JP3928151B2 - 熱交換用コイル、空調機及び空調機を用いた空調方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加湿が行えると同時にケミカル物質も取り除くことができる、熱交換用コイル、該熱交換用コイルが組み込まれた空調機、及び該空調機を用いた空調方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空調機の熱交換用コイルには、通常、アルミニウム製のフィンを用いている。しかしながら、高集積度の半導体や液晶を製造する工場で使用される空調機にあっては、アルミニウム製のフィンをそのまま用いることなく、表面をアクリル樹脂等でコーティングしたものを用いている。これは、アルミニウム成分が工場内のクリーンルームに侵入して汚染源になるのを避けるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、半導体や液晶等の製造工場では、アルミニウム成分がクリーンルーム内に侵入するのを防止するのに止まらず、工場内に取り入れる外気から、空気汚染源のおそれのある、塩酸イオンや亜硝酸イオン、硝酸イオン、アンモニアイオン等のケミカル物質を積極的に取り除くことができる、空調機の出現が望まれている。
【0004】
一方、従来、使用されている空調機では、加湿装置として、蒸気加湿器や水スプレー等が組み込まれているが、このような加湿装置は、蒸気加湿器の場合エネルギーロスがあり、水スプレー方式の場合加湿効率が悪く水の使用量が多い、また、双方の加湿装置とも、空調機内でかなりの占有スペースを占めており、このため、空調機自体が大型化するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ケミカル物質を積極的に取り除くことができるのに加えて、効率良く加湿も行える熱交換用コイル及び該熱交換用コイルが組み込まれた空調機並びに該空調機を用いた空調方法を提供することにある。
また、本発明は、従来のものに比べて小型化が図れる空調機を提供することも目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、熱交換用コイル本体のフィンの表面に設けられた親水・保水性層と、該親水・保水性層に水を供給する給水手段とを備え、前記親水・保水性層は、前記フィンの表面に設けられた樹脂コーティング層と、該樹脂コーティング層に接着または溶着された繊維からなる糸または布地とによって構成されてなることを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明では、請求項1記載の熱交換用コイルにおいて、前記給水手段は、親水・保水性層の上部に供給した水が親水・保水性層を通過して該親水・保水性層の下部にまで至り、そこで回収した水を再び親水・保水性層の上部に供給する循環系と、親水・保水性層の上部に新たに水を補給する補給系から成っていて、該循環系と補給系は、同一の熱交換用コイル本体に対して配置されることを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る発明では、請求項1または2記載の熱交換用コイルにおいて、前記フィンは斜めに傾斜されて配置され、該フィンの上面に前記親水・保水性層が設けられ、
該親水・保水性層の上位側に前記給水手段から水が供給されることを特徴としている。
【0009】
請求項4に係る発明では、請求項1または2記載の熱交換用コイルにおいて、前記給水手段は、当該熱交換用コイルに流れ込む空気の流れの下流側のコイル面により水を供給し、同空気の流れの上流側で水を捕集する機構を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に係る発明では、請求項1または2記載の熱交換用コイルにおいて、前記給水手段は、前記熱交換用コイル本体に接するように配置された集水パッドを介して前記親水・保水性層から集水することを特徴としている。
【0012】
請求項6に係る発明では、請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換用コイルを、冷却コイル及び加熱コイルとしてそれぞれ有して成ることを特徴としている。
【0013】
請求項7に係る発明では、請求項6記載の空調機を用いた空調方法であって、夏季には運転休止中の加熱コイルの表面の親水・保水性層に給水手段から水を供給し、冬季には運転休止中の冷却コイルの表面の親水・保水性層に給水手段から水を供給することを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)、(b)は本発明にかかる外気処理用の空調機(以下、外調機という)の概略断面図である。
この図に示すように、ここで示す外調機1は、外気取入口2aと流出口2bを有し、かつ流出口2bにダクト2cが接続されたケーシング2内に、空気の流れを基準として上流側から順に、プレフィルタ3、中性能フィルタ4、冷却コイル5、加熱コイル6、再加熱コイル7、ファン8、高性能フィルタ9を備える。
【0015】
プレフィルタ3は、例えば、ロール状に巻かれていて、使用頻度に応じて新たなフィルタ面が空気流路中に自動的に繰り出されるものであり、ケーシング2の外気取入口2aから入ってくる空気から比較的大きなゴミを捕獲するものである。
中性能フィルタ4は、プレフィルタ3で取り切れなかった比較的小さなゴミを捕獲するものである。
なお、冷却コイル5及び加熱コイル6については後ほど詳しく説明する。
再加熱コイル7は、主に温湿度制御をするため、前段の冷却コイル5と加熱コイル6を通過した空気をさらに加熱するものである。
【0016】
再加熱コイル7とファン8との間には、露点温度計11と乾球温度計12とがそれぞれ介装されている。これら両温度計11,12は、冷却コイル5、加熱コイル6及び再加熱コイル7へそれぞれ供給する熱媒体の流量を制御する図示せぬ制御装置に電気的に接続されている。
【0017】
高性能フィルタ9は、前記中性能フィルタ4で取りきれなかったさらに小さなゴミを捕獲するものである。これにより、当該外調機では図示しないクリーンルームへ供給できるようなきわめて清浄度の高い空気を得ることができる。
【0018】
前記冷却コイル5について説明する。なお、加熱コイル6は基本的な構成が冷却コイルの構成と同一であるのでその説明は省略し、同一構成要素には同一符号を付すこととする。
図3、図4に示す実施の形態は、冷却コイル5のフィン22の表面に設けられた親水・保水性層23内を水がほぼ垂直に移動し、かつフィン22の表面において水と空気とがそれぞれ直交するように接触する、いわゆる垂直・直交流方式の例である。
【0019】
冷却コイル5は、熱媒体を流すためのコイル本体21と、コイル本体21を構成するコイルの実質的な表面積を増やすよう該コイルに溶接あるいは固着されかつ互いに平行に配置される多数のフィン22とを備える。また、フィン22の表裏両面には親水・保水性層23が設けられ、この親水・保水性層23に水を供給する給水手段24が設けられている。
【0020】
前記親水・保水性層23は、例えば、アルミニウム製のフィン22の上にアクリル樹脂がコーティングされ、さらにこのアクリル樹脂コーティング層の上にアクリル繊維の糸または薄い布地(図2では布地23aの例を示している)が接着または溶着されることにより形成されるものである。なお、アルミニウム製のフィン22の上に単にアクリル樹脂がコーティングされるだけの層は疎水性であって、親水・保水性層にはなり得ない。
【0021】
また、アクリル樹脂コーティング層の上に接着または溶着されるものは、アクリル繊維の糸あるいは布地に限られることなく、他の材料からなる糸あるいは布地であってもよい。要は、親水・保水性のある繊維または繊維構造のものであって、フィン22の表面に添加される水を吸引して繊維本体のみならず繊維相互間をも濡らす状態となり、表面全体を均一に濡れ面を作るものであればよい。
【0022】
また、近年、アルミニウム製のフィン22の上にエポキシ樹脂がコーティングしたものも近年使用されているが、この層だけでは、単に親水性しか得られず保水性の性質は得られない。このような親水性のみのエポキシ樹脂層では、少量の水によってフィン表面全体を濡れ面とすることは難しい。少量の水でフィン表面全体を濡れ面とするには、親水性に加えて保水性も必要である。保水性を得るには、このエポキシ樹脂コーティング層の上に、さらに、エポキシ樹脂繊維やアクリル繊維の糸または布地を接着または溶着させたり、また、エポキシ樹脂コーティング層の上に、吸水性のある繊維または無機物などを混入させた樹脂をコーティングするのが有効である。
【0023】
なお、アルミニウム製のフィン22の上のコーティング層上にさらにアクリル繊維やエポキシ樹脂繊維等からなる布地23aを接着等する場合には、コイル本体22を通過する空気の全体の圧力損失を低く抑えるため、並びにフィンの密度を高めて配置するために、できるでけ厚さの薄い布地を用いるのが好ましい。
【0024】
または、前記給水手段24は、親水・保水性層23の上部に供給した水が親水・保水性層23を通過して該親水・保水性層23の下部にまで至り、そこで回収した水を再び親水・保水性層23の上部に供給する循環系25と、親水・保水性層の上部に新たに水を補給する補給系26とから成っている。
【0025】
循環系25は、図3、図4に示すように、コイル本体21の上方に配置されかつ下面に多数の小孔を有する給水管25aと、該給水管25aとコイル本体21との間に、コイル本体21に接するように介装される、例えば海綿等多孔性物質からなる給水パッド27と、コイル本体21の下方に配置される水槽25bと、この水槽25bで受けた水を再び前記給水管25aに戻す循環用ポンプ25c付きの戻り管25dとから成っている。また、水槽25bにはオーバーフロー水を排出する等のための排水管25eが設けられている。
【0026】
補給系26は、コイル本体21の上部に配置されかつ下面に多数の小孔を有する給水管26aと、給水管26aとコイル本体21との間に介装される前述した給水パッド27と、給水管26aに接続される図示せぬ補給水手段とからなっている。
【0027】
なお、この実施の形態では、給水パッド27は循環系25と補給系26とで連続した共通のものを用いているが、勿論、これに限られることなく、循環系25と補給系26とでそれぞれ別個独立の給水パッドを用いてもよい。
【0028】
また、前記循環系25と補給系26は、冷却コイル5に流れ込む空気の流れの下流側に補給系26が、また同空気の流れの上流側に循環系25がそれぞれ配置されている。
【0029】
次に、上記構成の外調機の動作について説明する。
外気取入口2aから取り入れた外気は、プレフィルタ3及び中性能フィルタ4を順次通過するとき塵埃等のゴミが取り除かれ、その後冷却コイル5に至る。夏季の場合には、冷却コイル5には所定温度まで冷やされた熱媒体が流され、この熱媒体と外気との間で冷却コイル5のフィン22を介して熱交換が行われる。外気は予め定められた設定露点まで冷却されるが、このときの冷却外気の露点は再加熱コイル7の下流側に配置された露点温度計11で検出され、その検出値に応じて冷却コイル5へ供給される熱媒体の流量が図示せぬ制御装置を介して制御される。
【0030】
このように、冷却コイル5を通過した後の外気は、次に、加熱コイル6を通過するが、加熱コイルに6は熱媒体が供給されず、加熱コイル6を通過するときの外気は、ここでは温湿度変化はほとんどない。
【0031】
ただし、加熱コイル6へは、給水手段24を介して水が供給され、該加熱コイル6のフィン表面の親水・保水性層23は、全面に渡って濡れ面となっている。すなわち、給水手段24の給水管25a、26aから供給される水は、給水パッド27に至りここで均一化されて、下方のコイル本体21に至る。このコイル本体21に供給された水は、重力によりフィン22の表面の親水・保水性層23を通って徐々に落下する。このときに、フィン22の表面の親水・保水性層23を均一に濡らし、濡れ面を形成する。この濡れ面に外気が接触し、該外気に含まれる塩酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アンモニウムイオン、有機ガス等のケミカル物質が取り除かれる。
【0032】
なお、前記親水・保水性層23を通った後の水は、水槽25bに至り、ここから戻り管25dに介装された循環用のポンプ25cによって再び給水管25aに戻される。また、補給系26からは絶えず新しい水が補給されるが、その補給分は前記排水管25eからオーバーフロー分として外部へ排出される。または、図1(b)に示すように、温水コイル側に補給水を供給し、温水コイルのオーバーフロー水を連通管により冷水コイルの水槽へ供給し、給水から排水方向を空気の流れと逆方向に流す方法もとることができる。
【0033】
加熱コイル6を通過した後のケミカル物質が除去された外気は、次いで、再加熱コイル7を通過し、ここで再加熱される。この再加熱される給気の温度は下流側の乾球温度計12によって検出され、この検出値に応じて再加熱コイル7へ供給される熱媒体の流量が図示せぬ制御装置を介して制御される。このようにして、外気を予め設定した温湿度条件を満足するように各コイル5〜7を介して処理する。その後、同処理した外気はファン8により圧送されて、高性能フィルタ9を通過してクリーンルームへ供給される。
【0034】
一方、冬季の場合には、前記冷却コイル5が運転休止中となるため、この冷却コイル5を濡れ面形成用のコイルとして利用する、または、冷却コイルを予熱コイルとして利用する。
すなわち、冷却コイル5へは、同冷却コイルに付随する給水手段24から水を供給し、該冷却コイル5のフィン表面の親水・保水性層23を、全面に渡って水を含む濡れ面とする。そして、こうして形成した濡れ面に外気を接触させ、該外気から塩酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、アンモニウムイオン、有機ガス等のケミカル物質を取り除くのである。
なお、冬季の場合には、外気温が低く、冷却コイル5のフィン表面の濡れ面が凍結する場合も考えられるが、この場合には、冷却コイル5に使用後の冷却水等を流し、凍結を防き、予熱と予備加湿を行うことも可能である。
【0035】
また、冬季の場合、冷却コイル5に加えて、加熱コイル6のフィン表面にも濡れ面を形成し、この濡れ面を湿度制御用として利用する。つまり、加熱コイル6へは熱媒体を供給するとともにフィン表面に給水手段24を介して水を供給して濡れ面とする。これにより、外気を加温しながら同時に加湿も行う。このときの外気が予め設定した露点に達しているか否か露点温度計11で検出しながら、加熱コイル6への熱媒体の供給量を制御する。その後、外気は再加熱コイル7によってさらに加熱されるが、このとき、再加熱後の外気温度を乾球温度計12によって検出し、その検出値に応じて再加熱コイル7へ供給する熱媒体の流量を図示せぬ制御装置を介して制御する。その後、同処理した外気をファン8により圧送して、高性能フィルタ9を通過させてクリーンルームに供給するのは夏季の場合と同様である。
【0036】
また、上述した実施の形態では、冷却コイル5または加熱コイル6において、それらコイル5,6に流れ込む空気の流れの下流側に給水手段24の補給系26を、また同空気の流れの上流側に循環系25をそれぞれ配置している。
これは、空気中のケミカル物質を除去するためには、ケミカル物質を含んでいない水に接触させるのが最も除去効率が良く、空気は上流側では除去処理が進んでおらずケミカル濃度が高いが、フィン表面の水と接触して吸収され除去処理が進む下流側では空気中のケミカル物質の濃度は減少する。その低い濃度のケミカル物質をさらに除去するために、空気下流側のフィン表面に清浄な補給水を供給し、これにより、ケミカル除去効果を向上させているのである。
同じ考え方で、冷却コイル5と温水コイル6へ供給し、排水する水の流れを対応させた方式を図1(b)に示す。
【0037】
次に、冷却コイルまたは加熱コイル用の熱交換用コイルの他の実施の形態について説明する。
図5〜図7に示した冷却コイルまたは加熱コイル用の熱交換用コイルは、コイル本体31のフィン32を斜めに傾斜させて配置し、そのフィン32の片面(上面)に設けた親水・保水性層の上位側から水を供給して水を重力を利用して下位側へ流し、この水の流れと直交するように空気の流れを形成してなる、いわゆる斜流・直交流方式の例である。
【0038】
熱交換用コイル30は、熱媒体を流すためのコイル本体31と、コイル本体31を構成するコイルの表面積を増やすよう該コイルに溶接あるいは固着されかつ互いに平行に配置される多数のフィン32とを備える。また、フィン32の上面には前述した親水・保水性層が設けられ、この親水・保水性層に水を供給する給水手段34が設けられている。
【0039】
または、給水手段34は、親水・保水性層を循環する循環系35と、親水・保水性層の上位に新たに水を補給する補給系36とから成っていて、循環系35は、それら熱交換用コイル30に流れ込む空気の流れの上流側に配置され、補給系36が同空気の流れの下流側に配置されている。
また、コイル本体31の下方に水槽35bが配置され、水槽35bに配水管35eが設けられている点は、前述の図3、図4で示したものと同様である。
【0040】
ここで示す熱交換用コイル30は、フィン32が水平面に対して所定の角度θaを有するように斜めに傾斜して配置されていること、フィン32の上面側にのみ親水・保水性層が設けられていること、給水手段34の循環系35及び補給系36のそれぞれの給水管35a、36aが起立状態で配置されていること、また、斜めに配置されたフィン32の下位側に集水パッド37が配置されていることが前述の実施の形態と異なる点である。
【0041】
この熱交換用コイル30によれば、給水手段34の循環系35及び補給系36のそれぞれの給水管35a、36aから供給された水は、斜めに配置されたフィン32の上位側から下位側へ、フィン32上面の親水・保水性層全面をほぼ均一に濡らしながら徐々に流下し、集水パッド37に達する。ここに達した水は、集水パッド37を垂直に流下し、水槽35bに集まる。水槽に集まった水は、ここから戻り管35dに介装された循環用のポンプ35cによって再び給水管35aに戻される。
【0042】
上述のように給水手段44によって供給される水がフィン32上面の親水・保水性層を均一に濡らして濡れ面を形成するが、このとき、濡れ面に外気が接触し、該外気に含まれる塩酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アンモニウムイオン、水溶性の有機ガス等のケミカル物質が取り除かれる。
【0043】
図8,図9に示した冷却コイルまたは加熱コイル用の熱交換用コイル40は、斜めに配置したフィン42の表面の親水・保水性層を水が斜めに空気下流側から上流側に流下し、空気と水は向流方向に流れる、いわゆる斜流・向流方式の例である。
【0044】
熱交換用コイル40は、熱媒体を流すためのコイル本体41と、コイル本体31を構成するコイルの実質的な表面積を増やすよう該コイルに溶接あるいは固着されかつ互いに平行に配置される多数のフィン42とを備える。フィン42は、空気の流れを基準にした下流側と上流側とで傾斜方向及び角度がそれぞれ異なっており、下流側のフィン(以下、第1のフィンと呼ぶ)42aは、空気の流れる方向Aに一定の角度θbをもって傾き、上流側のフィン(以下、第2のフィンと呼ぶ)42bは、空気の流れる方向Aと直交する方向に一定の角度θcをもって傾くように配置されている。そして、これら両フィン42a、42bは図8に示すような3角形の連結用フィン42cによって接続されている。
【0045】
また、フィン42a、42bの片面(上面)には前述した親水・保水性層が設けられ、この親水・保水性層に水を供給する給水手段44が設けられている。
給水手段44は、この実施の形態の場合循環系は持たず、新たに水を補給する補給系のみからなっている。そして、この給水手段44は、前記フィン42aの上位側の端部に起立状態で設けられた給水管44aと、この給水管44aに水を供給する水補給手段とから構成されている。
【0046】
また、前記第2のフィンの下位部分に沿って集水パッド47が配置されている。また、コイル本体41の下方には水槽45bが配置され、水槽45bには図示せぬ排水管が設けられている。
【0047】
この熱交換用コイル40によれば、給水手段44の給水管44aから供給された水は、斜めに配置された第1のフィン42aの上位側から下位側へ該第1のフィン42aの傾斜に沿って、フィン42a上面の親水・保水性層全面をほぼ均一に濡らしながら徐々に流下する。そして、連結用のフィン42cを通過して第2のフィン42bに至り、その後、この第2のフィン42bの傾斜方向に沿うよう、空気の流れに直交する方向に流れて集水パッド47に達する。ここに達した水は、集水パッド47を垂直に流下し、水槽45bに集まる。水槽45bに集まった水は、ここから排水管45eを介して外部へ排出される。または、熱交換用コイル40が温水コイルの場合、この水槽より連通管を介して冷却コイルの水槽へ給水し、ポンプにより冷却コイル用の補給水として利用される。
【0048】
上述のように水がフィン42上面の親水・保水性層を均一に濡らして濡れ面を形成するが、このとき、濡れ面に外気が接触し、該外気に含まれる塩酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アンモニウムイオン、水溶性の有機ガス等のケミカル物質が取り除かれる。
【0049】
この実施の形態では、補給水に全て新たな水を用いており、この新たな水は、空気の流れの下流側に供給されることとなり、空気は濡れ面の下流側に至るほど清浄度が高くなり、この清浄度が高くなる空気の下流側に新たな水を補給するので、空気の清浄度をより高めるのに有効である。
【0050】
なお、上記実施の形態では、給水手段を全て新たな水を供給する補給系で構成しているが、これに限られることなく、図4〜図6、あるいは図6、図7で説明したように、給水手段44を、循環系と補給系から構成するようにしても良い。
【0051】
【発明の効果】
請求項1にかかる発明によれば、熱交換用コイル本体のフィンの表面に親水・保水性層を設け、この親水・保水性層に水を供給する給水手段を備え、前記親水・保水性層を、前記フィンの表面に設けられた樹脂コーティング層と、該樹脂コーティング層に接着または溶着された繊維からなる糸または布地とによって構成しているから、フィンの表面の親水・保水性層に水を供給して濡れ面とし、ここに空気を通過させることにより、空気から塩酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン等の水に溶けるケミカル物質を除去することができる。また、上記熱交換用コイル本体のフィンの表面の親水・保水性層に水を含ませることによって、そこを流れる空気を加湿することができ、加湿装置として蒸気加湿器や、水スプレー等の特別な加湿装置を必要としない。
【0052】
請求項2記載の発明によれば、給水手段を、親水・保水性層を循環する循環系と、新たに水を補給する補給系とから構成していて、それら循環系と補給系は、同一の熱交換用コイル本体に対して配置されるため、親水・保水性層を濡れ面とする水の消費量を少なくすることができ、水の使用量を減少できる点において優れる。
【0053】
請求項3記載の発明によれば、フィンを斜めに傾斜させて配置し、このフィンの上面に親水・保水性層を設け、この親水・保水性層の上位側に給水手段から水を供給するから、
供給した水を重力を利用して、親水・保水性層全面をほぼ均一に濡らしながら徐々に下位側へ流すことができる。
【0054】
請求項4記載の発明によれば、給水手段を、当該熱交換用コイルに流れ込む空気の流れの下流側のコイル面により水を供給し、同空気の流れの上流側で水を捕集する機構を備えているから、請求項3記載の発明と同様に、空気からケミカル物質を取り除いて空気清浄度をあげるのに有利である。
【0056】
請求項5記載の発明によれば、給水手段を、熱交換用コイル本体に接するように配置された集水パッドを介して親水・保水性層から集水するようにしているので、親水・保水性層の下流側から全面に渡って徐々に水を落下させることができ、均一の濡れ面を形成する上で有利である。
【0057】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換用コイルを、冷却コイル及び加熱コイルとしてそれぞれ有するから、これら冷却コイル及び加熱コイルが加湿装置として機能することとなり、請求項1に係る発明と同様に、蒸気加湿器等特別な加湿装置を必要としない。このため、空調機を小型化することができる。
【0058】
請求項7記載の発明によれば、夏季には運転休止中の加熱コイルの表面の親水・保水性層に給水手段から水を供給し、冬季には運転休止中の冷却コイルの表面の親水・保水性層に給水手段から水を供給するから、運転休止中のコイルの有効利用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空調機の実施の形態を示す断面図である。
【図2】 同実施の形態で用いられる熱交換用コイルの親水・保水性層を説明する斜視図である。
【図3】 本発明の熱交換用コイルの実施の形態を示す斜視図である。
【図4】 同実施の形態を示す正面図である。
【図5】 本発明の熱交換用コイルの他の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】 同他の実施の形態を示す正面図である。
【図7】 同実施の形態を示す平面図である。
【図8】 本発明の熱交換用コイルのさらに他の実施の形態を示す要部の斜視図である。
【図9】 同さらに他の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 外調機
2 ケーシング
5 冷却コイル(熱交換用コイル)
6 加熱コイル(熱交換用コイル)
11 露点温度計
12 乾球温度計
21 コイル本体
22 フィン
23 親水・保水性層
24 給水手段
25 循環系
26 補給系
27 給水パッド
37 集水パッド
Claims (7)
- 熱交換用コイル本体のフィンの表面に設けられた親水・保水性層と、該親水・保水性層に水を供給する給水手段とを備え、
前記親水・保水性層は、前記フィンの表面に設けられた樹脂コーティング層と、該樹脂コーティング層に接着または溶着された繊維からなる糸または布地とによって構成されてなることを特徴とする熱交換用コイル。 - 請求項1記載の熱交換用コイルにおいて、
前記給水手段は、親水・保水性層の上部に供給した水が親水・保水性層を通過して該親水・保水性層の下部にまで至り、そこで回収した水を再び親水・保水性層の上部に供給する循環系と、親水・保水性層の上部に新たに水を補給する補給系から成っていて、該循環系と補給系は、同一の熱交換用コイル本体に対して配置されることを特徴とする熱交換用コイル。 - 請求項1または2記載の熱交換用コイルにおいて、
前記フィンは斜めに傾斜されて配置され、
該フィンの上面に前記親水・保水性層が設けられ、
該親水・保水性層の上位側に前記給水手段から水が供給されることを特徴とする熱交換用コイル。 - 請求項1または2記載の熱交換用コイルにおいて、
前記給水手段は、当該熱交換用コイルに流れ込む空気の流れの下流側のコイル面により水を供給し、同空気の流れの上流側で水を捕集する機構を備えたことを特徴とする熱交換用コイル。 - 請求項1または2記載の熱交換用コイルにおいて、
前記給水手段は、前記熱交換用コイル本体に接するように配置された海綿状の集水パッドを介して前記親水・保水性層から集水することを特徴とする熱交換用コイル。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換用コイルを、冷却コイル及び加熱コイルとしてそれぞれ有して成ることを特徴とする空調機。
- 請求項6記載の空調機を用いた空調方法であって、
夏季には運転休止中の加熱コイルの表面の親水・保水性層に給水手段から水を供給し、冬季には運転休止中の冷却コイルの表面の親水・保水性層に給水手段から水を供給することを特徴とする空調機を用いた空調方法。
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