JP3928473B2 - 電流クランプ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、出力用MOSFETに流れる電流をクランプする電流クランプ回路に関し、特に当該出力用MOSFETと並列に接続された検出用MOSFETにより電流検出を行う電流クランプ回路に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
図7は、特開平10−32475号公報に開示されている負荷駆動回路の電気的構成を示している。この図7に示す負荷駆動回路1は、負荷2に電流を供給する出力用のMOSFET3と、このMOSFET3と並列接続された検出用のMOSFET4を備えている。これらMOSFET3と4のドレイン同士は接続されており、MOSFET3と4のゲート間には図示極性のダイオード5が接続されている。
【0003】
MOSFET4のソースとグランドとの間およびMOSFET3のゲートとグランドとの間には、それぞれカレントミラー回路8を構成するトランジスタ6および7が接続されている。定電流回路9は、負荷駆動指令時にMOSFET3と4のゲート容量を充電するように動作する。この構成によれば、トランジスタ6と7の温度特性が相殺されるため、当該負荷駆動回路1よりも前に用いられていた負荷駆動回路と比較して電流制限値(クランプ電流)の温度依存性が小さくなるという特徴を有している。
【0004】
しかしながら、MOSFET3、4のオン抵抗の温度係数が正であるのに対し、トランジスタ6のベース・エミッタ間電圧Vfの温度係数が負であるため、MOSFET3に流れる電流と、MOSFET4とトランジスタ6の直列回路に流れる電流との比(分流比)が温度によって変化する。このため、クランプ電流の温度依存性をより小さくすることができなかった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、クランプ電流の温度依存性を一層低減した電流クランプ回路を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した手段によれば、検出用MOSFETには、出力用MOSFETに流れる負荷電流に対しセル比に応じて決まる電流が流れる。この電流により、検出用抵抗回路には、出力用MOSFETに流れる電流に応じた検出電圧が生成される。一方、参照用抵抗回路には、参照電流出力回路から供給される参照電流によって参照電圧が生成される。ゲート電圧制限回路は、検出電圧と参照電圧とに基づいて出力用MOSFETおよび検出用MOSFETのゲート電圧を制限するので、例えば負荷が短絡したような場合において、出力用MOSFETに流れる電流は参照電圧(参照電流)に対応したクランプ電流に制限される。
【0007】
このクランプ電流ID(CL) は、検出用MOSFETのオン抵抗値をRon(s) 、検出用抵抗回路の抵抗値をRs、参照用抵抗回路の抵抗値をRr、セル比Nより定まる分流比をM、参照電流をIrとすれば、(Rr/Rs)・Ir・Mとなる。このクランプ電流ID(CL) の温度Tによる微分は、検出用抵抗回路と参照用抵抗回路の温度特性が近似すること、および参照電流の温度変動が小さいことから、分流比Mの温度微分項が支配的となる。分流比MはN・(1+Rs/Ron(s) )であるため、dM/dT=0の条件により(dRs/dT)・Ron(s) =(dRon(s) /dT)・Rsなる関係式が導出される。この関係式を満足するように抵抗値RsとRrを設定することにより、従来の電流制限回路に比べクランプ電流の温度依存性をより低減することができる。
【0008】
請求項2に記載した手段によれば、ゲート電圧制限回路に用いるオペアンプの電圧増幅回路を1段構成とし、開ループゲインを汎用オペアンプに比べて低く設定している。これにより、一次極をオペアンプの出力に接続される回路とし、ゲート容量を積極的に位相補償に用いることによりクランプ動作の安定化が図られる。また、オペアンプに位相補償用コンデンサが不要となり、チップ面積を低減でき低コスト化が図られる。
【0009】
請求項3に記載した手段によれば、負荷駆動指令時において出力用MOSFETに流れる電流がクランプ電流以下である場合、出力用MOSFETおよび検出用MOSFETのゲート容量は所定の充電電流により充電され、これらMOSFETはオン状態となる。一方、負荷駆動指令時において出力用MOSFETに流れる電流がクランプ電流を超えた場合、その電流偏差に応じてゲート電圧制限回路が放電電流を制御するので、出力用MOSFETに流れる電流がクランプ電流に一致するように制御される。
【0010】
請求項4に記載した手段によれば、検出用MOSFETのゲートと出力用MOSFETのゲートとの間に検出電圧に等しい電圧降下を生じさせる電圧降下回路を設けたので、検出用MOSFETと出力用MOSFETのドレイン・ソース間電圧が等しくなり動作点が一致する。これにより、分流比Mの誤差ひいてはクランプ電流の誤差を低減することができる。
【0011】
請求項5に記載した手段によれば、検出用抵抗回路および参照用抵抗回路はともにMOSFETにより構成されているので、両回路はほぼ等しい温度係数を持つことになり、クランプ電流の温度変動を一層低減することができる。
【0012】
請求項6に記載した手段によれば、参照用抵抗回路は縦続接続された複数のMOSFETにより構成されているので、参照用抵抗回路の抵抗値を高めることができ、参照電流出力回路が出力する参照電流を小さくすることができる。
【0013】
請求項7に記載した手段によれば、参照電流出力回路はバンドギャップ基準電圧に基づいて参照電流を生成するように構成されているので、参照電流の温度依存性が小さく、クランプ電流の温度変動を一層低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図4を参照しながら説明する。
図1は、電流クランプ回路を具備した負荷駆動回路の電気的構成を示している。この図1に示す負荷駆動回路11は、車両(自動車)用ECU(Electronic Control Unit )に搭載されたIC12に内蔵されており、車両に設けられているリレーコイルやLEDなどの負荷13を駆動するものである。実際のIC12内には、駆動する負荷13の数に応じた複数チャンネルの負荷駆動回路11が形成されている。IC12の電源端子12aおよびグランド端子12bにはそれぞれバッテリ14の正極端子および負極端子が接続され、IC12の電源端子12aと出力端子12cとの間には上記負荷13が接続されるようになっている。
【0015】
IC12内の負荷駆動回路11は以下のように構成されている。
出力端子12cとグランド端子12bとの間にはNチャネル型MOSFET15(出力用MOSFETに相当)が接続されており、負荷13に対するロウサイドスイッチを構成している。さらに、これら端子12c、12bの間には、Nチャネル型MOSFET16(検出用MOSFETに相当)と抵抗17(検出用抵抗回路に相当)との直列回路からなる電流検出手段が接続されている。MOSFET15と16のゲート同士は接続されており、MOSFET15と16は並列の接続形態となっている。なお、MOSFET15、16のゲートとグランド端子12bとの間には、ツェナーダイオード18、19を逆極性に直列接続したゲート保護回路20が接続されている。
【0016】
MOSFET15と16のドレイン面積およびソース面積を示すセル数は、MOSFET16のセル数がMOSFET15のセル数の例えば1/100(=1/N、N:セル比)に設定されている。これにより、MOSFET16のドレイン電流は、MOSFET15のドレイン電流ID のほぼ1/100となる。また、抵抗17の両端電圧はドレイン電流ID が定格負荷電流の時に0.1V程度になるように設計されているため、FET15と16のドレイン・ソース間電圧の差異による分流比のずれは小さくなっている。
【0017】
電源端子12aとMOSFET15、16のゲートとの間には、MOSFET15、16のゲート容量に対し充電電流Igを出力する定電流回路21と、駆動指令信号SaがHレベルの時にオンとなるスイッチ回路22とが直列に接続されている。また、電源端子12aとグランド端子12bとの間には、参照電流Irを出力する定電流回路23(参照電流出力回路に相当)と、駆動指令信号SaがHレベルの時にオンとなるスイッチ回路24と、抵抗25(参照用抵抗回路に相当)とが直列に接続されている。ここで、抵抗17と25は同一種類の抵抗素子で構成されており、定電流回路23は、バンドギャップ基準電圧に基づいた温度係数の小さい参照電流Irを生成するようになっている。
【0018】
MOSFET15、16のゲートとグランド端子12bとの間には、ゲート電荷を放電させるたに、抵抗26とスイッチ回路27とが直列に接続されている。スイッチ回路27は、駆動指令信号Saをインバータ28で反転した駆動禁止信号SbがHレベルの時にオンするようになっている。
【0019】
IC12には、端子12aの電圧VB(バッテリ電圧)から制御用の電源電圧Vcc(例えば5V)を生成する電源回路(図示せず)が内蔵されており、オペアンプ29(ゲート電圧制限回路に相当)はこの電源電圧Vccの供給を受けて動作するようになっている。オペアンプ29の非反転入力端子はスイッチ24と抵抗25との共通接続点に接続され、反転入力端子はMOSFET16のソースと抵抗17との共通接続点に接続されている。また、オペアンプ29の出力端子は、MOSFET15、16のゲートに接続されている。電流クランプ回路30は、以上説明したMOSFET16、抵抗17、定電流回路23、スイッチ回路24、抵抗25およびオペアンプ29から構成されている。
【0020】
図2は、オペアンプ29の詳細な電気的構成を示している。電源電圧Vccを供給する電源線31とグランド線32との間には、トランジスタ33〜36と定電流回路37とからなる差動増幅回路38が構成されている。差動入力トランジスタ33と非反転入力端子との間および差動入力トランジスタ34と反転入力端子との間には、それぞれレベルシフト用のトランジスタ39および40が接続されており、電源線31とトランジスタ39、40の各エミッタとの間には、それぞれ定電流回路41、42が接続されている。
【0021】
グランド線32に接地されたトランジスタ35と43、トランジスタ46と47、および電源線31に接地されたトランジスタ44と45は、それぞれカレントミラー回路48、50、49を構成している。最終段のトランジスタ47のコレクタは出力端子に接続されており、カレントミラー回路49、50はそれぞれn倍、m倍の電流増幅を行うようになっている。差動増幅回路38がバランスしている時、定電流回路37の出力電流Isはトランジスタ33、34に等分されて流れ、次の(1)式が成立するようになっている。
m・n・Is/2=Ig …(1)
【0022】
このように本実施形態で用いるオペアンプ29は、電圧増幅段が差動増幅回路38の1段のみで構成されており、回路内に位相補償用コンデンサを有していない。そして、その開ループゲインが汎用的に用いられる通常のオペアンプに比べて低く抑えられており(例えばデシベルで1/2程度)、周波数特性(カットオフ周波数)が高くなるような構成となっている。このようなオペアンプ29を用いる理由は以下の通りである。
【0023】
すなわち、汎用的に用いられる通常のオペアンプは例えば2段の電圧増幅段を有し、このゲインと位相補償用コンデンサにより差動対の一次極の時定数を大きく設定して位相補償を行っている。しかし、このオペアンプを本実施形態で用いると、MOSFET15、16のゲート容量を負荷とするため、二次極の時定数が極分離の思想に反して一次極に近づき位相余裕が減少してしまう。そこで、上記構成を持つオペアンプ29を採用して一次極を当該オペアンプ29の出力に接続される回路(トランジスタ47のコレクタ回路、つまりMOSFET15、16のゲート)とし、ゲート容量を積極的に位相補償に用いることによりクランプ動作の安定化を図っている。
【0024】
次に、本実施形態の動作について説明する。
駆動指令信号SaがLレベル(オフ指令)の時、スイッチ回路22、24がオフ、スイッチ回路27がオンとなってゲート電圧VGSが0Vとなるため、MOSFET15、16はオフ状態となる。この状態から駆動指令信号SaがHレベル(オン指令)に変化すると、スイッチ回路22、24がオン、スイッチ回路27がオフとなって、定電流回路21からゲート容量に充電電流Igが流れる。その結果、ゲート電圧VGSがゲート保護回路20の保護電圧にまで上昇し、MOSFET15、16は線形領域でオン動作状態となる。また、抵抗25の両端に参照電圧Vrが生成される。
【0025】
この負荷駆動中において、負荷13の短絡や電圧VBの上昇などが生じると、MOSFET15のドレイン電流ID が増大する。そして、抵抗17の両端電圧(以下、検出電圧Vaと称す)が抵抗25の両端電圧(参照電圧Vr)を超えると、オペアンプ29が(Va−Vr)の電圧に応じた電流Idを出力する(吸い込む)ようになる。オペアンプ29によるフィードバック制御により、ゲート容量は(Ig−Id)の電流によって充電され、検出電圧Vaと参照電圧Vrとが一致するように、換言すればMOSFET15のドレイン電流ID が参照電流Irに相当するクランプ電流ID(CL) にクランプされるようにゲート電圧VGSが制御される。なお、この時MOSFET15、16は飽和領域でオン動作状態となる。
【0026】
続いて、MOSFET15のクランプ電流ID(CL) の温度特性について図3および図4を用いて説明する。
図3は、MOSFET15、16と抵抗17とからなる回路部分の等価回路を示している。この等価回路および以下の説明において用いる記号は以下の通りである。
Ron(m) …MOSFET15のオン抵抗値
Ron(s) …MOSFET16のオン抵抗値
Rs …抵抗17の抵抗値
Rr …抵抗25の抵抗値
M …分流比(=ID(MOSFET15) /ID(MOSFET16) )
【0027】
オペアンプ29によるクランプ動作が行われている期間、次の(2)式が成立する。
Rs・ID(CL) /M=Rr・Ir …(2)
この(2)式からクランプ電流ID(CL) は次の(3)式のように導出される。
ID(CL) =(Rr/Rs)・Ir・M …(3)
【0028】
同一種類の抵抗素子からなる抵抗17と25は同一の温度係数を持っていること、および参照電流Irの温度係数はほぼ0であることから、温度Tの微分について次の(4)式および(5)式が成立する。
d(Rr/Rs)/dT=0 …(4)
dIr/dT=0 …(5)
【0029】
その結果、クランプ電流ID(CL) の温度微分は、次の(6)式のようになる。
dID(CL) /dT=(Rr/Rs)・Ir・dM/dT …(6)
ここで、分流比Mは、図3に示す等価回路より次の(7)式のようになる。
【0030】
M=N・(1+Rs/Ron(s) ) …(7)
ただし、N=Ron(s) /Ron(m)
これから、分流比Mの温度微分は、次の(8)式のようになる。
dM/dT=N・((dRs/dT)・Ron(s)
−(dRon(s) /dT)・Rs)/Ron(s) 2 …(8)
【0031】
クランプ電流ID(CL) の温度微分を0にするためにはdM/dT=0とすれば良く、その結果次の(9)式の関係式が得られる。
(dRs/dT)・Ron(s) =(dRon(s) /dT)・Rs …(9)
従って、(4)式と(5)式が成立する下で(9)式が成立するように抵抗17の抵抗値RsとMOSFET16のオン抵抗値Ron(s) を設定することにより、クランプ電流ID(CL) の温度係数を低減することができる。
【0032】
図4は、抵抗17と25にCrSi抵抗(温度係数=100ppm/℃)を用いた場合と拡散抵抗(温度係数=2540ppm/℃)を用いた場合のクランプ電流ID(CL) の温度特性を示すシミュレーション結果である。横軸は、周囲温度Ta[℃]を示している。MOSFET16のオン抵抗の温度係数は4000ppm/℃であるため、拡散抵抗を用いた場合に(9)式を満たすRon(s) /Rsは以下のように計算される。
【0033】
そこで、図4では上記計算結果に基づいた以下の条件によりシミュレーションを行った。
Ron(s) /Rs=1.6
Rs=100Ω
Rr=3kΩ
Ir=100μA
N=1325
【0034】
その結果、抵抗17と25に拡散抵抗を用いた場合において、−40℃から25℃の温度変化、25℃から150℃の温度変化に対するクランプ電流ID(CL) の温度係数はそれぞれ−71ppm/℃、−47ppm/℃となり、十分な改善効果を確認できた。これに対し、CrSi抵抗の温度係数は100ppm/℃と低いため、抵抗17と25にCrSi抵抗を用いた場合において同じ条件でシミュレーションを行うと十分な改善効果は現れない。しかし、CrSi抵抗に対しても(9)式を満たすようにRon(s) /Rsを設定すれば、同様の効果を得ることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の負荷駆動回路11によれば、例えば負荷13が短絡したような場合に、電流クランプ回路30がMOSFET15のドレイン電流ID をクランプ電流ID(CL) にクランプするので、MOSFET15および負荷13を過電流による過熱や破壊から保護することができる。
【0036】
この電流クランプ回路30において、検出用の抵抗17と参照用の抵抗25とを同一種類の抵抗素子により構成し、定電流回路23に温度依存性の小さい回路を採用し、さらに(9)式が満たされるように抵抗17の抵抗値RsとMOSFET16のオン抵抗値Ron(s) を設定したので、クランプ電流ID(CL) の温度依存性が非常に小さくなる。このため、電流クランプ回路30は、温度が広範囲に変化し易い車両用ECUにおいて用いられる負荷駆動回路11に対し好適な回路となる。
【0037】
また、電流クランプ回路30は、電圧増幅回路を1段のみとし、開ループゲインを抑え、MOSFET15、16のゲート容量を積極的に位相補償に用いる構成のオペアンプ29を用いている。これにより、オペアンプ29内に位相補償用コンデンサが不要となり、特にIC12に多チャンネルの負荷駆動回路11を形成する場合にチップ面積の低減効果が大きくなり、それに伴って低コスト化が図られる。
【0038】
さらに、抵抗17に生成される検出電圧Vaと抵抗25に生成される参照電圧Vrとは、入力部にPNP形トランジスタ39、40からなるレベルシフト回路を用いたオペアンプ29に入力されているので、参照電圧Vrを0.1V程度に低く設定しても動作可能となる。その結果、MOSFET15と16のドレイン・ソース間電圧がほぼ等しくなるので、分流比Mの誤差ひいてはクランプ電流ID(CL) の誤差を低減することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図5および図6を参照しながら説明する。なお、図5および図6においてそれぞれ図1および図2と同一構成部分には同一符号を付して示し、ここでは異なる構成部分について説明する。
【0040】
図5に示す負荷駆動回路51はIC52に内蔵されており、その端子52dには、クランプ動作時にHレベルとなるクランプ動作信号Scが出力されるようになっている。電流クランプ回路53において、MOSFET16のソースとグランド端子52bとの間には、検出用抵抗として機能するNチャネル型MOSFET54が接続されており、スイッチ回路24とグランド端子52bとの間には、参照用抵抗として機能するNチャネル型MOSFET55、56、57が縦続接続されている。これらMOSFET54〜57は同サイズであって、各ゲートは共通に接続されている。電源端子52aと当該共通のゲートとの間には、定電流回路58と、駆動指令信号SaがHレベルの時にオンとなるスイッチ回路59とが直列に接続されている。
【0041】
MOSFET16のゲートとMOSFET15のゲートとの間には抵抗60(電圧降下回路に相当)が接続されている。この抵抗60は、MOSFET15と16のドレイン・ソース間電圧差を補償するために設けられるもので、その抵抗値Rgは、MOSFET55〜57の合成オン抵抗をRrとすれば次の(10)式に示す値に設定されている。
Rg=Rr・Ir/Ig …(10)
【0042】
オペアンプ61(ゲート電圧制限回路に相当)は、電源電圧Vccの供給を受けて動作し、その非反転入力端子はMOSFET55のドレインに接続され、反転入力端子はMOSFET54のドレインに接続されている。また、オペアンプ61は、上述したクランプ動作信号Scを出力するようになっており、その信号出力端子と端子52dとの間にはバッファ回路62が接続されている。
【0043】
図6は、オペアンプ61の詳細な電気的構成を示している。トランジスタ36と63はカレントミラー回路64を構成しており、そのトランジスタ63のコレクタは、クランプ動作信号Scの信号出力端子であるとともに定電流回路65を介して電源線31に接続されている。トランジスタ44、45の共通のベースとグランド線32との間には抵抗66とトランジスタ67とが接続されており、これらトランジスタ44、45、67と抵抗66とによりカレントミラー回路68が構成されている。同様に、電源線31とトランジスタ46、47の共通のベースとの間には抵抗69とトランジスタ70が接続されており、これらトランジスタ46、47、70と抵抗69とによりカレントミラー回路71が構成されている。
【0044】
電源線31とグランド線32との間には、トランジスタ73とダイオード接続されたトランジスタ74、75とが直列に接続されている。トランジスタ73、74のコレクタとトランジスタ47のコレクタとの間には、トランジスタ72のベース・エミッタ間が接続されており、そのトランジスタ72のコレクタはオペアンプ61の出力端子に接続されている。
【0045】
本実施形態の電流クランプ回路53も、その基本動作は第1の実施形態で説明した電流クランプ回路30と同様であるため、第1の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。そして、本実施形態では電圧降下回路である抵抗60を設けたので、クランプ動作時におけるMOSFET15と16のドレイン・ソース間電圧が等しくなり、MOSFET15と16の動作点が一致して分流比Mの誤差を低減することができる。
【0046】
また、検出用抵抗回路と参照用抵抗回路は共にMOSFETのオン抵抗を利用しているため、両回路はほぼ等しい温度係数を持つことになり、クランプ電流ID(CL) の温度変動を一層低減することができる。そして、MOSFET54のオン抵抗RsとMOSFET16のオン抵抗Ron(s) とは近似する温度係数を持つため、上述した(9)式によればdM/dT=0とするために必要とされるオン抵抗RsとRon(s) とをほぼ等しい値に設定でき、実際に設計する上で好適となる。さらに、MOSFET55〜57を縦続接続して参照用抵抗の抵抗値Rrを高めているので、参照用電流Irを低減して消費電流を減らすことができる。
【0047】
オペアンプ61がクランプ動作中を示すクランプ動作信号Scを出力するように構成したので、他の制御回路はこのクランプ動作信号Scを参照することにより負荷駆動回路51または負荷13の状態を検出することが可能となる。また、オペアンプ61のカレントミラー回路68、71にはベース電流の供給回路が付加されているので、電流増幅度の精度を高められる。さらに、オペアンプ61の出力部にトランジスタ73〜75を付加したので、トランジスタ47のアーリー効果が抑制される。
【0048】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
第1の実施形態に対し、電源端子12aと出力端子12cとの間にMOSFETが接続され、出力端子12cとグランド端子12bとの間に負荷13が接続されるハイサイドスイッチの回路形態としても良い。第2の実施形態についても同様である。
【0049】
チップ面積の増大が許される場合には、オペアンプ29、61に替えて位相補償用コンデンサを有する汎用オペアンプを用いても良い。
電圧降下回路は、抵抗に替えて例えばダイオードにより構成しても良い。
MOSFET15、16のゲート駆動に定電流回路23を用いたが、これに替えて電圧を出力する回路を用いても良い。
【0050】
本発明は、検出用抵抗回路と参照用抵抗回路とが近似する温度特性を有すること、および参照電流の温度変動が小さいことを前提とした。しかし、これらの条件を満足できない場合には、(3)式で示すクランプ電流ID(CL) の温度微分についてd(Rr/Rs)/dTおよびdIr/dTまで考慮して微分結果を導出し、その導出結果に基づいて各抵抗値を設定すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す負荷駆動回路の電気的構成図
【図2】オペアンプの詳細な電気的構成図
【図3】MOSFET15、16と抵抗17とからなる回路部分の等価回路図
【図4】クランプ電流ID(CL) の温度特性を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図6】図2相当図
【図7】従来技術を示す図1相当図
【符号の説明】
15はMOSFET(出力用MOSFET)、16はMOSFET(検出用MOSFET)、17は抵抗(検出用抵抗回路)、23は定電流回路(参照電流出力回路)、25は抵抗(参照用抵抗回路)、29、61はオペアンプ(ゲート電圧制限回路)、30、53は電流クランプ回路、54はMOSFET(検出用抵抗回路)、55、56、57はMOSFET(参照用抵抗回路)、60は抵抗(電圧降下回路)である。
Claims (7)
- 負荷に電流を供給する出力用MOSFETに対し所定のセル比を持つとともに、その出力用MOSFETと並列接続され且つゲート同士が接続された検出用MOSFETと、
この検出用MOSFETと直列に接続された検出用抵抗回路と、
この検出用抵抗回路と近似する温度特性を有する参照用抵抗回路と、
この参照用抵抗回路に対し温度変動の小さい参照電流を供給する参照電流出力回路と、
前記検出用抵抗回路に生成される検出電圧と前記参照用抵抗回路に生成される参照電圧とに基づいて前記出力用MOSFETおよび検出用MOSFETのゲート電圧を制限するゲート電圧制限回路とを備え、
前記検出用MOSFETのオン抵抗値Ron(s) と前記検出用抵抗回路の抵抗値Rsが、
(dRs/dT)・Ron(s)=(dRon(s) /dT)・Rs
ただし、d/dTは温度による微分演算
なる関係式を満足するような値に設定されていることを特徴とする電流クランプ回路。 - 前記ゲート電圧制限回路は、電圧増幅回路が1段構成とされ、開ループゲインが汎用的に用いられるオペアンプに比べて低く設定され、且つ回路内に位相補償用コンデンサを持たないオペアンプによって構成されており、このオペアンプの出力端子に接続される前記出力用MOSFETおよび検出用MOSFETのゲート容量によって位相補償を実行する構成であることを特徴とする請求項1記載の電流クランプ回路。
- 負荷駆動指令時に前記出力用MOSFETおよび検出用MOSFETのゲート容量が所定の充電電流によって充電されるように構成されており、
前記ゲート電圧制限回路は、前記検出電圧が前記参照電圧を超えている場合に前記出力用MOSFETおよび検出用MOSFETのゲート容量からの放電電流を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電流クランプ回路。 - 前記検出用MOSFETのゲートと前記出力用MOSFETのゲートとの間に、前記検出電圧に等しい電圧降下を生じさせる電圧降下回路を設けたことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の電流クランプ回路。
- 前記検出用抵抗回路および前記参照用抵抗回路は、MOSFETにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の電流クランプ回路。
- 前記参照用抵抗回路は、縦続接続された複数のMOSFETにより構成されていることを特徴とする請求項5記載の電流クランプ回路。
- 前記参照電流出力回路は、バンドギャップ基準電圧に基づいて参照電流を生成するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の電流クランプ回路。
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