JP3928258B2 - 殺菌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原水を処理して無菌として安全に使用できる殺菌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば大腸菌等の菌を含んでいる原水に、塩化ベンゼルコニウムや次亜塩素酸等の薬液を溶かした水を混入して、無菌として植物に供給したり、あるいは手を洗浄するための洗浄水として使用したりすることが行われている。このとき、前記薬液は大腸菌等の菌の細胞膜を破壊したり、蛋白質を破壊したり、あるいは酵素の活性基を反応させて、大腸菌等の菌を死滅させるように作用するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記従来の方法は、例えば食品を洗浄するような用途に使用する場合には、人体に対する安全性が保証されていないという点で、若干の不安があるという課題を有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電極間に高電圧を印加して、発生した電界によって原水中の菌を殺菌するようにして、人体に対して安全で、処理水を飲用に供すこともできる殺菌装置としている。
【0005】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載した発明は、殺菌槽内の2枚の電極間に電圧発生手段によって電圧を印加したときに、2枚の電極が波形となっているため、ポンプによって供給した電極間を通過する原水が乱流となって、強電界域に強制的に原水中の菌を移動させることが出来、原水中の菌を死滅させて、飲用に供すこともできる処理水を得る殺菌装置としている。また、殺菌電圧Vkを、2枚の電極間にかかる電圧Vと、電極間の距離dと、電界Eと、殺菌する菌の大きさdkとの関係において、Vk=E・dk=(dk/d)・Vの式に基づき決定するようにしたので、殺菌目的とする菌の大きさに最適な電圧を得ることができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、断面を波形とした2枚の電極に代えて、櫛の歯の部分が平行となるように重ねた2枚の櫛形の電極を有した請求項1に記載の殺菌装置とすることにより、電極間に電圧を印加するようにして、効率の高い処理が出来る殺菌装置としている。また、請求項1に記載した発明と同様に、殺菌目的とする菌の大きさに最適な殺菌電圧Vkを得ることができる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、断面を波形とした2枚の電極に代えて、湾曲部を有する平行に設けた2枚の電極を有し、必要に応じてポンプを備えた請求項1に記載の殺菌装置と することにより、湾曲部を有する2枚の電極を平行に配置して殺菌槽として使用し、この電極間に電圧を印加するようにして、簡単な構成で、効率の高い処理が出来る殺菌装置としている。また、請求項1に記載した発明と同様に、殺菌目的とする菌の大きさに最適な殺菌電圧Vkを得ることができる。
【0008】
【実施例】
(実施例1)
以下本発明の第1の実施例について説明する。図1は本実施例の構成を説明するブロック図である。殺菌槽1は、原水を案内する案内管2と、処理水が排水される排水管3とを有している。排水管3にはポンプ4を接続している。また、殺菌槽1内には、2枚の電極5・6を設けている。2枚の電極5・6は、それぞれ断面が波形となっているものである。このため、案内管2から案内された原水は、2枚の電極5・6を乱流として通過するものである。また7は、前記2枚の電極5・6間に電圧を供給する電圧発生手段である。電圧発生手段7は、商用交流電圧を直流に変換するコンバータによって形成している。
【0009】
以下本実施例の動作を説明する。ポンプ4を駆動して、案内管2から原水を殺菌槽1に供給すると、殺菌槽1内の原水には電極5・電極6間の直流電圧が印加される。
【0010】
図2は、電極5・電極6間にかかる電圧Vと、電極間の距離dと、電界Eと、菌の大きさdkと、菌にかかる電圧Vkを説明する説明図である。電圧Vと電極間の距離dと、電界Eとの間には、V=E・d(V)の関係が成り立っている。また菌の大きさをdkとすると、菌の両端にかかる電圧Vkは Vk=E・dk=(dk/d)・V(V)となる。
【0011】
この菌の両端にかかる電圧Vkが約0.7Vを越えると、菌の細胞が破壊され菌が死滅することが論文 佐藤正之著、『これからの微生物殺菌装置とその周辺技術』、食品と容器、VOL.35、NO.6、P308からP314にて示されている。また、論文によると、数十μsecのパルス幅であるインパルス状の電圧によって電界を発生すると、処理水の水及びその他の物質のイオンの移動度に比べてパルス幅が短いため、水及びその他の物質のイオンによる電気分解が起こりにくい。
【0012】
しかし長期間高電圧によって原水を殺菌処理していると、微少ではあるがイオンが発生し、プラス電極5にはマイナスのイオンが付着し、マイナス電極6にはプラスのイオン付着するものである。この付着したイオンは、電極間の電界の分布状態が均一となることを妨げるように作用するものである。図3は、このイオンによる影響を説明しているものであり、(a)は横軸に示しているプラス電極5からマイナス電極6までの距離を示している。(b)はこの間での電圧の分布を、(c)はこの間での電界強度の分布を示している。電圧Vの分布は、図3(b)に示しているように、プラス電極5付近では付着しているマイナスイオンの影響によってV1だけ、マイナス電極6付近ではプラスイオンの影響によってV2だけ低下しており、実際に電極5・電極6間に印加した電圧がV(V)であるにも関わらず、実際にかかる電圧はV−V1−V2(V)となるものである。またこのときの電界強度の分布は、図3(c)に示しているように、前記理由によってプラス電極5・マイナス電極6付近で非常に高くなっているものである。この電極5・電極6付近の電界強度(V/m)は、E=V/dで示されるものであり、付着しているイオンの厚さdが非常に薄いものであるため、強電界域となっているものである。
【0013】
本実施例では、電極5・電極6の断面形状を波形としているものである。このため、電極5・電極6間を通過する原水は乱流となるものである。このため、原水中の菌は、強制的に前記強電界域に移動するものである。
【0014】
以上のように本実施例によれば、殺菌槽1内の2枚の電極5・6間に電圧発生手段7によって電圧を印加したときに、電極5・6が波形となっているため、ポンプ4によって供給した電極5・6間を通過する原水が乱流となって、強電界域に強制的に原水中の菌を移動させることが出来、原水中の菌を死滅させて、飲用に供すこともできる処理水を得る殺菌装置を実現するものである。
【0015】
(実施例2)
次に本発明の第2の実施例について説明する。図4は本実施例の構成を示す断面図である。本実施例では、殺菌槽1内に2枚の櫛形の電極10・11を設けている。櫛形の電極10・11は、図示しているように櫛の歯の部分が平行となるように重ねた配置としており、この電極10・11間を原水が通過するようになっている。原水は、殺菌槽1の下部の端部に設けている案内管2から供給し、ポンプ4によって案内管2とは対角線に配置している排水管3から排水するようにしている。また、電極10・11間には図示していないが電圧発生手段によって電圧を印加しているものである。
【0016】
以下本実施例の動作について説明する。本実施例の櫛形の電極10・11は、櫛形の歯の部分が互いに平行となるように設けているため、電極10・11間の距離は小さくなり、この分電界強度が高くなるものである。また櫛の歯の根本部は、原水が衝突することによって、原水を乱流とするように作用するものである。従って、本実施例によれば、実施例1で示した構成のものよりも効率的に原水中の菌を死滅させることが出来るものである。
【0017】
(実施例3)
続いて本発明の第3の実施例について説明する。図5は本実施例の殺菌装置の構成を示す説明図である、本実施例では、殺菌槽自体を2枚の電極20・21によって構成している。2枚の電極20・21は、図示しているようにどちらの電極も湾曲部を有しており、かつ平行に配置している。こうして、必要に応じてポンプを使用して、一方の端部から原水を供給して、他方の端部から処理水を排水するようにしているものである。また、2枚の電極20・21には、図示していない電圧発生手段によって電圧を印加しているものである。
【0018】
以下本実施例の動作について説明する。本実施例では、湾曲部を有する2枚の電極20・21間に通水するようにしているため、原水は確実に乱流となるものである。このため、前記各実施例で説明しているように、強電界域に原水中の菌が移動するものである。また、2枚の電極20・21は平行となっているため、電極20・21間の距離はどの場所でも一定となっている。
【0019】
従って本実施例によれば、非常に効率の高い原水の処理が出来、しかも2枚の電極20・21によって殺菌槽自体を構成しているため非常に簡単な構成となるものである。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明は、断面を波形とした2枚の電極を有する殺菌槽と、前記殺菌槽に供給する電圧を発生する電圧発生手段と、原水を前記殺菌槽に供給するポンプとを備えた構成として、強電界域に強制的に原水中の菌を移動させることが出来、原水中の菌を死滅させて、飲用に供すこともできる処理水を得る殺菌装置を実現するものである。また、殺菌電圧Vkを、2枚の電極間にかかる電圧Vと、電極間の距離dと、電界Eと、殺菌する菌の大きさdkとの関係において、Vk=E・dk=(dk/d)・Vの式に基づき決定するようにしたので、殺菌目的とする菌の大きさに最適な電圧を得ることができる。
【0021】
請求項2に記載した発明は、断面を波形とした2枚の電極に代えて、櫛の歯の部分が平 行となるように重ねた2枚の櫛形の電極を有した請求項1に記載の殺菌装置とすることにより、電極間に電圧を印加するようにして、効率の高い処理が出来る殺菌装置としている。また、請求項1に記載した発明と同様に、殺菌目的とする菌の大きさに最適な殺菌電圧Vkを得ることができる。
【0022】
請求項3に記載した発明は、断面を波形とした2枚の電極に代えて、湾曲部を有する平行に設けた2枚の電極を有し、必要に応じてポンプを備えた請求項1に記載の殺菌装置とすることにより、湾曲部を有する2枚の電極を平行に配置して殺菌槽として使用し、この電極間に電圧を印加するようにして、簡単な構成で、効率の高い処理が出来る殺菌装置としている。また、請求項1に記載した発明と同様に、殺菌目的とする菌の大きさに最適な殺菌電圧Vkを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例である殺菌装置の構成を示す斜視図
【図2】 同、菌に印加される電圧を説明する説明図
【図3】 (a)同、電極間の距離を説明する説明図
(b)同、電極間の電圧の分布を説明する説明図
(c)同、電極間の電界強度の分布を説明する説明図
【図4】本発明の第2の実施例である殺菌装置の構成を示す断面図
【図5】本発明の第3の実施例である殺菌装置の構成を示す断面図
【符号の説明】
1 殺菌槽
2 案内管
3 排水管
4 ポンプ
5 電極
6 電極
7 電圧発生手段
Claims (3)
- 断面を波形とした2枚の電極を有する殺菌槽と、前記殺菌槽に供給する電圧を発生する電圧発生手段と、原水を前記殺菌槽に供給するポンプとを備え、2枚の電極間にかかる電圧Vと、電極間の距離dと、電界Eと、殺菌する菌の大きさdkと、菌にかかる電圧Vkとは、Vk=E・dk=(dk/d)・Vとし、これに基づき殺菌電圧Vkを決定するようにした殺菌装置。
- 断面を波形とした2枚の電極に代えて、櫛の歯の部分が平行となるように重ねた2枚の櫛形の電極を有した請求項1に記載の殺菌装置。
- 断面を波形とした2枚の電極に代えて、湾曲部を有する平行に設けた2枚の電極を有し、必要に応じてポンプを備えた請求項1に記載の殺菌装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP14714498A JP3928258B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 殺菌装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP14714498A JP3928258B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 殺菌装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11333464A JPH11333464A (ja) | 1999-12-07 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP14714498A Expired - Fee Related JP3928258B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 殺菌装置 |
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JP5120997B2 (ja) * | 2006-07-14 | 2013-01-16 | 公立大学法人首都大学東京 | 菌濃縮殺菌装置 |
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1998
- 1998-05-28 JP JP14714498A patent/JP3928258B2/ja not_active Expired - Fee Related
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