JP3926704B2 - (メタ)アクリル系樹脂の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリル酸エステルとオレフィンとの共重合体からなる(メタ)アクリル系樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル樹脂は、機械的強度や成形加工性、耐候性等にバランスのとれた性質を有しており、シート材料あるいは成形材料として多方面に使用されている。更に、メタクリル樹脂は、高透明性、高アッベ数、低複屈折等の光学的にも優れた性質を有している。最近ではこうした特性を活かして、ビデオディスク、オーディオディスク、コンピューター用追記型ディスク等のディスク材料や、カメラ、ビデオカメラ、投写型テレビ、光ピックアップ等のレンズ材料、さらに光ファイバー、光コネクターなど種々の光伝送材料として用途が広がっている。
【0003】
しかしながら、メタクリル樹脂は吸湿性が高いという問題点を有している。即ち、吸湿による寸法変化や成形品のそりが生じたり、吸湿と乾燥の長期繰り返しサイクルによりクラックが発生したりすることもあるため、その使用が制限されている用途もある。特に、ディスク材料やそれらの光学系に用いる光ピックアップレンズ、コネクター等には吸湿による寸法変化の影響が大きいといわれている。さらに、メタクリル樹脂からなるシートは、吸湿によるそりが生じることもある。
【0004】
それ故、近年、メタクリル樹脂の光学的性質を保持しながら、吸湿性を改善する技術に関し数多くの提案がなされている。例えばメタクリル樹脂に低吸水性を付与する方法として、メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体(特開昭58-5318号公報)、メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレート及びベンジルメタクリレートとの共重合体(特開昭58-13652号公報)が提案されている。しかしながら、これらの共重合体の低吸湿化は達成されるものの機械特性が低下するという問題を有していた。
【0005】
また、メタクリル酸エステルの低吸水化法としてオレフィンセグメントを主鎖に導入する方法があり、例えば、特開平6−136058号公報ではメタクリル酸エステル/イソブテン/マレイミドからなる共重合体が提案されているが、マレイミド成分を含むため着色する、靭性が低下するという問題があった。
【0006】
また、特公昭44−30737号公報ではアクリル酸エステルとオレフィン類との共重合体の製造方法を開示しているが、残存アルミニウム化合物により樹脂の透明性が低下するという問題があった。また、特公昭48−29393号公報では、(メタ)アクリル酸エステル等の共役化合物と特定のオレフィン系化合物との共重合をバナジウム化合物等の特定の遷移金属化合物とアルミニウム化合物またはホウ素化合物とを含む系にて行うことが記載されている。しかし、特定の遷移金属化合物を系に添加することにより、アルミニウム化合物の使用量は低減できるが、共重合体の透明性は不十分であった。また、アルミニウム化合物を用いる重合法は、アルミニウム化合物から発生するハロゲン化水素のため、腐食性が高い等の問題があった。さらに、アルミニウム化合物を用いる重合法では、系内に水分があると、アルミニウム化合物の活性が低減するため、水分除去の必要から製造が困難であり、加えて、アルミニウム化合物の再利用も困難であった。以上のように、従来のアルミニウム化合物を主触媒として利用した(メタ)アクリル酸エステルとオレフィン類との共重合法は、触媒の安定性、腐食性、そして再利用性の点で問題があるため、工業的な製造方法としては不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、安定性が高く、腐食性が低く、そして再利用性に優れる触媒を用いて、機械特性および透明性に優れた低吸湿性の(メタ)アクリル酸エステルとオレフィン類との共重合体からなる(メタ)アクリル系樹脂を効率的に製造することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した従来技術の欠点を解決するために鋭意検討した結果、特定のハフニウム触媒を用いることにより、(メタ)アクリル酸エステルとオレフィン類との共重合体の効率的な製造ができることを見出した。
【0009】
すなわち本発明は、(メタ)アクリル酸エステル単量体とオレフィン単量体とを、ハフニウム触媒およびラジカル重合開始剤の存在下で重合する(メタ)アクリル系樹脂の製造方法に関する。
【0010】
発明において、ハフニウム触媒下記の一般式(I)で示されるハフニウム化合物であり、オレフィン単量体は炭素原子数3〜6のα−オレフィン、炭素原子数10〜20のα−オレフィン、及び炭素原子数3〜30の環状オレフィンから選ばれる少なくとも一種の単量体であり、(メタ)アクリル系樹脂は、前記オレフィン単量体の単位の含有量が1〜50モル%の範囲にあり、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位の含有量が50〜99モル%の範囲にある。
【0011】
mHfXn (I)
(式中、Lは、水素原子、鎖状炭化水素基もしくは環状炭化水素基またはハフニウムへ配位する能力を持つ配位子であって、Lが複数ある場合これらLは全て同一でも互いに異なってもよく、また連結基を介してL同士が結合してもよく;Xはハロゲン原子であり、Xが複数ある場合これらXは全て同一であっても互いに異なってもよく;mは0(ゼロ)または1〜4の整数であり;nは0(ゼロ)または1〜4の整数である。)
【0012】
また本発明は、ハフニウム触媒が、記の一般式(I)で示されるハフニウム化合物であって、有機アルミニウム化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)及びイオン化イオン性化合物(B−3)から選ばれる1種以上の化合物を助触媒として併用する上記の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法に関する。
【0014】
なお、「(メタ)アクリル酸エステル単量体」とはアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一種の単量体を意味する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の共重合体の製造に用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体は特に限定されないが、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロデカニル、メタクリル酸ジシクロペンタジエニル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピル、メタクリル酸ペンタフルオロプロピル、メタクリル酸オクタフルオロペンチル、メタクリル酸2-(ペルフルオロオクチル)エチル等のメタアクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸ジシクロペンタジエニル、アクリル酸アダマンチル等のアクリル酸エステル類などが挙げられる。これらのなかでも、樹脂の透明性および耐候性の面からメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルの少なくとも一種の単量体が好ましい。
【0016】
本発明の方法で製造される共重合体における(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は所望の樹脂の特性に応じて適宜設定されるが、50〜99モル%の範囲であることが好ましく、50〜97モル%の範囲であることがより好ましい。共重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が少なすぎると機械強度が低下する場合があり、含有量が多すぎると吸湿性が高くなる。
【0017】
また、本発明の共重合体の製造に用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体は2種類以上の(メタ)アクリル酸エステルから構成することもできる。
【0018】
本発明の共重合体の製造に用いられるオレフィン単量体は特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の直鎖状または分岐を持つ鎖状オレフィンが挙げられ、好ましくは炭素原子数が2〜50、より好ましくは2〜20のα−オレフィン、β−オレフィン等が挙げられる。中でも、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン等の炭素原子数3〜6のα−オレフィン、並びに1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素原子数10〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のα−オレフィンが好ましい。また、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン等の環状オレフィン(シクロアルケン)類も挙げられ、好ましくは炭素原子数が3〜30、より好ましくは3〜20の環状オレフィンが挙げられる。中でも、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネンから選ばれる一種以上の環状オレフィンが好ましい。さらに、これらのα−オレフィン及び環状オレフィンの中でも、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン、ノルボルネン、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン及び1-エイコセンから選ばれる少なくとも一種の単量体が好ましい。
【0019】
本発明の方法で製造された共重合体におけるオレフィン単量体単位の含有量は1〜50モル%の範囲であるのが好ましく、3〜50モル%の範囲であるのがより好ましい。共重合体中のオレフィン単量体単位の含有量が多すぎると機械強度が低下する場合があり、含有量が少なすぎると吸湿性が高くなる。
【0020】
また、本発明の共重合体製造に用いられるオレフィン単量体は2種類以上のオレフィン単量体から構成することもできる。
【0021】
さらに本発明の方法で製造される共重合体は、必要により第3の構成単位として、用途や成形性、その他の品質の要求などに応じて他の共重合可能な単量体からなる単位を含有していてもよい。例えば、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物;フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジシクロヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル等のα,β−不飽和カルボン酸エステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、シクロへキシルマレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン等のジエン類;ノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の脂環式オレフィン類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン等のモノ若しくはポリアルキルスチレン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
【0022】
本発明の方法で製造される共重合体における第3の構成単位の含有量は20モル%以下であることが好ましい。第3の構成単位の含有量が多すぎると透明性が低下する場合がある。
【0023】
本発明の共重合体の製造に使用されるハフ二ウム触媒としては、四塩化ハフニウム、四臭化ハフニウム、シクロペンタジエニルハフニウムトリクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニルハフニウムトリクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、メトキシハフニウムトリクロライド等のハロゲン化ハフニウム化合物、ジメチルビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル等の有機ハフニウム化合物、ハフニウムトリフルオロペンタンジオネート、ハフニウムヘキサフルオロペンタンジオネート等のハフニウムアセチルアセトン誘導体等が挙げられる。
【0024】
本発明の共重合体の製造に使用されるハフ二ウム触媒は、下記式(I)で表される構造を有するハロゲン化ハフニウム化合物または有機ハフニウム化合物が好ましい(以下、適宜「化合物(A)」と表記する)。
【0025】
mHfXn (I)
上記式(I)中、Lは、水素原子、鎖状炭化水素基もしくは環状炭化水素基またはハフニウムへ配位する能力を持つ配位子であって、Lが複数ある場合これらLは全て同一であっても互いに異なっていてもよく、また連結基を介してL同士が結合していてもよい。
【0026】
鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル等の直鎖状または分岐を持つ鎖状のアルキル基、好ましくは炭素原子数が1〜30、より好ましくは1〜20のアルキル基が挙げられ;ビニル、アリル及びイソプロペニル等の直鎖状または分岐を持つ鎖状のアルケニル基、好ましくは炭素原子数が2〜30、より好ましくは2〜20のアルケニル基が挙げられ;エチニル、プロパルギル等の直鎖状または分岐をもつ鎖状のアルキニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数が2〜30、より好ましくは2〜20のアルキニル基が挙げられる。
【0027】
環状炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基及びアリール基が挙げられる。
【0028】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル等の飽和シクロアルキル基、好ましくは炭素原子数が3〜30、より好ましくは3〜20の飽和シクロアルキル基が挙げられ、また、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル等の不飽和シクロアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数5〜30の不飽和シクロアルキル基が挙げられ、あるいはこれら飽和シクロアルキル基および不飽和シクロアルキル基の置換体等が挙げられる。
【0029】
アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニル等の好ましくは炭素原子数が6〜30、より好ましくは6〜20のアリール基が挙げられ、また、トリル、iso-プロピルフェニル、t-ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニル等のアルキル置換アリール基等が挙げられる。
【0030】
さらに、上記鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基は、その一部を置換した一部置換炭化水素基であってもよい。
【0031】
また、ハフニウムへ配位する能力を持つ配位子Lとしては、例えば以下の構造を有する配位子が挙げられる。
【0032】
【化1】
Figure 0003926704
【0033】
【化2】
Figure 0003926704
【0034】
【化3】
Figure 0003926704
【0035】
【化4】
Figure 0003926704
【0036】
【化5】
Figure 0003926704
【0037】
【化6】
Figure 0003926704
【0038】
【化7】
Figure 0003926704
【0039】
【化8】
Figure 0003926704
【0040】
【化9】
Figure 0003926704
【0041】
【化10】
Figure 0003926704
【0042】
【化11】
Figure 0003926704
【0043】
【化12】
Figure 0003926704
【0044】
配位子の置換基R1〜R66は、水素原子、鎖状炭化水素基又は環状炭化水素基であって互いに同一でも異なってもよく、この鎖状炭化水素基および環状炭化水素基としてはそれぞれ、式(I)中のLとして前述した鎖状炭化水素基および環状炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0045】
また、Lは、複数ある場合、互いに酸素原子、硫黄原子、アルキルシリレン基又は炭化水素基等の連結基を介して結合していてもよい。例えば、化合物(A)中に存在する2つのL同士が、互いに炭化水素基を介して−L−C−L−のように結合していてもよい。ここで、アルキルシリレン基としては、例えば、メチルシリレン基、ジメチルシリレン基等が挙げられる。また、炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、エチリデン基等の二価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0046】
前記式(I)中、Xはハロゲン原子であり、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、塩素、臭素が好ましい。Xが複数ある場合、全てのXは同じであっても、異なっていてもよい。
【0047】
前記式(I)中、mは0(ゼロ)または1〜4の正の整数である。また、前記式(I)中、nは0(ゼロ)または1〜4の正の整数である。m+nは3又は4であることが好ましい。
【0048】
これらのハフニウム触媒のうち、四塩化ハフニウム、四臭化ハフニウム、シクロペンタジエニルハフニウムトリクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニルハフニウムトリクロリドが好ましい。
【0049】
また、本発明の共重合体の製造に使用されるハフニウム触媒は、単独で、あるいは助触媒を化合物(A)と併用することによっても使用できる。化合物(A)と助触媒とを併用することによって、これらの相互作用により化合物(A)の触媒活性がさらに高くなり、好ましい。
【0050】
このような助触媒として使用される化合物(以下適宜「化合物(B)」と表記する)としては、例えば、有機アルミニウム化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)及びイオン化イオン性化合物(B−3)から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0051】
そのような有機アルミニウム化合物(B−1)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。好ましくは、下記式(II)で示される構造を有する有機アルミニウム化合物である。
【0052】
E1aAlZ(3-a) (II)
(式中、E1は、炭素数1〜8の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、E1が複数ある場合は全てのE1は同じであっても互いに異なっていてもよい。Zは、水素又はハロゲンを示し、Zが複数ある場合は全てのZは同じであっても互いに異なっていてもよい。aは1〜3の整数を表す。)
式(II)で示される有機アルミニウム化合物(B−1)としては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムハクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルミニウムジクロライドが好ましく、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライドがより好ましい。
【0053】
有機アルミニウムオキシ化合物(B―2)としては、公知の有機アルミニウムオキシ化合物が使用できる。好ましくは、下記式(III)
[−Al(E2)−O−]b (III)
(式中、E2は、炭素数1〜8の炭化水素基、好ましくはアルキル基、より好ましくはメチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ノルマルペンチル又はネオペンチルであり、さらに好ましくはメチル基又はイソブチル基である。全てのE2は同じであっても互いに異なっていてもよい。bは2以上の整数、好ましくは2〜40の整数である。)
で示される構造を有する環状アルミノキサン(B−2−1)又は
下記式(IV)
E3[−Al(E3)−O−]cAlE32 (IV)
(式中、E3は、炭素数1〜8の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ノルマルペンチル又はネオペンチルであり、さらに好ましくはメチル基又はイソブチル基である。全てのE3は同じであっても互いに異なっていてもよい。cは1以上の整数、好ましくは1〜40の整数である。)
で示される構造を有する線状アルミノキサン(B−2−2)である。
【0054】
イオン化イオン性化合物(B−3)は、化合物(A)と反応してイオン対を形成できる化合物をいい、例えば、下記の式(V)で表されるホウ素化合物(B−3−1)、式(VI)で表されるホウ素化合物(B−3−2)、式(VII)で表されるホウ素化合物(B−3−3)が挙げられる。
【0055】
ホウ素化合物(B−3−1)は下記式(V)で示される。
【0056】
BQ123 (V)
(式中、Bは、3価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1、Q2及びQ3はそれぞれホウ素原子に結合し、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数2〜20の2置換アミノ基であり、それらは全て同じであっても互いに異なっていてもよい。Q1、Q2及びQ3はそれぞれ、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。)
【0057】
式(V)で表されるホウ素化合物(B−3−1)としては、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン及びフェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられる。これらの中でも、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが好ましい。
【0058】
ホウ素化合物(B−3−2)は下記式(VI)で表される。
【0059】
+ (BQ1234)- (VI)
(式中、Bは、4価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれホウ素原子に結合し、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数2〜20の2置換アミノ基であり、それらは全て同じであっても互いに異なっていてもよい。Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれ、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。また、J+は無機又は有機のカチオンを示す。)
【0060】
式中のJ+ としては、例えば、無機のカチオンとして、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオン等が挙げられ、有機のカチオンとして、トリフェニルメチルカチオン等が挙げられる。
【0061】
式中の(BQ1234)- としては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト及びテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0062】
式(VI)で表されるホウ素化合物(B−3−2)としては、例えば、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びトリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。これらの中でも、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
【0063】
ホウ素化合物(B−3−3)は下記式(VII)で表される。
【0064】
(L−H)+ (BQ1234)- (VII)
(式中、Bは、4価の原子価状態のホウ素原子であり、Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれホウ素原子に結合し、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素置換シリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数2〜20の2置換アミノ基であり、それらは全て同じであっても互いに異なっていてもよい。Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれ、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。また、Lは中性ルイス塩基を示し、(L−H)+はブレンステッド酸を示す。)
【0065】
式中の(L−H)+としては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム及びトリアリールホスホニウム等が挙げられる。
【0066】
式中の(BQ1234)-としては、例えば、前記のホウ素化合物(B−3−2)を表す式中の(BQ1234)-として例示したものと同一のものが挙げられる。
【0067】
式(VII)で表されるホウ素化合物(B−3−3)としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジ−iso−プロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。これらの中でも、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート又はN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
【0068】
また、これら化合物(B)の使用割合については、重合方法の種類、溶液重合を行う場合は重合溶媒の種類、その他種々の重合条件等に応じて適宜好適な割合を選択して採用することができるが、一般には化合物(B)を、化合物(A)のハフニウム触媒1モルに対して0.0001モル以上、1000モル以下となるような割合で用いることが好ましく、0.001モル以上、100モル以下となるような割合で用いることがより好ましい。重合反応の点からは化合物(B)の使用量に上限はないが、製造コスト、重合体中に含まれる有機金属化合物残渣の除去等の点から、化合物(B)の使用量は、化合物(A)1モルに対して10モル以下にとどめることが好ましく、1モル以下にとどめることがより好ましい。
【0069】
本発明で共重合体の製造に用いられるラジカル重合開始剤としては、一般にラジカル重合において用いられる公知の重合開始剤を使用することができる。例えばベンゾイルパーオキサイド、ジーt-ブチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド等の過酸化物開始剤、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル等のアゾ系開始剤が挙げられる。好ましくはベンゾイルパーオキサイド、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)である。
【0070】
本発明の共重合体の製造における重合法としては特に制限はなく、公知の重合法を採用することができる。本発明における重合方法としては、例えば、塊状重合法、適当な溶媒を使用した溶液重合法、及びスラリー重合法等が挙げられる。
【0071】
溶媒を使用する場合、ラジカル重合開始剤およびハフニウム触媒、助触媒を用いる場合はさらに助触媒を失活させないかぎり各種の溶媒を使用できる。例えば、ベンゼン、トルエン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素;ジクロロメタン、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、ベンゾニトリル、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0072】
また、重合温度は、特に制限はなく適宜設定することができるが、例えば−90〜200℃、好ましくは−78〜150℃で重合を行うことができる。
【0073】
重合圧力についても特に制限はなく適宜設定することができるが、例えば9.8MPa以下、好ましくは0.1MPa〜4.9MPaで実施することができる。
【0074】
その他、重合体の分子量を調節するために、水素、メルカプタン等の連鎖移動剤を添加してもよい。
【0075】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0076】
実施例で得られた重合体の共重合組成は1H-NMR(日本電子製、JNM-EX270)により決定し、数平均分子量および分子量分布(Mw/Mn)はポリメタクリル酸メチルを標準試料としてGPC(Waters製、GPC150-C)により測定し、ガラス転移点はDSC装置(Seiko製、DSC220C)を用いて決定した。
【0077】
(実施例1)<メタクリル酸メチルとイソブテンとの共重合>
アルゴン置換した100mlシュレンク型容器内にメタクリル酸メチル(MMA)1ml(9.4mmol)及びトルエン0.5mlを加えた後、四塩化ハフニウム299mg(0.94mmol)を加え、室温で30分攪拌した。その後、−78℃に冷却し、5mgの2,2'-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)を添加した。
【0078】
次に、真空脱気して系内をイソブテン(IB)に置換した。イソブテン圧力1atom(1.01×105Pa)、25℃で24時間攪拌することにより共重合を行った。
【0079】
その後、反応液にトルエン5mlを加え、メタノール50mlで再沈殿した。溶媒を除去した後、減圧乾燥し、共重合体1.1gを得た。
【0080】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/IB=90/10(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は105℃であり、ポリイソブテンおよびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は114000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
【0081】
(実施例2)<メタクリル酸メチルとイソブテンとの共重合>
実施例1においてトルエンのかわりにベンゾニトリルを用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、1.1gの共重合体を得た。
【0082】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/IB=85/15(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は98℃であり、ポリイソブテンおよびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は361000、分子量分布(Mw/Mn)は1.6であった。
【0083】
(実施例3)<メタクリル酸メチルとノルボルネンとの共重合>
実施例1においてIBのかわりにノルボルネン(NB)885mg(9.4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、1.0gの共重合体を得た。
【0084】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/NB=96/4(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は121℃であり、ポリノルボルネンおよびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は198000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0085】
(実施例4)<アクリル酸メチルとイソブテンとの共重合>
実施例1においてMMAのかわりにアクリル酸メチル(MA)0.85ml(9.4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、0.65gの共重合体を得た。
【0086】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMA/IB=83/17(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は8℃であり、ポリイソブテンおよびMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は91000、分子量分布(Mw/Mn)は2.8であった。
【0087】
(実施例5)<アクリル酸メチルとノルボルネンとの共重合>
実施例1においてMMAのかわりにアクリル酸メチル(MA)0.85ml(9.4mmol)を用い、IBのかわりにノルボルネン(NB)885mg(9.4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、0.88gの共重合体を得た。
【0088】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMA/NB=73/27(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は67℃であり、ポリノルボルネンおよびMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は122000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0089】
(実施例6)<メタクリル酸メチルとイソブテンとの共重合>
実施例1において、助触媒としてエチルアルミニウムジクロライド0.099ml(0.94mmol)を加えた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、1.2gの共重合体を得た。
【0090】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/IB=80/20(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は90℃であり、ポリイソブテンおよびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は108000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
【0091】
(実施例7)<メタクリル酸メチルとイソブテンとの共重合>
実施例1におけるハフ二ウム触媒の代わりに、実施例1における再沈殿後のメタノール溶液から回収した四塩化ハフニウムを用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、1.0gの共重合体を得た。
【0092】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/IB=90/10(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は105℃であり、ポリイソブテンおよびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は230000、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0093】
(実施例8)<メタクリル酸メチルと1-デセンとの共重合>
実施例1においてIBのかわりに1−デセン1.81mL(9.4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、2.2gの共重合体を得た。
【0094】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/1−デセン=75/25(mol比)の共重合体であった。得られた共重合体のガラス転移温度は38℃であり、ポリ(1−デセン)およびPMMA(MMA単独重合体)に由来するガラス転移点は観測されなかった。また共重合体の数平均分子量は89000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
【0095】
(実施例9)<メタクリル酸メチルと1-ヘキサデセンとの共重合>
実施例1においてIBのかわりに1-ヘキサデセン2.74mL(9.4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、2.5gの共重合体を得た。
【0096】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/1-ヘキサデセン=82/18(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は56℃であり、ポリ(1-ヘキサデセン)およびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は99000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
【0097】
(実施例10)<メタクリル酸メチルと1-エイコセンとの共重合>
実施例1においてIBのかわりに1-エイコセン2.68g(9.4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、1.5gの共重合体を得た。
【0098】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/1-エイコセン=89/11(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は81℃であり、ポリ(1-エイコセン)およびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は84000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
【0099】
(実施例11)<メタクリル酸メチルとダイアレン124との共重合>
実施例1においてIBのかわりにダイアレン124(三菱化学(株)製 1-ドデセン(約56mol%)と1-テトラデセン(約44mol%)の混合物)2.43mL(9.4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、1.8gの共重合体を得た。
【0100】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/1-ドデセン/1-テトラデセン=87/7/6(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は57℃であり、ポリ(1-ドデセン)、ポリ(1-テトラデセン)及びMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は125000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
【0101】
(実施例12)<メタクリル酸メチルとダイアレン168との共重合>
実施例1においてIBのかわりにダイアレン168(三菱化学(株)製 1-ヘキサデセン(約57mol%)と1-オクタデセン(約43mol%)の混合物)3.0mL(9.4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の手法により共重合することで、2.3gの共重合体を得た。
【0102】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン=81/10/9(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は42℃であり、ポリ(1-ヘキサデセン)、ポリ(1-オクタデセン)及びMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は116000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
【0103】
(実施例13)<メタクリル酸メチルと1−デセンとの共重合>
実施例8においてトルエンのかわりにベンゾニトリルを用いた以外は実施例8と同様の手法により共重合することで、1.6gの共重合体を得た。
【0104】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/1-デセン=82/18(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は56℃であり、ポリ(1-デセン)およびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は99000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
【0105】
(実施例14)<メタクリル酸メチルと1-ヘキサデセンとの共重合>
実施例9においてトルエンのかわりにベンゾニトリルを用いた以外は実施例9と同様の手法により共重合することで、3.6gの共重合体を得た。
【0106】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/1-ヘキサデセン=88/12(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は66℃であり、ポリ(1-ヘキサデセン)およびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は105000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
【0107】
(実施例15)<メタクリル酸メチルと1-デセンとの共重合>
実施例8において四塩化ハフニウムのかわりにシクロペンタジエニル三塩化ハフニウム(シクロペンタジエニルハフニウムトリクロリド)を用いた以外は実施例8と同様の手法により共重合することで、2.1gの共重合体を得た。
【0108】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところMMA/1-デセン=93/7(mol比)の共重合体であった。また、得られた共重合体のガラス転移温度は89℃であり、ポリ(1-デセン)およびMMA単独重合体に由来するガラス転移点は観測されなかった。また、共重合体の数平均分子量は100000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
【0109】
比較例1
2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリルを添加しない以外は、実施例1と同様の手法により共重合を行った。結果、重合体は全く得られなかった。
【0110】
比較例2
2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリルを添加しない以外は、実施例8と同様の手法により共重合を行った。結果、重合体は全く得られなかった。
【0111】
比較例3
四塩化ハフニウムを添加しない以外は、実施例1と同様の手法により共重合を行った。収量340mgで重合体は得られたが、1H-NMR分析から得られた重合体はMMA単独重合体であり、イソブテンは導入されていなかった。
【0112】
比較例4
四塩化ハフニウムを添加しない以外は、実施例8と同様の手法により共重合を行った。収量510mgで重合体は得られたが、1H-NMR分析から得られた重合体はMMA単独重合体であり、1−デセンは導入されていなかった。
【0113】
【発明の効果】
本発明によれば、機械特性および透明性に優れ、かつ低吸湿性の(メタ)アクリル酸エステルとオレフィン類との共重合体からなる(メタ)アクリル系樹脂を、ホモポリマーの副生を抑え効率よく製造できる。また本発明によれば、従来のアルミニウム化合物を主触媒に用いた場合に比べて系内の水分除去の必要性が低く、腐食性の問題もない製造方法を提供できる。さらに触媒の再利用性に優れるため、製造コストを低減することができる。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸エステル単量体と、オレフィン単量体とを、ハフニウム触媒およびラジカル重合開始剤の存在下で重合する(メタ)アクリル系樹脂の製造方法であって、
    前記オレフィン単量体は、炭素原子数3〜6のα−オレフィン、炭素原子数10〜20のα−オレフィン、及び炭素原子数3〜30の環状オレフィンから選ばれる少なくとも一種の単量体であり、
    前記ハフニウム触媒は、下記の一般式(I)で示されるハフニウム化合物であり、
    前記(メタ)アクリル系樹脂は、前記オレフィン単量体の単位の含有量が1〜50モル%の範囲にあり、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位の含有量が50〜99モル%の範囲にある、(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
    m HfX n (I)
    (式中、Lは、水素原子、鎖状炭化水素基もしくは環状炭化水素基またはハフニウムへ配位する能力を持つ配位子であって、Lが複数ある場合これらLは全て同一でも互いに異なってもよく、また連結基を介してL同士が結合してもよく;Xはハロゲン原子であり、Xが複数ある場合これらXは全て同一であっても互いに異なってもよく;mは0(ゼロ)または1〜4の整数であり;nは0(ゼロ)または1〜4の整数である。)
  2. (メタ)アクリル酸エステル単量体が、アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルの少なくとも一種の単量体である請求項1記載の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
  3. オレフィン単量体が、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、ノルボルネン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及び1−エイコセンから選ばれる少なくとも一種の単量体である請求項1又は2記載の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
  4. 機アルミニウム化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)及びイオン化イオン性化合物(B−3)から選ばれる1種以上の化合物を助触媒として併用する請求項1〜のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
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