以下、本発明の食器洗浄機の一実施形態について図面を参照にしながら説明する。図1は、本発明の一実施形態における食器洗浄機の内部構造を示す図である。
図1に示すように、食器洗浄機1には、本体ケース20と、その内部に備えられた洗浄槽2と、食器を出し入れするための蓋3とが備えられている。洗浄槽2は、食器(被洗浄物)を収容するもので、洗浄槽2の一端面には開口部21が形成されている。蓋3は、開口部21に開閉自在に備えられており、使用者が、この蓋3を開放することにより、洗浄槽2内の食器を出し入れすることができる。
洗浄槽2の内部には、食器を収納する食器かご4と、洗浄水を食器に向けて噴射する噴射ノズル5とが備えている。噴射ノズル5は、洗浄槽2の底部に回転自在に取り付けられ、多数の噴射口が形成されている。そして、この噴射ノズル5から食器に向けて洗浄水が噴射されることにより、食器かご4に収納された食器が洗浄される。詳細は後述する。
また、食器洗浄機1には、洗浄槽2の後方上部に形成された給水口19と、洗浄槽2内に洗浄水を供給するための給水弁9(給水手段)と、水量検出センサ10(水量検出手段)とが備えられている。給水弁9は、電磁弁であり、この給水弁9が開閉されることにより洗浄槽2内に洗浄水が供給される。すなわち、この給水弁9が開放されることにより、洗浄水の供給源(たとえば、水道、給湯装置など)から、給水口19を介し、洗浄槽2内に洗浄水が供給される。
水量検出センサ10は、洗浄槽2内に供給された洗浄水の水位を検出するもので、本実施形態では、フロートスイッチが用いられている。具体的には、水量検出センサ10は、フロートケース22と、フロートケース22の内部に設けたれたフロート23と、フロート23の上下の変位を検出する水量検出スイッチ(図示略)とを有している。そして、洗浄槽2内の洗浄水の水位がフロートケース22内の下点水位になると、下部の水量検出スイッチ(図示略)が「ON」となり、洗浄槽2内の低水位を検出することができる。また、洗浄槽2内の水位がフロートケース22内の上点水位になると、上部の水量検出スイッチ(図示略)が「ON」となり、洗浄槽2内の高水位を検出することができる。このようにして、フロート23の上下の変位を検出することにより、洗浄槽2内の低水位と高水位を検出することができ、洗浄槽2内に所定の洗浄水を溜めることができる。
なお、本実施形態では、水量検出センサ10として、フロートスイッチを用いているが、これに限らず、圧力スイッチであってもよい。
洗浄槽2の下部には、洗浄水貯水部12が形成され、ポンプ6、温水ヒータ7、温水温度センサ8(温水温度検出手段)、排水弁31が備えられている。
洗浄水貯水部12は、洗浄槽2の前方底部に形成され、洗浄槽2の底面部よりも一段と低い凹状形状をなしている。そして、洗浄槽2の底面部に落下した洗浄水は、洗浄水貯水部12に流れ込んで、洗浄水貯水部12に貯水される。
温水ヒータ7は、洗浄水を加熱するもので、洗浄水貯水部12に備えられている。温水温度センサ8は、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水の温度を検出するものである。これにより、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水は温水ヒータ7により加熱され、その温水ヒータ7により加熱された洗浄水の温度は、温水温度センサ8により検出される。そして、その温水温度センサ8により検出された温度をフィードバックして、さらに洗浄水を加熱することにより洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水を所定の温度にすることができる。
ポンプ6は、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水を噴射ノズル5に圧送する洗浄ポンプ6aと、洗浄槽2内の洗浄水を後述する排水管に圧送する排水ポンプ6bとからなる。そして、洗浄ポンプ6aを駆動させることより、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水を噴射ノズル5から食器に向けて噴射させることができ、また、排水ポンプ6bを駆動させることより、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水することができる。なお、本実施形態では、洗浄ポンプ6aと排水ポンプ6bとを別体として設けているが、これに限らず、洗浄ポンプ6aと排水ポンプ6bとを一体的に設けてもよい。また、洗浄ポンプ6aもしくは排水ポンプ6bのみでポンプ6としてもよい。
排水弁31は、電磁弁であり、後述する排水管に設けられている。この排水弁31が開放されることにより、洗浄槽2に貯水されている洗浄水が食器洗浄機1の外部に排出される。本実施形態では、排水ポンプ6bと排水弁31により排水手段を構成しているが、これに限らず、洗浄水貯水部12の洗浄水を排出する排水弁31のみで排水手段を構成してもよい。
洗浄水貯水部12の下方には、導水口13が形成され、導水口13は、洗浄ポンプ6aに連通する洗浄ポンプ導水口13aと、排水ポンプ6bに連通する排水ポンプ導水口13bからなる。洗浄ポンプ6aには、洗浄水貯水部12の洗浄水を吸い込むための吸込口14aと、噴射ノズル5に洗浄水を吐き出すための吐出口16aが形成されている。また、排水ポンプ6bには、洗浄水貯水部12の洗浄水を吸い込むための吸込口14bと、後述する排水管に洗浄水を吐き出すための吐出口16bが形成されている。なお、本実施形態では、導水口13を、洗浄ポンプ導水口13aと、それと別個に設けられた排水ポンプ導水口13bとからなるとしたが、これに限らず、洗浄ポンプ導水口13aと排水ポンプ導水口13bとを兼用した導水口を構成してもよい。また、洗浄ポンプ導水口13aもしくは排水ポンプ導水口13bのみで導水口としてもよい。
洗浄水貯水部12の下方の洗浄ポンプ導水口13aは、洗浄ポンプ吸込管15aにより、洗浄ポンプ6aの吸込口14aと連結されている。また、洗浄ポンプ6aの吐出口16aは、吐出管17により、噴射ノズル5と連結されている。これにより、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水が、洗浄ポンプ6aの駆動力により、噴射ノズル5に圧送される。
また、洗浄水貯水部12の下方の排水ポンプ導水口13bは、排水ポンプ吸込管15bにより、排水ポンプ6bの吸込口14bと連結されている。また、排水ポンプ6bの吐出口16bは、排水管24と連結されている。これにより、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水が、排水ポンプ6bの駆動力により、排水管24を介して、食器洗浄機1の外部に排水される。
本実施形態では、洗浄ポンプ6aには洗浄ポンプ用駆動モータ(図示略)が備えられ、また、排水ポンプ6bには排水ポンプ用駆動モータ(図示略)が備えられている。しかしながら、これに限らず、洗浄ポンプ6aと排水ポンプ6bとを一体的に構成した場合には、単一の駆動モータ(図示略)で洗浄ポンプ6aおよび排水ポンプ6bを駆動させてもよい。この場合には、駆動モータ(図示略)を正転(時計回り)させることにより、洗浄ポンプ6aの駆動モータとして機能し、反対に駆動モータを逆転(反時計回り)させることにより、排水ポンプ6bの駆動モータとして駆動する。
洗浄水貯水部12には、残菜フィルター18が設けられている。この残菜フィルター18により、食器から流し落とされた残菜が捕集される。
また、食器洗浄機1の下部には、送風ファン25、温風ヒータ26、温風温度センサ29が設けられ、食器洗浄機1の上部には、蓋開閉検出センサ33、排気口27がそれぞれ設けられている。
送風ファン25は、洗浄槽2内に空気を送り込むもので、温風ヒータ26は、送風ファン25によって送り込まれた空気を加熱するものである。温風ヒータ26で加熱された空気の温度は、温風温度センサ29により検出され、洗浄槽2内に送り込まれた空気は、排気口27から食器洗浄機1の外部に排出される。蓋開閉検出センサ33は、蓋3の開閉を検出するものであり、この蓋開閉検出センサ33により、蓋3が開放されている状態か、閉止されている状態かを検出することができる。
食器洗浄機1の前方下部には、制御装置28が設けられている。この制御装置28により、洗浄ポンプ6aおよび排水ポンプ6bなどが制御される。さらに、食器洗浄機1の前方下部には、操作パネル30が形成されている。操作パネル30の詳細については、図2を用いて後述する。
次に、本発明の食器洗浄機の操作パネルについて図2を参照にしながら説明する。図2は、本発明の一実施形態のおける食器洗浄機の操作パネルを示す図である。
図2に示すように、操作パネル30には、電源スイッチ30a、運転開始停止スイッチ30b、洗浄コース選択スイッチ30c、乾燥コース選択スイッチ30d、予約時間選択スイッチ30e、換気コース選択スイッチ30f、洗浄コース表示部30g、乾燥コース表示部30h、換気コース表示部30i、予約時間表示部30jが備えられている。
電源スイッチ30aは、食器洗浄機1の電源をオン、オフするスイッチであり、運転開始停止スイッチ30bは、食器洗浄機1の運転をスタートさせ、スタート後に一時停止させるスイッチである。これにより、使用者が、食器洗浄機1の電源スイッチ30aを押圧することにより、食器洗浄機1の電源がオンになり、そのオン状態で、後述する各種コースが選択設定され、運転開始停止スイッチ30bが押圧されれば、食器洗浄機1の運転が開始される。その後、使用者が、食器洗浄機1の運転を一時停止したい場合には、運転開始停止スイッチ30bを押圧すれば、食器洗浄機1の運転が一時停止する。そして、その後、使用者が、食器洗浄機1の運転を再開したい場合には、さらに、運転開始停止スイッチ30bを押圧することにより、食器洗浄機1が一時停止状態から運転が再開される。このように、食器洗浄機1が運転している状態で、運転開始停止スイッチ30bが押圧されれば、食器洗浄機1の運転が一時停止し、食器洗浄機1の運転が一時停止している状態で 運転開始停止スイッチ30bが押圧されれば、食器洗浄機1の運転が再開される。
洗浄コース選択スイッチ30cは、洗浄コースを選択設定するためのスイッチである。洗浄コースとして、「標準」の洗浄コース(以下、「標準洗浄コース」という)、「ハイパワー」の洗浄コース(以下、「ハイパワー洗浄コース」という)、「洗剤なし」の洗浄コース(以下、「洗剤なし洗浄コース」という)、そして「短時間」の洗浄コース(以下、「短時間洗浄コース」)が準備されている。「標準洗浄コース」は、標準レベルの洗浄、すすぎを行うコースであり、「ハイパワー洗浄コース」は、予備洗浄工程(蒸らし工程)を行い、標準洗浄コースより工程時間を長くして、念入りに洗浄、すすぎを行うコースであり、「洗剤なし洗浄コース」は、洗剤を使用せず洗浄を行うコースであり、洗剤を使用しないことによる洗浄力の低下を補うため標準洗浄コースより工程時間を少し長くしている。また、「短時間洗浄コース」は、標準洗浄コースより工程時間を短くして、簡単に洗浄、すすぎを行うコースである。そして、洗浄コース選択スイッチ30cにより、「洗浄なし」、「標準洗浄コース」、「ハイパワー洗浄コース」、「洗剤なし洗浄コース」、「短時間洗浄コース」のいずれの洗浄コースも選択設定することができる。
洗浄コース表示部30gは、現在選択設定されている洗浄コースを表示(点灯)するものである。具体的には、「標準」、「ハイパワー」、「洗剤なし」、「短時間」の左側に発光素子が配設され、この発光素子が点灯または点滅されることにより、使用者は、現在どの洗浄コースが選択設定されているかを知ることができる。なお、洗浄コースのデフォルト(初期値)は、「洗浄なし」に設定されているので、電源スイッチ30aが押圧されて、電源がオンになった状態では、図2に示す洗浄コースのいずれの発光素子も点灯または点滅されない。
そして、使用者が、たとえば、ハイパワー洗浄コースを選択設定したい場合には、使用者により洗浄コース選択スイッチ30cが2回押圧されることにより、ハイパワー洗浄コースを選択設定することができる。つまり、洗浄コース選択スイッチ30cが押圧されるごとに、「洗浄なし」→「標準」→「ハイパワー」→「洗剤なし」→「短時間」→「洗浄なし」の順に発光素子の点灯が順次移動され、洗浄コースを選択設定することができる。標準洗浄コース、ハイパワー洗浄コース、洗剤なし洗浄コース、短時間洗浄コースの詳細については、後述する。
乾燥コース選択スイッチ30dは、乾燥コースを選択設定するためのスイッチである。乾燥コースとして、「30分」の乾燥コース(以下、「30分乾燥コース」という)、「60分」の乾燥コース(以下、「60分乾燥コース」という)、そして「送風」の乾燥コース(以下、「送風乾燥コース」という)が準備されている。「30分乾燥コース」は、温風ヒータ26により、30分間、送風ファン25により送り込まれた空気が加熱され、洗浄槽2内の食器などを乾燥させるコースであり、「60分乾燥コース」は、温風ヒータ26により、60分間、送風ファン25により送り込まれた空気が加熱され、洗浄槽2内の食器などを乾燥させるコースであり、また、「送風乾燥コース」は、温風ヒータ26により送風ファン25により送り込まれた空気が加熱されず、電源スイッチ30aがオフになるまで、送風ファン25により送り込まれた空気により、洗浄槽2内の食器などを乾燥させるコースである。そして、乾燥コース選択スイッチ30dにより、「乾燥なし」、「30分乾燥コース」、「60分乾燥コース」、「送風乾燥コース」のいずれの乾燥コースも選択設定することができる。
乾燥コース表示部30hは、現在選択設定されている乾燥コースを表示(点灯)するものである。具体的には、「30分」、「60分」、「送風」の左側に発光素子が配設され、この発光素子が点灯または点滅されることにより、使用者は、現在どの乾燥コースが選択設定されているかを知ることができる。なお、乾燥コースのデフォルト(初期値)は、「乾燥なし」に設定されているので、電源スイッチ30aが押圧されて、電源がオンになった状態では、図2に示すいずれの発光素子も点灯または点滅されない。
そして、使用者が、たとえば、60分乾燥コースを選択設定したい場合には、使用者により乾燥コース選択スイッチ30dが2回押圧されることにより、60分乾燥コースを選択設定することができる。つまり、乾燥コース選択スイッチ30dが押圧されるごとに、「乾燥なし」→「30分」→「60分」→「送風」→「乾燥なし」の順に発光素子の点灯が順次移動され、乾燥コースを選択設定することができる。
なお、乾燥コース選択スイッチ30dによる乾燥コースの選択設定が、洗浄コース選択スイッチ30cにより洗浄コースが選択設定されているときに行なわれたときには、その選択設定された乾燥コースは、洗浄コース終了後に行われ、洗浄コース選択スイッチ30cにより洗浄コースが選択設定されていないときに行なわれたときには、乾燥コース選択スイッチ30dにより乾燥コースの選択設定がなされた後、運転開始停止スイッチ30bが押圧操作されることにより、選択設定された乾燥コースが実行されるようになっている。
予約時間選択スイッチ30eは、予約時間を選択設定するためのスイッチである。予約時間として、「2時間後」の予約(以下、「2時間後予約」という)、「4時間後」の予約(以下、「4時間後予約」という)が準備されている。2時間後予約は、2時間後に食器洗浄機1の運転を開始させることをあらかじめ予約するものであり、4時間後予約は、4時間後に食器洗浄機1の運転を開始させることをあらかじめ予約するものである。そして、予約時間選択スイッチ30eにより、2時間後予約、4時間後予約のいずれの予約も選択設定することができる
予約時間表示部30iは、現在選択設定されている予約時間を表示(点灯)するものである。具体的には、「2時間後」、「4時間後」の左側に発光素子が配設され、この発光素子が点灯または点滅されることにより、使用者は、現在どの予約時間が選択設定されているかを知ることができる。なお、予約時間のデフォルト(初期値)は、「予約時間なし」に設定されているので、電源スイッチ30aが押圧されて、電源がオンになった状態では、図2に示すいずれの発光素子も点灯または点滅されない。
そして、使用者が、たとえば、4時間後予約を選択設定したい場合には、使用者により予約時間選択スイッチ30eが2回押圧されることにより、4時間後予約を選択設定することができる。つまり、予約時間選択スイッチ30eが押圧されるごとに、「予約なし」→「2時間後」→「4時間後」→「予約なし」の順に発光素子の点灯が順次移動され、予約時間を選択設定することができる。
換気コース選択スイッチ30fは、換気コースを選択設定するためのスイッチである。換気コースとして、「連続」の換気コース(以下、「連続換気コース」という)、「8時間」の換気コース(以下、「8時間換気コース」という)が準備されている。連続換気コースは、電源スイッチ30aがオフになるまで、送風ファン25を連続的に動作させて、洗浄槽2内の空気を排出させるコースであり、8時間換気コースは、送風ファン25を8時間動作させて、洗浄槽2内の空気を排出させるコースである。そして、換気コース選択スイッチ30fにより、連続換気コース、8時間換気コースのいずれの換気コースも選択設定することができる
換気コース表示部30iは、現在選択されている換気コースを表示(点灯)するものである。具体的には、「連続」、「8時間」の左側に発光素子が配設され、この発光素子が点灯または点滅されることにより、使用者は、現在どの換気コースが選択されているかを知ることができる。なお、換気コースのデフォルト(初期値)は、「換気なし」に設定されているので、電源スイッチ30aが押圧されて、電源がオンになった状態では、図2に示すいずれの発光素子も点灯または点滅されない。
そして、使用者が、たとえば、8時間換気コースを選択設定したい場合には、使用者により換気コース選択スイッチ30fが2回押圧されることにより、8時間換気コースを選択設定することができる。つまり、換気コース選択スイッチ30fが押圧されるごとに、「換気なし」→「連続」→「8時間」→「換気なし」の順に発光素子の点灯が順次移動され、換気コースを選択設定することができる。
なお、換気コース選択スイッチ30fによる換気コースの選択設定が、洗浄コース選択スイッチ30cにより洗浄コースが選択設定されているときに行なわれたときには、その選択設定された換気コースは、洗浄コース終了後に行われ、また、洗浄コース選択スイッチ30cにより洗浄コースが選択設定され、かつ、乾燥コース選択スイッチ30dにより乾燥コースが選択設定されているときに行なわれたときには、その選択設定された換気コースは、洗浄コース、乾燥コース終了後に行われる。また、洗浄コース選択スイッチ30cにより洗浄コースが選択設定されていないときで、乾燥コース選択スイッチ30dにより乾燥コースが選択設定されていないときに行なわれたときには、換気コース選択スイッチ30fにより換気コースの選択設定がなされた後、運転開始停止スイッチ30bが押圧操作されることにより、選択設定された換気コースが実行されるようになっている。
次に、本発明の食器洗浄機の電気的構成について図3を参照にしながら説明する。図3は、本発明の一実施形態における食器洗浄機の電気的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、食器洗浄機1は、制御装置28を備えている。制御装置28は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理部)、ROM(Read
Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インタフェース等(何れも図示略)を含むマイクロコンピュータを有している。RAM(図示略)、ROM(図示略)などの記憶手段には、マイクロコンピュータを制御するためのプログラムが記憶されている。
制御装置28には、上述した水量検出センサ10、温風温度センサ29、温水温度センサ8、蓋開閉検出センサ33、操作パネル30のそれぞれの機器からの出力信号が与えられるようになっている。そして、これらの出力信号に基づいて、制御装置28は、送風ファン25、洗浄ポンプ6a、排水ポンプ6b、温風ヒータ26、温水ヒータ7、ブザー32、給水弁9、および排水弁31を制御するようになっている。
ブザー32は、たとえば、残菜フィルター18の残飯汚れが所定量よりも多いと判断された場合に、残菜フィルター18の清掃報知を行うものである。そして、使用者は、ブザー32の報知により、残菜フィルター18に捕集された残菜や汚れを清掃することができる。このブザー32の報知音は、使用者が残菜フィルター18を清掃するために、扉3が開かれたときに停止する。具体的には、蓋開閉検出センサ33により扉3が開かれたことが検出されたときに、制御手段28により、ブザー32の報知音が停止される。
次に、上述した標準洗浄コース、ハイパワー洗浄コース、洗剤なし洗浄コース、短期間洗浄コースの概略について図4を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態における食器洗浄機の各洗浄コースの概略を示す図である。
標準洗浄コース、ハイパワー洗浄コース、洗剤なし洗浄コース、短時間洗浄コースは、基本的に、給水工程→蒸らし工程→洗浄工程→すすぎ工程の順序で行われる。なお、本実施形態では、後述するように標準洗浄コース、洗剤なし洗浄コース、短時間洗浄コースの各コースにおける蒸らし工程(予備洗浄工程)が省略されている。
まず、本実施形態の標準洗浄コースでは、上述したように蒸らし工程が行われず、給水工程→洗浄工程→すすぎ工程の順序で食器類の洗浄が行われる。そして、あらかじめ組み込まれたシーケンスにしたがって、給水工程→洗浄工程→すすぎ工程が行われ、給水工程が開始されてから30分が経過することにより標準洗浄コースが終了する。また、標準洗浄コースの予約時間登録時においても、蒸らし工程が行われず、洗浄工程の工程時間も延長されない。
次に、本実施形態のハイパワー洗浄コースでは、蒸らし工程が行われ、給水工程→蒸らし工程→洗浄工程→すすぎ工程の順序で食器類の洗浄が行われる。そして、あらかじめ組み込まれたシーケンスにしたがって、給水工程→蒸らし工程→洗浄工程→すすぎ工程が行われ、給水工程が開始されてから60分が経過することによりハイパワー洗浄コースが終了する。ハイパワー洗浄コースの蒸らし工程は、洗浄水の噴射(噴射時間)→噴射停止(休止時間)のサイクルが4サイクル行われる。なお、ハイパワー洗浄コースの蒸らし工程の詳細は、後述する。
また、ハイパワー洗浄コースの予約時間登録時においては、蒸らし工程が行われず(禁止)、その代わりに洗浄工程の工程時間が「2時間後予約」の場合は15分延長され、「4時間後予約」の場合は20分延長される。このように予約時間登録時で蒸らし工程が行われないのは、予約時間登録時では、食器類の洗浄が深夜に行われる場合(深夜電力の利用)が多く、洗浄騒音を低減させる必要があるからである。すなわち、蒸らし工程では、後述するように洗浄ポンプ6aに洗剤の泡が吸入され、その分洗浄音が大きくなるので、ハイパワー洗浄コースの予約時間登録時では、その洗浄音の発生を防止して洗浄騒音を低減させている。また、ハイパワー洗浄コースの予約時間登録時で洗浄時間が延長されるのは、予約時間登録時では上述したように蒸らし工程が行われないので、その代わりに洗浄時間を延長することにより洗浄力を確保するためである。これにより、食器などに残菜などが付着されたまま、数時間放置され、汚れが乾燥して固まってしまい、落ちにくくなっていても、その分、洗浄工程の工程時間を長くすることにより、食器などにこびりついた汚れを十分に洗い落とすことができる。
なお、この予約時間登録時の内容は、使用者により、図2に示す操作パネル30の洗浄コース選択スイッチ30cにより「ハイパワー洗浄コース」が選択設定され、さらに予約時間選択スイッチ30eにより「2時間後予約」または「4時間後予約」が選択設定され、その予約時間が登録されたときに行われる。
次に、本実施形態の洗剤なし洗浄コースでは、上述したように蒸らし工程が行われず、給水工程→洗浄工程→すすぎ工程の順序で食器類の洗浄が行われる。そして、あらかじめ組み込まれたシーケンスにしたがって、給水工程→洗浄工程→すすぎ工程が行われ、給水工程が開始されてから45分が経過することにより洗剤なし洗浄コースが終了する。また、洗剤なし洗浄コースの予約時間登録時においても、蒸らし工程が行われず、洗浄工程の工程時間も延長されない。
次に、本実施形態の短時間洗浄コースでは、上述したように蒸らし工程が行われず、給水工程→洗浄工程→すすぎ工程の順序で食器類の洗浄が行われる。そして、あらかじめ組み込まれたシーケンスにしたがって、給水工程→洗浄工程→すすぎ工程が行われ、給水工程が開始されてから10分が経過することにより短時間洗浄コースが終了する。また、短時間洗浄コースの予約時間登録時においても、蒸らし工程が行われず、洗浄工程の工程時間も延長されない。
なお、本実施形態の「標準洗浄コース」「洗剤なし洗浄コース」「短時間洗浄コース」では、予約時間登録時において、洗浄時間が延長されないとしたが、これに限らず、「標準洗浄コース」「洗剤なし洗浄コース」「短時間洗浄コース」の各コースの予約時間登録時において、洗浄工程の工程時間が「2時間後予約」の場合は15分延長され、「4時間後予約」の場合は20分延長されるようにしてもよい。これにより、「標準洗浄コース」「洗剤なし洗浄コース」「短時間洗浄コース」の各コースにおいても、食器などに残菜などが付着されたまま、数時間放置され、汚れが乾燥して固まってしまい、落ちにくくなっていても、洗浄工程の工程時間を長くすることにより、食器などにこびりついた汚れをより完全に洗い落とすことができる。
次に、本発明の食器洗浄機のハイパワー洗浄コースにおける給水工程から洗浄工程までの運転内容について図5を参照にしながら説明する。図5は、本発明の一実施形態におけるハイパワー洗浄コースの給水工程から洗浄工程までの運転内容を示す図である。
まず、給水工程について説明する。給水工程は、洗浄槽2内の洗浄水の水位が残菜フィルター18の上部位置付近の低水位(図1参照)になるまで、洗浄水を給水するための工程である。具体的には、給水工程では、給水弁9(給水手段)が開放され、洗浄槽2内に所定温度(たとえば、60℃)の洗浄水(お湯)が給水されると、洗浄水貯水部12の底部から洗浄水は溜まっていき、洗浄水位の上昇とともに洗浄ポンプ6aの内部も洗浄水で満たされていく。その後、洗浄水により洗浄槽2の底面部が水没し、残菜フィルター18の上部のところまで供給されると、水量検出センサ10により低水位になったことが検出される。そして、水量検出センサ10により低水位になったことが検出されると、制御手段28により給水弁9が閉止され、給水工程が終了する。そして引き続き、洗浄槽2内の洗浄水が排水されることなく、予備洗浄工程の蒸らし工程に移行する。なお、本実施形態のハイパワー洗浄コースでは、給水工程で、洗剤が洗浄槽2内に投入される。
このように、給水工程で、洗浄槽2内の洗浄水の水位を低水位にしているのは、洗剤の濃度を高濃度化して洗浄性能を向上させるとともに、洗剤の泡が立ちをよくし、後述する蒸らし工程で、噴射ノズル5から洗浄水が噴射されてから所定の時間(たとえば、1.6秒)が経過した後に、その泡立てられた洗剤の泡を積極的に洗浄ポンプ6aに吸入させるためである。この洗剤の泡の吸入は、洗浄槽2内の洗浄水が洗浄ポンプ6aに吸入され、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水の水位が低下することにより行われる。
次に、蒸らし工程について説明する。蒸らし工程は、洗浄槽2内を高温多湿にして、食器類に固着したでんぷん類を高温及び多湿の作用で膨潤化させて汚れを落としやすくするとともに、膨潤化された汚れを剥ぎ取るための工程である。具体的には、蒸らし工程では、洗浄槽2内の洗浄水の水位が低水位になっている状態で、温水ヒータ7により洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水が加熱されている。具体的には、洗浄水貯水部12の洗浄水の温度(洗浄水温度目標値)が65℃になるように、温水ヒータ7の出力が制御されている。ここで、洗浄水温度目標値とは、温水ヒータ7により洗浄水が加熱されることにより、所定量の洗浄水が所定の時間後になるべき温度目標値であり、この洗浄水温度目標値になるように温水ヒータ7が制御されている。したがって、洗浄水温度目標値が高いほうが、温水ヒータ7の出力が高くなる。ここで、蒸らし工程において、洗浄水温度目標値を65℃にしているのは、洗浄水の温度が60℃以上であれば、でんぷん類が膨潤化しやすくなり、また、食器類に噴射される洗浄水の温度が70℃以下であれば、たんぱく質汚れも凝固されにくいからである。このように、蒸らし工程では、洗浄槽2内の洗浄水の水位が低水位になっている状態で、すなわち、加熱される洗浄水の量が少ない状態で、洗浄水が温水ヒータ7により加熱されるので、短期間で洗浄水を洗浄水目標温度値に近づけることができる。
また、蒸らし工程では、10秒連続噴射→1分50秒噴射停止→10秒連続噴射→1分50秒噴射停止のように、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射が所定の噴射時間行われた後に、休止時間を挟んで、さらに噴射ノズルからの洗浄水の噴射が所定の噴射時間行われる噴射サイクルを4回繰り返えされる。この10秒連続噴射では、洗剤が混入した洗浄水が空気とともに洗浄ポンプ6aに吸入されることによって、洗浄ポンプ6aにより攪拌され、積極的に洗剤の泡が発生する。その発生した洗剤の泡は、洗浄水貯水部12に貯水される洗浄水の表面に浮かぶようになる。そして、後述する蒸らし工程で、噴射ノズル5から洗浄水が噴射されてから所定の時間(たとえば、1.6秒)が経過した後に、洗浄槽2内の洗浄水の水位が洗浄ポンプ導水口13aの上端部より低くなり、洗浄水の表面に浮かんだ洗剤の泡が洗浄ポンプ6aに吸入されることとなる。ここで、洗浄槽貯水部12に貯水されている洗浄水は、図5に示す「温水加熱」時のみでなく、図5に示す「噴射」時においても温水ヒータ7により加熱されている。つまり、図5に示す「温水加熱」では、噴射ノズル5から洗浄水が噴射されることなく、洗浄槽貯水部12に貯水されている洗浄水が温水ヒータ7により加熱されている。また、図5に示す「噴射」では、噴射ノズル5から洗浄水が噴射されているとともに、洗浄槽貯水部12に貯水されている洗浄水が温水ヒータ7により加熱されている。そして、洗浄水の噴射(10秒間)と温水加熱(1分50秒)のサイクルが4サイクル行われると、蒸らし工程が終了し、洗浄工程に移行する。
次に、洗浄工程では、低水位の洗浄水が洗浄槽2内に貯水された状態で、さらに、給水弁9が開かれ、洗浄槽2内に60℃の洗浄水が供給される。そして、低水位の状態から残菜フィルター18の上方で噴射ノズル5の付け根の中間部付近のところまで供給されると、水量検出センサ10により高水位になったことが検出される。そして、水量検出センサ10により高水位になったことが検出されると、制御手段28により給水弁9が閉止される。また、洗浄工程では、洗浄水貯水部12に貯水された洗浄水の温度が55℃(洗浄水温度目標値)になるように、温水ヒータ7の出力が制御されるとともに、30秒間連続噴射→1秒間噴射停止→30秒間連続噴射→1秒間噴射停止のように、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間行った後に、休止時間を挟んで、さらに噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間行う噴射サイクルが25分間行われる。なお、この洗浄工程の開始時点では、食器類の内部まで温度が高くなっていない(図8参照)ので、洗浄工程で噴射される多量の洗浄水により食器類と熱交換される熱量が大きく、洗浄水の温度が降下するが、上述したように蒸らし工程では洗浄水の温度が上昇しているため、その降下した後の洗浄水の温度が洗剤の活性化温度である50度近傍から大きく離れることなく、洗浄工程の初期の段階から洗剤を活性化させて洗浄能力を高めることができる。このように、洗浄工程では、洗浄水貯水部12に貯水された洗浄水の温度が、洗剤が活性化する55℃(洗浄水温度目標値)になるように、温水ヒータ7により加熱されている。そして、洗浄工程が25分間行われると、洗浄工程が終了し、すすぎ工程に移行する。
次に、ハイパワー洗浄コースの蒸らし工程の「噴射」時におけるポンプ圧力の変化について説明する。図6は、本発明の一実施形態におけるハイパワー洗浄コースの蒸らし工程の「噴射」時におけるポンプ圧力の変化を示す図である。
図6では、横軸に時間、縦軸に洗浄ポンプ6aのポンプ圧力を示している。具体的には、ポンプ圧力は、洗浄ポンプ6aの吐出口の洗浄水の圧力を示している。図6に示すように、洗浄ポンプ6aの運転開始初期はポンプ圧力が急激に上昇し、0.4秒後に最高点に達し、それから少しポンプ圧力が減少して一定の値を一時保った後、1.6秒後から、さらにポンプ圧力が減少してほぼ一定のポンプ圧力値になっている。このように洗浄ポンプ6aの運転開始後にポンプ圧力が急激に上昇するのは、洗浄ポンプ6aの運転開始直後は、洗浄ポンプ6aの負荷が軽いことなどが理由である。また、1.6秒後から、ポンプ圧力がさらに減少するのは、洗浄ポンプ6aの運転開始から1.6秒後に、洗浄ポンプ6aに洗剤の泡が吸入されるからである。このように、本実施形態では、洗浄ポンプ6aの運転開始初期の高い噴射圧を利用するために、洗浄ポンプ6aに洗剤の泡が吸入されるタイミングを、ポンプ圧力が最高点に達する時間(0.4秒後)が経過した後になるように洗浄槽2内の洗浄水の水位を設定している。
このように、洗浄水の噴射時間が、洗浄ポンプ6aが洗剤の泡を吸入しない前噴射期間と、洗浄ポンプ6aが洗剤の泡を吸入する後噴射期間とからなるように初期の洗浄水の水位が設定されているので、洗浄ポンプ6aの特性による洗浄ポンプ6aの噴出初期の高い吐出圧力が利用でき、洗浄水が噴射ノズル5から強い噴射力で噴射される。そして、強い噴射力で噴射された洗浄水が食器類に強く衝突され激しく飛散されるので、洗浄槽2空間の温度、湿度の上昇率を大きくでき、蒸らし効果をより促進させることができる。また、洗浄ポンプ6aが洗剤の泡を吸入しない前噴射期間では、洗浄ポンプ6aが泡を噛んでいないので噴射圧の強い洗浄水が噴射され、蒸らし作用で膨潤化したでんぷん汚れ等を剥ぎ取ることができる。そして、洗浄ポンプ6a噴出初期の高い吐出圧力による高い蒸らし性能及び高い洗浄性能が得られるタイミングが過ぎてからは、洗浄ポンプ6aが空気を積極的に噛み込むので、この空気の噛み込みにより洗浄水が攪拌されて泡が立てられ、その泡立てられた洗剤の泡が積極的に洗浄ポンプ6aに吸入されて噴射されるので、上述した洗剤の泡による様々な効果を得ることができる。このように、洗浄ポンプ6aが洗剤の泡を吸入する後噴射期間のみでなく、洗浄ポンプ6aが洗剤の泡を吸入しない前噴射期間を設けることにより、蒸らし効果を促進でき、膨潤化したでんぷん類を噴射圧の強い多量の洗浄水により剥がし落とすことができる。
また、洗浄ポンプ6aの噴出初期の高い吐出圧力による高い蒸らし性能及び高い洗浄性能が得られるタイミングが過ぎてからは、できるだけ早く泡を噛み込む後噴射期間にして、食器類に多量の洗浄水が吹き付けられることによる食器類との熱交換を抑制することが望ましい。本実施形態では、前噴射期間(1.6秒)よりも後噴射期間(8.4秒)を長くすることにより、洗浄ポンプ6aの特性から得られる高い噴射圧の洗浄水が噴出された後、早い段階で泡を噛み込んだ少ない洗浄水を噴射できるので、蒸らし性能及び洗浄性能の両面の高い効果を確保することできる。
また、本実施形態では、前噴射期間を1.6秒にしているので、洗浄ポンプ6aの駆動初期に発生する高い噴射圧を利用でき、その噴射圧の高い洗浄水により食器類に付着している膨潤化したでんぷん類などの汚れを確実に剥ぎ取ることができる。
なお、本実施形態では、洗浄ポンプ6aの運転開始から1.6秒後に洗浄ポンプ6aに洗剤の泡が吸入されるように洗浄槽2内の洗浄水の水位が設定されているが、これに限らず、洗浄ポンプ6aのポンプ圧が最高点に達した後であれば、その時間は問わず、たとえば、洗浄ポンプ6aの運転開始から0.4秒〜2.0秒のいずれかの時間に洗浄ポンプ6aに洗剤の泡が吸入されるように洗浄槽2内の洗浄水の水位が設定させてもよい。
次に、ハイパワー洗浄コースの給水工程から洗浄工程までの運転について図7を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態におけるハイパワー洗浄コースの給水工程から洗浄工程までのタイミングチャートを示す図である。
給水工程では、上述したように、給水弁9が開かれ、洗浄槽2内に60℃の洗浄水(お湯)が供給され、水量検出センサ10により低水位になったことが検出されると、制御手段28により給水弁9が閉止される。これにより、給水工程が終了する。そして、給水工程が終了すると、洗浄水の排水を行うことなく、蒸らし工程が行われる。なお、本実施形態のハイパワー洗浄コースでは、給水工程で、洗剤が洗浄槽2内に投入されている。
蒸らし工程では、洗浄槽2内の洗浄水の水位が低水位の状態で、洗浄水貯水部12に貯水されている洗浄水の温度(洗浄水温度目標値)が65℃になるように、温水ヒータ7の出力が制御されているとともに、10秒連続噴射→1分50秒噴射停止→10秒連続噴射→1分50秒噴射停止のように、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間行った後に、休止時間を挟んで、さらに噴射ノズルからの洗浄水の噴射を所定の噴射時間行う噴射サイクルを4回繰り返えされる。この10秒連続噴射では、上述したように、洗浄ポンプ6aが洗浄水を吸入してから0.4秒後に洗浄ポンプ6aのポンプ圧力が最大になり、1.6秒後に洗浄ポンプ6aにより洗剤の泡が吸入される。
このように、蒸らし工程では、噴射時間が開始されてから所定の時間(1.6秒)経過後に、洗浄水の噴射に伴って洗浄水の水位が下がり、換言すれば洗浄水の水量が洗浄ポンプ6aの吸込口14aまで減少して、洗浄ポンプ6aが洗浄水とともに積極的に空気を噛み始めるような水位に、当初の洗浄水の水位が設定されている。これにより、まず洗浄水の総水量が少なくなるので、洗剤濃度を高めることができ、食器類に付いた汚れに対する洗浄力を高めることができる。また、洗浄水が噴射されてから所定の時間(1.6秒)経過後に、積極的に洗浄ポンプ6aが洗浄水とともに空気を吸い込むように構成されているので、洗浄ポンプ6aに吸い込まれた高濃度の洗浄水が空気とともに攪拌され、洗浄ポンプ6a内で洗浄水に含まれる高濃度の洗剤による大量の洗剤の泡を発生させることができ、この泡を積極的に利用することができる。すなわち、洗浄ポンプ6aに洗剤の泡が吸入されれば、その分噴射ノズル5から噴射される洗浄水が少なくなり、食器類と接触する洗浄水が少なくなるので、洗浄水と食器類の熱交換が抑えられ、洗浄水の温度の低下を抑制させ、洗浄水を短時間で高温にすることができる。これにより、温度が高い洗浄水が食器類に吹き付けられることになり、洗浄槽2空間内をより短時間で高温多湿にでき、食器類に固着したでんぷん類をより短時間で膨潤化させてより短時間で汚れを落としやすくすることができる。
また、積極的に泡立てた洗剤の泡を積極的に噴射ノズル5から食器に向けて噴射させるので、洗剤の泡が食器類に付着し、その食器類に付着した泡が食器類に付着した汚れを包み込むように作用する。そして、泡であるため長時間汚れを包み込むように作用し、汚れを湿らすことに加えて高濃度の洗剤効果による汚れ落しも期待でき、高い洗浄効果を有する。さらに、食器類に付着した洗剤の泡がはじけるときに衝撃力が発生し、その衝撃力により食器類に付着した汚れを落としやすくする効果も有する。
また、上述した蒸らし工程では、洗剤の泡を積極的に利用することにより、洗浄水の噴射量を少なくして、食器類との熱交換を抑制し、短期間で洗浄水を高温にすることができ、この高温の洗浄水を空気中に散水することにより短期間で洗浄槽2内の空間を高温多湿にするという蒸らし効果を維持したまま、洗浄水の噴射量を少なくすることによる洗浄力の不足を、泡を利用して食器類に付着させて汚れを落としやすくすることでより高い洗浄性能を確保することができる。
また、洗剤の泡を含んだ洗浄水が洗浄ポンプ6aを介して噴射ノズル5から噴射され、食器類に洗剤の泡が付着される。そして、その食器類に付着した洗剤の泡がはじけるときに、洗剤を含んだ洗浄水が洗浄槽2空間の空気に触れ、洗浄槽2空間の温度を短時間で上昇させることができるとともに、短時間で洗浄槽2内を多湿空間にできる。また、洗浄水が洗浄ポンプ6aを介して噴射ノズル5から噴射され、食器類に噴射された洗浄水が食器類に衝突することにより飛散され、飛散された洗浄水が小さな水滴となって表面積が増えるので、洗浄槽2空間内の空気に触れ、洗浄槽2空間の温度を短時間で上昇させ、そして水蒸気となって洗浄槽2内を多湿にできる。特に、噴射時間が開始されてから所定の時間(1.6秒)経過するまでは、その洗剤の泡を含まないように水位が設定されているので、洗浄ポンプ6aの特性による洗浄ポンプ6aの運転初期の高い吐出圧力を利用でき、これによって、洗浄水が噴射ノズル5から強い噴射力で噴射されるので、噴射された洗浄水の飛散作用が高く、洗浄槽2空間の温度、湿度の上昇率をより大きくすることができる。このように、洗浄槽2空間内を短時間で高温多湿にでき、食器類に固着したでんぷん類を高温多湿の空間に置くことにより素早く膨潤化させて汚れを落としやすくすることができる。
また、蒸らし工程において、洗浄槽2空間内の温度を段階的に上昇させている。これは、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間(10秒)行った後に、休止時間(1分50秒)を挟んで、さらに噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間(10秒)行う噴射サイクルを複数回繰り返すように洗浄ポンプ6aが制御されることにより行われ、食器との熱交換によって下がった洗浄水の温度を温水ヒータ7によって上昇させ、洗浄水の噴射毎に温度が確実に上昇されるようにしたものである。これによって、確実に、かつ素早く洗浄槽2空間内を高温多湿にでき、食器類に固着したでんぷん類を確実に膨潤化させて汚れを落としやすくすることができる。また、この休止時間では、洗浄水が噴射されないので食器に付着した泡が洗浄水により流されることなく、その間、食器類に付着した泡が食器類に付着した汚れを包み込み浮かせることにより、その汚れを落としやすくすることができる。これにより、蒸らし工程では、洗剤の泡を積極的に利用して食器類に付着した汚れを落としやすくすることができる。
このようにして、ハイパワー洗浄コースの蒸らし工程では、食器類に固着しているでんぷん質を高温多湿の空気に触れさせ膨潤化させるとともに、その膨潤化させたでんぷん汚れを剥がし落とすことができる。
洗浄工程では、低水位の洗浄水が洗浄槽2内に貯水された状態で、さらに、給水弁9が開かれ、洗浄槽2内に60℃の洗浄水が供給される。そして、水量検出センサ10により高水位になったことが検出されると、制御手段28により給水弁9が閉止される。
このように、蒸らし工程から洗浄工程に移行する際に、洗浄槽2内の洗浄水が排水されないので、洗浄槽2空間内を高温多湿に維持したままで洗浄工程に移行することができ、
洗浄工程においても、食器類に固着したでんぷんが膨潤化された状態となり、洗浄工程ででんぷん汚れを容易に洗い落とすことができる。
また、洗浄工程では、洗浄水貯水部12に貯水された洗浄水の温度が55℃(洗浄水温度目標値)になるように、温水ヒータ7の出力が制御されるとともに、30秒間連続噴射→1秒間噴射停止→30秒間連続噴射→1秒間噴射停止のように、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間行った後に、休止時間を挟んで、さらに噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間行う噴射サイクルが25分間行われる。
このように、洗浄工程では、洗浄水貯水部12に貯水された洗浄水が、55℃(洗浄水温度目標値)になるように温水ヒータ7により加熱されるとともに、30秒間連続噴射→1秒間噴射停止→30秒間連続噴射→1秒間噴射停止のように、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間行った後に、休止時間を挟んで、さらに噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を所定の噴射時間行う噴射サイクルが25分間行われるので、食器類に付着しているでんぷん汚れ、たんぱく質汚れ、油汚れなどのすべての汚れを洗い落とすことができる。ここで、洗浄水貯水部12に貯水された洗浄水が55℃(洗浄水温度目標値)になるように温水ヒータ7により加熱しているは、食器類に噴射される洗浄水の温度が55℃〜60℃(洗剤の活性化温度)であれば、洗剤が最も洗浄効果を発揮するからである。そして、洗浄工程で食器類の洗浄が終了すると、洗浄槽2内の洗浄水が排水され、すすぎ工程が行われる。
次に、本発明のハイパワー洗浄コースの蒸らし工程と従来の食器洗浄機の蒸らし工程の洗浄槽空間内の温度変化について説明する。図8は、本発明の一実施形態におけるハイパワー洗浄コースの蒸らし工程と従来の食器洗浄機の予備洗い工程の洗浄槽空間内の温度変化を示す図である。
ここで、従来の食器洗浄機の蒸らし工程とは、洗浄槽2内に60℃の洗浄水(お湯)が給水され、洗浄槽2内の洗浄水の水位が高水位になっている状態で、蒸らし工程全域で、洗浄ポンプ6aに洗剤の泡が吸入されず、噴射ノズル5から洗浄水が8分間連続的に噴射を行う工程である。なお、洗浄槽2内の洗浄水は、本発明のハイパワー洗浄コースの蒸らし工程と同様に、温水ヒータ7により加熱(洗浄水温度目標値65℃)されている。また、食器類の温度は、蒸らし工程開始当初は20℃である(図8参照)。
図8に示すように、従来の食器洗浄機の蒸らし工程では、蒸らし工程の全期間で、洗浄水が食器類に連続的に噴射され、洗浄水が食器類に接触する回数および接触する時間が長くなり、食器類との熱交換が促進され、洗浄水の温度低下が大きくなってしまう。その結果、温度が降下した洗浄水が食器類に吹き付けられることになり、洗浄水の温度が連続的に下がり、逆に食器類の温度が連続的に上昇する。すなわち、温度が低い食器類に洗浄水が噴射されることにより、洗浄水の温度が下がり、逆に食器類の温度が上昇する。そして、さらに継続して、温度が低い食器類に洗浄水が噴射されることにより、洗浄水の温度がさらに下がり、逆に食器類の温度がさらに上昇する。そして、洗浄水の温度と食器類の温度が同じ温度になる。このように、従来の食器洗浄機の蒸らし工程では、洗浄水の温度が急激に下がり、逆に食器類の温度が急激に上昇していた。
また、従来の食器洗浄機の蒸らし工程では、洗浄槽2内の洗浄水の水位が高水位になっている状態で、蒸らし工程の全期間で、洗浄水が食器類に連続的に噴射され、噴射された洗浄水が食器類と熱交換されるので、洗浄水が食器類と熱交換される熱量が大きく、食器類の表面温度だけでなく、食器類の中心温度も食器類の表面温度とほぼ同様の上昇率で上昇していた。
以上のように、従来の食器洗浄機の蒸らし工程では、洗浄水の温度が急激に低下するので、洗浄槽2空間内の温度が上昇せず、洗浄槽2空間内を高温多湿にして、食器類に固着したでんぷん類を高温化させ膨潤化させて汚れを落としやすくために長時間が必要であった。
これに対し、本発明のハイパワー洗浄コースの蒸らし工程では、上述したように、洗浄槽2内に60℃の洗浄水(お湯)が給水され、洗浄槽2内の洗浄水の水位が低水位になっている状態で、10秒連続噴射→1分50秒噴射停止→10秒連続噴射→1分50秒噴射停止のように、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射が10秒間行われた後に、1分50秒の休止時間を挟んで、さらに、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を10秒間行う噴射サイクルが4回繰り返えされる。そして、各噴射サイクルの10秒連続噴射では、噴射時間が開始されてから1.6秒後に洗浄ポンプ6aに洗剤の泡が吸入され、噴射ノズル5から泡が混入した洗浄水が噴射されている。
ここで、本発明のハイパワー洗浄コースの蒸らし工程では、洗浄槽2内の洗浄水の水位が低水位になっている状態で、10秒連続噴射→1分50秒噴射停止→10秒連続噴射のように、1分50秒の休止時間を挟んで行われるので、洗浄水が食器類と熱交換される熱量が小さく、食器類の表面温度だけ急激に上昇し、食器類の中心温度はあまり上昇しない。
そして、本発明のハイパワー洗浄コースの蒸らし工程では、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射が10秒間行なわれることにより、洗浄水が食器類もしくは洗浄槽2空間内の空気と熱交換され、洗浄水の温度が低くなり、洗浄槽2空間内の温度も低くなるが、その後の1分50秒の休止時間で温水ヒータ7により、前回の噴射時間で噴射ノズル5から噴射された洗浄水の温度よりも高くなるように洗浄水が加熱されるので、次回の噴射時間で噴射ノズル5から噴射される洗浄水の温度を前回の噴射時間で噴射ノズル5から噴射される洗浄水の温度より高くすることができ、洗浄水の噴射時の洗浄槽2空間内の温度も前回の洗浄水の噴射時の温度よりも高くすることができる。なお、1分50秒の休止時間では、噴射ノズル5から洗浄水が噴射されず、洗浄水と食器類もしくは洗浄槽2空間内の空気との熱交換が行われないので、洗浄槽2空間内の温度が緩やかに低下している(図8参照)。
このように、噴射サイクルでは、噴射ノズル5から噴射される洗浄水の温度が、前回の噴射時間で噴射ノズル5から噴射される洗浄水の温度よりも高くなるように、温水ヒータ7が制御されるので、洗浄槽2空間内の温度を段階的に確実に上昇させることができる。すなわち、噴射ノズル5からの洗浄水の噴射が所定の噴射時間(10秒)行なわれることにより、洗浄水が食器類もしくは洗浄槽2空間内の空気と熱交換され、洗浄水の温度が低くなるが、その後の休止時間(1分50秒)で温水ヒータ7により、前回の噴射時間で噴射ノズル5から噴射された洗浄水の温度よりも高くなるように洗浄水が加熱されるので、次回の噴射時間で噴射ノズル5から噴射される洗浄水の温度を前回の噴射時間で噴射ノズル5から噴射される洗浄水の温度より高くすることができる。これにより、洗浄槽2空間内の温度を段階的に確実に上昇させることができる。
また、この1分50秒の休止時間で、食器類に付着した洗剤が食器類に付着した汚れを包み込み浮かせることにより、その汚れを落としやすくすることができるとともに、食器類に付着した洗剤の泡がはじけるときに衝撃力が発生し、その衝撃力により食器類に付着した汚れを落としやすくすることができる。特に、この休止時間では、洗浄水が噴射されず食器に付着した泡が洗浄水により流されにくくなるので、その間、食器類に付着した泡が食器類に付着した汚れを包み込み浮かせることにより、その汚れを落としやすくすることができる。これにより、蒸らし工程では、洗剤の泡により食器類に付着した汚れを落としやすくすることができる。
以上のように、洗浄槽2空間内を確実に高温多湿にでき、食器類に固着したでんぷん類を高温化させ膨潤化させて汚れを落としやすくすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以下、本発明の変形例について説明する。
(1) 本実施形態の蒸らし工程では、10秒連続噴射→1分50秒噴射停止→10秒連続噴射→1分50秒噴射停止のように、所定の噴射停止期間をはさみながら、洗浄ポンプ6aが連続運転され、噴射ノズル5から洗浄水を噴射させているが、これに限らず、14秒間欠噴射→1分50秒噴射停止→14秒間欠噴射→1分50秒噴射停止のように、洗浄ポンプ6aに泡を積極的に噛ませながら、洗浄ポンプ6aを2段間欠運転し、噴射ノズル5から洗浄水の噴射が2段間欠噴射されるようにしてもよい(図9参照)。これにより、洗浄ポンプ6aの初期吐出圧の利用回数を増やすことができる。このように、複数繰り返される噴射サイクルの内の一つの噴射サイクルにおける洗浄水が噴射されている期間(14秒)を、噴射ノズル5から洗浄水が、噴射時間(14秒)より短い第2噴射時間(4秒)洗浄水の噴射が行われた後に、休止時間(1分50秒)より短い第2休止時間(1秒)を挟んで、さらに噴射ノズル5からの洗浄水の噴射を第2噴射時間(4秒)行う第2間欠噴射サイクルで構成してもよい。このようにすれば、14秒間洗浄水を噴射させて1分50秒間停止するという大きな時間の中の噴射サイクルにおいて、4秒間洗浄水を噴射させて1秒間停止するという小さな時間の第2間欠噴射サイクルを構成することができる。
(2) 本実施形態の蒸らし工程では、洗浄ポンプ6aが洗剤の泡を吸入しない期間を1.6秒になるように、洗浄槽2内の洗浄水の水位を設定したが、これに限らず、洗浄ポンプ6aが洗剤の泡を吸入しない期間を0.4秒から2.0秒になるように、洗浄槽2内の洗浄水の水位を設定してもよい。
これによれば、前噴射期間を0.4秒〜2.0秒にしているので、洗浄ポンプ6aの駆動初期に発生する高い噴射圧の領域を利用することができる。そして、余分な洗浄水の噴射を抑えて、高い噴射圧に伴う洗浄水の飛散作用による蒸らしの促進と、食器類に付着している膨潤化したでんぷん類などの汚れを剥ぎ取る効果を確保することができる。
(3) 本実施形態では、ハイパワー洗浄コースの給水工程で、洗浄槽2内に60℃の洗浄水を給水したが、これに限らず、洗浄槽2内に水道水(常温の水)を給水してもよい。