗い像しか観察できないので、この偏った視野角特性を上記のような光線屈曲手段21により補正して明るい像を観察できるようにすることであり、また、接眼光学系8のテレセントリック性補正作用とは、図24(a)に示すように接眼レンズ8のテレセントリック性が良好のものの場合には観察上全く問題がないが、収差補正やコンパクト化によるレンズ枚数制限等の要請により接眼レンズ8のテレセントリック性が良好でない場合に、足りないテレセントリック性を光線屈曲手段21、22により補うことである。以上のように、光線屈曲手段21、22に2次元の映像表示素子1の視野角特性補正作用や接眼光学系8のテレセントリック性補正作用等を持たせることにより、部品点数を増やすことなく、テレセントリック性の補正や視野角特性の補正を同時に行うことができる。
なお、シリンドリカルレンズ作用を持つ光線屈曲手段21、22はDOEにより構成することもできる。
【0096】
次に、実施例8、14、15の構成パラメータを示すが、面番号は映像表示素子1の虚像位置から観察者の瞳位置4を経て映像表示素子1に向かう逆追跡の面番号として示してある。
【0097】
そして、座標の取り方は、図11に示すように、観察者の虹彩位置4あるいは回旋中心を原点とし、観察者視軸9を原点から接眼光学系8に向かう方向を正とするZ軸、観察者視軸9に直交し、観察者眼球から見て上下方向の下から上を正とするY軸、観察者視軸9に直交し、観察者眼球から見て左右方向の右から左を正とするX軸と定義する。つまり、図11の紙面内をY−Z面とし、紙面と垂直方向の面をX−Z面とする。
【0098】
そして、下記の構成パラメータ中において、実施例8については、接眼光学系8の光軸は紙面のY−Z面内で折り曲げられるものとし、各面の相対位置は軸上の面間隔(映像表示素子1の虚像位置について別にすると、反射の回毎に符号が変化する。)で定義され、光軸に対して中心軸が傾いた面の傾き角はθで表示されている。その場合、θが正は反時計回りを意味する。また、実施例14、15において、接眼光学系8を構成する偏心光学系の光軸は紙面のY−Z面内で折り曲げられるものとし、偏心量Y、Zと傾き角θが記載されている面においては、基準面である2面(瞳位置4)からのその面の面頂のY軸方向、Z軸方向の偏心量及びその面の中心軸のZ軸からの傾き角を意味し、その場合、θが正は反時計回りを意味する。なお、面間隔が記載されている面については、その面と次の面の軸上面間隔である(ただし、実施例15のDOEの基板以降は同軸系とし、DOE面のみが前の面に対してθだけ傾いているものとする。)。
【0099】
なお、各面において、回転対称な非球面形状は、Rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A、B、Cはそれぞれ4次、6次、8次の非球面係数、hはh2 =X2 +Y2 とすると、非球面式は以下に示す通りである。
【0100】
Figure 0003929099
また、各面において、回転非対称の非球面形状は、その面を規定する座標上で、Ry 、Rx はそれぞれY−Z面(紙面)内の近軸曲率半径、X−Z面内での近軸曲率半径、Kx 、Ky はそれぞれX−Z面、Y−Z面内の円錐係数、AR、BRはそれぞれZ軸に対して回転対称な4次、6次の非球面係数、AP、BPはそれぞれZ軸に対して回転非対称な4次、6次の非球面係数とすると、非球面式は以下に示す通りである。
【0101】
Figure 0003929099
なお、面と面の間の媒質の屈折率はd線の屈折率で表す。長さの単位はmmである。DOEの設計では、Sweatt法を使用している(W.C.Sweatt,"Mathematical equivalence between a holographic optical element and an ultra-high index lens",J.Opt.Soc.Am.,Vol.69,No.3(1979)参照)。
【0102】
以下に、実施例8、14、15の構成パラメータを示す。なお、記載のない非球面に関する項はゼロである。
Figure 0003929099
【0103】
Figure 0003929099
【0104】
Figure 0003929099
【0105】
以上、本発明の映像表示装置を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0106】
本発明の映像表示装置を頭部装着式映像表示装置(HMD)として構成し、観察者が装着した状態の斜視図を図25に示す。図中、61はディスプレイ本体部を示し、その中に眼幅距離だけ離して何れかの実施例の接眼光学系と映像表示素子が配置され、支持部材によりディスプレイ本体部61を観察者の顔面に保持するように支持部材が頭部を介して固定している。その支持部材としては、一端をディスプレイ本体部61に接合し、観察者のこめかみから耳の上部にかけて延在する左右の前フレーム62と、前フレーム62の他端に接合され、観察者の側頭部を渡るように延在する左右の後フレーム63と、左右の後フレーム63の他端に挟まれるように自らの両端を一方ずつ接合し、観察者の頭頂部を支持する頭頂フレーム64とから構成されている。
【0107】
また、前フレーム62における後フレーム63との接合部近傍には、弾性体からなり例えば金属板バネ等で構成されたリヤプレート65が接合されている。このリヤプレート65は、上記支持部材の一翼を担うリヤカバー66が観察者の後頭部から首の付け根にかかる部分で耳の後方に位置して支持可能となるように接合されている。
【0108】
映像・音声信号等を外部から送信するためのケーブル72が一端を電装部品に接続し、頭頂フレーム64、後フレーム63、前フレーム62、リヤプレート65の内部を介してリヤカバー66の後頭部より外部に突出している。そして、このケーブル72は、ビデオ再生装置70に接続されている。また、71はビデオ再生装置70のスイッチやボリュウム調整部である。
【0109】
なお、ケーブル72は先端をジャックにして、既存のビデオデッキ等に取り付け可能としてもよい。さらに、TV電波受信用チューナーに接続してTV鑑賞用としてもよいし、コンピュータに接続してコンピュータグラフィックスの映像や、コンピュータからのメッセージ映像等を受信するようにしてもよい。また、邪魔なコードを排斥するために、アンテナを接続して外部からの信号を電波によって受信するようにしてもよい。
【0110】
この使用例の場合、例えば実施例8の接眼光学系8を使用し、この接眼光学系8の前方に液晶シャッターを配備し、外界像を選択的に又は映像表示素子1の映像と重畳して観察できるようにすることができる。
【0111】
以上の本発明の映像表示装置は例えば次のように構成することができる。
〔1〕 映像を表示する映像表示素子と、前記映像表示素子の映像表示面に近接して配置され、映像表示素子の発する光線の主光線を発散するように外向きに屈曲する作用を持つ平板状の光線屈曲手段と、前記光線屈曲手段を通過した光線を観察者の眼球に導き、前記映像表示素子の表示する映像を拡大表示する作用を持つ接眼光学系とからなることを特徴とする映像表示装置。
【0112】
〔2〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段が光ファイバーバンドルであることを特徴とする映像表示装置。
【0113】
〔3〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段がフレネルレンズであることを特徴とする映像表示装置。
【0114】
〔4〕 上記〔3〕において、前記フレネルレンズが画素毎に要素屈折面を有することを特徴とする映像表示装置。
【0115】
〔5〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段がマイクロレンズアレイであることを特徴とする映像表示装置。
【0116】
〔6〕 上記〔5〕において、前記マイクロレンズアレイが偏心したマイクロレンズを含むことを特徴とする映像表示装置。
【0117】
〔7〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段が回折光学素子であることを特徴とする映像表示装置。
【0118】
〔8〕 上記〔7〕において、前記回折光学素子が2次以上の高次回折光を使用していることを特徴とする映像表示装置。
【0119】
〔9〕 上記〔1〕において、前記接眼光学系の焦点距離をfとすると、前記光線屈曲手段と前記映像表示手段との距離が0.3f以下であることを特徴とする映像表示装置。
【0120】
〔10〕 上記〔9〕において、前記光線屈曲手段が前記映像表示手段と接触していることを特徴とする映像表示装置。
【0121】
〔11〕 上記〔10〕において、前記光線屈曲手段の光線屈曲作用を起こす面が映像表示手段と接触していることを特徴とする映像表示装置。
【0122】
〔12〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段による光線の屈曲角が30°以下であることを特徴とする映像表示装置。
【0123】
〔13〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段が少なくとも2つの異なる構造を接続してなるものであることを特徴とする映像表示装置。
【0124】
〔14〕 上記〔13〕において、前記光線屈曲手段の接続部両側の異なる構造の光線屈曲作用が連続性を持つことを特徴とする映像表示装置。
【0125】
〔15〕 上記〔13〕において、前記光線屈曲手段のピッチをp1 、前記映像表示素子のピッチをp2 とするとき、前記光線屈曲手段の周辺から中心へ向かう方向で考えた場合に、
1 ≧0.9p2 ・・・(1)
となる前に異なる構造が接続されていることを特徴とする映像表示装置。
【0126】
〔16〕 上記〔13〕において、前記光線屈曲手段のピッチをp1 、前記映像表示素子のピッチをp2 とするとき、前記光線屈曲手段は、
1.1p2 >p1 >0.9p2 ・・・(2)
を満足するピッチを含まないことを特徴とする映像表示装置。
【0127】
〔17〕 上記〔13〕において、前記光線屈曲手段が光線屈曲作用を持たない部分を有することを特徴とする映像表示装置。
【0128】
〔18〕 上記〔13〕において、前記光線屈曲手段が回折光学素子であり、接続している領域の中心側と周辺側で異なる回折次数光を使用し、中心側では周辺側に使用している回折光よりも高次の回折光を使用することを特徴とする映像表示装置。
【0129】
〔19〕 上記〔13〕において、前記光線屈曲手段がフレネルレンズであり、接続している領域の中心側と周辺側で異なる高さのフレネルレンズを使用し、中心側の高さが周辺側の高さより高いことを特徴とする映像表示装置。
【0130】
〔20〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段が同心円状であることを特徴とする映像表示装置。
【0131】
〔21〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段が偏角プリズム作用を持つことを特徴とする映像表示装置。
【0132】
〔22〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段が偏角プリズム作用とレンズ作用を合わせ持つことを特徴とする映像表示装置。
【0133】
〔23〕 上記〔1〕において、前記光線屈曲手段がアナモルフィック作用を持つことを特徴とする映像表示装置。
【0134】
〔24〕 上記〔1〕において、前記映像表示素子と前記光線屈曲手段が一体化していることを特徴とする映像表示装置。
【0135】
〔25〕 上記〔24〕において、前記光線屈曲手段が前記映像表示素子のカバーガラスを兼ねていることを特徴とする映像表示装置。
【0136】
〔26〕 上記〔24〕において、前記光線屈曲手段が回折光学素子であり、前記回折光学素子がローパスフィルターを兼ねていることを特徴とする映像表示装置。
【0137】
〔27〕 上記〔1〕において、前記接眼光学系が凹面鏡を含み、前記光線屈曲手段が凹パワーの回折光学素子であることを特徴とする映像表示装置。
【0138】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コンパクト、広画角で、テレセントリック性が良好に補正された接眼光学系を使用した映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の映像表示装置の概略の構成を示す図である。
【図2】実施例2のLCDの画素に対する1つのマイクロレンズ配置を示す図である。
【図3】実施例2の映像表示素子全面におけるマイクロレンズ配置を示す図である。
【図4】実施例3の概略の構成を示す図である。
【図5】実施例3において光線屈曲手段として用いる屈折率分布型レンズの屈折率分布を示す図である。
【図6】実施例4の概略の構成を示す図である。
【図7】実施例4において光線屈曲手段として用いるフレネルレンズのリングの画素に対する配置を示す図である。
【図8】実施例5のLCD画素に対するフレネルレンズのプリズム片の配置を示す図である。
【図9】実施例6において光線屈曲手段として用いるLCDのカバーガラスのフレネルレンズ形状を示す図である。
【図10】実施例7において光線屈曲手段として用いるLCDのカバーガラスのマイクロレンズアレイ形状を示す図である。
【図11】実施例8の映像表示装置の断面図である。
【図12】実施例8において光線屈曲手段として用いるDOEのピッチ配列を示す図である。
【図13】実施例9において光線屈曲手段として用いるDOEのピッチ配列を示す図である。
【図14】実施例10において光線屈曲手段として用いるDOEのピッチ配列を示す図である。
【図15】実施例11において用いるLCDの視野角特性(等コントラスト曲線)を示す図である。
【図16】実施例11において光線屈曲手段として用いるDOEの回折格子パターンを示す図である。
【図17】実施例12において光線屈曲手段として用いるフレネルレンズの平面図と断面図である。
【図18】実施例13の概略の構成を示す図である。
【図19】実施例14の映像表示装置の断面図である。
【図20】接眼光学系として回転対称光学系を使用した映像表示素子の構成と射出瞳形状を示す図である。
【図21】実施例16の概略の構成と射出瞳形状を示す図である。
【図22】実施例16において光線屈曲手段として用いるアナモルフィックDOEの格子溝の形状を模式的に示す図である。
【図23】実施例17の映像表示素子全面におけるアナモルフィックマイクロレンズ配置を示す図である。
【図24】実施例18の構成と作用を説明するための図である。
【図25】本発明による頭部装着式映像表示装置を観察者が装着した状態の斜視図である。
【図26】アイリリーフを確保したまま接眼光学系の焦点距離を短くすると映像表示素子側のテレセントリック性が悪化してしまうことを説明するための図である。
【図27】映像表示装置の概念図である。
【図28】本発明により光線屈曲手段を異なる構造を接続した構造とする理由を説明するための図である。
【図29】本発明により光線屈曲手段を異なる回折次数光を使用する回折光学素子とする場合のピッチ配列を示す図である。
【図30】本発明により光線屈曲手段を異なる高さからなるフレネルレンズとする場合のピッチ配列を示す図である。
【図31】接眼光学系として偏心光学系を使用する場合に主光線の傾き方が光軸対称でなくなる様子を示す図である。
【図32】接眼光学系として偏心光学系を使用する場合に主光線が全てある方向に傾く様子を示す図である。
【図33】従来の1つの周知な映像表示装置の概略の構成を示す図である。
【図34】従来のもう1つの周知な映像表示装置の概略の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…映像表示素子(LCD)
4…眼球(瞳)
8…接眼レンズ(接眼光学系)
9…観察者視軸
11…光ファイバーバンドル
12…マイクロレンズ
13…LCDの画素開口
14…屈折率分布型レンズ(GIL)
15…フレネルレンズ
16…LCD画素
17…フレネルレンズのプリズム片
18…DOE
19…アナモルフィックDOE
20…アナモルフィックマイクロレンズ
21、22…シリンドリカルレンズ
61…ディスプレイ本体部
62…前フレーム
63…後フレーム
64…頭頂フレーム
65…リヤプレート
66…リヤカバー
69…イヤホン
70…ビデオ再生装置
71…スイッチ、ボリュウム調整部
72…ケーブル
81…凹面鏡
82…ハーフミラー面
83、84…凹面鏡

Claims (1)

  1. 映像を表示する映像表示素子と、前記映像表示素子の映像表示面に近接して配置され、映像表示素子の発する光線の主光線を発散するように外向きに屈曲する作用を持つ平板状の光線屈曲手段と、前記光線屈曲手段を通過した光線を観察者の眼球に導き、前記映像表示素子の表示する映像を拡大表示する作用を持つ接眼光学系とからなり、
    前記光線屈曲手段は、回折光学素子又はフレネルレンズからなり、かつ、少なくとも第1の周期的なパターンを有する第1の周期構造と第2の周期的なパターンを有する第2の周期構造と、該第1及び第2の周期構造接続された接続部とを有してなるものであり、
    前記第1の周期構造は前記第2の周期構造よりも前記光線屈曲手段の中心側に位置し、
    前記第2の周期構造は、中心から周辺に至る所定の周期構造の前記接続部より周辺側の部分からなり、
    前記第1及び第2の周期構造におけるピッチは、何れも前記光線屈曲手段の中心から周辺へ向かって小さくなる共に、該ピッチの配列の規則は前記第1の周期構造と前記第2の周期構造とで異なり、
    前記光線屈曲手段の前記接続部より中心側の各位置におけるピッチと前記接続部でのピッチの差を、前記第1の周期構造と前記所定の周期構造とで比べた場合、前記第1の周期構造におけるピッチの方が前記所定の周期構造におけるピッチよりも大きなっており、
    前記光線屈曲手段のピッチをp1 、映像表示素子のピッチをp2 とするとき、前記光線屈曲手段の周辺から中心へ向かう方向で考えた場合に、
    1 ≧0.9p2 ・・・(1)
    となる前の位置に、前記接続部が位置することを特徴とする映像表示装置。
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