JP3927773B2 - 廻縁材とそれを用いた天井納まり構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、壁面と天井面との納まり部に取り付けられる内装用の廻縁材並びに当該廻縁材を使用した天井収まり構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築の内装工事等においては、壁面及び天井面を仕上げた後に、壁面と天井面との納まり部(23)に生じた隙間や、壁材(22)或いは天井材(20)の端部に生じる仕上げ残り部分(24)を覆い隠す目的で、壁面と天井面との納まり部(23)に壁面に沿って廻縁材(B)を付設することが一般的に行われている。
【0003】
天井材(20)としては、ロックウールや木質繊維板等からなり表面が白色系に着色された天井板を施工するのが一般的であり、一方の壁材(22)としては、石膏ボード等の下地材に化粧シート材を貼着して仕上げることが通常行われている。そして図10に示されるように、廻縁材(B)は天井材(20)に接触した状態で壁材(22)に取り付けられる。
【0004】
廻縁材(B)を壁材(22)に取り付けた時、天井材(20)の表面が平坦な場合は、廻縁材(B)と天井材(20)との間に隙間は殆ど生じないが、天井材(20)の表面に凹凸模様(21)を設けた場合には、その凹部(21a)と廻縁材(B)との間に隙間(25)が生じ、影となって現れていた。特に、室内の照明の光或いは窓からの日光が廻縁材(B)を照射した場合、廻縁材(B)の角部(26)に光を遮られた天井材(20)の凹部(21a)には、影がはっきりと現れることがあった。
【0005】
特に、白色系などの明色の廻縁材(B)を使うと、天井面と廻縁材(B)との間に生じる隙間(25)の影が目立ってしまい、外観上、見苦しいものとなってしまっていた。このような影を目立たなくするために、廻縁材(B)表面の色調を茶系等の濃色とするのが一般的であった。しかしながら、インテリアのコーディネートを考慮した場合には、濃色の廻縁材(B)を用いると天井面と壁面との区切りが明確となりすぎて、空間としての一体感に欠けてしまうという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、特に白色系などの明るい色を用いたとしても、凹凸模様を有する天井面と壁面との納まり部に取り付けた場合に前記凹凸模様の凹部との隙間に影が生じないあるいは目立たない廻縁材と当該廻縁材使用した天井納まり構造を開発することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
「請求項1」に記載の廻縁材(A)は、「天井材(10)と壁材(12)との納まり部(13)に使用される廻縁材(A)であって、壁材(12)と接触する不透明材料からなる基材(1)と、天井材(10)と接触または近接する部位にて前記基材(1)に取着された透明部(2)とで構成されている」ことを特徴とする。
【0008】
これによれば、天井材(10)と接触または近接する部位にて前記基材(1)に透明部(2)が形成されているため、光が透明部(2)を照射しても光はそのまま透明部(2)を透過することが出来、前記基材天井材(10)の凹部(11a)に影を生じさせることはない。このため、従来のように影を目立たさなくするために廻縁材(A)の色調を濃色にする必要はなく、基材(1)については白色・淡色の廻縁材(A)を使用することが出来る。従って、廻縁材(A)の色調の制約がなくなり、部屋のデザインに応じて自由に廻縁材(A)の色彩を選択することが出来、コーディネート面での幅が広がる。
【0009】
「請求項2」に記載の廻縁材(A)は請求項1の基材(1)の色を限定したもので「基材(1)表面が白色または淡色である」ことを特徴とする。これは、天井面や壁面は通常白色又は淡色であるため、廻縁材(A)の基材(1)も天井面や壁面に合わせて白色又は淡色にしたものである。こうすることで、本請求項の廻縁材(A)を天井面と壁面との納まり部(13)に取り付けても、天井面と壁面との区切りが明確とならないため、空間としての一体感を生み出すことが出来る。
【0010】
「請求項3」に記載の天井構造は「表面に凹凸模様(11)を有する天井材(10)と壁材(12)との納まり部(13)に請求項1または2に記載の廻縁材(A)が配設されている」ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の廻縁材(A)の構成を実施例に従って説明する。第1実施例(A1)の基材(1)は断面略方形状で、壁材(12)に固着される壁材接触面(1a)と、天井材(10)に接触或いは近接する天井材接触面(1b)とを有している。基材(1)の形状は、少なくとも壁材(12)に固着される壁材接触面(1a)を有しておれば特に限定はせず、例えば基材(1)の断面がL字状のものであってもよい。
【0012】
本実施例(A1)の壁材接触面(1a)と反対側の面の上角部には断面矩形の切欠部(1c)が長手方向全長にわたって設けられている。また、基材(1)の壁材接触面(1a)と反対側の面には、化粧及び釘打ち用の凹溝(1d)が長手方向に形成されている。本実施例(A1)では、凹溝(1d)に釘(1e)等が打ち込まれることで基材(1)は壁材(12)に固着されているが、固着手段について特に制限はない。
【0013】
壁材接触面(1a)の長手方向の長さ(b)は、壁面の端部に生じる仕上げ残り部分(14)を覆い隠せる長さは必要とし、5mm以上が好ましい。また、天井材接触面(1b)の長手方向の基材(1)の長さ(d)も、天井材(10)の端部に生じる仕上げ残り部分(14)を覆い隠せる長さは必要とし、8mm以上が好ましい。
【0014】
本実施例(A1)の基材(1)の材質は木質材料で例えば、むく材、合板、MDF等が考えられ、表面はシート状物や塗膜で被覆されている。基材(1)の材質は、上記の各種木質材料以外にも、例えば樹脂(塩化ビニル樹脂、ABS、PP、PE、アクリル樹脂等)や金属(アルミ、スチール等)なども用いることが出来る。基材(1)の色は、特に限定はせず自由に決めることが出来るのであるが、天井面と壁面との境界を明確にしないようにするには、例えば白色或いは淡色が好ましい。尚、色は材料自体に着色されている場合もあるが、後から化粧用のシートやテープを貼ったり、塗装によって着色しても良い。
【0015】
透明部(2)は図1の場合、透明な樹脂の角柱からなっており、基材(1)の切欠部(1c)に嵌め込まれるような状態で取着されている。本実施例(A1)の透明部(2)は、基材(1)の切欠部(1c)に納められ、基材(1)と透明部(2)とは面一に取り付けられているが、図2のように、透明部(2)を基材(1)の切欠部(1c)から突出させてもよい。本実施例(A1)の透明部(2)は断面方形状であるが、形状について限定するものではなく、例えば、切欠部(1c)から突出している場合は、図3のようにその突出部(2a)を円弧状にしたり、図示していないが階段状にしたりして様々なデザインを施すことが出来る。
【0016】
凹凸模様(11)を有する天井材(10)と壁材(12)との納まり部(13)に影が出来ないようにするには、透明部(2)の縦(a)及び横(c)の断面寸法を少なくとも3mm以上にする事が好ましい。本実施例(A1)の透明部(2)は切欠部(1c)に取着されているが、勿論これに限られず、例えば、基材(1)に切欠部(1c)が設けられていない場合は、壁材接触面(1a)と反対側の面(1a')の上端部、即ち、室内側の面(1a')の上端部に直接取着しても良い。
【0017】
次に、図1の実施例(A1)の作用について説明する。本実施例(A1)は、凹凸模様(11)が施された天井材(10)と壁材(12)との納まり部(13)に取り付けられるもので、基材(1)が壁材(12)或いは天井材(10)の端部に生じる仕上げ残り部分(14)を覆い隠す役目を果たす。
【0018】
一方、透明部(2)は透明樹脂にて形成されているため、光が透明部(2)を照射しても光はそのまま透明部(2)を透過して、透明部(2)と天井面の凹部(11a)との間に影が生じることはない。また、不透明な基材(1)と天井面の凹部(11a)との境界部分は透明部(2)に覆われて室内側からは明瞭に見えず、影が発生していたとしても目立たない。従って、通常、天井材(10)及び壁材(12)は白色系に着色されており、従来では影が目立つために、白色系の廻縁材(A)を用いることは出来なかったが、本実施例(A1)では基材(1)を白色系にしても何ら問題はない。このため、廻縁材(A)の色調の制約がなくなり、部屋のデザインに応じて自由に色を選択することで、コーディネート面での幅を広げる事が出来る。
【0019】
図2〜4は透明部(2)が室内側の面(1a')から突出している場合で、この場合も前述と同様、透明部(2)を照射しても光はそのまま透明部(2)を透過して、透明部(2)と天井面の凹部(11a)との間に影が生じることはないし、不透明な基材(1)と天井面の凹部(11a)との境界部分は透明部(2)に覆われて室内側からは明瞭に見えず、影が発生していたとしても目立たない。
【0020】
次に、第2実施例(A2)について第1実施例(A1)と異なる点を中心に説明する。第2実施例(A2)も勿論、第1実施例(A1)と同じ用途に使用されるがその形状が異なる。本実施例(A2)は不透明樹脂で形成された基材(1)及び透明樹脂で形成された透明部(2)で構成されており、押し出し成形にて一体に成形されているため形状については自由度が高く様々な形状が考えられる。即ち、基材(1)が断面長方形の板状で、透明部(2)が基材(1)の室内側の面(1a')に形成されているもの(図5)、基材(1)が逆つ字型でその室内側の面(1a')に形成されているもの(図6)、断面長方形の透明部(2)の室内側下面に不透明塗料或いは不透明テープ(1f)が貼着されているもの(図7)、基材(1)の室内側側面と室内側下面とが透明部(2)で構成されたもの(図8)、基材(1)の室内側側面と室内側下面及び天井側上面とが透明部(2)で構成されたもの(図9)など各種の物が考えられる。
【0021】
この場合でも、壁材接触面(1a)の長手方向の長さ(b)は5mm以上、天井材接触面(1b)の長手方向の基材(1)の長さ(d)も、8mm以上が好ましく、透明部(2)の縦(a)及び横(c)の断面寸法を少なくとも3mm以上にする事が好ましい。
【0022】
この場合も基材(1)は着色され不透明となっているため、天井面及び壁面の端部の仕上げ残り部分(14)を覆い隠すことが出来る。透明部(2)については第1実施例(A1)と同様に透明になっているため、光はそのまま透過して、天井材(10)の凹部(11a)に影が生じるのを防ぐことが出来る。また、本実施例(A2)は基材(1)及び透明部(2)が共に樹脂から成るため、一度に押し出し成形することが出来、製造効率を向上させることが出来る。
【0023】
【発明の効果】
本発明の廻縁材は、天井材と接触または近接する部位にて前記基材に透明部が形成されているため、光が透明部を照射しても天井材の凹部に影を生じさせることはない。このため、影を目立たなくするために廻縁材を濃色にする必要はなく、基材については自由に色を選択すること出来、コーディネート面での幅が広がる。従って、基材を白色或いは淡色にする事が出来、このようにすることで天井と壁面との区切りが明確とならなず空間としての一体感を生み出すこと出来、コーディネート面での幅を広げる事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の廻縁材の取付状態を示す断面斜視図
【図2】本発明の第1実施例の変形例1の廻縁材の斜視図
【図3】本発明の第1実施例の変形例2の廻縁材の斜視図
【図4】本発明の第1実施例の変形例3の他の廻縁材の斜視図
【図5】本発明の第2実施例の廻縁材の取付状態を示す断面斜視図
【図6】本発明の第2実施例の変形例1の取付状態を示す断面斜視図
【図7】本発明の第2実施例の変形例2の廻縁材の取付状態を示す断面斜視図
【図8】本発明の第2実施例の変形例3の廻縁材の取付状態を示す断面斜視図
【図9】本発明の第2実施例の変形例4の廻縁材の取付状態を示す断面斜視図
【図10】従来の廻縁材の取付状態を示す断面斜視図
【符号の説明】
(A)…廻縁材
(1)…基材
(1a)…壁材接触面
(2)…透明部
(10)…天井材
(11)…凹凸模様
(12)…壁材
(13)…納まり部
Claims (3)
- 天井材と壁材との納まり部に使用される廻縁材であって、
壁材と接触する不透明材料からなる基材と、
天井材と接触または近接する部位にて前記基材に取着された透明部とで構成されていることを特徴とする廻縁材。 - 基材表面が白色または淡色であることを特徴とする請求項1に記載の廻縁材。
- 表面に凹凸模様を有する天井材と壁材との納まり部に請求項1または2に記載の廻縁材が配設されていることを特徴とする天井納まり構造。
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