JP3928446B2 - 電子写真機器用導電性組成物からなる成形物およびそれを用いてなる電子写真機器用部材 - Google Patents

電子写真機器用導電性組成物からなる成形物およびそれを用いてなる電子写真機器用部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真機器用導電性組成物からなる成形物およびそれを用いてなる電子写真機器用部材に関するものであり、詳しくは現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロール、除電ロール、給紙ロール、搬送ロール、クリーニングロール、現像ブレード、帯電ブレード、クリーニングブレード、転写ベルト等の電子写真機器用部材に用いられる電子写真機器用導電性組成物からなる成形物およびそれを用いてなる電子写真機器用部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、導電性を制御するためには、バインダーポリマーに、導電性カーボンブラック等の電子導電剤や、イオン導電剤が配合されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ストラクチャー(凝集形態)の低いカーボンブラックでは、導電性が低いため、高充填する必要があり、コンパウンド粘度が高くなる一方、ストラクチャーの高いカーボンブラックでは、混練時にストラクチャーの破壊が生じ、電気抵抗のばらつきが大きくなる等の難点がある。そこで、カーボンブラック自体の導電性をあげるために、高純度のカーボンブラックを使用すると、カーボンブラック自体の官能基数が減少して、ポリマーとの相溶性が低下する結果、分散が悪くなり、電気抵抗のばらつきが大きくなるという難点がある。一方、イオン導電剤を用いた場合は、電気抵抗レベルが高く、また導電性の経時変化が問題となる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低粘度で成型性に優れ、電気抵抗のばらつきが小さく、高導電性で導電性の経時変化が少ない電子写真機器用導電性組成物からなる成形物およびそれを用いてなる電子写真機器用部材の提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)および(B)とともに(C)を必須成分とする導電性組成物からなる成形物であって、上記導電性組成物を架橋させてなる架橋体の硬度がJIS A硬度で2〜80の範囲および上記導電性組成物を発泡させてなる発泡体の硬度がアスカーC硬度で1〜80の範囲の少なくとも一方の範囲に設定されていることを特徴とする電子写真機器用導電性組成物からなる成形物を第1の要旨とする。
(A)室温で液状を示し、自重で塑性変形する液状ポリマー。
(B)ホウ素固溶カーボンブラック。
(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサンまたはフェニル変性メチルHシロキサンからなるヒドロシリル架橋剤。
【0006】
また、本発明は、上記第1の要旨の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物を用いた電子写真機器用部材を第2の要旨とする。
【0007】
すなわち、本発明者らは、低粘度で成型性に優れ、電気抵抗のばらつきが小さく、高導電性で導電性の経時変化が少ない電子写真機器用導電性組成物からなる成形物を得るべく、電子導電剤であるカーボンブラックに着目して鋭意研究を重ねた。そして、カーボンブラックにホウ素を固溶させてなるホウ素固溶カーボンブラックを用いると、ホウ素を固溶させていない通常のカーボンブラックに比べて、比表面積が小さくなり、低抵抗となるという知見を得た。その結果、このホウ素固溶カーボンブラックを液状ポリマーに配合してなる導電性組成物は、粘度の上昇を抑制することができるため、混練性に優れるとともに、充分に制御された導電性を備え、導電性の経時変化が少ないことを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
また、本発明の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物を電子写真機器用部材、例えば、現像ロールのベース層等として用いた場合、画質が良好で、環境の変化が大きい場合でも画質への影響が少なく、品質の安定性に優れた製品を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物は、液状ポリマー(A成分)と、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)と、ヒドロシリル架橋剤(C成分)とを用いて得ることができる。
【0011】
上記液状ポリマー(A成分)としては、例えば、シリコーンポリマー、イソプレンポリマー、ブタジエンポリマー、イソプレン−ブタジエン共重合ポリマー、イソブチレンポリマー、アルキレンオキサイドポリマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、コンパウンド粘度の点で、イソプレンポリマー、ブタジエンポリマーが好適に用いられる。
【0012】
なお、本発明において液状ポリマーとは、室温(約20℃)で液状を示すポリマーであって、自重で塑性変形するものをいう。また、2種以上のブレンド物において、1種以上が液状でなくても、ブレンド物が液状を示すものも含まれる。
【0013】
上記液状ポリマー(A成分)の粘度は、成形性とハンドリングの点から、0.1〜1000Pa・s/25℃の範囲が好ましく、特に好ましくは10〜200Pa・s/25℃である。
【0014】
上記液状ポリマー(A成分)の数平均分子量(Mn)は、1000〜10万の範囲が好ましく、特に好ましくは3000〜3万である。
【0015】
上記液状ポリマー(A成分)とともに用いられるホウ素固溶カーボンブラック(B成分)としては、カーボンブラックにホウ素を固溶させたものであれば特に限定はない。
【0016】
上記ホウ素を固溶させるカーボンブラックは、特に限定はなく、例えば、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック、黒鉛化ブラック等があげられる。
【0017】
また、上記カーボンブラックに固溶させるホウ素も、特に限定はなく、例えば、ホウ素、ホウ酸、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、トリエチルボラン、トリブチルボラン、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、ジボラン等があげられる。これらのなかでも、気化させて使用することが容易である点で、ホウ酸トリメチル等の有機ホウ素化合物が好適に用いられる。
【0018】
そして、上記ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)は、例えば、アセチレン等の炭化水素の熱分解反応時,燃焼反応時等に、有機ホウ素化合物等のホウ素源を存在させることにより製造することができる。
【0019】
上記ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)のホウ素固溶量は、導電性の点から、0.6重量%以上が好ましい。
【0020】
なお、上記ホウ素固溶量は、下記に従って測定した全ホウ素量から可溶ホウ素量を差し引くことによって求めることができる。
【0021】
〔全ホウ素量〕
カーボンブラック0.5gを白金皿に取り、1.5重量%Ca(OH)2 溶液20ml、アセトン5mlを加え、超音波洗浄器で1時間分散させる。それをサンドバスで乾固させた後、電気炉を用い、電気気流中、800℃で3時間かけて灰化させる。ついで、HCl(1+1)溶液10mlを加えサンドバス中で加熱して溶出させる。溶出液を100mlに定容し、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)でホウ素量を定量し、カーボンブラック中の全ホウ素量とする。
【0022】
〔可溶ホウ素量〕
カーボンブラック1gを石英ガラス製三角フラスコに取り、水100mlとアセトン1mlを加える。それをウォーターバス上で24時間還留させ、0.8μmメンブランフィルターで濾過する。炉液のホウ素量をICP−AESで定量し、カーボンブラック中の可溶ホウ素量とする。
【0023】
上記ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)の比表面積(N2 ガス吸着BET比表面積)は20〜110g/cm3 が好ましく、ヨウ素吸着量は30〜80mg/gが好ましい。
【0024】
上記ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)の配合割合は、成形性とコンパウンド粘度の点から、液状ポリマー(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、1〜70部の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜20部である。
【0025】
上記ヒドロシリル架橋剤(C成分)の配合割合は、上記液状ポリマー(A成分)100部に対して、0.1〜40部の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜10部である。
【0026】
なお、本発明に用いる電子写真機器用導電性組成物には、上記A〜C成分に加えて、発泡剤を配合することが好ましい。
【0027】
上記発泡剤は、上記液状ポリマー(A成分)の種類に応じて最適なものを選択すればよく、例えば、水や、アルコール(メタノール、エタノール、IPA等)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、p−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾーン(TSH誘導体)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等の有機系発泡剤や、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 )等の無機系発泡剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、架橋を阻害せず、架橋速度および発泡バランスが高発泡に適している点で、水、AIBN、ADCAが好適に用いられる。
【0028】
上記発泡剤の配合割合は、上記液状ポリマー(A成分)100部に対して、0.1〜50部の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜10部である。
【0029】
また、本発明に用いる電子写真機器用導電性組成物には、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)以外の通常の電子導電剤やイオン導電剤、触媒、遅延剤、整泡剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、分散剤、消泡剤、カップリング剤、難燃剤等を配合しても差し支えない。
【0030】
上記電子導電剤としては、例えば、ホウ素を固溶させていない通常のカーボンブラックや、c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO2 (導電性酸化チタン)、c−SnO2 (導電性酸化錫)、グラファイト等があげられる。
【0031】
上記イオン導電剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等があげられる。
【0032】
上記触媒としては、例えば、ヒドロシリル化触媒、第三級アミン触媒、錫系触媒等があげられる。
【0033】
本発明に用いる電子写真機器用導電性組成物は、例えば、液状ポリマー(A成分),ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)およびヒドロシリル架橋剤(C成分)とともに、発泡剤等を必要に応じて配合し、これらをロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより得ることができる。
【0034】
このようにして得られる本発明の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物は、導電性組成物を架橋させてなる架橋体の硬度が、デュロメータA硬度で2〜80の範囲、および/または導電性組成物を発泡させてなる発泡体の硬度が、アスカーC硬度で1〜80の範囲に設定されている。
【0035】
本発明の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物は、例えば、現像ロール,帯電ロール,転写ロール,定着ロール,トナー供給ロール,除電ロール,給紙ロール,搬送ロール,クリーニングロール等のロール部材、現像ブレード,帯電ブレード,クリーニングブレード等のブレード部材、転写ベルト、紙送りベルト等のベルト部材等の電子写真機器用部材に用いられる。これらのなかでも、現像ロール等のロール部材のベース層等として好適に用いられる。
【0036】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0037】
【実施例1】
液状ポリマー(A成分)として下記の式(1)で表されるα,ω−ジビニルポリシロキサン(粘度:10Pa・s/25℃、Mn:約3万)100部と、ヒドロシリル架橋剤(C成分)として下記の式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン1部と、ヒドロシリル化触媒として白金触媒(塩化白金酸2重量%含有キシレン溶液)0.1部と、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)としてホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製、ホウ素固溶量:1重量%)20部と、反応遅延剤(アセチレンアルコール)0.1部とを混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、常温で20分間真空脱泡した後、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0038】
【化1】
Figure 0003928446
【0039】
【化2】
Figure 0003928446
【0040】
【実施例2】
液状ポリマー(A成分)として液状ブタジエンポリマー(シス30%、トランス60%、ビニル10%、粘度:10Pa・s/25℃、Mn:約3万)100部と、ヒドロシリル架橋剤(C成分)として上記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン2.5部と、ヒドロシリル化触媒として白金触媒(塩化白金酸2重量%含有キシレン溶液)0.1部と、遅延剤(アセチレンアルコール)0.1部と、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)としてホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製、ホウ素固溶量:1重量%)20部とを混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、常温で20分間真空脱泡した後、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0041】
【実施例3】
液状ポリマー(A成分)として下記の式(3)で表されるα,ω−ジヒドロキシシロキサン(粘度:10Pa・s/25℃、Mn:約3万)90部および上記式(1)で表されるα,ω−ジビニルポリシロキサン(粘度:10Pa・s/25℃)10部と、ヒドロシリル架橋剤(C成分)として上記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン3部と、ヒドロシリル化触媒として白金触媒(塩化白金酸2重量%含有キシレン溶液)0.1部と、IPA1部と、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)としてホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製、ホウ素固溶量:1重量%)20部とを混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0042】
【化3】
Figure 0003928446
【0043】
【実施例4】
液状ポリマー(A成分)として上記式(1)で表されるα,ω−ジビニルポリシロキサン(粘度:10Pa・s/25℃、Mn:約3万)100部と、ヒドロシリル架橋剤(C成分)として上記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン1部と、有機発泡剤(AIBN)3部と、ヒドロシリル化触媒として白金触媒(塩化白金酸2重量%含有キシレン溶液)0.1部と、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)としてホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製、ホウ素固溶量:1重量%)20部と、パーオキサイド(日本油脂社製、パーヘキサ25B)1部とを混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0044】
【実施例5】
液状ポリマー(A成分)として液状ブタジエンポリマー(シス30%、トランス60%、ビニル10%、粘度:10Pa・s/25℃、Mn:約3万)100部と、ヒドロシリル架橋剤(C成分)として上記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン1部と、ヒドロシリル化触媒として白金触媒(塩化白金酸2重量%含有キシレン溶液)0.1部と、遅延剤(アセチレンアルコール)0.1部と、有機発泡剤(AIBN)3部と、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)としてホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製、ホウ素固溶量:1重量%)20部と、パーオキサイド(日本油脂社製、パーヘキサ25B)1部とを混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0045】
【実施例6】
液状ポリマー(A成分)としてポリオレフィンポリオール(出光石油化学社製、エポール、粘度:7.5Pa・s/25℃、Mn:約2500)100部と、イソプロピルアルコール(IPA)1部と、ヒドロシリル架橋剤(C成分)として上記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン2部と、ヒドロシリル化触媒として白金触媒(塩化白金酸2重量%含有キシレン溶液)0.1部と、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)としてホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製、ホウ素固溶量:1重量%)20部とを混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0046】
【実施例7】
ホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製)の配合量を1部に変更する以外は、実施例2と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、常温で20分間真空脱泡した後、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0047】
【実施例8】
ホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製)の配合量を70部に変更する以外は、実施例2と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、常温で20分間真空脱泡した後、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0048】
【実施例9】
液状ポリマー(A成分)として、両末端にビニル基を有するイソブチレン(鐘淵化学社製、エピオンEP200A、Mn:約5000、粘度:80Pa・s/25℃)100部と、ホウ素固溶カーボンブラック(B成分)としてホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製、ホウ素固溶量:1重量%)10部と、触媒(アズマックス社製、SIP6830.0)0.01部と、ヒドロシリル架橋剤(C成分)であるフェニル変性メチルHシロキサン(アズマックス社製、HPM502)7部とを、常温で攪拌機を用いて混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、常温で20分間真空脱泡した後、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0049】
【実施例10】
液状ポリマー(A成分)として、両末端にビニル基を有するポリアルキレンオキサイド(鐘淵化学社製、サイリルSAT200、粘度:20Pa・s/25℃)を用いる以外は、実施例9と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例9と同様にして、成形物を得た。
【0050】
【比較例1】
液状ポリマー(A成分)としてポリプロピレングリコール(ジオール3000、粘度:0.55Pa・s/25℃、Mn:約3000)100部と、イオン導電剤としてホウ酸塩(日本カーリット社製、LR147)0.3部と、トリエチレンジアミン(TEDA)0.15部と、ホウ素を固溶していないファーネスブラック(三菱化学社製、♯3030)20部と、イソシアネート(NCO:20%、イソシアネートインデックス:100)13.8部とを混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、常温で20分間真空脱泡した後、140℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0051】
【比較例2】
ホウ素固溶アセチレンブラックに代えて、ホウ素を固溶していないファーネスブラック(三菱化学社製、♯3030)を用いる以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例1と同様にして、成形物を得た。
【0052】
【比較例3】
ホウ素固溶アセチレンブラックに代えて、ホウ素を固溶していないファーネスブラック(三菱化学社製、♯3030)を用いる以外は、実施例2と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例2と同様にして、成形物を得た。
【0053】
【比較例4】
液状ポリマー(A成分)としてポリエーテルポリオール(三井化学社製、EP−828、OH価:28mgKOH/g、粘度:1.25Pa・s/25℃、Mn:約6000)90部およびポリエーテルポリオール(三井化学社製、POP−31−28、OH価:28mgKOH/g)10部と、ジエタノールアミン2部と、シリコーン系整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)3部と、水(発泡剤)2部と、第三級アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5部と、第三級アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.1部と、錫系触媒(DBTDL)0.1部と、ホウ素を固溶していないファーネスブラック(三菱化学社製、♯3030)20部と、イソシアネート(住友バイエルウレタン社製、スミジュールVT−80、NCO%:45重量%、イソシアネートインデックス:100〜130)32.5部とを混合して、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を、180℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0054】
【比較例5】
ホウ素固溶アセチレンブラックに代えて、ホウ素を固溶していないファーネスブラック(三菱化学社製、♯3030)を用いる以外は、実施例3と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例3と同様にして、成形物を得た。
【0055】
【比較例6】
ホウ素固溶アセチレンブラックに代えて、ホウ素を固溶していないファーネスブラック(三菱化学社製、♯3030)を用いる以外は、実施例4と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例4と同様にして、成形物を得た。
【0056】
【比較例7】
ホウ素固溶アセチレンブラックに代えて、ホウ素を固溶していないファーネスブラック(三菱化学社製、♯3030)を用いる以外は、実施例5と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例5と同様にして、成形物を得た。
【0057】
【比較例8】
ホウ素固溶アセチレンブラックに代えて、ホウ素を固溶していないファーネスブラック(三菱化学社製、♯3030)を用いる以外は、実施例6と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例6と同様にして、成形物を得た。
【0058】
【比較例9】
まず、液状ポリマー(A成分)として、ジエチレングリコール(DEG)とアジピン酸とを所定の割合で混合した後、脱水してなる常温液状ポリオール(大日本インキ化学工業社製、OD−X−2309、Mn:約2000、OH価:56mgKOH/g、粘度:110Pa・s/25℃)を用意した。そして、この常温液状ポリオール48部と、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製、ミリオネートMT、NCO%:33.6重量%)52部とを混合し、窒素雰囲気下、80℃で3時間反応させ、プレポリマーを調製した。一方、上記常温液状ポリオール(大日本インキ化学工業社製、OD−X−2309)85部に、2,2′,3,3′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノフェニルメタン(ジアミノ化合物)13.1部を配合し、150℃で1時間混合して、ジアミノ化合物を常温液状ポリオールに溶解させた。ついで、この溶解液に、ホウ素を固溶していないケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)10部と、鎖延長剤である1,4−ブタンジオール3.5部と、架橋剤であるトリメチロールプロパン4部と、アミン系触媒であるトリエチレンジアミン(三共エアプロダクツ社製)100ppmとを配合し、80℃で30分間混合した後、真空脱泡、脱水を行い、硬化剤液を調製した。このようにして、プレポリマーと硬化剤液とからなる導電性組成物を用意した。そして、上記プレポリマーと硬化剤液とを、プレポリマー:硬化剤液=100:125(重量混合比)の割合で配合し、真空中70℃で30秒間混合した後、140℃で30分間熱処理を行い、成形物を得た。
【0059】
【比較例10】
ホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製)に代えて、ホウ素を固溶していないケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)を用いる以外は、実施例9と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例9と同様にして、成形物を得た。
【0060】
【比較例11】
ホウ素固溶アセチレンブラック(電気化学工業社製)10部に代えて、ホウ素を固溶していないデンカブラック(電気化学工業社製)20部を用いる以外は、実施例9と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、この導電性組成物を用いて、実施例9と同様にして、成形物を得た。
【0061】
このようにして得られた実施例品および比較例品を用いて、下記のようにして各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1〜表5に併せて示した。
【0062】
〔導電性〕
成形物の体積抵抗を、直径50mmの電極を用いて電圧10Vで測定し、導電性の評価を行った。評価は、体積抵抗が6乗以下のものを○、6乗を超えるものを×とした。
【0063】
〔粘度〕
各導電性組成物の粘度を、回転式粘度計(B型)を用いて測定した。評価は、カーボンブラック添加後の粘度が、もとの粘度の100倍以下のものを○、100倍を超えるものを×とした。
【0064】
〔成型性〕
成型物の真直度が、40μm以下のものを○、40μmを超えるものを×とした。
【0065】
〔セル〕
成形物中のセルの大きさの平均が、400μm以下のものを○、400μmを超えるものを×とした。
【0066】
【表1】
Figure 0003928446
【0067】
【表2】
Figure 0003928446
【0068】
【表3】
Figure 0003928446
【0069】
【表4】
Figure 0003928446
【0070】
【表5】
Figure 0003928446
【0071】
上記結果から、実施例品は、いずれも導電性に優れ、低粘度で、成型性に優れ、硬度も良好であることがわかる。
【0072】
これに対して、比較例品は、いずれも粘度が高く、成型性に劣ることがわかる。
【0073】
【実施例11】
まず、実施例1と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした射出成形用金型内に、上記導電性組成物を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成されてなる現像ロールを作製した。
【0074】
【比較例12】
比較例1と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、これを用いてベース層を形成する以外は実施例11と同様にして、現像ロールを作製した。
【0075】
【比較例13】
比較例2と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、これを用いてベース層を形成する以外は実施例11と同様にして、現像ロールを作製した。
【0076】
【比較例14】
比較例3と同様にして、導電性組成物を調製した。そして、これを用いてベース層を形成する以外は実施例11と同様にして、現像ロールを作製した。
【0077】
このようにして得られた実施例品および比較例品の現像ロールを用いて、下記の基準に従い、現像特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表6に併せて示した。
【0078】
〔現像特性〕
現像ロールをプリンター(OKI社製、MICROLINE400)に組み込み1週間放置した後、環境〔低温低湿(15℃×10%RH)、常温常湿(25℃×50%RH)、高温高湿(35℃×85%RH)〕および電圧(0.1V、100V)変動下で文字画像をプリントして、画像を目視評価した。そして、細線の途切れがなく、画像のかすれが見られないものを○、細線の途切れがあり、画像のかすれが見られるものを×として評価した。
【0079】
【表6】
Figure 0003928446
【0080】
上記表の結果から、実施例品のロールは、いずれも比較例品のロールに比べて、現像特性に優れることがわかる。
【0081】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物は、カーボンブラックにホウ素を固溶させてなるホウ素固溶カーボンブラックを用いているため、ホウ素を固溶させていない通常のカーボンブラックに比べて、比表面積が小さくなり、低抵抗となる。その結果、液状ポリマーとの混練時に粘度の上昇を抑制することができ、液状ポリマーとの混練性に優れるとともに、電気抵抗のばらつきが小さく、高導電性で導電性の経時変化が少ないという効果を奏する。
【0082】
また、本発明の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物を電子写真機器用部材、例えば、現像ロールのベース層等として用いた場合、画質が良好で、環境の変化が大きい場合でも画質への影響が少なく、品質の安定性に優れた製品を得ることができる。

Claims (7)

  1. 下記の(A)および(B)とともに(C)を必須成分とする導電性組成物からなる成形物であって、上記導電性組成物を架橋させてなる架橋体の硬度がJIS A硬度で2〜80の範囲および上記導電性組成物を発泡させてなる発泡体の硬度がアスカーC硬度で1〜80の範囲の少なくとも一方の範囲に設定されていることを特徴とする電子写真機器用導電性組成物からなる成形物
    (A)室温で液状を示し、自重で塑性変形する液状ポリマー。
    (B)ホウ素固溶カーボンブラック。
    (C)オルガノハイドロジェンポリシロキサンまたはフェニル変性メチルHシロキサンからなるヒドロシリル架橋剤。
  2. 上記液状ポリマーが、シリコーンポリマー,イソプレンポリマー,ブタジエンポリマー,イソプレン−ブタジエン共重合ポリマー,イソブチレンポリマーおよびアルキレンオキサイドポリマーからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1記載の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物
  3. (A)の数平均分子量が1000〜10万である請求項1または2記載の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物
  4. (A)の粘度が0.1〜1000Pa・s/25℃である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物
  5. (B)の割合が(A)100重量部に対して1〜70重量部の範囲に設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物
  6. (A)〜(C)に加えて、発泡剤を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真機器用導電性組成物からなる成形物を用いたことを特徴とする電子写真機器用部材。
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